加工処理中に試料を振動させるための手段を含む生物学的試料の加工処理のためのシステムおよび方法
試料(1種類または複数)が担体部材上に配列され、加工処理操作制御システムが、試料(1種類または複数)を自動的に、ことによると、ロボットによりプロトコルに従って、およびスケジューリングシステムに従って加工処理する自動化された試料加工処理システムおよび方法を開示する。加工処理は、試料担体または試料カバー内またはその上に配置される振動器による試料の振動を含み得、該振動によって促進され得る。初期の集合事象トポロジーの変更は、システムが初期集合事象を加工処理中に受け付けられ得、変更パラメータのロボット制御シミュレーション機能が得られ、向上された加工処理シーケンスが決定され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2004年10月6日に出願され、表題が「Enhanced Sample Processing System and Methods of Biological Slide Processing」である米国特許仮出願第60/616,444号の出願日および優先権の利益を主張し、前記特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。本出願はまた、以下の国際特許出願およびそのそれぞれの米国国内段階出願: 2003年12月15日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/DK2003/000877;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/DK2003/000911;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040518;2003年12月22日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040880;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040591;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040520;2005年2月28日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US20O5/006383;2003年12月22日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/041022;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040974;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040519と関連する。本出願は、さらに2003年12月19日に出願された同時係属中の米国特許出願第10/741,628号;2003年12月8日に出願された同時係属中の米国特許出願第10/731,316号;2005年4月30日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/119,417号および2005年6月20日に出願され、代理人整理番号P115US02を有する表題が「Method and Apparatus for Automated Pre-Treatment and Processing of Biological Samples」である同時係属中の米国特許出願と関連する。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、試料加工処理(processing)システムおよび試料の加工処理のための事象の集合体(aggregate)のスケジューリング方法または加工処理システムの分野に関する。本発明は、スライドグラス(slide)などの担体に配列された試料の自動化された加工処理、処理または染色に関し得、いくつかの態様では、試料および担体の連続またはバッチ加工処理に関し得る。態様は、さらに、試料加工処理ならびに試料加工処理のためのデータの入力、取得、維持および検索のための制御システムに関し得る。本発明が特に関連し得る適用としては、免疫組織化学、インサイチュハイブリダイゼーション、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、特異的(special)染色および細胞学、ならびに潜在的な他の化学的および生物学的適用が挙げられる。
【0003】
(発明の背景)
免疫組織化学的(IHC)適用ならびに他の化学的および生物学的解析における試料加工処理は、1つまたはいくつかの種々の加工処理シーケンスまたはプロトコルを、1種類以上の試料の解析の一部として必要とし得る。試料加工処理シーケンスまたはプロトコルは、病院の病理学者または組織学者などの解析を必要とする個人または組織によって規定され得、さらに、実施される具体的な解析の指示(dictate)によって規定され得る。本明細書において使用される特定の試料の加工処理のためのプロトコルは、自動化された試料加工処理システムにおいて特定の試料の加工処理を規定する加工処理などの事象のシーケンスを意味する。
【0004】
解析試料の調製において、生物学的試料は、公知の試料取得技術から取得され得、例えば、IHC適用では、組織一般、またはさらにいくつかの適用では、マイクロアレイ試料などの1種類もしくは複数種類の単離された細胞を含み得、試料担体、例えば限定されないが顕微鏡スライドグラスに提示し得る。さらにまた、試料は、なんらかの保存形態の種々の潜在的な担体に提示し得る。一例として、皮膚の層または薄片などの試料はホルムアルデヒド中に保存され、試料を浸透させた1つ以上のパラフィンまたは他の化学層とともに担体に提示され得る。
【0005】
例えば、免疫学的適用は、脱パラフィン化、標的回復(retrieval)、試薬適用、および染色、特にインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)技術などの工程を含む加工処理シーケンスまたはプロトコルを必要とし得る。いくつかの適用において、これらの工程は、手動により行なわれ得るが、潜在的に時間集約的プロトコルをもたらし、人が積極的に試料加工処理に関与することを必要とし得る。自動で行なわれる場合であっても、かかる系には非効率性が存在している。好都合な試料加工処理および手動による操作の負担の軽減の必要性に対処するため、試料加工処理を自動化する試みが行なわれた。しかしながら、かかる以前の取り組みは、自動化された試料加工処理システムのある種の特定の必要性に充分に対処し得ていなかった。試料加工処理を自動化する以前の取り組みは、充分なコンピュータ制御および試料加工処理のモニタリングの欠如;加工処理プロトコルおよび加工処理状態、特に個々の試料に関して共有される情報の欠如;実用的な情報入力および加工処理規定エントリー能力(process definition entry capability)の欠如;診断能力の欠如;および多数の試料のバッチ加工処理のためのリアルタイムまたは適応能力の欠如など、よりロバストな自動化された試料加工処理を妨げるいくつかの局面において欠陥性であり得る。
【0006】
Ventana Medical Systems, Inc.に対する米国特許第6352861号およびLabVision Corporationに対する米国特許第5839091号などのスライドグラスなどの担体に提示される試料の自動化された試料加工処理における過去の取り組みは、本明細書に示す種々の利点および他の組合せの特徴をもたらさなかった。
【0007】
自動化された加工処理システムのユーザーに対して重要であり得る種々の局面の1つは、加工処理を実行中にその変更を可能にすることである。これに関し、しばしば、操作者が、いくつかの様式で、集合体を挿入または変更する前に既存のシーケンスを終了させるのを可能にしなければならないことが考慮されている。また、操作者は、しばしば、加工処理または機器または結果の完全性を確実にするための特別な知識および技能が必要であった。本発明は、かかる効果をある程度低減させることを追求し、ユーザー、操作者、供給業者または製造業者がより使いやすい(friendly)ことがより考慮され得るシステムを提供することを追及し、実環境の条件および事象に適合可能であり得る。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、いくつかの観点から、自動化された試料加工処理の操作が大いに改善され得る自動化された試料加工処理システムを提示する。本発明によれば、各位置が、少なくとも1種類の生物学的試料を有する試料担体(例えば、顕微鏡スライドグラス)を受けるように配列されている複数の位置を含む自動化された試料加工処理システムが提供され、ここで、該システムは、試料および/または試料に適用される試薬に振動を伝導させるために、試料担体またはカバーと接触するように適合された配列された少なくとも1つの振動器手段をさらに含み得、振動器手段の作動が試料の加工処理を制御するプロトコルによって制御される。
【0009】
好ましくは、試料担体用の複数の位置の各々は、試料担体またはカバーを振動させるように配列された少なくとも1つの振動器部材(element)を含む。いくつかの態様では、試料担体用の複数の位置の1/3などの一部のみが、試料担体またはカバーを振動させるために配列された少なくとも1つの振動器部材を含む。これに関し、「複数」は、10、16、20、32、40、50もしくは64、またはさらに大きいものなどの7を超える任意の数を意味する。
【0010】
好ましくは、複数のスライドグラスの加工処理は、試料加工処理システム内に存在する試料に関するすべてのプロトコルに規定されたすべての加工処理工程をスケジューリングする多事象スケジューリングプログラムによってスケジューリングされる。かかるスケジューリングは、国際特許出願公開公報WO 2004/058404 A2に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0011】
試料および/または試薬および/またはプローブに負荷される振動は、混合および反応を改善または加速し得、種々の加工処理工程下で反応時間を減少させ得、それにより、より高速な試料の加工処理が可能になる。最適なスケジューリングは、振動の使用によって可能となる時間の減少の利益を得るため(order to)、自動化された加工処理システムにおいて必須である。
【0012】
好ましくは、振幅および周波数、連続またはパルス型などの振動の型は、各加工処理工程に関して、または特別に適合されるように選択される。試薬が非常に高い粘度を有する場合、振動は、振動中に粘度が減少するような様式で試薬の特性に影響を及ぼし得る。次いで、試薬を、好ましい様式で試料に散布し、試料のすべての領域と接触させ得る。振動は、音波であってもよい。好ましい態様では、適用する音波の波長は、試料の大きさのものよりも小さいか、または試料の大きさと同じオーダーの大きさである。
【0013】
本発明の本質的な特徴は、特定の試料に振動を提供する部材が、特定の試料の試料加工処理を制御する特定のプロトコルによる精密で正確な制御下にあるべきであることである。小さな振動がいくつかの加工処理工程中の加工処理を改善することがあっても、かかる振動は、他の工程の劣化を引き起こし得、これらの工程では回避されなければならない。一例として、これは、かかる振動がクロモゲン処理工程の間に適用された場合、試料染色を劣化させ得る。
【0014】
加工処理工程中に試料および試薬またはプローブの振動を導入する主な利点は、特定の加工処理工程を達成するために必要とされる加工処理時間が、いくつかの加工処理工程で相当短縮され得ることである。加工処理時間の短縮は、非常に好ましい利点である。より詳しくは、該方法は、洗浄、脱パラフィン化および再水和工程に非常に有利である。これらの工程では、例えば、約5〜10分間の加工処理時間が約1〜3分間に短縮され得る。抗体および可視化工程では、振動は、該加工処理を改善し、より良好なシグナルを提供するようである。ハイブリダイゼーション工程中に振動を用いることにより、この工程は短くなり得、望ましくない乾燥が低減される。
【0015】
本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい態様では、少なくとも1つの振動器部材が、試料担体と支持的に接触するように配列された部材に埋め込まれる。あるいは、別の好ましい態様では、少なくとも1つの振動器部材は、試料担体上の試料を被覆するように配列された部材に埋め込まれ得る。
【0016】
本発明による自動化された試料加工処理システムは、試料担体が円形コンベア(carousel)上に負荷され得る種類のものであり得る。あるいは、自動化された試料加工処理システムの異なる態様では、試料担体は、複数の通常は閉鎖されている引き出し(drawer)の中の開放引き出しに連続的に負荷され得、ここで、加工処理は、すべての閉鎖引き出しで継続され得、特定の引き出しでは、試料担体を開放引き出し内に挿入するために引き出しを開放するために加工処理が停止され得る。
【0017】
本発明による自動化された試料加工処理システムのさらなる態様において、試料担体は複数の独立した位置に配列され得、移動手段は、1つの位置から別の位置への試料担体の移動を実行するように配列され得る。位置の少なくとも1つは、特定の加工処理工程のために提供され得、位置の少なくとも1つは、振動器部材を含み得る。本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい一態様では、複数の独立した位置は、並進運動(translational movement)によって試料担体を特定のレベルに上昇および挿入することができる輸送手段を囲むかまたはこれに隣接する位置のいくつかのレベル(階層)を含むコンパクトな回転式対称ユニットに配列される。
【0018】
好ましくは、複数のスライドグラスの加工処理は、試料加工処理システム内に存在する試料に対するすべてのプロトコルに指定されたすべての加工処理工程をスケジューリングするスケジューリングプログラムによってスケジューリングされる。
【0019】
本発明による自動化された試料加工処理システムのさらなる態様では、スケジューリングプロセスは、各々、特定のプロトコルを有する新たな試料を有する新たな組の担体の挿入後に繰返される。
【0020】
本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい態様では、加工処理は、以下の加工処理工程: 洗浄、脱パラフィン化、再水和、標的回復、試料調整、酵素/抗体適用、プローブ/試薬適用、リンス処理、脱水、乾燥およびマウント(mounting)からなる群の少なくとも1つの加工処理工程中に振動の適用を含む。好ましくは、本発明による自動化された試料加工処理システム内での加工処理は、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、免疫組織化学(IHC)技術、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH);試料の特異的染色(SS)、およびマイクロアレイ;特に、標的回復または試料の染色が取り込まれた技術からなる群に属する加工処理を含む。
【0021】
本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい態様では、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動器部材の適用の開始および停止を制御することを含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の周波数を制御することを含む。かかる状況において、周波数の最適な選択は、材料特性に依存する。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、適用する振動のパルス長または持続時間を制御することを含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の周波数の掃引(sweep)を含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の周波数の変調を含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の振幅を制御することを含む。好ましくは、振幅の制御は、振幅の上限を含み得る。好ましくは、振幅の上限は調整され得る。
【0022】
本発明による自動化された試料加工処理システムのいくつかの好ましい態様において、振動器部材のスケジューリングおよび制御は、振動器部材によって振動させる試料の加工処理を規定するプロトコルに関連する。異なるプロトコルに従って加工処理される新たな試料が、振動器部材によって振動される位置内に負荷される場合、スケジューリングおよび制御は異なり得る。
【0023】
本発明による自動化された試料加工処理システムのいくつかの好ましい態様において、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動が試料に適用されるべきでない場合、特定の試料の加工処理を制御する具体的なプロトコルに従ってエネルギーが全く、またはほとんど振動器に分散されないことを確実にするエネルギー管理システムを組み込むか、含むか、またはこれに関する。いくつかの好ましい態様では、振動器は、1〜10秒間、好ましくは3〜5秒間の短時間作動させ、次いで、長時間動作を停止する。好ましくは、動作の停止時間は50〜70秒間である。
【0024】
本発明による自動化された試料加工処理システムの特に好ましい態様では、該システムが複数の部材を備える染色装置(stainer)であり、各部材は、顕微鏡スライドグラスを支持するように、またはこれに接触して配列され、ここで、各部材は、顕微鏡スライドグラスに振動を伝える能力を有する振動器を備え、染色装置は、前記振動器への電力を調節する複数の振動制御装置をさらに備える。前記振動制御装置の各々は、スライドグラス上での試料の加工処理を制御するために設計された特定のプロトコルに依存して制御される。
【0025】
本発明による自動化された試料加工処理システムのための振動器部材の好ましい態様では、振動器部材は、担体(例えば、顕微鏡スライドグラス)に埋め込まれる。あるいは、振動器部材は、担体用の支持体に埋め込まれ得る。好ましくは、支持体はまた、試料の温度を増加させるための加熱手段を含む。したがって、振動器部材は、試料の温度を増加させるための加熱プレートに埋め込まれ得る。
【0026】
本発明による自動化された試料加工処理システムのための振動器部材のさらなる態様では、振動器部材は、担体上の試料を覆うように配列されたカバーに埋め込まれる。好ましくは、振動器部材は、直接接触か、好ましくは、液体の薄層を介してのいずれかで担体と接触するように配列される。振動器部材は、担体の縁、あるいはまた担体の表面と接触するように配列され得る。
【0027】
本発明による自動化された試料加工処理システムのための振動器部材の一態様では、振動をタッピングロボットアームによって発生させる。別の態様では、振動を電気振動器によって発生させる。
【0028】
振動器部材は、圧電部材であってもよく、レーザー作動型部材であってもよい。
【0029】
現時点で好ましい態様(ambodiment)では、本発明による自動化された試料加工処理のための振動器部材は、表面弾性波(SAW)を発生させるSAWチップである。
【0030】
本発明の好ましい態様による自動化された試料加工処理方法は、
ロボット型試料加工処理機能によって自動化された加工処理操作事象を引き起こす自動化された加工処理操作能力を有する自動化された試料加工処理システムを確立する工程;
自動化された試料加工処理システムにおいて生物学的試料を複数の担体に負荷する工程;
試料加工処理システムが、負荷された試料の各々の試料加工処理の制御のための少なくとも1つのプロトコルを規定するのを可能にするデータをロードまたはアクセスする工程;および
少なくとも1つの加工処理工程下で加工処理を増強する少なくとも1つの振動器部材を用いて試料加工処理を行なう工程
を含む。
【0031】
本発明による方法は、複数の洗浄工程を含み得、ここで、洗浄効果を増強するため、洗浄工程の少なくとも1回を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は脱パラフィン化工程を含み得、ここで、脱パラフィン化を増強するため、脱パラフィン化工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は混合工程を含み得、ここで、混合を増強するため、混合工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法はマウント工程を含み得、ここで、マウント工程は、ポリマーが所望の領域上に容易に流動および塗布(spread)され、マウントが増強されるようにポリマーの粘度に影響を与えるために、振動器部材による振動の適用を特徴とする高粘性ポリマーの適用を含む。あるいはまたはさらに、本発明による方法は、加熱工程を含み得、ここで、スライドグラス上の試料において均一な温度を提供するのを補助するため、加熱工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は再水和工程を含み得、ここで、再水和を増強するため、再水和工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は標的回復工程を含み得、ここで、標的回復を増強するため、標的回復工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は酵素適用または抗体適用工程を含み得、ここで、酵素または抗体の適用を増強するため、酵素または抗体適用工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。
【0032】
本発明による方法において、振動器は、好ましくは、波動によって補助される少なくとも1つの加工処理に適合させた波長の音波を発するように配列される。好ましくは、振動器は、試料担体より小さいか、またはほぼ同じサイズ、より好ましくは、加工処理される試料より小さいか、またはほぼ同じサイズである波長の音波を発するように配列される。好ましくは、本発明による方法は、IHC、SS(特異的染色)、ISHおよび細胞学に適用される。
【0033】
本発明の別の好ましい態様による自動化された試料加工処理方法は、
ロボット型試料加工処理機能によって自動化された加工処理操作事象を引き起こす自動化された加工処理操作能力を有する自動化された試料加工処理システムを確立する工程;
自動化された試料加工処理システムにおいて生物学的試料を複数の担体に負荷する工程;
試料加工処理システムが、負荷された試料の各々の試料加工処理の制御のための少なくとも1つのプロトコルを規定するのを可能にするデータをロードまたはアクセスする工程;および
少なくとも1つの加工処理工程下で加工処理を増強する少なくとも1つの「タッピングまたはノッキング」部材を用いて試料加工処理を行なう工程
を含む。
【0034】
好ましくは、本発明による自動化された試料加工処理システムは、作動中の該システムに対する変更を受け入れる作用を行ない得、元々スケジューリングされた集合事象における変更に自動的に適合され得る。また、これは、かかるスケジューリングをどのようにして行ない得るかを調整するため、およびユーザーに、その効果が望ましくないなどの変更を取り消す機会を提供するためのより良好なアプローチを提供し得る。該システムはまた、操作者が、事象を起こすスケジュールをより最適に向上させることを可能にする自動的示唆を提供し得る。かかるシステムは、前記の国際特許出願公開公報WO 2004/058404 A2に開示されている。
【0035】
記載のように、試料加工処理は、本明細書に開示のようにして達成され得る。本開示の提供において、試料加工処理について開示された種々の実施例および設計ならびに他の開示された技術は、装置であろうと方法であろうと、またはその他のものであろうと、本発明を特定の態様に限定することを意図しないことを理解されたい。これらの記載は、むしろ、本発明が理解され得るような方法で種々の試料加工処理技術を記載するために提供する。参照により援用された記載および種々の実施例は、本発明をかかる技術のみに限定するものと解釈されるべきでない。しかしながら、本開示は、本発明の種々の態様と関連する種々の技術を含むと理解され得る。
【0036】
試料加工処理の技術およびシステムは、1種類以上の試料または1種類以上の試料の複数の群の連続的または非連続的な加工処理が提供され得るように取り組まれたものである。試料の加工処理は、各試料が従うべきプロトコルまたは多数の試料用のプロトコルによって決定され得る。本発明の局面は、1つの試料、試料の一部または全体に関して実施される加工処理工程が1つまたは複数である試料加工処理に特に適用可能であり得、かかるプロトコルは、場合によっては、試料を提示する個々の担体または個々の試料自体によって特定(identify)される。記載のように、本発明は、免疫組織化学 (IHC)技術、ならびにインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)および蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、試料の特異的染色ならびにマイクロアレイ;特に、標的回復または試料の染色が取り込まれた技術に特に適用可能であり得る。さらにまた、態様は、加工処理制御の課題に取り組む加工処理シーケンスに関し得る。
【0037】
本発明の態様は、さらに、試料加工処理のための自動化された制御システムに関し得、また、試料加工処理のためのデータの取得、入力、維持および検索、ならびに加工処理プロトコルの情報共有および処理情報、ならびに加工処理のためのリアルタイムまたは適応能力に関し得る。
【0038】
好ましい態様では、本発明は、複数の引き出し、各々が引き出しの1つに対して取り出し可能に構成されたものであり得る複数の試料担体部材、および適応的(adaptive)または他の試料加工処理制御システムを備える自動化された試料加工処理システムを含み得る。引き出しおよび試料担体は、ともに移動可能で取り出し可能であり得る。試料加工処理制御システムは、スライドグラスに関する情報あるいは該システムへの入力によって潜在的に示される1つ以上のプロトコルに従って1種類以上の試料が加工処理され得るように、試料加工処理システムを自動化し得る。この試料加工処理は、脱パラフィン化、標的回復および染色などの1つ以上のサンプリングプロトコルおよび工程を含み得る。
【0039】
いくつかの態様では、1種類以上の試料、試料担体またはスライドグラスからの情報を自動的に識別し得るセンサーが提供され得る。ある態様において、プロトコル情報は、試料加工処理制御システムによって提供されるか、または利用可能となり得る。次いで、試料加工処理システムは、1種類以上の試料もしくはことによると、スライドグラス、またはスライドグラスの1つ以上のバッチを、同時、連続的または任意の他の時間様式でユーザーまたは他の決定者によって試料について先に提供されたプロトコル情報に潜在的に従って加工処理し得る。次いで、この情報は、試料加工処理制御システムによる使用に利用可能となり得る。試料バッチまたは個々のスライドグラスは、適応的試料加工処理制御システムによって達成される制御およびモニタリングによって加工処理プロトコル工程中に挿入または取り出されさえし得る。
【0040】
本発明による好ましい自動化された試料加工処理方法は、複数の試料または試料引き出しの少なくとも1つを評価する工程、少なくとも1種類の試料を有するように構成された少なくとも1つの試料担体または、ことによると、試料担体保持アセンブリーを提供する工程、少なくとも1つの引き出しが少なくとも1つの試料担体を有するように構成する工程、および試料を適応的に加工処理する工程を含む。加工処理工程またはことによると、適応的加工処理さえ、試料の加工処理を自動化するために適用され得、試料またはスライドグラスの連続またはバッチ加工処理のいずれかまたは両方を可能にし得る。また、多数の独立した試料またはスライドグラス加工処理、およびいくつかの態様では、各スライドグラスを独立して加工処理するためのスライドグラス加工処理を提供し得る。
【0041】
本発明による別の好ましい自動化された試料加工処理方法は、プロトコルまたは試薬情報などの情報を取得または受け入れまたはアクセスする工程、かかる情報を少なくとも1つの試料加工処理システム、またはさらにスタンドアローンの加工処理システムに伝達する工程、および試料を加工処理する工程を含む。さらにまた、態様は、試料加工処理情報の取扱い、維持、共有および使用を提供し得る。これらおよび他の局面は、個々の試料または多数のバッチ加工処理に対してリアルタイムに提供され得る。また、これは、ことによると、多数のバッチ加工処理などに対して適応的に達成され得る。
【0042】
添付の図面は、説明の一部に組み込まれ、説明の一部を構成し、本発明の好ましい態様のいくつかを例示する。明細書の記述された説明および開示とともに、これらは、本発明の原理を説明する。
【0043】
(詳細説明)
以下の記載は、本発明の特徴のいくつかのより詳細な理解が容易となるように本発明の種々の態様を記載するために提供される。種々に記載した実施例および好ましい態様は、本発明を、明白に記載したシステム、技術および適用のみに限定すると解釈されるべきでない。この記載は、さらに、種々の本発明の特徴および本発明の態様に一致する単独および種々の組合せの両方の種々のシステム、技術および適用を含むと理解され得る。したがって、以下は、本発明のいくつかの特定の態様の詳細な説明である。本発明の特徴をより具体的に認識するため、読者は、図1〜28を参照して以下の記載に関して検討されたい。
【0044】
図1〜9の各々は、加工処理される生物学的試料を有する顕微鏡スライドグラスおよび振動性運動を発生させる振動器部材のいくつかの種々の位置の1つを示す。図1は、顕微鏡スライドグラスなどの担体10および支持体15と密接している担体10上の試料12の構成の一態様を概略的に示す。試薬の液滴14を試料に適用する。図2では、試薬14が大部分の試料上に広がっており、図3では、大部分の試薬が試料と混合されているか、または試料に吸収されている。図1〜3に示すプロセスは、多くの方法で達成され得る。本発明によれば、試料および試料に添加される試薬またはプローブの特性に応じて、試料を数秒間または数分間などの短時間振動させる。より具体的には、試薬の粘度が、所望の反応を得るために必要とされる時間に対して大きな影響を有する。試料に添加されるべき試薬または任意の他の物質を振動させることにより、アッセイ時間はかなり短縮され得る。さらなる実験により、より高い感度およびより良好な再現性などのいくつかの他の利益が得られ得ることが示された。これらの利点は、ことによると、試料および試薬の振動によって達成される試料および試薬のより均一な混合物によるものである。
【0045】
振動は、いくつかの方法で発生させ得る。かかる振動発生方法の2つは、(1)ロボットアームの使用による、実線矢印Aで示すようなスライドグラス上でのタッピング(軽いノッキング)、および(2)ロボットアームの使用による、点線矢印Bで示すようなスライドグラスの縁でのタッピング(軽いノッキング)である。振動は、図4に示すように担体10内、または図5〜9に示すように支持体15内、または図14に示すように試料上部のカバー内の圧電結晶などの少なくとも1つの埋め込まれた振動器部材16によって発生され得る。スライドグラス上のすべての試料および試薬の均一な攪拌を確実にするため、図6に示すように各支持体15内に2つまたは3つのかかる振動器部材16を含むことは有利であり得る。好ましくは、表面弾性波を発生させる振動器部材16はSAWチップである。
【0046】
顕微鏡スライドグラスでのSAW混合の原理を概略的に示す同様の構成を図26に示す。スライドグラスの下方にあるSAWチップが超音波マイクロ波を発生させ、これは、スライドグラス上の水滴の表面に達すると、環状波を生成する媒質を介して伝播される。チップ基板およびガラススライドグラス間のカップリング液は、混合波の変換を可能にするために必要である。カップリング液は、スライドグラスに適用される任意の液体(バッファー、水など)であり得、毛管力によってスライドグラス下の狭い空間に自動的に吸引される。
【0047】
図4〜9および26に示す振動器部材16は、自動化された試料加工処理システムにおけるすべての加工処理の制御を提供する制御装置システムから電源が制御されるように導線(図示せず)によって電源と接続され得る。より具体的には、加工処理中、任意の試料に負荷される振動は、好ましくは、その特定の試料の加工処理プロトコルに従って制御される。それにより、各試料が要望どおりに特異的に加工処理されることが確実になる。
【0048】
本発明の1つの局面は、自動化された染色装置の性能および自動化された試料の処理方法を改善するための振動器部材の使用に焦点を当てる。この局面に関し、本発明は、複数の試薬を含むステーションから、選択された試薬の一部を移動させ、その後、担体手段に配列された試料、例えば、組織、有機体細胞、細菌などに試薬を適用することにより、装置に近いかその内部の規定された位置に配置された、限定されないが顕微鏡スライドグラスなどの担体部材または手段に配列された試料を処理するための自動化された染色装置に関する。本発明のこの局面は、2種類以上の試薬を混合し、その混合物を試料に適用するのを容易にする。これはまた、試薬を混合し、混合物を試料に適用する自動化された試料の処理方法に関する。
【0049】
プローブによる試料の染色および処理のための染色装置は、通常、1つ以上の試薬バイアルを含めるための第1のステーション;スライドグラスをマウントするための第2のステーション、選択された試薬バイアルから試薬の一部を取り出し、試料が配列されたスライドグラスに試薬を適用するための配列されたプローブ、および種々のステーション間でプローブを移動させるための駆動手段を備える。
【0050】
本発明のこの局面の目的は、自動的に行なわれ得る異なる染色および/または処理プロセスの実施が容易になるように、処理の実施に使用される広範に利用可能な加工処理または手順を容易にすることにより、試料を染色するための公知の装置ならびに試料の自動染色のための方法を改善すること、あるいはまたはさらに、いくつかの特定の染色プロセスの品質の増加を提供することである。
【0051】
染色という用語は、試料の特定部分が染色され得る、すなわち、光学的範囲または紫外などの他の電磁気範囲のいずれかの異なる色を得る加工処理の最終生成物に用いられ、または染色は、蛍光特性、磁気特性、電気特性または放射能特性などの特性の検出可能な、好ましくは自動的に検出可能な変化であり得る。染色を得るため、試料は、通常、洗浄、試料の特定の部分への試薬の結合、試薬の活性化などの一連の処理工程を受けなくてはならず、各処理工程は、複数の個々の処理を含み得る。
【0052】
いくつかの染色プロセスでは、選択した試験目的に対して最良に可能な染色結果を得るため、いくぶん非適合性、例えば、水系および油系試薬などの混合不可能な、または不溶性であり得、したがって、2種類以上の試薬を手動で調製し、染色プロセスを開始する直前に試薬バイアルに導入することが必要とされる2種類以上の独立した試薬から調製される試薬の混合物を用いるための1回以上の処理が必要とされ得る。他のプロセスでは、異なる染色プロセス工程は、同じ2種類の試薬だが異なる溶解比の混合物を必要とする。いくつかのプロセス工程は、混合されると、内部化学的プロセスが混合物を劣化させるため有用性の時間枠が制限される2種類以上の試薬の混合物を必要とする。組み込まれた自動混合機を有する染色装置を提供することにより、これらの型の染色プロセスは、ずっと多くの自動化されたプロセスにおいていくつかのプロセス工程のヒト相互作用または手動操作を必要とすることなく、自動的に行なわれ得、所望の程度の試薬の混合が提供され得るため、または劣化する混合物のための最適な適用時間枠が達成され得るため、染色プロセスの質が改善され得る。
【0053】
本記載において用いる標的回復という用語は、抗原回復、エピトープ回復、タンパク質溶解(Protelytic)酵素標的回復、熱誘導型抗原回復(HIAR)、デマスキングなどを含み得る。固定された組織における特異的認識を容易にするため、しばしば、標的、すなわち目的の生物学的マーカーを、標的の反応性を増加させるための試験片の前処理により、回復または脱マスキングすることが必要である。この手順は、「抗原回復」、「標的回復」または「エピトープ回復」、「標的脱マスキング」または「抗原脱マスキング」と呼ばれる。抗原回復 (抗原脱マスキング)のさらなる概要は、Shiら 1997、J Histochem Cytochem、45(3):327に見られ得る。抗原回復は、特異的検出試薬との相互作用に対する標的の利用可能性が最大となる種々の方法を含む。最も一般的な技術は、適切なバッファー中で、例えば、プロテイナーゼ、プロナーゼ、ペプシン、パパイン、トリプシンまたはノイラミニダーゼなどのタンパク質溶解酵素を用いる酵素的消化である。代替として、または組合せで、熱誘導型エピトープ回復(HIER)は、通常、EDTA、EGTA、Tris-HCl、クエン酸塩、ウレア、グリシン-HClまたはホウ酸を含有する適切にpHが安定化されたバッファー中で、例えば、マイクロ波照射、水浴中での加熱、スチーマー、通常の炉、オートクレーブまたは圧力調理器などの熱源を用いて適用され得る。洗剤が、エピトープ回復を増加させるためにHIERバッファーに添加され得るか、または非特異的結合を低減するために希釈培地および/またはリンス処理バッファーに添加され得る。抗原回復バッファーは、ほとんどの場合、水性であるが、また、例えばグリセロールなどの水より高い沸点を有する溶媒を含む他の溶媒を含み得る。これは、常圧で100℃超での組織の処理を可能にする。さらに、信号対雑音比は、真空および超音波の適用、または試薬のインキュベーションの前またはその間での切片の凍結および解凍を含む異なる物理的方法により増加し得る。
【0054】
内因性ビオチン結合部位または内因性酵素活性 (例えば、ホスファターゼ、カタラーゼまたはペルオキシダーゼ)は、染色手順の工程として除去され得る。例えば、内因性ビオチンおよびペルオキシダーゼ活性は、過酸化物による処理によって除去され得る。内因性ホスファターゼ活性は、レバミゾールによる処理によって除去され得る。内因性ホスファターゼおよびエステラーゼ活性は、加熱によって破壊され得る。
【0055】
HSA、BSA、オボアルブミン、ウシ胎児血清もしくは他の血清などの不活性なタンパク質、またはTween20、Triton X-100、サポニン、BrijもしくはPluronics などの洗剤との非特異的結合部位のブロックが使用され得る。特定の試薬の非標識で標的非特異的な型による組織または細胞内での非特異的結合部位のブロックもまた使用され得る。
【0056】
担体部材またはことによると、手段は、複数の担体手段が、同時に装置から取り出され得るか、または装置内に位置するように、好ましくは、トレイなどに群または列で配列され、該装置はまた、好ましくは、上面に試料を有する担体手段の中間保存を行なうため、および自動的に装置から担体手段を取り出すための手段を備える。
【0057】
染色装置の操作は、一般的に、制御部材またはことによると、制御手段によって、典型的には中央演算処理装置およびこれと関連する1つ以上の記憶装置、制御部材またはことによると、ステッピングモーター、ソレノイド、バルブおよび/または装置の他の駆動もしくは制御部分を制御することにより装置の種々の操作を制御するための手段を有するコンピュータによって制御され得る。制御手段は、ワイヤによるかワイヤレスでの外部コンピュータとのデータ通信を可能にする1つ以上のデータ通信ポートを有し得る。制御手段は、装置自体に物理的に配列されている必要はないが、染色装置の外部にあり、該装置とそのデータ伝送ポートによって接続されているコンピュータであり得る。
【0058】
染色装置の操作は、一般的に、制御手段、典型的には中央演算処理装置およびこれと関連する1つ以上の記憶装置を有するコンピュータ、ステッピングモーター、ソレノイド、バルブおよび/または装置の他の駆動もしくは制御部分を制御することにより装置の種々の操作を制御するための手段によって制御される。制御手段は、ワイヤによるかワイヤレス部材での外部コンピュータとのデータ通信を可能にする1つ以上のデータ通信ポートを有し得る。制御部材またはことによると、手段は、装置自体に物理的に配列されている必要はないが、染色装置の外部にあり、該装置とそのデータ伝送ポートによって接続されているコンピュータであり得る。
【0059】
本発明によれば、振動器部材(1つまたは複数)16(図4〜9、図14)は、試料担体用の複数の位置10を備える自動化された試料加工処理システムに組み込まれている。かかるシステムは、図10および11に示すように、円形コンベアに配列された試料担体を有し得る。他に、別のシステムは、並進運動によって特定のレベルの特定の位置に試料担体を上昇または挿入することができる隣接する輸送手段7を囲むか、隣接する輸送手段7を近接しているいくつかのレベル(階層)9の位置を備えるコンパクトな回転対称ユニットに配列された複数の独立した位置を含み得る。かかる構成の概略図を図12〜13に示す。さらなる態様では、本発明による試料加工処理システムは、図15のように、試料の取扱いおよび加工処理に使用される複数の引き出し110、およびスライドグラス、潜在的には顕微鏡スライドグラスなどの試料担体を含み得る。他の試料担体は、本発明に一致するように適合(accommodate)させ得る。各引き出しは、1つまたは、ほとんどの場合いくつかの関与する特定の担体、スライドグラスまたは試料を保持する担体保持アセンブリーと適合するように構成され得る。スライドグラスの保持において、担体保持アセンブリーは、スライドグラス保持アセンブリー106としての機能を果たす。2つの広義の用語の各々には、担体ラック、モジュール、またはマガジン(magazine)もまた包含され得る。試料担体保持アセンブリーの一態様として、スライドグラス保持アセンブリー106を図17に示す。スライドグラス保持アセンブリー、および実際には一般的な担体保持アセンブリーは、スライドグラスラック、モジュールまたはいくつかのマガジンを含み得る。
【0060】
図25は、一例として、Lab Vision CorporationのAutostainerへのSAW-ラック 設置の実験装置を示す。3つのSAWチップが、各々、顕微鏡スライドグラスを支持するように設計された12個のアルミニウムブロックの各々に埋め込まれている。顕微鏡スライドグラスは、第4の位置に配置されており、適正な水平化(levelling)を確保するための水準器が第5の位置に配置される。SAW混合が作動したとき、流体がスライドグラスから「押出される(pushed off)」のを回避するため、スライドグラスが正確に水平に置かれる(level)ことが重要である。
【実施例】
【0061】
いくつか(anumber)の試験を図25に示す装置を用いて行なった。この方法は、改造Autostainer(AS)ラックに設置された異なる混合特性を有する4つの異なるSAWチップを用いて試験した。
【0062】
SAWチップは、Advalytix (Brunnthal, Munich, Germany)によって納入された。SAWチップ装置は、2つの異なる周波数および4つの異なる電力値の以下の4通りの異なるチップ設計:
周波数: 125MHzおよび電力: I)125mWおよびII)400mW
ならびに
周波数: 80MHzおよび電力 III)250mWおよびIV)500mW
を含んだ。
【0063】
SAWチップは、連続操作で使用され得るか、または種々のデュティサイクルでパルス化され得る。周波数は、それぞれ80 MHzおよび125 MHzの中心周波数付近で掃引され得る。周波数の掃引は、スライドグラスおよび試料全面において、より均一な攪拌を提供し得る。
【0064】
80MHz-500 mW SAWチップは、すべての試験において最適に機能するようであった。
【0065】
この研究の主な結論は、
・ SAW混合による一次抗体インキュベーション時間の少なくとも50%の短縮は、現在のインキュベーション時間とは無関係に、広く適用可能である。
・ 2〜4倍の一次抗体の希釈は、SAW混合により補償(compensate)され得る。
・ 一次抗体インキュベーション時間の50%の短縮は、インキュベーション時間のわずか13%の能動(active)SAW混合、例えば、約13%のデュティサイクルでのSAWチップのパルス化操作を適用することにより達成可能である。
・ 可視化工程(HRPおよびAPの両方)中に適用すると、SAWは、染色強度を増加させる。しかしながら、可視化に対する効果は、一次抗体インキュベーション中に適用した場合ほど顕著でない。
【0066】
得られた結果の一例として、図27および28は、乳癌の2つの隣接する薄片のサイトケラチン(褐色)染色の2つの光学マイクロ写真を示す。この2つの図は、乳癌の単一の組織試料のマイクロトーム調製物由来の連続切片を表す。図27では、試料切片を、一次抗体との30分間のインキュベーションを含む標準的な手順にSAW混合なしで供した。図28では、試料を、一次抗体との15分間だけのインキュベーションおよび連続SAW混合 (80MHz/500 mW) を含む本発明による新たな手順に供した。ヘマテイン(haematein)との核対比染色はないことに注意されたい。
【0067】
一次抗体インキュベーション時間の50%短縮
Advalytix製のSlideBoosterにおけるマニュアル試験によって得られた予備結果に基づき、基本的な試験目的は、自動化された機器に適用されたSAW混合が、一次抗体インキュベーション時間の50%短縮を補償し得ることを確認することであった。
【0068】
サイトケラチン抗体および変化に特に敏感な試験プロトコルを用い、本発明者らは、インキュベーション時間を30分間から15分間に短縮し、スライドグラスを比較した。IHCスコアは、30分間の対照と比べ、一貫して、連続SAWを伴って15分間インキュベートしたスライドグラスで高いことがわかった(図3参照)。
【0069】
これらの所見を実証するため、いくつかの抗体プロトコルを試験した。
CD3: 連続混合、インキュベーションを20分間から10分間に短縮。参照より高いIHCスコアが80MHz/500mWで観察された。
MIB-1: 連続混合、インキュベーションを30分間から15分間に短縮。参照より高いIHCスコアが80MHz/500mWで観察された。
Her-2 (HercepTest): 連続混合、一次抗体のインキュベーションを30分間から10分間に短縮。該システムをさらにまた強制(push)するため、すべてのスライドグラスをまた、可視化試薬中で10分間(通常、30分間)インキュベートするだけにした。驚いたことに、30分間または10分間(一次抗体)インキュベートした組織または対照細胞間で差は観察されなかった。SAW処理スライドグラスは、スコアが対照よりも高くなかった。
【0070】
以下の試験は、最適なチップ設定(80MHz/500mW)のみを用いて行なった。
【0071】
ER(PharmDXキット): 連続混合、インキュベーションを30分間から15分間に短縮。SAW処理スライドグラスは参照に匹敵した。
【0072】
CD45: 12.5%の時間の混合、インキュベーションを10分間から5分間に短縮。SAW処理スライドグラスは参照に匹敵した。
【0073】
ビメンチン:16.6%の時間の混合、インキュベーションを10分間から5分間に短縮。SAW処理スライドグラスは参照に匹敵した。
【0074】
CD34: 16.6%の時間の混合、インキュベーションを15分間から7分間に短縮。SAWなしで7分間インキュベートした参照は、15分間インキュベートした組織と等しく強力であったため、本発明者らは、SAWの効果を全く記録(register)することができなかった。後の試験で、インキュベーションを5分間に短縮し得るかどうかを調べる。
【0075】
結論として、SAW混合は、広範な抗体に関して、一次抗体インキュベーションの時間を50%以上短縮することができ、インキュベーション時間は、これらのいくつかで、さらにもっと短縮され得るようである。全インキュベーション時間の一部の時間のSAW混合の適用で得られた結果は、該システムの限界がどれだけであるかを知るための現実的なSAW設定を見出す試みとみなされるべきである。
【0076】
一次抗体の希釈
IHC性能に対するSAW混合の効果を試験する別のアプローチは、一次抗体の希釈がSAW混合によって補償され得るか否かを調べることである。
【0077】
2種類のN系列抗体CD3およびMIB-1を、SAWあり、またはなしで、1:2、1:4および1:8に希釈した(プロトコルインキュベーション時間の変化はなし)。SAWは、CD3抗体の1:2の希釈およびMIB-1抗体の1:4の希釈を補償することができた。これらの希釈度で、抗体には、通常希釈された抗体とインキュベートした参照に付けられたスコアと等しいか、または高いスコアが与えられた。
【0078】
結論として、SAW混合は、各抗体の個々の希釈限界で1:2〜1:4の範囲の一次抗体の希釈を補償し得る。
【0079】
結論として、本発明者らは、SAW混合により有効時間を約13%まで短縮すること、いくつかの抗体で一次インキュベーション時間を50%短縮することが可能であることを見出したが、この効果は、80MHz 500mWチップでのみ達成され得る。
【0080】
本発明は、アッセイ時間短縮振動器部材と上記の国際特許出願公開公報 WO 2004/058404 A2で知られたスケジューリング特徴を組み合わせた場合、特に有利である。公開公報 WO 2004/058404 A2に開示された事象スケジューラーは、複数のスライドグラス、例えば、64スライドグラスで達成されるべき多くの事象スケジューリングを提供することができ、ここで、各スライドグラスは、図19および20に示すように約30工程でスケジューリングされ得る。アッセイ時間の短縮の利益を受けるため、最も時間効率よく種々の工程をスケジューリングすることができ、多くのスライドグラスの各々のためのものである多くのプロトコルに記載される加工処理のための仕様をさらに維持することができるスケジューラーを適用することが必須である。
【0081】
本発明の目的は、染色プロトコルを完結させるため、または染色プロトコルにさらに入るための全加工処理時間が短縮され得る試料の染色装置および自動染色方法を提供することである。特に、本発明のこの局面の目的は、一般に必要とされる時間量を短縮することである。この目的のため、少なくとも1つの振動部材が、振動を試料および試料と接触している任意の試薬に伝達させるために配列される。振動部材は圧電部材であり得るが、いくつかの他の振動器が適用され得る。振動器は、顕微鏡スライドグラスなどの試料担体、試料担体の支持体または試料担体と接触し得る付近の部材に配列され得る。あるいは、振動部材は、振動させるスライドグラスが移動する特定の位置に配置され得る。
【0082】
好ましい態様において、圧電性部材16(図4〜9)は試料担体10を支持し得る支持部材15に配置される。圧電性部材16は、試料担体上の特定試料の試料加工処理に対するプロトコルによって制御された電源(図示せず)に接続されている。好ましくは、少なくとも1つの圧電性部材が、スライドグラス保持アセンブリー106(図17)の各スライドグラスに対して支持手段に配置される。好ましい態様において、圧電性部材がスライドグラスの温度を制御するために配置された加熱器手段として同一の支持部材に配置される。
【0083】
好ましくは、振動器部材は、試料担体に対して全ての位置で組み込まれ、かつ全ての加工処理工程の期間中作動し得る。しかしながら、振動は短時間のみであるのが好ましい。図20は、染色加工処理では典型的である、一連の長い種々の工程を示す。数秒の短い振動は、ほとんど全ての工程で有利であり得る。染色工程においてのみ−特に「色原体/対比染色加工処理」のDAB工程の間−振動は染色を悪くし得るか、または結果が経験のある病理医が認識し得るものとは異なり得るような方法での染色に少なくとも影響を与え得る。エオシンおよびヘマトキシリン等のいくつかの工程においてでさえ、染色振動中に染色の結果が向上し得る。
【0084】
標的回復中、初期の工程における短い振動あるいは短時間の繰り返し振動は、試料の均一な温度を提供する援助をし得る。全工程中全ての時間で振動させることは推奨しない。一般に、一工程の3〜5秒間振動させ、約60秒間振動器を止めることを推奨する。次いでこのシーケンスを数回繰り返す。
【0085】
バッファの交換を含む工程、例えば脱パラフィン工程および再水和工程において、図20に示されるもともとの時間の約5分は、約1分以下に短縮され得る。また振動を用いるとき、酵素ブロックおよび酵素加工処理(タンパク溶解(proteolyse))工程は向上し得る。抗体および視覚化工程はまた、より良いシグナルを提供することによる振動から利益を得る。
【0086】
一般に、洗浄工程の数は振動の使用によって減少し得る。これは、各工程でスライドグラス上の混合が完全である場合、一工程から他工程への「持ち越し(carry over)」が少なくなり得るという事実のためである。洗浄はより効果的となり得る。ゆっくりと拡散するポリマーを用いるとき、改善は相当なものになり得る。ハイブリダイゼーション効果はプローブ濃度に非常に依存する;したがって振動はまた、プローブおよび試料の混合を改善することによってハイブリダイゼーションを大いに改善し得る。
【0087】
前記のことから明らかであるように、各加工処理工程の多くの時間が節約され得る。しかしながら、自動加工処理器械加工処理工程においてこれから実際の利益を得るために、例えば64枚の各スライドグラスは約30の異なる工程を受けるスケジューリングであり、いくつかの工程は、ほんの数マイクロリットルの特定の試薬を取り上げるために移動し、次いで該試薬で処理される試料を有するスライドグラスの位置に移動するロボットアームを必要とする。ロボットアームのかかる動作は時間を要し、かつ全てのスライドグラスは試薬で処理されなければならず、前工程後の特定の時間が好ましい。最適な方法、すなわち全てのスライドグラスができるだけ速く加工処理されるような方法において、約30の異なる工程が種々のプロトコルによって64枚のスライドグラスにスケジューリングされなければならない場合、スケジューリングは大いに複雑な仕事である。
【0088】
上記のように、振動器部材が有利に使用され得る自動化試料加工処理システムの現在好ましい態様は図15〜18に例示され、詳細は以下に記載される。この好ましい自動試料加工処理システムのさらなる局面および詳細は、以下の国際特許出願公開:国際特許出願公開第WO 2004/057307 A1号、国際特許出願公開第WO 2004/057308 A1号、国際特許出願公開第WO 2004/058950 A1号、国際特許出願公開第WO 2004/059287 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/058404 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/059284 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/059288 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/059411 A2号、および国際特許出願公開第WO 2004/059297 A1号に提供され、各々は、それぞれその全体が本明細書中に参照により援用される。
【0089】
図15は、本発明による試料加工処理システム101の上面図を示す。試料加工処理システム101は、ある程度所望の結果を達成する事象の適切なシーケンスを達成するために設定される。ある程度自動様式でこのシーケンスを達成することにおいて、試料加工処理システムは自動試料加工処理システムと考えられ、少なくとも一試料の自動加工処理を達成する。この自動シーケンスおよび本発明の他の局面は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらのいくつかの組み合わせによって制御され、限定された人間の仲介で所望のシーケンスが到達され得る。どのように達成されるかに関わらず、自動制御は種々の作業を指示するための加工処理操作制御システムによって提供され得る。図22に示されるように、これ(および論じられた他の機能)はソフトウェアプログラミングまたはサブルーチンであり得;その上、またハードウェア等を含み得る。加工処理された試料198(図17)は任意の材料であり得るが、最もあり得るのは生物試料または生物標本等、あるいは例えば組織および細胞標本、細胞、細胞の集団、または組織試料の組織学試料等の生物材料であり、その定義は細胞株、タンパク質および合成ペプチド、組織、細胞プレプ、細胞調製物、血液、体液、骨髄、細胞学標本、血液スミア、薄層調製物、およびマイクロアレイを含む。またスライドグラスベースの生物試料を含むことも理解されたい。使用される場合、試料は、試料の位置または(integrity)を維持し得るスライドグラス、または顕微鏡スライドグラス等の担体部材197(図17)上に配置され得る。担体部材197は移動のために設定され、かくして試料198の位置を変える。したがって、それは可動担体部材と見なされ得る。スライドグラスの加工処理において、自動試料加工処理システムは、自動スライドグラス加工処理システムとして役立ち得る。
【0090】
自動シーケンスは多数の有意な工程を含み得る。実際、各加工処理それ自体はその目的達成のために多くの自動移動を必要とし得る。これらの型のそれぞれの操作または動作(action)は、器械の操作を理解するのに関連し得る。さらに、これらの型のそれぞれの操作またはより少数の一組の重要な事象が、試料加工処理操作の重要な詳細と考えられ得る。後に説明するように、全てのこれらの操作、これらの操作のいくつかの部分集合、これらの操作の1/2、これらの操作の1/3等、多数の有意なこれらの動作に関する情報を得ることは重要であり得る。さらに、目的であり得る事象の性質または型でさえ変化し得る。一般に、操作または加工処理の適性(propriety)を示し得る任意の事象は、主題であり得る。当然、自動加工処理を達成するために、所望の種々の試料加工処理または加工処理操作をスケジューリングする必要がある。これは、複合事象スケジューラー401(図22)として実行されるソフトウェア等の項目(item)によって達成され得る。
【0091】
システムの特定の設計は、システムの外側部分を形成し、システムの一般的構造考慮事項(consideration)に取り組む(address)のに役立ち得る キャビネット部分102(図15)を含み得る(上部キャビネット部分は図15に示されないことに留意されたい)。
【0092】
図17のスライドグラス保持アセンブリー106は、試料担体装置108に対応する少なくとも一つの設定において、多数のスライドグラスを収容するために設定され得る。試料担体保持アセンブリーは、以下にさらに記載されるような試料の加工処理に利用される。試料担体保持アセンブリーは、引き出し110を有して移動可能に設定され、他の保持アセンブリーの中に積み重ねられるかまたは入れ子状に重ねられ得る。
【0093】
一般的な試料加工処理システム101、および試料加工処理システム101の1つ以上の引き出し110でさえ、試料加工処理用の試薬容器199等の材料加工処理を収容し得、またさらに以下に記載される。図15に示される容器ラック111等の材料加工処理保持アセンブリーは、各引き出し110の内側に試薬容器199(図16)または他の材料加工処理を収容するために利用され得る。これらの引き出しは、自動操作のある段階中での接近を妨げるようなプログラミングによってロック可能である。材料加工処理保持アセンブリーおよび引き出しの内側に適切な材料加工処理が配置されるのを確実にするために、ボトル挿入は、好ましくは保持アセンブリーとともに設定され得る。
【0094】
多数の引き出し110は、1つまたは複数の試料加工処理プロトコルがシステム101によって実行され得るために含まれ得る。前記したように、試料加工処理での過去の努力は、システム内の担体の全バッチに対する加工処理シーケンスを限定してきた。しかしながら、多数の引き出しおよび担体保持アセンブリーの提供部分において、本発明は個々の加工処理、バッチ加工処理、または以下にさらに記載されるようなリアルタイムもしくは適応可能性を含む多数のバッチ加工処理を可能にし得る。振動器部材は、できるだけ速く加工処理される試料用に特別に配置された一つの引き出し、または任意の数の引き出し、好ましくは全ての引き出しの位置に組み込まれ得る。
【0095】
インジケーター部材112(図15)は、システムの操作者のために引き出しの状況および接近可能性、ならびに各引き出し110の内側の担体または材料を示すために提供され得る。一態様において、好ましい態様における発光ダイオード等の視覚インジケーターは、試料加工処理システムの操作中、引き出しが利用可能かあるいはロックされてないかどうかの指示のために用いられ得、かつ対応する引き出しのロックされた状態(condition)または開放状態、引き出しの担体収容状況または引き出しの内側の担体保持アセンブリーの担体収容状況、および試薬負荷状況または許容量等の試料加工処理システムの化学物質残存(chemical inventory)状況等の状態を示し得る。警告指示はこれらまたは他のインジケーター部材、および他の表示シグナルによって与えられ得る。1つまたは多数のセンサは、インジケーター部材112によって示されるような引き出しの状況を決定するために利用され得、さらに以下に記載されるような加工処理状況をさらに提供するために利用され得る。かくして、システムはロック可能な試薬保持アセンブリー中に少なくとも1つの物質を提供し得る。興味深いことには、ロック可能な試薬保持アセンブリーは、一般にロックされてない状態で設置され得るか、あるいはシステムが稼動する大部分の時間、ロック可能な試薬保持アセンブリーはロックされ得ないので、したがって操作者はその引き出しにアクセスし得る。これはまた、システムが稼動する有意な部分の時間に、あるいは例えばかかる時間の75%の間存在し得る。このようにして、システムは一般にロックされていない試薬保持アセンブリーを提供するとみなされ得る。
【0096】
材料加工処理ユニットは、試料加工処理システム101に対して種々の材料加工処理を提供するために、ならびに試料加工処理中に生成される廃棄物の有害および非有害分離と相互汚染(cross-contamination)の回避し得るために利用され得る。本発明の一態様において、材料加工処理ユニットは、脱パラフィン溶液または試料加工処理に利用される他の材料等の1つ以上の容器を収容するために設定され得る。いくつかの態様において、該ユニットはまた、試料加工処理からの廃棄材料の収集を提供するための廃棄物容器を収容し得る。管状材料(tubing)または他の流体伝動部材は、容器および試料加工処理システム101に接続され得る。管状材料または他の流動性伝動部材はまた、廃棄物容器およびシステム101に接続され得る。
【0097】
本発明は、さらに本発明の方法を行うために上記したような本発明の装置の使用に関する。図に示され、以下に詳細に記載される態様は、単に本発明による装置の一例であり、添付された特許請求の範囲に記載されるような本発明のより広い範囲を限定しない。
【0098】
図16に示されるように、本発明のこの局面の詳細な記述の一態様は、染色装置201を含む。染色装置201は、区画(compartment)のアレイを含む第一ステーション202を取り囲む長方形のフレーム204を含み得、各区画には試薬バイアル203が配置され、第二ステーション205には多数の分離ラック206が配置され、各ラックはラック206に並行してマウントされた多数のスライドグラス207を含み得る。示される態様において、各ラックはスライドグラス8枚までを保有し得るが、ラックは任意の好適な数のスライドグラスを保有するために設計され得る。8つのラックを並行に配置することで、示された態様はスライドグラス207を64枚まで保有し得、各々は試料、例えばスライドグラスの上面にマウントされた組織を有し、そのため試薬が上方から各々のスライドグラス上の試料に適用され得る。
【0099】
矢印XおよびYで示されるように、プローブ210をX方向およびY方向に移動させるためのロボットアームは、染色装置のフレーム204の上方に配置され得る。したがってロボットアームは、全ての試薬容器203の上方および全てのスライドグラス207の上方にプローブ210を設置し、各スライドグラス207上の試料の選択された染色または加工処理を提供するために、プローブ210をさらに操作して任意の容器203に含まれる試薬部分を取り出し、試薬部分を移して、それを任意のスライドグラス207に適用する。好適な制御部材、例えば適切なソフトウェア、サブルーチン、または目的のための入力データを有するコンピュータの使用によって、この染色装置201は自動的に染色し得るか、または異なる染色もしくは処理試薬および加工処理を必要とする試料を自動的に処理し得る。
【0100】
適切な入力データを有するので、装置の制御部材あるいは手段がロボットアームを操作し、プローブを第1試薬容器203に動かすことによる染色または加工処理実行を開始し得、そこで制御部材に提供された入力データに従って、プローブの先端が挿入されて、染色されるかまたは加工処理される試料の数に応じた量の液体がプローブ210中に吸引される。さらにある条件下で、染色または加工処理実行が開始され得る前に、試薬の残量確認(inventory)を行うために器具が必要とされ得る。この残量確認は、各試薬バイアル203の液体表面に実際に触れるプローブ先端の使用によって達成され得る。種々の容器203における試薬間の相互汚染を妨げるために、試薬レベルの各測定後にプローブ210または少なくともプローブ先端の洗浄が必要とされ得る。
【0101】
プローブ210は、ロボットアームによってスライドグラス207がマウントされたスライドグラス保持アセンブリー205の方へ移動され得る。スライドグラス207は表面が水平に指向して位置され、入力データに従って、プローブ124は必要とされる量の試薬を適切なスライドグラス上に分配し得る。あるいは、プローブ124はロボットアームによって試薬混合機209の方へ移動され、ここでそれは試薬を試薬混合機209のカップに放出し、続いてプローブ洗浄ステーション208へ移動し得る。ロボットアームは、第2のバイアル203から選択された容量の試薬を収集するために、新洗浄プローブを第2の選択された試薬バイアル203に移動させ、その後、プローブはロボットアームによって試薬混合機209へ移動し、プローブ210中の試薬を第1の選択された試薬を含む混合機のカップに放出し得る。特定の染色または処理過程のために2種より多い試薬を混合する場合、これは数回開始され得る。
【0102】
自動加工処理システムに対する要望にしたがって、本発明の態様は、所望の操作工程を達成するために、加工処理操作制御システム171(図22)に応答するロボット試料加工処理機能またはロボット運動システム172(図16、22)を含み得る。これは、試料加工処理に利用されるアーム120(図15)をさらに含み得、潜在的にロボットの移動、およびいくつかの態様においてデカルト移動(Cartesian movement)を有する。このようにして、システムは、ロボット試料加工処理機能によって自動加工処理操作事象を引き起こす自動化加工処理操作性能を提供し得る。これらは、独立型染色装置等の多数の可能性のある独立型装置に応答(接続されているか否か、および直接的または間接的に効果を有する、任意の相互作用を包含することを意図した用語)し得る。いくつかの好ましい態様において、アーム120は、作動器プローブ122、シリンジまたはプローブ124、センサ部材25ならびに非分離または他の容量の液体および/もしくはエアアプリケータ等の、1つ以上の部材を含み得る(図18)。アクチュエータプローブは、さらに以下に記載される試料加工処理の担体の設定および操作に利用され得る。いくつかの好ましい態様において、作動器プローブ122は、担体調節部材130(例えば図17を参照)の作動によって、およびいくつかの態様においてスライドグラスと接触することによって、試料担体保持装置108のスライドグラスの配置を設定し操作する。記載したように、いくつかの態様において、スライドグラスまたは試料の操作または移動が適応され得る。この移動は、以下に記載されるような試料加工処理を容易にするためのスライドグラスの水平配置または垂直配置をもたらし得る。試料および試薬中に振動を発生させるために、作動器プローブはスライドグラス上を軽くたたくために用いられ得る。さらに、振動器部材は作動器プローブ中に組み込まれ得る。
【0103】
上記したように、達成される多数の加工処理工程が存在し得る。想定される加工処理の性質からまた理解され得るように、多くの異なる物質等の使用があり得る。物質を含むか、または単に物理的作用であるか、これらの型の項目は、操作上有力で外部的に重大な情報に関すると考えられ得る。項目は、その操作または操作における失敗のいずれかが、いくつかの型の実行に直接的にまたは間接的に影響し得るという点において、操作上影響力があり得る。この動作は、加工処理システムそれ自体の内部では起こらないがその外部で起こる動作であり得るという点において外部的に重大であり得る。したがって本発明は、その情報をモニターするための性能を提供し得る。この性能は、図22に一般に示されるように、操作上有力で外部的に重大な情報モニター402としてみなされ得る。かくして、本発明は広範囲な種類の情報をモニターする能力を含み得る。
【0104】
一例として(as but one example)本発明は、加工処理システムの操作の一部として実行される作業が実際に情報の変化を引き起こすという点において、実際に操作上変更された外部情報である外部で結果として起こる情報のモニタリングを含み得る。しかしこれの一例は特定の染色物質を使い果たし得る。このカテゴリーの情報をモニタリングすることによって、本発明はモニタリング操作上変更された外部情報として見なされ得る。かくしてこの態様は、操作上変更された外部情報モニターを含むとして見なされ得る。当然これらの事象は、少なくともいくつかのロボット試料加工処理機能によって少なくとも一部に影響され得る。
【0105】
前記したように、アーム120はシリンジ124を含み得る。いくつかの態様において、実行されるプロトコルの必要性に応じてシリンジ124はプローブと考えられ得る。シリンジ124は以下のものに流動的に連通され、かつ1つ以上の以下のものを適用し得る:水等のリンス加工処理剤;容器から、および担体で示される試料に対する試薬の吸引等の、潜在的に移動可能で流動的に接続された試薬の吸引用容器;ならびに噴き出しまたは空気源等の他の除去剤。シリンジ124は、試薬容器等の材料加工処理容器を貫通させるために用いられ得る。いくつかの態様において、レザボア(reservoir)はアーム120で提供され、種々の容量がシリンジ124で吸引されるのを可能にし得る。レザボアの特有の配置は、シリンジの内部の効果的な洗浄および乾燥を可能にし、一方正確にピペットで取ること、あるいは広範囲な容量を吸引することを可能にする。
【0106】
いくつかの好ましい態様において、アーム120はセンサ部材25を含み得る。センサ部材は、例えば試薬容器、または他の材料加工処理容器、または試料担体等の試料加工処理システムの位置および構成部分の他の状況情報を自動的に決定するために用いられ得る。これは、システムの正確な位置および/または実際の位置を教えるため、ならびにシステムを較正、自己較正、または自己整列するため等に用いられ得る。
【0107】
好ましい態様において、試料加工処理システム101は、自動化スライドグラス同定部材を含み得る。これは、多数のスライドグラスを自動的に同定する作業を達成するために制御され得る。これはまた、例えば複数の型のセンサ部材が存在し得るなど一般的であり得、センサ部材が試薬と同様にスライドグラスを同定する等の材料加工処理の状況情報を決定するために利用される、CCDカメラ等の読取器またはスキャナーさえ含み得る。センサ部材は、例えば容器上に提供されたコード化情報あるいは暗号化情報を読み取る等の、例えば材料加工処理容器から試料加工処理システム101の情報を読み取り、検出し、あるいは決定し、試料加工処理システム内の試薬の型および試薬の位置を決定し得る。センサ部材はまた、試料担体の状況情報を決定し得る。例えば、いくつかの態様において、スライドグラス保持アセンブリーに配置されたスライドグラスは、スライドグラス上に示された試料、または実行される加工処理プロトコルについての情報を示し得る、コード等の情報の特徴(indicia)を提供し得る。センサ部材はスライドグラスのコードを読み取り、特定のスライドグラスおよび試料に対して実行されるプロトコルを決定し得る。
【0108】
図15に示される洗浄ステーション140は、アーム120の部材を洗浄するために含まれ得、好ましい態様において、それはプローブからの前回堆積した試薬を完全に洗浄するか、あるいは除去するか、またはプローブおよび/もしくはシリンジ124の内部および/もしくは外部表面を含む部材を除去する機能があり得る。一態様において、洗浄ステーションは、シリンジ124等のアーム120の部材を洗浄するために構成され得るが、かかる部材はアーム120と共に構成される。シリンジは、例えばシリンジの端から端まで水すすぎで洗浄され得るが、シリンジは洗浄ステーションに位置する。本発明の別の態様において、洗浄ステーション140は、試料加工処理システムの加工処理の継続が可能なまま、洗浄のためシリンジ等の部材を降下および上昇させるのが可能となるように構成され得る。
【0109】
いくつかの態様において、複数のプローブまたはシリンジは、スライドグラス上にマウントされた、あるいはスライドグラス上に示された組織学的組織試料の染色に必要な流体物を適用するために用いられ得る。これは、上記したロボット運動システム172上に含まれる項目などのスライドグラス染色部材によって達成される自動染色を包含し得る。試料加工処理システムは、「汚れた」、汚染された、または使用済のプローブまたはシリンジを落とし、「清潔な」、汚染されていない、滅菌されたまたは未使用のものと交換し得る。1つ以上のプローブまたはシリンジが洗浄され得るが、別のプローブまたはシリンジを用いて試薬または染色を適用する等、システムは試料の加工処理を続ける。さらに、またはあるいは、使用されたプローブは洗浄されるが、ロボット運動システムに取り付けられ得る。
【0110】
システム101は、ピペッティングするための、あるいはスライドグラス上にマウントされた、もしくはスライドグラス上に示された試料の染色に必要な流体物を吸引するための複数のプローブまたはシリンジに接近し、それらを使用しおよび洗浄し得る。相互汚染を排除するために、1つの再利用可能なプローブを有するシステムが、各流体が適用される間にプローブを洗浄し得る。プローブを洗浄する仕事は、システム全体の加工処理量に対し大きな影響を有し得る。本発明は、複数のプローブがシステムに対し使用可能となるようにし得る。システムは継続的に、清潔で、汚染されてなく、滅菌されているプローブか、または使用可能な未使用のプローブを有し得、試料加工処理は、必要とされる洗浄作業により影響を受けない。洗浄作業は、起こりえる流体物の相互汚染を排除するために必要であり、いくつかの態様において、達成するのに約1分かかり得る。一連の加工処理工程における洗浄作業の累積影響(cumulative impact)は、システムの加工処理量能力に時間を追加し得る。複数のプローブまたはシリンジの追加はこの影響を排除し得、試料を加工処理するのに必要な時間を有意に減少させる。
【0111】
本発明の態様は、図15に示される混合ステーション150を含み得る。システムは染料、バッファ、または他の材料加工処理等の成分流体物を、好ましくは必要に応じて、ならびに加工処理工程およびプロトコル指示として混合し得る。加工処理工程中に必要な流体物は、時々他の流体物と混合される必要があり、最終活性化流体混合物またはカクテルを作り出し得る。しかしながら、これらの混合物の活性レベルは時間的に不安定であり、したがって短時間でのみ効果的であり得る。必要に応じて、あるいは時間通りの流体物の混合は、使用される直前に流体物が混合され得るという点で有利である。これは、以下に議論されるスケジューリング機能で調整され、向上したスケジューリングで必要に応じて混合される同時目的を許容し得る。好ましい態様において、シリンジまたはプローブ124は、混合ステーション150中におよびステーションから流体物を吸引し、成分流体物を混合する。リンス剤が混合ステーション中にさらに分配され、ステーションが滅菌され得る。
【0112】
好ましい態様において、スライドグラスは、前処理および染色加工処理に必要とされるので、垂直および水平位置の両方において可動であり、かつ設定可能である。これは、従来の手動実験方法に容認されている前処理および染色を含む、種々の方法におけるスライドグラスの自動前処理および染色を可能にし得る。スライドグラスは最初に、スライドグラスラック等の担体保持アセンブリーおよび水平位置の引き出しの中に充填される。脱パラフィン等の前処理が必要な場合、システムはスライドグラスを垂直方向に回転させ、これらの試料を、さらに以下に記載される必要とされる液体で満たされた加工処理タンク中に降ろす。いくつかの態様において、スライドグラスラックはスライドグラスの低下に作用(affect)するために低くなる。以下に記載されるように、スライドグラス上で染色加工処理を実行するために、システムはスライドグラスを水平位置に回転させるかまたは移動させ、シリンジまたはプローブは流体物を試料に適用させ、試料の水平染色を提供する。各スライドグラスは独立して回転し、異なる必要条件を有する種々の試料の独立した加工処理を可能にする。
【0113】
システムは、これら同一の前処理加工処理を実行するために手動で用いられる手順および供給物の物理的特性を自動化し、いくつかの態様において、模倣するかまたは対応する。したがって、加工処理タンクが提供され得る。いくつかの態様において、各加工処理タンクの部品は、引き出し110の内部に配置され得る。いくつかの好ましい態様において、前処理加工処理を実行するために必要とされる流体容積は維持され、互いが向き合っているスライドグラスの方向ではなく、従来のシステムとしてそれらは並んでいるが、他のスライドグラス配置を否定しない。加工処理タンクは、スライドグラスの表面全域に流体物の分布さえ提供する。
【0114】
いくつかの態様において、加工処理タンクはスライドグラスを加熱および冷却することができる。加熱はまた、熱装置によって個々のスライドグラスに適用され得る。温度調節の正確さおよび物理的な適用は、加工処理工程の標準化および繰り返しをもたらし得る。以下にさらに記載されるように、充填および加熱の仕事は、コンピュータ制御化スケジューラーで実行される。流体容積は、任意の多数のスライドグラスの有無を説明する(account for)ように調節され得る。
【0115】
いくつかの態様において、前処理に用いられる個々の流体物は、システムキャビネット中に含まれ得る。脱パラフィン流体物(DI水以外)は、加工処理タンク中に引き出され、次いで再利用のために容器に戻され得る。定期的に「汚れた」容器中の材料は廃棄され得る。「清潔な」容器は、汚れた位置まで持ち上げられ、次いで新鮮な流体が清潔な位置に添加され得る。DI水は大きなシステムDI水容器から引き出され、各使用後廃棄され得る。標的回復溶液は、それ専用の容器から引き出され、各使用後再生利用されるか廃棄され得る。
【0116】
情報のモニタリングまたは取得の局面に戻ると、システムの態様は、バッファ、試薬、染色物等の状態等の、補充可能な供給情報をモニターするために設計され得る。補充可能な供給に対する潜在的な必要性をモニタリングすることによって、システムは図22に示される補充可能な供給情報モニター403を提供し得るだけでなく、また操作者のいくつかの懸念を軽減し得る。またヒトの誤りに対する少なくとも1つの可能性を取り除き得る。重要なことに、システムはまたモニターされる情報に関する任意の数の人に自動的に通知するように作動し得る。補充可能な供給情報に関して、システムは、使用者、操作者、管理者、または実際の潜在的な供給者にさえ通知し得、または供給を補充する必要性に迫る。したがって、システムは自動通知(notice)部材404または自動的操作者補充可能供給通知部材、自動供給者補充可能供給通知部材等を含むものとして考えられ得る。
【0117】
同様にして、システムの態様は、装置の連続的または継続的操作に対して目的の情報をモニターするか、または取得し得る。したがって、それは器械維持情報のモニタリングであり得る。これは限定されないが、部分サイクル情報をモニタリングすることを含み得、それは装置の寿命、推定されたサイクルの数等の総体的情報から個々の部分サイクル情報(例えば何回およびいくつの実際のバルブがついたり消えたり等)をモニタリングする等の特定情報をモニタリングするまでの範囲を含み得る。器械維持モニター、器械維持情報モニター405、部分サイクルモニター、または個々の部分サイクルモニター406を含むこと(図22参照)によって、システムは向上した確実性および継続的操作を容易にするだけでなく、失敗の間の生成サイクル、または平均時間に基づく維持等の防止的な維持を許可し得る。当然それは、広範囲の人にかかる論点を知らせるための自動維持通知部材を提供する等の自動通知部材404を使用し得る。
【0118】
もちろん、広範な種々の情報がモニターされ;システムの態様は、有効期限、多くの情報等の材料必要条件に関する情報をモニターし得るか、または取得し得る。したがって本発明は材料必要条件情報モニター407(図22)を含み得、そのため自動的に材料必要条件情報をモニターするために作動する。これは来たる満了に関してさえ作動し、自動促進満了通知部材を提供することによって人に一組の自動促進通知をもたらし得る生成物満了情報モニター408であり得る。非常に重要であり得る項目に対して、同時にまたは逐次的のいずれかで複数の通知が存在し、したがってシステムは複数促進満了通知部材を含み得る。モニターされ得る別の型の情報は、統計的または過去の性質の情報等の歴史的用法情報である。したがってシステムは、歴史的用法情報モニター409(図22)を含み得る。このことから、予言的推定は、項目等を配列する際のもっともらしい日付等でさらになされ得る。予言的用法情報のモニタリングによって、これは、システムが自動予言的必要通知部材または予言的用法情報部材410(図22)さえ提供し得る一方法(one way)であり得る。システムはまた、使用者に統計的情報モニターを提供し、そのため使用者の統計的情報を集めてモニタリングし、他の歴史的または統計的情報等の比較による等のこれに基づいて作動(act on)し得る。本発明はまた、例えば特定のプロトコルが続くことが確実であることによる等の試料加工処理効果情報をモニターするために設定され、かくして加工処理効果情報モニター411(図22)を提供し得る。モニターされた情報を外挿し、操作による残量、あるいはぎっしり詰まった(impacted)量を知るために個々の用法を合計することによって、合計性能413(図22)を可能にし得る。これは、試薬または個々の部分サイクル等の項目に対する合計用法情報を含み得る。かかる性能は、合計用法情報モニター、試薬の合計、一部のサイクル合計として役立ち得る。システムはまた、実践的展望から経済性および器械操作の効率に対して重要であり得る試験および他のかかる大意の(synoptic)情報につき、費用を報告し得る。データ取得部材414(図22)を有することにより、システムは、限定されないが、発生数データ、部分操作データ、用法量データ、および用いられた材料量データを含む、種々の局面の分析または使用を含むか、または許可し得るデータを生じ得る。当然、かかるデータは、含まれる種々の機能またはデータを行う(to do)かまたは生じさせる同一部材、あるいはサブルーチンを有し得る。
【0119】
いくつかの態様において、画像−取得2-D光学センサ、あるいはCCDカメラ等の画像化装置が、スライドグラス上の試料の位置を決定するのに用いられ、試料加工処理中のより高い精度を提供し得る。試料加工処理システム101の態様は、試料診断性能をさらに提供し得る。したがって、いくつかの態様において、装置は試料を分析し得る。カメラは診断目的で用いられ得る。いくつかの態様において、試料は、潜在的にコンピュータによって、さらなる分析のためにスキャンされ得る。カメラはまた、1)エリアロケーターとして、2)組織領域を位置決めするため、3)位置および領域に基づいて試薬を適用するために用いられ得る。スキャンされた画像は、試薬分析または他の分析のために分析され得る。
【0120】
システムはまた、主題の試料データを生じるか、またはモニターし得る。画像化装置と比較して、システムは試料画像データ、物質画像データ、システム画像データ、および前後事象画像データ等の画像データをモニターするか、あるいは取得し得る。これらの各々は、いくつかの目的のために系統的に記憶され得る。これらの各々は、相応じて、システム画像データ取得部材、物質画像データ取得部材、試料画像データ取得部材、および前後事象画像データ取得部材等の、適当な部材が示されると考えられ得る。さらに、多数の画像データ取得部材が含まれ得るので、1つよりも多い画像が加工処理の局面を証明するまたは明示するために存在し得る。その上、システムは系統的に記憶するために作動し得、1つ以上の画像がそのように作り出される。個々の試料加工処理データ、個々のスライドグラスログデータ、およびプロトコルデータの型のグルーピング等の同一データの収集がまた作り出され得る。
【0121】
試料の加工処理は、本発明の特徴と一致した、図19および図20で示されるようないくつかの好ましい態様により達成され得る。これらのプロトコルおよび加工処理工程、または他の加工処理工程の変形が、本発明と一致して達成され得る。必要な場合、1つの加工処理シーケンスが(前に記載したような)脱パラフィン等の試料の前加工処理を広く含み、(前に記載したような)標的またはエピトープ回復および試料染色をさらに含む。いくつかの態様において、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)の特性(specifics)は注意を向けられ(address)得る。ISHの態様は、試料上に配置するために、15ミクロリットル等の少量の試薬を必要とし得る。熱調節は、約95〜100℃間で維持され、ある時間一定を保ち得る。次いで、調節された方法で温度が低くされ得る。さらに、IHCまたはISH(FISH)における蛍光染色またはタグ付けは、本発明の特徴と一致して実行され得る。
【0122】
記載のように、試料加工処理システムは、担体またはスライドグラス上にマウントされた試料の加工処理を自動化し得る。システムのこの配置は、確立された実験室ワークフロー要求を満たすために役立つ設計を有するスライドグラスの継続的加工処理、個々の加工処理、およびバッチ加工処理に対して柔軟的になり得る。システムの内部に見られる多数の独立した余分のスライドグラス加工処理サブシステムはまた、各スライドグラスを独立に加工処理する能力を維持し得る。
【0123】
自動加工処理は、人間の介入のない自動加工処理操作能力または少なくともいくつかの工程によるシーケンスを有するシステムを設計することによって達成され得る。これは、加工処理操作制御システム171(図22)によって制御され得るか、またはそれに応答して作動し得る。これは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその2つのいくつかの組み合わせによって提供され得る。図22は、いくつかの種々の能力を示す一概念的態様を提供する。当然、使用者は、所望の種々の工程もしくは動作の性質およびシーケンス、または用いられる適切な優先順位(priority)もしくは他のスケジューリングパラメータでさえ明記する能力を必要とする。これは、試料加工処理パラメータ入力を含むことによる入力パラメータ能力173により達成され得る。入力は、記憶パラメータ加工処理データ174の形成により保持され得、そのためシステムは所望の加工処理操作の集合、あるいは所望の多数の加工処理操作を達成し得、かくして入力は集合試料加工処理入力であり得る。連続した加工処理を容易にするために、入力パラメータ能力173は、加工処理操作制御システム171に関する独立加工処理パラメータ入力として設定され得、したがって加工処理操作制御システム171により引き起こされる作用が、独立加工処理パラメータ入力に関するいかなる作用によって影響を受けない。さらに、入力パラメータ能力173はまた、自律的入力部材含むことによる自律的入力機能として設定され得る。
【0124】
所望の型の加工処理入力により、システムは種々の事象あるいはスケジュール部材605によって、自動的にスケジューリングを実行し得る。これらの事象は、所望の事象の集合が存在する点、および事象それ自体が加工処理シーケンスに対するいくつかのトポロジーまたは概略を示すという点で、集合事象トポロジーを作り出すと考えられ得る。このトポロジーは事象のみを含み得るか、または特定の優先順位もしくは所望の結果等の確実な目的を含み得る。最初の入力を用いるとき、システムは所望の方法における事象のスケジューリングを達成し得る。実用的な重要性とは、最初の集合事象トポロジーに対して操作者交替を可能とし、かつ促進するための本発明の態様の能力であり得る。重要なことに、これらの変化は動的に達成し得るが、例えばシステムの他の部分は継続的に加工処理が行われている。促進する変化において、妨害がほとんど無いか全く無い状態で操作されるが、システムは適応可能なスケジューリングを達成するために作動し得る。これは、最初の集合事象トポロジーの適応可能なスケジューリングとして開始され、変更された集合事象トポロジーの適用可能なスケジューリングに発展し得る。これは個々の、あるいは独立型染色装置等の独立型装置で存在し得るか、または機械間(inter machine)スケジューリング特徴(indicium)もしくは機械間スケジューリング部材を用いることによる等の、機械間ベースで存在し得る。とにかく、変更されたトポロジーのスケジューリングは、最初の自動的加工処理ルーチンの開始後に起こり得ることを理解されたい。
【0125】
集合事象トポロジーの変更は、最初のセットアップを効果的に変更する任意の種々の操作を含み得る。これらは限定されないが、試料の添加、試料の削除、試料の取り替え等の集合を変更することか、または優先順位における単なる変更等の例えば使用者交替入力を受け入れるトポロジーを変更することが含まれ得る。それらはまた、一時的な使用者の交替を受け入れることを含み、かかる交替とは、使用者は実行の効果を知りたいが、実行を希望し得ないことである。したがって、システムは試料添加部材、試料削除部材、より一般的に試料交替部材601(図22)、または一時的な使用者交替部材を含み、その各々はいくつかの型の変更集合事象トポロジーを作り出すとして考えられ得る。使用者決定を許容するために、態様は、使用者の交替を活動的にするか、または使用者の交替を元に戻すための機能またはサブルーチンを含み得る。これらは、使用者交替活動部材または使用者交替取り消し部材とみなされ得る。かかる選択は、効果概要ディスプレイ部材、一時的影響ディスプレイ部材(例えば、変更の結果として加工処理される1つ以上の試料に対する時間影響)等、および推定された一時的影響ディスプレイ部材でさえ、いくつかの種類の結果ディスプレイ部材602と関連して示され得、ここで時間の効果は推定されるのみである。
【0126】
集合事象トポロジーにおけるいくつかの型の変更の結果として、システムは事象を再スケジューリングし得る。この再スケジューリングされたシーケンスは、妨害のために用いられ得るか、または最初のシーケンスに関連する妨害603(図22)を提供し得、その後変更された集合事象トポロジーによる改定された自動加工処理が続く。理解され得るように、これは初期の自動加工処理の完了なしで達成され得る。再スケジューリングは種々の結果を達成するためにプログラムされ得、次いで操作者またはシステムがどのようにその目的を規定するかに応じてその「最良」と比較され得る。種々の結果を達成することは、実行、あるいは実行の一部をシミュレーションすること、およびそのシミュレーションの結果を比較することによって達成され得る。シミュレーションは、以下に説明されるようなあるパラメータによってセットアップされた様々なシーケンスであり得る。そうすることによって、態様は様々なパラメータロボット制御シミュレーション機能606(図22)を含み得、それは異なるパラメータに基づくロボット操作をシミュレーションするプログラムである。これらの様々なパラメータロボット制御シミュレーション機能606は、入力が作り出すデータ上に作用することによって、集合試料加工処理入力に反応し得る。具体的に、システムは、工程のシーケンスを決定する種々の基準を用いる各シミュレーションを有する同一の集合事象トポロジーに対し、多数のシミュレーションを実行し得る。これらのシミュレーションの結果は、使用され比較され得る特徴であり得る。比較は、考慮される特定のシミュレーションから得られる任意の特徴を調べ(look at)得る自動加工処理シミュレータ比較測定器604(図22)により達成され得る。特徴から決定がなされ得、最適でない場合、特定の一組のパラメータが、所望の目的に対する向上したシーケンスをもたらすために決定され得る。次いで、これらのパラメータは好ましい機能性ロボット制御ジェネレータ(generator)607に使用され得、それは次いで所望の加工処理操作に用いられるシーケンスを実際に作り出し得る。この方法において、システムは自動加工処理シミュレータ比較測定器に反応する加工処理発動機を有し得、それから自動加工処理機能が作り出され得る。
【0127】
記載のように、シミュレーションは、ユーザーパラメータ入力を含む要因の種々の入力を考慮に入れ得る。当然、特定のモデルに関する特徴(例えばその特定のモデルに関する情報を有する任意の評価)を比較することにより、再スケジューリングされたシーケンスが決定されるとして考慮され得る種々のパラメータが存在する。これらは限定されないが、物質優先順位パラメータ、試薬グループ分けパラメータ、ロボット移動パラメータ、試料位置優先順位パラメータ、試料近接優先順位パラメータ、試料挿入時間優先順位パラメータ、使用者入力パラメータ、使用者優先順位パラメータ、最終加工処理からの試料時間(sample time since last processing)優先順位パラメータ、時間に基づく優先順位評価パラメータ、および試料重量パラメータを含み得る。
【0128】
システムは、比較測定器604(図22)として作動し得るソフトウェアによって結果を比較し得る。比較される要素は、加工処理時間の特徴の比較、完了時間の推定の比較、物質コストの推定の比較、または試料優先順位の割当ての比較等の要素であり得、したがってロボット制御シミュレーション結果比較測定器、最終加工処理からの試料時間優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能、時間に基づく優先順位評価パラメータロボット制御シミュレーション機能、物質優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能、完了時間推定比較測定器、物質コスト推定比較測定器、試料優先順位割当て比較測定器、反復加工処理シミュレータ比較測定器、および定性分析比較測定器さえ有するとして考えられ得る。先に記載のように、いくつかの型の比較を容易にするために、最初のロボット制御特徴および第二のロボット制御特徴等の特徴を使用し得る。
【0129】
実用的なシステムの確立において、少なくとも最初は計算のために時間が関与するが、いくつかの限定された数の異なるシミュレーションを含むことは有利であり得る。例えば、2つまたは3つが含まれ、かくして第一の制御シミュレーション機能、第二の制御シミュレーション機能、および第三の制御シミュレーション機能とみなされ得る。最終加工処理からの試料時間優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能を有するシステムを確立することによって、システムは数時間全く、あるいは特に重要な活性を有しなかった試料に対して、より高い優先順位を割り当て得る。ロボット移動パラメータロボット制御シミュレーション機能を有するシステムを確立することによって、ロボットが、移動をほとんど要しない項目に対する優先順位を割り当てるためにどのくらいの移動を必要とするかが考慮され得る。物質優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能を有するシステムを確立することによって、いくつかの物質が費用、リンス処理の必要性、毒性等のいずれかのために特に関心事である事実の考慮が含まれ得る。最後に、どのパラメータがより望ましいシーケンスをもたらすか決定するための比較を行うことにおいて、システムは向上した一時的スケジューラー部材を含み得、そのためシステムは自動的にどのパラメータが一番早い加工処理時間をもたらし得るかを評価する。当然、この向上した一時的スケジューラー部材は、全試料のベースに基づくか、またはそのいくつかの部分集合に基づき得る。スタットラン(stat run)等の個々の試料にさえ基づき得る。かくして、ロボット制御シミュレーション結果比較測定器604は、変更された集合事象トポロジーの向上した再スケジューリングを提供するために作動し得る。改定されたシーケンスを実行することにおいて、システムは一体型開始適応スケジュール機能中断を提供し、かつ認知される不連続性が無い状態で、最初のシーケンスを一体的に中断し新しいもので継続するために作動し得る。さらに、シミュレーションは時間がかかり得るので、最初の比較のみ、あるいは単に2つの異なる機能を比較する等で、初期の好ましいロボット制御機能等の1つが選択され得、次いでさらなるシミュレーションおよび比較の続行が可能となる。この継続的な努力から、より良い一組のパラメータが発見され、かくしてシステムはその後より良い解決法として第二の好ましいロボット制御機能を実行し得る。当然、継続的なシミュレーションおよび比較が行われ得る。
【0130】
上記で理解され得るように、変更された集合事象トポロジーのための再スケジューリングは、いくつかの要因によって影響され得る。一例として、全体の加工処理に対する時間の短縮において、特定の物質または特定の試料の位置が重要であることを理解されたい;試料または物質間の距離が長いほど、加工処理はより遅くなる。この型の要因のために、システムは実際に要因を考慮し、シミュレートするかあるいは評価し、所望の結果をもたらし得る実行を提案し得る。例えば、システムは少なくとも1つの提案された試料位置、提案された試料引き出しの位置、提案された染色装置の位置等を示し得る。このことから、使用者は提案された動作を受理し、さらに該提案を受理または拒絶し得る。かくして、システムは提案された使用者選択を示し得る。これは、使用者に選択メニュー等を提供することによって、一時的に向上した提案された使用者選択を示す作動でさえあり得る。このことから、システムは使用者選択メニューを通して使用者パラメータ入力を受理し得る。結果は、変更による一時的な影響を示すため等の、変更による影響の概要を示すために、要約さえされ得る。当然、これは推定され、システムを実行して評価された一時的な影響を示し得る。影響がベースになろうと提案がベースになろうと、システムは使用者に評価可能な入力を提供し得、この方法において、提案された試料位置部材、提案された試料引き出し位置部材、提案された染色装置位置部材、提案された使用者選択部材、一時的に向上した提案された使用者選択部材等を実際に提供し得る。当然、かかる作業およびいかなる再スケジューリング、またはシミュレーティングは、操作者要求の結果、操作者アクセス事象を感知するシステム、使用者の交替を受理するシステム、または引き出しセンサ等のいくつかの型の操作者アクセス事象センサでさえあり得る。
【0131】
操作者にスケジューリングを向上させ得る特定の動作を提案する行為と同様、システムは操作者に必要とされる事象等を通知するために作動し得る。特定の物質が必要とされるが(装置それ自体あるいは光学センサによって感知されるような)機械に存在しない場合、必要とされる試薬等を挿入する等、システムは必要とされる特定の動作に対し操作者を自動的に刺激(prompt)し得る。中断時間かそうでないかにおいて、システムは繰り返し自動的に操作者の動作が必要であるかどうかさらにチェックし得る。したがって、システムは自動操作者必要刺激608(図22)を含み得る。それはまた、リアルタイム状況情報、未決定の試料情報、一局面(例えば試料、引き出し、バッチ等)に対するリアルタイム完了推定等の種々の情報を提供し得る。これら各々は、ソフトウェアおよびハードウェアによって、あるいはリアルタイム状況情報部材、未決定の試料情報部材、またはリアルタイム完了推定部材を含むことにより達成され得、各々は情報部材609として概念的に示される。
【0132】
任意の上記の性能に関し、かかるものは自動加工処理操作性能から独立して作動し得るだけでなく、適用可能な場合、それらは自動加工処理操作性能(それ自体は加工処理装置中に存在していても存在していなくてもよい)の存在または操作可能性なしでさえ、十分に機能的であり得る。それらは、独立した完全機能コンピュータ181(例えば加工処理システムにより提供されるかまたは必要とされる性能から独立している)、または所望の機能を達成するためにプログラムされ得るものを提供することを含む、種々の方法で達成され得る。さらに、実践的で制度化した必要性に注意を向けるという目的を達成するために、任意の性能は単純化した使用を提供するために設定され、詳細の高度な単純化レベルにおいて利用可能でさえあり得る。これは「ウィザード」型のシステムであり得、そこではスライドグラスの追加、所望の入力の達成等の、機能に対する「ステップバイステップ」方法が存在する。かかる一局面は、単純で、統制され、いくらか不変でさえあり得る。構造化された、または単純化した入力は、試料加工処理システム101の操作に対して責任を負う必要がある完全スペクトルの技術を有する必要のない人によって入力を促進し得る。
【0133】
事象のプレイバック(playback)のモニタリングあるいはそれを可能にする機能の一部として、システムはいくつかの型のデータ取得部材414(図22)を含み得る。潜在的にプログラムされる必要のある実行の型の最初の論議から理解され得るように、データ取得部材414は個々の移動データ、単なるロボット実行データ、個々のロボット移動データ、個々の操作データ、または個々の用法データでさえ取得し得る。かくして、データ取得部材414は、個々の移動データ取得部材、ロボット実行データ取得部材、個々のロボット移動データ取得部材、または個々の操作データ取得部材であり得る。このデータの全ての部分または任意の部分は、全ての重要な詳細、単に特に重要な詳細(例えば非常に感度の高いバルブ(valve)、物質等に関する)、または試料加工処理操作に関する単に有意ないくつかの詳細でさえ記憶する等、系統的に記憶され得る。かくして、データ取得部材414は、系統的加工処理詳細取得部材であり得る。一度取得されると、このデータはいくつかの様式で記憶され得る。かかるデータが滞留するメモリ位置が存在し、かくしてこれは有意な加工処理詳細メモリ412を表し得る。それはまた、主題の試料データ取得部材を表し、先に述べた任意のメモリ型は、かかる目的のために使用され得る。
【0134】
データの記憶において、システムはセグメント化コンピュータファイルを作り出し得、それはかかるデータのみ含むので、他のファイルほど容易に操作されない。これは示された事象の精度または証明可能性でさえ確実にするのを助けることができる。例えば任意の特定の試料に対し、その特定の試料およびその加工処理前後での試料の写真に対して生じたもののシミュレーション(あるいは追加された時間ベースを有して)が要求される際に自動的に生じ得る。そのように記憶されたデータは変更不可能なコンピュータ記録として作り出され得るか、あるいはその精度を証明し得る積分(integral)変化の特徴を含み得る。記憶されるとき、システムは共通フォーマットコンピュータ記録を作り出し得、そのため使用者は容易にそれを用いて仕事し得るか、またはそれは変更され得ない等の所有フォーマットコンピュータ記録を作り出し得る。したがって、有意な加工処理詳細メモリ412は、セグメント化コンピュータファイルメモリ部材、変更不可能なコンピュータ記録メモリ部材、積分変化特徴メモリ部材、共通フォーマットコンピュータ記録メモリ部材、または所有フォーマットコンピュータ記録メモリ部材を表し得る。
【0135】
データの取得は、実際の日付データ、実際の時間データ(例えばUTC等)、正確な時間データ(例えば時間、分、秒)、相対時間データ、絶対時間データ、開始時間データ、および完了時間データ(例えば加工処理、プロトコル、モーター操作事象等)でさえ等の発生データの時間を含み得る。その上、データ取得部材414は、限定されないが、発生データの時間取得部材、実際の日付データ取得部材、実際の時間データ取得部材、正確な時間データ取得部材、相対時間データ取得部材、絶対時間データ取得部材、開始時間データ取得部材、または完了時間データ取得部材を含み得る。
【0136】
特に、使用者が所望し得る項目の1つは、データ取得部材414が個々の試料加工処理データ取得部材、個々のスライドグラスログデータ取得部材、プロトコル型データ取得部材、およびスライドグラスログデータ取得部材を表し得るという事実である。それが起こるときに実際の加工処理を示すリアルタイムの個々のスライドグラスログデータディスプレイもまた存在し得る。
【0137】
上記に用いられるように、スライドグラス識別情報は、シリアル番号、患者番号、患者の名前、唯一の画像等、特定のスライドグラスに対して唯一の任意の情報を表し得る。プライバシーに関することを保持することにおいて、他者が関係のある特定の患者を識別するために使用できない等のコード化あるいは暗号化識別情報、または内部識別情報がまた存在し得る。以下で論議され、かつ図8および9で示されるように、全体のシステムがいくつかの染色装置を含み、かくして入力は好ましい染色装置情報(それは自動システムにより示され得るかもしくは示され得ない、または受理され得るか受理され得ない)を含み得る。ラッシュ試験を達成するために供給がまた含まれ得、したがってスタット(しばしば用いられる即座に対する医学用語)加工処理要求情報部材として即座の、緊急な、あるいは公知のものが存在し得る。かかるものはまた、使用者特権情報とリンクし得、そのためある個体のみが、異なる優先順位を作り出すために他の試験に取って代わり得る。当然、上記の全ての順列および組み合わせが含まれ得る。
【0138】
自動操作に対して、入力はいくつかの位置で記憶され得るパラメータ加工処理データ174等のデータを作り出し得る。自律的操作を提供するために、それは実際の染色装置それ自体から離れた位置にてさえ、物理的に独立したメモリで独立的に記憶され得る。これは、データを受理および/もしくは記憶するためにプログラムされたかまたは設定された、独立した完全機能コンピュータの一次または補助記憶を利用することによって達成され得る。かかる様式において、コンピュータは、独立加工処理パラメータメモリ174として考えられ得るものを含み得る。コンピュータは物理的に独立され得るので、加工処理装備から離れている場合、それは物理的に独立したメモリあるいはリモート位置メモリでさえ有すると考えられ得る。
【0139】
独立したメモリおよび独立した他の機能を用いることによって、システムは、自動加工処理操作能力の完全な操作上の機能を促進し得る。自動加工処理操作能力は、メモリ、入力のいずれの操作の際にも完全に操作可能であるため、保存もしくは入力、または他の機能は、加工処理操作を妨げることなく行ない得る。したがって、入力は、スライドグラス加工処理パラメータの入力または保存を遂行する時間と独立した加工処理時間に、後にアクセスされ得る。さらに、入力(entry)または保存はまた、ある試料の加工処理と少なくとも一部は同時に遂行され得る。この加工処理は、さらに、スライドグラス加工処理パラメータの入力の実施の完了後に、著しく開始され得る。このようなことは、入力の少なくとも約1時間後、入力の少なくとも約3時間後、入力の少なくとも約8時間後、入力の少なくとも約1日後、入力の少なくとも約2日後、および入力の少なくとも約1週間後に起こり得る。
【0140】
上に簡潔に記載のように、いったん情報がモニターまたは捕捉のいずれかされると、本発明は、情報が有用であるとわかり得る少なくとも一人の人に自動的に知らせるように、はたらき得る。先に述べた自動通知部材404は、主として該種類の情報に関連することによって、自動的な外部的に重要な情報の通知部材としてはたらくように設定され得る。もちろん、自動通知部材404(図22)は、特定の必要とされる情報をモニターする工程に応じて、はたらき得る。例えば、該部材が、操作によって変えられた外側の情報をモニターしている場合、自動通知部材404は、自動的な操作によって変えられた外側の情報の通知部材としてはたらき得る。ただ捕捉されるだけで自動的にモニターされない加工処理事象については、何らかの種類のディスプレイ415によって情報を提供し得るシステムを生じさせて(prompt)もよい。このディスプレイ(最も広義の)は、少なくとも一人の人に対して、試料加工処理操作におそらく関連する、少なくとも何らかの情報を現わし得る。ディスプレイが重要な加工処理の詳細情報を現わす場合、それは重要な加工処理の詳細情報のディスプレイと考えられ得る。さらに、該情報が離れた場所で表示される場合、かかる情報を遠隔表示することを容易にするための、重要な加工処理データ移送部材がさらに存在し得る。したがって、ディスプレイ415は、遠隔加工処理の詳細情報のディスプレイと考えられ得る。先に記載のように、システムはリアルタイム情報のディスプレイ、すなわち情報をほぼそれが起こる時間に現わすディスプレイを提供し得る。リアルタイムで情報を遠隔表示することによって、操作者または任意の他の利害関係者は、別の場所から、おそらく世界の反対側でさえも、機器の推移を「観察」またはモニターし得るかもしれない。上に述べたような個々のスライドグラスのログデータのリアルタイム表示がある場合、これは特に価値があり得る。
【0141】
注目すべきであり得る1つの種類のディスプレイ415(図22)は、本発明の態様が、シミュレーションされた動きのディスプレイを創出し得るという事実である。シミュレーションは、ちょうどロボットの頭が、それが操縦される場合、実際に動くように、画面上で動く部材を視覚的に示し得る。態様は連続的な再生能力を提供し得るので、機器を、それがいくぶんか前の時間に操作されたかのように、「観察する」こともできる。改変される速度の連続的な再生能力、使用者が変更し得る速度の連続的な再生能力、または単に高速の連続的な再生能力もまた存在し得、ことによると全てが一時停止能力もしくはスローモーション能力を有するか、または有さない。この能力で、ディスプレイ415は、シミュレーションされた動きの過程の詳細情報のディスプレイを表し得る。したがって、システムは、連続的な再生部材、改変される速度の連続的な再生部材、使用者が変更し得る速度の連続的な再生部材、および高速の連続的な再生部材を含み得る。
【0142】
もちろん、すべてのこの情報は、一部の人によって使用されなければならない。任意の利害関係者は、操作者(例えば加工処理または機器のすべて、または一部に責任のある任意の人)、機器の操作者(例えば加工処理のすべて、または一部に物理的に責任のある個人)、管理者(例えば操作者を管理するか、またはことによると発注(order placement)に責任のある人)、物質もしくは他の供給業者、またはさらには補助能力および維持能力のためなどの製造業者などの、該利害関係者に利用可能な情報を有し得る。外的な行動(例えばより多くの試薬を注文することなど)を必要とし得る事象について、システムは少なくとも一人のこれらの種類の人々に自動的に通知し得、したがって、自動通知部材404(視覚的であり得るディスプレイなど、またはその他の方法の)は、自動操作者通知部材、自動管理者通知部材、自動供給業者通知部材、または自動製造業者通知部材を表すと考えられ得る。該自動通知部材はまた、自動的な操作者の外部的に重要な情報の通知部材、自動的な管理者の外部的に重要な情報の通知部材、自動的な供給業者の外部的に重要な情報の通知部材、または自動的な製造業者の外部的に重要な情報の通知部材を表すと考えられ得る。
【0143】
通知は種々の時間に与えられ得る。システムは、来るべき満了日、または事前の記録の必要性などを、自動的に前もって(advance)人に通知するように、はたらき得る。そうすることにおいて、システムは、どれくらい早く行動をとったらよいかをシステムに伝える、何らかの種類のリードタイムの情報を有し得るか、または該情報をシステムに入力したかもしれない。リードタイム情報のデータ部材416(図22)を適切に設定することによって、リードタイムは場所および状況によって変化し得、例えば世界中の機械、または重大な加工処理のために継続的に用いられる機械は、供給業者のすぐ隣の機械、またはただ散発的にだけ使用される機械よりも長いリードタイムを有し得る。指令(order)リードタイム情報、試薬注文リードタイム情報、維持リードタイム情報(このいずれも1年の期間にわたって、または時々変化し得る)が利用され得、したがってリードタイム情報データの部材416は、指令リードタイム情報データの部材、試薬注文のリードタイム情報データの部材、または維持のリードタイム情報データの部材を表し得る。
【0144】
通知自体は種々の方法で表示され得る。システムは電子メール通知部材を包含することによって、自動的に人に電子メールを送り得、自動プリントアウト通知部材を有することによって、通知を自動的にプリントアウト(ファックスで送ることを含む)し得る。他の可能性の中でも、システムは、自動電話線利用部材を有することによって、シミュレーションされる声、もしくは再生される声、または他の情報のための電話線を自動的に利用し得る。
【0145】
通知を提供する実際の事象は、自動的であり得るか、または何らかの種類の使用者促進物(prompt)417(図22)によってもたらされ得る。モニターされる情報の使用者促進物を受け取ることによって、システムはモニターされる情報の使用者促進物を表し得る。促進物自体は、単なるソフトウェアの選択物であり得るか、またはソフトウェアに表示されたボタンなどの単なるクリックする項目ですらあり得る。遠隔で表示され、挙動しようと、実際のロボット含有ハウジングで表示され、挙動しようと、かかる使用者促進物417は、遠隔アクセス接続を確立させ得、結果として少なくともいくつかの重要な加工処理データが表示され得る。かかる様式で、使用者促進物は、情報アクセス促進物部材、ソフトウェア選択物部材、または遠隔アクセス部材を表し得る。
【0146】
いくつかの態様において、システムは、図15および16のいくつかの態様について示されるような、独立した、またはことによると重複するスライドグラス染色モジュール(いくつかの態様は8個のモジュールを含み得る)からなり得る。染色モジュールが予定される染色作業を完了するとすぐに、完成したスライドグラスへのアクセスを可能にする、システムに関する最初の結果までの時間に、加工処理量は基づき得る。多数の独立した、または重複する染色モジュールは、スライドグラスの連続加工処理およびバッチ加工処理の双方を可能にし得る。さらに各独立した染色モジュールはまた、各スライドグラスの独立した前加工処理および染色を可能にし得る。スライドグラス保持アセンブリーなどの担体保持アセンブリーは、引き出し110、引き出し、スライドグラス保持アセンブリー、および染色モジュールを形成するそれらの構成要素の中に、加工処理されるスライドグラスを導入するために使用され得る。スライドグラスは、スライドグラスラックで配置される他のスライドグラスから独立して加工処理される各スライドグラスの可能性に関する、スライドグラス保持アセンブリーの収容能力までで、担体保持デバイスにおけるような、スライドグラス保持アセンブリーの1つ以上の部分を占有し得る。染色モジュール、引き出し、スライドグラスラック、およびそれらの構成要素の態様はまた、図16に示されている。図16はまた、アーム120およびアームの構成要素の特徴の態様などの、システムの特徴の他の態様を提供する。
【0147】
1つ以上のスライドグラスおよび試薬容器さえも有するスライドグラス保持アセンブリーは、すべてのまたは適切な数の染色モジュールが適切に占有されるまで、一度に一つずつ、または任意の組み合わせで、引き出し110(図15)に導入されることによって、染色モジュールまたは試薬モジュールの中に導入され得る。順番、数、またはスライドグラス保持アセンブリーをいつシステムに導入するかのタイミングについての制限はなくてもよく、システムはまた、試料負荷の適応性のあるスケジューリングを可能にし得る。染色モジュール、およびいくつかの態様において、染色モジュールの引き出しは、加工処理期間の間のスライドグラスへのアクセスを締め出し得、当該モジュールの最後のスライドグラスについての染色または他の加工処理の完了時に、操作者に対して該保持アセンブリーを放出し得る。いくつかの態様において、スライドグラス保持アセンブリーが放出される順番は、保持アセンブリーの最後のスライドグラスを加工処理するために必要とされる時間に依存し得る。スライドグラスは、システムに導入された順番とは独立して、最も時間効率のよい様式でさらに加工処理され得る。システムは、種々の試料加工処理工程の最適な、または単に増進された時間的スケジューリングを提供し得る。これを遂行するために、システムは、増大した時間の結果のために散在する工程を自動的に予定し得る。この散在化は、いくつかの加工処理操作を交互配置すること、およびいくつかの個々の試料の操作を交互配置することですらあり得る。工程を交互配置することに加えて、システムは個々の試料の操作を配列し得る。どのようにプログラミングされるかにかかわらず、システムはハードウェアもしくはソフトウェア、または各々の組み合わせによって設定され、増進された時間的スケジューラ部材179(図22)、加工処理操作交互配置部材、個々の試料の操作の交互配置部材、または個々の試料の操作の配列部材さえも提供し得る。これらは、自動加工処理操作能力、およびパラメータデータ、またはことによると該パラメータ加工処理データ(後に述べるような)の一部の反復部分のいずれかを統合することによって創出され得、したがって散在ロボット制御機能(functionality)175を創出するようにはたらき得る。
【0148】
1つ以上のスライドグラスを有するスライドグラス保持アセンブリーは、すべての染色モジュールが占有されるまで、一度に一つずつ、または任意の組み合わせで、引き出し110(図15)の中への導入によって染色モジュールの中に導入され得る。順番、数、またはスライドグラス保持アセンブリーをいつシステムに導入するかのタイミングについての制限はなくてもよく、システムは、試料負荷の適応性のあるスケジューリングを可能にする。染色モジュール、およびいくつかの態様において、染色モジュールの引き出しは、加工処理期間の間のスライドグラスへのアクセスを締め出し、最後のスライドグラスについての染色加工処理の完了時に、操作者に対して該保持アセンブリーを放出し得る。いくつかの態様において、スライドグラス保持アセンブリーが放出される順番は、保持アセンブリーの最後のスライドグラスを加工処理するために必要とされる時間に依存する。スライドグラスは、システムに導入された順番とは独立して、最も時間効率のよい様式で加工処理され得る。
【0149】
他の加工処理は、本発明に一致して遂行され得るが、加工処理試料の制御は、以下の好ましい態様に従って遂行され得、1つの好ましい態様184は図23に示される。
【0150】
試料加工処理の制御は、動的スケジューリングのアルゴリズムによって、および好ましい態様においては、先に記載した連続加工処理またはバッチ加工処理に従って、遂行され得る。好ましい態様において、加工処理順序が制御され得、したがって試料のためのプロトコルの種々の工程が、1つ以上のアルゴリズムの制御によって自動化され得る。好ましい制御は以下:1)第一のプロトコルの工程を選択すること、2)第一のプロトコルの工程に適合する、メニュー項目の限定されたリストから第二のプロトコルを選択すること、および3)前述のプロトコルの工程に適合するメニュー項目の限定されたリストからその後に続くプロトコルの工程を選択すること、のように遂行され得る。
【0151】
拡張されたシステムにおいて、コンピュータのサーバーなどの、試料加工処理システムマネージャーは、いくつかの個々の試料加工処理システムと接続され得る。これらは、他のデバイスへの接続に関して完全に機能し得るので、自動スライドグラス染色装置101、またはスタンドアローンの自動スライドグラス加工処理システムさえも表し得る。接続が実際に存在するシステムにおいて、いくつかの自動スライドグラス染色装置、もしくは自動試料加工処理システム、またはラベルプリンタ200(図23)を電子的に接続する能力が提供され得る。先に記載のように、1つ以上の別個の完全な機能の接続されるコンピュータ181が存在し得る。これらはハブ193を通じて接続され得る。染色装置もしくはコンピュータのいずれかにマルチタスクの中央加工処理装置リソース(resource)が存在し得るか、または完全な独立性、もしくはことによると自律的操作さえも維持するために、加工処理操作に関連するマルチタスクの中央加工処理装置リソースを使用、または実行しないように設定される、いくつかの中央加工処理装置が存在し得る。接続はまた、入力についてであれ、他の操作についてであれ、インターネット接続部材、電話線接続部材、無線通信部材、またはさらには取り外し可能なメモリ部材などの遠隔リンク(取り外し可能なメモリにおけるような遠隔操作になる(made)能力を含む)であり得る。好ましい態様において、ことによるといくつかの加工処理システム、ならびにことによるとワークステーションおよびサーバー(後者は別個に、またはワークステーションの一部としてのいずれかで存在する)などのいくつかのコンピュータの間の接続は、一群のコンピュータ、および共通の通信回線を共有する関連デバイス、またはことによると無線リンクなどのローカルエリアネットワーク(LAN)の使用によって遂行され得、小さな地理的領域内の(例えばオフィスビルまたは総合ビル内の)単一のプロセッサー、メモリ、またはサーバーのリソースを共有しさえし得る。この種類のシステムのためのローカルエリアネットワークはまた、限定されないが、イーサーネット(Ethernet)部材、トークンリング部材、アークネット部材、光ファイバー分散データインターフェース部材、工業規格プロトコル、ブルートゥースに基づく部材、2.45 GHzの周波数帯を用いる電気通信工業規格、IEEE802規格を適用する通信規格、周波数ホップ(hop)通信規格、共有された共通のリンク部材、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル通信部材、パケット化情報プロトコル、共有プロトコル、私有プロトコル、およびさらには階層化(layered)プロトコル交換システムなどの機能を含み得る。種々のリソースの間で電子接続176を提供することによって、一態様における染色装置ネットワーク184(染色装置のみに、またはことによるとインテグリティ、セキュリティ、および他の目的のための試料加工処理リソースに専用のネットワーク)などのローカルエリアネットワークは、適切な情報へのアクセスを達成するために、電子メモリアドレスを伝達し得る。接続はまた、ブリッジ194(図24)を介するような、実験室ネットワーク、施設イントラネットシステム、またはさらには実験室情報システム195に対して確立され得る。
【0152】
記載のように、接続はインターネット接続で遂行され得るが、より好ましくはローカルエリアネットワーク接続で遂行される。いくつかの態様において、各試料加工処理システムは、取り付けられたPC、内部にあるPC、または他の方法で提供されたPCによって、個別に制御され得る。試料加工処理システムとシステムマネージャーとの間のデータ共有が行われ、試料バッチ、試薬、および他の薬剤、ならびに試料加工処理システムの構成要素の同定、追跡、およびステータスを可能にし得る。どのシステムがどの試薬、試薬の種類、スライドグラス、およびプロトコルを有するかの決定が行われ得る。各加工処理順序、プロトコル、またはスライドグラスについてのログファイルが加工処理ステータスをモニターするために生じ得る。データベースの保守(限定されないが消去(purge)、圧縮(compact)、バックアップ、データベース/リスト、およびアーカイブ機能を含む)、ならびにシステムの診断(限定されないが適切な操作、およびトラブルシューティングの努力における適切な補助を証明するために活動的なシステムの構成要素をはたらかせることを含む)は手動で、または自動的に遂行され得る。
【0153】
システムは、自動メモリアクセス部材を包含することによって、加工処理操作制御システム171(図22)の操作を通じて、必要とされるデータに自動的にアクセスするように設定され得る。このアクセスは、電子メモリアドレス部材178によって、ことによるとローカルエリアネットワークで、伝達され得る電子メモリアドレスを特定することによって達成され得、その後に自動データ複製メモリなどの、操作に適切な何らかのメモリの局面に該データを自動的に複製することが続き得る。このメモリとしては、限定されないが、揮発性メモリ部材によって実行されるような揮発性メモリ機能、ランダムアクセスメモリ部材によって実行されるようなランダムアクセスメモリ機能、非揮発性メモリ部材によって実行されるような非揮発性メモリ機能、電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ部材によって実行されるような電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ機能、主記憶装置部材によって実行されるような主記憶装置機能、二次記憶装置部材によって実行されるような二次記憶装置機能、キャッシュメモリ部材によって実行されるようなキャッシュメモリ機能、およびさらには取り外し可能なメモリ部材によって実行されるような取り外し可能メモリ機能が挙げられ得る。
【0154】
制御インターフェースは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)などの操作者に提供され得、種々の言語を適応させ得る。ヘルプメニューが提供され、試料加工処理において補助し得る。パスワード保護機能が提供され得、少なくともいくつかの局面に関して管理者規制さえも提供され得る。これは、システムの、または特定の染色装置の利用可能性もしくは機能、ある試薬の利用可能性機能、あるプロトコルの利用可能性機能、患者同定情報アクセス機能、加工処理優先要求機能、および即時の、緊急の、もしくはことによると迅速な(stat)加工処理要求機能の任意の局面の機能的利用可能性に関する管理者の制限を含む能力を含み得る。管理者規制部材180を包含することによって、システムは、管理者実行のユーザー制限部材、特定染色装置の利用可能性制限部材、ある試薬の利用可能性制限部材、あるプロトコルの利用可能性制限部材、患者同定情報アクセス制限部材、加工処理優先要求制限部材、即時の、緊急の、またはことによると迅速な加工処理要求制限部材、ユーザー特権入力部材、およびさらにはユーザーグループ特権の設定部材または入力部材を有し得る。
【0155】
試料加工処理の制御は、動的スケジューリングのアルゴリズムによって、およびいくつかの態様においては、先に記載した連続加工処理またはバッチ加工処理に従って、遂行され得る。好ましい態様において、加工処理順序が制御され得、したがって試料のためのプロトコルの種々の工程が、1つ以上のアルゴリズムの制御によって自動化され得る。所望の制御機能を確立するための入力の一部として、ユーザーまたは他の者の入力は以下:1)第一のプロトコルの工程を選択すること、2)第一のプロトコルの工程に適合する、メニュー項目の限定されたリストから第二のプロトコルを選択すること、および3)前述のプロトコルの工程に適合するメニュー項目の限定されたリストからその後に続くプロトコルの工程を選択すること、のように適応され得る。
【0156】
適切なリソース、引き出し、スライドグラス、試薬、または他の局面がシステムについて存在するか、または利用可能である場合、すべてのデータが入力された後、システムは作動し、評価するためにプログラミングされ得る操作即応性(readiness)測定部材177を包含することにより操作即応性を測定し得る。上に記載のように、存在すれば、必要性のある操作者に、システムは通知し得る。一度適切な操作即応性が測定されると、システムは入力データのアクセスの開始を促し、種々の項目の操作上の利用可能性を電気的に測定し得る。これらとしては、限定されないが、個々の試料の即応性測定部材を含むことによる個々の試料部材、試料の明示される群の即応性測定部材を含むことによる試料の明示される群、試料の物理的に分類された集団の即応性測定部材を含むことによる試料の物理的に分類された集団、スライドグラス引き出し構成要素の即応性測定部材を含むことによるスライドグラス引き出し構成要素、スタンドアローンの自動スライドグラス加工処理システム即応性測定部材を含むことによるスタンドアローンの自動スライドグラス加工処理システム、スライドグラス染色装置システム即応性測定部材を含むことによるスライドグラス染色装置システム部材、およびさらには使用者が起こす促進シグナルの測定部材を含むことによる、手動により生じてシステムを強要し得るか、またはシステムを作動させ得るような使用者が起こす促進シグナルが挙げられ得る。
【0157】
いくつかの態様において「泡許容度(bubble tolerance)」と称される、吸引サイクルと吸引サイクルの間などの、工程と工程の間に制御され得る、タイミング許容度さえも存在し得る。さらなる制御が、タイミングのアルゴリズムによって遂行され、「貯蔵寿命」、すなわち試薬の生存能力をモニターすることのように、加工処理システムの構成要素の時間の許容度を測定し得る。さらに、試料およびスライドグラスのシステムの中への挿入および除去の適応性のあるスケジューリングは、先に記載したように、試料加工処理システムの操作全体にわたって、進行する基準で適応され得る。
【0158】
前記のことから容易に理解され得るように、本発明の基本的な概念は種々の方法で体現され得る。それは、試料加工処理技術、ならびに試料加工処理、入力、および他の機能を遂行するための種々のシステム、アセンブリー、およびデバイスの双方を含む。本願において、試料加工処理技術はまた、記載される種々のシステム、アセンブリー、およびデバイスによって達成される、示される結果の一部として、ならびに利用に固有である工程として、開示される。試料加工処理技術は、意図され、記載されるようなデバイスを利用することの当然の結果であると理解されるべきである。また、いくつかのデバイスが開示されているが、これらはある方法を遂行するだけではなく、いくつかの方法で変化され得ることを理解すべきである。重要なことには、すべての前記のことについて、すべてのこれらの面は、本開示に包含されるように理解されるべきである。
【0159】
本願に含まれる論述は、基本的な説明としての役割を果たすことが意図される。読者は、特定の論述がすべての可能な態様を明確に記載し得るのではないことを承知するべきであり、多くの代わりのものが暗示される。特定の論述はまた、本発明の一般的な性質を充分には説明し得ず、各機能または部材が、より広範の機能、または多種多様の別の部材、もしくは均等な部材をどのように実際に表し得るかを明確には示し得ない。この場合も、これらは本開示に暗黙的に含まれる。本発明がデバイス指向性用語法で記載される場合、デバイスの各部材は暗黙的に機能を実行する。重要なことには、説明も用語法も、包含され得る特許請求の範囲をいかなる時でも限定しないものとする。
【0160】
種々の変形が本発明の本質から逸脱することなくなされ得ることもまた、理解されるべきである。かかる変化もまた、明細書に暗黙的に含まれる。該変化は、それでもやはり、本発明の範囲内に入る。示される明確な態様、多種多様の暗黙の別の態様の双方、および広範の方法、または加工処理などを包含する広範の開示は、本開示に包含され、いかなる時でも依存され得る。
【0161】
さらに、本発明および特許請求の範囲の各々の種々の部材はまた、種々の方法で完成され得る。任意の装置の態様の一態様の変形であろうと、方法もしくは加工処理の態様の変形であろうと、またはさらにはこれらの任意の部材の単なる変形であろうと、本開示は各々のかかる変形を包含するように理解されるべきである。特に、開示は本発明の部材に関するため、各部材についての単語は、均等な装置の用語、または方法の用語によって表され得ることを理解されるべきである(たとえ機能または結果のみが同じであっても)。かかる均等な、より広範の、またはさらにはより一般的な用語は、各部材または作用の記載に包含されるように考えられるべきである。本発明が権利を与えられる暗黙的に広範の範囲を明確にすることが望まれる場合、かかる用語は、置き換えられ得る。1つであるが例として、すべての作用は、該作用をするための手段として、または該作用をもたらす部材として、表現され得ることが理解されるべきである。同様に、開示された各物理的部材は、該物理的部材が促進する作用の開示を包含するように理解されるべきである。この最後の局面に関して、1つであるが例として、「保持部材」の開示は、「保持」の作用の開示を包含するように理解されるべきであり(明確に論じられていようといまいと)、逆に「保持」の作用の開示が実際上あったとしても、かかる開示は「保持部材」、およびさらには「保持のための手段」の開示を包含するように理解されるべきである。
【0162】
本特許出願書類において言及される任意の特許、特許出願、刊行物、または他の参照文献は、本明細書によって、参照によって援用される。また、用いられる各用語については、本願におけるその利用が、かかる解釈と一致しないのでない限り、一般的な辞書の定義が、各用語について援用されるように理解されるべきであり、searchStorage.comによって表される定義に加えて、Random House Webster’s Unabridged Dictionary、第二版に含まれるようなすべての定義、代わりの用語、および同義語が本明細書によって参照によって援用され、かかるものはコンピュータの専門家によって理解されるような用語の意味を表すものと考えられることが理解されるべきである。最後に、本願についての任意の優先権の件は、本明細書によって付記され、本明細書によって参照によって援用される。
【0163】
付属(appendix):
一次抗体のインキュベーション時間の50%の減少
目的
ASに組み入れられたSAWチップが、手動IHC実験で先に観察された性能に匹敵することを証明すること。目標は、SAW微小攪拌が、一次抗体のインキュベーション時間の50%の減少を補償し得ることを示すことである。
【0164】
方法
CK NV試験プロトコル(AEI/AE3 1:900、S2367、K5007における標的検索)をASにて使用する。スクリーニングした扁桃の切片(section)、およびSAWチップの真上の各滴下領域に配置したマルチブロック(multiblock)を用いて、すべての滴下領域を試験する(各スライドグラス上に3つの切片)。15分の抗体のインキュベーションの間にのみ、SAWユニットは電源を入れ、これらの切片を、一次抗体とともに15分間、および30分間インキュベートしたさらなるASラックの対照切片と比較する。
【0165】
2つの他の抗体(A0452、1:100)およびKi67(Mib-1、1:400)をまた、これに従って試験した。
【0166】
結果
一般に、チップの設計にかかわらず、CK抗体とともに30分間インキュベートした対照スライドグラスよりもスコアの少ない、SAW混合に曝されたスライドグラスはなかった。これは最初の目的を満たしており、発明者らは、AdvalytixからのものであるSAW-ASラックについて、観察した最初の結果が再現され得ると結論する。
【0167】
66ページの図A1および66aページの図A2は、最初の試験系列の結果を示す。図A1:S1700およびK5007を用いるスライドグラスのCK AE1/AE3染色。15分の一次抗体のインキュベーションの間、SAWが作動。スライドグラスのスコア(1〜4)は、SAWなしで30分間インキュベートした対照スライドグラスに対して相対的(±)である(スコアが2であるスライドグラス#15を使用)。3/8-05の大きな扁桃は各SAWチップ上に配置した(組織が非常に不均質であり、スコアをつけることを妨げた)。H143の扁桃は、中央SAWユニットの上に、および下方ユニットと中央ユニットの間に配置した(一緒にスコアをつけた)。H144の扁桃は、中央SAWユニットの上に、および中央ユニットと上方ユニットの間に配置した(一緒にスコアをつけた)。
【0168】
図A2:S1700およびK5007を用いるスライドグラスのCK AE1/AE3染色。15分の一次抗体のインキュベーションの間、SAWが作動。スライドグラスのスコア(1〜4)は、SAWなしで30分間インキュベートした対照スライドグラスに対して相対的(±)である。H145の大きなマルチブロックは、中央SAWユニットの上に配置した。H146の小さなマルチブロックは、SAWユニットの上に配置した。H147の小さなマルチブロックは、SAWユニットとSAWユニットの間に配置した。
【0169】
図A1および図A2:一次抗体のインキュベーション時間を減少させての3つの個々の実験の結果。SAWスライドグラス(スライドグラス1〜12)の種々の配置を色によって示し、チップに用いた電力(dBm)も示す。SAWなしで30分間インキュベートした2つの対照スライドグラスに加えて、SAWなしで15分間だけインキュベートした基準スライドグラス(基準15分)を示す。対照スライドグラスについて、実際のIHCスコアを示し、残りのスライドグラスについては、該スライドグラスと残りのスライドグラスとの差を示す。
【0170】
図A1および図A2より(図26も参照)、SAW微小攪拌でCKインキュベーション時間を50%に減少させ得、それでもなお扁桃およびマルチブロックの組織の双方を用いて匹敵する染色を得ることができることは明らかである。対照的に、時間を50%減少させることだけでは、はるかに弱い染色および有意なシグナルの損失をもたらす。
【0171】
SAWユニットの効果が全スライドグラスにまでもわたったことを確認するために、発明者らは、確認するために組織をSAWユニットの真上か、またはSAWユニットとSAWユニットの真ん中(Eridan滴下領域に一致する)に配置したさらなる実験を行った。図A3:S1700およびK5007を用いるスライドグラスのCK AE1/AE3染色を参照。15分の一次抗体のインキュベーションの間、SAWが作動。スライドグラスのスコア(1〜4)は、SAWなしで30分間インキュベートした対照スライドグラスに対して相対的(±)である。H153の小さなマルチブロックは、SAWユニットの上に(1;3;5;7;9;11)、およびSAWユニットとSAWユニットの間に(スライドグラス2;4;6;8;10;12)配置した。各切片は、66bページの図A3:諸滴下領域にわたるSAW混合効率の試験、のスコアをそれぞれ得た。小さなマルチブロックの切片をSAWユニットの上に、またはSAWユニットとSAWユニットとの間に配置した、1つの個別の実験からの結果を上記に示す。結果は各々の個別の切片について示し、スライドグラス上の位置に従って位置する。
【0172】
滴下領域と滴下領域との間で、染色がより弱い傾向が存在し得るが(図A3)、該傾向は有意ではないと考えられ、1つのスライドグラスについて3つのSAWチップを用いる場合、SAWの効果は、諸スライドグラスにわたって均一であると結論される。
【0173】
SAW微小攪拌の効果をまた、2つの他の抗体であるT細胞マーカーCD3(A0452、1:100)および増殖マーカーKi67(MIB-1、1:400)について試験した。CD3抗体については、ポリクローナルCD3抗体との10分のインキュベーションの間のSAW微小攪拌は、SAWなしで20分間インキュベートしたスライドグラスに匹敵する強度の染色(位置1〜10)を与えた。最も高いエネルギー(27dBm)を有する位置11および12は、+0.5のスコアを得た。SAWなしで15分間だけインキュベートした基準は、対照と比較した場合、-1のスコアを得た。
【0174】
10分のSAWが、20分間インキュベートした対照に匹敵する(comparable to)染色強度(位置1〜12)を増大したKi67について、同様の結果が見られた。SAWなしで15分間だけインキュベートした基準は、対照と比較した場合、-0.5のスコアを得た。
【0175】
一次抗体の希釈
目的
SAW微小攪拌が一次抗体の希釈を補償し得るかどうかを評価すること。
【0176】
方法
一次抗体のインキュベーション時間を、SAWユニットの電源を入れて、30分にする。SAW攪拌なしで別に染色した組織を対照とする。
【0177】
1)大きなマルチブロック上のKi67(MIB-1、1:400)
2)大きなマルチブロック上のCD3(1:100)
【0178】
希釈系列:
実験1
スライドグラス1: 1/2希釈 スライドグラス2: 1/4希釈
スライドグラス3: 1/8希釈 スライドグラス4: 1/2希釈
スライドグラス5: 1/4希釈 スライドグラス6: 1/8希釈
スライドグラス7: 1/2希釈 スライドグラス8: 1/2希釈
スライドグラス9: 1/4希釈 スライドグラス10: 1/4希釈
スライドグラス11: 1/2希釈 スライドグラス12: 1/4希釈
【0179】
66cページ、図A4:一次抗体の希釈。Ki67およびCD3についての結果を示す。種々のSAW配置(スライドグラス1〜12)を色によって示し、チップに用いた電力(dBm)も示す。SAWなしで通常の希釈で抗体とともにインキュベートした2つの対照スライドグラスに加えて、1:2、または1:4のいずれかで希釈した抗体とともに、SAWなしでインキュベートした基準スライドグラスを示す。基準スライドグラスについては、実際のIHCスコアを示し、残りのスライドグラスについては、該スライドグラスと残りのスライドグラスとの差を示す。
【0180】
結果
図A4より、SAWが一次抗体の希釈を補償し得ることは明らかである。さらに、80 MHz 500 mWのチップが最も効率的なチップの設定であることが明白である。
【0181】
最適なSAWパルス/ポーズ比の発見
目的
一次抗体のインキュベーション時間が50%減少され、SAWチップがわずかな時間作用しているだけである場合、同等の染色強度が達成され得るかどうかを評価すること。
【0182】
方法
S1700およびK5007を用いる大きなマルチブロックスライドグラスのCK AE1/AE3染色。
Advalytixからのものであるソフトウェアは試験する4つの異なる設定:I)継続的であり、SAWユニットが継続的に作用する、II)SAWユニットが7秒間作動し、3秒間休止する7/3、III)50%の時間、SAWユニットが作用する5/5、およびIV)SAWユニットが10秒のうち3秒間作用する3/7、を可能にする。また、他のパルス/ポーズを試験する場合、手動でSAWチップのスイッチを入れ、スイッチを切ることが可能である。
【0183】
一次抗体のインキュベーション時間は、SAWユニットの電源を入れての15分にする。30分間インキュベートされるSAW攪拌なしで別に染色した組織を対照とする。CK抗体をこれらの試験において使用した。以下のパルス(SAWが作動している時間)/ポーズ(SAWが休止している時間)比を試験し、SAW混合を用いる全時間のうちの百分率をパーセントで示した。基準スライドグラスを、SAWなしで30分間インキュベートしたスライドグラスと比較した。SAWなしで30分間インキュベートしたすべての基準スライドグラスを目視検査の後、2のスコアとした。
【0184】
100% 継続に設定したパルス/ポーズ比(H154)
70% 7秒/3秒に設定したパルス/ポーズ比(H155)
50%a 5秒/5秒に設定したパルス/ポーズ比(H156)
50%b 30秒/30秒に設定したパルス/ポーズ比(H160)
30% 3秒/7秒に設定したパルス/ポーズ比(H157)
25% 1分/3分に設定したパルス/ポーズ比(H158)
16,6% 30秒/2分30秒に設定したパルス/ポーズ比(H159)
12.5% 15秒/1分45秒に設定したパルス/ポーズ比(H173)
10% 12秒/1分48秒に設定したパルス/ポーズ比(H174)
【0185】
結果
パルス/ポーズ試験の結果を図A6に示す。図A6は、同結果の図式的表示である。
【0186】
66dページ、図A5:パルス/ポーズ試験。基準スライドグラスに対するCK抗体のIHCスコアの差。
【0187】
66eページ、図A6:パルス/ポーズ試験からの結果の図式的表示。
【0188】
SAWの温度効果
SAWによってシステムに注入されたエネルギーの一部は、結局は熱になるため、SAW混合を作動させた後、スライドグラス上で温度を測定した。80 MHz 500 mWのチップの温度は、隣接するスライドグラスの温度より3℃高いことがわかった。66fページの図A7参照。
【0189】
図A7:SAWチップ上の温度の測定値。左)スライドグラス上の300 mlの洗浄緩衝液についての80 MHz、500 mWでの温度プロフィール、およびSAWを止めた(turned of)ばかりの0.5秒ごとの温度収集(青色)、ならびにSAWなしでの基準スライドグラス(紫色)。右)IHCスコアは、種々の温度の下での一次抗体のインキュベーションについての実験から生じ、SAWと比較している。一次抗体とのインキュベーションの際の温度の上昇は、IHCスコアを増大させることに注意されたい。SAWで観察されたIHCスコアの増大は、温度の上昇によって説明することはできないが、混合の効果であるにちがいない。
【0190】
温度の測定値からの詳細を下に示す。
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】図1は、支持体上の担体上の試料上の試薬の滴を示す。
【図2】図2は、該滴が試料全体を覆うような期間後の試薬の滴を示す。
【図3】図3は、試薬が試料と混合されたか、または試料によって吸収されたときである少し後の同じものを示す。
【図4】図4は、試料担体内での振動器の実施を示す。
【図5】図5は、支持体内での振動器の実施を示す。
【図6】図6は、支持体内の3つの振動器を示す。
【図7】図7は、振動器の別の位置を示す。
【図8】図8は、振動器の別の位置を示す。
【図9】図9は、振動器の別の位置を示す。
【図10】図10は、円形コンベア機器を概略的に示す。
【図11】図11は、円形コンベア機器を概略的に示す。
【図12】図12は、自動化された加工処理機器の態様を概略的に示す。
【図13】図13は、自動化された加工処理機器の態様を概略的に示す。
【図14】図14は、カバーに埋め込まれた振動器を示す。
【図15】図15は、本発明の好ましい態様による自動化された加工処理機器を示す。
【図16】図16は、フレームおよびカバーなしの同様の機器を示す。
【図17】図17は、本発明の一態様の試料担体アセンブリーの一部の態様、すなわち、単一の引き出し内のスライドグラスラックの図示である。
【図18】図18は、図15の自動化された加工処理機器におけるロボットアームの態様の図示である。
【図19】図19は、IHC加工処理の流れ図を示す。
【図20】図20は、IHC加工処理の一覧表を示す。
【図21】図21は、1つの染色装置を、1つのマネジャーおよび1つのラベルプリンタと接続するネットワークの態様の図示である。
【図22】図22は、内部ソフトウエアの特徴のいくつかを示すブロック図である。
【図23】図23は、多数の染色装置を、多数のマネジャーおよび多数のラベルプリンタと接続する態様の図示である。
【図24】図24は、システムを研究室ネットワークおよび研究室情報システムと接続する態様の図示である。
【図25】図25は、Autostainer内のSAW-ラック設置の好ましい態様を示す。
【図26】図26は、顕微鏡スライドグラス上でのSAW混合の原理を概略的に示す。
【図27】図27は、SAW混合なしでの乳癌のサイトケラチン(褐色)染色の光学マイクロ写真を示す。
【図28】図28は、SAW混合後の乳癌のサイトケラチン(褐色)染色の光学マイクロ写真を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2004年10月6日に出願され、表題が「Enhanced Sample Processing System and Methods of Biological Slide Processing」である米国特許仮出願第60/616,444号の出願日および優先権の利益を主張し、前記特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。本出願はまた、以下の国際特許出願およびそのそれぞれの米国国内段階出願: 2003年12月15日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/DK2003/000877;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/DK2003/000911;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040518;2003年12月22日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040880;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040591;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040520;2005年2月28日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US20O5/006383;2003年12月22日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/041022;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040974;2003年12月19日の国際出願日を有する国際特許出願PCT/US2003/040519と関連する。本出願は、さらに2003年12月19日に出願された同時係属中の米国特許出願第10/741,628号;2003年12月8日に出願された同時係属中の米国特許出願第10/731,316号;2005年4月30日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/119,417号および2005年6月20日に出願され、代理人整理番号P115US02を有する表題が「Method and Apparatus for Automated Pre-Treatment and Processing of Biological Samples」である同時係属中の米国特許出願と関連する。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、試料加工処理(processing)システムおよび試料の加工処理のための事象の集合体(aggregate)のスケジューリング方法または加工処理システムの分野に関する。本発明は、スライドグラス(slide)などの担体に配列された試料の自動化された加工処理、処理または染色に関し得、いくつかの態様では、試料および担体の連続またはバッチ加工処理に関し得る。態様は、さらに、試料加工処理ならびに試料加工処理のためのデータの入力、取得、維持および検索のための制御システムに関し得る。本発明が特に関連し得る適用としては、免疫組織化学、インサイチュハイブリダイゼーション、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、特異的(special)染色および細胞学、ならびに潜在的な他の化学的および生物学的適用が挙げられる。
【0003】
(発明の背景)
免疫組織化学的(IHC)適用ならびに他の化学的および生物学的解析における試料加工処理は、1つまたはいくつかの種々の加工処理シーケンスまたはプロトコルを、1種類以上の試料の解析の一部として必要とし得る。試料加工処理シーケンスまたはプロトコルは、病院の病理学者または組織学者などの解析を必要とする個人または組織によって規定され得、さらに、実施される具体的な解析の指示(dictate)によって規定され得る。本明細書において使用される特定の試料の加工処理のためのプロトコルは、自動化された試料加工処理システムにおいて特定の試料の加工処理を規定する加工処理などの事象のシーケンスを意味する。
【0004】
解析試料の調製において、生物学的試料は、公知の試料取得技術から取得され得、例えば、IHC適用では、組織一般、またはさらにいくつかの適用では、マイクロアレイ試料などの1種類もしくは複数種類の単離された細胞を含み得、試料担体、例えば限定されないが顕微鏡スライドグラスに提示し得る。さらにまた、試料は、なんらかの保存形態の種々の潜在的な担体に提示し得る。一例として、皮膚の層または薄片などの試料はホルムアルデヒド中に保存され、試料を浸透させた1つ以上のパラフィンまたは他の化学層とともに担体に提示され得る。
【0005】
例えば、免疫学的適用は、脱パラフィン化、標的回復(retrieval)、試薬適用、および染色、特にインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)技術などの工程を含む加工処理シーケンスまたはプロトコルを必要とし得る。いくつかの適用において、これらの工程は、手動により行なわれ得るが、潜在的に時間集約的プロトコルをもたらし、人が積極的に試料加工処理に関与することを必要とし得る。自動で行なわれる場合であっても、かかる系には非効率性が存在している。好都合な試料加工処理および手動による操作の負担の軽減の必要性に対処するため、試料加工処理を自動化する試みが行なわれた。しかしながら、かかる以前の取り組みは、自動化された試料加工処理システムのある種の特定の必要性に充分に対処し得ていなかった。試料加工処理を自動化する以前の取り組みは、充分なコンピュータ制御および試料加工処理のモニタリングの欠如;加工処理プロトコルおよび加工処理状態、特に個々の試料に関して共有される情報の欠如;実用的な情報入力および加工処理規定エントリー能力(process definition entry capability)の欠如;診断能力の欠如;および多数の試料のバッチ加工処理のためのリアルタイムまたは適応能力の欠如など、よりロバストな自動化された試料加工処理を妨げるいくつかの局面において欠陥性であり得る。
【0006】
Ventana Medical Systems, Inc.に対する米国特許第6352861号およびLabVision Corporationに対する米国特許第5839091号などのスライドグラスなどの担体に提示される試料の自動化された試料加工処理における過去の取り組みは、本明細書に示す種々の利点および他の組合せの特徴をもたらさなかった。
【0007】
自動化された加工処理システムのユーザーに対して重要であり得る種々の局面の1つは、加工処理を実行中にその変更を可能にすることである。これに関し、しばしば、操作者が、いくつかの様式で、集合体を挿入または変更する前に既存のシーケンスを終了させるのを可能にしなければならないことが考慮されている。また、操作者は、しばしば、加工処理または機器または結果の完全性を確実にするための特別な知識および技能が必要であった。本発明は、かかる効果をある程度低減させることを追求し、ユーザー、操作者、供給業者または製造業者がより使いやすい(friendly)ことがより考慮され得るシステムを提供することを追及し、実環境の条件および事象に適合可能であり得る。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、いくつかの観点から、自動化された試料加工処理の操作が大いに改善され得る自動化された試料加工処理システムを提示する。本発明によれば、各位置が、少なくとも1種類の生物学的試料を有する試料担体(例えば、顕微鏡スライドグラス)を受けるように配列されている複数の位置を含む自動化された試料加工処理システムが提供され、ここで、該システムは、試料および/または試料に適用される試薬に振動を伝導させるために、試料担体またはカバーと接触するように適合された配列された少なくとも1つの振動器手段をさらに含み得、振動器手段の作動が試料の加工処理を制御するプロトコルによって制御される。
【0009】
好ましくは、試料担体用の複数の位置の各々は、試料担体またはカバーを振動させるように配列された少なくとも1つの振動器部材(element)を含む。いくつかの態様では、試料担体用の複数の位置の1/3などの一部のみが、試料担体またはカバーを振動させるために配列された少なくとも1つの振動器部材を含む。これに関し、「複数」は、10、16、20、32、40、50もしくは64、またはさらに大きいものなどの7を超える任意の数を意味する。
【0010】
好ましくは、複数のスライドグラスの加工処理は、試料加工処理システム内に存在する試料に関するすべてのプロトコルに規定されたすべての加工処理工程をスケジューリングする多事象スケジューリングプログラムによってスケジューリングされる。かかるスケジューリングは、国際特許出願公開公報WO 2004/058404 A2に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0011】
試料および/または試薬および/またはプローブに負荷される振動は、混合および反応を改善または加速し得、種々の加工処理工程下で反応時間を減少させ得、それにより、より高速な試料の加工処理が可能になる。最適なスケジューリングは、振動の使用によって可能となる時間の減少の利益を得るため(order to)、自動化された加工処理システムにおいて必須である。
【0012】
好ましくは、振幅および周波数、連続またはパルス型などの振動の型は、各加工処理工程に関して、または特別に適合されるように選択される。試薬が非常に高い粘度を有する場合、振動は、振動中に粘度が減少するような様式で試薬の特性に影響を及ぼし得る。次いで、試薬を、好ましい様式で試料に散布し、試料のすべての領域と接触させ得る。振動は、音波であってもよい。好ましい態様では、適用する音波の波長は、試料の大きさのものよりも小さいか、または試料の大きさと同じオーダーの大きさである。
【0013】
本発明の本質的な特徴は、特定の試料に振動を提供する部材が、特定の試料の試料加工処理を制御する特定のプロトコルによる精密で正確な制御下にあるべきであることである。小さな振動がいくつかの加工処理工程中の加工処理を改善することがあっても、かかる振動は、他の工程の劣化を引き起こし得、これらの工程では回避されなければならない。一例として、これは、かかる振動がクロモゲン処理工程の間に適用された場合、試料染色を劣化させ得る。
【0014】
加工処理工程中に試料および試薬またはプローブの振動を導入する主な利点は、特定の加工処理工程を達成するために必要とされる加工処理時間が、いくつかの加工処理工程で相当短縮され得ることである。加工処理時間の短縮は、非常に好ましい利点である。より詳しくは、該方法は、洗浄、脱パラフィン化および再水和工程に非常に有利である。これらの工程では、例えば、約5〜10分間の加工処理時間が約1〜3分間に短縮され得る。抗体および可視化工程では、振動は、該加工処理を改善し、より良好なシグナルを提供するようである。ハイブリダイゼーション工程中に振動を用いることにより、この工程は短くなり得、望ましくない乾燥が低減される。
【0015】
本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい態様では、少なくとも1つの振動器部材が、試料担体と支持的に接触するように配列された部材に埋め込まれる。あるいは、別の好ましい態様では、少なくとも1つの振動器部材は、試料担体上の試料を被覆するように配列された部材に埋め込まれ得る。
【0016】
本発明による自動化された試料加工処理システムは、試料担体が円形コンベア(carousel)上に負荷され得る種類のものであり得る。あるいは、自動化された試料加工処理システムの異なる態様では、試料担体は、複数の通常は閉鎖されている引き出し(drawer)の中の開放引き出しに連続的に負荷され得、ここで、加工処理は、すべての閉鎖引き出しで継続され得、特定の引き出しでは、試料担体を開放引き出し内に挿入するために引き出しを開放するために加工処理が停止され得る。
【0017】
本発明による自動化された試料加工処理システムのさらなる態様において、試料担体は複数の独立した位置に配列され得、移動手段は、1つの位置から別の位置への試料担体の移動を実行するように配列され得る。位置の少なくとも1つは、特定の加工処理工程のために提供され得、位置の少なくとも1つは、振動器部材を含み得る。本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい一態様では、複数の独立した位置は、並進運動(translational movement)によって試料担体を特定のレベルに上昇および挿入することができる輸送手段を囲むかまたはこれに隣接する位置のいくつかのレベル(階層)を含むコンパクトな回転式対称ユニットに配列される。
【0018】
好ましくは、複数のスライドグラスの加工処理は、試料加工処理システム内に存在する試料に対するすべてのプロトコルに指定されたすべての加工処理工程をスケジューリングするスケジューリングプログラムによってスケジューリングされる。
【0019】
本発明による自動化された試料加工処理システムのさらなる態様では、スケジューリングプロセスは、各々、特定のプロトコルを有する新たな試料を有する新たな組の担体の挿入後に繰返される。
【0020】
本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい態様では、加工処理は、以下の加工処理工程: 洗浄、脱パラフィン化、再水和、標的回復、試料調整、酵素/抗体適用、プローブ/試薬適用、リンス処理、脱水、乾燥およびマウント(mounting)からなる群の少なくとも1つの加工処理工程中に振動の適用を含む。好ましくは、本発明による自動化された試料加工処理システム内での加工処理は、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、免疫組織化学(IHC)技術、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH);試料の特異的染色(SS)、およびマイクロアレイ;特に、標的回復または試料の染色が取り込まれた技術からなる群に属する加工処理を含む。
【0021】
本発明による自動化された試料加工処理システムの好ましい態様では、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動器部材の適用の開始および停止を制御することを含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の周波数を制御することを含む。かかる状況において、周波数の最適な選択は、材料特性に依存する。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、適用する振動のパルス長または持続時間を制御することを含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の周波数の掃引(sweep)を含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の周波数の変調を含む。好ましくは、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動の振幅を制御することを含む。好ましくは、振幅の制御は、振幅の上限を含み得る。好ましくは、振幅の上限は調整され得る。
【0022】
本発明による自動化された試料加工処理システムのいくつかの好ましい態様において、振動器部材のスケジューリングおよび制御は、振動器部材によって振動させる試料の加工処理を規定するプロトコルに関連する。異なるプロトコルに従って加工処理される新たな試料が、振動器部材によって振動される位置内に負荷される場合、スケジューリングおよび制御は異なり得る。
【0023】
本発明による自動化された試料加工処理システムのいくつかの好ましい態様において、少なくとも1つの振動器部材の制御は、振動が試料に適用されるべきでない場合、特定の試料の加工処理を制御する具体的なプロトコルに従ってエネルギーが全く、またはほとんど振動器に分散されないことを確実にするエネルギー管理システムを組み込むか、含むか、またはこれに関する。いくつかの好ましい態様では、振動器は、1〜10秒間、好ましくは3〜5秒間の短時間作動させ、次いで、長時間動作を停止する。好ましくは、動作の停止時間は50〜70秒間である。
【0024】
本発明による自動化された試料加工処理システムの特に好ましい態様では、該システムが複数の部材を備える染色装置(stainer)であり、各部材は、顕微鏡スライドグラスを支持するように、またはこれに接触して配列され、ここで、各部材は、顕微鏡スライドグラスに振動を伝える能力を有する振動器を備え、染色装置は、前記振動器への電力を調節する複数の振動制御装置をさらに備える。前記振動制御装置の各々は、スライドグラス上での試料の加工処理を制御するために設計された特定のプロトコルに依存して制御される。
【0025】
本発明による自動化された試料加工処理システムのための振動器部材の好ましい態様では、振動器部材は、担体(例えば、顕微鏡スライドグラス)に埋め込まれる。あるいは、振動器部材は、担体用の支持体に埋め込まれ得る。好ましくは、支持体はまた、試料の温度を増加させるための加熱手段を含む。したがって、振動器部材は、試料の温度を増加させるための加熱プレートに埋め込まれ得る。
【0026】
本発明による自動化された試料加工処理システムのための振動器部材のさらなる態様では、振動器部材は、担体上の試料を覆うように配列されたカバーに埋め込まれる。好ましくは、振動器部材は、直接接触か、好ましくは、液体の薄層を介してのいずれかで担体と接触するように配列される。振動器部材は、担体の縁、あるいはまた担体の表面と接触するように配列され得る。
【0027】
本発明による自動化された試料加工処理システムのための振動器部材の一態様では、振動をタッピングロボットアームによって発生させる。別の態様では、振動を電気振動器によって発生させる。
【0028】
振動器部材は、圧電部材であってもよく、レーザー作動型部材であってもよい。
【0029】
現時点で好ましい態様(ambodiment)では、本発明による自動化された試料加工処理のための振動器部材は、表面弾性波(SAW)を発生させるSAWチップである。
【0030】
本発明の好ましい態様による自動化された試料加工処理方法は、
ロボット型試料加工処理機能によって自動化された加工処理操作事象を引き起こす自動化された加工処理操作能力を有する自動化された試料加工処理システムを確立する工程;
自動化された試料加工処理システムにおいて生物学的試料を複数の担体に負荷する工程;
試料加工処理システムが、負荷された試料の各々の試料加工処理の制御のための少なくとも1つのプロトコルを規定するのを可能にするデータをロードまたはアクセスする工程;および
少なくとも1つの加工処理工程下で加工処理を増強する少なくとも1つの振動器部材を用いて試料加工処理を行なう工程
を含む。
【0031】
本発明による方法は、複数の洗浄工程を含み得、ここで、洗浄効果を増強するため、洗浄工程の少なくとも1回を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は脱パラフィン化工程を含み得、ここで、脱パラフィン化を増強するため、脱パラフィン化工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は混合工程を含み得、ここで、混合を増強するため、混合工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法はマウント工程を含み得、ここで、マウント工程は、ポリマーが所望の領域上に容易に流動および塗布(spread)され、マウントが増強されるようにポリマーの粘度に影響を与えるために、振動器部材による振動の適用を特徴とする高粘性ポリマーの適用を含む。あるいはまたはさらに、本発明による方法は、加熱工程を含み得、ここで、スライドグラス上の試料において均一な温度を提供するのを補助するため、加熱工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は再水和工程を含み得、ここで、再水和を増強するため、再水和工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は標的回復工程を含み得、ここで、標的回復を増強するため、標的回復工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。あるいはまたはさらに、本発明による方法は酵素適用または抗体適用工程を含み得、ここで、酵素または抗体の適用を増強するため、酵素または抗体適用工程を振動器部材による振動の適用と組み合わせる。
【0032】
本発明による方法において、振動器は、好ましくは、波動によって補助される少なくとも1つの加工処理に適合させた波長の音波を発するように配列される。好ましくは、振動器は、試料担体より小さいか、またはほぼ同じサイズ、より好ましくは、加工処理される試料より小さいか、またはほぼ同じサイズである波長の音波を発するように配列される。好ましくは、本発明による方法は、IHC、SS(特異的染色)、ISHおよび細胞学に適用される。
【0033】
本発明の別の好ましい態様による自動化された試料加工処理方法は、
ロボット型試料加工処理機能によって自動化された加工処理操作事象を引き起こす自動化された加工処理操作能力を有する自動化された試料加工処理システムを確立する工程;
自動化された試料加工処理システムにおいて生物学的試料を複数の担体に負荷する工程;
試料加工処理システムが、負荷された試料の各々の試料加工処理の制御のための少なくとも1つのプロトコルを規定するのを可能にするデータをロードまたはアクセスする工程;および
少なくとも1つの加工処理工程下で加工処理を増強する少なくとも1つの「タッピングまたはノッキング」部材を用いて試料加工処理を行なう工程
を含む。
【0034】
好ましくは、本発明による自動化された試料加工処理システムは、作動中の該システムに対する変更を受け入れる作用を行ない得、元々スケジューリングされた集合事象における変更に自動的に適合され得る。また、これは、かかるスケジューリングをどのようにして行ない得るかを調整するため、およびユーザーに、その効果が望ましくないなどの変更を取り消す機会を提供するためのより良好なアプローチを提供し得る。該システムはまた、操作者が、事象を起こすスケジュールをより最適に向上させることを可能にする自動的示唆を提供し得る。かかるシステムは、前記の国際特許出願公開公報WO 2004/058404 A2に開示されている。
【0035】
記載のように、試料加工処理は、本明細書に開示のようにして達成され得る。本開示の提供において、試料加工処理について開示された種々の実施例および設計ならびに他の開示された技術は、装置であろうと方法であろうと、またはその他のものであろうと、本発明を特定の態様に限定することを意図しないことを理解されたい。これらの記載は、むしろ、本発明が理解され得るような方法で種々の試料加工処理技術を記載するために提供する。参照により援用された記載および種々の実施例は、本発明をかかる技術のみに限定するものと解釈されるべきでない。しかしながら、本開示は、本発明の種々の態様と関連する種々の技術を含むと理解され得る。
【0036】
試料加工処理の技術およびシステムは、1種類以上の試料または1種類以上の試料の複数の群の連続的または非連続的な加工処理が提供され得るように取り組まれたものである。試料の加工処理は、各試料が従うべきプロトコルまたは多数の試料用のプロトコルによって決定され得る。本発明の局面は、1つの試料、試料の一部または全体に関して実施される加工処理工程が1つまたは複数である試料加工処理に特に適用可能であり得、かかるプロトコルは、場合によっては、試料を提示する個々の担体または個々の試料自体によって特定(identify)される。記載のように、本発明は、免疫組織化学 (IHC)技術、ならびにインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)および蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、試料の特異的染色ならびにマイクロアレイ;特に、標的回復または試料の染色が取り込まれた技術に特に適用可能であり得る。さらにまた、態様は、加工処理制御の課題に取り組む加工処理シーケンスに関し得る。
【0037】
本発明の態様は、さらに、試料加工処理のための自動化された制御システムに関し得、また、試料加工処理のためのデータの取得、入力、維持および検索、ならびに加工処理プロトコルの情報共有および処理情報、ならびに加工処理のためのリアルタイムまたは適応能力に関し得る。
【0038】
好ましい態様では、本発明は、複数の引き出し、各々が引き出しの1つに対して取り出し可能に構成されたものであり得る複数の試料担体部材、および適応的(adaptive)または他の試料加工処理制御システムを備える自動化された試料加工処理システムを含み得る。引き出しおよび試料担体は、ともに移動可能で取り出し可能であり得る。試料加工処理制御システムは、スライドグラスに関する情報あるいは該システムへの入力によって潜在的に示される1つ以上のプロトコルに従って1種類以上の試料が加工処理され得るように、試料加工処理システムを自動化し得る。この試料加工処理は、脱パラフィン化、標的回復および染色などの1つ以上のサンプリングプロトコルおよび工程を含み得る。
【0039】
いくつかの態様では、1種類以上の試料、試料担体またはスライドグラスからの情報を自動的に識別し得るセンサーが提供され得る。ある態様において、プロトコル情報は、試料加工処理制御システムによって提供されるか、または利用可能となり得る。次いで、試料加工処理システムは、1種類以上の試料もしくはことによると、スライドグラス、またはスライドグラスの1つ以上のバッチを、同時、連続的または任意の他の時間様式でユーザーまたは他の決定者によって試料について先に提供されたプロトコル情報に潜在的に従って加工処理し得る。次いで、この情報は、試料加工処理制御システムによる使用に利用可能となり得る。試料バッチまたは個々のスライドグラスは、適応的試料加工処理制御システムによって達成される制御およびモニタリングによって加工処理プロトコル工程中に挿入または取り出されさえし得る。
【0040】
本発明による好ましい自動化された試料加工処理方法は、複数の試料または試料引き出しの少なくとも1つを評価する工程、少なくとも1種類の試料を有するように構成された少なくとも1つの試料担体または、ことによると、試料担体保持アセンブリーを提供する工程、少なくとも1つの引き出しが少なくとも1つの試料担体を有するように構成する工程、および試料を適応的に加工処理する工程を含む。加工処理工程またはことによると、適応的加工処理さえ、試料の加工処理を自動化するために適用され得、試料またはスライドグラスの連続またはバッチ加工処理のいずれかまたは両方を可能にし得る。また、多数の独立した試料またはスライドグラス加工処理、およびいくつかの態様では、各スライドグラスを独立して加工処理するためのスライドグラス加工処理を提供し得る。
【0041】
本発明による別の好ましい自動化された試料加工処理方法は、プロトコルまたは試薬情報などの情報を取得または受け入れまたはアクセスする工程、かかる情報を少なくとも1つの試料加工処理システム、またはさらにスタンドアローンの加工処理システムに伝達する工程、および試料を加工処理する工程を含む。さらにまた、態様は、試料加工処理情報の取扱い、維持、共有および使用を提供し得る。これらおよび他の局面は、個々の試料または多数のバッチ加工処理に対してリアルタイムに提供され得る。また、これは、ことによると、多数のバッチ加工処理などに対して適応的に達成され得る。
【0042】
添付の図面は、説明の一部に組み込まれ、説明の一部を構成し、本発明の好ましい態様のいくつかを例示する。明細書の記述された説明および開示とともに、これらは、本発明の原理を説明する。
【0043】
(詳細説明)
以下の記載は、本発明の特徴のいくつかのより詳細な理解が容易となるように本発明の種々の態様を記載するために提供される。種々に記載した実施例および好ましい態様は、本発明を、明白に記載したシステム、技術および適用のみに限定すると解釈されるべきでない。この記載は、さらに、種々の本発明の特徴および本発明の態様に一致する単独および種々の組合せの両方の種々のシステム、技術および適用を含むと理解され得る。したがって、以下は、本発明のいくつかの特定の態様の詳細な説明である。本発明の特徴をより具体的に認識するため、読者は、図1〜28を参照して以下の記載に関して検討されたい。
【0044】
図1〜9の各々は、加工処理される生物学的試料を有する顕微鏡スライドグラスおよび振動性運動を発生させる振動器部材のいくつかの種々の位置の1つを示す。図1は、顕微鏡スライドグラスなどの担体10および支持体15と密接している担体10上の試料12の構成の一態様を概略的に示す。試薬の液滴14を試料に適用する。図2では、試薬14が大部分の試料上に広がっており、図3では、大部分の試薬が試料と混合されているか、または試料に吸収されている。図1〜3に示すプロセスは、多くの方法で達成され得る。本発明によれば、試料および試料に添加される試薬またはプローブの特性に応じて、試料を数秒間または数分間などの短時間振動させる。より具体的には、試薬の粘度が、所望の反応を得るために必要とされる時間に対して大きな影響を有する。試料に添加されるべき試薬または任意の他の物質を振動させることにより、アッセイ時間はかなり短縮され得る。さらなる実験により、より高い感度およびより良好な再現性などのいくつかの他の利益が得られ得ることが示された。これらの利点は、ことによると、試料および試薬の振動によって達成される試料および試薬のより均一な混合物によるものである。
【0045】
振動は、いくつかの方法で発生させ得る。かかる振動発生方法の2つは、(1)ロボットアームの使用による、実線矢印Aで示すようなスライドグラス上でのタッピング(軽いノッキング)、および(2)ロボットアームの使用による、点線矢印Bで示すようなスライドグラスの縁でのタッピング(軽いノッキング)である。振動は、図4に示すように担体10内、または図5〜9に示すように支持体15内、または図14に示すように試料上部のカバー内の圧電結晶などの少なくとも1つの埋め込まれた振動器部材16によって発生され得る。スライドグラス上のすべての試料および試薬の均一な攪拌を確実にするため、図6に示すように各支持体15内に2つまたは3つのかかる振動器部材16を含むことは有利であり得る。好ましくは、表面弾性波を発生させる振動器部材16はSAWチップである。
【0046】
顕微鏡スライドグラスでのSAW混合の原理を概略的に示す同様の構成を図26に示す。スライドグラスの下方にあるSAWチップが超音波マイクロ波を発生させ、これは、スライドグラス上の水滴の表面に達すると、環状波を生成する媒質を介して伝播される。チップ基板およびガラススライドグラス間のカップリング液は、混合波の変換を可能にするために必要である。カップリング液は、スライドグラスに適用される任意の液体(バッファー、水など)であり得、毛管力によってスライドグラス下の狭い空間に自動的に吸引される。
【0047】
図4〜9および26に示す振動器部材16は、自動化された試料加工処理システムにおけるすべての加工処理の制御を提供する制御装置システムから電源が制御されるように導線(図示せず)によって電源と接続され得る。より具体的には、加工処理中、任意の試料に負荷される振動は、好ましくは、その特定の試料の加工処理プロトコルに従って制御される。それにより、各試料が要望どおりに特異的に加工処理されることが確実になる。
【0048】
本発明の1つの局面は、自動化された染色装置の性能および自動化された試料の処理方法を改善するための振動器部材の使用に焦点を当てる。この局面に関し、本発明は、複数の試薬を含むステーションから、選択された試薬の一部を移動させ、その後、担体手段に配列された試料、例えば、組織、有機体細胞、細菌などに試薬を適用することにより、装置に近いかその内部の規定された位置に配置された、限定されないが顕微鏡スライドグラスなどの担体部材または手段に配列された試料を処理するための自動化された染色装置に関する。本発明のこの局面は、2種類以上の試薬を混合し、その混合物を試料に適用するのを容易にする。これはまた、試薬を混合し、混合物を試料に適用する自動化された試料の処理方法に関する。
【0049】
プローブによる試料の染色および処理のための染色装置は、通常、1つ以上の試薬バイアルを含めるための第1のステーション;スライドグラスをマウントするための第2のステーション、選択された試薬バイアルから試薬の一部を取り出し、試料が配列されたスライドグラスに試薬を適用するための配列されたプローブ、および種々のステーション間でプローブを移動させるための駆動手段を備える。
【0050】
本発明のこの局面の目的は、自動的に行なわれ得る異なる染色および/または処理プロセスの実施が容易になるように、処理の実施に使用される広範に利用可能な加工処理または手順を容易にすることにより、試料を染色するための公知の装置ならびに試料の自動染色のための方法を改善すること、あるいはまたはさらに、いくつかの特定の染色プロセスの品質の増加を提供することである。
【0051】
染色という用語は、試料の特定部分が染色され得る、すなわち、光学的範囲または紫外などの他の電磁気範囲のいずれかの異なる色を得る加工処理の最終生成物に用いられ、または染色は、蛍光特性、磁気特性、電気特性または放射能特性などの特性の検出可能な、好ましくは自動的に検出可能な変化であり得る。染色を得るため、試料は、通常、洗浄、試料の特定の部分への試薬の結合、試薬の活性化などの一連の処理工程を受けなくてはならず、各処理工程は、複数の個々の処理を含み得る。
【0052】
いくつかの染色プロセスでは、選択した試験目的に対して最良に可能な染色結果を得るため、いくぶん非適合性、例えば、水系および油系試薬などの混合不可能な、または不溶性であり得、したがって、2種類以上の試薬を手動で調製し、染色プロセスを開始する直前に試薬バイアルに導入することが必要とされる2種類以上の独立した試薬から調製される試薬の混合物を用いるための1回以上の処理が必要とされ得る。他のプロセスでは、異なる染色プロセス工程は、同じ2種類の試薬だが異なる溶解比の混合物を必要とする。いくつかのプロセス工程は、混合されると、内部化学的プロセスが混合物を劣化させるため有用性の時間枠が制限される2種類以上の試薬の混合物を必要とする。組み込まれた自動混合機を有する染色装置を提供することにより、これらの型の染色プロセスは、ずっと多くの自動化されたプロセスにおいていくつかのプロセス工程のヒト相互作用または手動操作を必要とすることなく、自動的に行なわれ得、所望の程度の試薬の混合が提供され得るため、または劣化する混合物のための最適な適用時間枠が達成され得るため、染色プロセスの質が改善され得る。
【0053】
本記載において用いる標的回復という用語は、抗原回復、エピトープ回復、タンパク質溶解(Protelytic)酵素標的回復、熱誘導型抗原回復(HIAR)、デマスキングなどを含み得る。固定された組織における特異的認識を容易にするため、しばしば、標的、すなわち目的の生物学的マーカーを、標的の反応性を増加させるための試験片の前処理により、回復または脱マスキングすることが必要である。この手順は、「抗原回復」、「標的回復」または「エピトープ回復」、「標的脱マスキング」または「抗原脱マスキング」と呼ばれる。抗原回復 (抗原脱マスキング)のさらなる概要は、Shiら 1997、J Histochem Cytochem、45(3):327に見られ得る。抗原回復は、特異的検出試薬との相互作用に対する標的の利用可能性が最大となる種々の方法を含む。最も一般的な技術は、適切なバッファー中で、例えば、プロテイナーゼ、プロナーゼ、ペプシン、パパイン、トリプシンまたはノイラミニダーゼなどのタンパク質溶解酵素を用いる酵素的消化である。代替として、または組合せで、熱誘導型エピトープ回復(HIER)は、通常、EDTA、EGTA、Tris-HCl、クエン酸塩、ウレア、グリシン-HClまたはホウ酸を含有する適切にpHが安定化されたバッファー中で、例えば、マイクロ波照射、水浴中での加熱、スチーマー、通常の炉、オートクレーブまたは圧力調理器などの熱源を用いて適用され得る。洗剤が、エピトープ回復を増加させるためにHIERバッファーに添加され得るか、または非特異的結合を低減するために希釈培地および/またはリンス処理バッファーに添加され得る。抗原回復バッファーは、ほとんどの場合、水性であるが、また、例えばグリセロールなどの水より高い沸点を有する溶媒を含む他の溶媒を含み得る。これは、常圧で100℃超での組織の処理を可能にする。さらに、信号対雑音比は、真空および超音波の適用、または試薬のインキュベーションの前またはその間での切片の凍結および解凍を含む異なる物理的方法により増加し得る。
【0054】
内因性ビオチン結合部位または内因性酵素活性 (例えば、ホスファターゼ、カタラーゼまたはペルオキシダーゼ)は、染色手順の工程として除去され得る。例えば、内因性ビオチンおよびペルオキシダーゼ活性は、過酸化物による処理によって除去され得る。内因性ホスファターゼ活性は、レバミゾールによる処理によって除去され得る。内因性ホスファターゼおよびエステラーゼ活性は、加熱によって破壊され得る。
【0055】
HSA、BSA、オボアルブミン、ウシ胎児血清もしくは他の血清などの不活性なタンパク質、またはTween20、Triton X-100、サポニン、BrijもしくはPluronics などの洗剤との非特異的結合部位のブロックが使用され得る。特定の試薬の非標識で標的非特異的な型による組織または細胞内での非特異的結合部位のブロックもまた使用され得る。
【0056】
担体部材またはことによると、手段は、複数の担体手段が、同時に装置から取り出され得るか、または装置内に位置するように、好ましくは、トレイなどに群または列で配列され、該装置はまた、好ましくは、上面に試料を有する担体手段の中間保存を行なうため、および自動的に装置から担体手段を取り出すための手段を備える。
【0057】
染色装置の操作は、一般的に、制御部材またはことによると、制御手段によって、典型的には中央演算処理装置およびこれと関連する1つ以上の記憶装置、制御部材またはことによると、ステッピングモーター、ソレノイド、バルブおよび/または装置の他の駆動もしくは制御部分を制御することにより装置の種々の操作を制御するための手段を有するコンピュータによって制御され得る。制御手段は、ワイヤによるかワイヤレスでの外部コンピュータとのデータ通信を可能にする1つ以上のデータ通信ポートを有し得る。制御手段は、装置自体に物理的に配列されている必要はないが、染色装置の外部にあり、該装置とそのデータ伝送ポートによって接続されているコンピュータであり得る。
【0058】
染色装置の操作は、一般的に、制御手段、典型的には中央演算処理装置およびこれと関連する1つ以上の記憶装置を有するコンピュータ、ステッピングモーター、ソレノイド、バルブおよび/または装置の他の駆動もしくは制御部分を制御することにより装置の種々の操作を制御するための手段によって制御される。制御手段は、ワイヤによるかワイヤレス部材での外部コンピュータとのデータ通信を可能にする1つ以上のデータ通信ポートを有し得る。制御部材またはことによると、手段は、装置自体に物理的に配列されている必要はないが、染色装置の外部にあり、該装置とそのデータ伝送ポートによって接続されているコンピュータであり得る。
【0059】
本発明によれば、振動器部材(1つまたは複数)16(図4〜9、図14)は、試料担体用の複数の位置10を備える自動化された試料加工処理システムに組み込まれている。かかるシステムは、図10および11に示すように、円形コンベアに配列された試料担体を有し得る。他に、別のシステムは、並進運動によって特定のレベルの特定の位置に試料担体を上昇または挿入することができる隣接する輸送手段7を囲むか、隣接する輸送手段7を近接しているいくつかのレベル(階層)9の位置を備えるコンパクトな回転対称ユニットに配列された複数の独立した位置を含み得る。かかる構成の概略図を図12〜13に示す。さらなる態様では、本発明による試料加工処理システムは、図15のように、試料の取扱いおよび加工処理に使用される複数の引き出し110、およびスライドグラス、潜在的には顕微鏡スライドグラスなどの試料担体を含み得る。他の試料担体は、本発明に一致するように適合(accommodate)させ得る。各引き出しは、1つまたは、ほとんどの場合いくつかの関与する特定の担体、スライドグラスまたは試料を保持する担体保持アセンブリーと適合するように構成され得る。スライドグラスの保持において、担体保持アセンブリーは、スライドグラス保持アセンブリー106としての機能を果たす。2つの広義の用語の各々には、担体ラック、モジュール、またはマガジン(magazine)もまた包含され得る。試料担体保持アセンブリーの一態様として、スライドグラス保持アセンブリー106を図17に示す。スライドグラス保持アセンブリー、および実際には一般的な担体保持アセンブリーは、スライドグラスラック、モジュールまたはいくつかのマガジンを含み得る。
【0060】
図25は、一例として、Lab Vision CorporationのAutostainerへのSAW-ラック 設置の実験装置を示す。3つのSAWチップが、各々、顕微鏡スライドグラスを支持するように設計された12個のアルミニウムブロックの各々に埋め込まれている。顕微鏡スライドグラスは、第4の位置に配置されており、適正な水平化(levelling)を確保するための水準器が第5の位置に配置される。SAW混合が作動したとき、流体がスライドグラスから「押出される(pushed off)」のを回避するため、スライドグラスが正確に水平に置かれる(level)ことが重要である。
【実施例】
【0061】
いくつか(anumber)の試験を図25に示す装置を用いて行なった。この方法は、改造Autostainer(AS)ラックに設置された異なる混合特性を有する4つの異なるSAWチップを用いて試験した。
【0062】
SAWチップは、Advalytix (Brunnthal, Munich, Germany)によって納入された。SAWチップ装置は、2つの異なる周波数および4つの異なる電力値の以下の4通りの異なるチップ設計:
周波数: 125MHzおよび電力: I)125mWおよびII)400mW
ならびに
周波数: 80MHzおよび電力 III)250mWおよびIV)500mW
を含んだ。
【0063】
SAWチップは、連続操作で使用され得るか、または種々のデュティサイクルでパルス化され得る。周波数は、それぞれ80 MHzおよび125 MHzの中心周波数付近で掃引され得る。周波数の掃引は、スライドグラスおよび試料全面において、より均一な攪拌を提供し得る。
【0064】
80MHz-500 mW SAWチップは、すべての試験において最適に機能するようであった。
【0065】
この研究の主な結論は、
・ SAW混合による一次抗体インキュベーション時間の少なくとも50%の短縮は、現在のインキュベーション時間とは無関係に、広く適用可能である。
・ 2〜4倍の一次抗体の希釈は、SAW混合により補償(compensate)され得る。
・ 一次抗体インキュベーション時間の50%の短縮は、インキュベーション時間のわずか13%の能動(active)SAW混合、例えば、約13%のデュティサイクルでのSAWチップのパルス化操作を適用することにより達成可能である。
・ 可視化工程(HRPおよびAPの両方)中に適用すると、SAWは、染色強度を増加させる。しかしながら、可視化に対する効果は、一次抗体インキュベーション中に適用した場合ほど顕著でない。
【0066】
得られた結果の一例として、図27および28は、乳癌の2つの隣接する薄片のサイトケラチン(褐色)染色の2つの光学マイクロ写真を示す。この2つの図は、乳癌の単一の組織試料のマイクロトーム調製物由来の連続切片を表す。図27では、試料切片を、一次抗体との30分間のインキュベーションを含む標準的な手順にSAW混合なしで供した。図28では、試料を、一次抗体との15分間だけのインキュベーションおよび連続SAW混合 (80MHz/500 mW) を含む本発明による新たな手順に供した。ヘマテイン(haematein)との核対比染色はないことに注意されたい。
【0067】
一次抗体インキュベーション時間の50%短縮
Advalytix製のSlideBoosterにおけるマニュアル試験によって得られた予備結果に基づき、基本的な試験目的は、自動化された機器に適用されたSAW混合が、一次抗体インキュベーション時間の50%短縮を補償し得ることを確認することであった。
【0068】
サイトケラチン抗体および変化に特に敏感な試験プロトコルを用い、本発明者らは、インキュベーション時間を30分間から15分間に短縮し、スライドグラスを比較した。IHCスコアは、30分間の対照と比べ、一貫して、連続SAWを伴って15分間インキュベートしたスライドグラスで高いことがわかった(図3参照)。
【0069】
これらの所見を実証するため、いくつかの抗体プロトコルを試験した。
CD3: 連続混合、インキュベーションを20分間から10分間に短縮。参照より高いIHCスコアが80MHz/500mWで観察された。
MIB-1: 連続混合、インキュベーションを30分間から15分間に短縮。参照より高いIHCスコアが80MHz/500mWで観察された。
Her-2 (HercepTest): 連続混合、一次抗体のインキュベーションを30分間から10分間に短縮。該システムをさらにまた強制(push)するため、すべてのスライドグラスをまた、可視化試薬中で10分間(通常、30分間)インキュベートするだけにした。驚いたことに、30分間または10分間(一次抗体)インキュベートした組織または対照細胞間で差は観察されなかった。SAW処理スライドグラスは、スコアが対照よりも高くなかった。
【0070】
以下の試験は、最適なチップ設定(80MHz/500mW)のみを用いて行なった。
【0071】
ER(PharmDXキット): 連続混合、インキュベーションを30分間から15分間に短縮。SAW処理スライドグラスは参照に匹敵した。
【0072】
CD45: 12.5%の時間の混合、インキュベーションを10分間から5分間に短縮。SAW処理スライドグラスは参照に匹敵した。
【0073】
ビメンチン:16.6%の時間の混合、インキュベーションを10分間から5分間に短縮。SAW処理スライドグラスは参照に匹敵した。
【0074】
CD34: 16.6%の時間の混合、インキュベーションを15分間から7分間に短縮。SAWなしで7分間インキュベートした参照は、15分間インキュベートした組織と等しく強力であったため、本発明者らは、SAWの効果を全く記録(register)することができなかった。後の試験で、インキュベーションを5分間に短縮し得るかどうかを調べる。
【0075】
結論として、SAW混合は、広範な抗体に関して、一次抗体インキュベーションの時間を50%以上短縮することができ、インキュベーション時間は、これらのいくつかで、さらにもっと短縮され得るようである。全インキュベーション時間の一部の時間のSAW混合の適用で得られた結果は、該システムの限界がどれだけであるかを知るための現実的なSAW設定を見出す試みとみなされるべきである。
【0076】
一次抗体の希釈
IHC性能に対するSAW混合の効果を試験する別のアプローチは、一次抗体の希釈がSAW混合によって補償され得るか否かを調べることである。
【0077】
2種類のN系列抗体CD3およびMIB-1を、SAWあり、またはなしで、1:2、1:4および1:8に希釈した(プロトコルインキュベーション時間の変化はなし)。SAWは、CD3抗体の1:2の希釈およびMIB-1抗体の1:4の希釈を補償することができた。これらの希釈度で、抗体には、通常希釈された抗体とインキュベートした参照に付けられたスコアと等しいか、または高いスコアが与えられた。
【0078】
結論として、SAW混合は、各抗体の個々の希釈限界で1:2〜1:4の範囲の一次抗体の希釈を補償し得る。
【0079】
結論として、本発明者らは、SAW混合により有効時間を約13%まで短縮すること、いくつかの抗体で一次インキュベーション時間を50%短縮することが可能であることを見出したが、この効果は、80MHz 500mWチップでのみ達成され得る。
【0080】
本発明は、アッセイ時間短縮振動器部材と上記の国際特許出願公開公報 WO 2004/058404 A2で知られたスケジューリング特徴を組み合わせた場合、特に有利である。公開公報 WO 2004/058404 A2に開示された事象スケジューラーは、複数のスライドグラス、例えば、64スライドグラスで達成されるべき多くの事象スケジューリングを提供することができ、ここで、各スライドグラスは、図19および20に示すように約30工程でスケジューリングされ得る。アッセイ時間の短縮の利益を受けるため、最も時間効率よく種々の工程をスケジューリングすることができ、多くのスライドグラスの各々のためのものである多くのプロトコルに記載される加工処理のための仕様をさらに維持することができるスケジューラーを適用することが必須である。
【0081】
本発明の目的は、染色プロトコルを完結させるため、または染色プロトコルにさらに入るための全加工処理時間が短縮され得る試料の染色装置および自動染色方法を提供することである。特に、本発明のこの局面の目的は、一般に必要とされる時間量を短縮することである。この目的のため、少なくとも1つの振動部材が、振動を試料および試料と接触している任意の試薬に伝達させるために配列される。振動部材は圧電部材であり得るが、いくつかの他の振動器が適用され得る。振動器は、顕微鏡スライドグラスなどの試料担体、試料担体の支持体または試料担体と接触し得る付近の部材に配列され得る。あるいは、振動部材は、振動させるスライドグラスが移動する特定の位置に配置され得る。
【0082】
好ましい態様において、圧電性部材16(図4〜9)は試料担体10を支持し得る支持部材15に配置される。圧電性部材16は、試料担体上の特定試料の試料加工処理に対するプロトコルによって制御された電源(図示せず)に接続されている。好ましくは、少なくとも1つの圧電性部材が、スライドグラス保持アセンブリー106(図17)の各スライドグラスに対して支持手段に配置される。好ましい態様において、圧電性部材がスライドグラスの温度を制御するために配置された加熱器手段として同一の支持部材に配置される。
【0083】
好ましくは、振動器部材は、試料担体に対して全ての位置で組み込まれ、かつ全ての加工処理工程の期間中作動し得る。しかしながら、振動は短時間のみであるのが好ましい。図20は、染色加工処理では典型的である、一連の長い種々の工程を示す。数秒の短い振動は、ほとんど全ての工程で有利であり得る。染色工程においてのみ−特に「色原体/対比染色加工処理」のDAB工程の間−振動は染色を悪くし得るか、または結果が経験のある病理医が認識し得るものとは異なり得るような方法での染色に少なくとも影響を与え得る。エオシンおよびヘマトキシリン等のいくつかの工程においてでさえ、染色振動中に染色の結果が向上し得る。
【0084】
標的回復中、初期の工程における短い振動あるいは短時間の繰り返し振動は、試料の均一な温度を提供する援助をし得る。全工程中全ての時間で振動させることは推奨しない。一般に、一工程の3〜5秒間振動させ、約60秒間振動器を止めることを推奨する。次いでこのシーケンスを数回繰り返す。
【0085】
バッファの交換を含む工程、例えば脱パラフィン工程および再水和工程において、図20に示されるもともとの時間の約5分は、約1分以下に短縮され得る。また振動を用いるとき、酵素ブロックおよび酵素加工処理(タンパク溶解(proteolyse))工程は向上し得る。抗体および視覚化工程はまた、より良いシグナルを提供することによる振動から利益を得る。
【0086】
一般に、洗浄工程の数は振動の使用によって減少し得る。これは、各工程でスライドグラス上の混合が完全である場合、一工程から他工程への「持ち越し(carry over)」が少なくなり得るという事実のためである。洗浄はより効果的となり得る。ゆっくりと拡散するポリマーを用いるとき、改善は相当なものになり得る。ハイブリダイゼーション効果はプローブ濃度に非常に依存する;したがって振動はまた、プローブおよび試料の混合を改善することによってハイブリダイゼーションを大いに改善し得る。
【0087】
前記のことから明らかであるように、各加工処理工程の多くの時間が節約され得る。しかしながら、自動加工処理器械加工処理工程においてこれから実際の利益を得るために、例えば64枚の各スライドグラスは約30の異なる工程を受けるスケジューリングであり、いくつかの工程は、ほんの数マイクロリットルの特定の試薬を取り上げるために移動し、次いで該試薬で処理される試料を有するスライドグラスの位置に移動するロボットアームを必要とする。ロボットアームのかかる動作は時間を要し、かつ全てのスライドグラスは試薬で処理されなければならず、前工程後の特定の時間が好ましい。最適な方法、すなわち全てのスライドグラスができるだけ速く加工処理されるような方法において、約30の異なる工程が種々のプロトコルによって64枚のスライドグラスにスケジューリングされなければならない場合、スケジューリングは大いに複雑な仕事である。
【0088】
上記のように、振動器部材が有利に使用され得る自動化試料加工処理システムの現在好ましい態様は図15〜18に例示され、詳細は以下に記載される。この好ましい自動試料加工処理システムのさらなる局面および詳細は、以下の国際特許出願公開:国際特許出願公開第WO 2004/057307 A1号、国際特許出願公開第WO 2004/057308 A1号、国際特許出願公開第WO 2004/058950 A1号、国際特許出願公開第WO 2004/059287 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/058404 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/059284 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/059288 A2号、国際特許出願公開第WO 2004/059411 A2号、および国際特許出願公開第WO 2004/059297 A1号に提供され、各々は、それぞれその全体が本明細書中に参照により援用される。
【0089】
図15は、本発明による試料加工処理システム101の上面図を示す。試料加工処理システム101は、ある程度所望の結果を達成する事象の適切なシーケンスを達成するために設定される。ある程度自動様式でこのシーケンスを達成することにおいて、試料加工処理システムは自動試料加工処理システムと考えられ、少なくとも一試料の自動加工処理を達成する。この自動シーケンスおよび本発明の他の局面は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらのいくつかの組み合わせによって制御され、限定された人間の仲介で所望のシーケンスが到達され得る。どのように達成されるかに関わらず、自動制御は種々の作業を指示するための加工処理操作制御システムによって提供され得る。図22に示されるように、これ(および論じられた他の機能)はソフトウェアプログラミングまたはサブルーチンであり得;その上、またハードウェア等を含み得る。加工処理された試料198(図17)は任意の材料であり得るが、最もあり得るのは生物試料または生物標本等、あるいは例えば組織および細胞標本、細胞、細胞の集団、または組織試料の組織学試料等の生物材料であり、その定義は細胞株、タンパク質および合成ペプチド、組織、細胞プレプ、細胞調製物、血液、体液、骨髄、細胞学標本、血液スミア、薄層調製物、およびマイクロアレイを含む。またスライドグラスベースの生物試料を含むことも理解されたい。使用される場合、試料は、試料の位置または(integrity)を維持し得るスライドグラス、または顕微鏡スライドグラス等の担体部材197(図17)上に配置され得る。担体部材197は移動のために設定され、かくして試料198の位置を変える。したがって、それは可動担体部材と見なされ得る。スライドグラスの加工処理において、自動試料加工処理システムは、自動スライドグラス加工処理システムとして役立ち得る。
【0090】
自動シーケンスは多数の有意な工程を含み得る。実際、各加工処理それ自体はその目的達成のために多くの自動移動を必要とし得る。これらの型のそれぞれの操作または動作(action)は、器械の操作を理解するのに関連し得る。さらに、これらの型のそれぞれの操作またはより少数の一組の重要な事象が、試料加工処理操作の重要な詳細と考えられ得る。後に説明するように、全てのこれらの操作、これらの操作のいくつかの部分集合、これらの操作の1/2、これらの操作の1/3等、多数の有意なこれらの動作に関する情報を得ることは重要であり得る。さらに、目的であり得る事象の性質または型でさえ変化し得る。一般に、操作または加工処理の適性(propriety)を示し得る任意の事象は、主題であり得る。当然、自動加工処理を達成するために、所望の種々の試料加工処理または加工処理操作をスケジューリングする必要がある。これは、複合事象スケジューラー401(図22)として実行されるソフトウェア等の項目(item)によって達成され得る。
【0091】
システムの特定の設計は、システムの外側部分を形成し、システムの一般的構造考慮事項(consideration)に取り組む(address)のに役立ち得る キャビネット部分102(図15)を含み得る(上部キャビネット部分は図15に示されないことに留意されたい)。
【0092】
図17のスライドグラス保持アセンブリー106は、試料担体装置108に対応する少なくとも一つの設定において、多数のスライドグラスを収容するために設定され得る。試料担体保持アセンブリーは、以下にさらに記載されるような試料の加工処理に利用される。試料担体保持アセンブリーは、引き出し110を有して移動可能に設定され、他の保持アセンブリーの中に積み重ねられるかまたは入れ子状に重ねられ得る。
【0093】
一般的な試料加工処理システム101、および試料加工処理システム101の1つ以上の引き出し110でさえ、試料加工処理用の試薬容器199等の材料加工処理を収容し得、またさらに以下に記載される。図15に示される容器ラック111等の材料加工処理保持アセンブリーは、各引き出し110の内側に試薬容器199(図16)または他の材料加工処理を収容するために利用され得る。これらの引き出しは、自動操作のある段階中での接近を妨げるようなプログラミングによってロック可能である。材料加工処理保持アセンブリーおよび引き出しの内側に適切な材料加工処理が配置されるのを確実にするために、ボトル挿入は、好ましくは保持アセンブリーとともに設定され得る。
【0094】
多数の引き出し110は、1つまたは複数の試料加工処理プロトコルがシステム101によって実行され得るために含まれ得る。前記したように、試料加工処理での過去の努力は、システム内の担体の全バッチに対する加工処理シーケンスを限定してきた。しかしながら、多数の引き出しおよび担体保持アセンブリーの提供部分において、本発明は個々の加工処理、バッチ加工処理、または以下にさらに記載されるようなリアルタイムもしくは適応可能性を含む多数のバッチ加工処理を可能にし得る。振動器部材は、できるだけ速く加工処理される試料用に特別に配置された一つの引き出し、または任意の数の引き出し、好ましくは全ての引き出しの位置に組み込まれ得る。
【0095】
インジケーター部材112(図15)は、システムの操作者のために引き出しの状況および接近可能性、ならびに各引き出し110の内側の担体または材料を示すために提供され得る。一態様において、好ましい態様における発光ダイオード等の視覚インジケーターは、試料加工処理システムの操作中、引き出しが利用可能かあるいはロックされてないかどうかの指示のために用いられ得、かつ対応する引き出しのロックされた状態(condition)または開放状態、引き出しの担体収容状況または引き出しの内側の担体保持アセンブリーの担体収容状況、および試薬負荷状況または許容量等の試料加工処理システムの化学物質残存(chemical inventory)状況等の状態を示し得る。警告指示はこれらまたは他のインジケーター部材、および他の表示シグナルによって与えられ得る。1つまたは多数のセンサは、インジケーター部材112によって示されるような引き出しの状況を決定するために利用され得、さらに以下に記載されるような加工処理状況をさらに提供するために利用され得る。かくして、システムはロック可能な試薬保持アセンブリー中に少なくとも1つの物質を提供し得る。興味深いことには、ロック可能な試薬保持アセンブリーは、一般にロックされてない状態で設置され得るか、あるいはシステムが稼動する大部分の時間、ロック可能な試薬保持アセンブリーはロックされ得ないので、したがって操作者はその引き出しにアクセスし得る。これはまた、システムが稼動する有意な部分の時間に、あるいは例えばかかる時間の75%の間存在し得る。このようにして、システムは一般にロックされていない試薬保持アセンブリーを提供するとみなされ得る。
【0096】
材料加工処理ユニットは、試料加工処理システム101に対して種々の材料加工処理を提供するために、ならびに試料加工処理中に生成される廃棄物の有害および非有害分離と相互汚染(cross-contamination)の回避し得るために利用され得る。本発明の一態様において、材料加工処理ユニットは、脱パラフィン溶液または試料加工処理に利用される他の材料等の1つ以上の容器を収容するために設定され得る。いくつかの態様において、該ユニットはまた、試料加工処理からの廃棄材料の収集を提供するための廃棄物容器を収容し得る。管状材料(tubing)または他の流体伝動部材は、容器および試料加工処理システム101に接続され得る。管状材料または他の流動性伝動部材はまた、廃棄物容器およびシステム101に接続され得る。
【0097】
本発明は、さらに本発明の方法を行うために上記したような本発明の装置の使用に関する。図に示され、以下に詳細に記載される態様は、単に本発明による装置の一例であり、添付された特許請求の範囲に記載されるような本発明のより広い範囲を限定しない。
【0098】
図16に示されるように、本発明のこの局面の詳細な記述の一態様は、染色装置201を含む。染色装置201は、区画(compartment)のアレイを含む第一ステーション202を取り囲む長方形のフレーム204を含み得、各区画には試薬バイアル203が配置され、第二ステーション205には多数の分離ラック206が配置され、各ラックはラック206に並行してマウントされた多数のスライドグラス207を含み得る。示される態様において、各ラックはスライドグラス8枚までを保有し得るが、ラックは任意の好適な数のスライドグラスを保有するために設計され得る。8つのラックを並行に配置することで、示された態様はスライドグラス207を64枚まで保有し得、各々は試料、例えばスライドグラスの上面にマウントされた組織を有し、そのため試薬が上方から各々のスライドグラス上の試料に適用され得る。
【0099】
矢印XおよびYで示されるように、プローブ210をX方向およびY方向に移動させるためのロボットアームは、染色装置のフレーム204の上方に配置され得る。したがってロボットアームは、全ての試薬容器203の上方および全てのスライドグラス207の上方にプローブ210を設置し、各スライドグラス207上の試料の選択された染色または加工処理を提供するために、プローブ210をさらに操作して任意の容器203に含まれる試薬部分を取り出し、試薬部分を移して、それを任意のスライドグラス207に適用する。好適な制御部材、例えば適切なソフトウェア、サブルーチン、または目的のための入力データを有するコンピュータの使用によって、この染色装置201は自動的に染色し得るか、または異なる染色もしくは処理試薬および加工処理を必要とする試料を自動的に処理し得る。
【0100】
適切な入力データを有するので、装置の制御部材あるいは手段がロボットアームを操作し、プローブを第1試薬容器203に動かすことによる染色または加工処理実行を開始し得、そこで制御部材に提供された入力データに従って、プローブの先端が挿入されて、染色されるかまたは加工処理される試料の数に応じた量の液体がプローブ210中に吸引される。さらにある条件下で、染色または加工処理実行が開始され得る前に、試薬の残量確認(inventory)を行うために器具が必要とされ得る。この残量確認は、各試薬バイアル203の液体表面に実際に触れるプローブ先端の使用によって達成され得る。種々の容器203における試薬間の相互汚染を妨げるために、試薬レベルの各測定後にプローブ210または少なくともプローブ先端の洗浄が必要とされ得る。
【0101】
プローブ210は、ロボットアームによってスライドグラス207がマウントされたスライドグラス保持アセンブリー205の方へ移動され得る。スライドグラス207は表面が水平に指向して位置され、入力データに従って、プローブ124は必要とされる量の試薬を適切なスライドグラス上に分配し得る。あるいは、プローブ124はロボットアームによって試薬混合機209の方へ移動され、ここでそれは試薬を試薬混合機209のカップに放出し、続いてプローブ洗浄ステーション208へ移動し得る。ロボットアームは、第2のバイアル203から選択された容量の試薬を収集するために、新洗浄プローブを第2の選択された試薬バイアル203に移動させ、その後、プローブはロボットアームによって試薬混合機209へ移動し、プローブ210中の試薬を第1の選択された試薬を含む混合機のカップに放出し得る。特定の染色または処理過程のために2種より多い試薬を混合する場合、これは数回開始され得る。
【0102】
自動加工処理システムに対する要望にしたがって、本発明の態様は、所望の操作工程を達成するために、加工処理操作制御システム171(図22)に応答するロボット試料加工処理機能またはロボット運動システム172(図16、22)を含み得る。これは、試料加工処理に利用されるアーム120(図15)をさらに含み得、潜在的にロボットの移動、およびいくつかの態様においてデカルト移動(Cartesian movement)を有する。このようにして、システムは、ロボット試料加工処理機能によって自動加工処理操作事象を引き起こす自動化加工処理操作性能を提供し得る。これらは、独立型染色装置等の多数の可能性のある独立型装置に応答(接続されているか否か、および直接的または間接的に効果を有する、任意の相互作用を包含することを意図した用語)し得る。いくつかの好ましい態様において、アーム120は、作動器プローブ122、シリンジまたはプローブ124、センサ部材25ならびに非分離または他の容量の液体および/もしくはエアアプリケータ等の、1つ以上の部材を含み得る(図18)。アクチュエータプローブは、さらに以下に記載される試料加工処理の担体の設定および操作に利用され得る。いくつかの好ましい態様において、作動器プローブ122は、担体調節部材130(例えば図17を参照)の作動によって、およびいくつかの態様においてスライドグラスと接触することによって、試料担体保持装置108のスライドグラスの配置を設定し操作する。記載したように、いくつかの態様において、スライドグラスまたは試料の操作または移動が適応され得る。この移動は、以下に記載されるような試料加工処理を容易にするためのスライドグラスの水平配置または垂直配置をもたらし得る。試料および試薬中に振動を発生させるために、作動器プローブはスライドグラス上を軽くたたくために用いられ得る。さらに、振動器部材は作動器プローブ中に組み込まれ得る。
【0103】
上記したように、達成される多数の加工処理工程が存在し得る。想定される加工処理の性質からまた理解され得るように、多くの異なる物質等の使用があり得る。物質を含むか、または単に物理的作用であるか、これらの型の項目は、操作上有力で外部的に重大な情報に関すると考えられ得る。項目は、その操作または操作における失敗のいずれかが、いくつかの型の実行に直接的にまたは間接的に影響し得るという点において、操作上影響力があり得る。この動作は、加工処理システムそれ自体の内部では起こらないがその外部で起こる動作であり得るという点において外部的に重大であり得る。したがって本発明は、その情報をモニターするための性能を提供し得る。この性能は、図22に一般に示されるように、操作上有力で外部的に重大な情報モニター402としてみなされ得る。かくして、本発明は広範囲な種類の情報をモニターする能力を含み得る。
【0104】
一例として(as but one example)本発明は、加工処理システムの操作の一部として実行される作業が実際に情報の変化を引き起こすという点において、実際に操作上変更された外部情報である外部で結果として起こる情報のモニタリングを含み得る。しかしこれの一例は特定の染色物質を使い果たし得る。このカテゴリーの情報をモニタリングすることによって、本発明はモニタリング操作上変更された外部情報として見なされ得る。かくしてこの態様は、操作上変更された外部情報モニターを含むとして見なされ得る。当然これらの事象は、少なくともいくつかのロボット試料加工処理機能によって少なくとも一部に影響され得る。
【0105】
前記したように、アーム120はシリンジ124を含み得る。いくつかの態様において、実行されるプロトコルの必要性に応じてシリンジ124はプローブと考えられ得る。シリンジ124は以下のものに流動的に連通され、かつ1つ以上の以下のものを適用し得る:水等のリンス加工処理剤;容器から、および担体で示される試料に対する試薬の吸引等の、潜在的に移動可能で流動的に接続された試薬の吸引用容器;ならびに噴き出しまたは空気源等の他の除去剤。シリンジ124は、試薬容器等の材料加工処理容器を貫通させるために用いられ得る。いくつかの態様において、レザボア(reservoir)はアーム120で提供され、種々の容量がシリンジ124で吸引されるのを可能にし得る。レザボアの特有の配置は、シリンジの内部の効果的な洗浄および乾燥を可能にし、一方正確にピペットで取ること、あるいは広範囲な容量を吸引することを可能にする。
【0106】
いくつかの好ましい態様において、アーム120はセンサ部材25を含み得る。センサ部材は、例えば試薬容器、または他の材料加工処理容器、または試料担体等の試料加工処理システムの位置および構成部分の他の状況情報を自動的に決定するために用いられ得る。これは、システムの正確な位置および/または実際の位置を教えるため、ならびにシステムを較正、自己較正、または自己整列するため等に用いられ得る。
【0107】
好ましい態様において、試料加工処理システム101は、自動化スライドグラス同定部材を含み得る。これは、多数のスライドグラスを自動的に同定する作業を達成するために制御され得る。これはまた、例えば複数の型のセンサ部材が存在し得るなど一般的であり得、センサ部材が試薬と同様にスライドグラスを同定する等の材料加工処理の状況情報を決定するために利用される、CCDカメラ等の読取器またはスキャナーさえ含み得る。センサ部材は、例えば容器上に提供されたコード化情報あるいは暗号化情報を読み取る等の、例えば材料加工処理容器から試料加工処理システム101の情報を読み取り、検出し、あるいは決定し、試料加工処理システム内の試薬の型および試薬の位置を決定し得る。センサ部材はまた、試料担体の状況情報を決定し得る。例えば、いくつかの態様において、スライドグラス保持アセンブリーに配置されたスライドグラスは、スライドグラス上に示された試料、または実行される加工処理プロトコルについての情報を示し得る、コード等の情報の特徴(indicia)を提供し得る。センサ部材はスライドグラスのコードを読み取り、特定のスライドグラスおよび試料に対して実行されるプロトコルを決定し得る。
【0108】
図15に示される洗浄ステーション140は、アーム120の部材を洗浄するために含まれ得、好ましい態様において、それはプローブからの前回堆積した試薬を完全に洗浄するか、あるいは除去するか、またはプローブおよび/もしくはシリンジ124の内部および/もしくは外部表面を含む部材を除去する機能があり得る。一態様において、洗浄ステーションは、シリンジ124等のアーム120の部材を洗浄するために構成され得るが、かかる部材はアーム120と共に構成される。シリンジは、例えばシリンジの端から端まで水すすぎで洗浄され得るが、シリンジは洗浄ステーションに位置する。本発明の別の態様において、洗浄ステーション140は、試料加工処理システムの加工処理の継続が可能なまま、洗浄のためシリンジ等の部材を降下および上昇させるのが可能となるように構成され得る。
【0109】
いくつかの態様において、複数のプローブまたはシリンジは、スライドグラス上にマウントされた、あるいはスライドグラス上に示された組織学的組織試料の染色に必要な流体物を適用するために用いられ得る。これは、上記したロボット運動システム172上に含まれる項目などのスライドグラス染色部材によって達成される自動染色を包含し得る。試料加工処理システムは、「汚れた」、汚染された、または使用済のプローブまたはシリンジを落とし、「清潔な」、汚染されていない、滅菌されたまたは未使用のものと交換し得る。1つ以上のプローブまたはシリンジが洗浄され得るが、別のプローブまたはシリンジを用いて試薬または染色を適用する等、システムは試料の加工処理を続ける。さらに、またはあるいは、使用されたプローブは洗浄されるが、ロボット運動システムに取り付けられ得る。
【0110】
システム101は、ピペッティングするための、あるいはスライドグラス上にマウントされた、もしくはスライドグラス上に示された試料の染色に必要な流体物を吸引するための複数のプローブまたはシリンジに接近し、それらを使用しおよび洗浄し得る。相互汚染を排除するために、1つの再利用可能なプローブを有するシステムが、各流体が適用される間にプローブを洗浄し得る。プローブを洗浄する仕事は、システム全体の加工処理量に対し大きな影響を有し得る。本発明は、複数のプローブがシステムに対し使用可能となるようにし得る。システムは継続的に、清潔で、汚染されてなく、滅菌されているプローブか、または使用可能な未使用のプローブを有し得、試料加工処理は、必要とされる洗浄作業により影響を受けない。洗浄作業は、起こりえる流体物の相互汚染を排除するために必要であり、いくつかの態様において、達成するのに約1分かかり得る。一連の加工処理工程における洗浄作業の累積影響(cumulative impact)は、システムの加工処理量能力に時間を追加し得る。複数のプローブまたはシリンジの追加はこの影響を排除し得、試料を加工処理するのに必要な時間を有意に減少させる。
【0111】
本発明の態様は、図15に示される混合ステーション150を含み得る。システムは染料、バッファ、または他の材料加工処理等の成分流体物を、好ましくは必要に応じて、ならびに加工処理工程およびプロトコル指示として混合し得る。加工処理工程中に必要な流体物は、時々他の流体物と混合される必要があり、最終活性化流体混合物またはカクテルを作り出し得る。しかしながら、これらの混合物の活性レベルは時間的に不安定であり、したがって短時間でのみ効果的であり得る。必要に応じて、あるいは時間通りの流体物の混合は、使用される直前に流体物が混合され得るという点で有利である。これは、以下に議論されるスケジューリング機能で調整され、向上したスケジューリングで必要に応じて混合される同時目的を許容し得る。好ましい態様において、シリンジまたはプローブ124は、混合ステーション150中におよびステーションから流体物を吸引し、成分流体物を混合する。リンス剤が混合ステーション中にさらに分配され、ステーションが滅菌され得る。
【0112】
好ましい態様において、スライドグラスは、前処理および染色加工処理に必要とされるので、垂直および水平位置の両方において可動であり、かつ設定可能である。これは、従来の手動実験方法に容認されている前処理および染色を含む、種々の方法におけるスライドグラスの自動前処理および染色を可能にし得る。スライドグラスは最初に、スライドグラスラック等の担体保持アセンブリーおよび水平位置の引き出しの中に充填される。脱パラフィン等の前処理が必要な場合、システムはスライドグラスを垂直方向に回転させ、これらの試料を、さらに以下に記載される必要とされる液体で満たされた加工処理タンク中に降ろす。いくつかの態様において、スライドグラスラックはスライドグラスの低下に作用(affect)するために低くなる。以下に記載されるように、スライドグラス上で染色加工処理を実行するために、システムはスライドグラスを水平位置に回転させるかまたは移動させ、シリンジまたはプローブは流体物を試料に適用させ、試料の水平染色を提供する。各スライドグラスは独立して回転し、異なる必要条件を有する種々の試料の独立した加工処理を可能にする。
【0113】
システムは、これら同一の前処理加工処理を実行するために手動で用いられる手順および供給物の物理的特性を自動化し、いくつかの態様において、模倣するかまたは対応する。したがって、加工処理タンクが提供され得る。いくつかの態様において、各加工処理タンクの部品は、引き出し110の内部に配置され得る。いくつかの好ましい態様において、前処理加工処理を実行するために必要とされる流体容積は維持され、互いが向き合っているスライドグラスの方向ではなく、従来のシステムとしてそれらは並んでいるが、他のスライドグラス配置を否定しない。加工処理タンクは、スライドグラスの表面全域に流体物の分布さえ提供する。
【0114】
いくつかの態様において、加工処理タンクはスライドグラスを加熱および冷却することができる。加熱はまた、熱装置によって個々のスライドグラスに適用され得る。温度調節の正確さおよび物理的な適用は、加工処理工程の標準化および繰り返しをもたらし得る。以下にさらに記載されるように、充填および加熱の仕事は、コンピュータ制御化スケジューラーで実行される。流体容積は、任意の多数のスライドグラスの有無を説明する(account for)ように調節され得る。
【0115】
いくつかの態様において、前処理に用いられる個々の流体物は、システムキャビネット中に含まれ得る。脱パラフィン流体物(DI水以外)は、加工処理タンク中に引き出され、次いで再利用のために容器に戻され得る。定期的に「汚れた」容器中の材料は廃棄され得る。「清潔な」容器は、汚れた位置まで持ち上げられ、次いで新鮮な流体が清潔な位置に添加され得る。DI水は大きなシステムDI水容器から引き出され、各使用後廃棄され得る。標的回復溶液は、それ専用の容器から引き出され、各使用後再生利用されるか廃棄され得る。
【0116】
情報のモニタリングまたは取得の局面に戻ると、システムの態様は、バッファ、試薬、染色物等の状態等の、補充可能な供給情報をモニターするために設計され得る。補充可能な供給に対する潜在的な必要性をモニタリングすることによって、システムは図22に示される補充可能な供給情報モニター403を提供し得るだけでなく、また操作者のいくつかの懸念を軽減し得る。またヒトの誤りに対する少なくとも1つの可能性を取り除き得る。重要なことに、システムはまたモニターされる情報に関する任意の数の人に自動的に通知するように作動し得る。補充可能な供給情報に関して、システムは、使用者、操作者、管理者、または実際の潜在的な供給者にさえ通知し得、または供給を補充する必要性に迫る。したがって、システムは自動通知(notice)部材404または自動的操作者補充可能供給通知部材、自動供給者補充可能供給通知部材等を含むものとして考えられ得る。
【0117】
同様にして、システムの態様は、装置の連続的または継続的操作に対して目的の情報をモニターするか、または取得し得る。したがって、それは器械維持情報のモニタリングであり得る。これは限定されないが、部分サイクル情報をモニタリングすることを含み得、それは装置の寿命、推定されたサイクルの数等の総体的情報から個々の部分サイクル情報(例えば何回およびいくつの実際のバルブがついたり消えたり等)をモニタリングする等の特定情報をモニタリングするまでの範囲を含み得る。器械維持モニター、器械維持情報モニター405、部分サイクルモニター、または個々の部分サイクルモニター406を含むこと(図22参照)によって、システムは向上した確実性および継続的操作を容易にするだけでなく、失敗の間の生成サイクル、または平均時間に基づく維持等の防止的な維持を許可し得る。当然それは、広範囲の人にかかる論点を知らせるための自動維持通知部材を提供する等の自動通知部材404を使用し得る。
【0118】
もちろん、広範な種々の情報がモニターされ;システムの態様は、有効期限、多くの情報等の材料必要条件に関する情報をモニターし得るか、または取得し得る。したがって本発明は材料必要条件情報モニター407(図22)を含み得、そのため自動的に材料必要条件情報をモニターするために作動する。これは来たる満了に関してさえ作動し、自動促進満了通知部材を提供することによって人に一組の自動促進通知をもたらし得る生成物満了情報モニター408であり得る。非常に重要であり得る項目に対して、同時にまたは逐次的のいずれかで複数の通知が存在し、したがってシステムは複数促進満了通知部材を含み得る。モニターされ得る別の型の情報は、統計的または過去の性質の情報等の歴史的用法情報である。したがってシステムは、歴史的用法情報モニター409(図22)を含み得る。このことから、予言的推定は、項目等を配列する際のもっともらしい日付等でさらになされ得る。予言的用法情報のモニタリングによって、これは、システムが自動予言的必要通知部材または予言的用法情報部材410(図22)さえ提供し得る一方法(one way)であり得る。システムはまた、使用者に統計的情報モニターを提供し、そのため使用者の統計的情報を集めてモニタリングし、他の歴史的または統計的情報等の比較による等のこれに基づいて作動(act on)し得る。本発明はまた、例えば特定のプロトコルが続くことが確実であることによる等の試料加工処理効果情報をモニターするために設定され、かくして加工処理効果情報モニター411(図22)を提供し得る。モニターされた情報を外挿し、操作による残量、あるいはぎっしり詰まった(impacted)量を知るために個々の用法を合計することによって、合計性能413(図22)を可能にし得る。これは、試薬または個々の部分サイクル等の項目に対する合計用法情報を含み得る。かかる性能は、合計用法情報モニター、試薬の合計、一部のサイクル合計として役立ち得る。システムはまた、実践的展望から経済性および器械操作の効率に対して重要であり得る試験および他のかかる大意の(synoptic)情報につき、費用を報告し得る。データ取得部材414(図22)を有することにより、システムは、限定されないが、発生数データ、部分操作データ、用法量データ、および用いられた材料量データを含む、種々の局面の分析または使用を含むか、または許可し得るデータを生じ得る。当然、かかるデータは、含まれる種々の機能またはデータを行う(to do)かまたは生じさせる同一部材、あるいはサブルーチンを有し得る。
【0119】
いくつかの態様において、画像−取得2-D光学センサ、あるいはCCDカメラ等の画像化装置が、スライドグラス上の試料の位置を決定するのに用いられ、試料加工処理中のより高い精度を提供し得る。試料加工処理システム101の態様は、試料診断性能をさらに提供し得る。したがって、いくつかの態様において、装置は試料を分析し得る。カメラは診断目的で用いられ得る。いくつかの態様において、試料は、潜在的にコンピュータによって、さらなる分析のためにスキャンされ得る。カメラはまた、1)エリアロケーターとして、2)組織領域を位置決めするため、3)位置および領域に基づいて試薬を適用するために用いられ得る。スキャンされた画像は、試薬分析または他の分析のために分析され得る。
【0120】
システムはまた、主題の試料データを生じるか、またはモニターし得る。画像化装置と比較して、システムは試料画像データ、物質画像データ、システム画像データ、および前後事象画像データ等の画像データをモニターするか、あるいは取得し得る。これらの各々は、いくつかの目的のために系統的に記憶され得る。これらの各々は、相応じて、システム画像データ取得部材、物質画像データ取得部材、試料画像データ取得部材、および前後事象画像データ取得部材等の、適当な部材が示されると考えられ得る。さらに、多数の画像データ取得部材が含まれ得るので、1つよりも多い画像が加工処理の局面を証明するまたは明示するために存在し得る。その上、システムは系統的に記憶するために作動し得、1つ以上の画像がそのように作り出される。個々の試料加工処理データ、個々のスライドグラスログデータ、およびプロトコルデータの型のグルーピング等の同一データの収集がまた作り出され得る。
【0121】
試料の加工処理は、本発明の特徴と一致した、図19および図20で示されるようないくつかの好ましい態様により達成され得る。これらのプロトコルおよび加工処理工程、または他の加工処理工程の変形が、本発明と一致して達成され得る。必要な場合、1つの加工処理シーケンスが(前に記載したような)脱パラフィン等の試料の前加工処理を広く含み、(前に記載したような)標的またはエピトープ回復および試料染色をさらに含む。いくつかの態様において、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)の特性(specifics)は注意を向けられ(address)得る。ISHの態様は、試料上に配置するために、15ミクロリットル等の少量の試薬を必要とし得る。熱調節は、約95〜100℃間で維持され、ある時間一定を保ち得る。次いで、調節された方法で温度が低くされ得る。さらに、IHCまたはISH(FISH)における蛍光染色またはタグ付けは、本発明の特徴と一致して実行され得る。
【0122】
記載のように、試料加工処理システムは、担体またはスライドグラス上にマウントされた試料の加工処理を自動化し得る。システムのこの配置は、確立された実験室ワークフロー要求を満たすために役立つ設計を有するスライドグラスの継続的加工処理、個々の加工処理、およびバッチ加工処理に対して柔軟的になり得る。システムの内部に見られる多数の独立した余分のスライドグラス加工処理サブシステムはまた、各スライドグラスを独立に加工処理する能力を維持し得る。
【0123】
自動加工処理は、人間の介入のない自動加工処理操作能力または少なくともいくつかの工程によるシーケンスを有するシステムを設計することによって達成され得る。これは、加工処理操作制御システム171(図22)によって制御され得るか、またはそれに応答して作動し得る。これは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその2つのいくつかの組み合わせによって提供され得る。図22は、いくつかの種々の能力を示す一概念的態様を提供する。当然、使用者は、所望の種々の工程もしくは動作の性質およびシーケンス、または用いられる適切な優先順位(priority)もしくは他のスケジューリングパラメータでさえ明記する能力を必要とする。これは、試料加工処理パラメータ入力を含むことによる入力パラメータ能力173により達成され得る。入力は、記憶パラメータ加工処理データ174の形成により保持され得、そのためシステムは所望の加工処理操作の集合、あるいは所望の多数の加工処理操作を達成し得、かくして入力は集合試料加工処理入力であり得る。連続した加工処理を容易にするために、入力パラメータ能力173は、加工処理操作制御システム171に関する独立加工処理パラメータ入力として設定され得、したがって加工処理操作制御システム171により引き起こされる作用が、独立加工処理パラメータ入力に関するいかなる作用によって影響を受けない。さらに、入力パラメータ能力173はまた、自律的入力部材含むことによる自律的入力機能として設定され得る。
【0124】
所望の型の加工処理入力により、システムは種々の事象あるいはスケジュール部材605によって、自動的にスケジューリングを実行し得る。これらの事象は、所望の事象の集合が存在する点、および事象それ自体が加工処理シーケンスに対するいくつかのトポロジーまたは概略を示すという点で、集合事象トポロジーを作り出すと考えられ得る。このトポロジーは事象のみを含み得るか、または特定の優先順位もしくは所望の結果等の確実な目的を含み得る。最初の入力を用いるとき、システムは所望の方法における事象のスケジューリングを達成し得る。実用的な重要性とは、最初の集合事象トポロジーに対して操作者交替を可能とし、かつ促進するための本発明の態様の能力であり得る。重要なことに、これらの変化は動的に達成し得るが、例えばシステムの他の部分は継続的に加工処理が行われている。促進する変化において、妨害がほとんど無いか全く無い状態で操作されるが、システムは適応可能なスケジューリングを達成するために作動し得る。これは、最初の集合事象トポロジーの適応可能なスケジューリングとして開始され、変更された集合事象トポロジーの適用可能なスケジューリングに発展し得る。これは個々の、あるいは独立型染色装置等の独立型装置で存在し得るか、または機械間(inter machine)スケジューリング特徴(indicium)もしくは機械間スケジューリング部材を用いることによる等の、機械間ベースで存在し得る。とにかく、変更されたトポロジーのスケジューリングは、最初の自動的加工処理ルーチンの開始後に起こり得ることを理解されたい。
【0125】
集合事象トポロジーの変更は、最初のセットアップを効果的に変更する任意の種々の操作を含み得る。これらは限定されないが、試料の添加、試料の削除、試料の取り替え等の集合を変更することか、または優先順位における単なる変更等の例えば使用者交替入力を受け入れるトポロジーを変更することが含まれ得る。それらはまた、一時的な使用者の交替を受け入れることを含み、かかる交替とは、使用者は実行の効果を知りたいが、実行を希望し得ないことである。したがって、システムは試料添加部材、試料削除部材、より一般的に試料交替部材601(図22)、または一時的な使用者交替部材を含み、その各々はいくつかの型の変更集合事象トポロジーを作り出すとして考えられ得る。使用者決定を許容するために、態様は、使用者の交替を活動的にするか、または使用者の交替を元に戻すための機能またはサブルーチンを含み得る。これらは、使用者交替活動部材または使用者交替取り消し部材とみなされ得る。かかる選択は、効果概要ディスプレイ部材、一時的影響ディスプレイ部材(例えば、変更の結果として加工処理される1つ以上の試料に対する時間影響)等、および推定された一時的影響ディスプレイ部材でさえ、いくつかの種類の結果ディスプレイ部材602と関連して示され得、ここで時間の効果は推定されるのみである。
【0126】
集合事象トポロジーにおけるいくつかの型の変更の結果として、システムは事象を再スケジューリングし得る。この再スケジューリングされたシーケンスは、妨害のために用いられ得るか、または最初のシーケンスに関連する妨害603(図22)を提供し得、その後変更された集合事象トポロジーによる改定された自動加工処理が続く。理解され得るように、これは初期の自動加工処理の完了なしで達成され得る。再スケジューリングは種々の結果を達成するためにプログラムされ得、次いで操作者またはシステムがどのようにその目的を規定するかに応じてその「最良」と比較され得る。種々の結果を達成することは、実行、あるいは実行の一部をシミュレーションすること、およびそのシミュレーションの結果を比較することによって達成され得る。シミュレーションは、以下に説明されるようなあるパラメータによってセットアップされた様々なシーケンスであり得る。そうすることによって、態様は様々なパラメータロボット制御シミュレーション機能606(図22)を含み得、それは異なるパラメータに基づくロボット操作をシミュレーションするプログラムである。これらの様々なパラメータロボット制御シミュレーション機能606は、入力が作り出すデータ上に作用することによって、集合試料加工処理入力に反応し得る。具体的に、システムは、工程のシーケンスを決定する種々の基準を用いる各シミュレーションを有する同一の集合事象トポロジーに対し、多数のシミュレーションを実行し得る。これらのシミュレーションの結果は、使用され比較され得る特徴であり得る。比較は、考慮される特定のシミュレーションから得られる任意の特徴を調べ(look at)得る自動加工処理シミュレータ比較測定器604(図22)により達成され得る。特徴から決定がなされ得、最適でない場合、特定の一組のパラメータが、所望の目的に対する向上したシーケンスをもたらすために決定され得る。次いで、これらのパラメータは好ましい機能性ロボット制御ジェネレータ(generator)607に使用され得、それは次いで所望の加工処理操作に用いられるシーケンスを実際に作り出し得る。この方法において、システムは自動加工処理シミュレータ比較測定器に反応する加工処理発動機を有し得、それから自動加工処理機能が作り出され得る。
【0127】
記載のように、シミュレーションは、ユーザーパラメータ入力を含む要因の種々の入力を考慮に入れ得る。当然、特定のモデルに関する特徴(例えばその特定のモデルに関する情報を有する任意の評価)を比較することにより、再スケジューリングされたシーケンスが決定されるとして考慮され得る種々のパラメータが存在する。これらは限定されないが、物質優先順位パラメータ、試薬グループ分けパラメータ、ロボット移動パラメータ、試料位置優先順位パラメータ、試料近接優先順位パラメータ、試料挿入時間優先順位パラメータ、使用者入力パラメータ、使用者優先順位パラメータ、最終加工処理からの試料時間(sample time since last processing)優先順位パラメータ、時間に基づく優先順位評価パラメータ、および試料重量パラメータを含み得る。
【0128】
システムは、比較測定器604(図22)として作動し得るソフトウェアによって結果を比較し得る。比較される要素は、加工処理時間の特徴の比較、完了時間の推定の比較、物質コストの推定の比較、または試料優先順位の割当ての比較等の要素であり得、したがってロボット制御シミュレーション結果比較測定器、最終加工処理からの試料時間優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能、時間に基づく優先順位評価パラメータロボット制御シミュレーション機能、物質優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能、完了時間推定比較測定器、物質コスト推定比較測定器、試料優先順位割当て比較測定器、反復加工処理シミュレータ比較測定器、および定性分析比較測定器さえ有するとして考えられ得る。先に記載のように、いくつかの型の比較を容易にするために、最初のロボット制御特徴および第二のロボット制御特徴等の特徴を使用し得る。
【0129】
実用的なシステムの確立において、少なくとも最初は計算のために時間が関与するが、いくつかの限定された数の異なるシミュレーションを含むことは有利であり得る。例えば、2つまたは3つが含まれ、かくして第一の制御シミュレーション機能、第二の制御シミュレーション機能、および第三の制御シミュレーション機能とみなされ得る。最終加工処理からの試料時間優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能を有するシステムを確立することによって、システムは数時間全く、あるいは特に重要な活性を有しなかった試料に対して、より高い優先順位を割り当て得る。ロボット移動パラメータロボット制御シミュレーション機能を有するシステムを確立することによって、ロボットが、移動をほとんど要しない項目に対する優先順位を割り当てるためにどのくらいの移動を必要とするかが考慮され得る。物質優先順位パラメータロボット制御シミュレーション機能を有するシステムを確立することによって、いくつかの物質が費用、リンス処理の必要性、毒性等のいずれかのために特に関心事である事実の考慮が含まれ得る。最後に、どのパラメータがより望ましいシーケンスをもたらすか決定するための比較を行うことにおいて、システムは向上した一時的スケジューラー部材を含み得、そのためシステムは自動的にどのパラメータが一番早い加工処理時間をもたらし得るかを評価する。当然、この向上した一時的スケジューラー部材は、全試料のベースに基づくか、またはそのいくつかの部分集合に基づき得る。スタットラン(stat run)等の個々の試料にさえ基づき得る。かくして、ロボット制御シミュレーション結果比較測定器604は、変更された集合事象トポロジーの向上した再スケジューリングを提供するために作動し得る。改定されたシーケンスを実行することにおいて、システムは一体型開始適応スケジュール機能中断を提供し、かつ認知される不連続性が無い状態で、最初のシーケンスを一体的に中断し新しいもので継続するために作動し得る。さらに、シミュレーションは時間がかかり得るので、最初の比較のみ、あるいは単に2つの異なる機能を比較する等で、初期の好ましいロボット制御機能等の1つが選択され得、次いでさらなるシミュレーションおよび比較の続行が可能となる。この継続的な努力から、より良い一組のパラメータが発見され、かくしてシステムはその後より良い解決法として第二の好ましいロボット制御機能を実行し得る。当然、継続的なシミュレーションおよび比較が行われ得る。
【0130】
上記で理解され得るように、変更された集合事象トポロジーのための再スケジューリングは、いくつかの要因によって影響され得る。一例として、全体の加工処理に対する時間の短縮において、特定の物質または特定の試料の位置が重要であることを理解されたい;試料または物質間の距離が長いほど、加工処理はより遅くなる。この型の要因のために、システムは実際に要因を考慮し、シミュレートするかあるいは評価し、所望の結果をもたらし得る実行を提案し得る。例えば、システムは少なくとも1つの提案された試料位置、提案された試料引き出しの位置、提案された染色装置の位置等を示し得る。このことから、使用者は提案された動作を受理し、さらに該提案を受理または拒絶し得る。かくして、システムは提案された使用者選択を示し得る。これは、使用者に選択メニュー等を提供することによって、一時的に向上した提案された使用者選択を示す作動でさえあり得る。このことから、システムは使用者選択メニューを通して使用者パラメータ入力を受理し得る。結果は、変更による一時的な影響を示すため等の、変更による影響の概要を示すために、要約さえされ得る。当然、これは推定され、システムを実行して評価された一時的な影響を示し得る。影響がベースになろうと提案がベースになろうと、システムは使用者に評価可能な入力を提供し得、この方法において、提案された試料位置部材、提案された試料引き出し位置部材、提案された染色装置位置部材、提案された使用者選択部材、一時的に向上した提案された使用者選択部材等を実際に提供し得る。当然、かかる作業およびいかなる再スケジューリング、またはシミュレーティングは、操作者要求の結果、操作者アクセス事象を感知するシステム、使用者の交替を受理するシステム、または引き出しセンサ等のいくつかの型の操作者アクセス事象センサでさえあり得る。
【0131】
操作者にスケジューリングを向上させ得る特定の動作を提案する行為と同様、システムは操作者に必要とされる事象等を通知するために作動し得る。特定の物質が必要とされるが(装置それ自体あるいは光学センサによって感知されるような)機械に存在しない場合、必要とされる試薬等を挿入する等、システムは必要とされる特定の動作に対し操作者を自動的に刺激(prompt)し得る。中断時間かそうでないかにおいて、システムは繰り返し自動的に操作者の動作が必要であるかどうかさらにチェックし得る。したがって、システムは自動操作者必要刺激608(図22)を含み得る。それはまた、リアルタイム状況情報、未決定の試料情報、一局面(例えば試料、引き出し、バッチ等)に対するリアルタイム完了推定等の種々の情報を提供し得る。これら各々は、ソフトウェアおよびハードウェアによって、あるいはリアルタイム状況情報部材、未決定の試料情報部材、またはリアルタイム完了推定部材を含むことにより達成され得、各々は情報部材609として概念的に示される。
【0132】
任意の上記の性能に関し、かかるものは自動加工処理操作性能から独立して作動し得るだけでなく、適用可能な場合、それらは自動加工処理操作性能(それ自体は加工処理装置中に存在していても存在していなくてもよい)の存在または操作可能性なしでさえ、十分に機能的であり得る。それらは、独立した完全機能コンピュータ181(例えば加工処理システムにより提供されるかまたは必要とされる性能から独立している)、または所望の機能を達成するためにプログラムされ得るものを提供することを含む、種々の方法で達成され得る。さらに、実践的で制度化した必要性に注意を向けるという目的を達成するために、任意の性能は単純化した使用を提供するために設定され、詳細の高度な単純化レベルにおいて利用可能でさえあり得る。これは「ウィザード」型のシステムであり得、そこではスライドグラスの追加、所望の入力の達成等の、機能に対する「ステップバイステップ」方法が存在する。かかる一局面は、単純で、統制され、いくらか不変でさえあり得る。構造化された、または単純化した入力は、試料加工処理システム101の操作に対して責任を負う必要がある完全スペクトルの技術を有する必要のない人によって入力を促進し得る。
【0133】
事象のプレイバック(playback)のモニタリングあるいはそれを可能にする機能の一部として、システムはいくつかの型のデータ取得部材414(図22)を含み得る。潜在的にプログラムされる必要のある実行の型の最初の論議から理解され得るように、データ取得部材414は個々の移動データ、単なるロボット実行データ、個々のロボット移動データ、個々の操作データ、または個々の用法データでさえ取得し得る。かくして、データ取得部材414は、個々の移動データ取得部材、ロボット実行データ取得部材、個々のロボット移動データ取得部材、または個々の操作データ取得部材であり得る。このデータの全ての部分または任意の部分は、全ての重要な詳細、単に特に重要な詳細(例えば非常に感度の高いバルブ(valve)、物質等に関する)、または試料加工処理操作に関する単に有意ないくつかの詳細でさえ記憶する等、系統的に記憶され得る。かくして、データ取得部材414は、系統的加工処理詳細取得部材であり得る。一度取得されると、このデータはいくつかの様式で記憶され得る。かかるデータが滞留するメモリ位置が存在し、かくしてこれは有意な加工処理詳細メモリ412を表し得る。それはまた、主題の試料データ取得部材を表し、先に述べた任意のメモリ型は、かかる目的のために使用され得る。
【0134】
データの記憶において、システムはセグメント化コンピュータファイルを作り出し得、それはかかるデータのみ含むので、他のファイルほど容易に操作されない。これは示された事象の精度または証明可能性でさえ確実にするのを助けることができる。例えば任意の特定の試料に対し、その特定の試料およびその加工処理前後での試料の写真に対して生じたもののシミュレーション(あるいは追加された時間ベースを有して)が要求される際に自動的に生じ得る。そのように記憶されたデータは変更不可能なコンピュータ記録として作り出され得るか、あるいはその精度を証明し得る積分(integral)変化の特徴を含み得る。記憶されるとき、システムは共通フォーマットコンピュータ記録を作り出し得、そのため使用者は容易にそれを用いて仕事し得るか、またはそれは変更され得ない等の所有フォーマットコンピュータ記録を作り出し得る。したがって、有意な加工処理詳細メモリ412は、セグメント化コンピュータファイルメモリ部材、変更不可能なコンピュータ記録メモリ部材、積分変化特徴メモリ部材、共通フォーマットコンピュータ記録メモリ部材、または所有フォーマットコンピュータ記録メモリ部材を表し得る。
【0135】
データの取得は、実際の日付データ、実際の時間データ(例えばUTC等)、正確な時間データ(例えば時間、分、秒)、相対時間データ、絶対時間データ、開始時間データ、および完了時間データ(例えば加工処理、プロトコル、モーター操作事象等)でさえ等の発生データの時間を含み得る。その上、データ取得部材414は、限定されないが、発生データの時間取得部材、実際の日付データ取得部材、実際の時間データ取得部材、正確な時間データ取得部材、相対時間データ取得部材、絶対時間データ取得部材、開始時間データ取得部材、または完了時間データ取得部材を含み得る。
【0136】
特に、使用者が所望し得る項目の1つは、データ取得部材414が個々の試料加工処理データ取得部材、個々のスライドグラスログデータ取得部材、プロトコル型データ取得部材、およびスライドグラスログデータ取得部材を表し得るという事実である。それが起こるときに実際の加工処理を示すリアルタイムの個々のスライドグラスログデータディスプレイもまた存在し得る。
【0137】
上記に用いられるように、スライドグラス識別情報は、シリアル番号、患者番号、患者の名前、唯一の画像等、特定のスライドグラスに対して唯一の任意の情報を表し得る。プライバシーに関することを保持することにおいて、他者が関係のある特定の患者を識別するために使用できない等のコード化あるいは暗号化識別情報、または内部識別情報がまた存在し得る。以下で論議され、かつ図8および9で示されるように、全体のシステムがいくつかの染色装置を含み、かくして入力は好ましい染色装置情報(それは自動システムにより示され得るかもしくは示され得ない、または受理され得るか受理され得ない)を含み得る。ラッシュ試験を達成するために供給がまた含まれ得、したがってスタット(しばしば用いられる即座に対する医学用語)加工処理要求情報部材として即座の、緊急な、あるいは公知のものが存在し得る。かかるものはまた、使用者特権情報とリンクし得、そのためある個体のみが、異なる優先順位を作り出すために他の試験に取って代わり得る。当然、上記の全ての順列および組み合わせが含まれ得る。
【0138】
自動操作に対して、入力はいくつかの位置で記憶され得るパラメータ加工処理データ174等のデータを作り出し得る。自律的操作を提供するために、それは実際の染色装置それ自体から離れた位置にてさえ、物理的に独立したメモリで独立的に記憶され得る。これは、データを受理および/もしくは記憶するためにプログラムされたかまたは設定された、独立した完全機能コンピュータの一次または補助記憶を利用することによって達成され得る。かかる様式において、コンピュータは、独立加工処理パラメータメモリ174として考えられ得るものを含み得る。コンピュータは物理的に独立され得るので、加工処理装備から離れている場合、それは物理的に独立したメモリあるいはリモート位置メモリでさえ有すると考えられ得る。
【0139】
独立したメモリおよび独立した他の機能を用いることによって、システムは、自動加工処理操作能力の完全な操作上の機能を促進し得る。自動加工処理操作能力は、メモリ、入力のいずれの操作の際にも完全に操作可能であるため、保存もしくは入力、または他の機能は、加工処理操作を妨げることなく行ない得る。したがって、入力は、スライドグラス加工処理パラメータの入力または保存を遂行する時間と独立した加工処理時間に、後にアクセスされ得る。さらに、入力(entry)または保存はまた、ある試料の加工処理と少なくとも一部は同時に遂行され得る。この加工処理は、さらに、スライドグラス加工処理パラメータの入力の実施の完了後に、著しく開始され得る。このようなことは、入力の少なくとも約1時間後、入力の少なくとも約3時間後、入力の少なくとも約8時間後、入力の少なくとも約1日後、入力の少なくとも約2日後、および入力の少なくとも約1週間後に起こり得る。
【0140】
上に簡潔に記載のように、いったん情報がモニターまたは捕捉のいずれかされると、本発明は、情報が有用であるとわかり得る少なくとも一人の人に自動的に知らせるように、はたらき得る。先に述べた自動通知部材404は、主として該種類の情報に関連することによって、自動的な外部的に重要な情報の通知部材としてはたらくように設定され得る。もちろん、自動通知部材404(図22)は、特定の必要とされる情報をモニターする工程に応じて、はたらき得る。例えば、該部材が、操作によって変えられた外側の情報をモニターしている場合、自動通知部材404は、自動的な操作によって変えられた外側の情報の通知部材としてはたらき得る。ただ捕捉されるだけで自動的にモニターされない加工処理事象については、何らかの種類のディスプレイ415によって情報を提供し得るシステムを生じさせて(prompt)もよい。このディスプレイ(最も広義の)は、少なくとも一人の人に対して、試料加工処理操作におそらく関連する、少なくとも何らかの情報を現わし得る。ディスプレイが重要な加工処理の詳細情報を現わす場合、それは重要な加工処理の詳細情報のディスプレイと考えられ得る。さらに、該情報が離れた場所で表示される場合、かかる情報を遠隔表示することを容易にするための、重要な加工処理データ移送部材がさらに存在し得る。したがって、ディスプレイ415は、遠隔加工処理の詳細情報のディスプレイと考えられ得る。先に記載のように、システムはリアルタイム情報のディスプレイ、すなわち情報をほぼそれが起こる時間に現わすディスプレイを提供し得る。リアルタイムで情報を遠隔表示することによって、操作者または任意の他の利害関係者は、別の場所から、おそらく世界の反対側でさえも、機器の推移を「観察」またはモニターし得るかもしれない。上に述べたような個々のスライドグラスのログデータのリアルタイム表示がある場合、これは特に価値があり得る。
【0141】
注目すべきであり得る1つの種類のディスプレイ415(図22)は、本発明の態様が、シミュレーションされた動きのディスプレイを創出し得るという事実である。シミュレーションは、ちょうどロボットの頭が、それが操縦される場合、実際に動くように、画面上で動く部材を視覚的に示し得る。態様は連続的な再生能力を提供し得るので、機器を、それがいくぶんか前の時間に操作されたかのように、「観察する」こともできる。改変される速度の連続的な再生能力、使用者が変更し得る速度の連続的な再生能力、または単に高速の連続的な再生能力もまた存在し得、ことによると全てが一時停止能力もしくはスローモーション能力を有するか、または有さない。この能力で、ディスプレイ415は、シミュレーションされた動きの過程の詳細情報のディスプレイを表し得る。したがって、システムは、連続的な再生部材、改変される速度の連続的な再生部材、使用者が変更し得る速度の連続的な再生部材、および高速の連続的な再生部材を含み得る。
【0142】
もちろん、すべてのこの情報は、一部の人によって使用されなければならない。任意の利害関係者は、操作者(例えば加工処理または機器のすべて、または一部に責任のある任意の人)、機器の操作者(例えば加工処理のすべて、または一部に物理的に責任のある個人)、管理者(例えば操作者を管理するか、またはことによると発注(order placement)に責任のある人)、物質もしくは他の供給業者、またはさらには補助能力および維持能力のためなどの製造業者などの、該利害関係者に利用可能な情報を有し得る。外的な行動(例えばより多くの試薬を注文することなど)を必要とし得る事象について、システムは少なくとも一人のこれらの種類の人々に自動的に通知し得、したがって、自動通知部材404(視覚的であり得るディスプレイなど、またはその他の方法の)は、自動操作者通知部材、自動管理者通知部材、自動供給業者通知部材、または自動製造業者通知部材を表すと考えられ得る。該自動通知部材はまた、自動的な操作者の外部的に重要な情報の通知部材、自動的な管理者の外部的に重要な情報の通知部材、自動的な供給業者の外部的に重要な情報の通知部材、または自動的な製造業者の外部的に重要な情報の通知部材を表すと考えられ得る。
【0143】
通知は種々の時間に与えられ得る。システムは、来るべき満了日、または事前の記録の必要性などを、自動的に前もって(advance)人に通知するように、はたらき得る。そうすることにおいて、システムは、どれくらい早く行動をとったらよいかをシステムに伝える、何らかの種類のリードタイムの情報を有し得るか、または該情報をシステムに入力したかもしれない。リードタイム情報のデータ部材416(図22)を適切に設定することによって、リードタイムは場所および状況によって変化し得、例えば世界中の機械、または重大な加工処理のために継続的に用いられる機械は、供給業者のすぐ隣の機械、またはただ散発的にだけ使用される機械よりも長いリードタイムを有し得る。指令(order)リードタイム情報、試薬注文リードタイム情報、維持リードタイム情報(このいずれも1年の期間にわたって、または時々変化し得る)が利用され得、したがってリードタイム情報データの部材416は、指令リードタイム情報データの部材、試薬注文のリードタイム情報データの部材、または維持のリードタイム情報データの部材を表し得る。
【0144】
通知自体は種々の方法で表示され得る。システムは電子メール通知部材を包含することによって、自動的に人に電子メールを送り得、自動プリントアウト通知部材を有することによって、通知を自動的にプリントアウト(ファックスで送ることを含む)し得る。他の可能性の中でも、システムは、自動電話線利用部材を有することによって、シミュレーションされる声、もしくは再生される声、または他の情報のための電話線を自動的に利用し得る。
【0145】
通知を提供する実際の事象は、自動的であり得るか、または何らかの種類の使用者促進物(prompt)417(図22)によってもたらされ得る。モニターされる情報の使用者促進物を受け取ることによって、システムはモニターされる情報の使用者促進物を表し得る。促進物自体は、単なるソフトウェアの選択物であり得るか、またはソフトウェアに表示されたボタンなどの単なるクリックする項目ですらあり得る。遠隔で表示され、挙動しようと、実際のロボット含有ハウジングで表示され、挙動しようと、かかる使用者促進物417は、遠隔アクセス接続を確立させ得、結果として少なくともいくつかの重要な加工処理データが表示され得る。かかる様式で、使用者促進物は、情報アクセス促進物部材、ソフトウェア選択物部材、または遠隔アクセス部材を表し得る。
【0146】
いくつかの態様において、システムは、図15および16のいくつかの態様について示されるような、独立した、またはことによると重複するスライドグラス染色モジュール(いくつかの態様は8個のモジュールを含み得る)からなり得る。染色モジュールが予定される染色作業を完了するとすぐに、完成したスライドグラスへのアクセスを可能にする、システムに関する最初の結果までの時間に、加工処理量は基づき得る。多数の独立した、または重複する染色モジュールは、スライドグラスの連続加工処理およびバッチ加工処理の双方を可能にし得る。さらに各独立した染色モジュールはまた、各スライドグラスの独立した前加工処理および染色を可能にし得る。スライドグラス保持アセンブリーなどの担体保持アセンブリーは、引き出し110、引き出し、スライドグラス保持アセンブリー、および染色モジュールを形成するそれらの構成要素の中に、加工処理されるスライドグラスを導入するために使用され得る。スライドグラスは、スライドグラスラックで配置される他のスライドグラスから独立して加工処理される各スライドグラスの可能性に関する、スライドグラス保持アセンブリーの収容能力までで、担体保持デバイスにおけるような、スライドグラス保持アセンブリーの1つ以上の部分を占有し得る。染色モジュール、引き出し、スライドグラスラック、およびそれらの構成要素の態様はまた、図16に示されている。図16はまた、アーム120およびアームの構成要素の特徴の態様などの、システムの特徴の他の態様を提供する。
【0147】
1つ以上のスライドグラスおよび試薬容器さえも有するスライドグラス保持アセンブリーは、すべてのまたは適切な数の染色モジュールが適切に占有されるまで、一度に一つずつ、または任意の組み合わせで、引き出し110(図15)に導入されることによって、染色モジュールまたは試薬モジュールの中に導入され得る。順番、数、またはスライドグラス保持アセンブリーをいつシステムに導入するかのタイミングについての制限はなくてもよく、システムはまた、試料負荷の適応性のあるスケジューリングを可能にし得る。染色モジュール、およびいくつかの態様において、染色モジュールの引き出しは、加工処理期間の間のスライドグラスへのアクセスを締め出し得、当該モジュールの最後のスライドグラスについての染色または他の加工処理の完了時に、操作者に対して該保持アセンブリーを放出し得る。いくつかの態様において、スライドグラス保持アセンブリーが放出される順番は、保持アセンブリーの最後のスライドグラスを加工処理するために必要とされる時間に依存し得る。スライドグラスは、システムに導入された順番とは独立して、最も時間効率のよい様式でさらに加工処理され得る。システムは、種々の試料加工処理工程の最適な、または単に増進された時間的スケジューリングを提供し得る。これを遂行するために、システムは、増大した時間の結果のために散在する工程を自動的に予定し得る。この散在化は、いくつかの加工処理操作を交互配置すること、およびいくつかの個々の試料の操作を交互配置することですらあり得る。工程を交互配置することに加えて、システムは個々の試料の操作を配列し得る。どのようにプログラミングされるかにかかわらず、システムはハードウェアもしくはソフトウェア、または各々の組み合わせによって設定され、増進された時間的スケジューラ部材179(図22)、加工処理操作交互配置部材、個々の試料の操作の交互配置部材、または個々の試料の操作の配列部材さえも提供し得る。これらは、自動加工処理操作能力、およびパラメータデータ、またはことによると該パラメータ加工処理データ(後に述べるような)の一部の反復部分のいずれかを統合することによって創出され得、したがって散在ロボット制御機能(functionality)175を創出するようにはたらき得る。
【0148】
1つ以上のスライドグラスを有するスライドグラス保持アセンブリーは、すべての染色モジュールが占有されるまで、一度に一つずつ、または任意の組み合わせで、引き出し110(図15)の中への導入によって染色モジュールの中に導入され得る。順番、数、またはスライドグラス保持アセンブリーをいつシステムに導入するかのタイミングについての制限はなくてもよく、システムは、試料負荷の適応性のあるスケジューリングを可能にする。染色モジュール、およびいくつかの態様において、染色モジュールの引き出しは、加工処理期間の間のスライドグラスへのアクセスを締め出し、最後のスライドグラスについての染色加工処理の完了時に、操作者に対して該保持アセンブリーを放出し得る。いくつかの態様において、スライドグラス保持アセンブリーが放出される順番は、保持アセンブリーの最後のスライドグラスを加工処理するために必要とされる時間に依存する。スライドグラスは、システムに導入された順番とは独立して、最も時間効率のよい様式で加工処理され得る。
【0149】
他の加工処理は、本発明に一致して遂行され得るが、加工処理試料の制御は、以下の好ましい態様に従って遂行され得、1つの好ましい態様184は図23に示される。
【0150】
試料加工処理の制御は、動的スケジューリングのアルゴリズムによって、および好ましい態様においては、先に記載した連続加工処理またはバッチ加工処理に従って、遂行され得る。好ましい態様において、加工処理順序が制御され得、したがって試料のためのプロトコルの種々の工程が、1つ以上のアルゴリズムの制御によって自動化され得る。好ましい制御は以下:1)第一のプロトコルの工程を選択すること、2)第一のプロトコルの工程に適合する、メニュー項目の限定されたリストから第二のプロトコルを選択すること、および3)前述のプロトコルの工程に適合するメニュー項目の限定されたリストからその後に続くプロトコルの工程を選択すること、のように遂行され得る。
【0151】
拡張されたシステムにおいて、コンピュータのサーバーなどの、試料加工処理システムマネージャーは、いくつかの個々の試料加工処理システムと接続され得る。これらは、他のデバイスへの接続に関して完全に機能し得るので、自動スライドグラス染色装置101、またはスタンドアローンの自動スライドグラス加工処理システムさえも表し得る。接続が実際に存在するシステムにおいて、いくつかの自動スライドグラス染色装置、もしくは自動試料加工処理システム、またはラベルプリンタ200(図23)を電子的に接続する能力が提供され得る。先に記載のように、1つ以上の別個の完全な機能の接続されるコンピュータ181が存在し得る。これらはハブ193を通じて接続され得る。染色装置もしくはコンピュータのいずれかにマルチタスクの中央加工処理装置リソース(resource)が存在し得るか、または完全な独立性、もしくはことによると自律的操作さえも維持するために、加工処理操作に関連するマルチタスクの中央加工処理装置リソースを使用、または実行しないように設定される、いくつかの中央加工処理装置が存在し得る。接続はまた、入力についてであれ、他の操作についてであれ、インターネット接続部材、電話線接続部材、無線通信部材、またはさらには取り外し可能なメモリ部材などの遠隔リンク(取り外し可能なメモリにおけるような遠隔操作になる(made)能力を含む)であり得る。好ましい態様において、ことによるといくつかの加工処理システム、ならびにことによるとワークステーションおよびサーバー(後者は別個に、またはワークステーションの一部としてのいずれかで存在する)などのいくつかのコンピュータの間の接続は、一群のコンピュータ、および共通の通信回線を共有する関連デバイス、またはことによると無線リンクなどのローカルエリアネットワーク(LAN)の使用によって遂行され得、小さな地理的領域内の(例えばオフィスビルまたは総合ビル内の)単一のプロセッサー、メモリ、またはサーバーのリソースを共有しさえし得る。この種類のシステムのためのローカルエリアネットワークはまた、限定されないが、イーサーネット(Ethernet)部材、トークンリング部材、アークネット部材、光ファイバー分散データインターフェース部材、工業規格プロトコル、ブルートゥースに基づく部材、2.45 GHzの周波数帯を用いる電気通信工業規格、IEEE802規格を適用する通信規格、周波数ホップ(hop)通信規格、共有された共通のリンク部材、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル通信部材、パケット化情報プロトコル、共有プロトコル、私有プロトコル、およびさらには階層化(layered)プロトコル交換システムなどの機能を含み得る。種々のリソースの間で電子接続176を提供することによって、一態様における染色装置ネットワーク184(染色装置のみに、またはことによるとインテグリティ、セキュリティ、および他の目的のための試料加工処理リソースに専用のネットワーク)などのローカルエリアネットワークは、適切な情報へのアクセスを達成するために、電子メモリアドレスを伝達し得る。接続はまた、ブリッジ194(図24)を介するような、実験室ネットワーク、施設イントラネットシステム、またはさらには実験室情報システム195に対して確立され得る。
【0152】
記載のように、接続はインターネット接続で遂行され得るが、より好ましくはローカルエリアネットワーク接続で遂行される。いくつかの態様において、各試料加工処理システムは、取り付けられたPC、内部にあるPC、または他の方法で提供されたPCによって、個別に制御され得る。試料加工処理システムとシステムマネージャーとの間のデータ共有が行われ、試料バッチ、試薬、および他の薬剤、ならびに試料加工処理システムの構成要素の同定、追跡、およびステータスを可能にし得る。どのシステムがどの試薬、試薬の種類、スライドグラス、およびプロトコルを有するかの決定が行われ得る。各加工処理順序、プロトコル、またはスライドグラスについてのログファイルが加工処理ステータスをモニターするために生じ得る。データベースの保守(限定されないが消去(purge)、圧縮(compact)、バックアップ、データベース/リスト、およびアーカイブ機能を含む)、ならびにシステムの診断(限定されないが適切な操作、およびトラブルシューティングの努力における適切な補助を証明するために活動的なシステムの構成要素をはたらかせることを含む)は手動で、または自動的に遂行され得る。
【0153】
システムは、自動メモリアクセス部材を包含することによって、加工処理操作制御システム171(図22)の操作を通じて、必要とされるデータに自動的にアクセスするように設定され得る。このアクセスは、電子メモリアドレス部材178によって、ことによるとローカルエリアネットワークで、伝達され得る電子メモリアドレスを特定することによって達成され得、その後に自動データ複製メモリなどの、操作に適切な何らかのメモリの局面に該データを自動的に複製することが続き得る。このメモリとしては、限定されないが、揮発性メモリ部材によって実行されるような揮発性メモリ機能、ランダムアクセスメモリ部材によって実行されるようなランダムアクセスメモリ機能、非揮発性メモリ部材によって実行されるような非揮発性メモリ機能、電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ部材によって実行されるような電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ機能、主記憶装置部材によって実行されるような主記憶装置機能、二次記憶装置部材によって実行されるような二次記憶装置機能、キャッシュメモリ部材によって実行されるようなキャッシュメモリ機能、およびさらには取り外し可能なメモリ部材によって実行されるような取り外し可能メモリ機能が挙げられ得る。
【0154】
制御インターフェースは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)などの操作者に提供され得、種々の言語を適応させ得る。ヘルプメニューが提供され、試料加工処理において補助し得る。パスワード保護機能が提供され得、少なくともいくつかの局面に関して管理者規制さえも提供され得る。これは、システムの、または特定の染色装置の利用可能性もしくは機能、ある試薬の利用可能性機能、あるプロトコルの利用可能性機能、患者同定情報アクセス機能、加工処理優先要求機能、および即時の、緊急の、もしくはことによると迅速な(stat)加工処理要求機能の任意の局面の機能的利用可能性に関する管理者の制限を含む能力を含み得る。管理者規制部材180を包含することによって、システムは、管理者実行のユーザー制限部材、特定染色装置の利用可能性制限部材、ある試薬の利用可能性制限部材、あるプロトコルの利用可能性制限部材、患者同定情報アクセス制限部材、加工処理優先要求制限部材、即時の、緊急の、またはことによると迅速な加工処理要求制限部材、ユーザー特権入力部材、およびさらにはユーザーグループ特権の設定部材または入力部材を有し得る。
【0155】
試料加工処理の制御は、動的スケジューリングのアルゴリズムによって、およびいくつかの態様においては、先に記載した連続加工処理またはバッチ加工処理に従って、遂行され得る。好ましい態様において、加工処理順序が制御され得、したがって試料のためのプロトコルの種々の工程が、1つ以上のアルゴリズムの制御によって自動化され得る。所望の制御機能を確立するための入力の一部として、ユーザーまたは他の者の入力は以下:1)第一のプロトコルの工程を選択すること、2)第一のプロトコルの工程に適合する、メニュー項目の限定されたリストから第二のプロトコルを選択すること、および3)前述のプロトコルの工程に適合するメニュー項目の限定されたリストからその後に続くプロトコルの工程を選択すること、のように適応され得る。
【0156】
適切なリソース、引き出し、スライドグラス、試薬、または他の局面がシステムについて存在するか、または利用可能である場合、すべてのデータが入力された後、システムは作動し、評価するためにプログラミングされ得る操作即応性(readiness)測定部材177を包含することにより操作即応性を測定し得る。上に記載のように、存在すれば、必要性のある操作者に、システムは通知し得る。一度適切な操作即応性が測定されると、システムは入力データのアクセスの開始を促し、種々の項目の操作上の利用可能性を電気的に測定し得る。これらとしては、限定されないが、個々の試料の即応性測定部材を含むことによる個々の試料部材、試料の明示される群の即応性測定部材を含むことによる試料の明示される群、試料の物理的に分類された集団の即応性測定部材を含むことによる試料の物理的に分類された集団、スライドグラス引き出し構成要素の即応性測定部材を含むことによるスライドグラス引き出し構成要素、スタンドアローンの自動スライドグラス加工処理システム即応性測定部材を含むことによるスタンドアローンの自動スライドグラス加工処理システム、スライドグラス染色装置システム即応性測定部材を含むことによるスライドグラス染色装置システム部材、およびさらには使用者が起こす促進シグナルの測定部材を含むことによる、手動により生じてシステムを強要し得るか、またはシステムを作動させ得るような使用者が起こす促進シグナルが挙げられ得る。
【0157】
いくつかの態様において「泡許容度(bubble tolerance)」と称される、吸引サイクルと吸引サイクルの間などの、工程と工程の間に制御され得る、タイミング許容度さえも存在し得る。さらなる制御が、タイミングのアルゴリズムによって遂行され、「貯蔵寿命」、すなわち試薬の生存能力をモニターすることのように、加工処理システムの構成要素の時間の許容度を測定し得る。さらに、試料およびスライドグラスのシステムの中への挿入および除去の適応性のあるスケジューリングは、先に記載したように、試料加工処理システムの操作全体にわたって、進行する基準で適応され得る。
【0158】
前記のことから容易に理解され得るように、本発明の基本的な概念は種々の方法で体現され得る。それは、試料加工処理技術、ならびに試料加工処理、入力、および他の機能を遂行するための種々のシステム、アセンブリー、およびデバイスの双方を含む。本願において、試料加工処理技術はまた、記載される種々のシステム、アセンブリー、およびデバイスによって達成される、示される結果の一部として、ならびに利用に固有である工程として、開示される。試料加工処理技術は、意図され、記載されるようなデバイスを利用することの当然の結果であると理解されるべきである。また、いくつかのデバイスが開示されているが、これらはある方法を遂行するだけではなく、いくつかの方法で変化され得ることを理解すべきである。重要なことには、すべての前記のことについて、すべてのこれらの面は、本開示に包含されるように理解されるべきである。
【0159】
本願に含まれる論述は、基本的な説明としての役割を果たすことが意図される。読者は、特定の論述がすべての可能な態様を明確に記載し得るのではないことを承知するべきであり、多くの代わりのものが暗示される。特定の論述はまた、本発明の一般的な性質を充分には説明し得ず、各機能または部材が、より広範の機能、または多種多様の別の部材、もしくは均等な部材をどのように実際に表し得るかを明確には示し得ない。この場合も、これらは本開示に暗黙的に含まれる。本発明がデバイス指向性用語法で記載される場合、デバイスの各部材は暗黙的に機能を実行する。重要なことには、説明も用語法も、包含され得る特許請求の範囲をいかなる時でも限定しないものとする。
【0160】
種々の変形が本発明の本質から逸脱することなくなされ得ることもまた、理解されるべきである。かかる変化もまた、明細書に暗黙的に含まれる。該変化は、それでもやはり、本発明の範囲内に入る。示される明確な態様、多種多様の暗黙の別の態様の双方、および広範の方法、または加工処理などを包含する広範の開示は、本開示に包含され、いかなる時でも依存され得る。
【0161】
さらに、本発明および特許請求の範囲の各々の種々の部材はまた、種々の方法で完成され得る。任意の装置の態様の一態様の変形であろうと、方法もしくは加工処理の態様の変形であろうと、またはさらにはこれらの任意の部材の単なる変形であろうと、本開示は各々のかかる変形を包含するように理解されるべきである。特に、開示は本発明の部材に関するため、各部材についての単語は、均等な装置の用語、または方法の用語によって表され得ることを理解されるべきである(たとえ機能または結果のみが同じであっても)。かかる均等な、より広範の、またはさらにはより一般的な用語は、各部材または作用の記載に包含されるように考えられるべきである。本発明が権利を与えられる暗黙的に広範の範囲を明確にすることが望まれる場合、かかる用語は、置き換えられ得る。1つであるが例として、すべての作用は、該作用をするための手段として、または該作用をもたらす部材として、表現され得ることが理解されるべきである。同様に、開示された各物理的部材は、該物理的部材が促進する作用の開示を包含するように理解されるべきである。この最後の局面に関して、1つであるが例として、「保持部材」の開示は、「保持」の作用の開示を包含するように理解されるべきであり(明確に論じられていようといまいと)、逆に「保持」の作用の開示が実際上あったとしても、かかる開示は「保持部材」、およびさらには「保持のための手段」の開示を包含するように理解されるべきである。
【0162】
本特許出願書類において言及される任意の特許、特許出願、刊行物、または他の参照文献は、本明細書によって、参照によって援用される。また、用いられる各用語については、本願におけるその利用が、かかる解釈と一致しないのでない限り、一般的な辞書の定義が、各用語について援用されるように理解されるべきであり、searchStorage.comによって表される定義に加えて、Random House Webster’s Unabridged Dictionary、第二版に含まれるようなすべての定義、代わりの用語、および同義語が本明細書によって参照によって援用され、かかるものはコンピュータの専門家によって理解されるような用語の意味を表すものと考えられることが理解されるべきである。最後に、本願についての任意の優先権の件は、本明細書によって付記され、本明細書によって参照によって援用される。
【0163】
付属(appendix):
一次抗体のインキュベーション時間の50%の減少
目的
ASに組み入れられたSAWチップが、手動IHC実験で先に観察された性能に匹敵することを証明すること。目標は、SAW微小攪拌が、一次抗体のインキュベーション時間の50%の減少を補償し得ることを示すことである。
【0164】
方法
CK NV試験プロトコル(AEI/AE3 1:900、S2367、K5007における標的検索)をASにて使用する。スクリーニングした扁桃の切片(section)、およびSAWチップの真上の各滴下領域に配置したマルチブロック(multiblock)を用いて、すべての滴下領域を試験する(各スライドグラス上に3つの切片)。15分の抗体のインキュベーションの間にのみ、SAWユニットは電源を入れ、これらの切片を、一次抗体とともに15分間、および30分間インキュベートしたさらなるASラックの対照切片と比較する。
【0165】
2つの他の抗体(A0452、1:100)およびKi67(Mib-1、1:400)をまた、これに従って試験した。
【0166】
結果
一般に、チップの設計にかかわらず、CK抗体とともに30分間インキュベートした対照スライドグラスよりもスコアの少ない、SAW混合に曝されたスライドグラスはなかった。これは最初の目的を満たしており、発明者らは、AdvalytixからのものであるSAW-ASラックについて、観察した最初の結果が再現され得ると結論する。
【0167】
66ページの図A1および66aページの図A2は、最初の試験系列の結果を示す。図A1:S1700およびK5007を用いるスライドグラスのCK AE1/AE3染色。15分の一次抗体のインキュベーションの間、SAWが作動。スライドグラスのスコア(1〜4)は、SAWなしで30分間インキュベートした対照スライドグラスに対して相対的(±)である(スコアが2であるスライドグラス#15を使用)。3/8-05の大きな扁桃は各SAWチップ上に配置した(組織が非常に不均質であり、スコアをつけることを妨げた)。H143の扁桃は、中央SAWユニットの上に、および下方ユニットと中央ユニットの間に配置した(一緒にスコアをつけた)。H144の扁桃は、中央SAWユニットの上に、および中央ユニットと上方ユニットの間に配置した(一緒にスコアをつけた)。
【0168】
図A2:S1700およびK5007を用いるスライドグラスのCK AE1/AE3染色。15分の一次抗体のインキュベーションの間、SAWが作動。スライドグラスのスコア(1〜4)は、SAWなしで30分間インキュベートした対照スライドグラスに対して相対的(±)である。H145の大きなマルチブロックは、中央SAWユニットの上に配置した。H146の小さなマルチブロックは、SAWユニットの上に配置した。H147の小さなマルチブロックは、SAWユニットとSAWユニットの間に配置した。
【0169】
図A1および図A2:一次抗体のインキュベーション時間を減少させての3つの個々の実験の結果。SAWスライドグラス(スライドグラス1〜12)の種々の配置を色によって示し、チップに用いた電力(dBm)も示す。SAWなしで30分間インキュベートした2つの対照スライドグラスに加えて、SAWなしで15分間だけインキュベートした基準スライドグラス(基準15分)を示す。対照スライドグラスについて、実際のIHCスコアを示し、残りのスライドグラスについては、該スライドグラスと残りのスライドグラスとの差を示す。
【0170】
図A1および図A2より(図26も参照)、SAW微小攪拌でCKインキュベーション時間を50%に減少させ得、それでもなお扁桃およびマルチブロックの組織の双方を用いて匹敵する染色を得ることができることは明らかである。対照的に、時間を50%減少させることだけでは、はるかに弱い染色および有意なシグナルの損失をもたらす。
【0171】
SAWユニットの効果が全スライドグラスにまでもわたったことを確認するために、発明者らは、確認するために組織をSAWユニットの真上か、またはSAWユニットとSAWユニットの真ん中(Eridan滴下領域に一致する)に配置したさらなる実験を行った。図A3:S1700およびK5007を用いるスライドグラスのCK AE1/AE3染色を参照。15分の一次抗体のインキュベーションの間、SAWが作動。スライドグラスのスコア(1〜4)は、SAWなしで30分間インキュベートした対照スライドグラスに対して相対的(±)である。H153の小さなマルチブロックは、SAWユニットの上に(1;3;5;7;9;11)、およびSAWユニットとSAWユニットの間に(スライドグラス2;4;6;8;10;12)配置した。各切片は、66bページの図A3:諸滴下領域にわたるSAW混合効率の試験、のスコアをそれぞれ得た。小さなマルチブロックの切片をSAWユニットの上に、またはSAWユニットとSAWユニットとの間に配置した、1つの個別の実験からの結果を上記に示す。結果は各々の個別の切片について示し、スライドグラス上の位置に従って位置する。
【0172】
滴下領域と滴下領域との間で、染色がより弱い傾向が存在し得るが(図A3)、該傾向は有意ではないと考えられ、1つのスライドグラスについて3つのSAWチップを用いる場合、SAWの効果は、諸スライドグラスにわたって均一であると結論される。
【0173】
SAW微小攪拌の効果をまた、2つの他の抗体であるT細胞マーカーCD3(A0452、1:100)および増殖マーカーKi67(MIB-1、1:400)について試験した。CD3抗体については、ポリクローナルCD3抗体との10分のインキュベーションの間のSAW微小攪拌は、SAWなしで20分間インキュベートしたスライドグラスに匹敵する強度の染色(位置1〜10)を与えた。最も高いエネルギー(27dBm)を有する位置11および12は、+0.5のスコアを得た。SAWなしで15分間だけインキュベートした基準は、対照と比較した場合、-1のスコアを得た。
【0174】
10分のSAWが、20分間インキュベートした対照に匹敵する(comparable to)染色強度(位置1〜12)を増大したKi67について、同様の結果が見られた。SAWなしで15分間だけインキュベートした基準は、対照と比較した場合、-0.5のスコアを得た。
【0175】
一次抗体の希釈
目的
SAW微小攪拌が一次抗体の希釈を補償し得るかどうかを評価すること。
【0176】
方法
一次抗体のインキュベーション時間を、SAWユニットの電源を入れて、30分にする。SAW攪拌なしで別に染色した組織を対照とする。
【0177】
1)大きなマルチブロック上のKi67(MIB-1、1:400)
2)大きなマルチブロック上のCD3(1:100)
【0178】
希釈系列:
実験1
スライドグラス1: 1/2希釈 スライドグラス2: 1/4希釈
スライドグラス3: 1/8希釈 スライドグラス4: 1/2希釈
スライドグラス5: 1/4希釈 スライドグラス6: 1/8希釈
スライドグラス7: 1/2希釈 スライドグラス8: 1/2希釈
スライドグラス9: 1/4希釈 スライドグラス10: 1/4希釈
スライドグラス11: 1/2希釈 スライドグラス12: 1/4希釈
【0179】
66cページ、図A4:一次抗体の希釈。Ki67およびCD3についての結果を示す。種々のSAW配置(スライドグラス1〜12)を色によって示し、チップに用いた電力(dBm)も示す。SAWなしで通常の希釈で抗体とともにインキュベートした2つの対照スライドグラスに加えて、1:2、または1:4のいずれかで希釈した抗体とともに、SAWなしでインキュベートした基準スライドグラスを示す。基準スライドグラスについては、実際のIHCスコアを示し、残りのスライドグラスについては、該スライドグラスと残りのスライドグラスとの差を示す。
【0180】
結果
図A4より、SAWが一次抗体の希釈を補償し得ることは明らかである。さらに、80 MHz 500 mWのチップが最も効率的なチップの設定であることが明白である。
【0181】
最適なSAWパルス/ポーズ比の発見
目的
一次抗体のインキュベーション時間が50%減少され、SAWチップがわずかな時間作用しているだけである場合、同等の染色強度が達成され得るかどうかを評価すること。
【0182】
方法
S1700およびK5007を用いる大きなマルチブロックスライドグラスのCK AE1/AE3染色。
Advalytixからのものであるソフトウェアは試験する4つの異なる設定:I)継続的であり、SAWユニットが継続的に作用する、II)SAWユニットが7秒間作動し、3秒間休止する7/3、III)50%の時間、SAWユニットが作用する5/5、およびIV)SAWユニットが10秒のうち3秒間作用する3/7、を可能にする。また、他のパルス/ポーズを試験する場合、手動でSAWチップのスイッチを入れ、スイッチを切ることが可能である。
【0183】
一次抗体のインキュベーション時間は、SAWユニットの電源を入れての15分にする。30分間インキュベートされるSAW攪拌なしで別に染色した組織を対照とする。CK抗体をこれらの試験において使用した。以下のパルス(SAWが作動している時間)/ポーズ(SAWが休止している時間)比を試験し、SAW混合を用いる全時間のうちの百分率をパーセントで示した。基準スライドグラスを、SAWなしで30分間インキュベートしたスライドグラスと比較した。SAWなしで30分間インキュベートしたすべての基準スライドグラスを目視検査の後、2のスコアとした。
【0184】
100% 継続に設定したパルス/ポーズ比(H154)
70% 7秒/3秒に設定したパルス/ポーズ比(H155)
50%a 5秒/5秒に設定したパルス/ポーズ比(H156)
50%b 30秒/30秒に設定したパルス/ポーズ比(H160)
30% 3秒/7秒に設定したパルス/ポーズ比(H157)
25% 1分/3分に設定したパルス/ポーズ比(H158)
16,6% 30秒/2分30秒に設定したパルス/ポーズ比(H159)
12.5% 15秒/1分45秒に設定したパルス/ポーズ比(H173)
10% 12秒/1分48秒に設定したパルス/ポーズ比(H174)
【0185】
結果
パルス/ポーズ試験の結果を図A6に示す。図A6は、同結果の図式的表示である。
【0186】
66dページ、図A5:パルス/ポーズ試験。基準スライドグラスに対するCK抗体のIHCスコアの差。
【0187】
66eページ、図A6:パルス/ポーズ試験からの結果の図式的表示。
【0188】
SAWの温度効果
SAWによってシステムに注入されたエネルギーの一部は、結局は熱になるため、SAW混合を作動させた後、スライドグラス上で温度を測定した。80 MHz 500 mWのチップの温度は、隣接するスライドグラスの温度より3℃高いことがわかった。66fページの図A7参照。
【0189】
図A7:SAWチップ上の温度の測定値。左)スライドグラス上の300 mlの洗浄緩衝液についての80 MHz、500 mWでの温度プロフィール、およびSAWを止めた(turned of)ばかりの0.5秒ごとの温度収集(青色)、ならびにSAWなしでの基準スライドグラス(紫色)。右)IHCスコアは、種々の温度の下での一次抗体のインキュベーションについての実験から生じ、SAWと比較している。一次抗体とのインキュベーションの際の温度の上昇は、IHCスコアを増大させることに注意されたい。SAWで観察されたIHCスコアの増大は、温度の上昇によって説明することはできないが、混合の効果であるにちがいない。
【0190】
温度の測定値からの詳細を下に示す。
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】図1は、支持体上の担体上の試料上の試薬の滴を示す。
【図2】図2は、該滴が試料全体を覆うような期間後の試薬の滴を示す。
【図3】図3は、試薬が試料と混合されたか、または試料によって吸収されたときである少し後の同じものを示す。
【図4】図4は、試料担体内での振動器の実施を示す。
【図5】図5は、支持体内での振動器の実施を示す。
【図6】図6は、支持体内の3つの振動器を示す。
【図7】図7は、振動器の別の位置を示す。
【図8】図8は、振動器の別の位置を示す。
【図9】図9は、振動器の別の位置を示す。
【図10】図10は、円形コンベア機器を概略的に示す。
【図11】図11は、円形コンベア機器を概略的に示す。
【図12】図12は、自動化された加工処理機器の態様を概略的に示す。
【図13】図13は、自動化された加工処理機器の態様を概略的に示す。
【図14】図14は、カバーに埋め込まれた振動器を示す。
【図15】図15は、本発明の好ましい態様による自動化された加工処理機器を示す。
【図16】図16は、フレームおよびカバーなしの同様の機器を示す。
【図17】図17は、本発明の一態様の試料担体アセンブリーの一部の態様、すなわち、単一の引き出し内のスライドグラスラックの図示である。
【図18】図18は、図15の自動化された加工処理機器におけるロボットアームの態様の図示である。
【図19】図19は、IHC加工処理の流れ図を示す。
【図20】図20は、IHC加工処理の一覧表を示す。
【図21】図21は、1つの染色装置を、1つのマネジャーおよび1つのラベルプリンタと接続するネットワークの態様の図示である。
【図22】図22は、内部ソフトウエアの特徴のいくつかを示すブロック図である。
【図23】図23は、多数の染色装置を、多数のマネジャーおよび多数のラベルプリンタと接続する態様の図示である。
【図24】図24は、システムを研究室ネットワークおよび研究室情報システムと接続する態様の図示である。
【図25】図25は、Autostainer内のSAW-ラック設置の好ましい態様を示す。
【図26】図26は、顕微鏡スライドグラス上でのSAW混合の原理を概略的に示す。
【図27】図27は、SAW混合なしでの乳癌のサイトケラチン(褐色)染色の光学マイクロ写真を示す。
【図28】図28は、SAW混合後の乳癌のサイトケラチン(褐色)染色の光学マイクロ写真を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生物学的試料(12)を有する試料担体(10)を受け入れるために各位置が配置される、複数の位置、および
担体上の試料または試料に適用される試薬に振動を伝達するための、試料担体(10)またはカバーを振動させるために配置される少なくとも1つの振動器部材(16)であって、振動器部材(16)の発動作用が、担体(10)上の特定の試料(12)の加工処理工程を制御する特定のプロトコルによって制御される、部材
を含む、生物学的試料の加工処理のための自動システム。
【請求項2】
試料担体のための各々の複数の位置が、試料担体またはカバーを振動させるために配置される少なくとも1つの振動器部材を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項3】
試料担体のための少なくとも1/3の複数の位置が、試料担体またはカバーを振動させるために配置される少なくとも1つの振動器部材を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項4】
複数のスライドグラスの加工処理が、試料加工処理システムに存在する試料のための複数のプロトコルにおいて特定される加工処理工程を予定する多事象スケジューリングプログラムによってスケジューリングされる、請求項1記載の自動システム。
【請求項5】
少なくとも1つの振動器部材(16)が、試料担体(10)と支持的に接触するように配置される支持部材(15)に埋め込まれる、請求項1記載の自動システム。
【請求項6】
少なくとも2つの振動器部材(16)が、試料担体(10)と支持的に接触するように配置される支持部材(15)に埋め込まれる、請求項5記載の自動システム。
【請求項7】
少なくとも3つの振動器部材(16)が、試料担体(10)と支持的に接触するように配置される支持部材(15)に埋め込まれる、請求項5記載の自動システム。
【請求項8】
液体の薄層が、支持部材(15)と試料担体(10)との間に配置される、請求項5〜7いずれか記載の自動システム。
【請求項9】
少なくとも1つの振動器部材が、試料担体上の試料を覆うように配置される部材に埋め込まれる、請求項1記載の自動システム。
【請求項10】
試料担体が円形コンベヤーに載せられ得る、請求項1記載の自動システム。
【請求項11】
複数の位置が、いくつかの引き出すことができるが、通常は閉められる引き出しの中に配置され、少なくとも1つの引き出しの中の1つ以上の位置が、試料担体またはカバーを振動させるために配置される、少なくとも1つの振動器部材(16)を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項12】
試料の加工処理がすべての閉められた引き出しの中で続けられ得、開かれた引き出しの中での1つ以上の新しい試料担体の挿入を可能にするための引き出しを開くために、特定の引き出しにおいて、加工処理が中断され得る、請求項4記載の自動システム。
【請求項13】
試料担体が複数の別々の位置の中に配置され得、移送手段が1つの位置から別の位置への試料担体の移動を実行するために配置され、該位置の少なくとも1つが特定の加工処理工程のために提供され、該位置の少なくとも1つが振動器部材を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項14】
複数の別々の位置が、並進運動によって試料担体を特定の水平面に上昇させ得、かつ挿入し得る移送手段を取り囲むか、または該移送手段に隣接するいくつかの位置の水平面を構成する小型の回転対称ユニットの中に配置される、請求項1記載の自動システム。
【請求項15】
加工処理のスケジューリングが、新しい試料を有する新しい組の担体の挿入の後に繰り返され、各々が特定のプロトコルを有する、請求項4記載の自動システム。
【請求項16】
加工処理が、洗浄、脱パラフィン、再水和、標的検索、試料調整、酵素の適用、抗体適用試薬の適用、すすぎ、化学プローブの適用、脱水、乾燥、および検鏡板からなる群より選択される少なくとも1つの加工処理工程の際に、振動の適用を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項17】
加工処理が、インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、および特異的染色からなる群より選択される少なくとも1つの方法を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項18】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の適用の開始および停止の制御を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項19】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振動数の制御を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項20】
少なくとも1つの振動器部材が、50〜150 MHz、好ましくは80 MHzなどの70〜100 MHzの振動数用に設計されたSAWチップデバイスである、請求項1〜19いずれか記載の自動システム。
【請求項21】
少なくとも1つの振動器部材が、500 mWのような300〜600 mWなどの100〜700 mWの電力用に設計されたSAWチップデバイスである、請求項1〜20いずれか記載の自動システム。
【請求項22】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、適用される振動のデューティサイクル、パルス長、または持続時間を制御することを含む、請求項1〜21いずれか記載の自動システム。
【請求項23】
適用される振動のデューティサイクル、もしくはパルス長、または持続時間が、振動を適用する特定の加工処理工程の持続時間の12〜17%、例えば12.5%、または16.6%のような10〜25%などの約5〜50%に達する、請求項22記載の自動システム。
【請求項24】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振動数を掃引することを含む、請求項1〜23いずれか記載の自動システム。
【請求項25】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振動数を調節することを含む、請求項1〜23いずれか記載の自動システム。
【請求項26】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振幅を制御することを含む、請求項1〜23いずれか記載の自動システム。
【請求項27】
振動器部材のスケジューリングおよび制御が、振動させる試料の加工処理を規定するプロトコルと関連する、請求項4記載の自動システム。
【請求項28】
少なくとも1つの振動器に対して電力を調節する振動調節器をさらに含み、振動調節器が特定のプロトコルに依存して制御される、請求項1〜27いずれか記載の自動システム。
【請求項29】
ロボットの試料加工処理機能によって自動加工処理操作事象をもたらす、自動加工処理操作能力を有する自動試料加工処理システムを確立する工程、
自動試料加工処理システムに生物学的試料を有する複数担体を負荷する工程、
試料加工処理システムが各々の負荷された試料の試料加工処理の制御のための少なくとも1つのプロトコルを規定することを可能にするデータをロードする工程、または該データにアクセスする工程、および
少なくとも1つの加工処理工程下で、加工処理を促進するための少なくとも1つの振動器部材を用いる試料加工処理を実行する工程
を含む生物学的試料の自動加工処理方法。
【請求項30】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって洗浄効果が高められる洗浄工程を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって脱パラフィンが促進される脱パラフィン工程を含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって混合が促進される混合工程を含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの加工処理工程が、粘性ポリマーの適用を含む検鏡板の工程を含み、ポリマーの粘度が減少し、その結果振動器部材からの振動の効果の下で、所望の領域の上にポリマーが容易に流れ得る、請求項29記載の方法。
【請求項34】
試料温度の均質化が振動器部材からの振動によって促進される加熱工程を、少なくとも1つの加工処理工程が含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
再水和が振動器部材からの振動によって促進される再水和工程を、少なくとも1つの加工処理工程が含む、請求項29記載の方法。
【請求項36】
標的検索が振動器部材からの振動によって促進される標的検索工程を、少なくとも1つの加工処理工程が含む、請求項29記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって促進される酵素または抗体の適用を含む、請求項29記載の方法。
【請求項38】
振動器が、波動によって補助される少なくとも1つの加工処理工程に適応した波長の音波を発する、請求項29記載の方法。
【請求項39】
振動器が、試料担体より小さいか、または試料担体と同じ大きさの波長の音波を発する、請求項29記載の方法。
【請求項40】
試料加工処理が特定の加工処理工程を含み、振動が該特定の加工処理工程の際の少なくとも一部の時間の間に試料に適用され、かつ加工処理時間が該特定の工程の通常または標準の加工処理時間の約50%までなど、少なくとも25%減少される、請求項29記載の方法。
【請求項41】
試料加工処理がインキュベーション工程を含み、振動が該インキュベーション工程の際に少なくとも一部の時間の間に試料に適用され、かつインキュベーション時間が通常または標準のインキュベーション時間の約50%までなど、少なくとも25%減少される、請求項29記載の方法。
【請求項42】
振動がインキュベーション工程の際に、少なくとも50%の時間などの少なくとも30%の時間などの少なくとも25%の時間などの少なくとも16.6%の時間などの少なくとも12%の時間適用される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
試料加工処理に用いられる試薬が約2〜4倍希釈され、振動の適用が希釈された試薬を補償し、その結果所望の化学反応が得られる、請求項29記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つの生物学的試料(12)を有する試料担体(10)を受け入れるために各位置が配置される、複数の位置、および
担体上の試料または試料に適用される試薬に振動を伝達するための、試料担体(10)またはカバーを振動させるために配置される少なくとも1つの振動器部材(16)であって、振動器部材(16)の発動作用が、担体(10)上の特定の試料(12)の加工処理工程を制御する特定のプロトコルによって制御される、部材
を含む、生物学的試料の加工処理のための自動システム。
【請求項2】
試料担体のための各々の複数の位置が、試料担体またはカバーを振動させるために配置される少なくとも1つの振動器部材を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項3】
試料担体のための少なくとも1/3の複数の位置が、試料担体またはカバーを振動させるために配置される少なくとも1つの振動器部材を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項4】
複数のスライドグラスの加工処理が、試料加工処理システムに存在する試料のための複数のプロトコルにおいて特定される加工処理工程を予定する多事象スケジューリングプログラムによってスケジューリングされる、請求項1記載の自動システム。
【請求項5】
少なくとも1つの振動器部材(16)が、試料担体(10)と支持的に接触するように配置される支持部材(15)に埋め込まれる、請求項1記載の自動システム。
【請求項6】
少なくとも2つの振動器部材(16)が、試料担体(10)と支持的に接触するように配置される支持部材(15)に埋め込まれる、請求項5記載の自動システム。
【請求項7】
少なくとも3つの振動器部材(16)が、試料担体(10)と支持的に接触するように配置される支持部材(15)に埋め込まれる、請求項5記載の自動システム。
【請求項8】
液体の薄層が、支持部材(15)と試料担体(10)との間に配置される、請求項5〜7いずれか記載の自動システム。
【請求項9】
少なくとも1つの振動器部材が、試料担体上の試料を覆うように配置される部材に埋め込まれる、請求項1記載の自動システム。
【請求項10】
試料担体が円形コンベヤーに載せられ得る、請求項1記載の自動システム。
【請求項11】
複数の位置が、いくつかの引き出すことができるが、通常は閉められる引き出しの中に配置され、少なくとも1つの引き出しの中の1つ以上の位置が、試料担体またはカバーを振動させるために配置される、少なくとも1つの振動器部材(16)を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項12】
試料の加工処理がすべての閉められた引き出しの中で続けられ得、開かれた引き出しの中での1つ以上の新しい試料担体の挿入を可能にするための引き出しを開くために、特定の引き出しにおいて、加工処理が中断され得る、請求項4記載の自動システム。
【請求項13】
試料担体が複数の別々の位置の中に配置され得、移送手段が1つの位置から別の位置への試料担体の移動を実行するために配置され、該位置の少なくとも1つが特定の加工処理工程のために提供され、該位置の少なくとも1つが振動器部材を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項14】
複数の別々の位置が、並進運動によって試料担体を特定の水平面に上昇させ得、かつ挿入し得る移送手段を取り囲むか、または該移送手段に隣接するいくつかの位置の水平面を構成する小型の回転対称ユニットの中に配置される、請求項1記載の自動システム。
【請求項15】
加工処理のスケジューリングが、新しい試料を有する新しい組の担体の挿入の後に繰り返され、各々が特定のプロトコルを有する、請求項4記載の自動システム。
【請求項16】
加工処理が、洗浄、脱パラフィン、再水和、標的検索、試料調整、酵素の適用、抗体適用試薬の適用、すすぎ、化学プローブの適用、脱水、乾燥、および検鏡板からなる群より選択される少なくとも1つの加工処理工程の際に、振動の適用を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項17】
加工処理が、インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、および特異的染色からなる群より選択される少なくとも1つの方法を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項18】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の適用の開始および停止の制御を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項19】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振動数の制御を含む、請求項1記載の自動システム。
【請求項20】
少なくとも1つの振動器部材が、50〜150 MHz、好ましくは80 MHzなどの70〜100 MHzの振動数用に設計されたSAWチップデバイスである、請求項1〜19いずれか記載の自動システム。
【請求項21】
少なくとも1つの振動器部材が、500 mWのような300〜600 mWなどの100〜700 mWの電力用に設計されたSAWチップデバイスである、請求項1〜20いずれか記載の自動システム。
【請求項22】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、適用される振動のデューティサイクル、パルス長、または持続時間を制御することを含む、請求項1〜21いずれか記載の自動システム。
【請求項23】
適用される振動のデューティサイクル、もしくはパルス長、または持続時間が、振動を適用する特定の加工処理工程の持続時間の12〜17%、例えば12.5%、または16.6%のような10〜25%などの約5〜50%に達する、請求項22記載の自動システム。
【請求項24】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振動数を掃引することを含む、請求項1〜23いずれか記載の自動システム。
【請求項25】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振動数を調節することを含む、請求項1〜23いずれか記載の自動システム。
【請求項26】
少なくとも1つの振動器部材の制御が、振動の振幅を制御することを含む、請求項1〜23いずれか記載の自動システム。
【請求項27】
振動器部材のスケジューリングおよび制御が、振動させる試料の加工処理を規定するプロトコルと関連する、請求項4記載の自動システム。
【請求項28】
少なくとも1つの振動器に対して電力を調節する振動調節器をさらに含み、振動調節器が特定のプロトコルに依存して制御される、請求項1〜27いずれか記載の自動システム。
【請求項29】
ロボットの試料加工処理機能によって自動加工処理操作事象をもたらす、自動加工処理操作能力を有する自動試料加工処理システムを確立する工程、
自動試料加工処理システムに生物学的試料を有する複数担体を負荷する工程、
試料加工処理システムが各々の負荷された試料の試料加工処理の制御のための少なくとも1つのプロトコルを規定することを可能にするデータをロードする工程、または該データにアクセスする工程、および
少なくとも1つの加工処理工程下で、加工処理を促進するための少なくとも1つの振動器部材を用いる試料加工処理を実行する工程
を含む生物学的試料の自動加工処理方法。
【請求項30】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって洗浄効果が高められる洗浄工程を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって脱パラフィンが促進される脱パラフィン工程を含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって混合が促進される混合工程を含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの加工処理工程が、粘性ポリマーの適用を含む検鏡板の工程を含み、ポリマーの粘度が減少し、その結果振動器部材からの振動の効果の下で、所望の領域の上にポリマーが容易に流れ得る、請求項29記載の方法。
【請求項34】
試料温度の均質化が振動器部材からの振動によって促進される加熱工程を、少なくとも1つの加工処理工程が含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
再水和が振動器部材からの振動によって促進される再水和工程を、少なくとも1つの加工処理工程が含む、請求項29記載の方法。
【請求項36】
標的検索が振動器部材からの振動によって促進される標的検索工程を、少なくとも1つの加工処理工程が含む、請求項29記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つの加工処理工程が、振動器部材からの振動によって促進される酵素または抗体の適用を含む、請求項29記載の方法。
【請求項38】
振動器が、波動によって補助される少なくとも1つの加工処理工程に適応した波長の音波を発する、請求項29記載の方法。
【請求項39】
振動器が、試料担体より小さいか、または試料担体と同じ大きさの波長の音波を発する、請求項29記載の方法。
【請求項40】
試料加工処理が特定の加工処理工程を含み、振動が該特定の加工処理工程の際の少なくとも一部の時間の間に試料に適用され、かつ加工処理時間が該特定の工程の通常または標準の加工処理時間の約50%までなど、少なくとも25%減少される、請求項29記載の方法。
【請求項41】
試料加工処理がインキュベーション工程を含み、振動が該インキュベーション工程の際に少なくとも一部の時間の間に試料に適用され、かつインキュベーション時間が通常または標準のインキュベーション時間の約50%までなど、少なくとも25%減少される、請求項29記載の方法。
【請求項42】
振動がインキュベーション工程の際に、少なくとも50%の時間などの少なくとも30%の時間などの少なくとも25%の時間などの少なくとも16.6%の時間などの少なくとも12%の時間適用される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
試料加工処理に用いられる試薬が約2〜4倍希釈され、振動の適用が希釈された試薬を補償し、その結果所望の化学反応が得られる、請求項29記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2008−516203(P2008−516203A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535019(P2007−535019)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000637
【国際公開番号】WO2006/037332
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(506006795)ダコ デンマーク アクティーゼルスカブ (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000637
【国際公開番号】WO2006/037332
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(506006795)ダコ デンマーク アクティーゼルスカブ (10)
【Fターム(参考)】
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