説明

加工装置

【課題】高い洗浄機能を有する洗浄装置を有する加工装置を提供する。
【解決手段】ワークWを切断し、洗浄し、容器に収納する加工装置1であって、切断されたワークWの表面に空気を混合した洗浄水を噴霧状にして吹き付けて前記ワークの表面を洗浄する第1の洗浄装置400と、ワークWの裏面を洗浄ローラ511により洗浄する第2の洗浄装置500と、ワークWの裏面に空気を混合した洗浄水を噴霧状にして吹き付けてワークWの裏面を洗浄する第3の洗浄装置600とを有することを特徴とする加工装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、洗浄装置を備えた加工装置に係り、特に、高速回転するブレードによって多数の個片に切削又は切溝加工されたワークを洗浄する加工装置に関する。本発明は、パッケージ基板を多数の半導体装置に切断するダイシング装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なサイズのパッケージ基板やその他のワークを高速かつ高精度に切断、洗浄、収納するダイシング装置が求められている。かかるダイシング装置の一例を、本出願人は、特許文献1に開示している。かかる加工装置は、ブレードで基板を切断して個片化し、その後、個片化されたワークを洗浄するワーク洗浄部を有する。
【0003】
より詳細には、ワーク洗浄部は、ダイシング後のワークをテーブルに吸着した状態で上方より水及びエアを混合した洗浄水をワーク表面に吹き付ける第1の洗浄装置と、第1の洗浄装置による洗浄終了後のワークの接地面(ワーク裏面)を洗浄ローラにより洗浄する第2の洗浄装置とを有する。洗浄ローラは、軸周りに回転し、洗浄水を表面に含んだスポンジなどの材料からなり、ワークと接触してワークに付着した付着物を除去する。
【特許文献1】特開2005−152817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ワーク裏面に凹凸があれば洗浄ローラによる接触力に分布ができ、接触しても洗浄しきれない場合がある。特に、最近は裏面が平坦でないワークも存在するため、洗浄ローラのみでは洗浄が不十分になってきた。
【0005】
そこで、本発明は、高い洗浄機能を有する洗浄装置を有する加工装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての加工装置は、ワークを切断し、洗浄し、容器に収納する加工装置であって、切断された前記ワークの表面に空気を混合した洗浄水を噴霧状にして吹き付けて前記ワークの表面を洗浄する第1の洗浄装置と、前記ワークの裏面を洗浄ローラにより洗浄する第2の洗浄装置と、前記ワークの裏面に空気を混合した洗浄水を噴霧状にして吹き付けて前記ワークの裏面を洗浄する第3の洗浄装置とを有することを特徴とする。かかる加工装置(例えば、ダイシング装置)によれば、第3の洗浄装置がワークの裏面を洗浄し、洗浄ローラで除去できないコンタミを除去する。乾燥空気を前記ワークの裏面に吹き付けて前記ワークの裏面を乾燥させる乾燥ユニットを更に有してもよい。これにより、洗浄水によってワークの裏面に吸着しているコンタミを除去することができる。また、乾燥によって洗浄水によってワークの裏面が搬送テーブルなどに吸着することがなくなるのでその後の搬送が容易になるという効果もある。なお、加工装置は、第2の洗浄装置、第3の洗浄装置、乾燥ユニットを全て動作させる必要はなく、これらを組み合わせることができる。
【0007】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例において明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い洗浄機能を有する洗浄装置を有する加工装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての加工装置の一例としてのダイシング装置1について説明する。ここで、図1は、ダイシング装置1の概略平面図である。図中、矢印はワークWの流れを示す。
【0010】
図1を参照するに、ダイシング装置1は、ウェハや樹脂封止基板などのワークWを多数の半導体装置に切断、区画化又は個片化(以下、単に「切断」という。)する装置であり、ワーク供給部100と、切断テーブル200と、切削機構300と、ワーク洗浄部400乃至700と、ワーク検査部800と、ワーク収納部900とを有する。
【0011】
ワーク供給部100は、切断前のワークWを収納すると共に、かかるワークWを後述する切断テーブル200に供給する。ワーク供給部100は、供給マガジン110と、整列エレベータ120と、供給搬送ピックアップ130とを有する。
【0012】
供給マガジン110は、多数のワークWを収納する供給マガジンを複数装備し、整列エレベータ120にワークWを必要枚数だけ供給することができる。空のマガジンの回収は常時可能である。
【0013】
本実施例では、切断前のワークWのサイズや形状は特に限定されず、例えば、150mm角乃至350mm角など様々なサイズに対応することができる。また、切断されたワークWのサイズや形状も特に限定されず、例えば、5mm角乃至60mm角など様々なサイズに対応することができる。整列エレベータ120に供給されたワークWは、供給搬送ピックアップ130によって切断テーブル200に載置される。供給搬送ピックアップ130には、当業界周知のいかなる技術をも適用することができるので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0014】
切断テーブル200は、本実施形態では、矩形形状を有し、上面に多数設けられた吸引孔によってワークWを位置決め固定する。切断テーブル200の吸引孔は、図示しない吸引機構によって所定の減圧環境に維持され、ワークWを吸着可能にする。また、切断テーブル200は、後述する切削機構300のブレード310と協同してワークWを個片化する機能を有する。切断テーブル200は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されると共に、図示しない並進機構によってY軸方向に並進可能に構成されている。
【0015】
図示しない回転機構は、ワークWの縦横(X軸方向及びY軸方向)を切断する際、及び、異なるワークWを切断する際に、所定角度だけ切断テーブル200を回転させる機能を有する。図示しない並進機構は、切断時に、切断テーブル200を、図1に示すY軸方向に移動させる機能を有する。なお、回転機構及び並進機構は、当業界周知のいかなる技術をも適用することができるので、詳しい説明は省略する。なお、切断テーブル200は、一般には、ワークWを直接載置する場合は少なく、ワークWを切断する形状及び数などに応じて交換可能に用意されるダイシング治具を介してワークWの固定及び位置決めを行っている。
【0016】
切削機構300は、切断テーブル200に位置決め固定されたワークWに対して切削又は切溝加工を施す機能を有し、例えば、ブレード310と、スピンドル320とから構成される。
【0017】
ブレード310は、スピンドル320の先端に交換可能に取り付けられ、回転軸を中心として高速回転することで、切断テーブル200に固定及び位置決めされたワークWを切断する機能を有する。ブレード310は、本実施形態では、ワークWをY軸方向に切断することが可能であり、Y軸方向に切断されたワークWを載置した切断テーブル200を90度回転し、再度重ねてワークWをY軸方向に切断することで、ワークWを個片の半導体装置に切断することができる。
【0018】
スピンドル320は、回転運動を生成するモーターと、モーターの回転運動をブレード310の回転軸に伝達するスピンドルシャフトと、ブレード310の刃先位置を定めるスラストベアリングと、モーター、スピンドルシャフト及びスラストベアリングを収納するスピンドルハウジングとを含み、ブレード310に回転運動を付与する回転機構の機能を有する。
【0019】
ワーク洗浄部は、切断後のワークWを洗浄する機能を有し、本実施形態では、第1の洗浄装置400、第2の洗浄装置500、第3の洗浄装置600、及び、乾燥装置700を有する。
【0020】
第1の洗浄装置400は、切断後のワークWの表面を切断テーブル200にワークWの裏面を吸着したまま洗浄する。なお、ワークWの表面、裏面は両者が表裏の関係にある以外はワークWの面を限定するものではない。第1の洗浄装置400は、切断テーブル200に吸着されたワークWの上方より、ワークWの表面に向けて空気(エア)を混合した洗浄水を噴霧状又はジェット状にして吹き付けてワークWの表面を洗浄する。第1の洗浄装置400は、例えば、洗浄水を吹き付けるノズルを有し、切断テーブル200が通過(移動)可能なゲート状の部材で構成されるシャワー方式の洗浄装置として具現化される。これにより、ワークWの表面に付着したコンタミと、半導体装置として利用しない切断端材とを洗い流すことができる。第1の洗浄装置400で使用された洗浄水や洗い流されたコンタミ及び切断端材は、ダストボックス410に廃棄される。
【0021】
第2の洗浄装置500は、第1の洗浄装置400による洗浄が終了したワークWの裏面(接地面)を洗浄ローラ511により洗浄する機能を有する。切断後のワークWは、第1の洗浄装置400によって表面が洗浄されているが、裏面は洗浄されておらず、切断時に発生するコンタミや第1の洗浄で使用されたコンタミを含んだ洗浄水が裏面に回りこんで残留する場合がある。ワークWの裏面は第2の洗浄装置500と第3の洗浄装置600によって洗浄される。
【0022】
第2の洗浄装置500は、図2に示すように、洗浄ユニット510と、排水機構530と、移動機構540とを有する。ここで、図2は、第2の洗浄装置500の構成を示す拡大図であって、図2(a)は上面図、図2(b)は正面図である。
【0023】
洗浄ユニット510は、後述する移動機構540によってY軸方向に移動可能に構成され、一括吸着ヘッド250が切断テーブル200から搬出してワークWの表面を保持した状態でワークWの裏面を下方より洗浄する。図1に示す250の位置がワーク裏面洗浄位置である。第2の洗浄装置500は、図1に示すY方向に移動してワークWの裏面を洗浄する。
【0024】
洗浄ユニット510は、図3に示すように、洗浄ローラ511と、洗浄水供給部材512aと、ギア部514と、後述する水切りユニット520とを有する。洗浄ユニット510は、洗浄ローラ511、洗浄水供給部材512a、ギア部514を一体に構成しており、小型化が実現され、移動に適するように設けられている。ここで、図3は、図2に示す洗浄ユニット510のAA断面における断面矢視図である。
【0025】
洗浄ローラ511は、ワークWと接触する表面511aを有し、表面511aが吸収する洗浄水を利用してワークWに付着したコンタミ(付着物)を除去する機能を有する。洗浄ローラ511は、図3に示すように、後述する回転駆動部513によって回転可能なローラ軸RSの周りに、スポンジ等の洗浄水を吸収可能な吸収部材と、ローラ軸RSから吸収部材へ洗浄水を伝えるホルダーとをローラ上に形成することで構成される。ホルダーは、本実施例では90度間隔で外周部に4箇所配置された半径方向に延びる孔をX方向に多数有しており、その孔を通して洗浄水をローラ軸RSから吸収部材へと伝える。洗浄水を吸収した表面511aをワークWに接触させ、洗浄ローラ511を回転することによってワークWに付着したコンタミを除去することができる。
【0026】
洗浄水供給部材512aは、洗浄ローラ511のローラ軸RSに設けられ、洗浄ローラ511(ローラ軸RS)の軸受け部に洗浄水が浸入することを防ぐパッキンを有する。洗浄水供給部材512aは、ローラ軸RSの一端に設けられており、ローラ軸RSに形成された中空部RSaを介してローラ軸RSの中央部にある孔へと洗浄水を通す構成をしている。ローラ軸RSの孔を通過した洗浄水は、ホルダーの孔を通過して吸収部材へ伝わっていく。
【0027】
回転駆動部513は、洗浄ローラ511(ローラ軸RS)に回転運動を付与する機能を有する。回転駆動部513は、図2及び図4に示すように、回転運動を生成するモーター513aと、回転シャフト513bとを有し、ギア部514に接続する。ここで、図4は、洗浄ユニット510及び回転駆動部513の構成を示す拡大図であって、図4(a)は上面図、図4(b)は側面図、図4(c)は正面図である。
【0028】
モーター513aは、洗浄ローラ511を回転させるための回転運動を生成する機能を有する。モーター513aは、例えば、整流子及びブラシを有するブラシ付きモーターや、磁電変換素子を有するブラシレスモーターを用いることができる。
【0029】
回転シャフト513bは、円筒状部材から構成され、一端にモーター513aが、他端にギア部514が接続される。換言すれば、回転シャフト513bは、ギア部514を介してモーター513aと洗浄ローラ511とを接続し、モーター513aの回転運動を洗浄ローラ511のローラ軸RSに付与する機能を有する。
【0030】
ギア部514は、回転シャフト513bの回転運動を洗浄ローラ511に伝達する機能を有し、本実施形態では、第1のギア514aと、第2のギア514bと、第3のギア514cと、第4のギア514dとを有する。第1のギア514aは、ジョイントJTを介して回転シャフト513bに連結し、第2のギア514bが第1のギア514aに歯合し、第3のギア514cは第2のギア514bと同軸に設けられ、第4のギア514dが第3のギア514cに歯合し、洗浄ローラ511のローラ軸RSは第4のギア514dと同軸に設けられている。第1のギア514a乃至第4のギア514dにより、Y軸方向に移動可能な洗浄ユニット510の小型化を図ることができる。
【0031】
水切りユニット520は、洗浄ローラ511の表面511aが吸収しない余分な(即ち、表面511aに流出した)洗浄水を除去する機能を有し、図5に示すように、水切りローラ522と、押圧離脱機構524とを有する。ここで、図5は、水切りユニット520の構成を示す正面図であって、図5(a)は水切りローラ522が洗浄ローラ511を押圧した状態、図5(b)は水切りローラ522が洗浄ローラ511から離脱した状態を示している。
【0032】
水切りローラ522は、洗浄ローラ511の表面511aを水切りする機能を有し、後述する排水機構530に余分な洗浄水を落下させる。
【0033】
押圧離脱機構524は、水切りローラ522を洗浄ローラ511に押圧する及び水切りローラ522を洗浄ローラ511から離脱させる機能を有する。より詳細には、押圧離脱機構524は、水切りローラ522を、ワークWの洗浄時(ダイシング装置1の稼働時)に洗浄ローラ511に押圧させ、ワークWの洗浄時以外(ダイシング装置1の休止時)に洗浄ローラ511から離脱させる。押圧離脱機構524は、本実施形態では、回転部524aと、押引部524bから構成される。
【0034】
回転部524aは、固定軸FSを中心として回転可能である。回転部524aは、一端に押引部524bが接続され、他端に水切りローラ522が取り付けられている。押引部524bは、図5(a)に示すように、回転部524aに接続された一端を矢印α方向に押すことで水切りローラ522を矢印β方向に移動させて洗浄ローラ511を押圧する。また、押引部524bは、図5(b)に示すように、回転部524aに接続された一端を矢印α方向に引くことで水切りローラ522を矢印β方向に移動させて洗浄ローラ511から離出させる。離出した水切りローラ522は、図5(b)に示すストッパによりその移動を停止する。なお、ダイシング装置1を停止したときに、少なくとも、洗浄ローラ511から水切りローラ522を離脱させるべきことを知らせる表示を行うことが望ましい。
【0035】
押圧離脱機構524によって、水切りローラ522は、洗浄ローラ511に対して押圧及び離脱可能となる。洗浄ローラ511が乾燥する際(ワークWの洗浄中以外)には、水切りローラ522と洗浄ローラ511とを離脱させることで、乾燥によって弾力性(復元力)を失った洗浄ローラ511が水切りローラ522に押圧されて生ずる窪みの発生を防止する。これにより、洗浄ローラ511の洗浄機能の低下及び使用期間の短縮を防止することができる。また、洗浄ローラ511の交換の際にも、図5(b)に示すように、洗浄ローラ511から水切りローラ522を離脱することが可能であるため、容易に洗浄ローラ511を取り外すことができる。
【0036】
排水機構530は、洗浄ローラ511の下方に配置され、排水槽532と、排水口534と、網皿536とを有する。排水槽532は、水切りローラ522が水切り(除去)した洗浄ローラ511の表面511aの余分な洗浄水及びコンタミ等を溜める。排水口534は、排水槽532に溜まった洗浄水及びコンタミ等を廃棄する際に用いる。網皿536は底面が鋼網で構成された簡易濾過皿であり、洗浄中に半導体装置が落下した場合に拾い受ける機能を有する。
【0037】
移動機構540は、一括吸着ヘッド250が一括して吸着吊持しているワークWの裏面に沿って、Y軸方向に洗浄ユニット510を移動させる機能を有する。移動機構540は、本実施形態では、モーター542と、ベルト544と、スライドマウント546とを有する。
【0038】
移動機構540は、モーター542が回転することにより、ベルト544を巻き回し、ベルト544に連結するスライドマウント546に支持された洗浄ユニット510及び回転駆動部513をY軸方向へ移動可能に構成されている。
【0039】

また、移動機構540は、スライドマウント546と回転駆動部513との連結部に図6に示す支持軸548を備えている。支持軸548はスライドマウント546と回転駆動部513とを軸芯で同軸回転可能に支持することで、スライドマウント546と回転駆動部513との連結を緩やかなものとし、洗浄ユニット510が忠実に反映して移動するように構成されている。
【0040】
第3の洗浄装置600は、ワークWの裏面に空気を混合した洗浄水を噴霧状又はジェット状にして吹き付けてワークWの裏面を洗浄する機能を有する。第3の洗浄装置600は、図2、図7及び図8に示すように、ブロック610と、固定板620と、オーリング630及び632と、複数のノズル640と、空気導入機構650と、洗浄水導入機構660と、ノズル上下シリンダ670とを有する。図7は、図2(b)のC方向から見た矢視図である。図8は、図7のDD断面図である。
【0041】
ブロック610は直方体形状を有し、上面612に固定板620が取り付けられている。ブロック610は、段付の中空部614、616及び618を有する。中空部614は上面612から窪んだ部分であり、オーリング630を支持すると共にプレート625を収納する。中空部616は、中空部614の下に形成され、中空部614よりも幅が狭く、配管654の主要部とオーリング632を支持する。中空部618は、中空部616の下に形成され、中空部616よりも幅が狭く、洗浄水導入機構660の主要部を収納する。
【0042】
固定板620は、ノズル640を固定する機能を有すると共にオーリング630と共に中空部614の内部を封止する。固定板620の下にはノズル640が載置されるプレート625が設けられている。プレート625にはT方向から導入される空気の流路626とZ方向から導入される洗浄水の流路627が形成されており、流路626と流路627はプレート625内で結合する。固定板620とプレート625との間はオーリング630によってシールされている。この結果、固定板620とノズル640の間や固定板620と上面612の間から洗浄水や空気が漏れることがなくなる。流路626の数、流路626、627のそれぞれの径、T方向の角度は限定されない。
【0043】
ノズル640は、図1に示すX方向に等間隔で整列し、図1に示すY方向に移動してワークWの裏面を空気と洗浄水という2つの流体で洗浄する2流体洗浄ノズルである。ノズル640の数、サイズ、ノズル640間の間隔は限定されない。ノズル640はZ方向に空気を混合した洗浄水を噴霧状又はジェット状にして吹き付ける開口642と、開口642に接続された流路644とを有する。ノズル640は円筒と半球体を組み合わせた形状を有する。流路644は、空気が混合された洗浄水の流路であり、Z方向に延びる。
【0044】
ノズル640は図2(b)に示すP方向にスイング可能に構成されている。スイング機構はブロック610を図2(b)に示すP方向に一定の角度範囲で回転する機構であり、当業界で周知の構造を使用することができる。スイング機構によるノズル640のワークWの裏面に対する傾斜角度は制御可能である。
【0045】
空気導入機構650は空気をノズル640の流路642に導入する機構であり、図示しない空気供給源に図示しないホースを介して接続された栓652と、栓652に接続された配管654と、分岐ソケット656とを有する。配管654は、X方向に延び、分岐ソケット656に結合される。分岐ソケット656はX方向及びZ方向に開口し、X方向延びる配管654が洗浄水導入機構660の配管666及びノズル640と結合することを可能にする。
【0046】
空気導入機構650が導入する空気の流量、又は、第3の洗浄装置600の空気と洗浄水との混合比は変更可能である。この混合比は空気の割合が0である場合を含む。
【0047】
洗浄水導入機構660は洗浄水をノズル640の流路642に導入する機構であり、図示しない洗浄水供給源に図示しないホースを介して接続された栓662と、栓662に接続された配管664及び666とを有する。X方向に延びる配管664は、複数の接続部665を有し、接続部665にZ方向に延びる配管666が固定される。接続部665は、例えば、雌ネジ孔であり、配管666の先端に形成された雄ネジ部が嵌合される。この結果、洗浄水が、洗浄水供給源から、栓662、配管664及び666を通り、ノズル640に供給される。
【0048】
ノズル上下シリンダ670は、図2(b)に示すように、ブロック610をZ方向に上下移動させる。ノズル上下シリンダ670は、移動機構540による移動時や第3の洗浄装置600の非稼動時にブロック610をZ方向下向きに退避させ、第3の洗浄装置600による洗浄時にブロック610をZ方向上向きに、即ち、ワークWに近づく方向に、ブロック610を移動させる。この結果、ノズル640からの噴射力がワークWの裏面に到達する間に弱まることを防止することができる。
【0049】
乾燥ユニット700は、乾燥空気を前記ワークの裏面に吹き付けて前記ワークの裏面を乾燥させる機能を有し、ブロック710と、ブロック710に接続された栓720とを有する。ブロック710は、ソケット712と、排気部714とを有し、中空部718を有する。ソケット712はブロック710の側面に形成され、中空部718に結合される。排気部714は、X方向に連続的に延びる所定幅の開口715を有し、内部には開口715に接続された乾燥空気の流路716が接続されている。
【0050】
開口715の幅は変更可能である。本実施例では、ブロック710は3つのサブブロック711a乃至711cに分かれており、開口715を有するサブブロック711bは予め異なる幅のものが複数種類用意されている。開口715の幅を変更する場合には幅広な開口715を有するサブブロック711bを図7に示すサブブロック711bと交換する。同様に、乾燥空気の排気圧は低圧から高圧調節可能であり、対象物に応じて使い分けることができる。
【0051】
流路716は中空部718に接続している。栓720は、図示しない乾燥空気供給源にホース730を介して接続されると共にブロック710のソケット712に挿入されて結合される。図示しない乾燥空気供給源は、高温で乾燥した空気を供給する。
【0052】
この結果、乾燥空気が乾燥空気供給源から栓720、中空部718を通って排気部714から排出される。これにより、ワークWの裏面を乾燥させて水分を除去することにより、切断時に供給される水や洗浄水によってワークWの裏面に吸着しているコンタミを除去することができる。また、乾燥によって洗浄水によってワークWの裏面が搬送テーブルなどに吸着することがなくなるのでその後の搬送が容易になるという効果もある。
【0053】
加工装置1は、第2の洗浄装置500、第3の洗浄装置600、乾燥ユニット700を全て動作させる必要はなく、これらを組み合わせることができる。この結果、加工装置1は、第2の洗浄装置500のみによる洗浄、第2の洗浄装置500による洗浄と乾燥ユニット700による乾燥、第3の洗浄装置600のみによる洗浄、第3の洗浄装置600による洗浄と乾燥ユニット700による乾燥、第2の洗浄装置500と第3の洗浄装置600による洗浄と乾燥ユニット700による乾燥という様々なパターンの洗浄を提供することができる。
【0054】
また、図1では、ワークWから見ると、第3の洗浄装置600、乾燥ユニット700、第2の洗浄装置500の順で並んでいるが、これは単なる例示である。図1における実施例では、全ての洗浄部を使用する場合、第3の洗浄装置600と第2の洗浄装置500による洗浄を一回の移動機構540による移動において順次行い、再び、移動機構540をY方向に戻して乾燥ユニット700による乾燥を行う。
【0055】
ワーク検査部800は、個片化されたワークWの1つ1つに対して画像処理検査及び導通検査を含む品質検査を行う機能を有し、バッファトレイ810と、ピックアップ機構と、インデックステーブル830とを有する。
【0056】
バッファトレイ810は、第2及び第3の洗浄装置500及び600と、個片化されたワークWを一つずつ検査するインデックステーブル830との間に配置され、処理速度の差異を吸収する機能を有する。バッファトレイ810は、一括吸着ヘッド250によって一括して搬送されてきたワークWを一時的に収容し、ワークWを一つずつ取り扱うピックアップ機構820へワークWを受け渡す。
【0057】
ピックアップ機構は、反転ピックアップ機構820と、中間ピックアップ機構822と、収納ピックアップ機構824とを有する。
【0058】
反転ピックアップ機構820は、バッファトレイ810が収納したワークWを一つずつ天地反転する機能を有する。半導体装置の製造においては、半導体装置本来の実装姿勢である端子面を下へ向けた状態でなく、半導体装置が天地反転した状態で製造される場合があるため、ワークWを天地反転して半導体装置本来の実装姿勢とする必要があるからである。中間ピックアップ機構822は、反転ピックアップ機構820によって天地反転されたワークWをインデックステーブル830に搬送する。収納ピックアップ機構824は、良品の半導体装置を良品収納トレイ910に収納し、不良品の半導体装置を図示しない不良品収納トレイに収納する。
【0059】
インデックステーブル830は、回転軸を中心として矢印反時計周りに回転可能に構成され、回転軸を中心として90度間隔で外周部の4箇所に配置された保持部832a乃至832dを有する。保持部832a乃至832dには、中間ピックアップ機構822より搬送されたワークWが端子面を下にして載置される。インデックステーブル830の保持部832a乃至832dに保持されたワークWは、インデックステーブル830が90度回転することにより、順次検査部に送られて品質検査を受ける。品質検査を受けたワークWは、インデックステーブル830が更に90度回転することにより順次搬出位置に送られて、収納ピックアップ機構824によってワーク収納部900へ搬出される。図1において、832aは反転ピックアップ機構820からワークWが載置される載置位置、832cはワークWの検査が行われる検査位置、832dはワーク収納部900へワークWを搬出する搬出位置といえる。
【0060】
ワーク収納部900は、ワーク検査部800での品質検査が終了したワークWを良品と不良品とに分けて収納する機能を有し、良品のワークを収納する良品収納トレイ910と、不良品のワークを収納する図示しない不良品収納トレイとを有する。なお、良品収納トレイ910及び不良品収納トレイは、ワークWの収納スピードに応じてY軸方向(図面上から下に向かって)に移動可能に構成されている。
【0061】
以下、ダイシング装置1の動作について説明する。まず、ワーク供給部100において、ワークWが供給マガジン110から整列エレベータ120に供給される。整列エレベータ120に供給されたワークWは、搬送機構によって切断テーブル200に載置される。切断テーブル200に載置されたワークWは、吸引機構等を介して、切断テーブル200に吸着される。
【0062】
ワークWを位置決め固定した切断テーブル200は、並進機構及び回転機構によって移動及び回転し、切削機構300と協同してワークWを個片化する。詳細には、回転駆動するブレード310に対して並進機構を利用して切断テーブル200をY軸方向に移動し、さらに往復移動してワークWを切断する。Y軸方向の切断を繰り返した後、回転機構によって切断テーブル200を90度回転させ、同様の作業を繰り返し、ワークWを多数の個片に切断する。
【0063】
次に、個片化したワークWをワーク洗浄部で洗浄する。詳細には、並進機構を利用して切断テーブル200をY軸方向へ移動させると共に、切断テーブル200が第1の洗浄装置400を通過する際に、洗浄液を吹き付ける。このとき、切断テーブル200には個片化されたワークWが吸着されたままであるのでワークWが上方より洗浄される。
【0064】
第1の洗浄装置400での洗浄が終了すると、個片化されたワークWは、吸着搬送手段によって一括吸着され、第2の洗浄装置500に搬送される。一括吸着ヘッド250に吸着吊持されたワークWは、第3の洗浄装置600と第2の洗浄装置500によって下方から洗浄される。
【0065】
具体的には、第3の洗浄装置600の空気導入機構650と洗浄水導入機構660が空気及び洗浄水をそれぞれ流路626及び627に導入し、ノズル640から空気が混合された洗浄水を霧状又はジェット状にしてワークWの裏面に吹き付ける。この結果、ワークWの裏面に凹凸があってもコンタミを効果的に除去することができる。
【0066】
次いで、第2の洗浄装置500の洗浄ローラ511が、表面511aに洗浄水を吸収すると、押圧離脱機構524を備えた水切りローラ522が表面511aを押圧し、洗浄ローラ511を所望の湿り(濡れ)具合に制御する。そして、所望の湿り(濡れ)具合に制御された洗浄ローラ511の表面511aをワークWの洗浄面に接触させると共に、移動機構540によって洗浄ローラ511(洗浄ユニット510)をワークWの洗浄面に沿って精度良く当接移動させ、ワークWに付着したコンタミを洗浄する。このとき、洗浄ローラ511の表面511aとワークWとは、均一に接触するよう構成されており、洗浄ローラ511に負荷をかけることなく洗浄を行うことができる。また、洗浄水の過剰供給によって洗浄後のワークWに水滴痕が残ることも防止されている。なお、ワークWの洗浄を終了する場合(ダイシング装置1の休止時)には、押圧離脱機構524によって水切りローラ522を洗浄ローラ511の表面511aから離脱させる。これにより、洗浄ローラ511の乾燥時に表面511aに窪みが生じることを防止している。このように、第2の洗浄装置500は、洗浄ローラ511の洗浄機能を高く維持すると共に、洗浄ローラ511の損耗を防止することができるため、洗浄ローラの長期使用を実現し(即ち、洗浄ローラ511の交換頻度を低減し)、洗浄ローラ511の交換によるダウンタイムを抑えて、スループットの低下を防ぐことができる。
【0067】
次に、移動機構540と乾燥ユニット700を利用して乾燥空気をワークWの裏面に吹き付けてワークWの裏面を乾燥させる。
【0068】
洗浄が終了したワークWは、ワーク検査部800に搬送され、個片化されたワークWについて品質検査が行われる。次に、ワーク収納部900において、良品のワークは良品収納トレイ910に、不良品のワークは不良品収納トレイに収納する。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の加工装置(ダイシング装置)の概略平面図である。
【図2】図1に示す第2の洗浄装置の構成を示す拡大図である。
【図3】図2(b)に示す洗浄ユニットのAA断面図である。
【図4】洗浄ユニット及び回転駆動部の構成を示す拡大図である。
【図5】洗浄ユニットの洗浄水噴射機構の構成を示す図である。
【図6】水切りユニットの構成を示す正面図である。
【図7】図2(b)に示す移動機構の構成を示す拡大図である。
【図8】図2(a)に示すC方向から見た矢視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ダイシング装置
400 第1の洗浄装置
500 第2の洗浄装置
511 洗浄ローラ
600 第3の洗浄装置
700 乾燥ユニット
W ワーク





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを切断し、洗浄し、容器に収納する加工装置であって、
切断された前記ワークの表面に空気を混合した洗浄水を噴霧状にして吹き付けて前記ワークの表面を洗浄する第1の洗浄装置と、
前記ワークの裏面を洗浄ローラにより洗浄する第2の洗浄装置と、
前記ワークの裏面に空気を混合した洗浄水を噴霧状にして吹き付けて前記ワークの裏面を洗浄する第3の洗浄装置とを有することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
乾燥空気を前記ワークの裏面に吹き付けて前記ワークの裏面を乾燥させる乾燥ユニットを更に有することを特徴とする請求項1記載の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−284407(P2008−284407A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128693(P2007−128693)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】