説明

加振装置付ホッパ

【課題】本発明は、効率よくホッパ本体を振動させ、ホッパ内の原材料の詰まりを排除することが可能な加振装置付ホッパを提供することを目的とする。
【解決手段】内部に原材料を収容可能であるとともに下部に当該原材料の排出口を有するホッパ本体2と、当該ホッパ本体2を形成する壁面を振動させることが可能な加振装置3とを備える加振装置付ホッパ1であって、前記加振装置3は、ホッパ本体2を形成する壁面21が共振する共振周波数でび加振を少なくとも用いて当該壁面を振動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体あるいは粒状体等の原材料を収容し、排出口から排出することにより外部に材料を供給する加振装置付ホッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体あるいは粒状体等の原材料を収容し、排出口から排出することにより外部に原材料を供給するホッパとして特許文献1に記載されているような逆円錐台形状に形成されたホッパが知られている。このようなホッパに不定形の粒状物が混在する原材料が投入された場合、粒状物がブリッジ状態を形成することにより、原材料の排出が円滑に行われないという問題があった。このような問題に鑑み、特許文献1に記載のホッパは、ホッパ本体の内周面に弾性又は塑性変形する揺動膜を設けるとともに該揺動膜を往復動する手段を設け、ホッパ内部の傾斜壁面を大きく振動させ、ブリッジ現象を解消している。また、ホッパ本体の外側の傾斜壁面に振動手段として電動式バイブレータを取り付け、当該電動式バイブレータの作動によりブリッジ現象の解消を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−139150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のホッパにおいては、揺動膜を往復する手段やホッパ本体の傾斜壁面の振動手段に大きなエネルギーを投入し、振動手段等がホッパ本体に与える加振力を大きくすることにより、ホッパ本体をより大きな振幅で振動させることが可能である。しかし、効率的にホッパ本体を振動させるという観点から見ると、より小さなエネルギーでホッパ本体に大きな振動を付与できることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、効率よくホッパ本体を振動させ、ホッパ内の原材料の詰まりを排除することが可能な加振装置付ホッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明は、粉体や粒状体等の原材料を保管し、排出口から排出することにより外部に材料を供給する加振装置付ホッパに関する。
そして、本発明に係る加振装置付ホッパは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の加振装置付ホッパは、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る加振装置付ホッパにおける第1の特徴は、内部に原材料を収容可能であるとともに下部に当該原材料の排出口を有するホッパ本体と、当該ホッパ本体を形成する壁面を振動させることが可能な加振装置とを備える加振装置付ホッパであって、前記加振装置は、前記壁面が共振する共振周波数での加振を少なくとも含む加振動作を行うことにより当該壁面を振動させることである。
【0008】
この構成によると、ホッパ本体の壁面の共振周波数で加振することにより、小さな力でホッパ本体の内壁面を大きく振動させることが可能となる。したがって、加振装置に投入するエネルギーを抑制することができ、効率よくホッパ本体を振動させて、ホッパ内の原材料の詰まりを排除することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る加振装置付ホッパにおける第2の特徴は、前記加振装置は、前記ホッパ本体に固定される加振装置本体と、当該加振装置本体に固定される固定子と、前記固定子に対して相対移動可能に設置された可動子と、当該固定子に巻回され、通電することにより前記可動子が移動可能な空間である可動空間を一方向に通過する磁界を形成する電磁コイルと、前記可動空間において前記電磁コイルが形成する磁界の向きと平行に前記可動子を挟み込むように前記固定子に固定される一対の永久磁石と、を備え、当該一対の永久磁石における一の永久磁石は、前記電磁コイルに通電することより形成される磁界の向きと垂直な方向にN極とS極とが直列に並ぶように配置されるとともに、前記可動子を挟んで当該一の永久磁石のN極に他の永久磁石のS極が対面し、当該一の永久磁石のS極に他の永久磁石のN極が対面するように配置されており、前記電磁コイルに一方向及びその逆方向の電流を交互に流すことにより前記可動子を含む駆動部を一直線上で往復駆動させて前記ホッパ本体を加振可能な構成であることである。
【0010】
この構成によると、電磁コイルに電流を流して磁界を発生させることにより、可動子を含む駆動部を一直線上に駆動させることができる。そして、電流を流す向きを交互に変化させることにより、駆動部を一直線上で往復駆動させて、ホッパ本体を加振することができる。したがって、電流の向きを切り換える周期を調整することにより、任意の周波数で加振することが可能であり、加振装置の振動周波数をホッパ本体の壁面の共振周波数となるように調整することが容易に可能である。また、磁力により非接触で駆動力を可動子に伝えることができるため加振時において加振装置から発生する騒音を低減することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る加振装置付ホッパにおける第3の特徴は、前記駆動部の振動周波数を制御する制御部を更に備え、当該制御部は、前記駆動部の振動周波数が、前記共振周波数近傍における当該共振周波数よりも大きい所定の最大周波数と当該共振周波数よりも小さい所定の最小周波数との間を連続的に往復するように前記加振装置を制御することである。
【0012】
この構成によると、加振装置による振動周波数をホッパ本体の共振周波数を含む所定の範囲内で連続的に変化するように制御することにより、ホッパ本体の共振周波数における振動では切り崩すことのできないような原材料のブリッジ状態を切り崩すことが可能となり、より確実にホッパの詰まりを抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係る加振装置付ホッパにおける第4の特徴は、前記加振装置が前記ホッパ本体の複数位置に固定されていることである。
【0014】
この構成によると、ホッパ内の原材料に対して複数の方向から振動を伝えることが可能となるため、ブリッジ状態をより確実に解消することが可能となる。また、一方向のみから加振する場合に比べ、排出時の原材料の流れに偏りがなくなるため、ブリッジ状態の再形成を抑制し、安定した原材料の排出を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る加振装置付ホッパを示す概略図である。加振装置付ホッパ1は、ホッパ本体2と、ホッパ本体2の排出口近傍の外壁面に固定された加振装置3とを備えている。
【0017】
ホッパ本体2は、内部に粉体や粒状体等の原材料を収容可能な収容部2aを有し、下端において当該収容部に連続して開閉扉(図示せず)により開閉可能な原材料の排出口を備えており、図示しない支持体を介して地面に対して立設される。ホッパ本体2の排出口近傍は壁面21を含む板状部材により逆四角錐台形状となるように形成されている。尚、ホッパ本体2内に、原材料としてねじ等の小型部品を収容して、排出口からパーツフィーダ等の部品搬送装置に供給する構成とすることも可能である。
【0018】
加振装置3は、加振装置本体10がベース11を介してホッパ本体2の壁面21に固定されており、駆動軸16に固定される例えば質量約2kgのウエイト部材12を直線上に往復駆動させることにより、当該加振装置3が取り付られているホッパ本体2の壁面21を当該壁面21に対して略垂直方向(図1において矢印で示す)に振動するように加振するものである。この壁面21が振動することにより、ホッパ内において原材料と接触している内壁面が振動し、当該原材料が加振される。これにより、ホッパ内における原材料のブリッジ現象等により発生する詰まりを解消することが可能となる。
【0019】
尚、ホッパ本体2の形状は、排出口近傍が四角錐台形状である場合に限らず、円錐台形状や四角錐以外の多角錐体状であってもよい。ホッパ本体2の側壁面が平面となるようにした場合においては、加振装置3の取り付けが容易であり、また、側壁面がたわみ易い構成となるため、より小さな力で振幅の大きい振動を与えることが可能となる。また、加振装置3の取り付け位置は、原材料がブリッジ現象を起こし易い排出口近傍が望ましいが、この位置に限定されることはなく、例えば、内部の原材料に振動を付与できる範囲で排出口から上方に離れた位置に設置しても良い。
【0020】
次に、加振装置3の駆動機構について図2〜図5を用いて説明する。図2は、加振装置3における駆動機構の主要部の部分断面模式図であり、永久磁石17近傍部分が駆動軸16の中心線Xを含む平面により切断され、また、当該平面と直交する平面により固定子13及び可動子14の一部が切断された状態を示すものである。加振装置3は、加振装置本体10(図2において図示せず)に固定される固定子13と、当該固定子13に巻回される電磁コイル15と、駆動軸16に固定される可動子14と、可動子14を挟み込むように設置された永久磁石17・18とを備えている。
【0021】
固定子13は、リング状に形成された鋼板を積層したブロックからなり、内部に可動子14が積層方向に移動可能な空間(以下、可動空間と称する)を備えた筒状に形成されている。また、可動空間の中央に向かって突出する一対の突出部13a・13bが、当該可動空間内に設置される可動子14を挟み込むように形成されており、電磁コイル15を巻回可能となっている。
【0022】
電磁コイル15は、固定子13の突出部13a・13bに巻回され、通電することにより可動空間を、突出部13aから突出部13bに向かう方向、又は、その逆方向のいずれか一方向に通過する磁界を形成することが可能である。
【0023】
永久磁石17・18は、可動空間において電磁コイル15が形成する磁界の向きと平行に可動子14を挟み込むように固定子13の突出部13a・13bの端部に固定され、円筒状に形成された可動子14の外形に合わせて、可動子14と対面する面が円弧面になるように形成されている。
【0024】
図3に加振装置3における可動子の駆動方向(図2中矢印で示す方向)と平行な断面模式図を示す。図3に示すように、永久磁石17は、電磁コイル15(図3において、断面15a〜15dとして模式的に示す)に通電することより形成される磁界の向き(図3における上下方向)と垂直な方向にN極とS極とが直列に並ぶように配置されている。そして、可動子14を挟んで永久磁石17のN極に他の永久磁石18のS極が対面し、永久磁石17のS極に他の永久磁石18のN極が対面するように配置されている。これにより、永久磁石17と永久磁石18との間において、永久磁石17のN極側においては永久磁石17から永久磁石18に向かう方向(図中下向きの矢印で示す)の磁界が生じ、永久磁石17のS極側においては永久磁石18から永久磁石17に向かう方向(図中上向きの矢印で示す)の磁界が生じることになる。
【0025】
可動子14は、リング状の鋼板を積層したブロックからなり、永久磁石17・18との間において、図3における左右方向に固定子13に対して相対的に移動可能に配置されている。電磁コイル15に通電を行っていない状態では、可動子14は、永久磁石17・18の磁力により、永久磁石17・18の左右方向略中央の中立位置において静止するように配置される。
【0026】
尚、可動子14が固定される駆動軸16(図2参照)は、例えば加振装置本体10に対して板バネ等の支持部材(図示せず)を介して固定され、当該保持部材の弾性変形により駆動方向(図2参照)における所定の変位を可能とした状態で、当該駆動方向と垂直な方向への変位を拘束するように支持される。これにより、駆動軸16を軸受等により摺動支持する必要がなくなるため、当該軸受等の磨耗によるメンテナンスが不要となり経済的である。また、摩擦による発熱を抑制でき、高周波数での振動が可能である。
【0027】
図4及び図5は、図3に示す電磁コイル15に通電することにより可動子14に作用する力について説明するための図である。図4に示すように、永久磁石17のN極側(永久磁石18のS極側)に位置して断面で示される電磁コイル15a、15cには、紙面奥方向に向かって電流が流れ、永久磁石17のS極側(永久磁石18のN極側)に位置して断面で示される電磁コイル15b、15dには、紙面手前方向に向かって電流が流れるように電磁コイル15に電流を流した場合(以下、当該電流の流れる方向を正方向、その逆方向を負方向と称する)、可動空間には突出部13aから突出部13bに向かう方向に当該通電された電磁コイル15による磁界が生じることになる。この電磁コイル15からの磁界により、永久磁石17のN極から永久磁石18のS極に向かう方向の磁界は強められ、永久磁石18のN極から永久磁石17のS極に向かう方向の磁界は弱められる。これにより、可動子14は、永久磁石17のN極及び永久磁石18のS極側に向かった推力(図3における矢印F1で示す)を受けて矢印F1の方向に移動する。同様に、図5に示すように、電磁コイル15に電流を負方向に流した場合、可動子14は、磁界が強められる永久磁石17のS極及び永久磁石18のN極側に向かった推力(図5における矢印F2で示す)を受けて矢印F2の方向に移動する。
【0028】
このように、可動子14に作用する推力の方向は、電磁コイル15に流す電流の方向により決定される。そのため、電磁コイル15に正方向及び負方向の電流を交互に流すことにより可動子14を一直線上で往復駆動(振動)させることが可能となる。これにより、可動子14とともに、可動子14に固定される駆動軸16、ウエイト部材12等の駆動部を往復駆動させることができる。したがって、電流の通電方向の切換周期を変更することにより、任意の周波数で振動させることが可能である。
【0029】
また、可動子14が受ける推力の大きさは、電磁コイル15に流す電流の大きさに比例する。そのため、駆動部の加速度の調整が容易に可能であり、これにより加振装置3からホッパ本体2に伝わる力の大きさの調整が容易に可能となる。また、加振装置3の振動周波数は、電磁コイル15に流す電流の大きさにより変動することはないため、加振装置3からホッパ本体2に伝える力の調整を振動周波数の調整と独立して行うことができる。
【0030】
尚、本実施形態においては、駆動部の移動方向がホッパ本体2の壁面21に対して垂直方向となるように加振装置3が当該壁面21に固定されているため、壁面21の振幅をより大きくすることが可能である。
【0031】
次に、加振装置3の振動周波数の制御について説明する。
加振装置3は図示しないコントローラ(制御部)を備えており、当該コントローラにより、電磁コイル15に流す電流の向きの切換周期を変更することで、加振装置3の振動周波数を任意に変更することが可能である。本実施形態においては、加振装置3の振動周波数を連続的に変化させながら、ホッパ本体2の壁面21の振動の様子をモニタリングすることにより、壁面21の振幅が最も大きくなる振動周波数を共振周波数として求め、当該共振周波数で壁面21を振動するように、加振装置3の振動周波数が設定されている。具体的には、加振装置3の振動周波数は約183Hzに設定されている。このように、加振装置3が、ホッパ本体2の壁面21が共振するような周波数、即ち、ホッパ内に保管された原材料と接する内壁面が共振するような周波数で加振するように設定されていることにより、小さい加振力で大きな振幅をホッパ本体2の壁面21に与えることが可能となり、効率よくホッパ本体2を振動させ、ホッパ内の原材料の詰まりを排除することが可能となる。
【0032】
また、振動周波数制御の変形例として、加振装置3の振動周波数を、例えば160Hz〜200Hzの範囲を自動的に往復するようにコントローラにより制御した構成とすることも可能である。このように、ホッパ本体の共振周波数(約183Hz)近傍における、当該共振周波数よりも大きい所定の最大周波数(200Hz)と当該共振周波数よりも小さい所定の最小周波数(160Hz)との間を連続的に往復するように制御する構成とすることにより、ホッパ本体2の壁面21の共振周波数における振動では切り崩すことのできないような原材料のブリッジ状態も切り崩すことができるようになり、ホッパ内の原材料のブリッジ状態をより確実に切り崩すことが可能となる。また、このように振動させた場合、ホッパ内の角部等に原材料が排出されずに残ることを抑制することが可能となる。また、ホッパ内の原材料の量が変化することで壁面21の共振周波数が変化した場合であっても、当該最大周波数(200Hz)と当該最小周波数(160Hz)との間の範囲内に壁面21の共振周波数が含まれていれば、加振装置3により壁面21を共振させるような振動を与えることが可能となるためより確実に壁面21の共振を起こすことができる。
【0033】
また、上述したように加振装置3を駆動するためには、固定子13に巻回された電磁コイル15に給電すればよく、可動子14に給電を行う必要がないため、給電のための配線が簡易に構成できるとともに、配線を加振装置本体に対して固定することができるため断線による故障を抑制することが可能である。
【0034】
また、可動子14や駆動軸16等の駆動部を鉄等の高強度材料で形成することができるため、過酷な振動条件での駆動においても変形することなく安定した駆動を行うことが可能である。
【0035】
また、固定子13及び可動子14は積層コアのブロックからなるため、渦電流による発熱を抑制することができ、低鉄損で効率よく加振を行うことが可能となる。
【0036】
また、駆動部を往復駆動させる際に、磁力により非接触で可動子14に推力を与えることができる構成であるため、駆動機構を構成する部材同士が衝突することがなく、加振装置自体から衝撃音を発生することはない。したがって、加振時における騒音を抑制することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態で示したように、ホッパ本体2に対して加振装置3を一つ設置する場合に限らず、加振装置3をホッパ本体2の複数位置に固定した構成とすることもできる。例えば、逆四角錐状のホッパ本体2の側面を形成する4つの壁面にそれぞれ加振装置3を設置することも可能である。ホッパ内に保管された原材料に対して周囲の全ての面から振動を与えることにより、一方向のみから加振する場合に比べ、排出時の原材料の流れに偏りがなくなるため、ブリッジ状態の再形成を抑制し、安定した原材料の排出を実現することが可能となる。また、振動面からブリッジ状態を形成した部分までの距離を短くすることができるため、当該ブリッジ状態を形成した部分まで確実に振動を伝えることが可能になる。尚、複数設置した加振装置の振動周波数は、設置される壁面の共振周波数に合わせてそれぞれ独立して設定することにより、効果的に壁面を振動させることができる。また、複数の加振装置を同時に駆動させる場合に限らず、それぞれの駆動時間をずらして交互に運転するように制御することも可能である。
【0038】
以上説明したように、加振装置付ホッパ1は、内部に原材料を収容可能であるとともに下部に当該原材料の排出口を有するホッパ本体2と、当該ホッパ本体2を形成する壁面21を振動させることが可能な加振装置3とを備え、前記加振装置3は、前記壁面21が共振するような周波数で加振することにより、小さな力でホッパ本体2の内壁面を大きく振動させることが可能となる。したがって、加振装置3に投入するエネルギーを抑制することができ、効率よくホッパ本体2を振動させて、ホッパ内の原材料の詰まりを排除することが可能となる。
【0039】
また、加振装置3は、ホッパ本体2に固定される加振装置本体10と、加振装置本体10に固定される固定子13と、固定子13に対して相対移動可能に設置された可動子14と、固定子13に巻回され、通電することにより可動子14が移動可能な空間である可動空間を一方向に通過する磁界を形成する電磁コイル15と、前記可動空間において電磁コイル15が形成する磁界の向きと平行に可動子14を挟み込むように固定子13に固定される一対の永久磁石17・18と、を備え、当該一対の永久磁石17・18における一の永久磁石17は、電磁コイル15に通電することより形成される磁界の向きと垂直な方向にN極とS極とが直列に並ぶように配置されるとともに、可動子14を挟んで当該一の永久磁石17のN極に他の永久磁石18のS極が対面し、当該一の永久磁石17のS極に他の永久磁石18のN極が対面するように配置されており、電磁コイル15に一方向及びその逆方向の電流を交互に流すことにより可動子14及び可動子14に対して固定される駆動軸16、ウエイト部材12等の駆動部を一直線上で往復駆動させてホッパ本体2を加振可能な構成である。これにより、電磁コイル15に電流を流すことにより磁界を発生させ、磁力により可動子14を含む駆動部を一直線上に駆動させることが可能となる。そして、電流を流す向きを交互に変化させることにより、駆動部を一直線上で往復駆動させて、ホッパ本体2を加振することができる。したがって、電流の向きを切り換える周期を調整することにより、任意の周波数で加振することが可能であり、加振装置3の振動周波数をホッパ本体2の壁面21の共振周波数となるように調整することが容易に可能となる。また、磁力により非接触で駆動力を可動子に伝えることができるため加振時において衝撃音が発生することがなくなり、加振装置3から発生する騒音を低減することが可能となる。
【0040】
また、駆動部(可動子14、駆動軸16、ウエイト部材12等)の振動周波数を制御するコントローラ(制御部)を更に備え、当該コントローラは、前記駆動部の振動周波数が、ホッパ本体2の壁面21の共振周波数近傍における、当該共振周波数よりも大きい所定の最大周波数と当該共振周波数よりも小さい所定の最小周波数との間を連続的に往復するように加振装置3を制御させることにより、ホッパ本体2の壁面21の共振周波数における振動では切り崩すことのできないような原材料のブリッジ状態を切り崩すことが可能となり、より確実にホッパの詰まりを抑制することができる。
【0041】
また、加振装置3がホッパ本体2の複数位置に固定されている構成とすることにより、ホッパ内の原材料に対して複数の方向から振動を伝えることが可能となるため、ブリッジ状態をより確実に解消することが可能となる。また、一方向のみから加振する場合に比べ、排出時の原材料の流れに偏りがなくなるため、ブリッジ状態の再形成を抑制し、安定した原材料の排出を実現することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0043】
例えば、ホッパ内に収容されている原材料の量により、壁面21を共振させるため共振周波数が大きく変化するような場合は、保管されている原材料の量(例えば重量、容積)とホッパ本体の共振周波数との関係を予め算出しておき、その結果に基づいて、加振装置3の振動周波数を、実際に保管されている原材料の量に対応したホッパ本体の共振周波数に設定して加振を行うことも可能である。
【0044】
また、加振装置が固定される壁面の振動を検知可能なセンサ等を設置し、当該センサによる検知結果に基づいて自動的に加振装置の振動周波数が共振周波数に近づくように制御することも可能である。例えば、所定の振動周波数での加振中において壁面の振動が小さくなったときに、加振装置の振動周波数を連続的に変化させ、そのときの当該センサによる検知結果に基づいて共振周波数を求め、当該共振周波数で壁面を振動させるように加振装置を自動制御することも可能である。
【0045】
また、加振装置の取付位置におけるホッパ本体の一部を振動しやすい材料で形成することも可能である。これにより、より小さい力でホッパ本体を振動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る加振装置付ホッパを示す概略図である。
【図2】図1に示す加振装置における駆動機構の主要部の部分断面模式図である。
【図3】図2に示す加振装置における可動子の駆動方向と平行な断面模式図を示す。
【図4】図3おいて電磁コイルに通電した状態を示す図である。
【図5】図3おいて電磁コイルに通電した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 加振装置付ホッパ
2 ホッパ本体
3 加振装置
10 加振装置本体
11 ベース
12 ウエイト部材
13 固定子
14 可動子
15 電磁コイル
16 駆動軸
17、18 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に原材料を収容可能であるとともに下部に当該原材料の排出口を有するホッパ本体と、当該ホッパ本体を形成する壁面を振動させることが可能な加振装置とを備える加振装置付ホッパであって、
前記加振装置は、前記壁面が共振する共振周波数での加振を少なくとも含む加振動作を行うことにより当該壁面を振動させることを特徴とする加振装置付ホッパ。
【請求項2】
前記加振装置は、
前記ホッパ本体に固定される加振装置本体と、
当該加振装置本体に固定される固定子と、
前記固定子に対して相対移動可能に設置された可動子と、
当該固定子に巻回され、通電することにより前記可動子が移動可能な空間である可動空間を一方向に通過する磁界を形成する電磁コイルと、
前記可動空間において前記電磁コイルが形成する磁界の向きと平行に前記可動子を挟み込むように前記固定子に固定される一対の永久磁石と、
を備え、
当該一対の永久磁石における一の永久磁石は、前記電磁コイルに通電することより形成される磁界の向きと垂直な方向にN極とS極とが直列に並ぶように配置されるとともに、前記可動子を挟んで当該一の永久磁石のN極に他の永久磁石のS極が対面し、当該一の永久磁石のS極に他の永久磁石のN極が対面するように配置されており、前記電磁コイルに一方向及びその逆方向の電流を交互に流すことにより前記可動子を含む駆動部を一直線上で往復駆動させて前記ホッパ本体を加振可能な構成であることを特徴とする請求項1に記載の加振装置付ホッパ。
【請求項3】
前記駆動部の振動周波数を制御する制御部を更に備え、
当該制御部は、前記駆動部の振動周波数が、前記共振周波数近傍における当該共振周波数よりも大きい所定の最大周波数と当該共振周波数よりも小さい所定の最小周波数との間を連続的に往復するように前記加振装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の加振装置付ホッパ。
【請求項4】
前記加振装置が前記ホッパ本体の複数位置に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか1項に記載の加振装置付ホッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−127047(P2008−127047A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313251(P2006−313251)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】