説明

加熱装置

【課題】 多様な被加熱体の仕様に応じて、加熱用媒体の温度や流量を簡易な構成により高精度かつ多段に設定する。
【解決手段】 ヒータ本体2の加熱用媒体5を加熱するランプヒータ8をコントローラ3により制御する。コントローラ3は、温度検出センサ37から出力される加熱用媒体5の検出温度情報に基づいて電圧コントローラ45及びランプヒータ制御回路部46からなるランプヒータ駆動制御部による駆動電圧制御動作と電磁弁制御回路部47及び調整電磁弁48からなる加熱用媒体供給制御部による加熱用媒体流量制御動作とを行って加熱用媒体5の温度制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプヒータを熱源として用いるヒータ本体と、このヒータ本体を制御するコントローラとを備え、気体或いは液体等の加熱用媒体をランプヒータにより所定温度に加熱して被加熱体に噴流させて加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造工程等には、素子を封装した樹脂を乾燥したり純水やエッチング液等を所定温度に加熱保持するために、気体や液体等からなる所定の加熱用媒体を加熱する加熱装置が用いられる。加熱装置は、例えば部品等を接着剤により接合する部品接合工程にも設置され、塗布した接着剤を素早く乾燥、硬化させる。かかる加熱装置としては、熱源として高精度の温度制御が可能であり、構造が簡易でクリーン度も高い電気熱源が用いられる。
【0003】
また、かかる加熱装置には、電気熱源として、一般的なニクロム線ヒータ等と比較して熱効率が良好であるとともに長寿命かつランニングコストも有意である等の特性を有するハロゲンヒータ、赤外線ランプ放電灯或いは白熱球灯等のランプヒータを用いたものが提供されている(特許文献1乃至特許文献3を参照)。従来のランプヒータ型加熱装置は、一般に長軸の両口ランプが用いられ、この両口ランプを例えば筒状のハウジングにより全長に亘って被覆して構成する。両口ランプ型加熱装置は、ハウジングの両側に、両口ランプの長さとほぼ等しい間隔を以って対向配置された一対のソケットを有し、これらソケットに両端部に設けた口金を嵌合することにより両口ランプを機械的かつ電気的に結合して支持する。
【0004】
両口ランプ型加熱装置においては、ハウジングの内部空間が加熱用媒体の流路と加熱空間部とを構成して、一端側に設けた供給口から供給した加熱用媒体を両口ランプにより所定温度に加熱して他端側に設けた送出口を介して被加熱体に吹き付けて加熱する。かかる両口ランプ型加熱装置においては、ハウジングの両端部位が、両口ランプの支持部位とともに適宜のシールド構造を有する加熱用媒体の供給口及び送出口を構成することから、構造が複雑になるとともに両口ランプの着脱操作が面倒となるといった問題がある。両口ランプ型加熱装置においては、全体として大型となるとともに、例えば送出口と被加熱体との間に加熱用媒体を被加熱体にスポット吹き付けする適宜のガイド構造も必要となり構造も複雑となる等の問題があった。
【0005】
出願人は、上述した従来の両口ランプ型加熱装置の問題を解決し、取り扱いが簡便で廉価であり、熱損失を低減して加熱用媒体を被加熱体に対して的確かつ効率的に吹き付けることが可能な片口型ランプヒータを用いた加熱装置を提供した(特許文献4を参照)。この新型加熱装置は、一端部に設けた口金を口金部材に結合することにより片持ち状態に支持される片口型ランプヒータと、このランプヒータを略全長に亘って被覆する筒状を呈し内部に加熱用媒体を加熱する加熱用媒体流路を構成するとともに先端側に吹出し口を設けた熱交換部材と、ランプヒータを結合する口金部材と熱交換部材を同心状態で片持ち保持するとともに加熱用媒体の供給口が設けられたホルダ部材とから構成される。
【0006】
【特許文献1】特許第2583159号公報
【特許文献2】特開平8−35724号公報
【特許文献3】特許第3344909号公報
【特許文献4】特開平2001−153460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した新型加熱装置においては、ホルダ部材の供給口から熱交換部材の加熱用媒体流路内に供給された加熱用媒体がランプヒータにより加熱されて吹出し口から被加熱体に直接噴流することにより、熱損失が低減されて被加熱体を効率的に加熱することが可能である。新型加熱装置においては、片口型ランプヒータを用いることで交換操作の簡易化が図られ、また吹出し口から漏れる光により被加熱体に対する加熱用媒体の吹付け位置の確認とともに照明も行われてスポット的加熱も正確に行うことが可能である。新型加熱装置においては、小形簡易であるとともに取り扱いや操作も簡易であり、工程変更の対応或いは手持ち使用も可能であり汎用性が大きいといった特徴を有している。
【0008】
一方、加熱装置においては、被加熱体の仕様に応じて加熱用媒体を所定温度に加熱する必要があり、温度調整手段が必要となる。加熱装置においては、精密な温度制御を行う場合に大型かつ高精度のコントローラが必要となり、全体が高価となるとともに大型化するといった問題があった。また、新型加熱装置においては、被加熱体に対して加熱用媒体を噴流することにより、被加熱体の仕様によっては加熱用媒体の流量を調整する対応も必要となる。
【0009】
したがって、出願人は、上述した新型加熱装置の特徴を全面的に踏襲し、さらなる性能向上を図るべく鋭意検討を重ねた。出願人は、その結果、被加熱体に対してランプヒータにより加熱した加熱用媒体を噴流して加熱する加熱装置であり、被加熱体の多様な仕様に応じて加熱用媒体の温度や流量を簡易な構成により高精度かつ多段に設定することを可能とするとともに小型化やコスト低減が図られた加熱装置を開発するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる加熱装置は、熱源として片口型ランプヒータを用いるヒータ本体と、このヒータ本体を制御するコントローラとを備える。加熱装置は、ヒータ本体が、一端側に口金体を設けて駆動電圧の制御により発熱量が制御される片口型ランプヒータと、このランプヒータを加熱空間部を構成する内部空間に片持ち状態で収納して一端部側から供給した加熱用媒体を加熱して他端側に設けたノズル部材から被加熱体に対して噴流させる熱交換筒部材を有する。加熱装置は、コントローラが、ヒータ本体に対して、電圧値を調整して駆動電圧を供給するランプヒータ駆動制御部と、流量を調整して加熱用媒体を供給する加熱用媒体供給制御部と、ヒータ本体のノズル部材から噴流される加熱用媒体の温度を検出する温度検出センサを有する。
【0011】
加熱装置においては、温度検出センサが、熱交換筒部材から被加熱体に噴流する加熱用媒体の温度を検出し、検出温度情報をコントローラに出力する。加熱装置においては、コントローラがヒータ本体に対して、検出温度情報に基づいてランプヒータ駆動制御部と加熱用媒体供給制御部に制御信号を出力する。加熱装置においては、ランプヒータ駆動制御部がランプヒータに所定電圧値の駆動電圧を供給する駆動電圧制御動作と、加熱用媒体供給制御部が加熱用媒体の流量を制御する加熱用媒体流量制御動作とを行うことにより、加熱用媒体の温度制御を行う。
【0012】
加熱装置においては、ヒータ本体に対して一定量の加熱用媒体を供給した状態で、ランプヒータ駆動制御部からランプヒータに供給する駆動電圧を高電圧化するに従ってランプヒータの発熱量が大きくなる。加熱装置においては、ランプヒータに一定電圧を供給した状態で、ヒータ本体に対する加熱用媒体の流量を多くするに従って加熱用媒体の温度が低下する。したがって、加熱装置においては、コントローラによりヒータ本体への加熱用媒体の供給制御と電圧調整によるランプヒータの発熱制御を行うことにより、被加熱体における加熱温度や加熱時間或いは加熱用媒体の流量等の加熱仕様に適合した条件による加熱動作を精密に制御することが可能である。加熱装置においては、ノズル部材から噴流される加熱用媒体の温度を温度検出センサにより検出し、検出温度情報に基づいて上述した温度制御を行うことからより被加熱体をより高精度に加熱する。
【0013】
また、加熱装置は、コントローラに、ヒータ本体から被加熱体に噴流させる加熱用媒体の温度を設定してランプヒータ駆動制御部に制御信号を出力する温度コントローラ部と、この温度コントローラ部から入力された設定温度情報と温度検出センサから入力された検出温度情報とを比較するとともにその差異に基づく制御信号をランプヒータ駆動制御部に出力する制御処理手段が備えられる。加熱装置においては、加熱用媒体供給制御部により設定した所定量の加熱用媒体をヒータ本体に供給している状態で、ランプヒータ駆動制御部が、制御処理手段から出力される設定温度情報と検出温度情報との差異に基づく制御信号によりヒータ本体に対する駆動電圧制御動作を行う。加熱装置においては、これにより加熱用媒体の自動温度制御が行われる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる加熱装置によれば、コントローラが、温度検出センサから出力される加熱用媒体の検出温度情報に基づいてランプヒータ駆動制御部と加熱用媒体供給制御部による駆動電圧制御動作と加熱用媒体流量制御動作とを行って加熱用媒体の温度制御を行うことにより、被加熱体の仕様に応じて加熱媒体の温度と流量を精密かつ多段に設定することが可能となる。加熱装置によれば、大型かつ高精度のコントローラが不要となり、小型化やコスト低減も図られるとともに操作性の向上も図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態として示した加熱装置1について、図面を参照して詳細に説明する。加熱装置1は、図1に示すようにヒータ本体2と、このヒータ本体2を制御するコントローラ3とから構成され、詳細を後述するように加熱用媒体供給源4から供給された清浄な空気を所定の温度まで加熱して加熱用媒体5を生成するとともにこの加熱用媒体5を所定の吹付け量(流量)を以って被加熱体6に吹き付けて加熱する。加熱装置1は、例えばヒータ本体2を詳細を省略するスタンド7により半導体製造工程の封止樹脂硬化工程に設置し、ヒータ本体2から加熱用媒体5を素子を封装した封止樹脂に吹き付けて乾燥、硬化させることにより半導体を製造する。
【0016】
なお、加熱装置1は、後述するようにコントローラ3を介して加熱用媒体5の温度と流量を適宜設定することが可能であることから精密な温度管理を行うとともに、半導体製造工程ばかりでなく様々な分野に用いることも可能である。加熱装置1は、ヒータ本体2をスタンド7により固定設置する使用形態ばかりでなく、適宜の把持構造を設けて手持ち使用することも可能である。加熱装置1は、加熱用媒体5として加熱用媒体供給源4から供給される空気を用いるようにしたが、例えば窒素ガス等の気体或いは水等の適宜の液体を用いるようにしてもよいことは勿論である。なお、以下の説明においては、説明の便宜上加熱用媒体供給源4から供給される加熱前の清浄な空気と所定温度に加熱されて生成された加熱用媒体について、全て加熱用媒体5と表現するものとする。
【0017】
ヒータ本体2は、図2及び図3に示すように、加熱源を構成するランプヒータ8と、このランプヒータ8を片持ち支持するソケット部材9と、ホルダ部材10と、外筒部材11と、熱交換筒部材12と、ノズル部材13とを備える。ヒータ本体2には、ランプヒータ8として後述する片口型のハロゲンランプが用いられる。なお、ヒータ本体2は、ランプヒータ8としてハロゲンランプに限定されず、例えば片口型の赤外線ランプ、放電灯或いは白熱灯等の適宜の片口型ランプヒータを用いてもよいことは勿論である。
【0018】
ランプヒータ8として用いるハロゲンランプは、基本的な構成を従来周知のハロゲンランプと同様とし、図3に示すように石英ガラス等により成形されたバルブ8Aと、このバルブ8A内に封止部8Bを介して封装されたフィラメント8C及び封入ガスと、バルブ8Aの一端側に設けられた口金体8Dとから構成される。ハロゲンランプは、バルブ8Aが一端側を密封された長尺バルブ体により構成されるとともに、フィラメント8Cが加工特性に優れかつ高温での蒸発性が低いタングステン線により形成される。ハロゲンランプは、封入ガスとして例えば窒素、アルゴン及びクリプトン等の不活性ガスとヨウ素系や臭素系或いは塩素系化合物からなる微量のハロゲンガスをバルブ8A内に封入する。
【0019】
ハロゲンランプは、バルブ8Aの開口に、セラミック等により形成されフィラメント8Cの基端部を支持する口金体8Dが組み付けられる。ハロゲンランプは、例えばモリブデン箔等からなる封止部8Bが、バルブ8Aと口金体8Dとの間の気密性を保持するとともにバルブ8A内のフィラメント8Cと口金体8Dの外側面に設けた図示しない電極とを電気的に導通する。なお、ハロゲンランプは、口金体8Dが、一般的なピン型或いはスクリュー型のいずれにより構成してもよい。
【0020】
ソケット部材9は、合成樹脂材により図3に示すように内部に一方側面に開口するソケット嵌合空間部9Aを形成した有底筒状に形成される。ソケット部材9には、ソケット嵌合空間部9Aに詳細を省略するがランプヒータ8のピン型或いはスクリュー型の口金体8Dに対応したピン受け構造或いはねじ受け構造を有するソケット(口金部材)14が組み付けられる。ソケット部材9は、ソケット14に口金体8Dを着脱することにより、ランプヒータ8が着脱されるようにする。
【0021】
ソケット部材9は、図2に示すようにソケット14に口金体8Dを結合した状態でランプヒータ8を片持ち状態で支持するとともに、ソケット14とフィラメント8Cとの電気的接続が行われるようにする。ソケット部材9は、側面部9Bから一端をソケット14の電極に接続した電源コード15が引き出される。電源コード15は、後述するようにコントローラ3に接続され、ソケット14を介してランプヒータ8に対して所定の電圧値に制御された駆動電圧を供給する。ソケット部材9には、外周部に軸方向に貫通する取付孔を有する複数の取付部9Cが一体に突出形成され、後述するようにこれら取付部9Cをストッパとしてホルダ部材10に組み付けられる。
【0022】
ホルダ部材10は、例えばステンレス材等の金属材或いは適宜の合成樹脂材により図3に示すように内部に一方側面に開口する加熱用媒体供給空間部16を形成した有底筒状に形成される。ホルダ部材10は、上述したソケット部材9よりも大径とされ、側面部10Aを貫通して加熱用媒体供給空間部16に連通するソケット部材9の外径とほぼ等しい内径のソケット組付け開口10Bが形成される。ホルダ部材10には、図2に示すようにソケット組付け開口10Bから加熱用媒体供給空間部16内にソケット14の組付け部位側を突出させて、ソケット部材9が組み付けられる。
【0023】
ホルダ部材10には、図示を省略するがソケット組付け開口10Bを囲んで側面部10Aに複数の取付けネジ孔が形成されており、これら取付けネジ孔に対して取付部9Cに形成した図示を省略する取付け孔を位置決めしてソケット部材9が側面部10Aに組み付けられる。ホルダ部材10は、各取付孔に嵌挿した取付ネジが取付けネジ孔にネジ込まれることにより、加熱用媒体供給空間部16内にソケット嵌合空間部9Aを突出させソケット14を開口に臨ませてソケット部材9を側面部10Aに固定する。なお、ホルダ部材10は、ソケット部材9を適宜のシール材を介して側面部10Aに固定することにより、ソケット組付け開口10Bからの加熱用媒体5の漏れを防止する。
【0024】
ホルダ部材10には、図3に示すように外周部10Cに加熱用媒体供給空間部16に貫通する供給管取付孔10Dが形成され、この供給管取付孔10Dに加熱用媒体供給源4と接続されて加熱用媒体6が供給される加熱用媒体供給管17が取り付けられる。なお、ホルダ部材10は、例えば供給管取付孔10Dに外周ネジ部を形成した接続管をネジ止めや熱カシメ止め等により固定し、この接続管に対して加熱用媒体供給管17を取り付けるようにしてもよい。
【0025】
ホルダ部材10には、外周部10Cの側面部10Aと対向する外周縁部位に外周ネジ10Eが形成され、この外周ネジ10Eを介して後述するように外筒部材11の第1端部11A側を片持ち状態で組み合わせる。ホルダ部材10には、図3及び図4に示すように加熱用媒体供給空間部16を構成する内周壁に複数の熱交換筒部材保持凸部18が一体に形成される。各熱交換筒部材保持凸部18は、図4に示すように加熱用媒体供給空間部16内において円周方向に対して互いに等間隔に配列された軸方向のリブ状凸部からなる。ホルダ部材10は、各熱交換筒部材保持凸部18を、その先端部により構成する内周円の内径が後述する熱交換筒部材12の外径とほぼ等しくなる高さを以って形成する。
【0026】
外筒部材11は、例えばステンレス材等の金属材により、図3に示すように内部に軸方向に貫通する加熱空間部19が構成された筒状に形成される。外筒部材11は、上述したランプヒータ8よりも大径かつ長軸でありかつホルダ部材10とほぼ同径に形成される。外筒部材11には、第1端部11A側の内周壁に第1内周ネジ11Bが形成されるとともに、相対する第2端部11C側の内周壁に第2内周ネジ11Dが形成される。
【0027】
外筒部材11は、第1内周ネジ11Bを外周ネジ10Eにねじ込むことにより、図2に示すようにホルダ部材10に対して第1端部11Aを固定されて片持ち状態に組み合わされる。外筒部材11は、ホルダ部材10に組み合わされるランプヒータ8と後述する熱交換筒部材12とを全長に亘って被覆するように加熱空間部19内に収納してホルダ部材10に組み合わされる。外筒部材11は、この状態で加熱空間部19が内周壁と熱交換筒部材12の外周壁との間に、ホルダ部材10の加熱用媒体供給空間部16から供給される加熱用媒体6を加熱しながら第2端部11C側へと供給する第2加熱用媒体流路19Aを構成する。
【0028】
熱交換筒部材12は、セラミック材により図3に示すように内部に軸方向に貫通する第1加熱用媒体流路20を構成する内部空間を有する筒状に形成される。熱交換筒部材12は、外筒部材11に対してその軸長よりもやや短軸とされるとともに加熱空間部19よりも小径に形成される。また、熱交換筒部材12は、ランプヒータ8のバルブ8Aとほぼ同長に形成されるとともに、上述したようにホルダ部材10の各熱交換筒部材保持凸部18の先端部により構成する内円径とほぼ同径に形成される。
【0029】
熱交換筒部材12には、図3及び図4に示すように第1加熱用媒体流路20を構成する内周壁に複数のリブ状凸部21が円周方向に対して互いに等間隔に配列されて一体に形成される。熱交換筒部材12は、各リブ状凸部21を、その先端部により構成する内円径がランプヒータ8のバルブ径よりもやや大径となる高さを以って形成する。
【0030】
熱交換筒部材12は、ホルダ部材10に対して一端部を加熱用媒体供給空間部16内に嵌合することにより、図2に示すように外周部が各熱交換筒部材保持凸部18の先端部により保持されて片持ち状態で組み合わされる。熱交換筒部材12は、同図に示すように一端部が供給管取付孔10Dに対して開口側に位置するようにして加熱用媒体供給空間部16に嵌合されることにより、この加熱用媒体供給空間部16内に供給された加熱用媒体5が第1加熱用媒体流路20内へと流れ込むようにする。
【0031】
熱交換筒部材12は、ホルダ部材10に組み合わされた状態において外周部を外筒部材11により全長に亘って覆われるとともに、第1加熱用媒体流路20内にランプヒータ8を全長に亘って収納する。熱交換筒部材12においては、ランプヒータ8からの発生熱により第1加熱用媒体流路20内を流れる加熱用媒体5が直接加熱されるようにするとともに、自らもランプヒータ8により熱せられることにより加熱用媒体5を加熱する。
【0032】
熱交換筒部材12においては、ランプヒータ8と外気に触れる外筒部材11との間に介在することにより、ランプヒータ8に作用される外気の影響を抑制して加熱用媒体5に対する安定した加熱が行われるようにする。熱交換筒部材12においては、上述したように第1加熱用媒体流路20と第2加熱用媒体流路19A内を流れる加熱用媒体5を加熱することで、ランプヒータ8による加熱用媒体5の加熱効率が向上されるようにする。
【0033】
熱交換筒部材12には、上述したように第1加熱用媒体流路20を構成する内周壁にランプヒータ8のバルブ8Aの外周部と略全長に亘って対向して延在する複数のリブ状凸部21が一体に突出形成されている。熱交換筒部材12においては、これらリブ状凸部21を形成したことにより第1加熱用媒体流路20内における加熱用媒体5との接触面積が大きくなり、さらに効率的な加熱が行われるようにする。また、熱交換筒部材12においては、第1加熱用媒体流路20内において加熱用媒体5が各リブ状凸部21間に構成される凹部を流れることにより整流されて安定した流れとなるようにする。熱交換筒部材12においては、リブ状凸部21を形成したことにより実質的な厚みを大きくして機械的強度の向上が図られるようにするとともに、熱交換効率の向上が図られるように構成される。
【0034】
熱交換筒部材12は、加熱用媒体供給空間部16に嵌合された一端部の外周部が、各熱交換筒部材保持凸部18に保持されてホルダ部材10に組み合わされる。熱交換筒部材12は、その外周部と各熱交換筒部材保持凸部18間に構成される軸方向の凹部を介して、加熱用媒体供給空間部16と上述した第2加熱用媒体流路19Aとが連通されるようにする。熱交換筒部材12においては、第1加熱用媒体流路20内を流れる加熱用媒体5とともに第2加熱用媒体流路19Aを流れる加熱用媒体5も加熱することで、ランプヒータ8による加熱用媒体5の加熱効率が向上されるようにする。
【0035】
なお、熱交換筒部材12は、上述したように加熱用媒体供給空間部16に形成した各熱交換筒部材保持凸部18により一端部の外周部を保持されてホルダ部材10に片持ち状態で組み合わされるように構成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。図5に第2の実施の形態として示した熱交換筒部材22も、セラミック材により全体円筒状に形成され、基本的な構成及び作用を熱交換筒部材12と同様とすることから対応する部位に同一符号を付して説明を省略するが、ホルダ部材10に形成した熱交換筒部材保持凸部18に代えて外周部に複数の軸方向のリブ状保持凸部23を一体に形成した構造に特徴がある。
【0036】
各リブ状保持凸部23は、加熱用媒体供給空間部16の軸方向の長さと略同一の長さを有して円周方向に対して互いに等間隔に配列して形成される。各リブ状保持凸部23は、ホルダ部材10の加熱用媒体供給空間部16の内径とほぼ同径の外周円を構成する高さを以って形成される。熱交換筒部材22は、各リブ状保持凸部23が加熱用媒体供給空間部16の内周壁にはめ込まれることによりホルダ部材10に片持ち状態で組み合わされる。
【0037】
なお、熱交換筒部材22は、各リブ状保持凸部23を加熱用媒体供給空間部16との嵌め込み領域に対応する長さを以って形成したが、それぞれ全長に亘って形成するようにしてもよいことは勿論である。かかる熱交換筒部材22は、外筒部材11との間に構成する第2加熱用媒体流路19A内に、各リブ状保持凸部23間により軸方向の複数の凹部を構成する。熱交換筒部材22においては、第2加熱用媒体流路19A内において加熱用媒体5との接触面積が大きくなって効率的な加熱が行われるようにするとともに整流作用も奏し、かつ機械的強度の向上も図られるようにする。
【0038】
ノズル部材13は、図3に示すようにそれぞれステンレス材等の金属材により形成される第1ノズル部材24と第2ノズル部材25が組み合わされて構成される。ノズル部材13は、図1及び図2に示すように第1ノズル部材24が外筒部材11の第2端部11Cに組み付けられるとともに第2ノズル部材25が第1ノズル部材22に組み付けられ、上述したように第1加熱用媒体流路20と第2加熱用媒体流路19Aを流れて加熱された加熱用媒体5の流速を高めて被加熱体6に噴流させる。
【0039】
第1ノズル部材24は、図3に示すように外筒部材11の外径とほぼ同径の筒部24Aと、この筒部24Aに一体に形成された略円錐台形状の取付筒部24Bとからなり、内部に略円錐台形状の第1ノズル空間24Cを構成する。第1ノズル部材24は、筒部24Aの外周部に取付外周ネジ24Dが形成されるとともに、取付筒部24Bの側面中央部に第1ノズル空間24Cに貫通する取付内周ネジ孔24Eが形成される。第1ノズル部材24は、取付外周ネジ24Dを第2内周ネジ11Dにネジ合わせすることにより、外筒部材11に対してその先端部に着脱される。第1ノズル部材24は、外筒部材11に取り付けた状態で、第1ノズル空間24Cが加熱空間部19の先端と連通する。
【0040】
第2ノズル部材25は、図3に示すように全体が略矢尻状の筒部材からなり、軸方向の貫通孔が大径側の側面に開口する第2ノズル空間25Aと、小径側の側面に開口するノズル孔25Bとから構成される。第2ノズル部材25は、第2ノズル空間25A側の筒部に第1ノズル部材24の取付ネジ孔24Eにねじ込まれる外周ネジ25Cが形成される。第2ノズル部材25は、外周ネジ25Cを取付内周ネジ孔24Eにネジ合わせすることにより、第1ノズル部材24に対してその先端部に着脱される。
【0041】
ノズル部材13は、比較的大径の加熱空間部19内で加熱された加熱用媒体5を小径のノズル孔25Bまで絞り込んで被加熱体6に効率的に噴射させる。ノズル部材13は、このために高加工精度が得やすい大径部位の第1ノズル部材24と小径部位の第2ノズル部材25を分割して形成してこれらを組み合わせて構成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。
【0042】
ノズル部材13は、ノズル孔25Bがやや大径であったり、高温仕様として用いない場合にステンレス材に代わる適宜の金属材料を選択して押出加工等により第1ノズル部材24と第2ノズル部材25を一体に形成することも可能である。また、ノズル部材13は、第1ノズル部材24に対してノズル孔の孔径を異にする第2ノズル部材を選択して用いることにより、被加熱体6に対して加熱用媒体5の噴流範囲を変えることが可能である。
【0043】
ヒータ本体2においては、図2に示すようにホルダ部材10に対して、ソケット部材9がソケット組付開口10Bからソケット嵌合空間部9Aを加熱用媒体供給空間部16内に突出させて組み付けられる。ヒータ本体2においては、この状態でソケット部材9に設けられたソケット14が加熱用媒体供給空間部16の開口に臨ませられる。ヒータ本体2においては、ホルダ部材10に対してその供給管取付孔10Dに加熱用媒体供給管17が取り付けられる。
【0044】
ヒータ本体2においては、ランプヒータ8が、ホルダ部材10に対して開口側から加熱用媒体供給空間部16内に嵌合してその口金体8Dをソケット部材9に組み込んだソケット14に結合することにより、バルブ8Aを加熱用媒体供給空間部16から突出させてホルダ部材10に片持ち状態で支持される。ヒータ本体2においては、熱交換筒部材12が、第1加熱用媒体流路20内にランプヒータ8を嵌挿させるようにして加熱用媒体供給空間部16の開口側からホルダ部材10に組み合わされる。ヒータ本体2においては、熱交換筒部材12が、嵌挿した一端部の外周部を熱交換筒部材保持凸部18により保持され、ランプヒータ8を全長に亘って覆ってホルダ部材10に片持ち状態で支持される。
【0045】
ヒータ本体2においては、外筒部材11が、加熱空間部19内にランプヒータ8を覆った熱交換筒部材12を嵌挿させるようにして加熱用媒体供給空間部16の開口側からホルダ部材10に組み合わされる。ヒータ本体2においては、外筒部材11が、第1端部11Aの第1内周ネジ11Bを外周ネジ10Eにねじ込むことにより、ランプヒータ8と熱交換筒部材12を全長に亘って覆ってホルダ部材10に片持ち状態で組み合わされる。
【0046】
ヒータ本体2においては、第1ノズル部材24が、外周ネジ部24Dを第2端部11Cの第2内周ネジ11Dにねじ込むことにより、加熱用媒体供給空間部16の開口側を閉塞するようにして外筒部材11に組み合わされる。ヒータ本体2においては、第2ノズル部材25が、外周ネジ25Cを取付ネジ孔24Eにねじ込むことにより、外筒部材11の先端部に一体化される。ヒータ本体2においては、図1に示すように例えばホルダ部材10がその外周部をスタンド7に保持され、ノズル部材13を被加熱体6に対向させて工程中に設置される。
【0047】
ヒータ本体2においては、加熱用媒体供給源4から供給される加熱用媒体5が、後述するようにコントローラ3により流量を調整されて供給される。ヒータ本体2においては、加熱用媒体5が、図2矢印で示すように加熱用媒体供給管17からホルダ部材10の加熱用媒体供給空間部16内へと供給される。ヒータ本体2においては、加熱用媒体5が、この加熱用媒体供給空間部16からランプヒータ8を収納した熱交換筒部材12内の第1加熱用媒体流路20とともに、熱交換筒部材保持凸部18間の各凹部を介して外筒部材11と熱交換筒部材12との間に構成された第2加熱用媒体流路19Aに流れ込む。
【0048】
ヒータ本体2においては、後述するコントローラ3により所定の電圧値に設定された駆動電圧が供給されることにより、ランプヒータ8の発熱量が調整される。ヒータ本体2においては、ランプヒータ8が、バルブ8Aに沿って第1加熱用媒体流路20内を流れる加熱用媒体5を直接加熱するとともに熱交換筒部材12を加熱する。ヒータ本体2においては、熱せられた熱交換筒部材12が、第1加熱用媒体流路20内を流れる加熱用媒体5を加熱するとともに、第2加熱用媒体流路19Aを流れる加熱用媒体5と外筒部材11を加熱する。ヒータ本体2においては、加熱用媒体5が、長軸のランプヒータ8と熱交換筒部材12及び外筒部材11により第1加熱用媒体流路20と第2加熱用媒体流路19A内を流れて比較的長い間隔を以って効率的に加熱される。
【0049】
ヒータ本体2においては、熱交換筒部材12に第1加熱用媒体流路20に全長に亘って突出する複数のリブ状凸部21を形成したことにより、第1加熱用媒体流路20内を流れる加熱用媒体5がより大きな表面積で加熱されるようになるとともに整流されて安定した状態で流れるようになる。ヒータ本体2においては、外気の影響を受けやすい外筒部材11の内周壁に沿った第2加熱用媒体流路19Aを流れる加熱用媒体5も熱交換筒部材12により加熱され、外気の影響が低減される。ヒータ本体2においては、加熱用媒体5に対する効率的な加熱により小型化や低電力消費化が図られる。
【0050】
ヒータ本体2においては、第1加熱用媒体流路20と第2加熱用媒体流路19Aを流れてランプヒータ8と熱交換筒部材12により加熱された加熱用媒体5を、ノズル部材13から所定の温度と流量を以って被加熱体6に噴流させる。ヒータ本体2においては、加熱用媒体5が、図2矢印で示すように第1加熱用媒体流路20と第2加熱用媒体流路19Aから第1ノズル部材24の第1ノズル空間24C内に流速を高めて流れ込む。
【0051】
ヒータ本体2においては、加熱用媒体5が、第1ノズル空間24Cから第2ノズル部材25の第2ノズル空間25Aを介してノズル孔25に流れ込む。ヒータ本体2においては、加熱用媒体5が、ノズル孔25によりさらに流速を高められて被加熱体6に噴流されることで、この被加熱体6を効率的に加熱する。ヒータ本体2においても、ノズル孔25からの露光により被加熱体6に対する加熱用媒体5の噴流位置が照明されることで、加熱用媒体5をより正確に噴流させることが可能である。
【0052】
加熱装置1においては、上述したようにコントローラ3によりヒータ本体2への加熱用媒体5の供給制御と電圧調整によるランプヒータ8の発熱制御を行うことにより、被加熱体6における加熱温度や加熱時間或いは加熱用媒体5の流量等の加熱仕様に適合した条件による加熱動作を精密に制御することが可能である。加熱装置1は、ランプヒータ8に供給する駆動電圧を高電圧化するに従ってランプヒータ8の発熱量が大きくなり、またランプヒータ8に一定電圧を供給した状態で加熱用媒体5の単位時間当たりの供給量を多くするに従って加熱用媒体5の温度が低下する。
【0053】
加熱装置1においては、詳細を後述するようにコントローラ3が、加熱用媒体5の流量制御とランプヒータ8への電圧調整を同時に行い、また加熱用媒体5の流量を一定に保持してランプヒータ8への電圧調整を行い、或いはランプヒータ8への電圧を一定に保持して加熱用媒体5の流量制御を行う機能を有する。加熱装置1においては、かかる機能を有するコントローラ3を備えることにより、被加熱体6に対してヒータ本体2から精密に温度管理された加熱用媒体5を噴流させる。
【0054】
上述した機能を有するコントローラ3は、図1及び図6に示すように筐体30の操作面30Aに上述したヒータ本体2の各部を接続する詳細を後述する接続部が設けられるとともに、筐体30の内部に図7により詳細を後述する各制御部が備えられる。コントローラ3は、上述したように半導体製造工程に設置されたヒータ本体2の近傍に位置して設置され、各部を接続した後に商用電源等の外部電源50と接続される。
【0055】
コントローラ3は、図1及び図6に示すように筐体30の主面30Aに、一対のジャック31A、31Bを有する電源接続端子部31が設けられる。筐体30には、主面30Aに、加熱用媒体供給管17と接続した供給配管32が結合され供給継ぎ手管33と、加熱用媒体供給源4とフィルタ34を介して接続した流入配管35が結合される流入継ぎ手管36が設けられる。筐体30には、主面30Aに、ヒータ本体2のノズル部材13から噴流される加熱用媒体5の温度を検出する温度検出センサ37を接続する一対のジャック39A、39Bを有するセンサ接続端子部39が設けられる。筐体30には、これらヒータ本体2との接続部とともに、主面30Aに電源スイッチ40と、詳細を後述する温度コントローラ部42の温度表示器42A及び温度設定操作部42Bと、流量コントローラ部43の流量表示器43A及び流量設定操作部43Bが設けられる。
【0056】
コントローラ3には、図7に示すように、筐体30の内部に制御処理手段を構成するCPU(Central Processing Unit)44と、ランプヒータ駆動制御部を構成する電圧コントローラ45及びランプヒータ駆動回路部46と、加熱用媒体供給制御部を構成する電磁弁制御回路部47及びこの電磁弁制御回路部47により開閉動作が制御される調整電磁弁48と、外部電源50と接続された電源回路部49等の回路部を搭載した詳細を省略する制御基板が備えられる。コントローラ3は、温度コントローラ部42によりヒータ本体2から被加熱体6に噴流する加熱用媒体5の温度設定が行われて、その設定情報信号がCPU44に入力される。
【0057】
コントローラ3は、流量コントローラ部43により被加熱体6に噴流する加熱用媒体5の流量設定が行われて、その設定情報信号がCPU44に入力される。コントローラ3は、これらの入力信号に基づいてCPU44からランプヒータ制御回路部46或いは電磁弁制御回路部47に制御信号が出力され、ヒータ本体2におけるランプヒータ8の発熱制御と加熱用媒体5の流量制御が行われるようにする。
【0058】
コントローラ3は、電源接続端子部31の詳細を省略するジャック31A、31Bにそれぞれヒータ本体2から引き出した電源コード15に設けられたプラグ15A、15Bを着脱自在に結合することにより、使用時においてヒータ本体2を接続して電源供給が行われるようにする。コントローラ3は、センサ接続端子部39の詳細を省略するジャック39A、39Bに後述する温度検出センサ37から引き出されたセンサコード38に設けられたプラグ38A、38Bを着脱自在に結合し、使用時において温度検出センサ37を接続して加熱用媒体5の温度情報が入力されるようにする。
【0059】
コントローラ3は、供給継ぎ手管33及び流入継ぎ手管36がそれぞれ一般的な流体管接続用に用いられる継ぎ手管であることから詳細を省略するが、供給配管32や流入配管35を着脱自在に結合し、使用時においてヒータ本体2と加熱用媒体供給源4とを接続して加熱用媒体5が供給されるようにする。コントローラ3には、供給継ぎ手管33と流入継ぎ手管36との間に、加熱用媒体供給源4から加圧状態で供給される加熱用媒体5の流量を調整する調整電磁弁48が設けられる。調整電磁弁48は、詳細を省略するが電磁弁制御回路部47から出力される制御信号によりソレノイド等の駆動手段を駆動して管路を開閉する電磁弁の動作が制御され、ヒータ本体2に供給する加熱用媒体5の流量を調整する。電磁弁制御回路部47は、CPU44から出力される制御信号により駆動される。
【0060】
コントローラ3は、電源コード51が先端部に設けたプラグを例えば商用電源コンセントに結合することにより、外部電源50と接続される。コントローラ3は、電源回路部49の前段に電源スイッチ40と図示しない電源ヒューズが設けられ、電源スイッチ40により全体のオン・オフ操作が行われるようにするとともに、過大電流が流れた場合に電源ヒューズが切れるようにする。電源回路部49は、詳細を省略するが商用電源に対してAC−DC変換処理や所定電圧の変換処理を行い、CPU44やランプヒータ制御回路部46或いは他の構成各部に対して所定仕様の電源を供給する。
【0061】
コントローラ3においては、ヒータ本体2のノズル部材13から噴流される加熱用媒体5の温度を検出する温度検出センサ37からの検出信号に基づいてランプヒータ制御回路部46を制御し、ランプヒータ8に印加する駆動電圧を自動調整する。ランプヒータ制御回路部46は、ヒータ本体2のランプヒータ8に電源を供給してランプヒータ8を点灯させて加熱用媒体5の加熱動作が行われるようにするが、後述するように調整された駆動電圧を供給することによりランプヒータ8の発熱制御が行われるようにする。
【0062】
温度検出センサ37は、図1に示すようにセンサ部をヒータ本体2の加熱用媒体5が噴流されるノズル部材13と被加熱体6との間に配置することにより、実際に被加熱体6を加熱する加熱用媒体5の温度を直接かつ高精度に検出する。したがって、温度検出センサ37としては、1000℃程度までの比較的高温領域の温度測定用に用いられる温度センサ、例えば銅とコンスタンタンや白金と白金ロジウム合金等の2種類の金属を組み合わせてこれら金属により熱起電力を励起させて温度測定を行う熱電対センサが用いられる。
【0063】
コントローラ3においては、加熱用媒体5の温度を測定した温度検出センサ37から温度検出信号がCPU44へと出力されるとともに、温度コントローラ部42に出力されて測定した温度が温度表示器42Aに表示されるようにする。CPU44は、この温度検出信号に基づく温度情報と温度コントローラ部42により設定した設定温度とを比較し、差異結果に基づいてランプヒータ制御回路部46や電磁弁制御回路部47に制御信号を出力する。
【0064】
CPU44には、上述したように温度コントローラ部42から加熱用媒体5の温度設定情報信号が入力されるとともに、流量コントローラ部43から加熱用媒体5の流量設定情報信号が入力される。CPU44は、上述したように温度検出センサ37から出力された温度検出信号と温度設定情報信号とを比較して、ランプヒータ制御回路部46に対してランプヒータ8に供給する駆動電圧の電圧値を指示する制御信号と電磁弁制御回路部47に対して供給する加熱用媒体5の流量を規定する調整電磁弁48の駆動量を指示する制御信号を出力する。CPU44は、上述した温度検出信号に基づいて、温度表示器42Aに加熱用媒体5の温度を表示させる。
【0065】
温度コントローラ部42は、上述したように加熱用媒体5の温度を表示する温度表示器42Aと、加熱用媒体5の温度を設定する温度設定操作部42Bとから構成される。温度コントローラ部42は、温度設定操作部42Bが、詳細を省略するが被加熱体6を加熱する加熱用媒体5の温度を設定するための設定操作ボタンや温度表示器42Aの表示を切り替える表示切換ボタン或いは出力操作ボタン等の操作ボタンと、これら各操作ボタンの操作に基づいてCPU44に所定の信号を出力する回路部等を有する。
【0066】
温度コントローラ部42は、例えば温度表示器42Aに表示された設定温度の変更を行う場合に、表示切換ボタンを操作して温度設定モードに設定した状態で設定操作ボタンを操作して表示温度を変更する。温度コントローラ部42は、温度表示器42Aに表示された変更後の表示温度値を確認して出力操作ボタンを操作することにより、CPU44に対して設定した温度情報信号を出力する。温度コントローラ部42は、上述したように温度検出センサ37により検出されCPU44に出力された加熱用媒体5の温度を温度表示器42Aに表示する。
【0067】
コントローラ3においては、CPU44が、温度コントローラ部42から出力された温度情報信号に基づいてランプヒータ8の発熱特性に応じて供給すべき駆動電圧値を設定して、ランプヒータ制御回路部46に対して所定の制御信号を出力する。コントローラ3においては、この制御信号に基づいて電圧コントローラ45が駆動されてランプヒータ制御回路部46を介してランプヒータ8に所定電圧値の駆動電圧を供給する。
【0068】
流量コントローラ部43も、上述したように加熱用媒体5の流量を表示する流量表示器43Aと、加熱用媒体5の流量を設定する流量設定操作部43Bとから構成される。流量コントローラ部43は、流量設定操作部43Bが、詳細を省略するがヒータ本体2に供給する被加熱体6の単位時間当たりの供給量、すなわち流量を設定するための設定操作ボタンや流量表示器43Aの表示を切り替える表示切換ボタン或いは出力操作ボタン等の操作ボタンと、これら各操作ボタンの操作に基づいてCPU44に所定の信号を出力する制御回路部等を有する。
【0069】
流量コントローラ部43は、例えば流量表示器43Aに表示された設定流量の変更を行う場合に、表示切換ボタンを操作して流量設定モードに設定した状態で設定操作ボタンを操作して流量を変更する。流量コントローラ部43は、流量表示器43Aに表示された変更後の流量値を確認して出力操作ボタンを操作することにより、制御回路部からCPU44に対して設定した流量情報信号を出力する。
【0070】
コントローラ3においては、CPU44が、流量コントローラ部43から出力された流量情報信号に基づいてヒータ本体2から噴流する加熱用媒体5の流量値を設定して、電磁弁制御回路部47に対して所定の制御信号を出力する。コントローラ3においては、この制御信号に基づいて電磁弁制御回路部47から調整電磁弁48に対して所定の駆動信号が出力され、流量を調整された加熱用媒体5がヒータ本体2に供給されるようにする。
【0071】
コントローラ3においては、上述した温度コントローラ部42により加熱用媒体5の温度設定を行った状態で流量コントローラ部43による流量設定を行うことにより、ランプヒータ8に対して電圧値が自動調整された駆動電圧が供給されるようにする。加熱用媒体5は、流量が多くなるにしたがって次第に温度が低下するとともに、流量が少なくなるにしたがって次第に温度が上昇する。コントローラ3においては、加熱用媒体5が流量コントローラ部43により設定した流量で噴流することにより生じる温度変化を温度検出センサ37により検出する。コントローラ3においては、上述したフィードバック制御動作により電圧コントローラ45により制御された所定電圧値の駆動電圧をランプヒータ制御回路部46を介してランプヒータ8に供給することにより、ランプヒータ8から所定の発熱量が発生されるようにする。
【0072】
一方、コントローラ3においては、上述した流量コントローラ部43により加熱用媒体5の流量設定を行った状態で温度コントローラ部42による温度設定を行うことによっても、ランプヒータ8に対して電圧値が自動調整された駆動電圧が供給されるようにする。ランプヒータ8は、供給される駆動電圧が高くなるにしたがって次第に発熱量が大きくなるとともに駆動電圧が低くなるにしたがって次第に発熱量が小さくなる。コントローラ3においては、電圧変動による加熱用媒体5の温度変化を温度検出センサ37により検出する。コントローラ3においては、上述したフィードバック制御動作によりCPU44から電圧コントローラ45に制御信号が出力され、所定電圧値の駆動電圧をランプヒータ制御回路部46を介してランプヒータ8に供給することにより、ランプヒータ8から所定の発熱量が発生されるようにする。
【0073】
以上のように構成されたコントローラ3においては、上述したように工程中に設置されたヒータ本体2が、電源接続端子部31に電源コード15を接続し、供給継ぎ手管33に供給配管32を接続される。コントローラ3においては、ヒータ本体2のノズル部材13に近接して設置した温度検出センサ37が、センサ接続端子部39にセンサコード38を接続される。コントローラ3においては、流入継ぎ手管36に加熱用媒体供給源4からフィルタ34を介して導かれた流入配管35が接続されるとともに、電源コード51が外部電源50に接続される。
【0074】
コントローラ3においては、電源スイッチ40をオン操作して構成各部に対して電源供給を行う。コントローラ3においては、温度コントローラ部42の温度設定操作部42Bによりヒータ本体2による被加熱体6の加熱温度を設定する操作を行うことにより、温度表示器42に設定温度が表示されるとともにCPU44に温度情報信号が出力される。コントローラ3においては、流量コントローラ部43の流量設定操作部43Bによりヒータ本体2に供給する加熱用媒体5の流量を設定する操作を行うことにより、流量表示器43Aに設定流量が表示されるとともにCPU44に流量情報信号が出力される。
【0075】
コントローラ3においては、流量コントローラ部43からの流量情報信号に基づいてCPU44から電磁弁制御回路部47に対して制御信号が出力され、この制御信号に基づいて電磁弁制御回路部47から出力される駆動信号により調整電磁弁48が駆動される。コントローラ3においては、加熱用媒体供給源4から供給される加熱用媒体5を調整電磁弁48により流量を調整してヒータ本体2に供給する。コントローラ3においては、ヒータ本体2のノズル部材13から噴流する加熱用媒体5の温度が温度検出センサ37により検出され、温度検出センサ37からCPU44に温度検出信号が出力される。
【0076】
コントローラ3においては、温度検出センサ37からの温度検出信号に基づいてCPU44から電圧コントローラ45に対してランプヒータ8に供給する駆動電圧の電圧値を指示する制御信号を出力する。コントローラ3においては、電圧コントローラ45からランプヒータ制御回路部46に制御信号を出力し、この制御信号に基づいてランプヒータ制御回路部46からヒータ本体2のランプヒータ8に所定電圧値の駆動電圧を供給してランプヒータ8から所定の発熱量が発生されるようにする。
【0077】
コントローラ3においては、ヒータ本体2のノズル部材13から噴流する加熱用媒体5の温度を温度検出センサ37により引き続いて検出する。コントローラ3においては、温度検出センサ37により加熱用媒体5が設定温度よりも高くなった状態を検出するとCPU44からの指示に基づいて駆動電圧を低圧化してランプヒータ8からの発熱量を低下させるとともに、設定温度よりも低い状態では駆動電圧を高圧化してランプヒータ8からの所定の発熱量を高くする。
【0078】
コントローラ3においては、上述したようにヒータ本体2に供給する加熱用媒体5の流量と温度検出センサ37により検出した加熱用媒体5の温度とによりランプヒータ8に供給する駆動電圧を自動制御するようにしたが、かかる制御方法に限定されないことは勿論である。コントローラ3においては、例えば温度検出センサ37からの温度検出信号に基づいてCPU44から電磁弁駆動制御回路部47に対して制御信号を出力して調整電磁弁48を駆動し、加熱用媒体5の流量を調整するようにしてもよい。コントローラ3においては、温度検出センサ37により加熱用媒体5が設定温度よりも高い状態を検出すると加熱用媒体5の流量を増加させるとともに、設定温度よりも低い状態を検出すると加熱用媒体5の流量を低下させる。
【0079】
また、コントローラ3においては、例えば筐体30の主面30Aに手動操作される電圧調整ダイヤルを設け、この電圧調整ダイヤルにより電圧コントローラ45を駆動してランプヒータ制御回路部46から所定電圧値の駆動電圧をヒータ本体2に供給するように構成してもよい。コントローラ3においては、例えば電圧調整ダイヤルを手動操作してヒータ本体2に供給する駆動電圧を設定し、温度検出センサ37により検出されて温度コントローラ部42の温度表示器42Aに表示される加熱用媒体5の温度を確認しながら、流量コントローラ部43の流量設定操作部43Bによりヒータ本体2に供給する加熱用媒体5の流量を調整する。
【0080】
加熱装置1においては、上述したようにコントローラ3を備えてヒータ本体2に対してランプヒータ8の発熱量とノズル部材13から噴流する加熱用媒体5の流量を制御することにより、被加熱体6の温度制御を行うように構成される。加熱装置1においては、特に精密な温度管理を不要とする場合にはヒータ本体2の制御を行うコントローラ3を備えることなく、ヒータ本体2が被加熱体6を加熱するように構成してもよい。また、加熱装置1においては、コントローラ3の使用を手動スイッチの切替操作により選択するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施の形態として示す加熱装置の斜視図である。
【図2】ヒータ本体の断面図である。
【図3】ヒータ本体の分解断面図である。
【図4】ヒータ本体のホルダ部材と熱交換筒部材の組み合わせ部位の断面図である。
【図5】他の熱交換筒部材の断面図である。
【図6】コントローラの正面図である。
【図7】コントローラの構成図である。
【符号の説明】
【0082】
1 加熱装置、2 ヒータ本体、3 コントローラ、4 加熱用媒体供給源、5 加熱用媒体、6 被加熱体、8 ランプヒータ、9 ソケット部材、10 ホルダ部材、11 外筒部材、12 熱交換筒部材、13 ノズル部材、14 ソケット、16 加熱用媒体供給空間部、17 加熱用媒体供給管、18 熱交換筒部材保持凸部、19 加熱空間部、19A 第2加熱用媒体流路、20 第1加熱用媒体流路、21 リブ状凸部、22 熱交換筒部材、23 保持凸部、24 第1ノズル部材、25 第2ノズル部材、30 筐体、31 電源接続端子部、供給配管、33 供給継ぎ手管、34 フィルタ、35 流入配管、36 流入継ぎ手管、37 温度検出センサ、39 センサ接続端子部、40 電源スイッチ、42 温度コントローラ部、43 流量コントローラ部、44 CPU、45 電圧コントローラ、46 ランプヒータ制御回路部、47 電磁弁制御回路部、48 調整電磁弁、49 電源回路部、50 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に口金体を設けて駆動電圧の制御により発熱量が制御される片口型ランプヒータと、このランプヒータを加熱空間部を構成する内部空間に片持ち状態で収納して一端部側から供給した加熱用媒体を加熱して他端側に設けたノズル部材から被加熱体に対して噴流させる熱交換筒部材を有するヒータ本体と、
上記ヒータ本体に対して、電圧値を調整して駆動電圧を供給するランプヒータ駆動制御部と、流量を調整して上記加熱用媒体を供給する加熱用媒体供給制御部と、上記ヒータ本体の上記ノズル部材から噴流される上記加熱用媒体の温度を検出する温度検出センサを有するコントローラとを備え、
上記コントローラが上記ヒータ本体に対して、上記温度検出センサにより検出した上記熱交換筒部材から上記被加熱体に噴流する上記加熱用媒体の検出温度に基づいて、上記ランプヒータ駆動制御部を介しての駆動電圧制御動作と上記加熱用媒体供給制御部を介しての加熱用媒体流量制御動作とを行うことにより、上記加熱用媒体の温度制御を行うことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
上記コントローラが、上記ヒータ本体から上記被加熱体に噴流させる上記加熱用媒体の温度を設定して上記ランプヒータ駆動制御部に制御信号を出力する温度コントローラ部と、この温度コントローラ部から入力された設定温度情報と上記温度検出センサから入力された検出温度情報とを比較するとともにその差異に基づく制御信号を上記ランプヒータ駆動制御部に出力する制御処理手段とを備え、
上記加熱用媒体供給制御部により設定した所定量の上記加熱用媒体を上記ヒータ本体に供給している状態で、上記ランプヒータ駆動制御部が、上記制御処理手段から出力される上記設定温度情報と上記検出温度情報との差異に基づく上記制御信号により上記ヒータ本体に対する駆動電圧制御動作を行って上記加熱用媒体の自動温度制御を行うことを特徴とする請求項1記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−138905(P2008−138905A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323632(P2006−323632)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(599165234)東洋精機株式会社 (6)
【出願人】(506398999)株式会社 秩父イワサキ (2)
【Fターム(参考)】