説明

加熱装置

【課題】樹脂材料などの被加熱物の温度を速やかに上昇させることができながら、被加熱物の過熱による不具合の発生を防止できる、加熱装置を提供する。
【解決手段】制御部31によるヒータ駆動回路35,36,37の制御の開始時において、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVよりも低い場合には、ブート処理が実行される。ブート処理では、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVに所定のブート処理温度SVST(i)および所定のアップ温度dSV(i)を加えて設定される第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)と第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)からアップ温度dSV(i)を減じて設定される第3温度SV+SVST(i)との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を乾燥などの目的で加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、樹脂材料(エンプラ材料など)は、吸湿性を有しており、大気中の水分を吸収する。水分を多く含んだ樹脂材料を用いて射出成形加工が行われると、射出成形機内での樹脂の加水分解による成形品の強度の低下を生じたり、成形品の表面に銀条(シルバーストリーク)が生じたりする場合がある。そのため、射出成形機への樹脂材料の供給前に、通常、樹脂材料から水分を除去するための予備乾燥が行われる。
【0003】
予備乾燥のための乾燥装置として、樹脂材料が収容された乾燥ホッパ内を減圧した状態で、樹脂材料をヒータからの発熱で加熱することにより、樹脂材料を乾燥させるものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−308928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂材料を良好に乾燥させるためには、樹脂材料の温度を適正な温度に調整する必要がある。そして、効率的な乾燥処理(短時間での樹脂材料の乾燥)を実現するためには、樹脂材料の温度をその適正な温度まで速やかに上昇させなければならない。
【0006】
樹脂材料の温度が温度センサによって検出される構成では、その検出される温度が適正な温度(目標温度)となるように、ヒータの駆動をフィードバック制御すれば、制御に特段の工夫がなくても、樹脂材料の温度をその適正な温度に速やかに調整することができる。
【0007】
ところが、ヒータの駆動の制御に相当の工夫がなければ、次のように、不具合を生じる場合がある。
【0008】
本願発明者は、装置構成上の理由などで、樹脂材料の温度の検出が困難である場合に、ヒータの温度(発熱温度)を温度センサによって検出し、この検出温度に基づいて、ヒータの駆動を制御することを考えた。
【0009】
この場合に、ヒータの目標温度を樹脂材料の乾燥処理に適正な温度に設定して、ヒータの温度をその目標温度に一致させる制御では、乾燥ホッパ内の温度とヒータの温度とが平衡するまで、樹脂材料の温度が適正な温度とならないので、その温度上昇に長い時間がかかるという不具合を生じる。
【0010】
また、ヒータの目標温度が適正な温度よりも高い温度に設定して、ヒータの温度をその目標温度に一致させる制御では、樹脂材料の温度を適正な温度以上に速やかに上昇させることができるが、樹脂材料の過熱による不具合を生じるおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、樹脂材料などの被加熱物の温度を速やかに上昇させることができながら、被加熱物の過熱による不具合の発生を防止できる、加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明の加熱装置は、被加熱物を収容するための加熱容器と、前記加熱容器内に収容された被加熱物を昇温させるための熱を発生する発熱体と、前記発熱体が発熱する発熱状態とその発熱が停止した発熱停止状態とに切り替えるための切替手段と、前記発熱体の温度を検出する温度検出手段と、前記発熱体の温度が被加熱物の目標温度にほぼ等しい第1温度より低い温度から前記第1温度より高い温度に立ち上げられるときに、前記温度検出手段によって検出される温度に基づいて、前記発熱体の温度が前記第1温度に所定のブート処理温度および所定のアップ温度を加えて設定される第2温度と前記第2温度から前記アップ温度を減じて設定される第3温度との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、前記切替手段を制御する切替制御手段と、前記発熱体の温度が前記第2温度から前記第3温度に下降する度に前記ブート処理温度が小さくなるように、前記ブート処理温度を設定するブート処理温度設定手段とを含む。
【0013】
加熱容器内に収容された被加熱物は、発熱体が発生する熱を受けて昇温する。発熱体は、発熱状態と発熱停止状態とに切り替えられ、発熱状態で熱を発生し、発熱停止状態で発熱を停止する。
【0014】
加熱装置の起動時など、発熱体の温度が被加熱物の目標温度とほぼ同じ第1温度より低い温度から第1温度より高い温度に立ち上げられるときには、発熱体の温度が第1温度に所定のブート処理温度および所定のアップ温度を加えて設定される第2温度と第2温度からアップ温度を減じて設定される第3温度との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、発熱体の発熱状態と発熱停止状態との切替えが制御される。
【0015】
これにより、第1温度よりも低い温度の被加熱物に比較的大きな熱量を与えることができ、被加熱物の温度を速やかに上昇させることができる。
【0016】
そして、ブート処理温度は、発熱体の温度が第2温度から第3温度に下降する度に小さくなるように設定される。これにより、被加熱物の加熱が進むにつれて、第2温度を低くすることができ、被加熱物の温度が高くなり過ぎることを防止できる。その結果、被加熱物の過熱による不具合(たとえば、被加熱物の溶融など)の発生を防止することができる。
【0017】
よって、被加熱物の温度を速やかに上昇させることができながら、被加熱物の過熱による不具合の発生を防止することができる。
【0018】
たとえば、発熱体の温度が第2温度に上昇して、所定の第2温度保持時間にわたって第2温度に保持され、第2温度から第3温度に下降した後、所定の第3温度保持時間にわたって第3温度に保持されるという温度変化を1サイクルとして、その温度変化のサイクルが繰り返されるように、発熱体の発熱状態と発熱停止状態とが切り替えられてもよい。
【0019】
この場合、発熱体の温度が第2温度から第3温度に下降するときの単位時間あたりの温度変化量に基づいて、次の温度変化のサイクルにおけるアップ温度が設定されてもよい。そして、予め定める初期値からアップ温度設定手段によって設定されたアップ温度を減じることにより、アップ温度偏差が求められ、現在設定されているブート処理温度からそのアップ温度偏差を減じて得られる値と所定値とを比較して、それらの小さい方の値が次の温度変化のサイクルにおけるブート処理温度として設定されてもよい。
【0020】
たとえば、発熱体の温度が第2温度から第3温度に下降するときの単位時間あたりの温度変化量(発熱体の温度の下降速度)が予め定める値よりも大きい場合、発熱体から被加熱物に与えられる熱量が不足していると判断されて、アップ温度が大きくされるとよい。これにより、被加熱物の温度をより速やかに上昇させることができる。
【0021】
一方、発熱体の温度が第2温度から第3温度に下降するときの単位時間あたりの温度変化量が予め定める値以下である場合、発熱体から被加熱物に与えられる熱量が過剰であると判断されて、アップ温度が小さくされるとよい。これにより、被加熱物が過熱されることを一層防止できる。さらに、アップ温度が小さくされると、アップ温度偏差が大きな値となるので、次の温度変化のサイクルにおけるブート処理温度が低くなる。よって、被加熱物が過熱されることをより一層防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被加熱物の温度が検出されない構成であっても、被加熱物の温度を速やかに上昇させることができながら、被加熱物の過熱による不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置が組み込まれた減圧乾燥装置の図解的な断面図である。
【図2】図2は、減圧乾燥装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、ブート処理におけるヒータの発熱制御の内容を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、ゆらぎ処理におけるヒータの発熱制御の内容を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置が組み込まれた減圧乾燥装置の図解的な断面図である。
【0026】
減圧乾燥装置1は、射出成形機2に接続されて、射出成形機2に供給される樹脂材料(ペレット)をその供給前に乾燥(予備乾燥)させるための装置である。減圧乾燥装置1は、乾燥ホッパ3と、乾燥ホッパ3に供給される樹脂材料を一時的に貯留するバッファホッパ4と、乾燥ホッパ3で乾燥した樹脂材料が供給されるローダホッパ5とを備えている。
【0027】
乾燥ホッパ3は、ステンレス鋼などからなる。乾燥ホッパ3の上部6は、上下方向に延びる円筒状をなしている。乾燥ホッパ3の下部7は、上部6に連続して形成され、下方に先細りとなる円錐状をなしている。
【0028】
乾燥ホッパ3内には、スペーサ8が設けられている。スペーサ8は、ステンレス鋼からなる。スペーサ8は、中空の略円柱状をなしている。スペーサ8は、乾燥ホッパ3とそれらの中心軸線が一致するように配置されており、スペーサ8の外周面と乾燥ホッパ3の上部6の内周面との間には、その周方向にわたって一定間隔の隙間が生じている。スペーサ8の上部は、上方に先細りとなる円錐状をなしている。
【0029】
乾燥ホッパ3の上部6の外周面、下部7の外周面およびスペーサ8の内周面には、それぞれ第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11が設けられている。第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11は、バンドヒータからなり、それぞれ乾燥ホッパ3の上部6の外周面、下部7の外周面およびスペーサ8の内周面の全周にわたって密着している。
【0030】
乾燥ホッパ3の上端開口は、上蓋12によって開閉可能に覆われている。上蓋12には、真空ポンプ13から延びる真空ライン14が接続されている。真空ライン14の途中部には、真空ポンプ13への樹脂材料などの進入を防止するための真空フィルタ15が介裝されている。
【0031】
真空ポンプ13が作動されると、乾燥ホッパ3内の空気が真空ライン14に吸い出され、乾燥ホッパ3内が真空状態に減圧される。また、それと並行して、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11がオン(通電)されて、乾燥ホッパ3内の樹脂材料が第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11からの発熱で加熱される。これにより、樹脂材料の減圧乾燥が達成される。
【0032】
また、真空ライン14には、乾燥ホッパ3内の真空状態を開放するための真空開放バルブ16が分岐して接続されている。
【0033】
なお、真空状態は、完全に真空の状態に限らず、真空に近い状態も含む。
【0034】
バッファホッパ4は、乾燥ホッパ3の上方に配置されている。バッファホッパ4の下部は、下方に先細りとなる円錐状をなしている。バッファホッパ4の下端部には、接続管17の上端が接続されている。接続管17の下端は、乾燥ホッパ3の上蓋12の中央部に接続されている。接続管17には、接続管17を開閉する供給バルブ18が介裝されている。
【0035】
バッファホッパ4には、選択バルブ19から延びる第1分岐吸気ライン20が接続されている。選択バルブ19には、輸送ブロワ21から延びる吸気ライン22が接続されている。吸気ライン22には、輸送ブロワ21への樹脂材料などの進入を防止するための輸送フィルタ23が介裝されている。
【0036】
また、バッファホッパ4には、材料供給ライン(図示せず)が接続されている。
【0037】
輸送ブロワ21が作動している状態で、選択バルブ19によって吸気ライン22と第1分岐吸気ライン20とが接続(連通)されると、バッファホッパ4内の空気が第1分岐吸気ライン20に吸い出されて、気力により、材料供給ラインからバッファホッパ4内に樹脂材料が供給される。そして、供給バルブ18が開かれると、バッファホッパ4内の樹脂材料は、自重により、接続管17を介して乾燥ホッパ3内に流入する。
【0038】
接続管17から乾燥ホッパ3内に流入する樹脂材料は、スペーサ8の上部に降りかかる。スペーサ8の上部が上方に先細りとなる円錐状に形成されているので、スペーサ8の上部に降りかかる樹脂材料は、スペーサ8(乾燥ホッパ3)の周方向にほぼ均一に分散し、スペーサ8の上部の円錐面に案内されて、乾燥ホッパ3の内周面とスペーサ8の外周面との間へ落下する。
【0039】
ローダホッパ5は、射出成形機2の上方に配置されている。ローダホッパ5の下部は、下方に先細りとなる円錐状をなしている。ローダホッパ5の下端部には、接続管24の上端が接続されている。接続管24の下端は、射出成形機2に接続されている。接続管24には、接続管24を開閉する供給バルブ25が介裝されている。
【0040】
ローダホッパ5には、選択バルブ19から延びる第2分岐吸気ライン26が接続されている。
【0041】
また、ローダホッパ5には、輸送管27の一端が接続されている。輸送管27の他端は、輸送バルブ28を介して、乾燥ホッパ3の下端部に接続されている。
【0042】
輸送ブロワ21が作動し、輸送バルブ28が開かれている状態で、選択バルブ19によって吸気ライン22と第2分岐吸気ライン26とが接続(連通)されると、ローダホッパ5内の空気が第2分岐吸気ライン26に吸い出されて、気力により、乾燥ホッパ3内の乾燥した樹脂材料が輸送管27を通してローダホッパ5内に供給される。そして、供給バルブ25が開かれると、ローダホッパ5内の樹脂材料は、自重により、接続管24を介して射出成形機2内に流入する。
【0043】
図2は、減圧乾燥装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0044】
減圧乾燥装置1は、CPUおよびメモリを含むマイクロコンピュータからなる制御部31を備えている。
【0045】
また、減圧乾燥装置1には、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11に関連して、それぞれ第1温度センサ32、第2温度センサ33および第3温度センサ34が設けられている。第1温度センサ32、第2温度センサ33および第3温度センサ34は、それぞれ第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度(発熱温度)を検出する。第1温度センサ32、第2温度センサ33および第3温度センサ34の検出信号は、制御部31に入力されるようになっている。
【0046】
制御部31には、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11がそれぞれヒータ駆動回路35,36,37を介して接続されている。各ヒータ駆動回路35〜37には、制御部31からの信号によって開閉されるリレーが含まれている。リレーの開閉により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11への通電(オン)/その停止(オフ)が切り替えられる。
【0047】
制御部31にはさらに、真空ポンプ13、真空開放バルブ16、供給バルブ18,25、選択バルブ19、輸送ブロワ21および輸送バルブ28が制御対象として接続されている。
【0048】
図3は、ブート処理におけるヒータの発熱制御の内容を示すタイミングチャートである。
【0049】
減圧乾燥装置1において、樹脂材料の良好な乾燥を達成するためには、樹脂材料の温度を適正温度(樹脂材料の目標温度)まで上昇させ、その適正温度を適正な一定時間にわたって保持する必要がある。
【0050】
減圧乾燥装置1の運転開始時は、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11が冷えており、当然、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度は、樹脂材料の目標温度とほぼ同じ温度、具体的には、樹脂材料の目標温度よりも少し低い温度に設定される第1温度SVを大きく下回る。また、乾燥ホッパ3内に樹脂材料が新たに供給されると、乾燥ホッパ3内の熱が樹脂材料に奪われるので、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度は、第1温度SVよりも低くなる。
【0051】
制御部31によるヒータ駆動回路35,36,37の制御(第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御)の開始時において、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVよりも低い場合には、制御部31により、次に述べるブート処理が実行される。
【0052】
ブート処理では、まず、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の目標温度が第1温度SVに予め定められたブート処理温度SVST(1)およびアップ温度dSV(1)を加えた第2温度SV+SVST(1)+dSV(1)に設定される。
【0053】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11への通電が開始されて、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が上昇し、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+SVST(1)+dSV(1)に達すると、その第2温度SV+SVST(1)+dSV(1)が所定の温度上昇保持時間(第2温度保持時間)THIにわたって保持されるように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0054】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+SVST(1)+dSV(1)で温度上昇保持時間THIにわたって保持されると、制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の目標温度が温度SV+SVST(1)+dSV(1)からアップ温度dSV(1)を減じた第3温度SV+SVST(1)に設定される。そして、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がその目標温度に近づくように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0055】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第3温度SV+SVST(1)まで下降すると、つまり第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がアップ温度dSV(1)分だけ下降すると、その第3温度SV+SVST(1)が所定の温度下降保持時間(第3温度保持時間)TLOにわたって保持されるように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0056】
また、制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がアップ温度dSV(1)分だけ下降するのに要した温度下降時間Tdown(1)が求められる。さらに、アップ温度dSV(1)がその温度下降時間Tdown(1)で除算されることにより、温度下降速度(単位時間あたりの温度変化量)Sdown(1)が求められる。そして、温度下降速度Sdown(1)を予め定められた基準下降速度Sdown(0)で除算して得られる値とアップ温度dSV(1)とが乗算されて、その乗算値が次のサイクルにおけるアップ温度dSV(2)に設定される。すなわち、式(1)に従って、アップ温度dSV(2)が設定される。
【0057】
dSV(i+1)=dSV(i)×Sdown(i)/Sdown(0) ・・・(1)
【0058】
なお、iは、自然数であり、ブート処理で過去に行われた第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御のサイクル数を表す。
【0059】
また、制御部31により、予め定められた基準アップ温度dSV(0)からアップ温度dSV(1)が減算されることにより、アップ温度偏差ΔdSV(1)が求められる。さらに、ブート処理温度SVST(1)からアップ温度偏差ΔdSV(1)が減算される。また、ブート処理温度SVST(1)に予め定められたブート下降率KBLおよびサイクル数iが乗算される。そして、その減算値と乗算値とが比較されて、小さい方の値が次のサイクルにおけるブート処理温度SVST(2)に設定される。すなわち、式(2),(3)または式(2),(4)に従って、ブート処理温度SVST(2)が設定される。
【0060】
ΔdSV(i)=dSV(0)−dSV(i) ・・・(2)
SVST(i+1)=SVST(i)−ΔdSV(i) ・・・(3)
SVST(i+1)=SVST(i)×KBL×i ・・・(4)
ただし、dSV(0)≧dSV(i)
BL<1
【0061】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第3温度SV+SVST(1)で温度下降保持時間TLOにわたって保持されると、1サイクル目の第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御が終了となる。すなわち、ブート処理では、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)に上昇した後、温度上昇保持時間THIにわたって第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)に保持され、第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)から第3温度SV+SVST(i)に下降した後、温度下降保持時間TLOにわたって第3温度SV+SVST(i)に保持されるという温度変化を生じさせる発熱制御が1サイクルとされる。
【0062】
その後は、制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の目標温度が第1温度SVにブート処理温度SVST(2)およびアップ温度dSV(2)を加えた第2温度SV+SVST(2)+dSV(2)に設定される。そして、2サイクル目の第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御が開始される。以降は、制御部31により、1サイクル目の発熱制御と同様な発熱制御が行われる。
【0063】
式(3)または式(4)に従って設定されるブート処理温度SVST(i+1)は、前サイクルにおけるブート処理温度SVST(i)よりも必ず小さくなる。したがって、ブート処理における発熱制御のサイクルが繰り返されるにつれて、ブート処理温度SVST(i+1)が小さくなる。ブート処理温度SVST(i+1)が零になると、ブート処理が終了される。
【0064】
このように、ブート処理では、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVに所定のブート処理温度SVST(i)および所定のアップ温度dSV(i)を加えて設定される第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)と第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)からアップ温度dSV(i)を減じて設定される第3温度SV+SVST(i)との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0065】
これにより、第1温度SVよりも低い温度の樹脂材料に比較的大きな熱量を与えることができ、樹脂材料の温度を速やかに上昇させることができる。
【0066】
そして、ブート処理温度SVST(i)は、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)から第3温度SV+SVST(i)に下降する度に小さくなるように設定される。
【0067】
具体的には、予め定める基準アップ温度dSV(0)からアップ温度dSV(i)を減じることにより、アップ温度偏差ΔdSV(i)が求められ、現在設定されているブート処理温度SVST(i)からそのアップ温度偏差ΔdSV(i)を減じて得られる値と所定値(たとえば、式(4)に従って求められる値)とを比較して、それらの小さい方の値が次のサイクルにおけるブート処理温度SVST(i+1)として設定される。
【0068】
これにより、樹脂材料の加熱が進むにつれて、第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)を低くすることができ、樹脂材料の温度が高くなり過ぎることを防止できる。その結果、樹脂材料の過熱による不具合(たとえば、樹脂材料の溶融など)の発生を防止することができる。
【0069】
よって、樹脂材料の温度を速やかに上昇させることができながら、樹脂材料の過熱による不具合の発生を防止することができる。
【0070】
また、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)から第3温度SV+SVST(i)に下降するときの単位時間あたりの温度変化量である温度下降速度Sdown(i)に基づいて、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(i+1)が設定される。すなわち、式(1)に従って、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(i+1)が設定される。
【0071】
これにより、温度下降速度Sdown(i)が予め定める基準下降速度Sdown(0)よりも大きい場合には、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(i+1)がアップ温度dSV(i)よりも大きい値に設定される。これにより、樹脂材料の温度をより速やかに上昇させることができる。
【0072】
一方、温度下降速度Sdown(i)が予め定める基準下降速度Sdown(0)以下である場合には、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(i+1)がアップ温度dSV(i)よりも小さい値に設定される。これにより、樹脂材料が過熱されることを一層防止できる。さらに、アップ温度dSV(i+1)が小さくなると、アップ温度偏差ΔdSV(i)が大きな値となるので、次のサイクルにおけるブート処理温度SVST(i+1)が低くなる。よって、樹脂材料が過熱されることをより一層防止できる。
【0073】
図4は、ゆらぎ処理におけるヒータの発熱制御の内容を示すタイミングチャートである。
【0074】
ブート処理の終了後、制御部31により、次に述べるゆらぎ処理が実行される。
【0075】
ゆらぎ処理では、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVと第1温度SVにアップ温度dSV(n)を加えて設定される第2温度SV+dSV(n)との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0076】
なお、nは、自然数であり、ゆらぎ処理で過去に行われた第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御のサイクル数を表す。
【0077】
具体的には、まず、制御部31により、ブート処理で最後に設定されたアップ温度dSV(i)と等しいアップ温度dSV(1)と第1温度SVとが加算され、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の目標温度がその加算値である第2温度SV+dSV(1)に設定される。そして、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がその目標温度に近づくように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0078】
制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVから第2温度SV+dSV(1)まで上昇するのに要する時間、つまり第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がアップ温度dSV(1)分だけ上昇するのに要する温度上昇時間TUP(1)が計測される。この温度上昇時間TUP(1)が得られると、アップ温度dSV(1)がその温度上昇時間TUP(1)で除算されることにより、温度上昇速度(単位時間あたりの温度変化量)SUP(1)が求められる。そして、温度上昇速度SUP(1)を予め定められた基準上昇速度SUP(0)で除算して得られる値と予め定められた基準時間THI(0)とが乗算されて、その乗算値が現在のサイクルにおける温度上昇保持時間THI(1)に設定される。すなわち、式(5)に従って、温度上昇保持時間THI(1)が設定される。
【0079】
HI(n)=THI(0)×SUP(n)/SUP(0) ・・・(5)
【0080】
そして、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+dSV(1)に達した後、その第2温度SV+dSV(1)が温度上昇保持時間THI(1)にわたって保持されるように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0081】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+dSV(1)で温度上昇保持時間THI(1)にわたって保持されると、制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の目標温度が第1温度SVに設定される。そして、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がその目標温度に近づくように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0082】
また、制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がアップ温度dSV(1)分だけ下降するのに要する時間、つまり第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がアップ温度dSV(1)分だけ下降するのに要する温度下降時間Tdown(1)が計測される。この温度下降時間Tdown(1)が得られると、アップ温度dSV(1)がその温度下降時間Tdown(1)で除算されることにより、温度下降速度(単位時間あたりの温度変化量)Sdown(1)が求められる。そして、1つ前のサイクルで求められた温度下降速度(この場合、ブート処理で最後に求められたSdown(i))を温度下降速度Sdown(1)で除算して得られる値と1つ前のサイクルで設定された温度下降保持時間(この場合、ブート処理で設定されている温度下降保持時間TLO)とが乗算されて、その乗算値が現在のサイクルにおける温度下降保持時間TLO(1)に設定される。すなわち、式(6)に従って、温度下降保持時間TLO(1)が設定される。
【0083】
LO(n)=TLO(n−1)×Sdown(n−1)/Sdown(n) ・・・(6)
【0084】
そして、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVに達した後、その第1温度SVが温度下降保持時間TLO(1)にわたって保持されるように、制御部31により、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0085】
その間に、制御部31により、式(7)に従って、アップ温度dSV(2)が設定される。すなわち、温度下降速度Sdown(1)を予め定められた基準下降速度Sdown(0)で除算して得られる値とアップ温度dSV(1)とが乗算されて、その乗算値が次のサイクルにおけるアップ温度dSV(2)に設定される。
【0086】
dSV(i+1)=dSV(i)×Sdown(i)/Sdown(0) ・・・(7)
【0087】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVで温度下降保持時間TLO(1)にわたって保持されると、制御部31により、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の目標温度が第1温度SVにアップ温度dSV(2)を加えた第2温度SVに設定されて、2サイクル目の第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御が開始される。以降は、制御部31により、1サイクル目の発熱制御と同様な発熱制御が行われる。
【0088】
このように、ゆらぎ処理では、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVと第1温度SVにアップ温度dSV(n)を加えて設定される第2温度SV+dSV(n)との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、ヒータ駆動回路35,36,37が制御される。
【0089】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVよりも高い第2温度SV+dSV(n)まで上昇することにより、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11から樹脂材料に比較的大きな熱量を与えることができ、樹脂材料の温度を速やかに上昇させることができる。
【0090】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度は、第2温度SV+dSV(n)で保持されるのではなく、第2温度SV+dSV(n)から第1温度SVまで下げられる。これにより、樹脂材料の温度が高くなり過ぎることを防止できる。その結果、樹脂材料の過熱による不具合(たとえば、樹脂材料の溶融など)の発生を防止することができる。
【0091】
よって、樹脂材料の温度を速やかに上昇させることができながら、樹脂材料の過熱による不具合の発生を防止することができる。
【0092】
また、単位時間あたりの第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度変化量に基づいて、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の発熱制御の内容が変更される。
【0093】
第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+dSV(n)から第1温度SVに下降するときの単位時間あたりの温度変化量である温度下降速度Sdown(n)に基づいて、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(n+1)が設定される。
【0094】
具体的には、温度下降速度Sdown(n)が予め定める基準下降速度Sdown(0)よりも大きい場合、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(n+1)がアップ温度dSV(n)よりも大きい値に設定される。これにより、樹脂材料の温度をより速やかに上昇させることができる。
【0095】
一方、温度下降速度Sdown(n)が基準下降速度Sdown(0)以下である場合、次のサイクルにおけるアップ温度dSV(n+1)がアップ温度dSV(n)よりも小さい値に設定される。これにより、樹脂材料が過熱されることを一層防止できる。
【0096】
また、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVから第2温度SV+dSV(n)に上昇するときの単位時間あたりの温度変化量である温度上昇速度SUP(n)に基づいて、現在のサイクルにおける温度上昇保持時間THI(n)が調整される。
【0097】
具体的には、温度上昇速度SUP(n)が予め定める基準上昇速度SUP(0)よりも大きい場合、温度上昇保持時間THI(n)が基準時間THI(0)よりも短い時間に設定される。これにより、樹脂材料が過熱されることを一層防止できる。
【0098】
一方、温度上昇速度SUP(n)が予め定める基準上昇速度SUP(0)以下である場合、温度上昇保持時間THI(n)が基準時間THI(0)以上の時間に設定される。これにより、樹脂材料の温度をより速やかに上昇させることができる。
【0099】
また、温度下降速度Sdown(n)に基づいて、現在のサイクルにおける温度下降保持時間TLO(n)が調整される。
【0100】
具体的には、温度下降速度Sdown(n)が1つ前のサイクルで求められた温度下降速度Sdown(n−1)よりも大きい場合、温度下降保持時間TLO(n)は、1つ前のサイクルで設定された温度下降保持時間TLO(n−1)よりも短い時間に設定される。これにより、樹脂材料の温度をより速やかに上昇させることができる。
【0101】
一方、温度下降速度Sdown(n)が1つ前のサイクルで求められた温度下降速度Sdown(n−1)以下である場合、温度下降保持時間TLO(n)は、1つ前のサイクルで設定された温度下降保持時間TLO(n−1)以上の時間に設定される。これにより、樹脂材料が過熱されることを一層防止できる。
【0102】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0103】
たとえば、ゆらぎ処理時と同様に、ブート処理において、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第1温度SVから第2温度SV+SVST(i)+dSV(i)に上昇するときの単位時間あたりの温度変化量である温度上昇速度SUP(i)に基づいて、現在のサイクルにおける温度上昇保持時間THIが調整されてもよい。また、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度が第2温度SV+dSV(n)から第3温度SV+SVST(i)に下降するときの単位時間あたりの温度変化量である温度下降速度Sdown(i)に基づいて、現在のサイクルにおける温度下降保持時間TLOが調整されてもよい。
【0104】
また、第1温度SVは、減圧乾燥時の樹脂材料の目標温度とほぼ同じ温度に設定されるとした。しかし、ゆらぎ処理時において、第1温度SVは、たとえば、減圧乾燥時の樹脂材料の目標温度に所定の係数(1未満)の係数を乗じることにより、その目標温度よりも低い値に設定されてもよい。係数が適切に定められていれば、ゆらぎ処理時に、樹脂材料の温度を目標温度よりもわずかに高い温度に保持することができながら、第1ヒータ9、第2ヒータ10および第3ヒータ11の温度がアップ温度dSV(n)分だけ昇降されることによる電力の消費を低減することができる。
【0105】
本発明に係る発熱装置が組み込まれた減圧乾燥装置1を取り上げたが、本発明に係る発熱装置は、減圧乾燥装置1以外の装置に組み込まれてもよいし、それ単独で1つの装置として構成されてもよい。
【0106】
また、被加熱物は、樹脂材料に限らず、樹脂材料以外の粉粒体であってもよいし、空気や水などの流体であってもよい。
【0107】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 減圧乾燥装置
3 乾燥ホッパ(加熱容器)
9 第1ヒータ(発熱体)
10 第2ヒータ(発熱体)
11 第3ヒータ(発熱体)
31 制御部(切替制御手段、ブート処理温度設定手段、アップ温度設定手段)
32 第1温度センサ(温度検出手段)
33 第2温度センサ(温度検出手段)
34 第3温度センサ(温度検出手段)
35 ヒータ駆動回路(切替手段)
36 ヒータ駆動回路(切替手段)
37 ヒータ駆動回路(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容するための加熱容器と、
前記加熱容器内に収容された被加熱物を昇温させるための熱を発生する発熱体と、
前記発熱体が発熱する発熱状態とその発熱が停止した発熱停止状態とに切り替えるための切替手段と、
前記発熱体の温度を検出する温度検出手段と、
前記発熱体の温度が被加熱物の目標温度にほぼ等しい第1温度より低い温度から前記第1温度より高い温度に立ち上げられるときに、前記温度検出手段によって検出される温度に基づいて、前記発熱体の温度が前記第1温度に所定のブート処理温度および所定のアップ温度を加えて設定される第2温度と前記第2温度から前記アップ温度を減じて設定される第3温度との間で上昇および下降を交互に繰り返すように、前記切替手段を制御する切替制御手段と、
前記発熱体の温度が前記第2温度から前記第3温度に下降する度に前記ブート処理温度が小さくなるように、前記ブート処理温度を設定するブート処理温度設定手段とを含む、加熱装置。
【請求項2】
前記切替制御手段は、前記発熱体の温度が前記第2温度に上昇して、所定の第2温度保持時間にわたって前記第2温度に保持され、前記第2温度から前記第3温度に下降した後、所定の第3温度保持時間にわたって前記第3温度に保持されるという温度変化を1サイクルとして、その温度変化のサイクルが繰り返されるように、前記切替手段を制御する、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記発熱体の温度が前記第2温度から前記第3温度に下降するときの単位時間あたりの温度変化量に基づいて、次の温度変化のサイクルにおける前記アップ温度を設定するアップ温度設定手段をさらに含み、
前記ブート処理温度設定手段は、予め定める初期値から前記アップ温度設定手段によって設定された前記アップ温度を減じることにより、アップ温度偏差を求め、現在設定されているブート処理温度から前記アップ温度偏差を減じて得られる値と所定値とを比較して、それらの小さい方の値を次の温度変化のサイクルにおける前記ブート処理温度として設定する、請求項2に記載の加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43340(P2013−43340A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182028(P2011−182028)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】