説明

加熱調理器及びその脱臭装置、脱臭装置用フィルタユニット

【課題】 加熱調理器における脱臭触媒の活性化を安定させ、良好な脱臭、脱煙性能を発揮し得る加熱調理器及びその脱臭装置、脱臭装置用フィルタユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】 加熱室21に連通接続されて排気風路31を形成する筐体32と、触媒加熱ヒータ36と、脱臭触媒35と、送風ファン37とを備え、脱臭触媒35には、触媒加熱ヒータ36によって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材33が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル等の加熱調理器から調理時に発生する煙や臭いを脱臭触媒により脱臭(脱煙)する加熱調理器及びその脱臭装置、脱臭装置用フィルタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリル等の加熱調理器では、例えば魚焼き等の調理時に多量の煙や臭いが発生するため、煙や臭いをいかに分解して浄化するかが大きな課題となっている。近年、煙や臭いを浄化するための脱臭触媒を設けた加熱調理器が種々開発されている。このような脱臭触媒としては、300〜400°に加熱されることで活性化されるものが広く用いられており、一般に脱臭触媒が排気風路を単体で塞げる面積を有するように形成されて、その近傍に触媒加熱ヒータが配されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3052840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、触媒加熱ヒータとしては、一般に300〜400Wのシーズヒータ(φ6.7mm)を脱臭触媒の幅内に収まるように長さ方向の中央部でU状に折り返したものが使用され、そのヒータの二股脚(線条体)が脱臭触媒の面と平行となるように配置される。しかしながら、シーズヒータの熱の作用は距離に反比例して弱まるため、単体で排気風路の断面を埋めるような面積を有する脱臭触媒にあっては、どうしてもヒータに対して幅が大きくなり、U状触媒加熱ヒータ(シーズヒータ)の方向性にもよるが、そのヒータの二股脚(線条体)間の隙間に熱量が十分に供給されず、これらの部分の脱臭触媒表面の活性化が十分に行われないことがあった。このような部位では脱臭触媒の活性化反応が低くなり、本来の脱煙・脱臭性能が低下し、脱臭触媒が十分に活性化されていない部分から集中的に煙や臭いが抜けてしまうという難点があった。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、加熱調理器における脱臭触媒の活性化を安定させ、良好な脱煙・脱臭性能を発揮し得る加熱調理器及びその脱臭装置、脱臭装置用フィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を加熱するヒータを有する加熱室と前記加熱室に連通接続されて排気風路を形成する筐体と、前記排気風路内に配置される触媒加熱ヒータと、前記排気風路内の前記触媒加熱ヒータに近接配置される脱臭触媒と、前記排気風路の前記脱臭触媒の排気側に取り付けた送風ファンとを備え、前記脱臭触媒には、前記触媒加熱ヒータによって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材が配置されたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る脱臭装置は、被加熱物を加熱するヒータを有する加熱調理器に組み込まれ、前記加熱調理器の加熱室に連通接続されて用いられる脱臭装置において、前記加熱調理器の加熱室に連通接続される排気風路を形成する筐体と、前記排気風路内に配置される触媒加熱ヒータと、前記排気風路内の前記触媒加熱ヒータに近接配置される脱臭触媒と、前記排気風路の前記脱臭触媒の排気側に取り付けた送風ファンとを備え、前記脱臭触媒には、前記触媒加熱ヒータによって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材が配置されたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る脱臭装置用フィルタユニットは、被加熱物を加熱するヒータを有する加熱調理器に組み込まれ、前記加熱調理器の加熱室に連通接続されて用いられ、前記加熱調理器の加熱室に連通接続される排気風路を形成する筐体と、前記排気風路内に配置される触媒加熱ヒータと、前記排気風路内の前記触媒加熱ヒータに近接配置される脱臭触媒と、前記排気風路の前記脱臭触媒の排気側に取り付けた送風ファンとを備えた脱臭装置に用いられる脱臭触媒おいて、前記脱臭触媒には、前記触媒加熱ヒータによって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材が配置され、前記脱臭触媒と前記遮蔽部材とを一体成形してユニット化してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器によれば、脱臭触媒の活性化を安定させることができ、脱煙・脱臭性能を向上することができる。
【0010】
また本発明の脱臭装置によれば、加熱調理器に組み込んだ際、脱臭触媒の活性化を安定させることができ、脱煙・脱臭性能を向上することができる。
【0011】
また、本発明の脱臭装置用フィルタユニットによれば、適用した脱臭装置を加熱調理器に組み込んだ際、脱臭触媒の活性化を安定させることができ、脱煙・脱臭性能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、図示実施形態により本発明を説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の脱臭装置を加熱室側より示す正面図、図2はこの脱臭装置を用いたグリルを組み込んだ組込式加熱調理器の外観を示す斜視図、図3はそのグリルの構成を示す平面図、図4は図3の要部である脱臭装置部分を拡大して示す平面図、図5は図3の側面図、図6は図5の分解側面図、図7はその脱臭触媒を拡大して示す正面図、平面図、及び側面図、図8はその脱臭触媒と触媒加熱ヒータとの関係を示す正面図および側面図である。
【0013】
まず、本発明を適用した組込式加熱調理器について図2に基づき説明する。組込式加熱調理器は、天面が開口された箱状の本体ケース1と、この本体ケース1の天面開口部を覆う天板2と、この天板2の外周に設けられた金属板からなる枠体3とを有し、図示しないキッチンカウンタトップの据付開口穴内に本体ケース1を通し、据付開口穴のエッジに下方より支持させることで、据え付けられるようになっている。天板2は例えばセラミックスプレートあるいは耐熱ガラスなどの如き非磁性材料にて構成され、枠体3の上面開口に接着剤等により固定されている。
【0014】
天板2の上面には磁性材料からなる調理鍋やフライパンなどの被加熱物等の載置位置を表示する載置部として後部中央にサークルライン4a、前部左側にサークルライン4b、前部右側にサークルライン4cがそれぞれ設けられている。各サークルライン4a,4b,4cの直径は、図示しない電磁誘導加熱コイル(電磁誘導加熱ヒータ)の外径とほぼ等しいか、又は若干大きく形成されるとともに、各サークルライン4a,4b,4c近傍には、当該サークルライン4a,4b,4cに合わせて載置される被加熱物を加熱する火力の表示を行う出力表示部5a,5b,5cがそれぞれ設けられている。
【0015】
本体ケース1の前面上部には、本体ケース1内部に外気を取り込むための吸気口6が設けられるとともに、本体ケース1の後部(枠体3の後部両側)には本体ケース1内部に取り込んだ空気を排出するための排気口7aと、後述する加熱室(例えばグリル)の排気口7bとが設けられている。吸気口6には、本体ケース1の一部を構成しながら吸気口6から本体ケース1内部に異物の侵入を防止するための吸気フィルタ(図示せず)を備えている。
【0016】
また、本体ケース1の前面左側には、前述した加熱室であるグリル8が設けられており、このグリル8の前面には本体ケース1内に被加熱物を出し入れするための把手8aが設けられている。本体ケース1の前面右側(グリル8の右側)には、各サークルライン4a,4b,4cに対応して本体ケース1内に設けられた各電磁誘導加熱ヒータの加熱出力の調整を行うための出没自在なツマミ9a,9b,9cや加熱調理器の電源のON/OFFスイッチ11、グリル8の加熱出力の調整、調理時間を設定したり計測したりするためのタイマ等(いずれも図示せず)を有した操作パネル12を備えた操作部13が設けられている。枠体3の前部には、操作部13に連動して電磁誘導加熱ヒータの加熱出力の調整を行う複数の操作ボタン14a,14bや、設定温度、設定時間などを表示するための表示部15a,15bを備えた天板操作部16が設けられている。
【0017】
また、電磁誘導加熱ヒータや基板等は加熱調理器の動作によって熱を持つため、放熱フィン(図示せず)が設けられるとともに、加熱された本体ケース1内部を冷却するため送風機を本体ケース1内に備えている。そして、送風機が運転されると吸気口6から本体ケース2内1に導入された外気は、電磁誘導加熱ヒータや基板等の加熱部品、及び天板2や他の加熱された部品を空冷した後、本体後部の排気口7aより本体外部に排出される。
【0018】
次に、加熱調理器すなわちグリル8とその脱臭装置30について、図1乃至図8及び後述の図10を参酌しながら説明する。グリル8は、図10に示すようにその加熱室21内の底部に油成分等を受ける油受け22が着脱自在に設置されているとともに、油受け22上に魚等の被加熱物24が置かれる金網25が配置されている。また、加熱室21内の上部にはグリル上ヒータ26が配置されているとともに、金網25と油受け22との間にグリル下ヒータ27が配置されている。
【0019】
脱臭装置30は、加熱室21に連通接続されて排気風路31を形成する図3乃至図6に示した筐体32と、排気風路31の断面積(入口部を除く)とほぼ等しい通気部分を有する脱臭触媒35、35、触媒加熱ヒータ36、送風ファン37、送風ファン37を駆動するモータ38とから構成されている。本実施形態では、触媒加熱ヒータ36が脱臭触媒35,35の加熱室21側において、U状に折り曲げられてその二股脚36a,36bが脱臭触媒35,35の中心軸線上でそれぞれ平行になるように近接配置されている。また、送風ファン37は、排気風路31における脱臭触媒35,35の排気側に取り付けられ、筐体32に取り付けられたモータ38によって駆動される。
【0020】
また、脱臭触媒35、35は、触媒加熱ヒータ36から距離が遠く、加熱されにくい部位に通気性を阻害する遮蔽部材としてセラミック等の断熱材からなるスペーサ33を介して排気風路31の入口部すなわち吸気口34に設置された小幅で長尺の形状として形成されている。このように触媒加熱ヒータ36からの距離が遠く脱臭触媒35の活性化に十分な加熱がされにくい部位の触媒を、通気性を阻害する遮蔽部材であるスペーサ33に置き換えることにより、脱臭及び脱煙性能を向上することを可能としている。また本実施形態では図7及び図8のように脱臭触媒35、35が上下2段に併設されている。これにより脱臭触媒35を複雑な形状に加工する必要がなく生産性が向上されるものとなっている。さらに本実施形態では、上下2段に分割された脱臭触媒35、35の周側面がセラミック等の断熱材39,39でそれぞれ一体的に覆われており、金属枠41内にスペーサ33を間に置いて2段平行に嵌め込まれることで、フィルタユニットとしてカートリッジ化されている。これにより脱臭触媒の取扱が容易となり、脱臭装置ひいては加熱調理器の組立性の向上を図ることができる。このように、本実施形態では脱臭触媒35を小幅で長尺のものとして上下2段構成とすることにより、触媒加熱ヒータ36が脱臭触媒35の全面で十分に活性化温度まで加熱することができ、脱臭触媒35,35表面の活性化面積が均等になって、脱臭触媒35,35の活性化を安定させることができる。なお、本実施形態では脱臭触媒35、35を上下2段に分割し、間にスペーサ33を設ける構成としたが、触媒加熱ヒータ36から距離が遠く、加熱されにくい部位に通気性を阻害する遮蔽部材を設ける構成とすれば脱臭触媒35,35の活性化を安定させることができるため、必ずしも2つに分割しなくても本発明を適用することは可能である。また、本実施形態では遮蔽部材としてスペーサ33を用いる構成を例にあげて説明しているが、これに限られるものではなく、金属枠41等と一体に遮蔽部材を設けても良いし、シート状のものでこのような部位を遮蔽し得るものであっても良い。さらにこのような遮蔽部材は断熱性を有すると加熱された脱臭触媒の温度を奪うことがなく、脱臭触媒の加熱が良好に行い得る。しかし遮蔽部材が断熱性を有するものでなかったとしても、遮蔽部材と脱臭触媒の間に断熱材等を介在させることでも同様の効果を奏することができる。
【0021】
触媒加熱ヒータ36は、図6のように加熱室21の背面側に取付固定されているとともに、前記カートリッジ化された脱臭触媒35,35と送風ファン37及びモータ38が筐体32と一体化されて組立体42として形成されており、この組立体42を加熱室21の背面側の触媒加熱ヒータ36後方に上方から落とし込むように装着することで、これら触媒加熱ヒータ36と組立体42とが分離可能に組み付けられるようになっている。したがって、加熱室21の背面側の触媒加熱ヒータ36取付部には、組立体42の脱臭触媒35,35部分を上下方向に案内するガイド(図示せず)が設けられている。これによって、脱臭装置30の構成部品の中で寿命の長い触媒加熱ヒータ36を除く、その他の構成部品を容易に取り外すことができ、脱臭装置の組立性、メンテナンス性を向上させることができる。
【0022】
触媒加熱ヒータ36の両端部の封止部36c,36dは、図3乃至図6に示すようにグリル上ヒータ26の熱の影響を避けるために反加熱室側にそれぞれ折り曲げられているとともに、各封止部36c,36dの先端にそれぞれ溶接接合される端子43a,43bが上下で重ならないように90°向きを異ならせ方向付けを行っている。これにより、上方からの結線作業が可能となり、脱臭装置への線材の取付を上積み方式で行なうことができて、脱臭装置の組立性、メンテナンス性を向上させることができる。
【0023】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の脱臭装置に使用される脱臭触媒を拡大して示す正面図、平面図、及び側面図であり、図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。
【0024】
本実施形態では、前述の実施形態1で説明したと同様の小幅で長尺の2つの脱臭触媒35a,35aがセラミック等の断熱材39Aで一体化されて単一の脱臭触媒35Aのフィルタユニットとして構成されている。これにより、取扱が一層容易となり、脱臭装置ひいては加熱調理器の組立性の向上を図ることができる。それ以外の構成は前述の実施形態1と同一であり、実施形態1のもつ機能を全て備えているものである。
【0025】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の脱臭装置を示す側面断面図、図11はその要部である排気風路と遮熱板との関係を説明するための斜視図であり、各図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。
【0026】
本実施形態では、排気風路31の上面全体を覆うように遮熱板50を設け、かつ遮熱板50と排気風路31の上面との間には隙間からなる冷却風路51が形成されるようにしている。これにより、排気風路31の熱が天板2に伝わるのを防止できるとともに、自然対流により冷却風路51内を通過する風によって排気風路31そのものを冷却することができる。それ以外の構成は前述の実施形態1と同一であり、実施形態1のもつ機能を全て備えているものである。
【0027】
実施の形態4.
図12は本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の脱臭装置を示す側面断面図、図13はその要部である風量調整板の作用の説明図、図14はその風量調整板を加熱室側より示す正面図であり、各図中、前述の実施形態3と同一部分には同一符号を付してある。
【0028】
本実施形態では、排気風路31の脱臭触媒35,35の吸気側、つまりに加熱室21の背面の上部に、多数の小開口を有する金属板または耐熱プラスチック等で形成された、例えばパンチングメタル等からなる風量調整板60を設け、かつ風量調整板60に形成されている多数の通風孔61の総面積は、前記脱臭触媒の分解孔の総面積(例えば脱臭触媒の空隙率から得られる)より大きくしたものであり、それ以外の構成は前述の実施形態1及び実施形態3と同一であり、実施形態1及び実施形態3のもつ機能を全て備えているものである。
【0029】
本実施形態においては、脱臭触媒35,35の吸気側に多数の通風孔61を有する風量調整板60を配置しているので、加熱室21からの煙を有する排気流は通風孔61による抵抗により風速が減速されてから、脱臭触媒35,35の分解孔を通過する。このため、脱臭触媒35,35と接触する時間が長くなり、脱臭触媒35,35の煙を分解する能力が向上する。さらに、脱臭触媒35,35の目詰まりや触媒加熱ヒータ36への油成分等の付着を防止、減少させることができる。
【0030】
また、風量調整板60によって風速が減速されるため、触媒加熱ヒータ36の熱も排気孔から逃げにくくなって、脱臭触媒35,35を確実に温度上昇させることができ、脱臭触媒35,35の分解能力が一層向上するとともに、加熱室21内の温度低下も防止することができる。このため、省エネルギ効果が得られる。
【0031】
また、風量調整板60の遮熱効果により、触媒加熱ヒータ36の熱が加熱室21に影響を与えるのを低減することができて、加熱室内の被加熱物の部分的な温度上昇を防ぐことができ、焦げ付きが減少する。
【0032】
ところで、魚(タンパク質)を焼いた時、発生する煙の成分は、殆どが炭化水素からなるオイルミストと水蒸気である。このオイルミストは発生した水蒸気である加熱室21内の水分と結合し、その質量を増加させる。本実施形態では、風量調整板60によって加熱室21内の水分が排気口より排出されにくくなっているので、魚を焼いたとき発生したオイルミストと水蒸気が加熱室21内で互いに結合し易くなり、質量を増加させて加熱室21内底部に落下させることができて、排気煙の発生を減少させることができる。
【0033】
また、風量調整板60を加熱室21の背面の上部に設置しているので、魚等より発生する油成分等が風量調整板60に付着しても加熱室21底面に有する油受け22内に落下するので、清掃処理が容易である。
【0034】
また、風量調整板60の多数の通風孔61の総面積を、脱臭触媒35,35の分解孔の総面積より大きくしているので、加熱室21から脱臭触媒35,35側への流れを必要量確保することができて、加熱室21内に煙りが充満するのを防止しながら、脱臭触媒35,35の分解能力を向上させることができ、また脱臭触媒35で発生する圧損より風量調整板60で発生する圧損のほうが小さくなるため、風量調整板を設けることで排気性能を低下させてしまうこともない。
【0035】
なお、風量調整板60の表面に脱臭処理あるいは抗菌処理を施してもよく、この場合にはより脱臭効果が高まる、あるいは雑菌の繁殖を防ぐことができる。
【0036】
実施の形態5.
図15は本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の脱臭装置を示す側面断面図、図16はその要部である風量調整板を示す斜視図であり、各図中、前述の実施形態4と同一部分には同一符号を付してある。
【0037】
本実施形態では、多数の通風孔61を有して脱臭触媒35,35の吸気側に配置されている多数の小開口を有する金属板または耐熱プラスチック等で形成された、例えばパンチングメタル等からなる風量調整板60Aの下縁部を、加熱室21の背面より起こして、加熱室21底面の油受け22側に傾斜する傾斜面62を形成し、魚等より発生する油成分等が風量調整板60Aに付着しても、これを確実に油受け22内に落下させることができるようにしたものであり、それ以外の構成は前述の実施形態1及び実施形態4と同一であり、実施形態1及び実施形態4のもつ機能を全て備えているものである。
【0038】
本実施形態においては、魚等より発生する油成分等が風量調整板60Aに付着しても、風量調整板60Aの下縁に形成されている傾斜面62に案内されて加熱室21底面の油受け22内に確実に落下するので、清掃処理が一層容易となる。
【0039】
なお、本実施形態においても、風量調整板60Aの表面に脱臭処理あるいは抗菌処理を施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理器の脱臭装置を加熱室側より示す正面図である。
【図2】実施形態1に係る加熱調理器の脱臭装置を用いたグリルを組み込んだ組込式加熱調理器の外観を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係る加熱調理器の脱臭装置のグリルの構成を示す平面図である。
【図4】図3の要部である脱臭装置部分を拡大して示す平面図である。
【図5】図3の側面図である。
【図6】図5の分解側面図である。
【図7】実施形態1に係る加熱調理器の脱臭装置の脱臭触媒を拡大して示す正面図、平面図、及び側面図である。
【図8】実施形態1に係る加熱調理器の脱臭装置の脱臭触媒と触媒加熱ヒータとの関係を示す正面図および側面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る加熱調理器の脱臭装置に使用される脱臭触媒を拡大して示す正面図、平面図、及び側面図である。
【図10】本発明の実施形態3に係る加熱調理器の脱臭装置を示す側面断面図である。
【図11】実施形態3に係る加熱調理器の脱臭装置の要部である排気風路と遮熱板との関係を説明するための斜視図である。
【図12】本発明の実施形態4に係る加熱調理器の脱臭装置を示す側面断面図である。
【図13】実施形態4に係る加熱調理器の脱臭装置の要部である風量調整板の作用の説明図である。
【図14】実施形態4に係る加熱調理器の脱臭装置の風量調整板を加熱室側より示す正面図である。
【図15】本発明の実施形態5に係る加熱調理器の脱臭装置を示す側面断面図である。
【図16】実施形態5に係る加熱調理器の脱臭装置の要部である風量調整板を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
8 グリル(加熱調理器)、21 加熱室、26 グリル上ヒータ(ヒータ)、27 グリル下ヒータ(ヒータ)、30 脱臭装置、31 排気風路、32 筐体、33 スペーサ(遮蔽部材)、34 吸気口(排気風路の入口部)、35,35A,35a 脱臭触媒、36 触媒加熱ヒータ、36a,36b 二股脚、36c,36d 封止部、37 送風ファン、39,39A 断熱材、42 組立体、43a,43b 端子、50 遮熱板、51 冷却風路(隙間)、60,60A 風量調整板、61 通風孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱するヒータを有する加熱室と
前記加熱室に連通接続されて排気風路を形成する筐体と、
前記排気風路内に配置される触媒加熱ヒータと、
前記排気風路内に配置され、かつ前記触媒加熱ヒータに近接配置される脱臭触媒と、
前記排気風路の前記脱臭触媒の排気側に取り付けた送風ファンと、
を備え、
前記脱臭触媒は、前記触媒加熱ヒータによって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材を配置したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記触媒加熱ヒータはU状に折り曲げられ、その二股脚の長手方向が前記脱臭触媒とそれぞれ平行になるように配置され、
前記脱臭触媒は、前記触媒加熱ヒータの二股脚の長手方向と平行になるように2分割されて配置されており、前記2分割された脱臭触媒の間に遮蔽部材が設置されたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記脱臭触媒と前記遮蔽部材とを一体成形してユニット化してなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記触媒加熱ヒータを前記加熱室の背面側に取付固定するとともに、前記脱臭触媒と前記送風ファンを前記筐体と一体化してこれらを組立体として形成し、この組立体を前記加熱室の背面側の前記触媒加熱ヒータ後方に上方から落とし込むように装着することで、これら触媒加熱ヒータと組立体とが分離可能に組み付けられてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記触媒加熱ヒータの両端部の封止部を反加熱室側にそれぞれ折り曲げるとともに、各封止部の先端にそれぞれ取り付けられる端子を上下で重ならないように方向付けを行ったことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記排気風路の上面全体を隙間を介して覆う遮熱板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記排気風路の前記脱臭触媒の吸気側にパンチングメタルからなる風量調整板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記風量調整板を前記加熱室の背面に形成したことを特徴とする請求項7記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記風量調整板に形成されている通風孔の総面積は、前記脱臭触媒の分解孔の総面積より大きくしたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記風量調整板に脱臭処理あるいは抗菌処理を施したことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項11】
被加熱物を加熱するヒータを有する加熱調理器に組み込まれ、前記加熱調理器の加熱室に連通接続されて用いられる脱臭装置において、
前記加熱調理器の加熱室に連通接続される排気風路を形成する筐体と、
前記排気風路内に配置される触媒加熱ヒータと、
前記排気風路内に配置され、かつ前記触媒加熱ヒータに近接配置される脱臭触媒と、
前記排気風路の前記脱臭触媒の排気側に取り付けた送風ファンと、
を備え、
前記脱臭触媒は、前記触媒加熱ヒータによって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材を配置したことを特徴とする脱臭装置。
【請求項12】
被加熱物を加熱するヒータを有する加熱調理器に組み込まれ、前記加熱調理器の加熱室に連通接続されて用いられ、前記加熱調理器の加熱室に連通接続される排気風路を形成する筐体と、前記排気風路内に配置される触媒加熱ヒータと、前記排気風路内に配置されかつ前記触媒加熱ヒータに近接配置される脱臭触媒と、前記排気風路の前記脱臭触媒の排気側に取り付けた送風ファンとを備えた脱臭装置に用いられる脱臭触媒おいて、
前記脱臭触媒は、前記触媒加熱ヒータによって活性化温度まで加熱され難い部位に通気性を阻害する遮蔽部材を配置し、前記脱臭触媒と前記遮蔽部材とを一体成形してユニット化してなることを特徴とする脱臭装置用フィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−81745(P2006−81745A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269910(P2004−269910)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】