説明

加熱調理器及び炊飯器

【課題】加熱容器を収容した引き出し体を加熱調理器本体から前方側へ引き出し可能にし、操作部及び表示部の配置場所を工夫することでユーザの利便性を向上するとともに、デザイン性を重視した加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器100は、前面に開口部11が設けられた本体10と、開口部11の蓋となる開閉扉30が設けられ、本体10内に引き出し可能な引き出し体20とを有し、開閉扉30に、各種入力操作を行なう操作部31と、各種情報を表示する表示部32とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱容器を収容した引き出し体を加熱調理器本体から前方側へ引き出せる加熱調理器及び炊飯器に関し、特に操作部及び表示部の配置場所を工夫した加熱調理器及び炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、メニュー選択や温度設定、各所調理設定等の各種設定を入力するための操作部と、メニュー内容や温度、調理時間、調理工程等を表示するための表示部とを備えた加熱調理器が存在する。そのようなものとして「加熱室と、前記加熱室の開口部前面に設けた開閉扉と、メニュー選択や温度設定を入力するための操作部と、操作入力するのに必要な情報(調理メニュー内容や温度・時間設定内容など)が表記された調理メニュー表示部とを備え、前記調理メニュー表示部は前記開閉扉を構成する前面ドアスクリーンと電波シール用パンチング板との間に使用者の見やすいように傾斜を設けた高周波加熱調理器」が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、被調理物を載置する加熱容器を収容した引き出し体を加熱調理器本体から前方側へ引き出し可能に取り付けた加熱調理器が存在する。そのようなものとして、「筺状の調理器本体と、該調理器本体の一側面の一部をなす開閉扉を有しており、前記調理器本体に引き出し可能に取り付けられ、被調理物を収納する収納体とを備える加熱調理器において、前記開閉扉の上方に位置する前記調理器本体の前記一側面の一部又は全部が、前記調理器本体に対して嵌入可能な可動体として構成されている加熱調理器」が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−345090号公報(第4頁、第2図)
【特許文献2】特開2006−300491号公報(第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の高周波加熱調理器は、ユーザの目線に合わせた位置に表示部を配置し、ユーザが表示部を見ながら、近傍に配置された操作部で各所操作を実行できるようになっている。しかしながら、このような高周波加熱調理器は、システムキッチンに対応させたものではなく、近年のユーザニーズに対応したものではなかった。また、システムキッチンに組み入れたとしても、デザイン性を重視しておらず、システムキッチン全体の外観における均衡が崩れてしまうという課題があった。
【0006】
特許文献2に記載の加熱調理器は、比較的大型の構造に適しているので、デザイン性を重視するシステムキッチンに組み込まれて使用することができる。しかしながら、このような加熱調理器は、デザイン性に重視に偏ってしまい、ユーザの利便性に欠けるといった課題があった。したがって、加熱調理器には、ユーザの利便性を向上させるとともに、システムキッチンに組み込まれた際にもデザイン性を主張できる加熱調理器が望まれているのである。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、加熱容器を収容した引き出し体を加熱調理器本体から前方側へ引き出し可能にし、操作部及び表示部の配置場所を工夫することでユーザの利便性を向上するとともに、デザイン性を重視した加熱調理器及び炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、前面に開口部が設けられた本体と、前記開口部の蓋となる開閉扉が設けられ、前記本体内で加熱される加熱容器を収容し、前記本体内に引き出し可能な引き出し体とを有する加熱調理器であって、前記開閉扉に、各種入力操作を行なう操作部と、各種情報を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。また、本発明に係る炊飯器は、上記の加熱調理器を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る加熱調理器は、加熱容器を収容した引き出し体を加熱調理器本体から前方側へ引き出し可能にするとともに、操作部及び表示部の配置場所を工夫したので、ユーザの利便性を向上するとともに、デザイン性を重視したものとすることができる。また、本発明に係る炊飯器は、上記の加熱調理器を適用したことを特徴とするので、上記の加熱調理器の有する効果を全部有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100を示す斜視図である。この図1では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図1に基づいて、加熱調理器100の構成について説明する。この加熱調理器100は、ビルトイン型(システムキッチン一体型)のキッチン組み込み型である場合を例に説明するものとする。また、この加熱調理器100は、たとえばガスや電気で被加熱物を加熱調理するものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
図1に示すように、加熱調理器100は、本体10と、この本体10に引き出し可能に設けられている引き出し体20とで構成されている。本体10は、前面に設けられた開口部11と、この開口部11から入れられた食品等の被加熱物を加熱調理するための加熱室12とが設けられている。引き出し体20は、被加熱物の入った鍋や内釜等の加熱容器を収容する収容室21が設けられており、スライドすることによって開口部11から加熱室12内に出し入れ可能に取り付けられている。
【0012】
また、引き出し体20には、引き出し体20が本体10内の加熱室12に収納されたとき、開口部11の蓋となる開閉扉30が設けられている。そして、引き出し体20が本体10に収納された際、引き出し体20の開閉扉30が本体10の前面の一部を構成するようになっている。開閉扉30には、調理メニューの選択や温度の設定等の入力を行なう操作部31と、調理メニューの内容や温度・時間の設定内容等の各種情報を表示する表示部32と、引き出し体20を出し入れするための取っ手33とが設けられている。
【0013】
操作部31は、透明導電膜を用いた静電スイッチを備えた液晶ディスプレイや、押圧式の操作ボタン等で構成するとよい。また、表示部32は、LED(light−emitting diode:発光ダイオード)や、液晶ディスプレイ、蛍光管、エレクトロルミネセンス、プラズマディスプレイ等で構成するとよい。さらに、取っ手33は、その形状を特に限定するものではないが、ユーザが掴みやすく、デザイン性を考慮した形状とするとよい。
【0014】
ここで、実施の形態1の特徴事項である操作部31と表示部32の設置位置について説明する。この図1では、操作部31が開閉扉30の上面に設けられ、表示部32が開閉扉30の前面上側に設けられている場合を例に示している。このように、操作部31と表示部32との双方を分割した状態で開閉扉30の上面及び前面上側に設けるようにしているので、それぞれの配置面積を大きく確保することができる。すなわち、操作部31と表示部32とを同じ位置に設置しなくて済み、デザイン性を向上することができる。なお、操作部31を開閉扉30の前面上側に、表示部32を開閉扉30の上面に設けるようにしてもよい(図3参照)。
【0015】
図2は、引き出し体20を本体10に収納した状態を示している。図2に示すように、引き出し体20を本体10に収納した際には、開閉扉30の上面に設けられている操作部31が本体10内に隠れることになる。したがって、操作部31を構成する各種操作キーを探す手間を省略でき、加熱調理器100の操作性が向上することになる。すなわち、操作キーの押し間違い等を未然に防止することができるのである。また、引き出し体20を本体10に収納した際には、表示部32のみが加熱調理器100の前面に位置することになり、外観をシンプルなデザインとすることができる。
【0016】
また、引き出し体20を本体10内に収納させたときに、自動的に調理を開始できるようにしておくとよい。そうすれば、引き出し体20が本体10内に確実に収納されたことを調理開始の条件とすることができ、引き出し体20が本体10内に確実に収納されていない状態での調理動作を防止することができる。したがって、引き出し体20が本体10に完全に収納されていない状態での調理の失敗を防止できるとともに、ユーザの利便性を向上することができる。
【0017】
さらに、引き出し体20に、引き出し体20の出し入れを実行するとともに、加熱動作を開始させる操作ボタンを設けておくとよい。この操作ボタンを操作するだけで、引き出し体20を自動的に本体10に収納し、加熱動作を開始することができる。つまり、引き出し体20が本体10に完全に収納されないということを防止できるのである。したがって、引き出し体20が本体10に完全に収納されていない状態での調理の失敗を防止できるとともに、ユーザの利便性を更に向上することができる。
【0018】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100aを示す斜視図である。この図3では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図3に基づいて、実施の形態2の特徴部分である操作部31a及び表示部32aについて説明する。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態2に係る加熱調理器100aは、操作部31aが開閉扉30の前面上側に設けられ、表示部32aが開閉扉30の上面に設けられている場合を例に示している。
【0019】
このように、操作部31a及び表示部32aを設置することによって、操作性を向上させている。つまり、操作部31aを開閉扉30の前面上側に設置することによって、取っ手33を掴んだままの状態で操作部31aを操作できるようになっているのである。また、操作部31aは、たとえば使用頻度の高い操作キー(主電源スイッチやスタートスイッチ等)を開閉扉30に向かって左側に設置できるようになっている。こうすれば、取っ手33を順手で掴むユーザの親指位置の近傍に使用頻度の高い操作キーを配置することができるので、更に操作性を向上させることが可能になる。
【0020】
ここでは、使用頻度の高い操作キーを開閉扉30に向かって左側に設置した場合を例に説明したが、開閉扉30に向かって左側に設置する操作キーを使用頻度の高低に限定するものではない。たとえば、表示部32aを構成する各種操作キーの全部を開閉扉30に向かって左側に設置してもよい。また、取っ手33を逆手で掴むユーザの親指位置の近傍(開閉扉30に向かって右側)に使用頻度の高い操作キーを配置してもよい。また、順手又は逆手に関わらず、操作性を向上させるためには、表示部32aを開閉扉30に向かって左右両側に設置するようにしてもよい。
【0021】
一方、引き出し体20を引き出す際には、開閉扉30の上面に設置された表示部32aで加熱調理器100の状態等を視認できるようになっている。つまり、ユーザは、引き出し体20を引き出しながら表示部32aを視認したり、表示部32aを視認しながら操作部31aを操作したりできるので、操作性を向上させるとともに、視認性も向上させることができるのである。図3では、表示部32aが開閉扉30に向かって右側中央よりに設置されている場合を例に示している。なお、表示部32aは、開閉扉30の上面全部を利用して構成してもよく、一部を利用して構成してもよい。
【0022】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器100bを示す斜視図である。この図4では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図4に基づいて、実施の形態3の特徴部分である操作部31b及び表示部32bについて説明する。なお、実施の形態3では実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態3に係る加熱調理器100bは、操作部31bが開閉扉30の上面に設けられ、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分が開閉扉30の前面上側に設けられている場合を例に示している。
【0023】
つまり、表示部32bのうち少なくとも調理工程の進捗を表示する部分のみを開閉扉30の前面上側に設置し、それ以外の加熱調理器100の状態等を表示する部分を開閉扉30の上面に設置しているのである。したがって、開閉扉30の前面には、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分のみが配置されることになり、特に引き出し体20を本体10に収納した際には、非常にシンプルな構成とすることができ、外観のデザイン性が優れたものとなる。
【0024】
一方、開閉扉30の上面には、操作部31bの他に、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分以外の部分が設置されることになる。そこで、開閉扉30の上面における操作部31b及び表示部32bの設置位置を考慮して、操作性及び視認性の向上を図るようにするとよい。たとえば、図4に示すように、開閉扉30の上面中央部近傍に表示部32bを、開閉扉30に向かって左右両側に操作部31bをそれぞれ設置するようにするとよい。
【0025】
なお、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分が開閉扉30の前面上側で、開閉扉30に向かって左側に設けられている場合を例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分が開閉扉30の前面上側で、開閉扉30に向かって右側に設けられていてもよく、開閉扉30の前面上側の全体に設けられていてもよい。また、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分を三角形状で図示している場合を例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、表示部32bのうち調理工程の進捗を表示する部分を矢印形状や円形状、多角形状してもよい。
【0026】
さらに、調理工程の進捗を光の色彩の変化や光の増減で表示するようにしてもよい。このようにすれば、表示部32bに加熱室12内の火力や調理時間等を示す数字や文字を表示しなくて済み、コストを削減できるとともに、開閉扉30の前面のデザインを更にシンプルなものにすることができる。したがって、視認性を確保しつつ、外観のデザイン性が優れたものとなる。なお、調理工程の終了を、調理工程の進捗状況を報知するものとは異なる光の色彩の変化や光の増減で報知するとよい。
【0027】
また、加熱調理器100bに音声報知部を設ければ、調理工程の進捗をブザーやメッセージ等の音声で報知することができるとともに、調理工程の終了についても音声で報知することができる。こうすれば、表示部32bと併せて調理工程の進捗をユーザに知らせることができるので、ユーザの利便性を更に向上させることができる。したがって、視力が低いユーザや、加熱調理器100bから離れた位置にいるユーザに対しても調理工程の進捗を知らせることができる。
【0028】
実施の形態4.
図5は、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器100cを説明するための説明図である。この図5では、本体10がキッチン50に組み込まれ、引き出し体20を本体10に収納した状態の断面を示している。また、図5(a)は引き出し体20が本体10に収納されたときの状態を、図5(b)は加熱調理器100の運転中における引き出し体20の状態をそれぞれ示している。図5に基づいて、実施の形態4の特徴部分である引き出し体20の動作について説明する。なお、実施の形態4では実施の形態1から実施の形態3との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態3と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0029】
実施の形態4に係る加熱調理器100cは、操作部31cが開閉扉30の前面上側に設けられ、表示部32cが開閉扉30の上面に設けられている場合を例に示している。実施の形態1〜実施の形態3で説明した開閉扉30の上面に設置されている表示部32〜表示部32aは、引き出し体20が本体10に収納されると本体10内に隠れて視認することができなかった。そこで、この実施の形態4に係る加熱調理器100cでは、加熱調理器100の動作中において、引き出し体20が表示部32cの分(つまり、開閉扉30の上面の幅分)だけ前方に突出するようにしている。
【0030】
このようにすれば、加熱調理器100cの動作中において、加熱調理器100cの状態を表示する表示部32cをユーザから視認できる位置に移動することができるのである。したがって、視認性を向上させることができる。なお、実施の形態4の特徴事項を、実施の形態1〜実施の形態3に適用すれば、視認性を向上させつつ、外観のデザイン性を優れたものにできる。また、引き出し体20を、操作部31cを介して調理開始の指示があったときに本体10の前方に突出させるようにしてもよく、本体10の奥側に収納されたときに調理開始の指示があったものと判断して本体10の前方に突出させるようにしてもよい。
【0031】
実施の形態5.
図6は、本発明の実施の形態5に係る加熱調理器100dを示す斜視図である。この図6では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図6に基づいて、実施の形態5の特徴部分である引き出し体20の出し入れについて説明する。なお、実施の形態5では実施の形態1〜実施の形態4との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態4と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態5に係る加熱調理器100dは、引き出し体20が自動的に出し入れされることを特徴としている。
【0032】
加熱調理器100dには、引き出し体20を出し入れさせる図示省略の扉開閉機構と、この扉開閉機構を制御する図示省略の制御手段とが搭載されている。また、開閉扉30の前面上側には、非接触で引き出し体20を出し入れさせる静電スイッチ35が設けられている。つまり、加熱調理器100dは、静電スイッチ35からの情報に基づいて、制御手段が扉開閉機構を制御し、引き出し体20が出し入れされるようになっているのである。開閉扉30に静電スイッチ35を設けることによって、非接触で引き出し体20の出し入れを行なうことができ、ユーザの作業性及び利便性が向上する。
【0033】
たとえば、ユーザが鍋等の加熱容器を両手で引き出し体20の収容室21に載置しようとしているような場合において、加熱容器を両手で持ったままの状態であっても引き出し体20を出し入れすることができ、引き出し体20が本体10の前方に引き出すことができるようになっている。なお、実施の形態5の特徴事項を、実施の形態1〜実施の形態4に適用すれば、作業性及び利便性を向上させつつ、視認性及びデザイン性を向上させることができる。また、静電スイッチ35が開閉扉30の前面上側、開閉扉30に向かって右側に設置した場合を例に示したが、これに限定するものではない。
【0034】
実施の形態6.
図7は、本発明の実施の形態6に係る加熱調理器100eを示す斜視図である。この図7では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図7に基づいて、実施の形態6の特徴部分である引き出し体20の出し入れについて説明する。なお、実施の形態6では実施の形態1〜実施の形態5との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態5と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態6に係る加熱調理器100eは、実施の形態5に係る加熱調理器100dと同様に、引き出し体200が自動的で出し入れされることを特徴としている。
【0035】
加熱調理器100dには、引き出し体20を出し入れさせる図示省略の扉開閉機構と、被接触送信部から送信された通信信号を受信する図示省略の受信部と、この受信部からの情報に基づいて扉開閉機構を制御する図示省略の制御手段とが搭載されている。つまり、実施の形態5では静電スイッチ35を開閉扉30に設けて引き出し体20を自動的に出し入れする場合を例に説明したが、実施の形態6では被接触送信部と受信部との通信信号の送受によって引き出し体20を自動的に出し入れする場合を例に説明する。
【0036】
引き出し体20の収容室21に収容する加熱容器(たとえば内鍋60)に図示省略のRFID(Radio Frequency IDentification)等の非接触送信部を設置しておけば、この内鍋60を加熱調理器100eに近づける操作だけで引き出し体20を自動的に出し入れすることができる。つまり、非接触通信部から送信される通信信号を加熱調理器100dの受信部が受信し、その情報を受け取った制御手段が扉開閉機構を制御し、引き出し体20が出し入れされるようになっているのである。加熱容器と加熱調理器100eとの通信によって、非接触で引き出し体20の出し入れを行なうことができ、ユーザの作業性及び利便性が向上する。
【0037】
たとえば、ユーザが鍋等の加熱容器を両手で引き出し体20の収容室21に載置しようとしているような場合において、加熱容器を両手で持ったままの状態であっても、加熱容器が近づくだけで引き出し体20を出し入れすることができ、引き出し体20が本体10の前方に引き出すことができるようになっている。なお、実施の形態6の特徴事項を、実施の形態1〜実施の形態4に適用すれば、作業性及び利便性を向上させつつ、視認性及びデザイン性を向上させることができる。また、非接触送信部を、加熱容器に予め設置してもよく、加熱容器に任意に設置してもよい。
【0038】
実施の形態7.
図8は、本発明の実施の形態7に係る加熱調理器100fを示す斜視図である。この図8では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図8に基づいて、実施の形態7の特徴部分であるメインスイッチ25のオンの仕方について説明する。なお、実施の形態7では実施の形態1〜実施の形態6との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態6と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態7に係る加熱調理器100fは、開閉扉30の上面に、本体10に主電源を投入するためのメインスイッチ25が設けられている。
【0039】
そして、加熱調理器100fは、引き出し体20が引き出されることによって、メインスイッチ25がオンされるようになっている。加熱調理器100fが調理を行なっていない場合には、主電源(メインスイッチ25)がオフされていることが省エネルギーの観点から望ましい。そこで、引き出し体20が本体10から引き出された際に、メインスイッチ25がオンされるようにしておくことで、調理開始の直前に主電源を投入することができ、省エネルギーを実現できる。また、メインスイッチ25の操作が不要になり、ユーザの操作性が向上する。
【0040】
なお、実施の形態7の特徴事項を、実施の形態1〜実施の形態6に適用すれば、更に作業性及び利便性を向上させつつ、視認性及びデザイン性を向上させることができる。また、メインスイッチ25は、調理工程終了後から所定の時間経過後にオフしたり、ユーザが任意にオフしたりすることができるようになっている。さらに、メインスイッチ25が、開閉扉30の上面、開閉扉30に向かって左側に設置した場合を例に示したが、これに限定するものではない。たとえば、開閉扉30の上面であれば、いずれにメインスイッチ25を設置してもよい。
【0041】
実施の形態8.
図9は、本発明の実施の形態8に係る加熱調理器100gを示す斜視図である。この図9では、引き出し体20を本体10から前方側へ引き出した状態を示している。図9に基づいて、実施の形態8の特徴部分である開閉扉30gの上部について説明する。なお、実施の形態8では実施の形態1〜実施の形態7との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態7と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。実施の形態8に係る加熱調理器100gは、開閉扉30gの上部が着脱可能になっている。
【0042】
この加熱調理器100gは、開閉扉30gが上部扉36と下部扉37とに分離可能に構成されている。つまり、開閉扉30のうち少なくとも操作部31gが設けられている部分(上部扉36)を分離可能に構成されているのである。この上部扉36の上面には表示部32gが設置され、前面には操作部31gが設置されている。そして、操作部31g及び表示部32gが設置されている上部扉36を、下部扉37と切り離して分離することができるようになっている。つまり、加熱調理器100gを上部扉36によって遠隔操作できるようになっているのである。
【0043】
なお、実施の形態8の特徴事項を、実施の形態1〜実施の形態7に適用すれば、更に作業性及び利便性を向上させつつ、視認性及びデザイン性を向上させることができる。また、ここでは、上部扉36の上面に表示部32gが、前面に操作部31gがそれぞれ設置されている場合を例に示したが、これに限定するものではない。たとえば、上部扉36の前面に表示部32gを、上面に操作部31gをそれぞれ設置するようにしてもよい。さらに、上部扉36を取り外した状態において、本体10の開口部11の上部扉36に対応する部分の遮蔽壁等を設けるようにするとよい。
【0044】
実施の形態1〜実施の形態8に係る加熱調理器を炊飯器に適用することが可能になっている。つまり、本体10の収容室21に米等の被加熱物を入れた内釜を収容し、加熱調理することで米を炊き上げる炊飯器として使用可能になっているのである。実施の形態1〜実施の形態8に係る加熱調理器を炊飯器として使用すれば、炊飯器をシステムキッチンの一部に組み込むことができ、キッチンスペースの有効利用を更に充実できるとともに、キッチン全体のデザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態1に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【図2】引き出し体を本体に収納した状態を示している。
【図3】実施の形態2に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【図4】実施の形態3に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【図5】実施の形態4に係る加熱調理器を説明するための説明図である。
【図6】実施の形態5に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【図7】実施の形態6に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【図8】実施の形態7に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【図9】実施の形態8に係る加熱調理器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10 本体、11 開口部、12 加熱室、20 引き出し体、21 収容室、25 メインスイッチ、30 開閉扉、31 操作部、31a 操作部、31b 操作部、31c 操作部、31g 操作部、32 表示部、32a 表示部、32b 操作部、32c 表示部、32g 表示部、33 取っ手、35 静電スイッチ、36 上部扉、37 下部扉、50 キッチン、60 内鍋、100 加熱調理器、100a 加熱調理器、100b 加熱調理器、100c 加熱調理器、100d 加熱調理器、100e 加熱調理器、100f 加熱調理器、100g 加熱調理器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部が設けられた本体と、
前記開口部の蓋となる開閉扉が設けられ、前記本体内で加熱される加熱容器を収容し、前記本体内に引き出し可能な引き出し体とを有する加熱調理器であって、
前記開閉扉に、各種入力操作を行なう操作部と、各種情報を表示する表示部とを備えた
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記操作部又は前記表示部のいずれか一方を前記開閉扉の上面に、他方を前記開閉扉の前面にそれぞれ設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記引き出し体を前記本体に収納した状態において、
前記開閉扉の上面が前記本体内に隠れるように収納される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記表示部を調理工程の進捗状況を表示する部分と、前記調理工程の進捗状況以外の情報を表示する部分とに分離し、
前記調理工程の進捗状況を表示する部分のみを前記開閉扉の前面に設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記表示部に表示される調理工程の進捗状況を光の増減や光の色彩の変化で表示する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
調理工程の終了の合図を、前記表示部に表示される調理工程の進捗状況の表示と異なるものとした
ことを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
調理工程の進捗や終了を音声で報知する音声報知部を設けた
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記開閉扉の前面に、非接触で前記引き出し体を出し入れさせる静電スイッチを設けた
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記本体内に収容する加熱容器に非接触通信部を設けるとともに、
前記本体に前記非接触通信部から送信された通信信号を受信する受信部を設け、
前記受信部が前記通信信号を受信すると、前記引き出し体の出し入れが自動的に実行される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記引き出し体を前記本体内に収納し、調理工程を開始する際に、
前記操作部又は前記表示部が設けられている前記開閉扉の上面を前記本体の前記開口部から突出させた状態で調理工程を開始する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記開閉扉の上面に、前記本体に主電源を投入するためのメインスイッチを設け、
前記本体から前記引き出し体が引き出されたときに、前記メインスイッチがオンされる
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記開閉扉に設けられた前記操作部が前記開閉扉から着脱自在とした
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記引き出し体を前記本体内に収納させたときに、自動的に調理が開始される
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記開閉扉の前面に加熱動作を開始させる操作ボタンを設け、
前記操作ボタンの操作によって、前記引き出し体が前記本体内に自動的に収納されるとともに、自動的に調理が開始される
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記請求項1〜14のいずれかに記載の加熱調理器を適用した
ことを特徴とする炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−170129(P2008−170129A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5954(P2007−5954)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】