説明

加熱調理器

【課題】 調理時間等の調理条件を入力する操作パネルを備えたものにおいて、操作パネルのデザイン性や操作性を向上する事を目的とするものである。
【解決手段】 調理器本体の適所に操作パネルを配置し、この操作パネルに静電容量の変化により入力操作を検出する複数のタッチキーを配置したものにおいて、操作パネルを半透明な材料で形成すると共に、操作パネルの裏面にタッチキーを印刷し、かつ操作パネルの裏面に照明ランプを配置して照明ランプの消灯時には前面よりタッチキーが見えない構成とし、照明ランプの点滅を制御する制御手段を設け、この制御手段を、何れかのタッチキーが操作されると照明ランプを点灯する様に構成して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンレンジや電子レンジ等の様に、調理時間等の調理条件を入力する操作パネルを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
被調理物を収納して加熱する調理室の前面に扉を備え、かつこの扉に隣接して操作パネルを配置し、この操作パネルに複数の操作キーを配置した加熱調理器では、機能を増やすと操作キーの数が増加し、その操作手順が分り難いという問題がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示される様に、操作パネルに配置した操作スイッチに液晶シャッターを設け、操作に応じて設定するキーを表示する様に構成したものがある。
【特許文献1】特開平9−35863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記特許文献1に記載の構成では、キー毎に液晶シャッターを設ける必要があり、操作キーの構造が複雑に成ると共に、具体的な構成について記載されていないが、各キーの入力操作を検出する検出手段が必要となり、操作キーのトータルコストが高価になるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、操作パネルのデザイン性を向上させながら、入力操作時の操作性を向上する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の構成は、調理器本体の適所に操作パネルを配置し、この操作パネルに静電容量の変化により入力操作を検出する複数のタッチキーを配置したものにおいて、操作パネルを半透明な材料で形成すると共に、操作パネルの裏面にタッチキーを印刷し、かつ操作パネルの裏面に照明ランプを配置して、この照明ランプの消灯時には前面よりタッチキーが見えない構成とし、照明ランプの点滅を制御する制御手段を設け、この制御手段を、何れかのタッチキーが操作されると照明ランプを点灯する様に構成して成るものである。
【0007】
本発明の請求項2の構成は、請求項1の構成において、照明ランプを1つのタッチキー、或いは複数のタッチキー毎に配置すると共に、照明ランプの消灯時にタッチキーの操作により照明ランプを点灯後は操作が必要なタッチキーの照明ランプのみ点灯する様に制御手段を構成して成るものである。
【0008】
本発明の請求項3の構成は、請求項1又は2の構成において、調理を行わない待機時にはタッチキーの検出感度を上げる様に構成して成るものである。
【0009】
本発明の請求項4の構成は、請求項1〜3の構成において、操作パネルを電動機構により上下方向に傾動可能に構成すると共に、非調理時には操作パネルを垂直状態に維持し、何れかのタッチキーが操作されると電動機構により傾動する様に構成して成るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の構成により、操作パネルに静電容量の変化により入力操作を検出するタッチキーを配置したものにおいて、操作パネルの裏面にタッチキーを印刷すると共に照明ランプを配置し、照明ランプの消灯時にはタッチキーが見えない構成とし、何れかのタッチキーが操作されると照明ランプを点灯する様に構成したことで、調理器を使用しない所謂待機時には操作部には何も表示せず、かつ操作パネルの表面を凹凸のないフラット面で構成することで、デザイン性を向上する事が出来るものである。
【0011】
本発明の請求項2に記載の構成により、照明ランプをタッチキー毎、或いは複数のタッチキー毎に配置し、操作が必要なタッチキーの照明ランプのみ点灯することで、操作時に操作が必要なタッチキーのみ表示し、操作性を向上する事が出来るものである。
【0012】
本発明の請求項3に記載の構成により、待機時にはタッチキーの感度を上げることで、操作パネルに軽く触れることで通常の操作状態に移行することができ、待機時の操作性を向上する事が出来ると共に、操作状態になるとタッチキーの感度を通常に設定することで、誤動作を防止する事が出来るものである。
【0013】
本発明の請求項4に記載の構成により、操作パネルを電動機構により傾斜する様に構成し、操作時には操作パネルを傾斜させることで、タッチキーの操作性を向上する事が出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明による実施例を先ず図1に基づき説明すると、1は例えばシステムキッチン等に組み込んで使用する床置型の調理器本体で、調理室2の前面に扉3を上下方向に開閉自在に枢支していると共に、この扉の横に隣接して操作パネル4を配置している。
【0015】
上記操作パネル4は、その高さ寸法を扉3の高さ寸法よりも短く構成して、その下方に固定板5を配置し、この固定板と操作パネル4の高さを扉3の高さと同じに構成していると共に、操作パネル4は、図2にて示す様にその上端部を回転軸6により回転自在に枢支し、その底面を底板7により閉塞し、かつこの底板の底面にラックギヤ8を装着している。
【0016】
又、上記操作パネル4は、その外郭を構成するパネルケース9をアルミニウムやステンレス、導電材料を混入した樹脂等の導電性部材にて構成していると共に、上記ラックギヤ8の下方には、固定板5の後方に位置してラックギヤ8に噛合するピニオンギヤ10と、このピニオンギヤを回転駆動するギヤードモータ11を配置し、これらにて電動機構12を構成している。
【0017】
図3は上記操作パネル4の実施例を示すもので、上部に液晶パネルや蛍光表示管等で構成した表示器20を配置していると共に、この表示器の下方に操作部21を設けている。
【0018】
そして上記表示器20には、自動調理用の複数の自動メニュー22・・と、手動操作用の手動メニュー23・・と、温度や出力を表示する設定表示部24と、時間やタイマーを表示するタイマー部25等を配置している。
【0019】
又上記操作パネル4は、非通電時には黒色等のスモークにより何も表示しない、半透明に着色した樹脂パネルや裏面に着色したガラス板等で構成していると共に、これらの裏面に操作位置を示す複数のタッチキー26・・を印刷している。これにより、調理器本体1を使用しない場合には、図1にて示す様に、上記操作パネル4の全面に何も表示しない様に構成している。
【0020】
尚、上記表示器20の表示については、節電機能により、待機電力を低減させる場合には消灯して何も表示しない様に構成し、時計表示を行なう場合には、上記タイマー部25に時計表示を行なう様に構成しても良い。
【0021】
一方、上記タッチキー26・・は、同時に表示させる操作キーを横並びに配置する様に構成しており、例えば実施例の場合には、キーロックを設定するロックキー27と、音声の音量を設定する音声キー28と、操作パネル4を傾斜或いは垂直に戻す操作パネルキー29とを横並びに配置し、これらのキーの下方に自動調理メニューを選択設定する自動調理キー30と、手動調理メニューを選択設定する手動調理キー31と、調理の仕上がり状態を強めや弱めに設定する仕上がりキー32とを横並びに配置し、かつこれらのキーの下方に調理温度を設定する温度キー33,34を横並びに配置し、更にこれらのキーの下方に時間やタイマー時間を設定する3個の時間キー35,36,37を横並びに配置し、これら時間キーの下方にスタートキー38と取消しキー39を配置している。
【0022】
そして上記各キーの裏側には、図4にて示す様に、ロックキー27と音声キー28と操作パネルキー29を同時に表示する第1導光板40を配置し、自動調理キー30と手動調理キー31と仕上がりキー32の裏側には、各々これらを個別に表示する第2,第3,第4導光板41,42,43を配置し、温度キー33,34の裏側にはこれらを同時に表示する第5導光板44を配置し、時間キー35,36,37の裏側にはこれらを同時に表示する第6導光板45を配置し、スタートキー38と取消しキー39の裏側にはこれらを個別に表示する第7,第8導光板46,47を配置している。
【0023】
又、上記各導光板は略L字型或いは門型に形成し、これらの屈曲した下端面に対向して、照明ランプである複数の色を発光するLEDランプ48・・を配置している。
【0024】
尚、49は各タッチキー26・・の入力操作を検出する操作基板で、例えばUSP5,730,165、USP6,452,514、USP6,466,036に記載の静電容量方式により行い、上記操作部4の各タッチキー26・・の印刷範囲への指の近接や接触による入力操作を検出する様に構成している。
【0025】
即ち、上記操作基板49上には、各タッチキー26・・に対向して電極50・・をパターン印刷等により配置し、これら電極への指の接近による静電容量の変化により入力操作を検出するものである。
【0026】
図5は制御手段を構成する制御回路60の実施例を示すもので、商用の交流電源61に電源回路62を接続し、この電源回路の出力にマイクロコンピュータにて構成したメイン制御部63を接続していると共に、電源回路62の出力に扉3の開閉に応じて接点を開閉するドアスイッチ64を接続し、このドアスイッチの出力を上記メイン制御部63の入力ポートに接続している。
【0027】
又、上記メイン制御部63の出力ポートには、調理室2内を照明する庫内灯65を点滅駆動する庫内灯駆動回路66と、調理室2内を加熱する熱源となるガスバーナ67への燃料供給を制御する電磁弁68を駆動する電磁弁駆動回路69と、調理室2内に上記熱源の熱気を循環する循環ファン70を駆動する循環ファン駆動回路71と、調理室2内に他の熱源となる高周波電波を供給するマグネトロン72を駆動するマグネトロン駆動回路73と、上記ガスバーナ67点火用の点火回路74と、上記操作パネル4を電動により斜めに傾動するギヤードモータ11を駆動するモータ駆動回路75と、上記表示器20を駆動する表示回路76を接続し、同じく入力ポートには、上記操作基板49に配置した電極50・・による各タッチキー26・・の入力を検出するキー入力回路78の出力と、上記調理室2内の温度をサーミスタ79の出力により検出する庫内温度検出回路80の出力とを接続し、同じく入出力ポートには、ガスバーナ67の点火を検出する炎検出回路81と、データ記憶用のメモリ82を接続している。
【0028】
更に上記メイン制御部64は、扉3が開くとこれをドアスイッチ64の出力にて検出してモータ駆動回路75を作動し、その出力にてギヤードモータ11を作動して操作パネル4を図2中に破線にて示す様に傾斜させ、操作部21に配置した各タッチキー26・・の操作を行ない易く構成している。
【0029】
一方、上記メイン制御部64は、調理器を使用していない所謂待機時には、各タッチキー26・・の入力感度を上げる様に構成し、これにより、操作部21の操作を開始する場合には、操作パネル4の電極50・・に対向した部分に指等を接近させるか、操作パネル4に軽く触れる程度でこれを検出し、ギヤードモータ11を作動して操作パネル4を上記の様に傾斜させた後、例えば図6の(a)にて示す様に、最初に選択操作を行なう自動調理キー30と手動調理キー31、取消しキー39を例えば白色で表示し、補助的に入力操作を行なうロックキー27や音声キー28、操作パネルキー29を青色で表示する様に構成している。
【0030】
これらの構成により、待機時における操作パネル4のデザイン性を向上できると共に、操作性を向上する事が出来るものである。
【0031】
そして上記メイン制御部64は、上記待機状態が終了すると各タッチキー26・・の感度を下げ、指等が確実にタッチキー26・・に接触して操作されなければ入力操作を受付けないように構成しており、これにより誤操作を防止する様に構成している。
【0032】
又、上記メイン制御部64は、例えば自動調理キー30がオン操作されて自動調理が選択されると、図6の(b)にて示す様に選択された自動調理キー30は白色のまま継続して点灯すると共に、表示器20に自動メニュー22・・を表示し、自動調理キー30のオン操作により自動調理メニューを選択する様に構成し、かつ手動調理キー31と仕上がりキー32を例えば紫色に変更して、修正入力が行なえる様に表示し、次に入力操作を行なうスタートキー38と取消しキー39を白色に発光し、次に操作を行なうキーを明確に表示する。
【0033】
そして、自動調理メニューが確定すると、スタートキー38をオン操作することで、同じく(c)にて示す様にスタートキー38を例えばオレンジ色に変更して調理中を表示すると共に、自動調理キー30をそのまま白色で表示して自動調理が実行されている旨を表示し、かつ操作が不要となった手動調理キー31と仕上がりキー32を消灯する。
【0034】
これらの構成により、入力操作状況に応じて、入力が可能な操作キーのみ表示させると共に、次に操作を行なうキーを発光色を変えて表示することで、操作を行なうキーの選択が容易となり、操作性を向上させる事が出来るものである。
【0035】
又、上記メイン制御部64は、スタートキー38がオン操作されて調理が開始されると、このスタートキーのオン操作後所定時間(例えば2秒)経過するとギヤードモータ11を反転させ、操作パネル4を垂直状態に戻す様に構成している。これにより、調理中には操作パネル4を垂直状態に戻し、操作パネルへの人体や運搬物の接触による、人体や操作パネル4の損傷を防止するものである。
【0036】
一方、調理が終了して扉3が開かれると、ドアスイッチ64の出力によりこれを検出してモータ駆動回路75にてギヤードモータ11を作動し、操作パネル4を傾斜させることで、次の入力操作が行ない易くなる様に構成している。
【0037】
そして上記扉3を開いて被調理物が取り出された後扉3が閉じられると、これをドアスイッチ64の出力にて検出し、上記と同様に所定時間経過後に操作パネル4を垂直状態に戻す。尚、何らかの理由により、上記扉3を開いた状態で操作パネル4を垂直状態に戻したい場合には、操作パネルキー29の操作により、簡単に戻す事が出来る。
【0038】
更に上記メイン制御部63は、操作パネル4を傾斜させた状態で、所定時間(例えば1分)経過しても操作部21に配置した各タッチキーからの入力操作が無い場合には、モータ駆動回路75にてギヤードモータ11を作動して操作パネル4を垂直状態に戻す様に構成している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例を示す正面図である。
【図2】同じく要部の側面縦断面図である。
【図3】同じく操作パネルの正面図である。
【図4】同じく要部の正面図(a)と斜視図(b)である。
【図5】同じく制御回路のブロック図である。
【図6】同じく操作手順を示す操作パネルの正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 調理器本体
4 操作パネル
12 電動機構
26 タッチキー
48 LEDランプ(照明ランプ)
60 制御回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体の適所に操作パネルを配置し、この操作パネルに静電容量の変化により入力操作を検出する複数のタッチキーを配置したものにおいて、上記操作パネルを半透明な材料で形成すると共に、操作パネルの裏面に上記タッチキーを印刷し、かつ上記操作パネルの裏面に照明ランプを配置して、この照明ランプの消灯時には前面より上記タッチキーが見えない構成とし、上記照明ランプの点滅を制御する制御手段を設け、この制御手段を、上記何れかのタッチキーが操作されると照明ランプを点灯する様に構成した事を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
上記照明ランプを1つのタッチキー、或いは複数のタッチキー毎に配置すると共に、上記照明ランプの消灯時にタッチキーの操作により照明ランプを点灯後は、操作が必要なタッチキーの照明ランプのみ点灯する様に、上記制御手段を構成した事を特徴とする、上記請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
調理を行わない待機時には上記タッチキーの検出感度を上げる様に構成した事を特徴とする、上記請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
上記操作パネルを電動機構により上下方向に傾動可能に構成すると共に、非調理時には操作パネルを垂直状態に維持し、上記何れかのタッチキーが操作されると、上記電動機構により傾動する事を特徴とする、上記請求項1〜3に記載の加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−255783(P2007−255783A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80153(P2006−80153)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】