説明

加熱調理器

【課題】ドア開閉時に連結部材などの接触によるガチャガチャという異音を防止し、被調理物の介在や、調理物からの焼汁や油煙の焦げ付きの付着があっても、扉がスムーズに動作し、ドアの開閉や受け皿の着脱や被調理物の出し入れの際使い勝手を良くすること。
【解決手段】ドア11の開閉に連動して受け皿12を加熱庫に対し出し入れ自在とし、ドア11の引き出しに応じてドア11を下降させることにより、受け皿12の出し入れ時レールによる摺動でスムーズな動作を得るとともに、ドア11の出し入れ、回動による下降を、ドア支持部材16をレールと連動する別部材にて構成した。ドア11開閉時に連結部材などの接触によるガチャガチャという異音を防止し、被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付きが付着しても、スムーズに、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れができ使い勝手のよいものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にロースターと呼ばれる主に魚類を加熱調理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、加熱庫への被調理物の出し入れは、引き出し式のドアの開閉動作によってなされるものであり、被調理物の下方に配置する受け皿はドアに連動して動作するものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平8−8897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、ドアと受け皿を連動させるための連結部材が受け皿の支持及びドアの下降への回動や保持を同時に行うため、ドア開閉時に連結部材などが加熱庫内に接触するときにガチャガチャという異音が発生したり、さらには調理物の荷重が加わると摺動感が悪くなったり、また被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付き付着のため、スムーズな動作を得ることができないという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、受け皿の出し入れはレールによる摺動を用いてスムーズな動作を得るとともに、ドアの出し入れ、回動による下降については、ドア支持部材をレールと連動して動作する別部材にて構成したことにより、ドア開閉時に連結部材などの接触によるガチャガチャという異音を防止し、被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付きが付着しても、常にスムーズな動作を得て、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れにおいても使い勝手のよい加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、本体内部に収容され被調理物を加熱調理する加熱庫と、加熱庫の前面に形成された開口部を引き出し式に開閉するドアと、加熱庫に収容される受け皿と、所定の位置に固定された固定レールおよび受け皿を係止する可動レールを有するレールユニットと、レールユニットの可動レールに一端部を回動自在に連結し他端部にドアを係止するドア支持部材と、所定の位置に固定され可動レールの引き出し時にドア支持部材を摺接案内するドア支持部材摺接部とを備え、ドアの開閉に連動して受け皿を加熱庫に対し出し入れ自在とし、ドアの引き出しに応じてドアが下降するものである。
【0006】
これによって、レールで保持した受け皿の出し入れの移動はレールによる摺動を用いてスムーズな動作を得るとともに安定し、ドアの出し入れ、回動による下降については、ドア支持部材をレールと連動して動作する別部材にて構成したことにより、ドアと受け皿を分離しながら下がるドアの構成を実現し、ドアがさがるので受け皿の取り出しが水平となりドアの引き出し距離を小さくした状態で可能となり、ドア開閉時に連結部材などの接触によるガチャガチャという異音を防止し、被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付きが付着しても、常にスムーズな動作を得て、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器は、レールで保持した受け皿の出し入れの移動はレールによる摺動を用いてスムーズな動作を得るとともに安定し、ドアの出し入れ、回動による下降については、ドア支持部材をレールと連動して動作する別部材にて構成したことにより、ドアと受け皿を分離しながら下がるドアの構成を実現し、ドアがさがるので受け皿の取り出しが水平となりドアの引き出し距離を小さくした状態で可能となり、ドア開閉時の接触によるガチャガチャという異音を防止し、常にスムーズな動作を得て、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、本体内部に収容され被調理物を加熱調理する加熱庫と、加熱庫の前面に形成された開口部を引き出し式に開閉するドアと、加熱庫に収容される受け皿と、所定の位置に固定された固定レールおよび受け皿を係止する可動レールを有するレールユニットと、レールユニットの可動レールに一端部を回動自在に連結し他端部にドアを係止するドア支持部材と、所定の位置に固定され可動レールの引き出し時にドア支持部材を摺接案内するドア支持部材摺接部とを備え、ドアの開閉に連動して受け皿を加熱庫に対し出し入れ自在とし、ドアの引き出しに応じて前記ドアが下降する加熱調理器とすることにより、レールで保持した受け皿の出し入れの移動はレールによる摺動を用いてスムーズな動作を得るとともに安定し、ドアの出し入れ、回動による下降については、ドア支持部材をレールと連動して動作する別部材にて構成したことにより、ドアと受け皿を分離しながら下がるドアの構成を実現し、ドアがさがるので受け皿の取り出しが水平となりドアの引き出し距離を小さくした状態で可能となり、ドア開閉時に連結部材などの接触によるガチャガチャという異音を防止し、被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付きが付着しても、常にスムーズな動作を得て、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明においてレールユニット及びドア支持部材を加熱庫の外部に設け、ドアの開閉に連動して受け皿を加熱庫に対し出し入れ自在としたことにより、ドアと受け皿を連動するためのレールユニットなどに被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付き付着がなく、常にスムーズな動作を得て、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明においてドアの下降に対して下限位置を決めるステーをレールユニットとドア指示部材との間に設けたことにより、ドアの下限位置が決まるとともにドアを引き出したときの強度向上が図れる。また、ステーで保持することによって、ドア開閉時にドア支持部材摺接部にかかる荷重を軽減し、スムーズ感が向上するとともにドア支持部材摺接部との接触音も軽減するものである。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、受け皿およびドアはレールユニットおよびドア支持部材に対して着脱自在に係止したことにより、被調理物の汚れなどがつきやすい受け皿およびドアを単独で着脱することが可能となり、清掃時の軽量化、清掃のしやすさが向上するものである。
【0012】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、受け皿は、左右の可動レールを連結するレール連結部に係合する係合部を設けたことにより、受け皿を前後位置を決めて水平に保持するとともに、受け皿がレールと連動して動くことが可能となるものである。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明において、受け皿を着脱自在に支持し、加熱庫に対して出し入れ自在とする受皿支持部材を設けたことにより、ドアの最大開閉寸法より長く受皿支持部材を設けておけば、後端部が庫内に残るため受け皿を支持することが可能となり、受け皿の引き出し方向の長さよりドアの最大開閉寸法を大きくすることが可能となり、ドアの最大の開状態での上方向の開放寸法より受け皿を小さくすることができ、煮汁の溜まった受け皿などの出し入れや、水あり使用時の水こぼれ防止や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明において、ドアの最大の開状態時に、受け皿が加熱庫の開口部の内側で支持されるようにレールユニットの引き出し寸法を設定したことにより、ドアの最大の開状態時において受け皿を保持する別部材が不要となるほか、レールユニットの引き出し量を少なくすることができ、簡単で安価な構成を提供することができるとともに、引き出し量を少なくすることで調理時の動作の支障にならない適当な引き出し量を設定することが可能である。
【0015】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明において、ドアの最大の開状態時におけるドアの上端部と本体を組み込んだキッチンカウンターの前面下端部との垂直方向の寸法が、受け皿の厚みより大きくなるようドア支持部材の回転動作によって下降する寸法を設定したことにより、受け皿の取り出し時に、受け皿を傾けて取り出すことなく水平状態で取り出すことができ、受け皿内に溜まった被調理物の残存物や被調理物から出た油や汁などをこぼす心配がなく取り出せるものである。
【0016】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明において、レールユニットの固定レールおよび可動レール間には摺動部材を設け、固定レールは摺動部材の内側で摺接し、可動レールは摺動部材の外側で摺接するようにしたことにより、受け皿あるいは被調理物の出し入れ時に、万が一、被調理物の残存物や被調理物から出た油や汁などがこぼれても摺動部材にかかることなく、すべり性の低下を防止することができる。
【0017】
第10の発明は、特に、第9の発明において、可動レールは、略コの字状に形成され、両端部の位置が垂直上下に対向一致または上方端部が下方端部を覆うように配置されたことにより、受け皿あるいは被調理物の出し入れ時に、万が一、被調理物の残存物や被調理物から出た油や汁などが上方よりこぼれても摺動部材にかかることなく、確実にすべり性の低下を防止することができる。
【0018】
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれか1つの発明において、レールユニットは可動レール後方に第一のマグネットを配し、本体の後方で第一のマグネットに対向する位置に第二のマグネットを固定したことにより、第一のマグネットと第二のマグネットが引き合う方向に極性を配置することによって、ドア閉時に第一のマグネットと第二のマグネットが引き合う力によって自動で閉じる上、閉じた後もドア閉状態を磁力によって保持するため、ドアの閉め忘れなどによる調理中のドアからの煙漏れの防止や、ドア閉時の力が軽くなるため、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0019】
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか1つの発明において、レールユニットは高耐食製のステンレス材を用いたことにより、被調理物から出る塩分を含んだ腐食性の油や汁、もしくは調理物そのものや、調理に使う調味料等や、被調理物から出る水分の影響による腐食を防止することができる。
【0020】
第13の発明は、特に、第1〜12のいずれか1つの発明において、ドアは、開閉時に持ち手となるドア把手を上側に設けたことにより、下側にドア把手を設けた場合に、ドア把手を持って引っ張るとドアの高温部ガラス面が手に向かって倒れてきて指や腕に接触するおそれがあり、把手を上側に設けることで回避する可能性を高めることができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における加熱調理器として、キッチンカウンターに組み込んだ組み込み式誘導加熱調理器を示し、図3、図5は、本発明の実施の形態1における加熱調理器を示している。
【0023】
図に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、外郭を構成する本体1と、本体1の上部に設けられ鍋などの調理容器(図示せず)を載置する天板2と、天板2の前部下方に設けられた誘導加熱コイル3と、天板2の後部下方に設けられた、ラジェントヒータ4(誘導加熱コイル3であってもよい)と、誘導加熱コイル3に高周波電力を供給する駆動回路5と、駆動回路5もしくは誘導加熱コイル3および本体1を冷却するための冷却ファン6とを備えている。
【0024】
加えて、加熱調理器は、誘導加熱コイル3の下方位置で本体1の前面に開口部を有し本体内部に収容され被調理物(図示せず)を加熱調理する上加熱体7と下加熱体8を内蔵した加熱庫9と、加熱庫9の前面に形成された開口部の内壁周囲に嵌め込まれ、本体1に固定される前面パネル10と、加熱庫9の開口部を引き出し式に開閉するドア11と、加熱庫9に収容される受け皿12と、定位置に固定された固定レール13および受け皿12を係止する可動レール14を有するレールユニット15と、レールユニット15の可動レール14に一端部を回動自在に連結部25で連結し他端部にドア11を係止するドア支持部材16と、定位置に固定され可動レール14の引き出し時にドア支持部材16を摺接案内するドア支持部材摺接部17とを備えている。
【0025】
なお、図では、内側にレールユニット15をその外側にドア支持部材16を設けているが、内側にドア支持部材16をその外側にレールユニット15を配置して構成しても同様の作用を有するものである。
【0026】
なお、ドア支持部材摺接部17については、ローラー式のベアリングや、フッ素樹脂などのすべり性の高い材料を用いることですべりをよくすることができる。また、連結部25は、軸を通しての固定や、ピンをかしめる方法、ネジもしくは段付ネジによる固定などによる連結が考えられるが、ベアリングなどを介して固定すると、より回転動作をスムーズにできるものである。
【0027】
また、図3に示すように、回動時の連結部25摺動のため、ドア支持部材16に長穴を設けたが、ドア支持部材における長穴の位置は連結部25の近傍あるいはステー28の近傍のいずれかに設ければ同様の作用を有するものである。
【0028】
そして、ドア11の開閉に連動して受け皿12を加熱庫9に対し出し入れ自在とし、ドア11の引き出しに応じてドア11が下降する。
【0029】
また、受け皿12およびドア11は可動レール14およびドア支持部材16に直接係止してもよく、または、左右の可動レール14を連結するレール連結部18および左右のドア支持部材16を連結する支持部材連結部19に直接係止してもよい。また、ドア11の最大の開状態時には、受け皿12が加熱庫9の開口部の内側で支持されるようにレールユニット15の引き出し寸法を設定している。
【0030】
また、加熱調理器は、本体1前方に、誘導加熱コイル3、ラジェントヒータ4、上加熱体7、下加熱体8などの操作をする操作部20を配置し、システムキッチンのキッチンカウンター21に組み込まれている。
【0031】
次に、本実施の形態における加熱調理器の作用について説明するが、ここでは、誘導加熱に関する説明およびそれらに関係する冷却などについての説明は省略する。
【0032】
ドア11を引き出すことにより、レールユニット15の可動レール14は前方に引き出される。これに連動して可動レール14に回動自在に連結されたドア支持部材16も同様に前方に引き出される。このとき、ドア支持部材16は可動レール14に連結された連結部25を中心に回転動作するが、ドア支持部材摺接部17を支点にドア支持部材16の引き出される側がレールユニット15の引き出し量に応じて下方に下降する。その結果、ドア支持部材16あるいは支持部材連結部19に係止されたドア11が下降するものである。これにより、被調理物および受け皿12が加熱庫9より取り出すことができる。
【0033】
このように、本実施の形態では、ドア11の開閉に連動して受け皿12を加熱庫9に対し出し入れ自在とし、ドア11の引き出しに応じてドア11が下降することにより、レールで保持した受け皿12の出し入れの移動はレールによる摺動を用いてスムーズな動作を得るとともに安定し、ドア11の出し入れ、回動による下降については、ドア支持部材16をレールと連動して動作する別部材にて構成したことにより、ドア11と受け皿12を分離しながら下がるドア11の構成を実現し、ドア11がさがるので受け皿12の取り出しが水平となりドアの引き出し距離を小さくした状態で可能となり、ドア11開閉時に連結部材などの接触によるガチャガチャという異音を防止し、被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付きが付着しても、常にスムーズな動作を得て、ドア11の開閉や、受け皿12の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0034】
また、レールユニット15の可動レール14に一端部を回動自在に連結したドア支持部材16にドア11を係止しているので、ドア11の引き出し量に応じて、ドア支持部材16が下降回動し、この動作によってドア11が下降する。このため、受け皿12、被調理物が取り出しやすくなり、より使い勝手がよくなるものである。また、ドア11が下降することにより、不用易に手がドア上端に触れるのを防止することもできる。
【0035】
また、ドア11の最大の開状態時に、受け皿12が加熱庫9の開口部の内側で支持されるようにレールユニット15の引き出し寸法を設定することにより、ドア11の最大の開状態時において受け皿12を保持する別部材が不要となるほか、レールユニット15の引き出し量を少なくすることができ、簡単で安価な構成を提供することができるとともに、引き出し量を少なくすることで調理時の動作の支障にならない適当な引き出し量を設定することが可能である。
【0036】
また、図3、図5のようにドア11の下降に対して下限位置を決めるステー28をレールユニット15とドア指示板16との間に設けたことにより、ドア11の下限位置が決まるとともにドア11を引き出したときの強度向上が図れる。また、ステー28で保持することによって、ドア11開閉時にドア支持部材摺接部17にかかる荷重を軽減し、スムーズ感が向上するとともにドア支持部材摺接部17との接触音も軽減するものである。また、ステー28は、軸を通しての固定や、ピンをかしめる方法、ネジもしくは段付ネジによる固定などによる連結が考えられるが、ベアリングなどを介して固定すると、より回転動作をスムーズにできるものである。
【0037】
また、ドア11は、開閉時に持ち手となるドア把手を上側に設けたことにより、下側にドア把手を設けた場合に、ドア把手を持って引っ張るとドア11の高温部ガラス面が手に向かって回動して倒れてきて指や腕に接触するおそれがあり、ドア把手を上側に設けることで回避する可能性を高めることができるものである。ただし、その他の作用効果についてはドア把手の位置によって制限を受けるものではない。
【0038】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における加熱調理器として、キッチンカウンターに組み込んだ組み込み式誘導加熱調理器を示し、図4、図7、図10は、本発明の実施の形態2における加熱調理器を示している。
【0039】
基本構成は実施の形態1と同じであるので同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図に示すようにレールユニット15およびドア11の支持部材16を加熱庫9の外側に設け、ドア11の開閉に連動して、受け皿12を加熱庫9に対し出し入れ自在としている。
【0041】
したがって、ドア11と受け皿12を連動するためのレールユニット15などに被調理物の介在や、被調理物からの焼汁や油煙の焦げ付き付着がなく、常にスムーズな動作を得て、ドア11の開閉や、受け皿12の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0042】
(実施の形態3)
図8、図9は、本発明の実施の形態3における加熱調理器を示している。基本構成は実施の形態1と同じであるので同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、受け皿12およびドア11がレールユニット15およびドア支持部材16に対して着脱自在に係止されている。
【0044】
また、受け皿12は、可動レール14と連動する係合部22と、加熱庫9の底面と摺接する摺接部23とを有し、加熱庫9の底面には受け皿12を載置する受け皿載置部24を設けており、摺接部23と対向配設している。これにより、ドア11の引き出しをスムーズに行わせることができる。受け皿載置部24は、加熱庫9より一体で形成してもよく、また、摺動性のよいフッ素樹脂、ステンレスなどの金属体、またはセラミックなど高強度材料の別部材で形成してもよい。
【0045】
また、受け皿12は、左右の可動レール14を連結するレール連結部18に係合する係合部22を設けたことにより、受け皿12を前後位置を決めて水平に保持するとともに、受け皿12がレールと連動して動くことが可能となるものである。
【0046】
そして、ドア11を加熱庫9より引き出したとき、ドア11がドア支持部材16に係止された状態で、受け皿12は受け皿載置部24より着脱できるようになっている。ドア11も個別に着脱できるものである。
【0047】
このように、本実施の形態では、被調理物の汚れなどがつきやすい受け皿12およびドア11を単独で着脱することが可能であり、清掃時の軽量化、清掃のしやすさが向上するものである。
【0048】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における加熱調理器を示している。基本構成は実施の形態1と同じであるので同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、受け皿11を着脱自在に支持し、加熱庫に対して出し入れ自在とする受皿支持部材31を設けたことにより、ドア11の最大開閉寸法より長く受皿支持部材31を設けておけば、後端部が庫内に残るため受け皿12を支持することが可能となり、受け皿12の引き出し方向の長さよりドア11の最大開閉寸法を大きくすることが可能となり、ドア11の最大の開状態での上方向の開放寸法より受け皿11を小さくすることができ、煮汁の溜まった受け皿11などの出し入れや、水あり使用時の水こぼれ防止や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。
【0050】
なお、受皿支持部材31は、板材、棒材等で構成され、鋼材の場合は腐食対策としてめっきを施し、あるいは高耐食製のステンレス材を使用してもよい。また、受皿支持部材31は、着脱自在に支持するとしたが、例えばレール連結部18などに固定しても同様の作用効果が得られるものである。また、受皿支持部材31と加熱庫9の摺接箇所にテフロン(登録商標)、シリコンなどの耐熱性の高い干渉物を付設することでスムーズかつ摺動音の低減も可能である。
【0051】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における加熱調理器を示している。基本構成は実施の形態1と同じであるので同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、ドア11の最大の開状態時におけるドア11の上端部と本体1を組み込んだキッチンカウンター21の前面下端部との垂直方向の寸法Aが、受け皿12の厚みBより大きくなるようドア支持部材16の回転動作によって下降する寸法を設定したものである。
【0053】
具体的には、可動レール14とドア支持部材16との連結部25(図2)の位置、あるいはドア支持部材摺接部17の垂直方向の高さ関係、もしくは前後位置、あるいはドア支持部材16を矩形にするなどで寸法Aは調整できるものである。
【0054】
なお、図6では、天板2上に鍋を載置するとともに、受け皿12上には焼き網を介して魚を加熱調理する状態を示している。
【0055】
このように、本実施の形態では、ドア支持部材16の回転動作によって下降する寸法を最適に設定したことにより、受け皿12の取り出し時に、受け皿12を傾けて取り出すことなく水平状態で取り出すことができ、受け皿12内に溜まった被調理物の残存物や被調理物から出た油や汁などをこぼす心配がなく取り出せるものである。
【0056】
(実施の形態6)
図12、図13は、本発明の実施の形態6における加熱調理器を示している。基本構成は実施の形態1と同じであるので同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図12に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、レールユニット15の固定レール13および可動レール14間には摺動部材保持部材27で保持された摺動部材26を設け、固定レール13は摺動部材26の内側で摺接し、可動レール14は摺動部材26の外側で摺接するようにしたものである。そして、可動レール14は、略コの字状に形成され、両端部の位置が垂直方向上下に対向一致するように配置されている。
【0058】
ここで、摺動部材26は、ボール形状、ローラー形状などの接触抵抗の少ない形状のものがよく、また、耐摩耗性の高い鋼やステンレス、あるいはセラミックなどで形成される。また、可動レール14は、腐食性を高めるために、めっきや塗装を施したり、ステンレスを使用したりするとよい。
【0059】
また、図13(a)に示すように、可動レール14が摺動部材26を覆うようにレールユニット15を角度αだけ傾けて固定して使用すると、可動レール14の上方端部が下方端部を覆うように配置できるものである。なお、この場合、角度αは強度的な面から45°以内とすることが望ましい。
【0060】
また、図13(b)に示すように、可動レール14の上方端部を伸ばして延長部14aを設け、幅hをもたせたものである。
【0061】
このように、本実施の形態では、略コの字状に形成された可動レール14の両端部の位置が垂直上下に対向一致もしくは上方端部が覆うように配置することで、受け皿12あるいは被調理物の出し入れ時に、万が一、レールユニット15に被調理物の残存物や被調理物から出た油や汁などが上方よりこぼれても摺動部材26にかかることなく、確実にすべり性の低下を防止することができる。
【0062】
(実施の形態7)
図14は、本発明の実施の形態7における加熱調理器を示している。基本構成は実施の形態1と同じであるので同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図14に示すように、本実施の形態における加熱調理器は、レールユニット15は可動レール14後方に第一のマグネット29を配し、本体1の後方で第一のマグネット29に対向する位置に第二のマグネット30を固定したことにより、第一のマグネット29と第二のマグネット30が引き合う方向に極性を配置することによって、ドア閉時に第一のマグネット29と第二のマグネット30が引き合う力によって自動で閉じる上、閉じた後もドア11閉状態を磁力によって保持するため、ドア11の閉め忘れなどによる調理中のドア11からの煙漏れの防止や、ドア11閉時の力が軽くなるため、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものである。なお、マグネットの磁力は距離の2乗に反比例するため距離が近づくと急激に磁力が増し非常に操作感が悪い。しかしながら本発明のように第1、第2のマグネットを対向させると各々の距離は一定であり、レールの摺動もスムーズであり、操作感もよい。また、磁力の調整引き込みの調整についても、対抗する面の大きさを変えるだけでよく非常に簡単である。
【0064】
また、本発明の実施の形態1〜6に示す加熱調理器において、レールユニット15は高耐食製のステンレス材を用いたことにより、被調理物から出る塩分を含んだ腐食性の油や汁、もしくは調理物そのものや、調理に使う調味料等や、被調理物から出る水分の影響による腐食を防止することができる。なお、その他の庫内に使用する部材についても同様にステンレス材を使用することで腐食を防止できるが、設計者が任意に選定できるものである。
【0065】
ここで、本発明の各実施の形態において調理物の載置の方向を製品正面から見て縦置きとしたが、横置きにしても同様の効果を発揮することは言うまでもない。
【0066】
また、レールユニットとドア支持部材との位置関係において、ドア支持部材を外側で示したが、ドア支持部材をレールユニットの内側に設けたとしても同様の効果を発揮することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、常にスムーズな動作を得て、ドアの開閉や、受け皿の着脱や、被調理物の出し入れにおいて使い勝手のよいものであるので、組み込み式誘導加熱調理器はもちろんのこと、他の熱源の加熱調理器や、組み込み式以外の加熱調理器にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態2における加熱調理器の分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における加熱調理器の加熱庫部分の分解斜視図
【図4】本発明の実施の形態2における加熱調理器の加熱庫部分の分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図
【図6】本発明の実施の形態5における加熱調理器の断面図
【図7】本発明の実施の形態2における加熱調理器の断面図
【図8】本発明の実施の形態3における加熱調理器の加熱庫部分の分解斜視図
【図9】本発明の実施の形態3における加熱調理器の他の例を示す加熱庫部分の分解斜視図
【図10】本発明の実施の形態2における加熱調理器の他の例を示す加熱庫部分の分解斜視図
【図11】本発明の実施の形態4における加熱調理器の加熱庫部分の分解斜視図
【図12】本発明の実施の形態6における加熱調理器のレールユニットの断面図
【図13】本発明の実施の形態6における加熱調理器の他の例を示すレールユニットの断面図
【図14】本発明の実施の形態7における加熱調理器のレールユニットの概略図
【符号の説明】
【0069】
1 本体
9 加熱庫
11 ドア
12 受け皿
13 固定レール
14 可動レール
15 レールユニット
16 ドア支持部材
17 ドア支持部材摺接部
18 レール連結部
21 キッチンカウンター
22 係合部
25 連結部
26 摺動部材
28 ステー
29 第1のマグネット
30 第2のマグネット
31 受皿支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内部に収容され被調理物を加熱調理する加熱庫と、加熱庫の前面に形成された開口部を引き出し式に開閉するドアと、加熱庫に収容される受け皿と、定位置に固定された固定レールおよび受け皿を係止する可動レールを有するレールユニットと、レールユニットの可動レールに一端部を回動自在に連結し他端部にドアを係止するドア支持部材と、定位置に固定され可動レールの引き出し時にドア支持部材を摺接案内するドア支持部材摺接部とを備え、ドアの開閉に連動して受け皿を加熱庫に対し出し入れ自在とし、ドアの引き出しに応じて前記ドアが下降することを特徴とした加熱調理器。
【請求項2】
レールユニット及びドア支持部材を加熱庫の外部に設け、ドアの開閉に連動して受け皿を加熱庫に対し出し入れ自在とした請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
ドアの下降に対して下限位置を決めるステーをレールユニットとドア指示部材との間に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
受け皿およびドアはレールユニットおよびドア支持部材に対して着脱自在に係止した請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
受け皿は、左右の可動レールを連結するレール連結部に係合する係合部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
受け皿を着脱自在に支持し、加熱庫に対して出し入れ自在とする受皿支持部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
ドアの最大の開状態時に、受け皿が加熱庫の開口部の内側で支持されるようにレールユニットの引き出し寸法を設定した請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
ドアの最大の開状態時におけるドアの上端部と本体を組み込んだキッチンカウンターの前面下端部との垂直方向の寸法が、受け皿の厚みより大きくなるようドア支持部材の回転動作によって下降する寸法を設定した請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
レールユニットの固定レールおよび可動レール間には摺動部材を設け、固定レールは摺動部材の内側で摺接し、可動レールは摺動部材の外側で摺接するようにした請求項1〜8のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
可動レールは、略コの字状に形成され、両端部の位置が垂直上下に対向一致または上方端部が下方端部を覆うように配置された請求項9に記載の加熱調理器。
【請求項11】
レールユニットは可動レール後方に第一のマグネットを配し、本体の後方で前記第一のマグネットに対向する定位置に第二のマグネットを固定したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに1項に記載の加熱調理器。
【請求項12】
レールユニットは高耐食製のステンレス材を用いたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに1項に記載の加熱調理器。
【請求項13】
ドアは、開閉時に持ち手となるドア把手を上側に設けたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−284337(P2008−284337A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302674(P2007−302674)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】