説明

加熱調理器

【課題】使い勝手を損なうことなく、グリル扉を幼児等がうっかり触っても熱くない加熱調理器を提供すること。
【解決手段】前板保持部材21は、グリル扉19を構成する上で最低限必要なネジ止め用の穴24、もしくは受け皿13との嵌着用の開口25、またはグリル扉19にパッキン26等を配した場合の嵌合用の穴27を除いて、特に内部の調理状態を確認するための覗き窓などの開口28および穴を極力少なくし、グリル扉19の略全域に渡ってグリル扉前板20と前板保持部材21の間に所定の間隔29の空気断熱層30を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭の台所や業務用の厨房等で使用される、グリル装置を備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の加熱調理器におけるグリル装置(ロースター部)の概略構成は、グリル装置内に調理庫を配設し、調理物を載せる網を載置した受け皿を収納して、調理庫に臨ませたヒーターよって加熱調理を行なうものである。
【0003】
図3(b)は、特許文献1に記載された従来の加熱調理器のグリル扉の詳細を示す断面図である。図3(b)に示すようにグリル装置の開口部に設けられた扉は、内部の調理状態を確認するようガラス製の覗き窓28を有するように構成されることが殆どであり、加熱調理時の調理庫内の熱気をさえぎるのはこの扉が有するガラス一枚というものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−83037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、グリル装置(ロースター部)の扉は、特にヒーターに熱せられて熱くなるため、取扱い説明書にその旨を記載するとか、扉に「高温注意」等の文字を印刷して注意をうながす等の対策を講じるのが一般的であった。しかしながら、文字の読めない幼児等はグリル使用中あるいは使用直後の扉が熱い時に触ってしまう可能性があり、特に内部の調理状態を確認するよう、扉はガラス製で覗き窓を有する場合が殆どで、この場合加熱調理中にヒーターから受ける熱が直接ガラス外面に伝わる為、扉の内ではこの覗き窓の部分が最も熱くなり易いという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使い勝手を損なうことなく、グリル装置の扉を幼児等がうっかり触っても熱くない加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、外郭を構成する本体と、被加熱調理容器を載置する天板と、前記天板の下方に位置する加熱手段と、前記本体の内部に配されたグリル装置と、前記グリル加装置に収容され調理物を載置する焼網と、調理物から滴下する脂や水分を受ける受け皿と、前記焼網と前記受け皿の間に設置され調理物を下方より加熱する下方加熱手段と、前記焼網の上方に設置され調理物を上方より加熱する上方加熱手段と、前記グリル装置の庫内温度を検知する庫内温度検知手段と、前記上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する加熱制御手段と、前記加熱制御手段の制御方法を記憶する記憶手段と、前記グリル装置の開口を覆い開閉自在に配されたグリル扉とを備え、前記グリル扉は前面を構成する耐熱性のガラスから成るグリル扉前板と、前記グリル扉前板を保持する金属製の前板保持部材と、グリル扉を開閉する際に持ち手となるグリル把手とから構成し、前板保持部材はグリル扉を構成する上で最低限必要なネジ止め用の穴もしくは嵌着用の開口、またはグリル扉にパッキン等を配した場合の嵌合用の穴を除き、特に内部の調理状態を確認するための覗き窓などの開口および穴を極力少なくして、グリル扉の略全域に渡ってグリル扉前板と前板保持部材の間に所定の間隔の空気断熱層を設けたものである。
【0007】
この空気断熱層を設けることにより、グリル使用中あるいは使用直後においても、加熱
調理時の調理庫内の熱気を遮断し、グリル扉が熱くなることを防止するため安全性がより一層高まるものである。
【0008】
また、内部の調理状態を確認する覗き窓がなくなり、焼き具合の確認のためにはいちいちグリル扉を開けざるを得ないが、調理物を上方および下方から加熱する上方加熱手段ならびに下方加熱手段を設けた両面焼きのグリル装置とすることによって、焼き具合の確認が少なくなり、使い勝手も向上したグリル装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器は使い勝手を損なうことなく、グリル使用中あるいは使用直後においてグリル扉が熱くなることを防止し、グリル扉を幼児等がうっかり触っても熱くない加熱調理器を実現できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、外郭を構成する本体と、被加熱調理容器を載置する天板と、前記天板の下方に位置する加熱手段と、前記本体の内部に配されたグリル装置と、前記グリル加装置に収容され調理物を載置する焼網と、調理物から滴下する脂や水分を受ける受け皿と、前記焼網と前記受け皿の間に設置され調理物を下方より加熱する下方加熱手段と、前記焼網の上方に設置され調理物を上方より加熱する上方加熱手段と、前記グリル装置の庫内温度を検知する庫内温度検知手段と、前記上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する加熱制御手段と、前記加熱制御手段の制御方法を記憶する記憶手段と、前記グリル装置の開口を覆い開閉自在に配されたグリル扉とを備え、前記グリル扉は前面を構成する耐熱性のガラスから成るグリル扉前板と、前記グリル扉前板を保持する金属製の前板保持部材と、グリル扉を開閉する際に持ち手となるグリル把手とから構成し、前板保持部材はグリル扉を構成する上で最低限必要なネジ止め用の穴もしくは嵌着用の開口、またはグリル扉にパッキン等を配した場合の嵌合用の穴を除き、特に内部の調理状態を確認するための覗き窓などの開口および穴を極力少なくして、グリル扉の略全域に渡ってグリル扉前板と前板保持部材の間に所定の間隔の空気断熱層を設けたものである。
【0011】
この空気断熱層を設けることにより、グリル使用中あるいは使用直後においても、加熱調理時の調理庫内の熱気を遮断し、グリル扉が熱くなることを防止するため安全性がより一層高まるものである。また、内部の調理状態を確認する覗き窓がなくなり、焼き具合の確認のためにはいちいちグリル扉を開けざるを得ないが、調理物を上方および下方から加熱する上方加熱手段ならびに下方加熱手段を設けた両面焼きのグリル装置とすることによって、焼き具合の確認が少なくなり、使い勝手も向上したグリル装置を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明の加熱制御手段は、調理時間をカウントするカウント手段を設け、調理物に応じて使用者が設定した時間になると加熱を停止するタイマー機能を設けることにより、グリル扉が熱くなることを防止するため安全性がより一層高まることはもちろんのこと、両面焼きのグリル装置で使い勝手も向上し、また、調理物の種類、量等による焼き上がりにかかる時間を経験的に理解していれば、途中で焼き具合の確認をする必要がなく、さらに使い勝手が向上したグリル装置を提供することができる。
【0013】
第3の発明は、特に第1の発明の記憶手段は、各種の調理メニューに適した調理シーケンスを記憶し、使用者が設定した調理メニューに応じて加熱制御手段を介して上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する自動調理機能を設けることにより、グリル扉が熱くなることを防止するため安全性がより一層高まることはもちろんのこと、両面焼きのグリル装置で使い勝手も向上し、また、自動調理機能で調理が苦手な方や、経験の浅い方でも簡単に、さらに使い勝手が向上したグリル装置を提供することができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の外観を示す斜視図である。以下、図面を用いて説明する。
【0016】
尚、本実施の形態は天板下方に配した加熱手段が電磁誘導加熱式のものについてのものであるが、本発明がこの方式に限定されるものではない。
【0017】
図1において、外郭を構成する本体1の天面には、被加熱調理容器を載置する天板2が配されている。天板2は高耐熱性のガラス等を用い、電磁誘導によって加熱されない材質で構成されている。
【0018】
トップフレーム3は、天板2の外周を囲み、本体1の天面の一部もしくは殆ど全部を構成しており、天板2を介して伝わる被加熱調理容器からの熱に十分耐え、かつ外観部品として見栄えがよく、腐食にも強いステンレスやホーロー処理鋼板等の金属から成っている。
【0019】
トップフレーム3に形成された操作部4の内部には、後述する操作部ユニット等が配設されている。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の主要構成部品を示す分解斜視図である。但し、実施の形態の説明に不要な構成部分については主要構成であっても省略している。
【0021】
図2において、天板2の下方には誘導加熱コイル5が近接して設けられている。誘導加熱コイル5はコイルケース6に収納され、本体1内の所定の位置に保持されている。誘導加熱コイル5には電源回路7によって高周波電力が供給される。誘導加熱コイル5及び電源回路7は冷却ファン8の送風によって冷却される。
【0022】
トップフレーム3の操作部4下方に配設された操作部ユニット9は、外部操作により機器の運転を制御するための信号入力部、及び機器の運転状態を表示する表示部等を有する制御回路等を収納している。
【0023】
本体1内には略箱形状のグリル装置10が配設されており、グリル装置10内に調理庫11および調理庫11内には、調理物を載せる焼網12を載置した受け皿13を収納してある。また、焼網12の上方に設置され調理物を上方より加熱する上方加熱手段14と、焼網12と受け皿13の間に設置され調理物を下方より加熱する下方加熱手段15によって加熱調理を行なう。また、グリル装置10の庫内温度を検知する庫内温度検知手段16を設け、上方加熱手段14、下方加熱手段15の出力を制御する加熱制御手段17と、加熱制御手段17の制御方法を記憶する記憶手段18とを備え、庫内温度検知手段16にて得た温度情報を基に、記憶手段18に記憶した制御方法にて、上方加熱手段14、下方加熱手段15の出力を加熱制御手段17にて制御し、庫内温度を設定した所定の温度に保ったり、上下の焼き加減を変更したりするものである。
【0024】
グリル使用時はグリル装置10の開口を覆うグリル扉19は受け皿13に嵌着されており、グリル扉19と受け皿13は連動して前後に摺動する。なお、本構成はグリル装置に関する一例を示すものであり、本発明がこの方式に限定されるものではない。
【0025】
グリル扉19は、前面を構成する耐熱性のガラスから成るグリル扉前板20と、グリル扉前板20を保持する金属製の前板保持部材21と、金属等に対して熱伝導率の低い樹脂等により形成され、グリル扉19を開閉する際に持ち手となるグリル把手22や、グリル扉19の上方に配し、金属等に対して熱伝導率の低い樹脂等により形成され、調理物の出し入れのときに直接金属製の前板保持部材21に触れないよう設置した扉保護枠23等で構成されている。
【0026】
図3(a)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のグリル扉の詳細図を示すものである。図3(b)は従来の加熱調理器のグリル扉の詳細を示す断面図である。
【0027】
図3において、前板保持部材21は、グリル扉19を構成する上で最低限必要なネジ止め用の穴24、もしくは受け皿13との嵌着用の開口25、またはグリル扉19にパッキン26等を配した場合の嵌合用の穴27を除いて、特に内部の調理状態を確認するための覗き窓などの開口28(図3(b))および穴を極力少なくし、グリル扉19の略全域に渡ってグリル扉前板20と前板保持部材21の間に所定の間隔29の空気断熱層30を設けたものである。
【0028】
図4(a)は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のグリル装置の詳細を示すものであり、(b)は従来の加熱調理器のグリル装置の詳細を示す断面図である。
【0029】
図4において上方加熱手段14と下方加熱手段15の加熱が開始されると、庫内温度検知手段16にて得た温度情報を基に、記憶手段18に記憶した制御方法にて、加熱制御手段17が下方加熱手段14と下方加熱手段15の出力を制御する。
【0030】
例えば、調理庫11内の中心部31の温度を約270〜300℃に保つ場合、上方、下方加熱手段の表面32の温度は約500〜700℃で制御される。
【0031】
このとき、図4(b)に示す従来の構成では、前面を構成する耐熱性のガラスから成るグリル扉前板20の庫内33側の温度は約170〜200℃で安定し、グリル扉前板20の外面34側の温度については約130〜150℃を示し、直接触れられる温度とは言い難い。
【0032】
しかしながら、図4(a)に示す本発明の構成によれば、同様に上方加熱手段14と下方加熱手段15の加熱が開始されると、調理庫11内の中心部31の温度は約270〜300℃に保たれ、前板保持部材21の庫内33側の温度は、空気断熱層30を設けたことにより、従来の構成のような外面側への放熱が少ないため、若干温度が上昇し、約200〜230℃で安定するが、ここで所定の間隔29を実験的に約10mmとした場合は、空気断熱層30の断熱効果によって、グリル扉前板20の外面34側の温度は約50〜80℃を示す。
【0033】
特に、電気製品の場合は一般的に外郭の温度上昇については、人が容易に触れる恐れがあるもので、金属製のもの、陶磁器製のもの及びガラス製のものについては85℃以下という基準があるが、本発明によってこの基準を満足することができ、より安全性の高い加熱調理器を提供することができる。
【0034】
なお、この温度上昇値については、実験によって得られた値の一例であり、この数字によって本発明の効果が制限を受けるものではない。
【0035】
また、内部の調理状態を確認する覗き窓がなくなり、焼き具合の確認のためにはいちい
ちグリル扉19を開けざるを得ないが、調理物を上方および下方から加熱する上方加熱手段14ならびに下方加熱手段15を設けた両面焼きのグリル装置10とすることによって、片面焼きに比べて焼き具合の確認が約1/2となり、使い勝手も向上したグリル装置10を提供することができる。
【0036】
また、ここでグリル扉前板20を樹脂で構成すると、触れたときの熱の伝わり方を抑えさらに、安全性が高まるものである。一般的に人間の体の熱伝導率はほぼ水と同じ(水:0.6W/(m・K))と考えられ、それに比べて金属やガラスは熱伝導率(例えば、鉄:84W/(m・K)、ガラス:1W/(m・K))が高く、樹脂は熱伝導率(例えば、ポリカーボネート:0.19W/(m・K)、塩化ビニール:0.16W/(m・K))が低いため、触れたときでも熱は伝わりにくく、安全性はより一層高まるものである。
【0037】
なお、グリル扉前板20に伝わる温度を構成的に低減していることから、このグリル扉前板20に用いる樹脂に要求される耐熱温度は比較的低くてもよく、高耐熱性で高価な樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイトやポリエステル、ポリブチルテレフタレートといった一般的にエンプラと呼ばれる樹脂)を使用する必要がない分、使用者に安価な製品を提供することができる。
【0038】
また、グリル扉前板20に樹脂を使うことでガラス製などよりは、グリル扉19全体として軽量化が図れ、調理物の出し入れやお手入れ時等の使い勝手がよくなるものである。
【0039】
また、グリル扉前板20に使用する樹脂を難燃性の樹脂で構成することによれば、さらに安全性がより一層高まるものである。
【0040】
また、このグリル扉前板20の表面に所定の凹凸設けたることによれば、触れたときの接触面積を減少し、接触熱抵抗を大きくして熱の伝わりを低減することができ、さらに安全性が高まるものである。グリル扉前板20が樹脂の場合は、一般的にシボ加工といわれるもの、もしくは、ディンプルや溝によって凹凸を設けるものである。
【0041】
グリル扉前板20がガラス製の場合は、一般的に梨地模様やすりガラス調といわれるものや、樹脂と同様にディンプルや溝によって凹凸を設けるものである。ここで接触熱抵抗とは、固体同士の接触面が完全に密着しないことにより生じる熱抵抗であり、熱伝導の低い空気(空気:0.022W/(m・K))が介在することによって大きくなり、凹凸を設けることによって、触れた部分に空気が介在することで、熱は伝わりにくく、安全性がより一層高まるものである。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施の形態におけるグリル装置の制御手段の詳細を示すものである。以下図面を用いて説明する。
【0043】
グリル装置10の庫内温度を検知する庫内温度検知手段16は、サーミスタにより構成され庫内温度を検知することができる。また、受け皿13の温度を検知する受け皿温度検知手段35はサーミスタにより構成され調理庫11の下面を介して受け皿13の温度を検知することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では庫内温度検知手段16、受け皿温度検知手段35はサーミスタにより構成するとしたが、白金センサーや、赤外線センサーなどの温度検知素子によって構成してもよい。
【0045】
加熱制御手段17は、商用電源と上方、下方加熱手段の間にリレーにより構成され、制御手段36の信号により、上方加熱手段14および下方加熱手段15の加熱のオン・オフ
を行なう。
【0046】
なお、本実施の形態で、加熱制御手段17はリレーにより構成するとしたが、トライアックやサイリスタといったスイッチによって構成してもよい。
【0047】
制御手段36はマイコンにより構成され、カウンター手段37や記憶手段18、判別手段38や計算手段39等を配し、使用者が選択した操作部4からの命令に応じて加熱制御手段17に信号を送る。
【0048】
例えば、カウント手段37は調理時間をカウントするもの(タイマー機能)であり、調理物の種類、大きさ、重量などに応じて操作部4を介して使用者が時間を設定する。加熱を開始すると、このカウント手段37がカウントを開始して、所定の時間になると加熱を停止するよう制御手段36より加熱制御手段17に信号が送られ、上方加熱手段14と下方加熱手段15の加熱が停止するものである。
【0049】
このように調理物を上方および下方から加熱する上方加熱手段14ならびに下方加熱手段15を設けた両面焼きのグリル装置10とし、調理物の種類、大きさ、重量などによる焼き上がりにかかる時間を経験的に理解していれば、途中で焼き具合の確認をする必要がなく、安全性を高めるために内部の調理状態を確認する覗き窓がなくなっても、さらに使い勝手が向上したグリル装置を提供することができる。
【0050】
また、記憶手段18は、各種の調理メニューに適した調理シーケンスを記憶しており、操作部4を介して使用者が設定した調理メニューに応じて、制御手段36より加熱制御手段17に信号が送られ、上方加熱手段14および下方加熱手段15の加熱をオン・オフして自動で加熱調理するものである。
【0051】
このときの調理物の種類、大きさ、重量などについては、操作部4を介して情報を送るか、もしくは庫内温度検知手段16や受け皿温度検知手段35の温度情報を判別手段38や計算手段39を用いて導き出し、制御手段36より加熱制御手段17に信号を送り、上方加熱手段14および下方加熱手段15の加熱をオン・オフして自動で加熱調理することも可能であり、料理が苦手な使用者や経験の少ない使用者でも失敗することなく加熱調理ができ、さらに使い勝手が向上したグリル装置を提供することができる。
【0052】
ここで、本発明の各実施の形態においてはグリル扉の持ち手となるグリル把手をグリル扉の下部に設けたものであるが、グリル扉の上部に設けたものであっても同様の効果を発揮することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、グリル加熱室を備えた加熱調理器において、使い勝手を損なうことなく、グリル扉を幼児等がうっかり触っても熱くない加熱調理器を提供できるもので、グリルの加熱手段やグリル以外の調理機能に係わらず加熱調理器全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における加熱調理器の主要構成部品を示す分解斜視図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における加熱調理器のグリル扉の詳細図(b)従来の加熱調理器のグリル扉の詳細を示す断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における加熱調理器のグリル装置の詳細を示す断面図(b)従来の加熱調理器のグリル装置の詳細を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態1におけるグリル装置の制御手段のブロック図
【符号の説明】
【0055】
1 本体
2 天板
10 グリル装置
13 受け皿
14 上方加熱手段
15 下方加熱手段
16 庫内温度検知手段
17 加熱制御手段
18 記憶手段
19 グリル扉
20 グリル扉前板
21 前板保持部材
22 グリル把手
24 ネジ止め用の穴
25 嵌着用の開口
26 パッキン
27 嵌合用の穴
28 覗き窓などの開口
29 所定の間隔
30 空気断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を構成する本体と、被加熱調理容器を載置する天板と、前記天板の下方に位置する加熱手段と、前記本体の内部に配されたグリル装置と、前記グリル加装置に収容され調理物を載置する焼網と、調理物から滴下する脂や水分を受ける受け皿と、前記焼網と前記受け皿の間に設置され調理物を下方より加熱する下方加熱手段と、前記焼網の上方に設置され調理物を上方より加熱する上方加熱手段と、前記グリル装置の庫内温度を検知する庫内温度検知手段と、前記上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する加熱制御手段と、前記加熱制御手段の制御方法を記憶する記憶手段と、前記グリル装置の開口を覆い開閉自在に配されたグリル扉とを備え、前記グリル扉は前面を構成する耐熱性のガラスから成るグリル扉前板と、前記グリル扉前板を保持する金属製の前板保持部材と、グリル扉を開閉する際に持ち手となるグリル把手とから構成し、前板保持部材はグリル扉を構成する上で最低限必要なネジ止め用の穴もしくは嵌着用の開口、またはグリル扉にパッキン等を配した場合の嵌合用の穴を除き、特に内部の調理状態を確認するための覗き窓などの開口および穴を極力少なくして、グリル扉の略全域に渡ってグリル扉前板と前板保持部材の間に所定の間隔の空気断熱層を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
加熱制御手段は、調理時間をカウントするカウント手段を設け、調理物に応じて使用者が設定した時間になると加熱を停止するタイマー機能を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
記憶手段は、各種の調理メニューに適した調理シーケンスを記憶し、使用者が設定した調理メニューに応じて加熱制御手段を介して上方加熱手段、下方加熱手段の出力を制御する自動調理機能を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−213685(P2009−213685A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60659(P2008−60659)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】