説明

加熱調理器

【課題】入力検知電極の部分の光表示を見やすくでき、且つ、操作入力の検知精度の低下を防止できるようにする。
【解決手段】トッププレート16における裏面側には第1の導電体30aと、この第1の導電体30aに対するユーザーの手指の操作を検知して加熱手段を制御する制御部48と、第1の導電体30aに形成された抜き孔30adと、光をこの抜き孔30ad下方から上方へ透過させる発光体45とを備え、前記第1の導電体30aが、補助電極30ahを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレートに入力検知電極を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器としては、特許文献1、2に示された構成が知られている。特許文献1には、トッププレートの裏面側に導電膜からなる非透光性の図柄表示部を設け、この図柄表示部より大きい範囲で、フレームに開口部を形成し、この開口部から光を図柄表示部に向けて光を当てる構成が記載されている。この構成では、導電膜からなる図柄表示部でのユーザーの操作(近接操作)を静電容量の変化で検知する。しかし、導電膜が図形表示を行うために、入力検知電極としての面積が小さく、操作入力の有無の検知精度が低くなるおそれがある。また、導電膜からなる図柄表示部の周囲は明るいものの、図柄表示部は暗く、見にくいというのが実情である。
【0003】
これに対して、特許文献2には、入力検知電極に光透過部を設け、この光透過部により入力案内用の表示部を形成し、この光透過部に光を透過させる構成としている。
【特許文献1】特開2008−91193号公報
【特許文献2】特開2005−38739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献2の構成においては、特許文献1の構成に比して、光による表示内容が見やすいという利点があるが、この特許文献2の構成においても、入力検知電極に光透過部が形成されているため、入力検知電極としての面積が小さいという問題があり、操作入力の検知精度が低いという問題があった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力検知電極の部分の光表示を見やすくでき、且つ、操作入力の検知精度の低下を防止できる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、加熱手段と、この加熱手段の上方に設けられ被加熱物が載置されるトッププレートと、前記トッププレートにおける裏面側に設けられた入力検知電極と、前記入力検知電極に対するユーザーの手指の操作を検知して前記加熱手段を制御する制御手段と、前記入力検知電極に形成された抜き孔と、光をこの抜き孔下方から上方へ透過させる発光体とを備え、前記入力検知電極が、補助電極を有するところに特徴を有する。
【0007】
この構成によれば、入力検知電極に抜き孔を形成し、この抜き孔に光を通して光表示をするから、光表示を見やすくでき、また、入力検知電極に補助電極を設けたことで、抜き孔分の電極面積を補填できて電極面積の減少をなくすことができ、操作入力検知精度の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、入力検知電極の部分の光表示を見やすくでき、且つ、操作入力の検知精度の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をシステムキッチンに組み込まれる加熱調理器に適用した第1の実施例を図1〜図7を参照しながら説明する。図2には、キッチンキャビネット1に、加熱調理器2が組み込まれた状態の外観斜視図が示されている。また、図3は、トッププレートを外した状態で示す調理器本体3の平面図である。加熱調理器2の調理器本体3は、キャビネット1に設けられた開口4に落とし込み状態に組み込まれている。この調理器本体3の下部には、図2に示すロースタ部5が設けられている。
【0010】
前記調理器本体3は、図3に示すように、上面が開口しており、内部の手前側に加熱手段としての二つの誘導加熱コイル8、9が設けられ、また中央奥部に別の加熱手段として例えばラジエントヒータからなるヒータ10が設けられている。また、この調理器本体3内には、主回路基板11が配設されており、この主回路基板11には、多数の加熱強度表示用の発光ダイオードからなる表示器群12A、12Bが実装されていると共に、例えば蛍光表示管からなる表示器13、14A、14B、15A、15Bが実装されている。
図1及び図3に示すように、前記調理器本体3の開口部3aの周縁部にはフランジ部3bが設けられており、このフランジ部3bが前記キャビネット1の開口4の縁部に配置されている。
【0011】
さらに、図1、図2、図4に示すように、前記調理器本体3の上面には、開口部3aを覆うように、つまり前記誘導加熱コイル8、9及びヒータ10を上方から覆うように、耐熱ガラス製の透視可能なトッププレート16が設けられている。このトッププレート16の下面(裏面)は非導電性のスパッタにより非導電性層としての半透明層16A(図1参照)が形成されており、さらにこの半透明層16A下面には不透明な非導電性の塗装膜16B(図1参照)が形成されており、内部が見えないようにしている。
【0012】
なお、図4のZ−Z線断面箇所は、図5のZ−Z線断面箇所と同じ部位である。
このトッププレート16の周縁部16aは調理器本体3より外側(前後方向及び左右方向)へ張り出しており、前記フランジ部3bにより支えられている。
このトッププレート16において、左右の誘導加熱コイル8、9及びヒータ10の上方に対応する部位はそれぞれ円形模様の調理器載置表示部17、18、19が形成されている。
【0013】
図4は以下に述べる表示部から光が放出されて各表示部が浮かび上がったように光表示されている状態を示している。
前記トッププレート16の裏面において、調理器載置表示部17、18の前側には、前記表示器群12A、12Bの上方に位置して調理条件表示部12AH、12BH(図4参照)が前記塗装膜16Bに形成された抜き孔により設けられ、又、表示器13、14A、14B、15A、15Bの上方に位置して表示内容が異なる調理条件表示部13H、14AH、14BH、15AH、15BHが前記塗装膜16Bに形成された抜き孔により設けられている。なお、これら、各調理条件表示部12AH、12BH、13AH、14AH、14BH、15AH、15BHは、それぞれ対応する表示器によって下方から照明表示されることにより、半透明層16Aと透視可能なトッププレート16とを通して該トッププレート16上面から図4に示すように目視できる。
【0014】
また、図1及び図5に示すように、このトッププレート16の前縁部(調理器本体3より前方へ張り出した部分)の下面には、入力案内用表示部20AH〜27AH、20BH〜27BHが前記塗装膜16Bに形成された抜き孔により設けられている。これら入力案内用表示部20AH〜27AH、20BH〜27BHは、後述する発光体45からの発光により浮かび上がるように光表示される(図4参照)。なお、後述する発光体45が消灯しているときには、トッププレート16上面から内部はほぼ見えない状態(いわゆるブラックアウト状態)となる。
【0015】
前記右側の入力案内用表示部20AH〜27AHと、左側の入力案内用表示部20BH〜27BHとは、それぞれ基本的に同じ構成であり、また、右側の入力案内用表示部20AH〜27AH下方部、及び左側の入力案内用表示部20BH〜27BH下方部に設けられた後述の入力検知電極などの構成についても、基本的に同じであるので、右側の入力案内用表示部20AH〜27AH下方部の入力検知電極などについて以下説明する。
【0016】
入力案内用表示部20AHは加熱調理のスタート/切り用、入力案内用表示部21AHはオート選択用、入力案内用表示部22AHは加熱強度や加熱時間のアップ設定用、入力案内用表示部23AHは加熱強度や加熱時間のダウン設定用、入力案内用表示部24AH〜27AHは加熱強度(火力)設定用である。
又、前記塗装膜16Bには入力検知電極である後述の第1の導電体28a〜41aの位置を表示するための表示部28H〜41Hが抜き孔により形成されている。これについては後述する。
【0017】
前記入力案内用表示部20AH〜27AH下方には、図5に示すように、操作部28〜41が設けられている。
操作部28〜41は、図6に示す第1の導電体28a〜41aと、図7に示す第2の導電体28b〜41bと、これらの間に介在する図1及び図7に示す電気絶縁層42とから構成されている。前記第1の導電体28a〜41aは入力検知電極に相当する。
【0018】
この場合、第1の導電体28aは、加熱調理のスタート/切りの入力を検知するための入力検知電極たるものであり、第1の導電体29aはオート調理選択の入力を検知するための入力検知電極たるものであり、第1の導電体30aは加熱強度や加熱時間のアップ設定の入力を検知するための入力検知電極たるものであり、第1の導電体31aは加熱強度や加熱時間のダウン設定の入力を検知するための入力検知電極たるものであり、第1の導電体32a〜41aは、加熱強度(火力)設定の入力を検知するための入力検知電極あるものである。
【0019】
図5では、前記第1の導電体28a〜41aを平面的に示している。前記第1の導電体28a〜31aは、前記塗装膜16Bの下面に前記入力案内用表示部20AH〜23AHに対応して形成されており、この場合、導電塗料を印刷し焼き付けて形成されている。
又、他の第1の導電体32a〜41aは、前記塗装膜16Bの下面に前記入力案内用表示部24AH〜27AHに対応して形成されており、この場合も、導電塗料を印刷し焼き付けて形成されている。この第1の導電体32a〜41aは、相互に手指による同時操作が可能な配置間隔で設けられている。
【0020】
これら第1の導電体28a〜41aは上述したようにトッププレート16に一体に設けられている。
これら第1の導電体28a〜41aには図5に示すように、対応する入力案内用表示部20AH〜27AHの文字や図形と対向する部分に、当該文字や図形を、透光可能とするために若干大きめの抜き孔28ad〜41adが形成されている。
例えば、例えば入力案内用表示部22AH及び操作部30部分の断面を示す図1からわかるように、第1の導電体30aには、「<」形状を示す当該入力案内用表示部22AHに対応して、若干大きめの略「<」状をなす抜き孔30adが形成されている。
【0021】
前記第1の導電体28a〜41aのうち比較的大きい前記第1の導電体28a〜31aにおいて、それらの抜き孔28ad〜31adは、該当する該第1の導電体からはみ出さないように形成されている。また列状をなし大きさが比較的小さい第1の導電体32a〜41aにおいて、それらの抜き孔32ad〜41adは、文字を示すが、複数の第1の導電体にまたがるように形成された文字が多い。例えば第1の導電体33aの抜き孔33adは、「とろ火」の「火」ののほぼ左部を示し、次の第1の導電体34aの抜き孔34adは該「火」の右部を示している。つまり、抜き孔33ad、34adが複数の第1の導電体33a、34aにまたがって文字を形成している。その他の文字の大部分が複数の導電体にまたがっている。
【0022】
前記第1の導電体28a〜41aには、調理器載置表示部17、18、19寄りにつまり誘導加熱コイル8,9及びヒータ10寄りにそれぞれ補助電極28ah〜41ahが形成されている。この補助電極28ah〜41ahのうち補助電極28ah〜31ahは中央部で第1の導電体28a〜31aと接続されている。また、列状をなす補助電極32ah〜41ahは、左端部で第1の導電体32a〜41aと接続されている。
【0023】
ここで前記表示部28H〜31Hは、図5に示すように前記第1の導電体28a〜31aの周囲を囲うように有端矩形環状に前記塗装膜16Bに形成されており、光表示状態では図4に示したように矩形環状に見える。また表示部32H〜41Hは、直線状をなしており、前記第1の導電体32a〜41aの上辺に沿う形態で前記塗装膜16Bに形成されている。従って、前記補助電極32ah〜41ahはこれら表示部32H〜41Hを挟んで第1の導電体32a〜41aと反対側に位置する。
【0024】
前記電気絶縁層42は、図1に示すように、フレキシブル基板43の可撓性ある基板本体を構成しており、透光可能な材料から構成され、もって透光性を有する。この電気絶縁層42の下面に図1及び図7に示すように前記第2の導電体28b〜41bが設けられている。この第2の導電体28b〜41bは、銅薄膜からなり、該電気絶縁層42に貼り付けられて一体に設けられている。
【0025】
前記第2の導電体28b〜41bには、前記第1の導電体28a〜41aの補助電極28ah〜41ahに対応して第2の補助電極28bh〜41bhが形成されている。この第2の補助電極28bh〜41bhのうち第2の補助電極28bh〜31bhは中央部で第2の導電体28b〜31bと接続されている。また、列状をなす第2の補助電極32bh〜41bhは、左端部で第2の導電体32b〜41bと接続されている。
【0026】
この場合、各第2の補助電極28bh〜41bhには接続導体28bc〜41bcが後方へ一体に導出されている。
各第2の導電体28b〜41bには図7に示すように、抜き孔28bd〜41bdが形成されており、この抜き孔28bd〜41bdは、第1の導電体28a〜41aの抜き孔28ad〜41adに対向してやや大きめに形成されている。
【0027】
従って、前記操作部28〜41においては、第1の導電体28a〜41aが抜き孔28ad〜41adを有し、前記電気絶縁層42が透光可能な材料から構成され、第2の導電体28b〜41bが抜き孔28bd〜41bdを有することで、図1に示す光透過部44が設けられている。
【0028】
図1において、前記第2の導電体28b〜41bの下部には、発光体45が設けられており、この発光体45は前記フランジ部3bにより支持されている。また、この発光体45は、導光部たる導光部材46と、後述する光源たる例えばLED47とで構成されており、この発光体45は、各操作部28〜41の光透過部44(第2の抜き孔28bd〜41bd)及び表示部28H〜41Hに対応して設けられている。
【0029】
前記導光部材46は光導光可能な材料から構成されており、この導光部材46は、一端側が前記各操作部28〜41の下側で且つ前記フランジ部3b上側に位置し、途中部から他端部が開口部3a内の前側部分を下方向へ屈曲されて垂下されている。この導光部材46における前記操作部28〜41対向部には、薄板状の光拡散板46aが形成されている。
前記フレキシブル基板43は、前記導光部材46上面から垂下部46bに沿って設けられており、従って、該フレキシブル基板43はトッププレート16に対してほぼ垂直状に離間している。
【0030】
また、このフレキシブル基板43には制御手段たる制御部48が前記トッププレート16に対して略垂直状態に実装されており、この制御部48には前記各第2の導電体28b〜41bの前記接続導体28bc〜41bcが接続されており、もって、各第2の導電体28b〜41bが一体の接続導体28bc〜41bcを介して直接制御部48に接続されている。この制御部48は前記操作部28〜41におけるユーザーの入力操作(ユーザーの手指が入力操作のために近接したこと)が有ったときには、各操作部28〜41の第1の導電体28a〜41aと第2の導電体28b〜41bとの間の静電容量の変化を検出することにより、前記入力操作の有無を検知し、そして前記誘導加熱コイル8、9及びヒータ10を制御するものである。
【0031】
前記フレキシブル基板43の電気絶縁層42には、光源であるLED47が前記導光部材46の端部46c近傍に実装されており、従って、該LED47は、導光部材46の垂下する端に位置している。このLED47は制御部48より第1の導電体28a〜41a側に設けられている。
【0032】
このLED47は各操作部28〜41が入力操作されると制御部48により点灯制御される。このLED47は、各操作部28〜41にそれぞれ対応して必要数が設けられており、操作部28〜41に対応する入力案内用表示部20AH〜27AH及び表示部28H〜41Hを光表示するようになっている。図1において、LED47が点灯されると、その光は、導光部材46を通り、光拡散板46aから拡散され、さらに、第2の導電体30bの第2の抜き孔30bd、透光可能な電気絶縁層42、第1の導電体30aの抜き孔30ad、入力案内用表示部22AH、半透明層16A、トッププレート16を通して外部に放出される。また、光拡散板46aから拡散された光は、透光可能な電気絶縁層42を通して前記前記表示部30Hからも光が放出される。これにより、「<」状の入力案内用表示部22AH及び直線状(「−」状)の表示部30Hが光表示される。この光表示作用は他の入力案内用表示部についても同様である。
【0033】
前記制御部48は、列状をなす第1の導電体32a〜41aの抜き孔32ad〜41adの文字のうち、操作された第1の導電体の火力以下の火力に対応する文字を発光させるようになっている。例えば、第1の導電体37aが操作されると、「中火」以下の文字が発光される。
【0034】
このような本実施例によれば、入力検知電極たる第1の導電体28a〜41aに抜き孔28ad〜41adを形成し、この抜き孔28ad〜41adに光を通して光表示することができて見やすくでき、また、第1の導電体28a〜41aに補助電極28ah〜41ahを設けたことで、抜き孔分の電極面積を補填できて電極面積の減少をなくすことができ、操作入力検知精度の低下を防止できる。
【0035】
ここで、複数の第1の導電体28a〜41aを設けた構成において、抜き孔28ad〜41adによる文字を、一つの第1の導電体に対して、一文字分収めるように形成したとすると、複数の第1の導電体28a〜41aでの文字間隔がとれずに文字が小さくなって表示内容が見にくくなるおそれがある。
【0036】
しかるに、本実施例によれば、前記抜き孔28ad〜41adの適宜の抜き孔を、複数の第1の導電体28a〜41aの適宜の電極にまたがって文字を形成するようにしたから、抜き孔による文字を小さくしなくても済み、つまり、文字を大きく形成することができて、見やすい表示にできる。
【0037】
この場合、本実施例によれば、第1の導電体32a〜41aを列状に配置し、該列状をなす第1の導電体32a〜41aの前記文字が火力を表示するようにしたので、火力を大きな文字で表示することができる。
【0038】
また、本実施例によれば、第1の導電体32a〜41aに対応して表示部32H〜41Hを設け、補助電極28ah〜41ahを、該表示部32H〜41Hを挟んで前記第1の導電体32a〜41aと反対側に位置させたから、ユーザーが第1の導電体32a〜41a及び補助電極28ah〜41ahの両方に対して入力操作(近接操作)するようになって、入力検知が確実となる。すなわち、表示部32H〜41Hがある場合には、ユーザーはこの表示部32H〜41Hを頼りに入力操作する。このとき本実施例によれば該表示部32H〜41Hを挟んだ両側に第1の導電体32a〜41aと補助電極32ah〜41ahとがあるから、自ずとその両電極を入力操作することになり、この結果、操作入力検知が確実となる。
【0039】
又本実施例によれば、制御部48が、列状をなす第1の導電体32a〜41aの文字のうち、操作された第1の導電体32a〜41aの火力以下の火力に対応する文字を発光させるようになっているから、文字の発光領域が操作された第1の導電体32a〜41aの火力に応じて変化するから、火力表示が分かりやすい。
【0040】
又、本実施例においては、入力検知電極を第1の導電体28a〜41aにより形成し、この第1の導電体28a〜41aに対して電気絶縁層42を介して対向する第2の導電体28b〜41bを設け、この第2の導電体28b〜41bを前記制御手段48に電気的に接続し、前記発光体45を、前記第2の導電体28b〜41bの下方に設け、前記第2の導電体28b〜41bに、第1の導電体28a〜41aの抜き孔28ad〜41adに対向して当該抜き孔28ad〜41adより大きい第2の抜き孔28bd〜41bdを形成し、前記電気絶縁層42を光を通す構成とした。
【0041】
入力検知電極が制御部に電気的に接続され、ユーザーによる当該入力検知電極に対する操作による微弱電流の変化を検知することで、ユーザーの入力操作の有無を検出する方式であると、入力検知電極が酸化すると電気的抵抗が変化して入力操作の有無の検出が不正確となることがあるが、上述構成の本実施例によれば、第1の導電体28a〜41aと第2の導電体28b〜41bとの間に電気絶縁層42が存在することで静電結合されており、ユーザーが第1の導電体28a〜41aを手指接近動作により操作すると、静電容量が変化し、その変化を制御部48が検知して前記ユーザーの入力操作の有無を検知する。
【0042】
従って、第1の導電体28a〜41a及び第2の導電体28b〜41bが酸化するようなことがあっても、これら導電体間の静電容量が変化することがないので、操作入力の検知精度が低下することを防止できる。この場合、第2の導電体28b〜41bを設けたことで、光表示が阻害されることが懸念されるが、前記第2の導電体28b〜41bの下部に発光体45を設け、該第2の導電体28b〜41bに、第1の導電体28a〜41aの抜き孔28ad〜41adよりも大きい第2の抜き孔28bd〜41bdを形成したから、入力検知電極の抜き孔から光を支障なく放光させることができる。この場合、電気絶縁層42は少なくとも抜き孔28ad〜41adと対向する部分が光を通す構成であれば良い。
【0043】
又、本実施例によれば、前記電気絶縁層42を光透過性を有する構成としたから、電気絶縁層42に光透過用の開口を形成せずに済み、製作コストの低減を図り得る。
又、本実施例によれば、前記第2の導電体28b〜41bに前記第1の導電体28a〜41aの前記補助電極28ah〜41ahと対向する第2の補助電極28bh〜41bhを設け、これら補助電極28ah〜41ah及び第2の補助電極28bh〜41bhを、前記第1の導電体28a〜41a及び第2の導電体28b〜41bの前記誘導コイル8,9及びヒータ10寄りに設けたから、逆に第1の導電体28a〜41aを前記誘導コイル8,9及びヒータ10から離すことができ、ユーザーの操作の際に手指が、前記誘導コイル8,9及びヒータ10上の被調理物から遠くて安全性に優れている。
【0044】
又、本実施例によれば、トッププレート16の裏面に非導電性層(スパッタからなる半透明層16A)を形成し、この半透明層16Aの裏面に第1の導電体28a〜41aを設けたから、半透明層16A下方に上記第1の導電体28a〜41aを設けても、静電容量式の操作部28〜41を構成することができる。つまり、導電性のスパッタから導電性層を形成すると、その下方には静電容量式の操作部は構成できないが、本実施例ではそのようなことはない。
【0045】
次に本発明の第2の実施例について、図8を参照して説明する。前記第1の実施例では、補助電極28ah〜41ah(範囲L1、L2部分)及び第2の補助電極28bh〜41bhを誘導コイル8,9及びヒータ10寄りに設けたが、この第2の実施例では、補助電極28ah´〜41ah´及び第2の補助電極(これについては図示せず)を、第1の導電体28a〜41a及び図示しない第2の導電体の前記誘導コイル8,9及びヒータ10と反対側に設ける構成とした。
【0046】
この第2の実施例によれば、これら補助電極28ah´〜41ah´及び第2の補助電極の電極面積を誘導コイル8,9及びヒータ10のない部分で広く確保することが可能で、よって、これら補助電極及び第2の補助電極を含めた第1の導電体28a〜41a及び第2の導電体28b〜41bの対向面積を増やすことができて、入力検知精度の低下をさらに確実に防止できる。
【0047】
又、本発明の第3の実施例として示す図9のように導光部材46とフレキシブル基板43との間に保持板51を設けてフレキシブル基板43を保持する構成としても良い。この場合、保持板51には前記光透過部44に対応して光透過孔部51aを形成すると良い。この場合、前記導光部材46には、前記操作部28〜41と対向する面にプリズムシート52を設け、このプリズムシート52に前記光拡散板46aを設ける構成としている。このプリズムシート52は、導光部材46の光を上方(操作部28〜41方向)に変換する作用を有し、光方向変換を良好に行うことができる。このプリズムシート52は第1の実施例構成に追加するようにしても良い。
【0048】
本発明は、上記各実施例に限定されず、次のようにしても良い。
入力検知電極を第1の導電体により形成され、この第1の導電体に対して電気絶縁層を介して対向する第2の導電体を設け、この第2の導電体が前記制御手段に電気的に接続され、前記発光体が、前記第2の導電体の下方に設けられ、前記第2の導電体を、透明電極などの光を透過する材料で構成し、前記電気絶縁層は少なくとも前記抜き孔と対向する部分が光を通す構成としても良い。このようにすれば、第1の導電体と第2の導電体との間に電気絶縁層が存在することで静電結合されており、入力案内用表示部にユーザーの手指が操作のために近接すると、静電容量が変化し、その変化を制御部が検知して前記ユーザーの入力操作の有無を検知する。従って、第1の導電体及び第2の導電体が酸化するようなことがあっても、これら導電体間の静電容量が変化することがないので、操作入力の検知精度が低下することを防止できる。この場合、第2の導電体を設けたことで、光表示が阻害されることが懸念されるが、前記第2の導電体の下部に発光体を設け、該第2の導電体が光を透過する材料から構成したから、入力検知電極の抜き孔から光を支障なく放光させることができる。そして、第2の導電体は光透過材料であるから、この第2の導電体には光透過用の開口(抜き孔)を形成する必要がない。
【0049】
また、入力案内用表示部20AH〜27AHは無くても良い。すなわち、第1の導電体28a〜41aの抜き孔28ad〜41adが、最終的な文字や図形を表示するように形成すれば、表示手段として有効であり、従って、上述の入力案内用表示部20AH〜27AHは無くても良い。この場合、当該表示部を窓状にしたり、あるいは当該表示部を塗装膜16Bごとなくしてもよい。
【0050】
又、上記実施例では、LED47が点灯されているときにのみ光表示できるようにしているが、消灯時に入力案内用表示部20AH〜27AHが半透明層16Aを通して目視できる可能性もあり、このような場合には、トッププレート16を半透明材料で構成したり、光透過可能な黒色に着色したり、あるいは塗装膜16Bを暗色にしたりするようにすると、消灯時において、ユーザーが目視できない状態(ブラックアウト状態)をさらに確実に実現できるようになる。
【0051】
この場合、前記光拡散板46aは、トッププレート16を通過した可視光を吸収する機能を設けても良い。このようにすると、外部からトッププレート16及び半透明層16A並びに塗装膜16Bの入力案内用表示部20AH〜27AHを通した可視光を該光拡散板46aで吸収できて、内部が視認しにくくすることができる。
【0052】
前記半透明層を形成するスパッタや、印刷の方法は、次の公知技術等の種々の方法に基づいて実施すればよい。例えば、特開2007-227402号、特開2004-247186号、特開2008-267633号、特開2008-239405号、特開2008-226608号、特開2008-14552号、特開2003-86337号、特開平10-284238号、特開2008-267633号、特開2008-179537号、特開2006-177628号、特開2006-125645号、特開2005-90906号、特開2005-55005号、特開2004-342609号、特開2004-333102号、特開2004-225950号、特開2004-211910号、特開2004-193050号。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施例を示し、図4のZ−Z線断面図
【図2】加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んで示す斜視図
【図3】トッププレートを省略して示す平面図
【図4】全光表示を示すトッププレートの平面図
【図5】塗装膜部分の平面図
【図6】第1の導電体を示す平面図
【図7】第2の導電体を示す平面図
【図8】本発明の第2の実施例を示す図6相当図
【図9】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0054】
図面中、1はキッチンキャビネット、2は加熱調理器、3は調理器本体、4は開口、8、9は誘導加熱コイル(加熱手段)、10はヒータ(加熱手段)、16はトッププレート、16Aは半透明層(非導電性層)、20AH〜27AHは入力案内用表示部、28〜41は操作部、28a〜41aは第1の導電体、28b〜41bは第2の導電体、42は電気絶縁層、43はフレキシブル基板、44は光透過部、46は導光部材(導光部)、45は発光体、47はLED(光源)、48は制御部(制御手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段と、
この加熱手段の上方に設けられ被加熱物が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートにおける裏面側に設けられた入力検知電極と、
前記入力検知電極に対するユーザーの手指の操作を検知して前記加熱手段を制御する制御手段と、
前記入力検知電極に形成された抜き孔と、
光をこの抜き孔下方から上方へ透過させる発光体とを備え、
前記入力検知電極は、補助電極を有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記入力検知電極は複数設けられ、前記抜き孔は複数の電極にまたがって文字を形成することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記複数の入力検知電極は列状に配置され、列状をなす入力検知電極の前記文字は火力を表示することを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記入力検知電極に対応して表示部が設けられ、前記補助電極は、該表示部を挟んで前記入力検知電極と反対側に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御部は、列状をなす入力検知電極の前記文字のうち、操作された入力検知電極の火力以下の火力に対応する文字を発光させることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記入力検知電極は第1の導電体により形成され、この第1の導電体に対して電気絶縁層を介して対向する第2の導電体を設け、この第2の導電体は前記制御手段に電気的に接続され、前記発光体は、前記第2の導電体の下方に設けられ、前記第2の導電体には、前記入力検知電極の前記抜き孔に対向して当該抜き孔より大きい第2の抜き孔が形成され、前記電気絶縁層は少なくとも前記抜き孔と対向する部分が光を通す構成であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記入力検知電極は第1の導電体により形成され、この第1の導電体に対して電気絶縁層を介して対向する第2の導電体を設け、この第2の導電体は前記制御手段に電気的に接続され、前記発光体は、前記第2の導電体の下方に設けられ、前記第2の導電体は光を透過する材料で構成され、前記電気絶縁層は少なくとも前記抜き孔と対向する部分が光を通す構成であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記電気絶縁層は光透過性を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記第2の導電体に前記入力検知電極の前記補助電極と対向する第2の補助電極を設け、これら補助電極及び第2の補助電極を、前記入力検知電極及び第2の導電体の前記加熱手段寄りに設けたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記第2の導電体に前記入力検知電極の前記補助電極と対向する第2の補助電極を設け、これら補助電極及び第2の補助電極を、前記入力検知電極及び第2の導電体の前記加熱手段と反対側に設けたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記トッププレートの裏面には非導電性層が形成され、この非導電性層の裏面に前記第1の導電体が設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−123379(P2010−123379A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295520(P2008−295520)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】