説明

加熱調理器

【課題】おねばを回収し、蒸気を冷却して復水することができるとともに、コンパクト化の要請を実現した加熱調理器を提供する。
【解決手段】炊飯器100は、被加熱物が入れられる内鍋、及び所定量の水が貯留され、被加熱物から発生する蒸気を冷却して復水することで蒸気を回収する水槽20を収容する下部筐体11と、内鍋を開閉自在に覆い、被加熱物から発生する蒸気を排出するための小穴15が形成されている内蓋13と、内蓋13に形成されている小穴15及び水槽20と連結することで蒸気を水槽20に導びく蒸気導管30と、内蓋13及び蒸気導管30が着脱自在に装着される上部蓋12と、上部蓋12の表面に設けられ、各種入力操作を行なう操作部17と、上部蓋12の表面に設けられ、各種情報を表示する表示部16と、を有し、蒸気導管30は、操作部17及び表示部16の設置位置と重ならない位置に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物(米や水等)を収容した内鍋を加熱することで調理を行なう加熱調理器に関するものであり、特に調理中に発生した蒸気を復水して回収する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、蒸気を、冷却水を収容した容器内に導いて冷却水中に放散させることで復水するようにした炊飯器が存在する。そのようなものとして、「フレームと、このフレーム内に設けた収納ケースと、この収納ケース内に収納自在に設けた内鍋と、前記内鍋を覆う開閉自在な蓋体と、前記フレームの一側に設けた水容器と、前記内鍋内と前記水容器とを連通する蒸気通路とを備え、前記内鍋内から発生する蒸気を前記蒸気通路を介して水容器内に導入し水と接触して液化する電気炊飯器」が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一般的な炊飯器の構造として、使用者が炊飯器を操作するための操作部や、炊飯器の動作状態を使用者に報知するための表示部は、本体天面側に設けることによって使用者の利便性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−192134号公報(第2頁、第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の炊飯器において、内鍋内に発生した蒸気を水容器(以下、水槽と称す)に誘導する為に備えられた蒸気通路(以下、蒸気導管と称す)は、内部に高温の蒸気を通過させるので蒸気導管自体が高温になるものであった。また、内鍋は上方に開口部を備えているのが一般的であることから、蒸気導管は本体の天面側に設けられるので、蒸気導管と操作部や表示部が近い位置に配置されることになり、蒸気導管の温度上昇によって操作部や表示部の温度が上昇し、故障してしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、蒸気導管の温度上昇による操作部や表示部の温度上昇を抑制し、操作部や表示部の温度上昇による故障を回避することができる加熱調理器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を収納する内鍋と、該内鍋を収容する下部筐体と、前記下部筐体の上面を開閉自在に覆う上部蓋と、該上部蓋に設けられ、前記内鍋の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋と、該内蓋に形成され、前記被加熱物から生じる蒸気を前記内鍋内から排出する蒸気排出孔と、前記上部蓋に設けられ、前記蒸気排出孔から排出される蒸気を誘導する蒸気導管と、前記内鍋と併設されるように前記下部筐体の前面側に着脱自在に装着され、前記蒸気導管により導かれる蒸気を回収し復水して貯える水槽と、前記上部蓋の天面の正面側に設けられ、各種入力操作を行なう操作部と、前記上部蓋の天面の正面側に設けられ、各種情報を表示する表示部と、を有し、前記蒸気導管は、前記蒸気排出孔から前記上部蓋の両側の側面のうちの一方の側面に向けて延設される部分と、この部分から前記水槽の上部一端部に向けて前記上部蓋の内部を側面に沿うように延設され、前記上部蓋の天面側から見て前記操作部及び前記表示部と重ならない位置に設置される部分と、を備え、前者の部分と後者の部分とを水平方向に所定の角度で接続して蒸気とともに吹き出すおねばに対しての堰としていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る加熱調理器によれば、蒸気導管を前記上部蓋の天面側から見て前記操作部及び前記表示部と重ならない位置に設置したので、蒸気導管から操作部及び表示部へ熱が伝わりにくくなる。これにより蒸気導管の温度上昇によって操作部及び表示部の温度が上がり、故障することを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の全体構成を示す斜視図である。
【図2】炊飯器の概略内部構成を示す透視斜視図である。
【図3】炊飯器の上部蓋を開口した状態を示す斜視図である。
【図4】上部筐体を下部筐体から取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】蒸気導管の一例を説明するための平面図である。
【図6】実施の形態2に係る炊飯器の概略内部構成を示す透視斜視図である。
【図7】蒸気導管の他の一例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
本実施の形態1では、加熱調理器が炊飯器100である場合を例に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の全体構成を示す斜視図である。図2は、炊飯器100の概略内部構成を示す透視斜視図である。図3は、炊飯器100の上部蓋12を開口した状態の斜視図である。図1〜図3に基づいて、炊飯器100の構成について説明する。この炊飯器100は、被加熱物(米や水等)を入れた内鍋21を誘導加熱コイル等の図示しない加熱手段で加熱することで被加熱物を炊きあげ、このとき発生する蒸気を水槽20で回収するものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
炊飯器100は、調理される被加熱物が入れられる内鍋21と、この内鍋21を加熱する誘導加熱コイル等の加熱手段(図示省略)と、内鍋21及び加熱手段を収容し、支持する下部筐体11と、下部筐体11の後方上部に設けられたヒンジ部14を介して下部筐体11を開閉自在に覆うように取り付けられる上部蓋(上部筐体)12と、上部蓋12の内側に支持され、調理時に内鍋21の上部開口部を閉塞する内蓋13と、所定量の水が貯留され、その水によって蒸気を冷却して復水することで蒸気を回収する水槽20と、内鍋21(詳しくは内蓋13に形成された蒸気排出孔15)と水槽20(詳しくは水槽20上面に設けられた水槽開口部20a)を連通し、内鍋21内に収納された被加熱物から発生した蒸気を水槽20内に導く蒸気導管30と、で構成されている。なお、下部筐体11と上部蓋12とで本体10を構成するようになっている。
【0012】
下部筐体11は、内鍋21及び加熱手段の他に水槽20も収容し、支持するようになっている。図2では、使用者が着脱し易いように水槽20を下部筐体11の前面(正面)側に配置されている場合を例に示している。また、調理中等、内鍋21が閉塞されている状態においては、上部蓋12と下部筐体11とがロックされ、上部蓋12の上方向の移動が規制されている。上部蓋12の一部と下部筐体11の一部が係止することで、上部蓋12と下部筐体11とがロックされるようになっている。上部蓋12と下部筐体11とのロックを解除するためには、上部蓋12の前面(正面)側に設けられているロック解除ボタン18を押し込み、上部蓋12と下部筐体11との係止を解除する。
【0013】
さらに、上部蓋12の表面には、設定状況や運転状態等の各種情報を表示するLED(light−emitting diode:発光ダイオード)や、液晶ディスプレイ、蛍光管、エレクトロルミネセンス、プラズマディスプレイ等で構成された表示部16と、炊飯スイッチや予約スイッチ等の各種操作スイッチで構成され、ユーザからの各種入力操作を受け付ける操作部17とが設けられている。また、ユーザの利便性を考慮して、図示しているように表示部16及び操作部17が上部蓋12の前面(正面)側の表面に設置されていることが望ましい。なお、図1では、表示部16と操作部17とが別々に設けられている場合を例に示しているが、表示部16と操作部17とを操作表示部として設けてもよい。
【0014】
内蓋13には、内鍋21内に収納された被加熱物を加熱手段にて加熱して調理する際に発生する蒸気を内鍋21の外に排出するための蒸気排出孔15が形成されている。この蒸気排出孔15の形状及び個数を特に限定するものではなく、蒸気が通過できるものであればよい。また、内蓋13には、調理時における被加熱物の初期水温や沸騰を検知するための蓋センサー19が設けられている。なお、この蓋センサー19は、内鍋に収容された被加熱物の温度を測定できるものであればよく、特に種類を限定するものではない。ヒンジ部14は、上部蓋12と下部筐体11とを後方(背面)側で接続し、支点となって上部蓋12を前面側に移動できるようにするものである。
【0015】
水槽20は、内部に所定量の水が貯留可能になっており、水槽20の上面に設けられた水槽開口部20aと連通した水槽内蒸気導管20bの開口している一端が、水槽20内の水に水没するように構成されている。水槽開口部20aから水槽20内に誘導された蒸気は、水槽内蒸気導管20bを通過して水槽20内に貯留された水の中に放出され、その水によって蒸気を冷却して復水し回収される。なお、ここでは、水槽20が下部筐体11の前面側に収容されている場合を例に示しているが、これに限定するものではない。蒸気導管30は、両端が開口され、一端が内蓋13に形成された蒸気排出孔15と連通し、他端が水槽20の上面に設けられた水槽開口部20aと連通しており、内鍋21内で発生した蒸気を水槽20まで導通させるものである。また、蒸気導管30は、蒸気に含まれる米のデンプン等の成分を含む粘性のある流体(以下、おねばと称する)を、蒸気と分離し、回収する機能も有している。
【0016】
すなわち、蒸気導管30は、炊飯時に発生する蒸気を、この蒸気とともに導通してくるおねばと分離し、蒸気のみを水槽20へ導くものである。蒸気導管30内に内鍋21側が低くなるように傾斜を設けておけば、回収したおねばを内鍋21へ戻すことができる。この場合、蒸気導管30内部の容積が大きい方がよりおねばを回収することが出来る。
【0017】
また、使用者がアクセスし易い上部蓋12の天面には、表示部16及び操作部17が設置されており、上部蓋12の内部は、蒸気によって高温になる蒸気導管30と温度上昇に弱い表示部16や操作部17が配置される状態となっている。そこで、蒸気導管30は、図2に示すように、上部蓋12の天面側から見て表示部16及び操作部17の設置位置と重ならない位置(上下方向に重複しない位置)に配置している(図3及び図4で詳細に説明する)。これにより、蒸気導管30の熱が表示部16や操作部17に伝わりにくくなるので、蒸気導管30の熱によって表示部16や操作部17が温度上昇し故障することを防ぐことができる。
【0018】
また、内蓋13も内鍋21内の熱や内蓋13内に設けられた保温用ヒータ13aを使用することによって温度上昇するので、表示部16や操作部17は内鍋13から離れた位置に設けるのが良い。特に水槽20は炊飯器100内で温度上昇の少ない部位で、且つ下部筐体11内において内鍋21に併設されているので内鍋21と対向する位置に設置される内蓋13から離れた位置になることから、表示部16及び操作部17を、上部蓋12の天面側から見て少なくとも一部を水槽20と重なる位置に配置することにより、その温度上昇を抑制することが出来る。
更に、蒸気導管30と表示部16及び操作部17の間に図示しない断熱材を設けることによって、更に表示部16や操作部17の温度上昇を抑制することが出来る。
【0019】
図4は、上部蓋12を下部筐体11から取り外した状態を示す斜視図である。図4に基づいて、上部蓋12を詳細に説明する。この図4では、内蓋13が装着された上部蓋12を底面側(下部筐体11側)から見た状態を表している。なお、上部蓋12は、下部筐体11から取り外せるようになっていてもよく、ヒンジ部14で固定されていてもよい。上部蓋12の底面側(下部筐体11側)には凹部が形成されており、ここに内蓋13及び蒸気導管30が着脱自在に装着されるようになっている。なお、図4では、表示部16及び操作部17を省略している。
【0020】
図1〜図4に示すように、上部蓋12の天面(表示部16及び操作部17の形成面)には、蒸気を排出するための排気孔がなく、フラットな形状となっている。これは、蒸気導管30を上部蓋12の内部に装着し、蒸気を水槽20で回収するようになっているからである。すなわち、蒸気排気孔を上部蓋12に設けることなく構成できるので、上部蓋12の外観を凹凸が少なく、すっきりとすることができる。したがって、上部蓋12の清掃性が高まると同時に、上部蓋12の天面が高温蒸気を浴びて変色するということがなくなる。
【0021】
こうすることによって、上部蓋12の材質や塗装色の自由度が高まり、形状によるデザイン性に加えて、色彩によるデザイン性を向上させることができ、よりユーザニーズに対応可能な炊飯器100を提供することができる。たとえば、家具やキッチン等の色彩に合わせた色彩を自由に選択して、その色彩で本体10を構成することができる。また、蒸気導管30を、上部蓋12に着脱自在に構成したので、清掃時には蒸気導管30のみを取り外し、持ち運んで洗うことができ、清掃に要する手間を軽減することができる。
【0022】
また、蒸気導管30を、上部蓋12の正面側に設置されている表示部16及び操作部17を回避するような形状、たとえば蒸気導管30を略L字形状としている。つまり、蒸気導管30は、内蓋13の中心部から上部蓋12の側面に向けて延設された部分と、この部分から略直角に曲げられて上部蓋12の内部側面を水槽20の上部一端部に向けて沿うように延設された部分とで平面形状が略L字形状となっているのである。このような形状とすることで、蒸気導管30を表示部16及び操作部17の設置位置と重ならない位置に装着することが可能になっている。つまり、炊飯器100を真上から透視して見た状態において、蒸気導管30が、表示部16及び操作部17と重ならない位置に装着されるのである。
【0023】
図5は、蒸気導管の一例を説明するための平面図である。図5に基づいて、蒸気導管の一例である蒸気導管30の構成及び機能について詳細に説明する。図5に示すように、蒸気導管30は、略L字形状となっている。このような形状とすることで、上部蓋12の正面側に設置されている表示部16及び操作部17を回避することができる。上述したように、蒸気導管30内部の容積は大きい方が望ましいが設置スペースに限りがあるので、蒸気導管30を略L字形状とすることで、所定の容積を確保しつつ、上部蓋12内部のスペースを有効に利用することができる。
【0024】
この蒸気導管30は、略L字形状となるように曲げられて形成されている。こうすることで、この角部を、内鍋から蒸気とともに吹き出すおねばに対しての堰とすることができる。おねばが蒸気とともに蒸気導管30を導通し、水槽20内に流入することになると、水槽20内が汚れてしまう。水槽20内が汚れ、その状態を放置しておくと、雑菌等が繁殖してしまい、衛生面が悪化する。そこで、蒸気導管30を、おねばの進行方向(水平方向)に向かって所定の角度で曲げることで、おねばの入り込みに対して極めて効果の高い堰を得るようにしている。
【0025】
また、蒸気導管30を略L字形状とすることで、上部蓋12の内部スペースを有効活用することができる。つまり、上部蓋12の使用されていない内部スペースに蒸気導管30を装着し、支持することができるので、上部蓋12の内部スペースの有効活用を図ることができる。したがって、蒸気導管30の装着位置と、表示部16及び操作部17の設置位置とが重ならないように配置することができ、表示部16及び操作部17の設置スペースを広くすることができ、ユーザの使い勝手が大幅に向上する。つまり、大きな文字の操作パネル等を配置することができ、使用できるユーザ層を拡大できる。
【0026】
なお、蒸気導管30を組み立て可能にしておくとよい。この場合、接続部分にシール部材等を設けるようにするとよい。こうしておけば、蒸気導管30を組み立て可能にしても、蒸気導管30の密封度を高めることができるからである。また、蒸気導管30を組み立て可能にしておけば、蒸気導管30の導管内部を容易に露出することができ、専用の清掃器具を用いることなく導管内部を、たとえばユーザの素手等で清掃することができるために清掃性が極めて向上する。さらに、蒸気導管30は、内蓋13の上部に配置され、上部蓋12と内蓋13とで挟持するように構成されている。したがって、清掃時には蒸気導管30のみを取り外し、持ち運んで洗うことができ、清掃に要する手間を軽減することができる。
【0027】
蒸気導管30の両端部には、たとえばシール部材を設けておくとよい。このようにしておけば、蒸気導管30を、シール部材を介して内蓋13及び水槽20から容易に着脱自在に構成できる。蒸気導管30の両端部にシール部材を設ける場合、シール部材は、蒸気導管30側に予め取り付けるようにしてもよいし、内蓋13側の連結部分及び水槽20側の連結部分に予め取り付けるようにしてもよい。また、蒸気導管30を内蓋13に予め取り付け、一体的(非分離)に構成してもよい。こうすれば、内蓋13及び蒸気導管30の付け忘れを効果的に防止することができる。
【0028】
さらに、蒸気導管30の内部底面には、所定の高さの突起部等を設けておくとよい。上述したように、蒸気導管30は、平面形状を略L字形状としておねばに対する堰を構成するようになっている。これに加えて、蒸気導管30のおねば流路に突起部を形成することで、おねばに対しての更なる堰としての機能を発揮させることができる。このようにすれば、蒸気導管30は、おねばの入り込みに対して極めて高い堰効果を有することになる。この突起部は、たとえば蒸気導管30内における蒸気流路の中間部よりも内蓋13側に形成するとよい。
【0029】
また、蒸気導管30の底面を、内部に形成した突起部等に向かって上昇するように傾斜させるとよい。このようにしておけば、突起部等を境界として、蒸気導管30の底面が異なる向きに傾斜、つまり両端に向かって下降するように傾斜させることができる。以上のように、蒸気導管30は、略L字形状としておねばに対する堰を構成するとともに、突起部等を形成したり、底面を傾斜させたりすることで、おねばに対しての堰として機能を効果的に発揮することが可能になる。また、蒸気導管30の底面を傾斜させておけば、おねばを内鍋側に戻すことができるとともに、蒸気導管30内部で結露した水分を水槽20へ導くことができる。したがって、水槽20におねばが流入せず、水槽20の衛生性を維持することができる。
【0030】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る炊飯器200の概略内部構成を示す透視斜視図である。図6に基づいて、炊飯器200の構成について説明する。この炊飯器200は、実施の形態1に係る炊飯器100と同様に被加熱物を入れた内鍋を誘導加熱コイル等の加熱手段で加熱することで被加熱物を炊きあげ、このとき発生する蒸気を水槽内で復水して回収するものである。なお、実施の形態2では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
【0031】
図6に示すように、炊飯器200は、蒸気導管30aの形状が実施の形態1で説明した蒸気導管30の形状と相違している。それ以外の構成は、実施の形態1に係る炊飯器100と同様である。蒸気導管30aは、両端が開口され、一端が内蓋13に形成された蒸気排出孔15と連通し、他端が水槽20と連通することで、内鍋内で発生した蒸気を水槽20まで導通させるものである。この蒸気導管30aは、実施の形態1で説明した蒸気導管30と同様に蒸気に含まれるおねばを、蒸気と分離し、回収する機能を有している。すなわち、蒸気導管30aは、炊飯時に発生する蒸気を、この蒸気とともに導通してくるおねばと分離し、蒸気のみを水槽20へ導くものである。
【0032】
回収したおねばを内鍋へ戻すためには、蒸気導管30a内部の容積が大きい方が望ましい。上部蓋12の表面には表示部16及び操作部17が設置されており、上部蓋12の内部スペースが限られている。そこで、実施の形態1では、蒸気導管30を略L字形状として、上部蓋12の内部スペースを有効活用した場合を例に説明したが、実施の形態2では、更に容積を確保すべく、蒸気導管30aを表示部16及び操作部17の設置位置と重ならない部分で内部流路を拡大するようにしている。
【0033】
つまり、蒸気導管30aは、内蓋13との連結部から上部蓋12の側面に向けて徐々に流路断面積が拡大するように延設された部分と、この部分に連通し、上部蓋12の内部側面を水槽20の上部一端部(水槽20との連結部)に向けて沿うように一定の流路断面積で延設された部分とで構成されているのである。このような形状とすることで、蒸気導管30aを上部蓋12の天面から見て表示部16及び操作部17と重ならない位置に装着することが可能になるとともに、表示部16及び操作部17以外の部分のスペースを有効に活用し、容積を大きくすることができるようになっている。
【0034】
図7は、蒸気導管の他の一例を説明するための平面図である。図7に基づいて、蒸気導管の他の一例である蒸気導管30aの構成及び機能について詳細に説明する。図7に示すように、蒸気導管30aは、流路断面積が徐々に拡大する部分と、流路断面積が一定の部分と、で構成されている。このような形状とすることで、上部蓋12の正面側に設置されている表示部16及び操作部17を回避することができる。上述したように、蒸気導管30a内部の容積は大きい方が望ましいが設置スペースに限りがあるので、このような形状で蒸気導管30aを構成することで、所定の容積を確保しつつ、上部蓋12内部のスペースを有効に利用することができる。
【0035】
蒸気導管30aでは、流路断面積が徐々に拡大する部分から流路断面積が一定の部分に至る角度形成部分で、内鍋から蒸気とともに吹き出すおねばに対しての堰とすることができる。また、蒸気導管30と同様に内部に突起部等を形成したり、底面に傾斜を設けたりすることで、おねばの入り込みに対して極めて効果の高い堰を得ることが可能になる。なお、蒸気導管30aは、蒸気導管30と同様に組み立て可能にしておくとよい。また、蒸気導管30aの両端部にはシール部材等を設けておくとよい。
【0036】
なお、蒸気導管の形状を実施の形態1又は実施の形態2で説明した形状に限定するものではない。すなわち、蒸気導管は、表示部16及び操作部17の設置位置を回避しつつ、上部蓋12の内部スペースを有効活用できるような形状で構成されていればよいのである。また、蒸気導管の設置を実施の形態1又は実施の形態2で説明した位置に限定するものではない。たとえば、図示した位置とは反対位置に蒸気導管を設置するようにしてもよいのである。
また、上記説明では加熱調理器が炊飯器である場合の例について説明したが、本発明の適用は炊飯器に限るものではない。本発明は、発生した蒸気を復水して回収するような様々な加熱調理器に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
10 本体、11 下部筐体、12 上部蓋、13 内蓋、13a 保温用ヒータ、14 ヒンジ部、15 蒸気排出孔、16 表示部、17 操作部、18 ロック解除ボタン、19 蓋センサー、20 水槽、20a 水槽開口部、20b 水槽内蒸気導管、21 内鍋、30 蒸気導管、30a 蒸気導管、100 炊飯器、200 炊飯器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する内鍋と、
該内鍋を収容する下部筐体と、
前記下部筐体の上面を開閉自在に覆う上部蓋と、
該上部蓋に設けられ、前記内鍋の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋と、
該内蓋に形成され、前記被加熱物から生じる蒸気を前記内鍋内から排出する蒸気排出孔と、
前記上部蓋に設けられ、前記蒸気排出孔から排出される蒸気を誘導する蒸気導管と、
前記内鍋と併設されるように前記下部筐体の前面側に着脱自在に装着され、前記蒸気導管により導かれる蒸気を回収し復水して貯える水槽と、
前記上部蓋の天面の正面側に設けられ、各種入力操作を行なう操作部と、
前記上部蓋の天面の正面側に設けられ、各種情報を表示する表示部と、を有し、
前記蒸気導管は、
前記蒸気排出孔から前記上部蓋の両側の側面のうちの一方の側面に向けて延設される部分と、この部分から前記水槽の上部一端部に向けて前記上部蓋の内部を側面に沿うように延設され、前記上部蓋の天面側から見て前記操作部及び前記表示部と重ならない位置に設置される部分と、を備え、前者の部分と後者の部分とを水平方向に所定の角度で接続して蒸気とともに吹き出すおねばに対しての堰としている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記水槽は、
前記加熱調理器の正面側に設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記水槽と、前記操作部及び前記表示部は、
前記上部蓋の天面側から見て少なくとも一部が重なる位置に配置した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
被加熱物を収納する内鍋と、
該内鍋を収容する下部筐体と、
前記下部筐体の上面を開閉自在に覆う上部蓋と、
該上部蓋に設けられ、前記内鍋の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋と、
該内蓋に形成され、前記被加熱物から生じる蒸気を前記内鍋内から排出する蒸気排出孔と、
前記上部蓋に設けられ、前記蒸気排出孔から排出される蒸気を誘導する蒸気導管と、
前記内鍋と併設されるように前記下部筐体の前面側に着脱自在に装着され、前記蒸気導管により導かれる蒸気を回収し復水して貯える水槽と、
前記上部蓋の天面の正面側に設けられ、各種入力操作を行なう操作部と、を有し、
前記蒸気導管は、
前記蒸気排出孔から前記上部蓋の両側の側面のうちの一方の側面に向けて延設される部分と、この部分から前記水槽の上部一端部に向けて前記上部蓋の内部を側面に沿うように延設され、前記上部蓋の天面側から見て前記操作部と重ならない位置に設置される部分と、を備え、前者の部分と後者の部分とを水平方向に所定の角度で接続して蒸気とともに吹き出すおねばに対しての堰としている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
前記水槽は、
前記加熱調理器の正面側に設置されている
ことを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記水槽と前記操作部は、
前記上部蓋の天面側から見て少なくとも一部が重なる位置に配置した
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
被加熱物を収納する内鍋と、
該内鍋を収容する下部筐体と、
前記下部筐体の上面を開閉自在に覆う上部蓋と、
該上部蓋に設けられ、前記内鍋の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋と、
該内蓋に形成され、前記被加熱物から生じる蒸気を前記内鍋内から排出する蒸気排出孔と、
前記上部蓋に設けられ、前記蒸気排出孔から排出される蒸気を誘導する蒸気導管と、
前記内鍋と併設されるように前記下部筐体の前面側に着脱自在に装着され、前記蒸気導管により導かれる蒸気を回収し復水して貯える水槽と、
前記上部蓋の天面の正面側に設けられ、各種情報を表示する表示部と、を有し、
前記蒸気導管は、
前記蒸気排出孔から前記上部蓋の両側の側面のうちの一方の側面に向けて延設される部分と、この部分から前記水槽の上部一端部に向けて前記上部蓋の内部を側面に沿うように延設され、前記上部蓋の天面側から見て前記表示部と重ならない位置に設置される部分と、を備え、前者の部分と後者の部分とを水平方向に所定の角度で接続して蒸気とともに吹き出すおねばに対しての堰としている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
前記水槽は、
前記加熱調理器の正面側に設置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記水槽と前記表示部は、
前記上部蓋の天面側から見て少なくとも一部が重なる位置に配置した
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記蒸気導管は、
前記蒸気排出孔から前記上部蓋の側面に向けて延設される部分における流路断面積を、前記蒸気排出孔から前記上部蓋の側面に向けて徐々に拡大させている
ことを特徴とする請求項1、4又は7に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記蒸気導管は、
その平面形状を略L字形状としている
ことを特徴とする請求項1、4又は7に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記上部蓋の底面に凹部を形成し、
この凹部に前記内蓋及び前記蒸気導管を装着し、前記蒸気導管を前記内蓋と前記上部蓋とで挟持する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記蒸気導管を前記内蓋の上側に予め取り付けている
ことを特徴とする請求項12に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−152470(P2011−152470A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110984(P2011−110984)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【分割の表示】特願2008−210825(P2008−210825)の分割
【原出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】