説明

加熱調理器

【課題】ガスセンサの温度上昇を抑制することができる加熱調理器を得る。
【解決手段】本体20に設けられた加熱室1と、加熱室1内の空気が流入し、該加熱室1内に流出する迂回ダクト25と、加熱室1から排出される空気の臭気成分を検知するガスセンサ15と、本体20内かつ加熱室1外に冷却風を供給する冷却ファン19とを備え、本体20内には、迂回ダクト25の少なくとも一部を冷却風により冷却する冷却風路を設け、ガスセンサ15は、迂回ダクト25内、かつ冷却風により冷却される部分に配置されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器においては、例えば、「…加熱調理中に調理物から調理器庫内に発生する揮発性物質を検出するガス検出手段と、これらを制御する制御手段とを備え、ガス検出手段により検出されたガスの種類により調理物の種類を判定し、判定された調理物の種類に応じて加熱手段の出力を制御できるようにした加熱調理器。」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−254959号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加熱調理器では、例えば特許文献1に示すように、ガス検出手段を加熱室内に設置することでガス検出を行っていた。
【0005】
一般にガス検出手段、いわゆるガスセンサは、抵抗値を計測することによりガス濃度を検知する検知素子や、この検知素子を制御する基板や電子部品などが付属したモジュールとなっている。
しかしながら、このようなガスセンサの耐熱温度は、例えば150℃程度、使用上好ましい温度としては、例えば100℃以下である。
一方で、魚焼ロースターやオーブンなどに代表される加熱調理器では、ガス検出装置を用いた加熱制御は、被加熱物の焼き上がり(仕上がり)状態を検知するにあたり、有効なデバイスであるが、その加熱室内の温度は300℃以上となる場合があり、加熱室内にガス検出手段を設置することができない、という問題点があった。
【0006】
ガスセンサが耐熱温度以上の環境に設置されると、検出精度の低下、部品信頼性の低下、寿命が短縮し、加熱調理器としての品質が低下する。また、ガスセンサを冷却するために、別途、ガスセンサ専用の冷却装置を設ける場合、部品点数の増加による故障確率の上昇、およびコストが増加する、という問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ガスセンサの温度上昇を抑制することができる加熱調理器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、本体に設けられた加熱室と、前記加熱室内の空気が流入し、該加熱室内に流出する迂回ダクトと、前記加熱室から排出される空気の臭気成分を検知するガスセンサと、前記本体内かつ前記加熱室外に冷却風を供給する冷却ファンとを備え、前記本体内には、前記迂回ダクトの少なくとも一部を前記冷却風により冷却する冷却風路を設け、前記ガスセンサは、前記迂回ダクト内、かつ前記冷却風により冷却される部分に配置されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、ガスセンサの温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の内部斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の内部上面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の側断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るガスセンサの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る制御回路の主要部ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るガスセンサ検出信号の時系列グラフの一例である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の側断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の側断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の側断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る迂回風路の上断面図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係るタイミングチャートである。
【図13】本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の側断面図である。
【図14】本発明の実施の形態6に係る加熱調理器の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態1における加熱調理器は、本体20の上面にトッププレート24が設けられ、本体20の中央下部には加熱室1が設けられている。
本実施の形態1における加熱調理器は、トッププレート24上に載置された鍋(図示せず)などを誘導加熱し、煮込み調理などの各種の調理を行う誘導加熱調理と、加熱室1内に魚などの被加熱物を載置し、後述するヒータにて焼き上げるロースター調理とを行う。
なお、本実施の形態1では、加熱調理器として、ロースター付き誘導加熱調理器を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、例えば電気抵抗体等の加熱体により被加熱物を加熱するようにしても良いし、ガスを熱源として被加熱物を加熱するようにしても良い。
【0012】
加熱室1の手前側には、加熱室1を開閉する引き出し式の扉2が設けられている。
この扉2には、とって3が設けられ、とって3を把持して扉2を開閉することにより、加熱室1内への被加熱物の出し入れが可能となる。
【0013】
本体20の後方側には、排気口13が設けられている。
加熱室1内に載置した魚などの被加熱物を後述するヒータにより焼成すると、その焼成状態に従い、臭気や煙などが発生する。この臭気や煙が混合した加熱室1内の空気は、後述する排気ダクト50を通って、本体20後方に設けられた排気口13から排出される。
また、排気口13には、複数の連通孔が形成された排気口カバー14が設置されている。この排気口カバー14は、排気口13の開口に誤って食材などを落とし、不具合が生じるのを防ぐためのものである。
【0014】
本体20の上面手前側には操作パネル23が設けられている。この操作パネル23により、調理の設定操作が行われ、設定入力手段と表示や音による報知手段とを兼ねている。
【0015】
図2は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の内部斜視図である。
図2においては、図1における加熱調理器のトッププレート24を外した状態を示している。
トッププレート24の下には、誘導加熱を実施するための誘導加熱コイル21が2口と、輻射加熱による熱源であるラジエントヒータ26が1口設置されている。
いずれもトッププレート24上に載置された鍋やフライパンなどを加熱することで、食品などを調理するための熱源である。
【0016】
誘導加熱コイル21およびラジエントヒータ26は、中位平面板18をベースとして、中位平面板18の上に設定される。
この中位平面板18は、本体20の上部と下部とを仕切るための板である。
また、中位平面板18の下には加熱室1が配置され、加熱室1から漏洩熱を上部の誘導加熱コイル21等に直接伝えないための遮熱板としての役割も果たしているものである。
【0017】
本体20の後方側には冷却ファン19が左右2つ設置されている。
この冷却ファン19は、本体20内かつ加熱室1外に冷却風を供給する。
図2に示すように、本実施の形態1では、例えば本体20後方の両側から冷却風を吸気し、誘導加熱コイル21、ラジエントヒータ26、および図示しないこれらの駆動電源基板などに冷却風を供給する。これにより各部品の温度を低下させ、製品の信頼性を向上させている。
【0018】
図3は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の内部上面図である。
図3においては、図2における誘導加熱コイル21周辺部分の上面図であり、点線は冷却風の流れを示している。
冷却ファン19により本体20後方より吸気された冷却風は、誘導加熱コイル21の下部を冷却し、その後、ラジエントヒータ26を冷却した後、本体20後方中央に位置する排気口13から排気される構成となっている。
【0019】
また、排気口13には、後述する加熱室1からの排気も本体20下部から導入されているため、上部の誘導加熱コイル21などを冷却した風と、加熱室1から排出される排気が排気口13の出口にて混合されて排出されている。
【0020】
図4は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の側断面図である。
図4においては加熱室1を中心とした面の側断面を示している。
加熱室1内には、加熱源として上ヒータ9と下ヒータ8とが設置されている。
上ヒータ9および下ヒータ8は、例えばシーズヒータからなり、加熱室1内に載置された被加熱物4を加熱する。
なお、上ヒータ9および下ヒータ8は、本発明におけるヒータに相当する。
【0021】
下ヒータ8の下部には、焼成中に被加熱物4から垂れる油を受ける受皿6が設けられている。
受皿6の上には、焼き網7が設置されている。被加熱物4は焼き網7上に載置され、上ヒータ9および下ヒータ8により焼成される。
受皿6、焼き網7、および被加熱物4は、図示しないレール5を介し、加熱室1から引き出し・収納可能となっている。
【0022】
加熱室1の後方側には、加熱室1内の空気を排気する排気ダクト50が設けられている。そして、この排気ダクト50からの排気は、上述した冷却風と合流して排気口13から本体20の外へ排出される。
【0023】
排気ダクト50内には、脱煙触媒17、触媒ヒータ10、排気ファン11が配置されている。
触媒ヒータ10は、脱煙触媒17を加熱するものである。
脱煙触媒17は、被加熱物4の焼成により発生した煙や臭気などの臭気成分の少なくとも一部を酸化分解することで、煙の発生を抑制する。
この脱煙触媒17による脱煙・脱臭性能は、触媒の成分や通過風量、温度等の条件によるが、特定臭気の90〜95%程度を脱臭可能となっている。
排気ファン11は、脱煙触媒17の下流に配置される。
排気ファン11は、ファンモータ12を駆動源とし、該排気ファン11が回転することで、加熱室1内の空気を強制的に排気口13方向へ排気する。
【0024】
図4に示すように、排気口13の内側近傍にはガスセンサ15が配置されている。つまり、排気風路の最下流に取り付けられている。
ガスセンサ15が配置される位置は、点線で示した本体20内の冷却風と、破線で示した加熱室1内の排気とが合流する位置より下流側となっている。
このためガスセンサ15には、加熱室1からの排気と冷却風とが合流した後の風が当たり、ガスセンサ15周辺の空気温度は十分低下することとなる。
なお、ガスセンサ15の設置位置はこれに限るものではなく、排気ダクト50の排気と冷却風とが合流する位置より下流側であれば良い。
【0025】
図5は本発明の実施の形態1に係るガスセンサの斜視図である。
図5に示すように、ガスセンサ15は、電極部15aと、ガス検知部15bと、設置基板15cとから構成されている。
このガスセンサ15は、加熱室1から排出される空気の臭気成分を検知するものである。
設置基板15cは、負荷抵抗や回路電圧を供給する端子などが設けられる。
この設置基板15cには、電極部15aによりガス検知部15bが接続されている。つまり、ガス検知部15bと設置基板15cとが一体で構成されている。
【0026】
ガス検知部15bは、高さ約10mm、外径約8mm程度の大きさである。ガス検知部15bの先端には金属メッシュ内に納められた感ガス素子が埋め込まれており、ガス濃度に応じて素子抵抗が変化する。この素子抵抗の変化を電圧として読み取ることで、臭気成分(ガス)の検知が可能となる。
【0027】
ガスセンサ15が検知する臭気成分(ガス)は、ガス検知部15b内の検知素子により変更可能であり、一例として、アルデヒド類、一酸化炭素、水素、硫化水素、酢酸、アルコールなどの検知が可能である。
このガスセンサ15は、高温での使用は不向きである。ガス検知部15bと設置基板15cとが一体で構成されており、電子部品等の部品信頼性の低下や、寿命が短縮するためである。また、温度上昇により、感ガス素子の抵抗値が変化してしまい検出精度が低下するためである。
具体的には、例えば150℃程度が限界であり、好ましくは例えば100℃以下にて使用することが望ましい。
なお、ガスセンサ15の耐熱温度は、これに限るものではなく、使用するガスセンサ15の種類や形状などにより適宜変化するものである。
【0028】
なお、本発明は耐熱温度が低いガスセンサ15に限るものではなく、例えば耐熱温度が高いガスセンサ15であっても良い。温度上昇を抑制することにより、信頼性や寿命の向上を図ることができるからである。
【0029】
図6は本発明の実施の形態1に係る制御回路の主要部ブロック図である。
図6に示すように、本実施の形態1における加熱調理器の制御回路は、操作パネル23、制御装置32、ガスセンサ15、温度センサ31、制御装置32、記憶装置34、リレー33、電源・制御装置41、およびメイン基板42を有している。
操作パネル23は、入力装置44と報知装置43を有している。
なお、制御装置32は本発明における開閉制御手段、排気制御手段に相当する。
【0030】
入力装置44は、使用者からの調理の命令を受け付けて制御装置32に入力する。
報知装置43は、後述する焼き上がりの終了や、制御状態等を報知する。
温度センサ31は、サーミスタなどで構成され、加熱室1内の温度を検出する。
記憶装置34は、制御情報に関する各種テーブルが記憶されている。
リレー33は、下ヒータ8、上ヒータ9、および触媒ヒータ10などの各種熱源への電源供給や、ファンモータ12の駆動をONOFFする。
電源・制御装置41は、各種熱源やファンモータ12に電力を供給する。
メイン基板42は、制御装置32や電源・制御装置41が搭載される。
【0031】
制御装置32は、入力装置44を介して、使用者からの調理の命令を受け付けた後、リレー33をONOFF制御して、被加熱物4の加熱を開始する。
被加熱物4を良質に調理物として仕上げるには、加熱の強弱や停止を含めて、細かく出力のONOFF制御をする必要がある。このためガスセンサ15および温度センサ31により、逐次状態変化を読み取っている。両センサより読み取った信号に基づき、記憶装置34のテーブルを参照、判定することで、加熱出力の強弱変更や停止など制御を実施する。
また、制御装置32は、リレー33をONOFFさせて、ファンモータ12の駆動を制御し、排気ファン11の運転を制御する。
【0032】
図7は本発明の実施の形態1に係るガスセンサ検出信号の時系列グラフの一例である。
図7においては、ガスセンサ15を図4に示すように設置し、調理時間とガス濃度変化とを取得したものである。また図7において、28aは市販の標準的なししゃも10匹を、加熱室1内で焼成した場合のガス濃度変化を示し、28bは市販の標準的なさば3匹を加熱室1内で焼成した場合のガス濃度変化を示している。
なお、加熱室1内の下ヒータ8および上ヒータ9の合計ヒータ出力は1800Wとした。また、触媒ヒータ10、および排気ファン11は、常時ON状態とした。
【0033】
図7に示すように、脱煙触媒17を通過した後の排気であっても、ガス濃度は十分に検知可能である。
図7の28aに示すようにししゃも10匹を焼成した場合には、時間t1、具体的には約5分にてガス濃度が上昇し、濃度p2に到達以後は変化が小さい状態となり、時間t1+c、具体的には約7分にて良好な焼き上がりとなった。
一方、図7の28bに示すように、さば3匹を焼成した場合には、時間t2、具体的には約8分にてガス濃度が上昇し、濃度p2に到達以後は変化が小さい状態となり、時間t2+c具体的には約10分にて良好な焼き上がりとなった。また、ガス濃度上昇の上限値は28aと比較して小さい値を示した。
【0034】
すなわち、ガス濃度が上昇し、変化が小さくなる状態となった後に時間c、本実験結果においては約2分経過後に、良好な焼き上がりになることが示されており、焼き上がりの終了検知として使用することができる。
また、魚の種類や量に応じて、ガス濃度の上昇値が変化することも示されており、図中に示したp1、p2をあらかじめ記憶装置34に記憶したテーブルを参照することで、魚の種類・量を検知することも可能である。
また、操作パネル23により、魚の種類や匹数、重量を入力することで、より精度を高めた検知も可能となるのである。
【0035】
以上のように本実施の形態においては、ガスセンサ15は、排気ダクト50の排気と冷却風とが合流する位置より下流側に配置されている。このためガスセンサ15には、加熱室1からの排気と冷却風とが合流した後の風が当たり、ガスセンサ15周辺の空気温度が低下することとなる。よって、ガスセンサ15の温度上昇を抑制することができる。
【0036】
また、ガスセンサ15周辺の温度上昇を抑制することで、ガスセンサ15の検出精度の向上、部品信頼性の向上、寿命の延長を図ることができる。また、加熱調理器としての品質の向上が可能となる。
【0037】
また、ガスセンサ15専用の冷却装置を設けることなく、ガスセンサ15の冷却が可能となる。このため、部品点数の削減による故障確率の低減、およびコスト削減による低価格化を実現することが可能となる。
【0038】
また、ガスセンサ15により、被加熱物から発生する臭気成分(ガス)を検知することで、被加熱物の仕上がり状態、とりわけ焦げ状態を検知することを可能とし、仕上がり状態を本体にて自動判別し、終了・報知することができ、使用者が常に加熱調理器の傍にいる必要がなく、利便性を高めることができる。
【0039】
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の側断面図である。
図8においては加熱室1を中心とした面の側断面を示している。
本実施の形態2における加熱調理器においては、ガスセンサ15は、排気口13の外側近傍に配置されている。具体的には、排気口カバー14の外側であって、ガス検知部15bを排気口13方向に向けて設置したものである。
また、ガスセンサ15の本体20手前側には、トッププレート24上の調理物などから発生する油はねなどから保護すべく、ガスセンサカバー16が設置されている。
なお、その他の構成および制御方法は上記実施の形態1と同様であり、同様の構成には同じ符号を付する。
【0040】
以上のように本実施の形態においては、ガスセンサ15は排気口13の外側近傍に配置されている。このため、上記実施の形態1の効果に加え、ガスセンサ15は外気により冷却され、ガスセンサ15の冷却効果を高めることが可能となる。
【0041】
実施の形態3.
図9は本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の側断面図である。
図9においては加熱室1を中心とした面の側断面を示している。
本実施の形態3における加熱調理器においては、本体20内には、排気ダクト50の少なくとも一部を冷却風により冷却する冷却風路を設ける。例えば、図9に示すように、中位平面板18の一部に開口部18aを形成する。これにより、図9の点線で示すように、冷却ファン19から供給される冷却風は、開口部18aを通って排気ダクト50の側面を冷却する。
【0042】
ガスセンサ15は、排気ダクト50内、かつ冷却風により冷却される部分に配置されている。例えば、図9に示すように、排気ダクト50内の排気ファン11と排気口13との経路中であって、開口部18aを通った冷却風により冷却される部分に設置する。
なお、その他の構成および制御方法は上記実施の形態1と同様であり、同様の構成には同じ符号を付する。
【0043】
以上のように本実施の形態においては、ガスセンサ15は、排気ダクト50内、かつ冷却風により冷却される部分に配置されている。このため、排気ダクト50内にガスセンサ15を設置しても、ガスセンサ15の温度上昇を抑制することができる。
【0044】
また、排気ダクト50内にガスセンサ15を設置しているため、加熱室1からの排気と冷却風とが混合する前における臭気成分を検知することができ、ガスセンサ15の検知精度を向上させることができる。
【0045】
実施の形態4.
図10は本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の側断面図である。
図10においては加熱室1を中心とした面の側断面を示している。
本実施の形態4における加熱調理器においては、加熱室1は、加熱室1内の空気が流入し、当該加熱室1内に流出する迂回風路を形成する迂回ダクト25を備える。例えば、図10に示すように、加熱室1の側壁に入り口と出口とを設け、断面長方形の迂回ダクト25を加熱室1の側壁に取り付ける。
【0046】
また、本体20内には、迂回ダクト25の少なくとも一部を冷却風により冷却する冷却風路を設ける。例えば、図10に示すように、中位平面板18の一部に開口部18bを形成する。これにより、図10の点線で示すように、冷却ファン19から供給される冷却風は、開口部18bを通って迂回ダクト25を冷却する。
【0047】
ガスセンサ15は、迂回ダクト25内、かつ冷却風により冷却される部分に配置されている。例えば、図10に示すように、迂回ダクト25内の壁面に設置する。
【0048】
迂回ダクト25により形成される迂回風路には、加熱室1内の空気が流れるため、ガスセンサ15は加熱室1内のガス成分を検知することが可能となる。
また、迂回ダクト25は、冷却風により冷却されるので、迂回ダクト25内にガスセンサ15を設置しても、ガスセンサ15の温度上昇を抑制することができる。
【0049】
図11は本発明の実施の形態4に係る迂回風路の上断面図である。
図11においては加熱室1のガスセンサ15設置部における要部を示している。
図11に示すように、迂回ダクト25には、迂回ダクト25の流入口および流出口をそれぞれ開閉するシャッター40を備える。
なお、本実施の形態では、シャッター40を流入口および流出口それぞれに設けるが、本発明はこれに限らず、流入口および流出口の少なくとも一方を開閉するものでも良い。
なお、シャッター40は、本発明における開閉機構に相当する。
【0050】
このシャッター40は、図示しないモータにより回転駆動する。
制御装置32は、図示しないモータの駆動を制御してシャッター40の開閉を制御する。そして、シャッター40を開閉させることにより、迂回ダクト25により形成された迂回風路を開閉する。なお、図11においては、シャッター40が閉状態を示している。
なお、その他の構成および制御方法は上記実施の形態1と同様であり、同様の構成には同じ符号を付する。
【0051】
このような構成により、制御装置32は、ガスセンサ15によりガス成分をサンプリングする場合には、シャッター40を開いて、加熱室1内空気を迂回ダクト25内に導入する。また、サンプリング不要の場合には、シャッター40を閉じて、加熱室1内空気が迂回ダクト25内に流入するのを阻止する。
このようにシャッター40を開閉することにより、臭気成分の検知精度を向上させつつ、加熱室1内の高温空気よりガスセンサ15を保護することが可能となる。
このようなサンプリング時における動作の詳細について次に説明する。
【0052】
図12は本発明の実施の形態4に係るタイミングチャートである。
図12にはガスセンサ15のサンプリング周期、シャッター40の開閉周期、並びに触媒ヒータ10および排気ファン11のタイミングチャートを示す。
【0053】
制御装置32は、ガスセンサ15により臭気成分を一定周期ごとにサンプリングする。そして、サンプリング状態(図11のON)の周期においては、制御装置32は、シャッター40を開状態にさせる。また、制御装置32は、触媒ヒータ10および排気ファン11を停止させる。
すなわち、サンプリングを実施している最中のみ、加熱室1内の排気および酸化分解を停止させることで加熱室1内のガス濃度を高める。そして、ガス成分の濃度を高めた状態で迂回ダクト25に流入した空気の臭気成分を、ガスセンサ15により検知する。
【0054】
なお、本実施の形態では、触媒ヒータ10および排気ファン11を停止させるが、本発明はこれに限らず、触媒ヒータ10および排気ファン11の少なくとも一方を停止させるようにしても良い。
【0055】
一方、ガスセンサ15のサンプリングを停止した際(図11のOFF)には、制御装置32は、シャッター40を閉状態にさせる。また、制御装置32は、触媒ヒータ10および排気ファン11を可動させる。
すなわち、サンプリングを実施していない場合には、迂回ダクト25は加熱室1内と隔離した状態として、加熱室1内の高温空気よりガスセンサ15を保護する。また、加熱室1内の排気および酸化分解を実施することで、煙の発生を抑制しつつ加熱室1内の空気を強制的に排気する。
これにより、加熱室1内は通常の迂回ダクト25がない加熱室1の状態とすることができ、熱漏洩などを防止することが可能となる。
【0056】
なお、上述したように、迂回ダクト25は、冷却ファン19により供給される冷却風により冷却される。制御装置32は、ガスセンサ15のサンプリング周期に関わらず、冷却ファン19を常時運転させる。
これにより、迂回ダクト25外面近傍には冷却風が常に流れ続けることになり、ガスセンサ15を十分に冷却することが可能となる。
【0057】
以上のように本実施の形態においては、加熱室1は迂回ダクト25を備え、ガスセンサ15は、迂回ダクト25内に配置される。そして、迂回ダクト25は冷却風により冷却される。このため、迂回ダクト25内にガスセンサ15を設置しても、ガスセンサ15の温度上昇を抑制することができる。
【0058】
また、サンプリング状態においては、加熱室1内の排気および酸化分解を停止させる。このため、ガス成分の濃度を高めた状態で迂回ダクト25に流入した空気の臭気成分を検知することができ、ガスセンサ15の検知精度を向上させることができる。
【0059】
また、サンプリングを実施していない場合には、迂回ダクト25は加熱室1内と隔離する。このため、加熱室1内の高温空気よりガスセンサ15を保護することができる。
【0060】
実施の形態5.
図13は本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の側断面図である。
図13においては加熱室1を中心とした面の側断面を示している。
本実施の形態5における加熱調理器においては、ガスセンサ15は、扉2の加熱室1内側に配置される。例えば、図13に示すように、ガスセンサ15は、扉2のとって3に埋め込んで設置する。
とって3は、例えば樹脂素材で形成される。ガスセンサ15は、その背面(設置基板15c側)を加熱室1外側に向けた形で、とって3の内部に設置される。
なお、その他の構成および制御方法は上記実施の形態1と同様であり、同様の構成には同じ符号を付する。
【0061】
以上のように本実施の形態においては、ガスセンサ15は、扉2の加熱室1内側に配置されている。このため、ガスセンサ15は外気により冷却される。よって、ガスセンサ15の温度上昇を抑制することができる。
【0062】
実施の形態6.
図14は本発明の実施の形態6に係る加熱調理器の側断面図である。
図14においては加熱室1を中心とした面の側断面を示している。
本実施の形態6における加熱調理器においては、ガスセンサ15は、加熱室1の外壁のうち、上ヒータ9および下ヒータ8と対向しない外壁面に配置される。例えば、図14に示すように、ガスセンサ15は、上ヒータ9と対向せず、外気と近い加熱室1前面上部に配置される。
【0063】
そして、加熱室1の外壁のうち、ガスセンサ15の配置部分に、当該加熱室1の外側と内側とを連通する通気孔27を設ける。
さらに、ガスセンサ15背面にはガスセンサカバー16を設置し、ガスセンサ15を封止、固定する。
【0064】
以上のように本実施の形態においては、ガスセンサ15は、加熱室1の外壁のうち、上ヒータ9および下ヒータ8と対向しない外壁面に配置される。このため、上ヒータ9および下ヒータ8からの加熱の影響が小さい上に、外気に近い部分にて設置されることから、ガスセンサ15の冷却効果を高めることが可能となる。よって、ガスセンサ15の温度上昇を抑制することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態1〜6では、誘導加熱調理器の例で示したが、誘導加熱調理器に限定しているものではなく、他の熱源を用いる加熱調理器であっても良い。
また、加熱調理器の本体内に設けられ、冷却風により冷却される加熱室1以外の他の熱源や部品は任意のものであっても良い。一例を挙げれば、マイクロ波加熱装置や別の電熱装置、基板部品や筐体、およびそれらの駆動電源基板などを、冷却する冷却風をガスセンサ15の冷却に用いても同様の効果を有することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 加熱室、2 扉、3 とって、4 被加熱物、5 レール、6 受皿、7 焼き網、8 下ヒータ、9 上ヒータ、10 触媒ヒータ、11 排気ファン、12 ファンモータ、13 排気口、14 排気口カバー、15 ガスセンサ、15a 電極部、15b ガス検知部、15c 設置基板、16 ガスセンサカバー、17 脱煙触媒、18 中位平面板、18a 開口部、18b 開口部、19 冷却ファン、20 本体、21 誘導加熱コイル、23 操作パネル、24 トッププレート、25 迂回風路、26 ラジエントヒータ、27 通気孔、28a ガス濃度、28b ガス濃度、31 温度センサ、32 制御装置、33 リレー、34 記憶装置、40 シャッター、41 電源・制御装置、42 メイン基板、43 報知装置、44 入力装置、50 排気ダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に設けられた加熱室と、
前記加熱室内の空気が流入し、該加熱室内に流出する迂回ダクトと、
前記加熱室から排出される空気の臭気成分を検知するガスセンサと、
前記本体内かつ前記加熱室外に冷却風を供給する冷却ファンと
を備え、
前記本体内には、前記迂回ダクトの少なくとも一部を前記冷却風により冷却する冷却風路を設け、
前記ガスセンサは、前記迂回ダクト内、かつ前記冷却風により冷却される部分に配置されたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記迂回ダクトの流入口および流出口の少なくとも一方を開閉する開閉機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記開閉機構の開閉を制御する開閉制御手段を備え、
前記開閉制御手段は、前記ガスセンサにより臭気成分を検知するとき、前記開閉機構を開状態とすることを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−237172(P2011−237172A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161845(P2011−161845)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2008−242657(P2008−242657)の分割
【原出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】