説明

加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物およびその加硫物

【課題】 ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性、耐オゾン性および耐寒性に優れたニトリル共重合体ゴム加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を提供する。
【解決手段】 α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位55〜80重量%を有するニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、アクリル系樹脂または塩化ビニル系樹脂10〜100重量部、充填剤10〜500重量部、可塑剤0.1〜200重量部および加硫剤を含有してなり、脆化温度が−50〜−5℃の加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物により上記課題は解決される。好ましくは、上記可塑剤は、特定化学構造を有する二塩基酸(a)とエーテル結合含有アルコール(b)との二塩基酸エステル化合物(c)からなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性、耐オゾン性および耐寒性に優れたニトリル共重合体ゴム加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、および、共役ジエン単量体単位又はオレフィン単量体単位、を含有するゴム(ニトリル共重合体ゴム)は、耐油性に優れるゴムとして知られており、主に燃料用ホース、ガスケット、パッキン、オイルシールなど自動車の各種油類まわりのゴム製品の材料として用いられている。
最近、世界的な環境保護活動の高まりにより、ガソリンなどの燃料の大気中への蒸散量を削減する取り組みが進んでいる。例えば、日本や欧州ではNO排出が規制され、これに伴って燃料蒸散量の低減が求められており、日本では燃料ホース、シール、パッキンなどの用途においてガソリン透過性が一層低いことが求められている。一方、米国ではカリフォルニア州で2004年から排ガス中の燃料ガス濃度の規制が段階的に強化されている(LEVII)。加えて燃料ホースには、酸敗ガソリン中に発生するフリーラジカルに対する耐性(耐サワーガソリン性)を有することが要求されている。さらに用いられる材料として、耐オゾン性および耐寒性に優れることも重要な要請事項である。
このような状況に対して、特許文献1は、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量(以下、「ニトリル含量」ということがある。)が45重量%以上のいわゆる極高ニトリル(実施例ではニトリル含量が48重量%)のニトリル共重合体ゴムに耐寒性可塑剤の配合量を増大させて、ガソリン透過性および脆化温度をそれぞれ特定の数値以下とした加硫物層を備えた燃料用ゴムホースを提案しているが、ガソリン透過性の低減が十分ではない。特許文献2は、ニトリル含量43〜50重量%のニトリル共重合体ゴムと特定の溶解度パラメーター及び分子量を有する可塑剤と塩化ビニル樹脂とのブレンド物からなる燃料ホース用ゴム組成物を提案した。しかし、これによっても耐ガソリン透過性が不足している上、耐サワーガソリン性も満足できないものである。また、特許文献3は、ガラス転移温度−15〜30℃、ガラス転移温度外挿終了温度70℃以下の超極高ニトリル(超極高ニトリルとは、ニトリル含量55〜80重量%の非常に高いニトリル含量を意味する。)のニトリル共重合体ゴムを提案した。しかし、このゴムはガソリン透過性の低減が期待できても、耐サワーガソリン性まで改善されず、また、耐オゾン性も良好ではない。
そのため、ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性、耐オゾン性および耐寒性に優れたゴム材料が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開平11−304058号公報
【特許文献2】特開2001−72804号公報
【特許文献3】特開2002−206011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性が良好で、しかも耐オゾン性および耐寒性に優れるニトリル共重合体ゴム加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究した結果、超極高ニトリルのニトリル共重合体ゴム、特定の樹脂、可塑剤、充填剤および加硫剤を配合してなる、特定の脆化温度のゴム加硫物を与えるニトリル共重合体ゴム組成物により上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位55〜80重量%を有するニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、アクリル系樹脂または塩化ビニル系樹脂10〜100重量部、充填剤5〜500重量部、可塑剤0.1〜200重量部および加硫剤を含有してなり、脆化温度が−50〜−5℃のゴム加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物が提供される。好ましくは、該可塑剤が下記一般式(1)で表される化学構造を有する二塩基酸(a)と、エーテル結合含有アルコール(b)との二塩基酸エステル化合物(c)からなるものである。
(化1)
HOOCRCOOH (1)
(式中のRは、炭素数2〜10のアルキレン基を表す。)
また、別の本発明によれば、これらの加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を加硫してなるゴム加硫物が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性、耐オゾン性および耐寒性に優れるニトリル共重合体ゴム加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物は、α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位55〜80重量%を有するニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、アクリル系樹脂または塩化ビニル系樹脂10〜100重量部、充填剤5〜500重量部、可塑剤0.1〜200重量部および加硫剤を含有してなり、脆化温度が−50〜−5℃のゴム加硫物を与えるものである。
【0008】
本発明に用いられるニトリル共重合体ゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を55〜80重量%、好ましくは56〜76重量%、より好ましくは57〜72重量%含有する。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎるとゴム加硫物の耐油性が悪化し、ガソリン透過性が高くなるおそれがあり、逆に、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が多すぎると脆化温度が高くなる可能性がある。
【0009】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体はこれらの複数種を併用してもよい。
【0010】
ニトリル共重合体ゴム(A)は、加硫物がゴム弾性を保有するために、通常、ジエン単量体単位またはα−オレフィン単量体単位をも有する。
【0011】
ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの、好ましくは炭素数が4以上の共役ジエン;および;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの、好ましくは炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
【0012】
α−オレフィン単量体としては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
【0013】
ニトリル共重合体ゴム(A)における、ジエン単量体単位またはα−オレフィン単量体単位の合計含有量は、好ましくは45〜20重量%、より好ましくは44〜24重量%、特に好ましくは43〜28重量%である。これらの単量体単位が少なすぎるとゴム加硫物のゴム弾性が低下するおそれがあり、多すぎると耐熱老化性や耐化学的安定性が損なわれる可能性がある。
【0014】
ニトリル共重合体ゴム(A)は、上記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、および、ジエン単量体単位またはα−オレフィン単量体単位以外に、これらと共重合可能な他の単量体単位を、全単量体単位に対して、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下有していてもよい。
【0015】
かかる共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその無水物;(メタ)アクリル酸メチル(アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルの意。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル;マレイン酸モノ(ジ)エチル(マレイン酸モノエチル及びマレイン酸ジエチルの意。)、マレイン酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)エチル、フマル酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)シクロヘキシル、イタコン酸モノ(ジ)エチル、イタコン酸モノ(ジ)ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノ(ジ)エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;ビニルピリジンなどの複素環式芳香族ビニル単量体;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン単量体;N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどの共重合性老化防止剤;などが挙げられる。
【0016】
ニトリル共重合体ゴム(A)のムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は、好ましくは15〜200、より好ましくは30〜120、特に好ましくは45〜100である。ニトリル共重合体ゴム(A)のムーニー粘度が低すぎるとゴム加硫物の強度特性が低下するおそれがあり、逆に、高すぎるとニトリル共重合体ゴム組成物の加工性が低下するおそれがある。
【0017】
上記ニトリル共重合体ゴム(A)の製造方法は特に限定されない。一般的には、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、ジエン単量体またはα−オレフィン単量体、および、必要に応じて加えられるこれらと共重合可能なその他の単量体を共重合する方法が便利で好ましい。重合法としては、公知の乳化重合、懸濁重合、塊状重合および溶液重合のいずれをも用いることができるが、重合反応の制御の容易性からアニオン界面活性剤を用いて行う乳化重合による方法が好ましい。
ニトリル共重合体ゴム(A)は、上記のように共重合して得られた共重合体のジエン単量体単位またはα−オレフィン単量体単位にある不飽和結合部分を水素化(水素添加反応)したものであっても良い。水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
【0018】
上記ニトリル共重合体ゴム(A)の重合方法の一例を以下に示す。重合に供されるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体(m1)と共役ジエン単量体(m2)との全合計100重量%の内、当初(1段目)の重合で60〜85重量%の単量体(m1)と、3〜15重量%の単量体(m2)とが使用される。単量体(m1)が85重量%を越えると、又は単量体(m2)が3重量%未満であると、所定の重合転化率に達する前に単量体(m2)が消失して重合が停止する可能性がある。一方、単量体(m1)が60重量%未満であると、又は単量体(m2)が15重量%を越えると、生成するニトリル共重合体ゴムのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が55重量%未満になるおそれがある。
【0019】
1段目の重合を開始した後、単量体の残部を連続的に供給しても、分割して段階的に供給してもよい。
単量体の残部を連続的に供給して2段目の重合を行う場合、通常、単量体の残部のすべてを1時間以上かけて供給し、重合転化率が50〜80重量%に達した時点で重合を停止する。この2段目の重合においては、連続的に供給する単量体の重量比で50重量%未満の単量体(m1)と50重量%以上の単量体(m2)、好ましくは20〜40重量%の単量体(m1)と60〜80重量%の単量体(m2)とが使用されるが、すべてが単量体(m2)であってもよい。単量体(m2)が50重量%未満であると、所定の重合転化率に達する前に単量体(m2)が消失して重合が停止する可能性がある。
【0020】
2段目以降の重合を単量体の残部を段階的に供給して行う場合、すなわち、3段階の重合の場合、例えば、1段目の重合転化率が10〜30重量%に達した時点で単量体の残部の一部を一時に供給して2段目の重合を行い、重合転化率が30〜50重量%に達した時点で単量体の残部のすべてを一時に供給して3段目の重合を行い、通常、重合転化率が50〜80重量%に達した時点で重合を停止する。また、4段階の重合の場合、1段目、2段目、3段目の重合転化率が、それぞれ10〜30重量%、30〜50重量%、50〜65重量%に達した時点で単量体の残部を順次供給して重合させ、重合転化率が65〜85重量%に達した時点で重合を停止する。更に多段の重合を行うこともでき、各単量体単位の含有量を制御する上では、より多段の重合を行うことが好ましい。
【0021】
上記多段重合において、2段目以降の各段階で一時に供給される単量体は、50重量%未満の単量体(m1)と50重量%以上の単量体(m2)、好ましくは20〜40重量%の単量体(m1)と60〜80重量%の単量体(m2)とが使用されるが、すべてが単量体(m2)であってもよい。単量体(m2)が50重量%未満であると、所定の重合転化率に達する前に単量体(m2)が消失して重合が停止するおそれがある。
【0022】
本発明に用いられるアクリル系樹脂または/および塩化ビニル系樹脂(以下、かかる樹脂を総称して「樹脂P」と記すことがある。)は樹脂を構成する主構成単量体がそれぞれ(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたは塩化ビニルであって、該単量体単位の含有量が好ましくは50〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%である。樹脂Pの平均粒径は、好ましくは0.01μm〜3mm、より好ましくは0.05〜500μm、さらに好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜10μmである。樹脂Pのガラス転移温度は、好ましくは60〜180℃、より好ましくは70〜160℃、特に好ましくは70〜120℃である。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜10である。
【0023】
樹脂Pの平均粒径の測定は、平均粒径が3μm超の場合、樹脂Pの粉末を水に分散し、発振周波数が50kHzの超音波振盪器に1分間かけた後、3分間静置した懸濁液を用いて遠心沈降濁度法により積分粒径分布を求め、累積値50%となる粒径をもって表わす。平均粒径が3μm以下の場合はレーザー回折の散乱式粒子径分布測定装置による。樹脂Pの平均粒径が小さすぎるとゴム加硫物の耐オゾン性が低下するおそれがあり、逆に、大きすぎると混練時に分散不良が発生する可能性がある。
樹脂Pのガラス転移温度が低すぎるとゴム加硫物の機械的強度が低下するするおそれがあり、逆に、高すぎるとゴム加硫物の耐寒性が悪化する(脆化温度が高くなる)可能性がある。なお、樹脂Pがコア−シェル構造を有する場合は、シェルを構成する重合体のガラス転移温度が上記範囲であれば好ましく、その場合は、コアを構成する重合体のガラス転移温度が例えば−20℃のように低くても差し支えない。
【0024】
アクリル系樹脂と塩化ビニル系樹脂とで、分子量または重合度を表す指標として、慣習上別の指標が採用される。すなわち、アクリル系樹脂では、テトラヒドロフランを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算の数平均分子量が、好ましくは10,000〜7,000,000、より好ましくは100,000〜2,000,000である。塩化ビニル系樹脂では、JIS K6721に規定の溶液粘度法による平均重合度が、好ましくは800〜3,000、より好ましくは1,000〜2,000である。
【0025】
樹脂Pが塩化ビニル系共重合体樹脂である場合、主構成単量体である塩化ビニルと共重合可能な他の単量体が用いられるが、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;(メタ)アクリル酸α−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどの水酸基またはアルコキシ基含有不飽和カルボン酸エステル化合物などを挙げることができる。
また、樹脂Pがアクリル系共重合体樹脂である場合、主構成単量体である(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体が用いられるが、上記塩化ビニルと共重合可能な他の単量体からアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを除いたものが例示される。
【0026】
また、樹脂Pは、例えば機械的強度を向上させるために、多官能性単量体0.5〜15重量%を共重合させた架橋重合体であってもよい。
このような多官能性単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどのエポキシ基またはエポキシ基前駆体含有単量体;フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、シアヌル酸トリアリルなどのアリル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸オリゴエチレンなどの多官能アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
【0027】
樹脂Pを製造するための重合方法として特に制限はなく、例えば、乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、懸濁重合などが挙げられる。上記ニトリル共重合体ゴム(A)が乳化重合によりラテックスとして製造される場合は、これと均一に混合することが容易なことから、樹脂Pのラテックスを生成し得る乳化重合、播種乳化重合または微細懸濁重合による方法が好ましい。
樹脂Pを製造するための重合温度に制限はないが、30〜90℃が好ましい。
【0028】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物における樹脂Pの含有量は、ニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対し、10〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部である。樹脂Pの含有量が少なすぎると、ゴム加硫物の耐オゾン性が劣るおそれがあり、逆に、多すぎると硬度が高くなりすぎる可能性がある。
【0029】
本発明に用いられる充填剤は、一般にゴム加工用配合剤として用いられる充填剤であれば限定なく使用でき、1種単独でも2種以上を併用してもよい。かかる充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー等が挙げられるが、ガソリン透過性をより一層低下させることが可能なことから、平均粒径10μm以下で、アスペクト比2〜100のケイ酸マグネシウムが好ましく使用できる。充填剤にはシラン系カップリング剤などを配合することもできる。
【0030】
上記ケイ酸マグネシウムは、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕、分級したうえ焼成したもので、平均粒径が好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下のものである。このようなケイ酸マグネシウムは、通常、二酸化ケイ素と酸化マグネシウムとが主成分であり、pH8〜10、比重2.5〜3.0、表面積1〜30mm/gである。
【0031】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物における充填剤の使用量は、上記ニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して充填剤5〜500重量部、好ましくは10〜400重量部、より好ましくは20〜300重量部、特に好ましくは20〜100重量部である。充填剤の使用量が少なすぎると得られるゴム加硫物はガソリン透過性が大きかったり、耐サワーガソリン性が不十分になったりするおそれがあり、逆に、使用量が多すぎると加硫物の伸びが低下する可能性がある。
【0032】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物が含有する可塑剤としては、従来ゴム配合用の可塑剤として慣用されているものが限定なく使用され、1種単独でも2種以上を併用してもよい。可塑剤としては、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニルなどのアジピン酸ジアルキルエステル化合物;アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジn−ヘキシルなどのアゼライン酸ジアルキルエステル化合物;セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)などのセバシン酸ジアルキルエステル化合物;フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸ジアルキルエステル化合物;イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジイソオクチルなどのイソフタル酸ジアルキルエステル化合物;テトラヒドロフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、テトラヒドロフタル酸ジn−オクチル、テトラヒドロフタル酸ジイソデシルなどのテトラヒドロフタル酸ジアルキルエステル化合物;トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリn−ヘキシル、トリメリット酸トリイソノニルなどのトリメリット酸トリアルキルエステル化合物;下記一般式(1)で表される化学構造(「COOH」はカルボキシル基を表す。)を有する二塩基酸(a)とエーテル結合含有アルコール(b)との二塩基酸エステル化合物(c);などが挙げられるが、本発明の効果がより一層顕著になることから、二塩基酸エステル化合物(c)が好ましい。
(化2)
HOOCRCOOH (1)
(式中のRは炭素数2〜10のアルキレン基を表す。)
【0033】
上記二塩基酸エステル化合物(c)の一方の原料成分である上記一般式(1)で表される二塩基酸(a)〔以下、「二塩基酸(a)」と記すことがある。〕のアルキレン基Rは、直鎖状のものが好ましく、炭素数は2〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。二塩基酸(a)の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸などが挙げられる。
【0034】
また、上記二塩基酸エステル化合物(c)の他方の原料成分であるエーテル結合含有アルコール(b)〔以下、アルコール(b)という場合がある。〕は、炭素数が好ましくは4〜10、より好ましくは6〜8のものであり、一価のアルコールが好ましい。アルコール(b)の分子に含有されるエーテル結合の数は好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。好ましいアルコール(b)の具体例としては、メトキシプロピルアルコール、エトキシエチルアルコール、プロポキシメチルアルコールなどの炭素数4でエーテル結合数1のアルコール;ジメトキシエチルアルコール、メトキシエトキシメチルアルコールなどの炭素数4でエーテル結合数2のアルコール;メトキシブチルアルコール、エトキシプロピルアルコール、プロポキシエチルアルコールなどの炭素数5でエーテル結合数が1のアルコール;ジメトキシプロピルアルコール、メトキシエトキシエチルアルコール、ジエトキシメチルアルコールなどの炭素数5でエーテル結合数2のアルコール;ブトキシエチルアルコール、プロポキシプロピルアルコール、エトキシブチルアルコール、メトキシペンチルアルコールなどの炭素数6でエーテル結合数1のアルコール;ジメトキシブチルアルコール、メトキシエトキシプロピルアルコール、ジエトキシエチルアルコールなどの炭素数6でエーテル結合数2のアルコール;ブトキシプロピルアルコール、プロポキシブチルアルコール、エトキシペンチルアルコール、メトキシヘキシルアルコールなどの炭素数7でエーテル結合数1のアルコール;ジメトキシペンチルアルコール、メトキシエトキシブチルアルコール、メトキシプロポキシプロパノールなどの炭素数7でエーテル結合数2のアルコール;ペントキシプロピルアルコール、ブトキシブチルアルコール、プロポキシペンチルアルコール、エトキシヘキシルアルコール、メトキシヘプチルアルコールなどの炭素数8でエーテル結合数1のアルコール;ブトキシエトキシエチルアルコール、ジプロポキシエチルアルコール、プロポキシエトキシプロピルアルコール、エトキシプロポキシプロピルアルコール、メトキシブトキシプロピルアルコール、ジエトキシブチルアルコールなどの炭素数8でエーテル結合数2のアルコール;などが挙げられる。
【0035】
二塩基酸エステル化合物(c)としては、二塩基酸(a)とアルコール(b)とを任意に組み合わせて得られるものを用いることができる。通常、モノエステル化合物及びジエステル化合物が用いられるが、好ましいのはジエステル化合物である。好ましいジエステル化合物の具体例としては、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)(「ジ(ブチルジグリコール)アジペート」ともいう。)などが挙げられ、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)が特に好ましい。
【0036】
加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物に可塑剤を含有させる方法としては、ニトリル共重合体ゴム(A)のラテックスと可塑剤のエマルションとの混合液を調製して、該混合液を凝固及び乾燥させて固形の混合物とする方法を採ることが両者を均一に混合し得て好ましい。上記方法を採用した場合、可塑剤のブリードが起こり難いことに加え、ガソリン透過性が小さく、脆化温度が低く、耐サワーガソリン性および耐オゾン性に優れたゴム加硫物が得られ易い。
加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物の可塑剤の含有量は、ニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対し、0.1〜200重量部、好ましくは1〜140重量部、特に好ましくは5〜80重量部である。可塑剤含有量が少なすぎるとゴム加硫物の脆化温度が高くなるおそれがあり、逆に、多すぎると、得られるゴム加硫物はブリードを起こすおそれがある。
【0037】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物が含有する加硫剤は、ニトリル共重合体ゴムの加硫剤として通常使用されるものであれば限定されない。好ましい加硫剤としては、硫黄系加硫剤または有機過酸化物加硫剤が挙げられ、中でも、硫黄系加硫剤がより好ましい。
【0038】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄及び不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド及び高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物などが挙げられる。
【0039】
硫黄系加硫剤を用いる場合には、亜鉛華、ステアリン酸などの加硫助剤;グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系などの加硫促進剤を使用することができる。これらの加硫助剤及び加硫促進剤の使用量は特に限定されず、ニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で使用することができる。
【0040】
有機過酸化物加硫剤としては、例えば、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−及び1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0041】
有機過酸化物加硫剤を用いる場合には、加硫助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性単量体などが用いられる。これらの加硫助剤の配合量は特に限定されないが、ニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部の範囲で使用することができる。
【0042】
加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物の加硫剤含有量に限定はないが、ニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
【0043】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物には、その他必要に応じて加硫遅延剤、老化防止剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤を配合してもよい。
【0044】
老化防止剤としては、フェノール系、アミン系、ベンズイミダゾール系、リン酸系などの老化防止剤を使用することができる。フェノール系では、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが、アミン系では、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが、ベンズイミダゾール系では2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上併せて使用される。
【0045】
また、加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ニトリル共重合体ゴム(A)以外のゴムを配合してもよい。上記ニトリル共重合体ゴム(A)以外のゴムには特に限定がない。その例としては、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどを挙げることができる。これらのゴムを配合する場合には、上記以外の加硫剤として、例えば、金属石けん/硫黄系加硫剤、トリアジン/ジチオカルバミン酸塩系化合物、ポリカルボン酸/オニウム塩系化合物、ポリアミン系化合物(ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミンカルバメートなど)などを必要に応じて併用することができる。
【0046】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、加硫剤および熱に不安定な加硫助剤などは加硫直前に混合する。そのため、先ずニトリル共重合体ゴム(A)に、加硫剤および加硫助剤などを除いた、樹脂P、充填剤、可塑剤、老化防止剤、補強剤などの成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練し、次いでロールなどに移して加硫剤等を加えて二次混練する。
本発明において好ましい混合方法は、ニトリル共重合体ゴム(A)および樹脂Pとしてそれぞれ乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合などによって平均粒径が好ましくは0.05〜10μmの重合体ラテックスとして得たものを用い、両ラテックスを混合し、さらに好ましくは前記したように可塑剤をエマルションとしてこれに加えて混合してから塩析、ろ過、洗浄、次いで乾燥することにより、先ずゴム−樹脂混合物、もしくはこれに可塑剤を加えた混合物を得、この混合物に対して上記の手順で他の成分を混練することである。この方法を採ると、ニトリル共重合体ゴム(A)および樹脂Pがミクロの構造で均一に混合して、ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性および耐オゾン性に優れ、しかも脆化温度が低いゴム加硫物が得られ易い。
【0047】
本発明の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物のムーニー粘度(以下、「コンパウンドムーニー粘度」と記すことがある。)〔ML1+4(100℃)〕は、好ましくは5〜200、より好ましくは5〜50である。
【0048】
本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は、上記のようにして調製された加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を加硫することによって得られる。加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を加硫するには、得ようとするゴム加硫物の形状に対応した成形機、例えば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、また、加硫反応により加硫物の形状を固定化する。予め成形した後に加硫しても、成形と同時に加硫を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。加硫温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、加硫時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
【0049】
また、上記ゴム加硫物は、その形状、大きさなどによっては、表面が加硫していても内部まで十分に加硫していない場合があるので、さらに加熱して二次加硫を行ってもよい。
【0050】
本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は、ガソリン透過性が小さい(耐ガソリン透過性に優れる)。例えば、イソオクタン/トルエンの容量比が1/1である燃料油Cを用いてアルミカップ法(実施例の試験法参照)によって測定されるガソリン透過性は、好ましくは200g・mm/m・day以下、より好ましくは150g・mm/m・day以下、特に好ましくは100g・mm/m・day以下である。ガソリン透過性が大きすぎると、燃料用ホースなどに求められる低ガソリン透過材料として不適である。
【0051】
また、本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は耐サワーガソリン性が高い。例えば、劣化ガソリンに相当する液としてジラウロイルペルオキシド3重量%溶解燃料油を用いる有機過酸化物添加法の試験(実施例の試験法参照)による360時間後の試験片にはクラックが観察されないことが好ましい。クラックが観察されるゴム加硫物は、燃料用ホースなどに求められる耐サワーガソリン性の高い材料として好ましくない。
【0052】
本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は、耐オゾン性に優れる長所を有する。例えば、シート状架橋物を打抜いた試験片を、JIS K6259に準じて40℃、オゾン濃度50pphm、40%伸長で、240時間置いた後の状態がNC(クラックの発生が認められない)であることが好ましい。
【0053】
本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は、JIS K6301による脆化温度が好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−35〜−7℃、特に好ましくは−25〜−10℃である。脆化温度が低すぎるとゴム加硫物のガソリン透過性が高くなるおそれがあり、逆に、高すぎると低温環境下での使用が困難となる可能性がある。
【0054】
本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物はガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性に優れるので、該ゴム加硫物からなる層(I)を内層とする積層体からなるホースは、該ゴム加硫物単体からなるホースと同様に、燃料用ホースなどとして好適に用いられる。
【0055】
上記積層体において、他の層(II)としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位5〜55重量%、好ましくは18〜45重量%であるニトリル共重合体ゴム(L)及び該ゴム(L)100重量部に対して可塑剤(M)0〜100重量部、好ましくは4〜90重量部含有量してなる、脆化温度が−70〜−10℃、好ましくは−60〜−14℃、より好ましくは−50〜−18℃である層が、ガソリン透過性の上昇が少ないので好ましい。ここで、各層の厚みは、層(I)が好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.2〜5mmであり、層(II)が好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.2〜5mmである。
層(I)の材料のみからなる厚いゴム材料の代わりに、全体の厚みがこれと同様の上記の層(I)及び層(II)からなる積層体とにすることにより、層(I)の有する低ガソリン透過性と、層(II)の有する低脆化温度特性を高度にバランスさせることができる。
このような積層体からなる、少なくとも層(I)を内層とする二層以上の多層ホースは、燃料用ホースとして好適である。
【0056】
本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は、ガソリン透過性が小さく、耐サワーガソリン性、耐オゾン性および耐寒性に優れる。そのため、例えば、該ゴム加硫物単層からなる燃料ホースとして、また、該ゴム加硫物を内層に有する多層構造の燃料ホースとして有用である。また、優れた耐ガス透過性を備えており、その透過を十分に抑えることができる。このガスとしては、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ジメチルエーテル、LPG等が挙げられる。
また、本発明のニトリル共重合体ゴム加硫物は、シール用途(パッキン、ガスケット、ダイヤフラム等)にも好適に使用することができる。
【実施例】
【0057】
以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において、特記しない限り「部」は重量基準である。なお、試験、評価は以下によった。
(1)アクリロニトリル単量体単位の含有量(重量%)
JIS K6384に従い、ケルダール法によって測定したニトリル共重合体ゴム中の窒素含量から計算により求めた。
(2)ポリマームーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕
JIS K6300によって測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差熱分析計によって測定した。
(4)数平均分子量(Mn)
THFを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける、対応する標準ポリスチレンの数平均分子量で表現した。
【0058】
(5)コンパウンドムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕
ニトリル共重合体ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度をJIS K6300に従って測定した。
【0059】
(6)常態物性(引張強さ、伸び、100%引張応力)
ニトリル共重合体ゴム組成物を縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、加圧しながら160℃で20分間プレス成形してシート状ゴム加硫物を得た。得られたシート状ゴム加硫物をJIS3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。これらの試験片を用いて、JIS K6251に従い、加硫物の引張強さ、伸び及び100%引張応力を測定した。
(7)常態物性(硬さ)
上記(6)と同様にして得たシート状ゴム加硫物につき、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機タイプAを用いて加硫物の硬さを測定した。
【0060】
(8)脆化温度(℃)
上記(6)と同様にして得たシート状ゴム加硫物につき、JIS K6301に従い、脆化温度を測定した。脆化温度が低いほど、耐寒性に優れる。
【0061】
(9)浸漬試験(体積変化率)
JIS K6258に従い、燃料油C(イソオクタンとトルエンとを容積比1:1で混合したもの)または燃料油CE−20(燃料油Cとメタノールとを容積比80:20で混合したガソホール)の中に、上記(6)と同様にして得た試験片を40℃で48時間浸漬し、浸漬前後の体積の変化率(単位:%)を測定した。
【0062】
(10)ガソリン透過性
燃料油C(上記参照)および燃料油CE−20(上記参照)について、アルミカップ法によりそれぞれガソリン透過性を測定した。アルミカップ法とは、100ml容量のアルミニウム製のカップに50mlの燃料油Cまたは燃料油CE−20を入れ、これに上記(6)と同様にして得た試験片で蓋をし、締め具で該試験片によりアルミカップ内外を隔てる面積が25.50cmになるように調整し、該アルミカップを23℃の恒温槽内にて放置し24時間毎に重量測定することにより24時間毎の油の透過量を測定し、その最大量を透過量とするものである。(単位:g・mm/m・day)
なお、ガソリン透過量が少ない程、耐ガソリン透過性に優れる。
【0063】
(11)耐サワーガソリン性試験
燃料油Cにジラウロイルペルオキシド3重量%を溶解させた試験油の中に上記(6)と同様にして得た試験片を40℃で浸漬し、360時間経過後(試験油は週2回新規のものと交換)の試験片のJIS K6253に従った引張り試験による、伸長時におけるクラック(「エロンゲーションクラック」という)発生の有無を観察した。クラックが無ければ、耐サワーガソリン性に優れる。
【0064】
(12)耐オゾン性
上記(6)と同様にして得たシート状架橋物を打抜いて試験片を得、JIS K6259に準じて40℃、オゾン濃度50pphm、40%伸長で、240時間置いた後の状態を評価した。評価は、次の略号で示した。
NC:クラックの発生が認められない。
B1、C2:クラック発生数の程度をアルファベットで表し、Aに比べてBが多く、Bに比べてCが多い。また、クラックの大きさを数字で表し、数が大きいほど大きさが大きい。
CUT:サンプルが破断したことを示す。
【0065】
(製造例1)ニトリル共重合体ゴム(a)のラテックスの製造
反応容器に、水240部、アクリロニトリル68.2部、1,3−ブタジエン8.4部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化剤)2.5部を仕込み、温度を5℃に調整した。次いで、気相を減圧して十分に脱気してからラジカル開始剤としてパラメンタンヒドロペルオキシド0.06部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.02部、硫酸第一鉄(7水塩)0.006部及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.06部並びにt−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)1部を添加して乳化重合の1段目の反応を開始した。重合転化率が28重量%、47重量%、61重量%及び72重量%に達した時点で、反応容器に1,3−ブタジエンをそれぞれ6.9、6.3、5.5及び4.7部追加して2段目、3段目、4段目及び5段目の重合反応を行った。その後、重合転化率が80重量%に達した時点でヒドロキシルアミン硫酸塩0.3部と水酸化カリウム0.2部を添加して重合を停止させた。次いで、反応容器の内容物を70℃に加温し、減圧下に水蒸気蒸留により未反応の単量体を回収してニトリル共重合体ゴム(a)のラテックス(固形分26重量%)を得た。ニトリル共重合体ゴム(a)のアクリロニトリル単量体単位の含有量は58.6重量%であり、ポリマームーニー粘度は98であった。
【0066】
(製造例2)ニトリル共重合体ゴム(b)のラテックスの製造
反応容器に、水250部、アクリロニトリル60部、1,3−ブタジエン20部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン1部および硫酸第一鉄0.008部を仕込み、気相を減圧して十分に脱気した後、パラメンタンヒドロペルオキシド0.03部を仕込み、10℃で乳化重合を開始した。仕込み単量体に対する重合転化率が42および60重量%に達した時点で1,3−ブタジエンをそれぞれ10部添加し、仕込み全単量体に対する重合転化率が74重量%に達した時点で、反応容器に0.3部のヒドロキシルアミン硫酸塩と0.2部の水酸化カリウムを添加して重合を停止させた。その後、製造例1と同様にして水蒸気蒸留を行って、ニトリル共重合体ゴム(b)のラテックスを得た。ニトリル共重合体ゴム(b)のアクリロニトリル単量体単位含有量は49重量%、ポリマームーニー粘度は86であった。
【0067】
(製造例3)アクリル系樹脂のラテックスの製造
温度計、撹拌装置を備えた反応器に、イオン交換水150部、オクチル硫酸ナトリウム2部、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.3部、メタクリル酸メチル80部、アクリロニトリル20部およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.05部を入れ、攪拌しながら温度80℃にて乳化重合を開始し、5時間後に反応を停止してラテックスを得た。得られたアクリル系樹脂(p1)ラテックスの濃度は39重量%で重合転化率は98重量%であった。アクリル系樹脂(p1)の平均粒径は0.2μmであり、数平均分子量は600,000、ガラス転移温度は103℃であった。
【0068】
(製造例4)塩化ビニル系樹脂のラテックスの製造
耐圧反応容器に、水120部、ラウリル硫酸ナトリウム0.8部および過硫酸カリウム0.06部を仕込んで、減圧脱気を2回くり返した後、塩化ビニルを100部仕込み、攪拌しつつ加温して47℃にて乳化重合を行った。重合転化率が90%に達した後、室温に冷却して未反応単量体を除去した。得られた塩化ビニル樹脂(p2)ラテックスの濃度は41重量%であった。塩化ビニル樹脂(p2)の平均粒径は0.3μmであり、JIS K6721による平均重合度は1,800、ガラス転移温度は78℃であった。
【0069】
(実施例1)
アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)(製品名「アデカサイザーRS−107」、旭電化工業社製、可塑剤)50重量%の水性エマルションを、乳化剤としてオレイン酸カリウムを同可塑剤の2重量%使用して強撹拌下で混合して調製した。
ニトリル共重合体ゴム(a)ラテックスを容器内で撹拌しつつ、該ラテックスの固形分(重合体)100部に対して、アクリル系樹脂(p1)のラテックス52.6部(樹脂は20部)を、また、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)を含有する上記エマルション70部(可塑剤は35部)を加えて混合した後、この混合液をその固形分に対して4重量%となる量の塩化カルシウム(凝固剤)を含有する水溶液に、撹拌下で注ぎ入れて重合体を凝固させた。これを濾別してクラムを回収し、水洗した後、60℃で減圧乾燥してニトリル共重合体ゴム(a)、アクリル系樹脂(p1)及び可塑剤の混合物を得た。
次いで、バンバリーミキサを用いて、該混合物中のニトリル共重合体ゴム(a)100部に対して、ケイ酸マグネシウム(製品名「ミストロンCB」、日本ミストロン社製、平均粒径2μm、アスペクト比12)25部、FEFカーボンブラック(製品名「シーストSO」、東海カーボン社製)10部、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(製品名「ノクラック810NA」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)2.4部、固形パラフィン(特殊ワックス、製品名「サンノック」、大内新興化学工業社製、日光亀裂防止剤)1.2部、並びに、加硫助剤の亜鉛華6部およびステアリン酸1.2部を添加して50℃にて混合した後、この混合物をロールに移してテトラメチルチウラムジスルフィド(製品名「ノクセラーTT」、大内新興社製、加硫剤)1.8部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(製品名「ノクセラーCZ」、大内新興社製、加硫促進剤)1.8部、および、325メッシュ硫黄0.6部を添加して50℃で混練し、加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。
加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物のコンパウンドムーニー粘度と、該組成物を加硫して得た加硫物について常態物性、脆化温度、ガソリン浸漬試験、ガソリン透過性、耐サワーガソリン性および耐オゾン性を試験、評価した結果をに記す。
【0070】
(実施例2)
実施例1において、アクリル系樹脂(p1)のラテックス52.6部(樹脂は20部)を塩化ビニル樹脂(p2)のラテックス109.8部(樹脂は45部)に、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)を含有する前記エマルション70部(可塑剤は35部)を90部(可塑剤は45部)に変えた以外は同様にして凝固、水洗、乾燥してニトリル共重合体ゴム(a)、塩化ビニル樹脂(p2)およびび可塑剤の混合物を得た。 次に混練に際して、ケイ酸マグネシウムを45部に、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを2.9部に、固形パラフィンを1.5部に、亜鉛華を7部に、ステアリン酸を1.5部に、テトラメチルチウラムジスルフィドを2.2部に、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを2.2部に、325メッシュ硫黄を0.7部にそれぞれ増量した他は実施例1と同様に行って加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。これについて実施例1と同様の項目につき試験、評価を行った結果をに記す。なお、混練に際して増量した品目について、表1に固形パラフィン以外はそれらの記載を割愛した。
【0071】
(比較例1)
実施例1において、ニトリル共重合体ゴム(a)ラテックスに代えてニトリル共重合体ゴム(b)ラテックスを用いた他は実施例1と同様に行って加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。実施例1と同様の項目につき試験、評価を行った結果を表1に記す。
【0072】
(比較例2)
実施例2において、ニトリル共重合体ゴム(a)ラテックスに代えてニトリル共重合体ゴム(b)ラテックスを用い、ケイ酸マグネシウムを35部に、固形パラフィンを1部に変更した以外は実施例2と同様に行って加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。実施例1と同様の項目につき試験、評価を行った結果を表1に記す。
【0073】
(比較例3)
ニトリル共重合体ゴム(a)ラテックスに代えてニトリル共重合体ゴム(b)ラテックスを用い、アクリル系樹脂(p1)のラテックスおよびアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)のエマルションを混合せず、ケイ酸マグネシウムを添加せず、FEFカーボンブラック(製品名「シーストSO」、東海カーボン社製)を30部に増量し、固形パラフィンを2部に増量した他は実施例1と同様にして加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。実施例1と同様の項目につき試験、評価を行った結果を表1に記す。
【0074】
(比較例4)
アクリル系樹脂(p1)のラテックスおよびアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)のエマルションを混合せず、FEFカーボンブラックを添加しないで、ケイ酸マグネシウムを100部に増量し、固形パラフィンを2部に増量した他は実施例1と同様にして加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。実施例1と同様の項目につき試験、評価を行った結果を表1に記す。
【0075】
(比較例5)
アクリル系樹脂(p1)のラテックスおよびアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)のエマルションを混合せず、ケイ酸マグネシウムを添加せず、FEFカーボンブラックを40部に増量し、固形パラフィン2部に増量した他は実施例1と同様に行って加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を調製した。実施例1と同様の項目につき試験、評価を行った結果を表1に記す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1が示すように、本発明の要件を満たす加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物は、コンパウンドムーニーが適度に低くて加工しやすく、該ゴム組成物を加硫して得られるゴム加硫物は十分な常態物性および低い(−10℃以下)脆化温度を有し、ガソリン透過性が小さく(従って耐ガソリン透過性に優れ)、耐サワーガソリン性にも優れており、また、耐オゾン性が極めて良好であった(実施例1、2)。
これに対して、ニトリル共重合体ゴムのニトリル含量が低いために本発明の要件を満たさない加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を用いた場合、ガソリン透過性が劣った(比較例1、2)。また、ニトリル共重合体ゴムのニトリル含量が低く、樹脂Pおよび可塑剤を含有しないために本発明の要件を満たさない加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を用いた場合、コンパウンドムーニーが高くて加工性が悪くなる上に、ゴム加硫物は耐サワーガソリン性および耐オゾン性に劣った(比較例3)。
樹脂Pおよび可塑剤を含有しないために本発明の要件を満たさない加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を用いた場合、ゴム加硫物は脆化温度が高く、耐サワーガソリン性が劣る場合があり、耐オゾン性が悪化した(比較例4および5)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
α、β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位55〜80重量%を有するニトリル共重合体ゴム(A)100重量部に対して、アクリル系樹脂または塩化ビニル系樹脂10〜100重量部、充填剤5〜500重量部、可塑剤0.1〜200重量部および加硫剤を含有してなり、脆化温度が−50〜−5℃のゴム加硫物を与える加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物。
【請求項2】
前記可塑剤が、下記一般式(1)で表される化学構造を有する二塩基酸(a)とエーテル結合含有アルコール(b)との二塩基酸エステル化合物(c)からなるものである請求項1記載の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物。
(化1)
HOOCRCOOH (1)
(式中のRは、炭素数2〜10のアルキレン基を表す。)
【請求項3】
請求項1または2に記載の加硫性ニトリル共重合体ゴム組成物を加硫してなるニトリル共重合体ゴム加硫物。


【公開番号】特開2007−277341(P2007−277341A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103258(P2006−103258)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】