説明

助手席用エアバッグ装置

【課題】Pos.1位置やPos.2位置に助手席に乗車した乗員の頭があった場合やチャイルドシートの背もたれ部分が存在した場合であっても、前記各位置に対応して乗員やチャイルドシートに作用するモーメントを弱め、しかも、エアバッグの飛び出し力を減衰させることができ、更に、軽量・安価にて乗員に対する低加害の助手席用エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】エアバッグ10の膨張展開時に、Pos.2位置にいるダミー頭部20aに対しては、エアバッグ10の膨出側10aを上方側から下方側に向かって覆っているフロントフラップ11によって、ダミー頭部20aが前傾するのを抑制し、Pos.1位置にいるダミー頭部20aに対しては、エアバッグ10の膨出側10aを下方側から上方側に向かって覆っているリアフラップ12によって、ダミー頭部20aが急激に後傾するのを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、助手席用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
助手席用エアバッグ装置は、車両の衝突時にエアバッグが膨張展開して、助手席に搭乗した乗員の胸部中央部と頭部とを乗員の前方から拘束することで、乗員に対する安全性の確保を行うことを目的として用いられている。
【0003】
特に、助手席用エアバッグ装置は、助手席に搭乗した乗員が正しい乗車位置に座しているときに、エアバッグが膨張展開することで乗員に対する安全性を確保することができるように設計されており、エアバッグの展開方向、展開速度、エアバッグ内の内圧等が設定されている。しかし、車両の走行中には、ダッシュボード内に収納している物の出し入れを行う等のため、正しい乗車位置を離れて乗員の頭が助手席用エアバッグ装置を収納しているインストルメントパネルに近づいてしまうこともある。
【0004】
このように、乗員が正しい乗車状態にいない位置をOOP(out of position)位置と呼んでいる。乗員がOOP位置にいるときに、偶然にも車両の衝突事故が発生すると、エアバッグ装置は、乗員が正しい乗車位置に座しているものとして、エアバッグを膨張展開させることになる。ただし、エアバッグが展開する初期の段階においては、高速で膨張しているエアバッグが、OOP位置にいる乗員と干渉してしまうことのないようにするため、高度なセンサ機能を備えたコントローラによって多段インフレータを制御するように構成している助手席用エアバッグ装置も提案されている。
【0005】
乗員がOOP位置にいることを考慮したものではないが、膨張展開する展開初期の段階において、高速で膨張するエアバッグが、乗員や助手席に取り付けたチャイルドシートと早期に干渉してしまうのを回避できるエアバッグ装置(特許文献1参照。)が提案されている。
【0006】
特許文献1のエアバッグ装置では、展開規制シートによって、折り畳んだエアバッグを車体前後方向に沿って覆う構成になっている。展開規制シートは、一端がインフレータを支持するリテーナに固定されており、モジュールカバーの内面に沿って配置されている。展開規制シートの長さは、車体前後方向に沿うモジュールカバーの内周寸法よりも大きく構成されており、展開規制シートの余長部分は、蛇腹状に折り畳まれて、エアバッグの前面の上に載せられている。
【0007】
このエアバッグ装置の展開規制シートとしては、運転席用のエアバッグに用いた場合と助手席用のエアバッグに用いた場合との構成例が示されている。運転席用のエアバッグや助手席用のエアバッグに対して展開規制シートを用いる場合には、展開規制シートの一端が、車両後方側に固定された構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−334900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されたエアバッグ装置は、運転席用のエアバッグと助手席用のエアバ
ッグとについて説明されているが、本願発明は助手席用エアバッグ装置に係わる発明であるので、以下においては、特許文献1に記載されたエアバッグ装置のうちで助手席用のエアバッグについて記載する。
【0010】
特許文献1に記載されたエアバッグ装置では、膨張展開する展開初期の段階において、高速で膨張するエアバッグが乗員や助手席に取り付けたチャイルドシートと早期に干渉してしまうのを回避させる対策として、展開規制シートが設けられている。そして、展開規制シートの固定点は、車両後方側に固定され、展開規制シートがエアバッグの膨張にともなって助手席側に突出しながら、展開規制シートの自由端側が車両前方側から助手席側を通って下方側に引っ張られてくる構成になっている。
【0011】
特許文献1におけるエアバッグ装置の構成を、図9、図10を用いて説明する。図9に示すように、ダッシュボード50における浅く傾斜した上面51に凹部52が形成されており、凹部52内に助手席用エアバッグ装置53が収納されている。そして、助手席54に取付けたチャイルドシート55の背もたれ部分56において、背もたれ部分56の頂部からいくらか下がった部位が、ダッシュボード50に接触する配置構成になっている。
【0012】
しかし、車両の設計によっては、助手席用エアバッグ装置の搭載位置が、よりダッシュボードの後方側に配されるように設計されることもあり、また、チャイルドシートの背もたれ部分の配設位置が、ダッシュボードの後端部に対してより近い配置位置となるような形状にダッシュボードが設計されることもある。更には、チャイルドシートが、チャイルドシート本体部とは別体に構成したベースを助手席のシート座面に設置し、チャイルドシート本体部をベース上に係合させて取付ける構成になっている場合もある。
【0013】
そして、ベース上にチャイルドシート本体部を取付けた場合には、チャイルドシートの背もたれ部の頂部位置が、ダッシュボードの上面に対してやや上方に配されてしまう場合もある。
このような場合においても、チャイルドシートの背もたれ部分に対して好ましい押圧力を発生させ、チャイルドシートが車両後方側に回動する動きを少なくすることが必要であるが、特許文献1では、以下で説明するように、チャイルドシートが車両後方側に回動する動きを少なくすることができない場合も存在する。
【0014】
そこで、図10に示すように、ベースなどを使用したために高い位置となったチャイルドシート55が、ダッシュボード50内の助手席用エアバッグ装置53に近接した位置ではあるがいくらか離れた位置に取付られている場合について見る。このとき、エアバッグ58の膨張展開によって、展開規制シート60がチャイルドシート55とエアバッグ58との間に入り、チャイルドシート55に対して展開規制シート60は矢印A−で示す方向の力を作用させる。また、チャイルドシート55に対して膨張展開するエアバッグ58は、矢印A+で示す方向の力を作用させることになる。
【0015】
即ち、チャイルドシート55に対して、矢印A+方向又は矢印A−方向で示す一方向だけの力が大きく作用することはない。そのため、チャイルドシート55が車両後方側に回動する動きを少なくさせておくことができる。
【0016】
しかし、図9に示すような配置関係では、展開規制シート60(図10参照)の基端部に近い部位がチャイルドシート55に作用することになるため、展開規制シート60(図10参照)による矢印A−方向の力は、チャイルドシート55に対して大きく作用しない。そのため、膨張展開するエアバッグ58(図10参照)からの矢印A+で示す方向の力が、大きく作用することになる。そして、展開規制シート60(図10参照)を使用していたとしても、A+で示す方向の力がチャイルドシート55に対して大きく作用することになる。
【0017】
また、特許文献1のエアバッグ装置では、OOP位置にいる乗員の頭部がエアバッグに近づいているときに、エアバッグが膨張展開した場合には、エアバッグの膨張展開に伴って展開規制シートは、乗員の頭部側に突出してくることになる。しかも、展開規制シートの余長部分は、蛇腹状に折り畳まれて、エアバッグ前面の上に載置された構成になっている。
【0018】
そのため、乗員の頭部に展開規制シートの蛇腹状の部分が当接してしまうと、展開規制シートの蛇腹状の部分をサンドウィッチ状に乗員の頭部とエアバッグとによって押圧してしまうことになる。このような場合には、乗員の頭部によって展開規制シートの展開が妨げられることになり、展開規制シートの展開がスムーズに行えなくなってしまう。
【0019】
また、エアバッグとともに展開する展開規制シートの一端が車両後方側に固定されているので、展開規制シートの自由端側は車両前方側に引っ張られるようにして展開することになる。そのため、展開規制シートの自由端側が、車両前方側に引っ張られる状態で展開することになり、展開規制シートに接触した助手席にいる乗員の頭部は、展開する展開規制シートによって更に前傾させる方向の力を受けてしまうことになる。
【0020】
このように、OOP位置にいる乗員の頭部がエアバッグに近づいている場合においては、特許文献1に記載されたエアバッグ装置では、エアバッグによる乗員の安全性の確保が難しくなってしまう。
【0021】
本願発明は、上述したような問題点を解決することができ、助手席に座っているがOOP位置にいる乗員の頭部に対しても、また、助手席にチャイルドシートを搭載している場合であっても、乗員の上半身を前傾させたり後傾させたりする方向の力を低減させることができ、また、チャイルドシートを車両後方側に回動させる力を低減させることができ、しかも、エアバッグの飛び出し力を抑えることのできるエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願発明の課題は、請求項1〜4に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明は、開裂扉で開口部が塞がれたエアバッグ収納ケース内に、折り畳まれたエアバッグを収容した助手席用エアバッグ装置において、
前記エアバッグ収納ケース及び前記開裂扉と前記エアバッグとの間の隙間に、前記エアバッグを上から覆い前記エアバッグと共に展開する帯状のフロントフラップ及び帯状のリアフラップを配し、前記フロントフラップは、一端部が前記エアバッグ収納ケース内における車両前方の取付部に接続され、他端部が自由端として形成されて、前記車両前方の取付部側から前記エアバッグの膨出側に亘って前記エアバッグを覆う形で配設され、
前記リアフラップは、一端部が前記エアバッグ収納ケース内における車両後方の取付部に接続され、他端部が自由端として形成されて、前記車両後方の取付部側から前記エアバッグの膨出側に亘って前記エアバッグを覆う形で配設され、前記フロントフラップと前記リアフラップとは、前記エアバッグの膨出側において重ね合わされて配設され、前記エアバッグの膨出側において前記フロントフラップの少なくとも一部部位が前記開裂扉側に露呈してなることを最も主要な特徴としている。
【0023】
また、本願発明の助手席用エアバッグ装置では、前記リアフラップが、最初に前記エアバッグの膨出側を覆い、次に前記エアバッグの膨出側を覆っている前記リアフラップの部位を前記フロントフラップが覆ってなることを主要な特徴としている。
【0024】
更に、本願発明の助手席用エアバッグ装置では、前記リアフラップに開口領域が形成さ
れ、前記フロントフラップが、最初に前記エアバッグの膨出側を覆い、次に前記エアバッグの膨出側を覆っている前記フロントフラップの部位に前記開口領域を配して、前記リアフラップが覆ってなることを主要な特徴としている。
【0025】
更にまた、本願発明の助手席用エアバッグ装置では、前記フロントフラップの長さ寸法が、前記リアフラップの長さ寸法よりも短く構成されてなることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本願発明では、エアバッグの膨張により展開するフロントフラップ及びリアフラップを設け、エアバッグをそれぞれ上から覆うフロントフラップ及びリアフラップの各フラップを帯状の長尺形状に構成している。そして、一端部を固定したフロントフラップによってエアバッグの膨出側を覆い、一端部を固定したリアフラップによってエアバッグの膨出側を覆う構成になっている。その上で、エアバッグの膨出側においては、フロントフラップとリアフラップとが重ね合わされた配置構成になっている。しかも、エアバッグの膨出側においてフロントフラップの少なくとも一部部位が前記開裂扉側に露呈するように配されている。
【0027】
このように構成しておくことによって、エアバッグ装置の膨張展開時において、エアバッグ装置に対して直近のOOP位置に助手席に座した乗員の頭部や助手席に取付けたチャイルドシートの頂部がある配置関係に対しては、最初にフロントフラップが乗員の頭部やチャイルドシートに接することができる。
【0028】
即ち、フロントフラップは、膨張展開するエアバッグと乗員の頭部又は顔との間、あるいは膨張展開するエアバッグとチャイルドシートとの間に介在されることになる。そして、エアバッグの膨張に伴いフロントフラップはエアバッグの膨出側の面上を下方側から上方側に沿って面移動することになるので、乗員の頭部やチャイルドシートが衝突時の慣性力によって前傾する変位を抑制することができる。
【0029】
このとき、エアバッグとしては、フロントフラップ及びリアフラップからのそれぞれの抵抗力を受けながら膨張展開することになる。そして、エアバッグが膨張展開するときの飛び出し力をフロントフラップ及びリアフラップによって減衰させることができ、乗員に対するエアバッグからの衝撃を緩和させることができる。
【0030】
このように、フロントフラップの展開方向は、乗員の頭を後傾させる回転モーメントあるいはチャイルドシートを後傾させる回転モーメントを与える方向になるので、車両衝突の衝撃による慣性力によって、前傾させる前傾モーメントが作用している乗員やチャイルドシートに対して、前傾姿勢を抑えることができる。更に、膨張展開するエアバッグに支えられているフロントフラップの展開方向と併せて、膨張展開するエアバッグによって乗員やチャイルドシートの前傾姿勢を抑えることができる。
【0031】
OOP位置ではあるが、エアバッグ装置に対して上方に離間する位置に乗員の頭部やチャイルドシートの頂部がある配置関係に対しては、フロントフラップは乗員の頭部やチャイルドシートに接触することなく、フロントフラップの自由端が乗員の頭部やチャイルドシートに接触する位置から離れた後に、リアフラップが乗員の頭部やチャイルドシートに接触することになる。
【0032】
そして、リアフラップが初めて乗員の頭部やチャイルドシートに接触することになり、エアバッグの膨張に伴いリアフラップは、エアバッグの膨出側の面上を上方側から下方側に沿って面移動することになる。リアフラップの面移動によって、乗員の頭部やチャイル
ドシートがエアバッグの膨張によって後方側に急激に変位するのを抑制できる。
【0033】
そして、フロントフラップやリアフラップの長さ寸法を調整することによって、変位を抑制できる乗員の頭部位置の範囲やチャイルドシートの設置位置を広げることができる。これにより、エアバッグの好ましい膨張展開特性を広い範囲に亘って設定しておくことができる。
【0034】
このとき、エアバッグとしては、特に、リアフラップからの抵抗力を受けながら膨張展開することになり、エアバッグが膨張展開するときの飛び出し力を減衰させることができ、乗員やチャイルドシートに対するエアバッグからの衝撃を緩和させることができる。
【0035】
フロントフラップとリアフラップとは、最初にリアフラップで折畳まれたエアバッグを覆い、次にフロントフラップでリアフラップの上からエアバッグを覆うように配設することができる。逆に、最初にフロントフラップで折畳まれたエアバッグを覆い、次にリアフラップでフロントフラップの上からエアバッグを覆うように配設することもできる。
【0036】
折畳まれたエアバッグを最初にフロントフラップで覆った構成の場合には、エアバッグの膨出側を覆っているフロントフラップの部位が露呈するように、エアバッグの膨出側を覆っているフロントフラップの部位に開口領域を形成しておくことが必要となる。
【0037】
このように構成しておくことにより、エアバッグ装置の膨張展開時において、エアバッグ装置に対して直近のOOP位置に助手席に座した乗員の頭部や助手席に取付けたチャイルドシートの頂部がある配置関係においては、リアフラップの開口領域を介して最初にフロントフラップが乗員の頭部やチャイルドシートに接することができ、エアバッグの膨張に伴うフロントフラップの面移動によって、乗員の頭部やチャイルドシートが前傾しようとする変位を抑制することができる。
【0038】
リアフラップの開口領域が、乗員の頭部やチャイルドシートに接触する位置から離れた後には、リアフラップが乗員の頭部やチャイルドシートに接触することになる。そして、上述したように、リアフラップの面移動によって、乗員の頭部やチャイルドシートがエアバッグの膨張によって後方側に急激に変位するのを抑制することができる。
【0039】
本願発明では、フロントフラップの長さ寸法をリアフラップの長さ寸法よりも短く構成しておくことができる。このように構成しておくことにより、助手席に座した乗員の頭部や助手席に取付けたチャイルドシートの頂部にフロントフラップが接触する期間を短く構成しておくことができる。
【0040】
また、フロントフラップの長さ寸法を調整することによって、エアバッグ装置に対して直近のOOP位置にある助手席に座した乗員の頭部や助手席に取付けたチャイルドシートの頂部にフロントフラップが接触している間の期間、即ち、エアバッグが膨張展開を開始してからのフロントフラップが接触している間の時間を調整することができる。
【0041】
本願発明は、フロントフラップ及びリアフラップをエアバッグに追加的に設けることによって構成することができるので、構造の複雑化を最小限に抑えることができ、エアバッグ装置の製造コストの上昇が極めて少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】エアバッグ、フロントフラップ、リアフラップの配置構成の概要を示す要部斜視図である。(実施例1)
【図2】助手席用エアバッグ装置の概略を説明する要部断面図である。(実施例1)
【図3】OOP位置にいる乗員の頭部に対するフロントフラップとリアフラップの作動状態の概要を説明する要部断面図である。(実施例1)
【図4】Pos.1とPos.2の状態の概要を説明する要部断面図である。(説明図)
【図5】フロントフラップとリアフラップの作動状態の概要を説明する要部断面図である。(実施例1)
【図6】エアバッグ、フロントフラップ、リアフラップの他の配置構成の概要を示す要部斜視図である。(実施例2)
【図7】他の助手席用エアバッグ装置の概略を説明する要部断面図である。(実施例2)
【図8】OOP位置にいる乗員の頭部に対するフロントフラップとリアフラップの他の作動状態の概要を説明する要部断面図である。(実施例2)
【図9】助手席用エアバッグ装置とチャイルドシートとの配置関係を説明する側面図である。(従来例)
【図10】展開規制シートの作動状況を説明する要部断面図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0043】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わる助手席用エアバッグ装置の構成としては、以下で説明する形状、構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、構成であれば、それらの形状、構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0044】
図4に示すように、車両の助手席側における前方には、軟質塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製等からなる表皮部に、タルク等を添加して耐衝撃強度を向上させたポリプロピレン樹脂等からなる図示しない基材と、鋼材等からなる図示しない構造部材としてのステアリングメンバー等からなるインストルメントパネル5が設けられている。インストルメントパネル5の前方上方には、フロントガラス25が配設されている。インストルメントパネル5の上面には開口部が形成されており、この開口部内に助手席用エアバッグ装置1が収納されている。
【0045】
助手席用エアバッグ装置1は、エアバッグ収納ケース2内に折畳まれて収納されており、エアバッグ収納ケース2は、車両の助手席前方におけるインストルメントパネル5の部位に取り付けられている。車両の前面衝突時あるいは衝突を予知した時に、図示せぬインフレータから噴射されたガスによって車両の後方側、即ち、助手席に乗車している乗員(図4では、乗員の代わりにダミー20を示している。)の前面側において、乗員の上半身の略全面を覆うように膨張展開され、乗員の上半身を前方から拘束することができる。
【0046】
膨張したエアバッグ(不図示)が膨出するエアバッグ収納ケース2の開口部は、開裂扉3によって塞がれている。開裂扉3は、インストルメントパネル5に取り付けられており、エアバッグ10の膨張時には、開裂扉3に形成した図示せぬ脆弱腺部が膨張したエアバッグ10によって破断され、開裂扉3は観音開きのように開くことになる。そして、開裂扉3が開いた開口部からは、エアバッグ10が膨出することになる。
【0047】
エアバッグ収納ケース2内には、エアバッグ10及びエアバッグ10を包囲しているフロントフラップ11及びリアフラップ12が収納されている。フロントフラップ11及びリアフラップ12は、後述するように図1〜図3に図示している。
【0048】
エアバッグ10は、エアバッグ収納ケース2の底部に取り付けた図示せぬインフレータとエアバッグ10に形成したガス導入口を介して接続されている。そして、車両の衝突時ある
いは衝突を予知した時に、エアバッグ10は、図示せぬインフレータから噴射されたガスによって膨張展開することができる。
【0049】
図1、図2において、紙面に向かって右側が車両の前方である進行方向であり、紙面に向かって左側が車両の後方向である助手席側である。図1、図2に示すように、エアバッグ10は折畳まれた状態で、しかも一端部がエアバッグ収納ケース2内に固定された状態で、エアバッグ収納ケース2内に収納されている。
【0050】
図1、図2に示すように、エアバッグ10は、折曲げ点A〜Cで順次折曲げられており、折曲げ点Cから内側に折曲げられた第1部位Dと折曲げ点Cからエアバッグ10の膨出側10aに連通して折畳まれた第2部位Eとを有する構成に形成されている。第1部位Dと第2部位Eとを有する構成により、膨張展開したエアバッグ10の前面を二股に分かれた膨張面として形成することができ、助手席の乗員の上半身を広い受圧面で支えることができる。
【0051】
図1、図2で示したエアバッグ10の折畳み例は例示であって、本願発明に係わるエアバッグ10は、図1、図2で示した折畳み方法で折畳まれた構成のエアバッグ10に限定されるものではなく、他の公知の折畳み方法で折畳んだエアバッグ10に対しても本願発明を好適に適用することができる。
【0052】
フロントフラップ11は、一端部11aがエアバッグ収納ケース2内における車両前方の取付部(不図示)に固定され、他端部11bが自由端として構成された長尺の帯状体として構成されている。リアフラップ12は、一端部12aがエアバッグ収納ケース2内における車両後方の取付部(不図示)に固定され、他端部12bが自由端として構成された長尺の帯状体として構成されている。リアフラップ12の他端部12bにおける余長部12cは、折畳まれた状態で配されている。
【0053】
一端部12aを固定したリアフラップ12によって、エアバッグ10の膨出側10aを下方側から上方側に向かって覆い、一端部11aをエアバッグ収納ケース2内に固定したフロントフラップ11によって、エアバッグ10の膨出側10aを上方側から下方側に向かって覆う構成になっている。そして、エアバッグ10の膨出側10aを覆っているリアフラップ12の上から、フロントフラップ11によってエアバッグ10の膨出側10aを覆っている構成になっている。
【0054】
即ち、エアバッグ10の膨出側10aにおいては、フロントフラップ11が開裂扉3の裏面に面する状態で、フロントフラップ11とリアフラップ12とが重ね合わされた配置構成になっている。
【0055】
また、フロントフラップ11の長さ寸法は、リアフラップ12の長さ寸法よりも短く構成されており、リアフラップ12の他端部12b側の余長部は、ジグザグ状に折り畳まれた状態で、エアバッグ10とフロントフラップ11との間に収納されている。そして、エアバッグの膨張展開時には、リアフラップ12の余長部12cはエアバッグ10の膨張に引き連れられながら、順次伸長していくことになる。
【0056】
即ち、図3に示すように、エアバッグ10(図2参照)が膨張展開するのに連れられて、余長部12c(図2参照)が伸長していくことになる。尚、図3では、エアバッグ10及び余長部12cの図示を省略している。ここで、図3〜図5を用いて、OOP位置にいた乗員の頭部(図3では、ダミー頭部20aを示している。)が助手席用エアバッグ装置1に近づいている状態で、エアバッグ10が膨張展開した場合について説明を行う。
【0057】
OOP位置にいた乗員の頭部(以下では、ダミー頭部20aを用いて説明する。)が助手席用エアバッグ装置1に近づいている状態としては、図4に示すように二つのパターン位置を
設定することができる。二つのパターン位置としては、米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA)が行っている前方衝突安全性についての試験位置を用いて説明することにする。
【0058】
即ち、図4に示すように二つのパターン位置として、正規の乗車位置からダミー20が多少前屈みになっているが、助手席用エアバッグ装置1からはダミー頭部20aが離れているポジション1(Pos.1と略記する。)の位置と、ダミー頭部20aが助手席用エアバッグ装置1に接触したポジション2(Pos.2と略記する。)の位置を用いて説明を行うことにする。
なお、図3〜図5において、紙面に向かって右側が車両前方側であり、紙面に向かって左側が助手席側である。
【0059】
図3に示すように、図示せぬエアバッグ10が膨張展開するにつれて、フロントフラップ11はエアバッグ10の膨張に引き連れられながら、車両の前方側に順次伸長していくことになる。即ち、フロントフラップ11は、膨張展開する図示せぬエアバッグ10とPos.2位置にいたダミー頭部20aとの間に介在されることになる。
【0060】
そして、エアバッグ10の膨張に伴いフロントフラップ11は、エアバッグ10の膨出側10a(図2参照)の面上を矢印Iで示すように下方側から上方側に沿って面移動することになる。これにより、ダミー頭部20aが衝突時の慣性力によって前傾しようとする変位を、前傾を妨げる方向に移動するフロントフラップ11によって抑制することができる。
【0061】
この矢印I方向によるフロントフラップ11からのダミー頭部20aに作用する後傾モーメントによって、ダミー20及びダミー頭部20aを前傾させている前傾モーメントに対抗させることができる。そして、ダミー20を助手席の背もたれ側に復帰させる足がかりとすることができる。しかも、ダミー20を車両前方方向へ向かわせている慣性力に抗しながら、ダミー20に損傷を負わせることなく助手席の背もたれ側に復帰させることができる。
【0062】
特に、ダミー頭部20aと膨張展開しているエアバッグ10との間で、フロントフラップ11が面移動することになるので、エアバッグ10の膨張力を直にダミー20が受けてしまうのをフロントフラップ11によって防止することができる。そして、ダミー20に対するエアバッグ10からの衝撃を緩和させることができる。しかも、エアバッグ10としては、フロントフラップ11との間の摩擦力を受けながらスムーズに膨張展開することができる。
【0063】
また、フロントフラップ11の余長部が順次引き出されて、フロントフラップ11によるエアバッグ10の膨張に対する規制が解除された後においては、リアフラップ12によるエアバッグ10の膨張に対する規制が行われることになるので、エアバッグ10によって後方側に変位させられるダミー20の後方側への変位を、今度はリアフラップ12によって抑制することができる。
【0064】
リアフラップ12の余長部12cが順次引き出され、リアフラップ12によるエアバッグ10の膨張に対する規制が解除された後においては、ダミー20が正規の着座位置に座っていた場合に、ダミー20に対してエアバッグ10が作用するのと略同じように、エアバッグ10をダミー20に対して直接作用させることができる。
【0065】
即ち、エアバッグ10が膨張展開していく途中で、フロントフラップ11とリアフラップ12によるエアバッグ10の膨張に対する規制によって、エアバッグ10がエアバッグ収納ケース2から膨出する力を減衰させることができる。そして、エアバッグ10が所定形状以上に膨張したときには、エアバッグ10はフロントフラップ11とリアフラップ12による規制を受けずに膨張していくことができる。エアバッグ10には、エアバッグ10の膨張形成時に余剰の膨張用ガスを排気するベントホールを設けておくことができる。
【0066】
次に、図示せぬエアバッグ10が膨張展開を開始したときにPos.1位置にいたダミー頭部20aに対して、リアフラップ12を最初に接触させるため、エアバッグ10の膨張に引き連れられながら、車両の前方側に順次伸長していくフロントフラップ11の長さ寸法を、Pos.1位置にいたダミー頭部20aに接触しない長さ寸法に設定しておくことができる。このようにフロントフラップ11の長さ寸法を設定しておくことにより、フロントフラップ11を、Pos.1位置にいたダミー頭部20aに接触させないように構成することができる。
【0067】
そして、エアバッグ10の膨張に引き連れられながら、車両の前方側から後方側に向かって順次伸長していくリアフラップ12を、最初にPos.1位置にいたダミー頭部20aに接触させることができる。エアバッグ10の膨張に伴いリアフラップ12は、エアバッグ10の膨出側の面上を矢印IIで示すように上方側から下方側に沿って面移動することになる。リアフラップ12は矢印IIに面移動することになるので、ダミー20に当接したエアバッグ10によって後方側に変位させられるダミー20に対して、後方側に急激に変位するのを抑制することができる。
【0068】
そして、リアフラップ12が矢印IIに面移動することによって、膨張展開しているエアバッグ10の押圧力によって後傾モーメントが作用しているダミー20に対して、前傾させる前傾モーメントを作用させることができる。そして、ダミー20が急激に座席の背もたれ側に押圧される力を弱めながら、ダミー20に損傷を負わせることなく背もたれ側に復帰させることができる。
【0069】
このように、ダミー20に対するエアバッグ10からの衝撃を緩和させながら、ダミー20を正規の着座姿勢に戻すことができる。そして、エアバッグ10としては、リアフラップ12との間の摩擦力を受けながらスムーズに膨張展開することができる。
【0070】
また、リアフラップ12は、他端部12b側の余長部12cが順次引き出されていくことになるため、リアフラップ12によるエアバッグ10の膨張に対する規制を引き続き行わせることができる。そして、リアフラップ12によるエアバッグ10の膨張に対する規制が解除された後においては、ダミー20が正規の着座位置に座っていた場合に、ダミー20に対してエアバッグ10が作用するのと略同じように、エアバッグ10をダミー20に対して直接作用させることができる。
【0071】
このように、Pos.2位置にいるダミー20にエアバッグ10が当接して、フロントフラップ11がダミー頭部20aに接触している間は、フロントフラップ11からの抵抗力を受けながらエアバッグ10が膨張展開することになる。更に、Pos.1位置にいたダミー頭部20aに対してエアバッグ10が当接するまでの間は、フロントフラップ11とリアフラップ12からの抵抗力を受けながらエアバッグ10が膨張展開することになる。そして、リアフラップ12がダミー頭部20aに接触している間は、リアフラップ12からの抵抗力を受けながらエアバッグ10は膨張展開することになる。
【0072】
これにより、エアバッグ10が膨張展開するときの飛び出し力を減衰させることができ、ダミー20に対するエアバッグ10からの衝撃を緩和させることができる。しかも、フロントフラップ11やリアフラップ12の長さ寸法を調整することによって、変位を抑制できるダミー頭部20aの位置、即ち、Pos.2の範囲やPos.1の範囲をそれぞれ広範囲に亘って設定することができる。そして、エアバッグ10の好ましい膨張展開特性を広い範囲に亘って設定しておくことができる。
【0073】
上述した説明では、図3〜図5を用いて、Pos.1位置及びPos.2位置にダミー頭部20aが位置しているときに、助手席用エアバッグ装置1が作動した場合に、ダミー頭部20aに対するエアバッグ10からの衝撃を緩和させることができる構成について説明を行った。しかし
、ダミー頭部20aの位置にチャイルドシートの背もたれ部分が存在した場合であっても、ダミー頭部20aに対するエアバッグ10の衝撃を緩和させたと同様に、助手席に取り付けたチャイルドシートに対しても好適に作用させることができる。
【0074】
エアバッグ10とフロントフラップ11及びリアフラップ12とを構成する部材としては、同一の材質を有する部材によって構成することも、それぞれ別の材質の部材によって構成することもできる。このように構成することによって、エアバッグ10とフロントフラップ11及びリアフラップ12との間における摩擦係数を一定に保つことができ、エアバッグ10をスムーズに展開させていくことができる。
【0075】
本願発明では、助手席用エアバッグ装置1の膨張展開時において、助手席用エアバッグ装置1に対して直近のPos.2位置に乗員の頭部や助手席に取付けたチャイルドシートの頂部がある配置関係に対しては、最初にフロントフラップ11が乗員の頭部やチャイルドシートに接することができる。そして、エアバッグの膨張に伴いフロントフラップ11はエアバッグの膨出側の面上を上方側に沿って面移動することになるので、乗員の頭部やチャイルドシートが衝突時の慣性力によって前傾している変位を抑制することができる。
【0076】
また、Pos.1位置に助手席にいた乗員の頭部や助手席に取付けたチャイルドシートの頂部がある配置関係に対しては、最初にリアフラップ12が乗員の頭部やチャイルドシートに接することができる。そして、エアバッグ10の膨張に伴いリアフラップ12はエアバッグの膨出側の面上を上方側から下方側に沿って面移動することになるので、乗員の頭部やチャイルドシートが膨張展開しているエアバッグ10によって急激に後傾してしまう変位を抑制することができる。
【0077】
しかも、エアバッグ10が膨張展開するときの飛び出し力をフロントフラップ11及びリアフラップ12によって減衰させることができ、乗員に対するエアバッグ10からの衝撃を緩和させることができる。
【実施例2】
【0078】
本願発明に係わる実施例2の構成を、図6〜図8を用いて説明する。実施例2では、エアバッグ10の膨出側10aを覆うフロントフラップ21とリアフラップ22の順番が、実施例1とは逆の順番になっている。そして、エアバッグ10の膨出側10aを覆うフロントフラップ21とリアフラップ22の順番を、実施例1の場合とは逆の順番にしたことに伴って、エアバッグ10の膨出側10aを覆っているリアフラップ22の部位に、フロントフラップ21を露呈させる開口領域23が形成されている。
【0079】
この構成において、実施例2の構成は、実施例1における構成と異なっているが、他の構成は、実施例1と同様の構成になっている。そのため、実施例1における構成と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材についての説明を省略する。
【0080】
図6、図7に示すように、一端部21aを固定したフロントフラップ21によって、エアバッグ10の膨出側10aを上方側から下方側に向かって覆い、一端部22aをエアバッグ収納ケース2内に固定したリアフラップ21によって、エアバッグ10の膨出側10aを下方側から上方側に向かって覆った構成になっている。
【0081】
そして、エアバッグ10の膨出側10aを覆っているフロントフラップ21の上から、リアフラップ22がエアバッグ10の膨出側10aを覆っている構成になっている。リアフラップ22における余長部22cは、ジグザグ状に折畳まれてフロントフラップ21とエアバッグ収納ケース2(図4参照)との間に収納されている。
【0082】
また、実施例1において説明したように、Pos.2位置にいたダミー頭部20aに対して、エアバッグ10が膨張展開を開始したときには、フロントフラップ21は、リアフラップ22の開口領域23を介して、膨張展開するエアバッグ10とPos.2位置にいたダミー頭部20aとの間に介在されることになる。
【0083】
そして、エアバッグ10の膨張に伴いフロントフラップ21は、エアバッグ10の膨出側10a(図2参照)の面上を矢印Iで示すように下方側から上方側に沿って面移動することになる。これにより、ダミー頭部20aが衝突時の慣性力によって前傾しようとする変位を、開口領域23を介して露呈しているフロントフラップ21によって抑制することができる。
【0084】
エアバッグ10が膨張展開を開始したときに、図5で示すPos.1位置にいたダミー頭部20aに対しては、フロントフラップ11を接触させずにリアフラップ12を接触させることができるようにするため、開口領域23の形成部位やフロントフラップ11の長さ寸法を調整しておくことができる。開口領域23の形成部位やフロントフラップ11の長さ寸法を調整しておくことにより、リアフラップ12がPos.1位置にいたダミー頭部20aに接触するときには、開口領域23をPos.1位置にいたダミー頭部20aに接触しない位置に移動させておくことや、あるいは、開口領域23からフロントフラップ21が露呈していない位置にフロントフラップ21を移動させておくことができる。
【0085】
そして、エアバッグ10の膨張に引き連られながら、車両の前方側から後方側に向かって順次伸長していくリアフラップ22を、最初にPos.1位置にいたダミー頭部20aに接触させることができる。エアバッグ10の膨張に伴いリアフラップ22は、図5に示すようにエアバッグ10の膨出側の面上を矢印IIで示すように上方側から下方側に沿って面移動することになる。リアフラップ22は矢印IIに面移動することになるので、ダミー20に当接したエアバッグ10によって後方側に変位させられるダミー20に対して、リアフラップ22は後方側への急激な変位を抑制することができる。
【0086】
そして、エアバッグ10が膨張展開するときの飛び出し力をフロントフラップ21とリアフラップ22とによって減衰させることができ、ダミー20に対するエアバッグ10からの衝撃を緩和させることができる。しかも、フロントフラップ21やリアフラップ22の長さ寸法及びリアフラップ22に形成した開口領域23の位置と大きさとを調整することによって、変位を抑制できるダミー頭部20aの位置、即ち、Pos.2の範囲やPos.1の範囲をそれぞれ広範囲に亘って設定することができる。そして、エアバッグ10の好ましい膨張展開特性を広い範囲に亘って設定しておくことができる。
【0087】
実施例1において説明したように、実施例2の場合であっても助手席にチャイルドシートに対してもフロントフラップ21及びリアフラップ22を好適に作用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本願発明は、助手席用エアバッグ装置に対して好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1・・・助手席用エアバッグ装置、2・・・エアバッグ収納ケース、10・・・エアバッグ、11・・・フロントフラップ、12・・・リアフラップ、15・・・開口領域、20・・・ダミー、20a・・・ダミー頭部、21・・・フロントフラップ、22・・・リアフラップ、23・・・開口領域、50・・・ダッシュボード、53・・・助手席用エアバッグ装置、54・・・助手席、55・・・チャイルドシート、56・・・背もたれ部分、58・・・エアバッグ、60・・・展開規制シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開裂扉で開口部が塞がれたエアバッグ収納ケース内に、折畳まれたエアバッグを収容した助手席用エアバッグ装置において、
前記エアバッグ収納ケース及び前記開裂扉と前記エアバッグとの間の隙間に、前記エアバッグを上から覆い前記エアバッグと共に展開する帯状のフロントフラップ及び帯状のリアフラップを配し、
前記フロントフラップは、一端部が前記エアバッグ収納ケース内における車両前方の取付部に接続され、他端部が自由端として形成されて、前記車両前方の取付部側から前記エアバッグの膨出側に亘って前記エアバッグを覆う形で配設され、
前記リアフラップは、一端部が前記エアバッグ収納ケース内における車両後方の取付部に接続され、他端部が自由端として形成されて、前記車両後方の取付部側から前記エアバッグの膨出側に亘って前記エアバッグを覆う形で配設され、
前記フロントフラップと前記リアフラップとは、前記エアバッグの膨出側において重ね合わされて配設され、前記エアバッグの膨出側において前記フロントフラップの少なくとも一部部位が前記開裂扉側に露呈してなることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記リアフラップが、最初に前記エアバッグの膨出側を覆い、次に前記エアバッグの膨出側を覆っている前記リアフラップの部位を前記フロントフラップが覆ってなることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記リアフラップに開口領域が形成され、
前記フロントフラップが、最初に前記エアバッグの膨出側を覆い、次に前記エアバッグの膨出側を覆っている前記フロントフラップの部位に前記開口領域を配して、前記リアフラップが覆ってなることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項4】
前記フロントフラップの長さ寸法が、前記リアフラップの長さ寸法よりも短く構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の助手席用エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−148628(P2012−148628A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7548(P2011−7548)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】