説明

効力あるCOX−2阻害薬としてのフリー−B−環フラボノイドの同定

【課題】変形性関節症治療のため、シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害する新規方法を提供する。
【解決手段】キク科タツナミソウ属(genus Scutellaria)の植物からの抽出物を含む組成物であって、当該抽出物が、バイカリンを含むフリー−B−環フラボノイドの混合物を含む組成物。組成物は0.01から200mg/体重kgから成る群より選択される用量で経口、局所、座剤、静脈内、および経皮等より選択される経路により投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、COX−2仲介疾患および状態の予防および処置のための方法に関する。具体的には、本発明は、本明細書においてフリー(Free)−B−環フラボノイドと称される化合物の投与による、COX−2仲介疾患および状態の予防および処置のための方法に関する。本発明には、植物源から標準化フリー−B−環フラボノイド抽出物を発生させるための改良法も包含される。
【背景技術】
【0002】
細胞膜からのアラキドン酸(AA)の遊離および代謝は、いくつかの異なった経路により、炎症誘発性代謝物の発生を生じる。論証できることだが、炎症への二つの最も重要な経路は、酵素5−リポキシゲナーゼ(5−LO)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)により仲介される。これらは、各々、炎症性応答の開始および進行に重要な役割を果たすロイコトリエンおよびプロスタグランジンの発生を生じる平行した経路である。これらの血管作動性化合物は、両方とも組織内への炎症性細胞の浸潤を促進し、そして炎症性応答の持続に働く化学走性剤(chemotaxin)である。それゆえに、炎症のこれらのメディエイター(mediator)を発生する原因となる酵素は多くの新規抗炎症薬の標的とされてきた。
【0003】
酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害は、ほとんどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)にあるとされる作用機構である。COX酵素には二つの性質が異なるアイソフォーム(isoform)(COX−1およびCOX−2)が存在し、それらは約60%の配列相同性を共有しているが、発現プロファイルおよび機能が異なっている。COX−1は、生理学的に重要なプロスタグランジンの産生に連結された酵素の構成形であり、血小板凝集、胃における細胞機能の保護および正常腎機能の維持のごとき正常な生理学的機能の制御を助けている。(DannhardtおよびKiefer (2001) Eur. J. Med. Chem.36:109−26)。第二のアイソフォーム、COX−2、はインターロイキン−1β(IL−1β)および他の増殖因子のごとき炎症誘発性サイトカインにより誘導可能である酵素の形である。(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241−56;Xieら,(1992) Drugs Dev. Res. 25: 249−65)。このアイソフォームは、アラキドン酸(AA)からのプロスタグランジンE2(PGE2)産生を触媒する。COX−2の阻害は、従来のNSAIDによる抗炎症活性の原因である。
【0004】
COX−2阻害薬の作用機構は従来のNSAIDの機構と重なっているため、COX−2阻害薬は、炎症が決定的な役割を果たす一過性状態および慢性疾患での炎症に関連した痛みおよび膨潤を含む多くの同一症状を処置するために使用される。一過性状態は、小擦過傷、日焼けまたは接触性皮膚炎に関連した炎症の処置、ならびに、緊張性頭痛および偏頭痛および月経痙攣に関連した痛みの軽減を含んでいる。慢性状態への応用は、慢性関節リュウマチおよび変形性関節炎のごとき関節炎疾患を含んでいる。慢性関節リュウマチは主として自己免疫疾患であり、および変形性関節炎は関節中の軟骨の分解により引き起こされるが、それぞれに関連する炎症を減少させることは、これらの疾患を患っている患者における生活の質の著しい上昇を提供する。(Wienberg (2001) Immunol. Res. 22: 319−41;Wollhiem (2000) Curr. Opin. Rheum. 13: 193−201)。慢性関節リウマチに加え、炎症は一般にリウマチ性疾患の構成要素である。それ故に、COX阻害薬の使用は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)(Goebelら、 (1999) Chem. Res.
Tox. 12: 488−500; Patronoら、(1985) J. Clin. Invest. 76: 1011−1018)のごとき疾患、ならびに、強皮症のごときリウマチ性皮膚状態を含ませるように拡大されてきた。COX阻害薬はまた、乾癬のごときリウマチ起源ではない炎症性皮膚状態のためにも使用され、ここにおいて、プロスタグランジンの過剰産生から生じる炎症を軽減させることは、直接的利益を提供することができる。(Foghら、(1993) Acta Derm Venerologica 73: 191−3)。簡単に述べると、COX阻害薬は慢性炎症性疾患ならびに一過性炎症から生じる不定期的疼痛および痛みの症状の処置に有用である。
【0005】
抗炎症薬としてのそれらの使用に加え、COX阻害薬の役割における別の可能性は、癌
の処置に存在する。COX−2の過剰発現が多様なヒト悪性腫瘍で示されており、そしてCOX−2阻害薬は、皮膚、乳腺および膀胱腫瘍を有する動物の処置において有効であることが示されている。作用機構は完全には明確にされていないとはいえ、COX−2の過剰発現はアポトーシスを阻害し、および腫瘍発生性細胞型の侵襲性を増加させることが示されている。(Dempkeら、(2001) J. Can. Res. Clin.
Oncol. 127: 411−17;MooreおよびSimmons (2000) Current Med. Chem. 7: 1131−44)。COX−2の過剰発現により生じるプロスタグランジンの促進された産生は、細胞増殖を促進し、その結果として血管形成を増加させることが可能である。(MooreおよびSimmons
(2000) Current Med. Chem. 7: 1131−44;Fentonら、(2001) Am. J. Clin. Oncol. 24: 453−57)。
【0006】
異なった型の癌の予防および処置におけるCOX−2阻害薬の可能性を評価している多くの臨床研究が存在する。例えば、非特異的NASIDであるアスピリンは、結腸直腸癌の発生率を40−50%(Giovannucciら、(1995) N Engl J Med. 333:609−614)、および死亡率を50%(Smalleyら、(1999) Arch Intern Med. 159: 161−166)減少させることが見いだされている。1999年に、FDAは結腸直腸癌死亡率を減少させるため、FAP(家族性腺腫性ポリポージス)におけるCOX−2阻害薬セレコキシブ(CeleCOXib)の使用を承認した。COX−2関与の証拠がある他の癌は、COX−2阻害薬により成功裏に予防および/または処置することができると信じられており、食道癌、頭部および頚部癌、乳癌、膀胱癌、子宮頚癌、前立腺癌、肝細胞性癌腫および非小細胞肺癌が含まれるが、それらに限定されるわけではない。(Jaechelら、(2001) Arch. Otolarnygol. 127:1253−59 ; Kirschenbaumら、(2001) Urology 58: 127−31;DannhardtおよびKiefer (2001) Eur. J. Med. Chem.
36: 109−26)。COX−2阻害薬はまた、ハイリスク患者において結腸癌を予防することに成功したことも証明できる。また、COX−2阻害薬は重篤な癌のいくつかの型を予防または逆転さえもさせることができるという証拠も存在する。現在まで、50もの多くの研究が、COX−2阻害薬は動物における前悪性および悪性腫瘍を予防でき、および同様に膀胱、食道および皮膚癌を予防できる可能性があることを示している。
【0007】
最近の科学の進歩は、COX−2発現、一般的炎症およびアルツハイマー病(AD)の病因間の相関を同定した。(Hoら、(2001) Arch. Neurol. 58: 487−92)。動物モデルにおいて、COX−2酵素を過剰発現するトランスジェニックマウスは、損傷に対してより感受性があるニューロンを有している。アメリカ国立老化研究所(NIA)は、NSAIDがアルツハイマー病の進行を遅らすことができるがどうかを決定するための臨床試行に乗り出している。ナプロキセン(非選択的NSAID)およびロフェコキシブ(rofeCOXib)(ヴィオックス(Vioxx)、COX−2特異的選択的NSAID)が評価されるであろう。従来の証拠は、炎症がアルツハイマー病に寄与していることを示している。アルツハイマー協会およびNIAによると、米国において約400万人がADを患っており;世紀半ばまでには1400万に増加すると予測されている。
【0008】
COX酵素(プロスタグランジンH2シンターゼとしても知られている)は、二つの別々の反応を触媒する。第一の反応において、アラキドン酸が代謝されて不安定なプロスタグランジンG2(PGG2)を形成する(シクロオキシゲナーゼ反応)。第二の反応において、PGG2はエンドペルオキシドPGH2へ変換される(ペルオキシダーゼ反応)。本明細書に記載した化合物は、COX−1およびCOX−2ペルオキシダーゼ活性の阻害
に焦点を当てたアッセイ、そしてCOX酵素の新規阻害薬を同定するための化学的既知物質同定(dereplication)プロセスを組み合わせた発見戦略の結果である。
【0009】
フラボノイドは広範囲に分布している天然産物の群である。フラボノイドの摂取は、発生事象痴呆の危険率と逆相関していることが示されている。作用機構は知られていないが、フラボノイドの抗酸化効果によるものであると推測されている。(Commengesら、(2000) Eur. J. Epidemiol 16: 357−363)。ポリフェノールフラボンは、COX−2、NfカッパBおよびbcl−X(L)を含む遺伝子にRNAレベルで作用することにより、形質転換された結腸細胞においてプログラムされた細胞死、分化および増殖阻害を誘導する。(Wenzelら、(2000) Cancer Res. 60: 3823−3831)。B環上のヒドロキシル基の数がCOX−2転写活性の抑制において重要であることが報告されている。(Mutohら、(2000) Jnp. J. Cancer Res. 91: 686−691)。
【0010】
下記の一般構造により図示されているように、芳香族B環上に置換基を有しないフリー−B−環フラボンおよびフラボノールはフラボノイドの特定の部類である:
【0011】
【化1】

【0012】
式中、
、R、R、RおよびRは、―H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH、−NHR、−NR、−NR限定されるわけではないが、アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含む、単一のまたは多数の糖の組合わせの、炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドからなる群より独立して選択され;
式中、
Rは1−10の間の炭素原子を有するアルキル基であり;および
Xは、限定されるわけではないが、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートなどを含んでいる、医薬として受容可能なカウンターアニオンの群より選択される。フリー−B−環フラボノイドは比較的に稀である。合成されたまたは天然源から単離された全9396のフラボノイドの内、231のフリー−B−環フラボノイドのみしか知られていない。(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, 第5版:2001年6月1日)。
【0013】
中国薬用植物、コガネバナ(Scultellaria Baicalensis)はバイカレイン(baicalein)、バイカリン(baicalin)、オウゴニン(wogonin)およびバイカレノシド(baicalenoside)を含むかなりの量のフリー−B−環フラボノイドを含んでいる。伝統的にこの植物は、解熱、消炎、湿気−温暖および夏季熱症候群;高熱により生じる多渇症;カルブンケル、潰瘍および他の化膿性皮膚感染;急性扁桃炎、咽頭喉頭炎および猩紅熱のごとき上気道感染;ウイルス性肝炎;腎炎;腎盂炎;赤痢;吐血および鼻血を含む、多くの状態を処置するために使用され
てきた。この植物はまた伝統的に、流産を防止するためにも使用されてきた。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press,上海,中国,1998、を参照)。臨床的には、コガネバナは現在、肺炎、小児細菌性下痢症、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎症、高血圧、切断および手術により生じる局所性急性炎症、気管支喘息および上気道感染のごとき状態を処置するために使用する。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press,上海,中国,1998)。気管支喘息に対するオウゴンの薬学的効能は、伝える所によれば, フリー−B−環フラボノイドの存在、およびエオタキシン関与好酸球動員のそれらの抑制に相関している。(Nakajimaら、(2001) Planta Med. 67(2) : 132−135)。
【0014】
フリー−B−環フラボノイドは多様な生物活性を持っていると報告されている。例えば、ガランギン(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)は抗酸化剤およびフリーラジカル捕捉剤として働き、そして抗遺伝毒性および癌化学的予防のための将来有望な候補であると信じられている。(Heoら、(2001) Mutat. Res. 488(2)
: 135−150)。それはチロシナーゼ モノフェノラーゼの阻害剤(Kuboら、(2000) Bioorg. Med. Chem. 8(7): 1749−1755)、ウサギ心臓カルボニルレダクターゼの阻害剤(Imamuraら、(2000)
J. Biochem. 127(4): 653−658)であり、抗菌活性(AfolayanおよびMeyer (1997) Ethnopharmacol. 57(3): 177−181)および抗ウイルス活性(Meyerら、(1997) J.
Ethnopharmacol. 56(2): 165−169)を有する。バイカレインおよびガランギン(二つの別のフリー−B−環フラボノイド)は、ヒト乳癌細胞に対する抗増殖活性を有している(Soら、(1997) Cancer Lett. 112(2): 127−133)。
【0015】
典型的には、フラボノイドはそれらの有効性に基づいて手当たりしだいに活性が試験されてきた。時折、B−環上の置換の必要性が、p−糖蛋白質への高親和性結合(Boumendjelら、(2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1): 75−77)、強心薬効果(Itoigawaら、(1999) J. Ethnopharmacol. 65(3): 267−272)、リノレン酸ヒドロペルオキシド−誘導毒性に対する上皮細胞における保護効果(KanekoおよびBaba (1999) Biosci Biothchnol. Biochem 63(2): 323−328)COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7: 15−19)およびプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ(Kalkbrennerら、(1992) Pharmacology 44(1): 1−12)に必要とされるB環置換のごとく、特定の生物学的活性について力説されてきた。ほんの少数の論文しかフリー−B−環フラボノイドの非置換B環の重要性を言及していない。一つの例は、抗凝血薬の可能性としての、NAD(P)Hキノンアクセプターオキシドレダクターゼを阻害する2−フェニルフラボンの使用である。(Chenら、(2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417−1427)。
【0016】
種々のフリー−B−環フラボノイドの抗炎症活性に関連して報告された作用機構は議論のあるところである。フリー−B−環フラボノイド、クリシン(Liangら、(2001) FEBS Lett. 496(1): 12−18)、オウゴニン(Chiら、(2001) Biochem. Pharmacol. 61: 1195−1203)およびハランギン(Rasoら、(2001) Life Sci. 68(8):
921−931)の抗炎症活性は、ペルオキシソーム−増殖因子活性化レセプターガンマの活性化および脱顆粒およびAA放出に対する影響を経た、誘導可能シクロオキシゲナーゼおよび酸化窒素シンターゼの誘導に関与していた。(Torderaら、(1994)
Z. Naturforsch[C] 49: 235−240)。オロキシリン、バイカレインおよびオウゴニンは、シクロオキシゲナーゼに影響することなく12−リポキシゲナーゼを阻害することが報告されている。(Youら、(1999) Arch. Pharm. Res. 22(1): 18−24)。より最近、オウゴニン、バイカリンおよびバイカレインの抗炎症活性は、酸化窒素阻害薬およびリポポリサッカリドにより誘導された、誘導可能酸化窒素シンターゼおよびCOX−2遺伝子発現の阻害を通して生じると報告されている。(Chenら、(2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417−1427)。また、オロキシリンは核因子−カッパB活性化の抑制を経て作用することも報告されている。(Chenら、(2001)
Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417−1427)。最後に、伝える所によれば、オウゴニンはマクロファージにおいて誘導可能PGE2産生を阻害する。(WakabayashiおよびYasui (2000) Eur. J. Pharmacol. 406(3): 477−481)。バイカレインによる、有糸分裂促進剤−活性化プロテインキナーゼリン酸化の阻害およびCa2+イオノフォアA23187誘導プロスタグランジンE2放出の阻害は、オウゴンの抗炎症活性機構として報告されている。(Nakahataら、(1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11: 215P−219P;Nakahataら、(1998) Am. J. Chin Med. 26: 311−323)。伝える所によれば、コガネバナからのバイカリンは、超抗原ブドウ球菌細胞外毒素刺激T細胞増殖およびIL−1β、インターロイキン6(IL−6)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターフェロン−γ(IFN−γ)の産生を阻害する。(Krakauerら、(2001) FEBS Lett. 500: 52−55)。それ故、バイカリンの抗炎症活性は、超抗原により活性化される炎症誘発性サイトカイン仲介シグナル伝達経路を阻害することと結び付けられてきた。しかしながら、バイカリンの抗炎症活性は、種々のケモカイン結合のためであり、それがケモカインの生物学的活性を制限することも提案されている。(Liら、(2000) Immunopharmacology 49: 295−306)。最近、トロンビンおよびトロンビンレセプターアゴニストペプチドにより誘導される接着分子発現(Kimuraら、(2001) Planta Med. 67: 331−334)、ならびに有糸分裂促進剤−活性化プロテインキナーゼカスケード(MAPK)の阻害(Nakahataら、(1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp 11: 215P−219P;Nakahataら、(1998) Am. J. Chin Med. 26: 311−323)に対するバイカリンの効果が報告された。現在まで、フリー−B−環フラボノイドとCOX−2阻害活性を連結する報告は存在しない。
【0017】
現在まで、多くの天然に存在するフリー−B−環フラボノイドが色々な使用のために市販されてきた。例えば、コガネバナ抽出物のリポソーム処方がスキンケアのために利用されてきた(米国特許第5,643,598号;5,443,983号)。バイカリンは、発癌遺伝子に対するその阻害効果のため、癌の予防に使用されてきた(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよびその他の化合物が、抗ウイルス、抗菌および免疫調節剤として(米国特許第6,083,921号)、および天然の抗酸化剤として(ポーランド公開番号第9,849,256号)使用されてきた。クリシンはその不安軽減特性により使用されてきた(米国特許第5,756,538号)。抗炎症性フラボノイドは肛門直腸および結腸疾患の制御および処置に(米国特許第5,858,371号)、およびリポキシゲナーゼの阻害に(米国特許第6,217,875号)使用されている。フラボノイドエステルは化粧用組成物の活性成分を構成している(米国特許第6,235,294号)。
【0018】
日本特許第63027435号はバイカリンの抽出および濃縮を記載し、日本特許第61050921号はバイカリンの精製を記載している。
発明の要約
本発明はシクロオキシゲナーゼ酵素COX−2の阻害に有効である方法を含んでいる。シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害するための方法は、フリー−B−環フラボノイドから成っている組成物あるいは、フリー−B−環フラボノイドの混合物を含んでいる組成物を、それらを必要としている宿主に投与することを包含する。
【0019】
本発明はまた、COX−2仲介疾患および状態の予防および処置のための方法も含んでいる。COX−2仲介疾患および状態の予防および処置するための方法は、フリー−B−環フラボノイド含んでいる組成物、あるいはフリー−B−環フラボノイドおよび医薬として受容可能な担体を含んでいる組成物を、それらを必要としている宿主に投与することを包含する。
【0020】
以下に従って使用できるフリー−B−環フラボノイドは下記の一般構造により図示される化合物を含んでいる:
【0021】
【化2】

【0022】
式中、
、R、R、RおよびRは、―H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH、−NHR、−NR、−NR限定されるわけではないが、アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含む、単一のまたは多数の糖の組合わせの、炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドからなる群より独立して選択され;
式中、
Rは1−10の間の炭素原子を有するアルキル基であり;および
Xは、限定されるわけではないが、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートなどを含んでいる、医薬として受容可能なカウンターアニオンの群より選択される。
【0023】
本発明の方法は、限定されるわけではないが、変形性関節炎、慢性関節リウマチ、月経痙攣、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、慢性緊張性頭痛、偏頭痛、局所的創傷および小炎症状態、炎症性腸疾患および固形癌を含む多くのCOX−2仲介疾患および状態に使用できる。
【0024】
本発明のフリー−B−環フラボノイドは、合成法、または限定されるわけではないが、バンレイシ科、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科(Compositae)、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、ワラビ科、中国ワラビ科、ニレ科およびショウガ科を含む植物の科から抽出することにより得ることができる。フリー−B−環フラボノイドは、高等植物の以下の属から抽出、濃縮および精製でき、限定されるわけではないが、デスモス(Desmos)属、
アキロクリネ(Achyrocline)属、オロキシルム(Oroxylum)属、ブケナヴィア(Buchenavia)属、ヤマハハコ属、コツラ(Cotula)属、ハハコグサ属、ムギワラギク属、ヤグルマギク属、ヒヨドリバナ属、バッカリス(Baccharis)属、シラキ属、タツナミソウ属、モルサ(Molsa)属、コレブルッケア(Colebrookea)属、ヌゴマ属、オリガヌム(Origanum)属、ジジフォラ(Ziziphora)属、クロモジ属、カノキ属、アカシア属、デリス(Derris)属、カンゾウ属、ナツフジ属、ポンガミア(Pongamia)属、テフロシア(Tephrosia)属、アルトカルプス(Artocarpus)属、イチジク属、ピチログラマ(Pityrogramma)属、ノトラエナ(Notholaena)属、マツ属、ニレ属およびハナミョウガ属が含まれる。
【0025】
本発明の組成物は当業者には既知である任意の方法により投与できる。投与様式には、限定されるわけではないが、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与そして局所適用が含まれる。本発明に従った処置の方法は、限定されるわけではないが、合成的に得られた、天然に存在する、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む単一起源または多起源の、個々のおよび/または多数のフリー−B−環フラボノイド混合物の治療的に有効量を、それらを必要としている患者へ内用であるいは局所的に投与することを含んでいる。
【0026】
本発明は、フリー−B−環フラボノイドを含んでいる植物から、これらの化合物を単離および精製するための改良法を含んでいる。本発明の方法は:a)フリー−B−環フラボノイドを含んでいる植物のすり砕いたバイオマスを抽出し;b)該抽出物を中和および濃縮し;およびc)該中和および濃縮された抽出物を精製することから成る。本発明の好適な態様において、抽出物は再結晶、沈殿、溶媒分配および/またはクロマトグラフィー的分離からなる群より選択される方法を使用して精製する。本発明は、望ましい生理学的活性を有しているフリー−B−環フラボノイドの単離および精製のための商業的に実行可能なプロセスを提供する。
【0027】
本発明は、一連の生物分子スクリーンと、活性植物抽出物およびCOX−2酵素活性および炎症を特異的に阻害する、これらの抽出物内の特定の化合物を同定するための、化学的既知物質同定プロセスを組み合わせた戦略を与える。全体で1230の植物抽出物を、組換えCOX−2に付随するペルオキシダーゼ活性を阻害する能力でスクリーンした。この一次スクリーンで22の植物抽出物が同定され、それらはインビトロで、細胞に基づいたおよび全血アッセイの両方において、COX−2を特異的におよび選択的に阻害するそれらの能力がさらに研究された。インビトロで効能があった抽出物は、次に、複数の経路(IPおよび経口)により投与された場合の空気嚢(air pouch)および炎症の局所的耳−膨潤モデルの両方を使用し、炎症を阻害する能力についてインビボで試験した。これらの研究はまた、これらの抽出物の各々で、COX−2阻害に関与する特定のフリー−B−環フラボノイドの同定をもたらした。出願者は、本出願がフリー−B−環フラボノイド構造とCOX−2阻害活性間の相関についての最初の報告であると信じている。
【0028】
前記の一般的説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示のためおよび説明のためのみのものであり、特許請求されているように、本発明を制限するものでないことを理解するべきである。
発明の詳細な説明
本発明の側面に言及するため、種々の用語が本明細書で使用される。本発明の成分の説明を明らかにするのを助けるため、以下の定義を提供する。
【0029】
本明細書で使用されるような“フリー−B−環フラボノイド”とは、芳香族B環上に置換基を有しないフラボノイドの特定の部類であり、下記の一般構造により表される:
【0030】
【化3】

【0031】
式中、
、R、R、RおよびRは、―H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH、−NHR、−NR、−NR+X−、限定されるわけではないが、アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含む、単一のまたは多数の糖の組合わせの、炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドからなる群より独立して選択され;
式中、
Rは1−10の間の炭素原子を有するアルキル基であり;および
Xは、限定されるわけではないが、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートなどを含んでいる、医薬として受容可能なカウンターアニオンの群より選択される。
【0032】
本明細書で使用されるような“療法”とは、処置および/または予防を含んでいる。使用される場合、療法はヒトならびに他の動物に適用する。
“医薬としてあるいは療法的に有効な用量または量”とは、所望の生物学的結果を誘導するために十分な用量レベルを意味している。そのような結果とは、疾患の徴候、症状または原因の軽減、あるいは生体系の任意の他の望ましい変化であることができる。
【0033】
“宿主”とは、本明細書で説明した組成物が投与される、生きている被験者(ヒトまたは動物)である。
本出願を通じて、いろいろな引用が提供されることに注意されたい。各々の引用は、本明細書において参考文献として、その全体が特別に援用される。
【0034】
本発明はシクロオキシゲナーゼ酵素COX−2の阻害に有効である方法を含んでいる。シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害するための方法は、フリー−B−環フラボノイドから成っている組成物あるいは、フリー−B−環フラボノイドの混合物を含んでいる組成物を、それらを必要としている宿主に投与することを包含する。
【0035】
本発明はまた、COX−2仲介疾患および状態の予防および処置のための方法も含んでいる。COX−2仲介疾患および状態の予防および処置するための方法は、フリー−B−環フラボノイド含んでいる組成物、あるいはフリー−B−環フラボノイドおよび医薬として受容可能な担体を含んでいる組成物を、それらを必要としている宿主に投与することを包含する。
【0036】
以下に従って使用できるフリー−B−環フラボノイドは、上に示した一般式により図示された化合物を含んでいる。本発明のフリー−B−環フラボノイドは、合成法、または限定されるわけではないが、バンレイシ科、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科(Compositae)、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、ワラビ科、中国ワラビ科、ニレ科およびショウガ科を
含む植物の科から単離することにより得ることができる。フリー−B−環フラボノイドは、高等植物の以下の属から抽出、濃縮および精製でき、限定されるわけではないが、デスモス(Desmos)属、アキロクリネ(Achyrocline)属、オロキシルム(Oroxylum)属、ブケナヴィア(Buchenavia)属、ヤマハハコ属、コツラ(Cotula)属、ハハコグサ属、ムギワラギク属、ヤグルマギク属、ヒヨドリバナ属、バッカリス(Baccharis)属、シラキ属、タツナミソウ属、モルサ(Molsa)属、コレブルッケア(Colebrookea)属、ヌゴマ属、オリガヌム(Origanum)属、ジジフォラ(Ziziphora)属、クロモジ属、カノキ属、アカシア属、デリス(Derris)属、カンゾウ属、ナツフジ属、ポンガミア(Pongamia)属、テフロシア(Tephrosia)属、アルトカルプス(Artocarpus)属、イチジク属、ピチログラマ(Pityrogramma)属、ノトラエナ(Notholaena)属、マツ属、ニレ属およびハナミョウガ属が含まれる。
【0037】
フラボノイドは、限定されるわけではないが、幹、幹樹皮、小枝、塊茎、根、根樹皮、若芽、種、根茎、花および他の再生性器官、葉および他の空中部分を含む、植物の異なった部分に見いだすことができる。
【0038】
COX酵素を阻害できる化合物を同定するため、中国、インドおよび他の国から集めた615の薬用植物から抽出された1230抽出物から成る抽出物ライブラリーを創造した。抽出物を調製するための一般法は実施例1に記載されており、そこでは例示の目的で、タツナミソウ(scutellaria)属の種を使用した。抽出プロセスから、試験された各々の種について有機および水性抽出物を得る。種々のタツナミソウ属の種からの抽出の結果を表1に示した。これらの一次抽出物は、前に詳細に説明したように、シクロオキシゲナーゼの主たる機能的活性の一つであり、そしてPGG2をPGH2への、最終的にはPGE2への変換に関与する、シクロオキシゲナーゼ酵素のペルオキシダーゼ活性の阻害剤を同定するための一次アッセイに使用される材料源である。このアッセイは実施例2に説明されており、結果は表2に示されている。表2を参照すると、二つのタツナミソウ属の種および三つの他の植物種(これらのすべてが共通の成分としてフリー−B−環フラボノイドを含んでいる)が、異なった程度ではあったが、COX−2のペルオキシダーゼ活性に対する一次スクリーンにおいて阻害活性を示したことが観察された。COX−2阻害活性は、中間的極性のフリー−B−環フラボノイドのほとんどを含む、有機抽出物中に主として観察される。
【0039】
粗抽出物の一次アッセイからのCOX−2阻害活性は、用量応答およびIC50(酵素活性の50%を阻害するために必要とされる濃度)の測定により確認された。IC50値は表3に示されている。表3に観察できるように、スクテラリア オルトカリックス(Scutellaria orthocalyx)根抽出物およびムリカ ナナ(Murica nana)葉抽出物が最も有効であった(IC50=6−10mg/mL)。COX−2に対する最も高い選択性を示したタツナミソウ属の種からの抽出物はスクテラリア ラテリフローラ(Scutellaria lateriflora)であった(COX−2 IC50:30mg/mL;COX−1 IC50:80mg/mL)。それ故、COX酵素阻害薬のための一次スクリーンは、インビトロで効力のあった、フリー−B−環フラボノイドを含んでいる5つの抽出物を同定し、そしてそのいくつかはCOX−2酵素に特異性を示した。
【0040】
植物抽出物の活性化合物を効率よく同定するため、実施例3に説明したような高スループット分画化プロセスを使用した。簡単には、活性有機および水性抽出物を、各々2つの異なった方法論を使用して分画した。分画は96の深いウェルプレートに集めた。分画の各々は、実施例4に説明したように、一次アッセイのようにCOX活性を阻害するその能力で試験した。結果は図1に示されており、コガネバナの根に由来する種々のHTP分
画によるCOX−1およびCOX−2阻害のプロフィールが描かれている。図1に観察できるように、最も効力あるCOX阻害活性は2つの重要な分画、E11およびF11に観察された。3つの離れたHTP分画が実際に阻害活性を示していることに注目しなければならず、全抽出物の観察された阻害効果に寄与している、多数の化合物が存在していることを示唆している。
【0041】
スクテラリア オルトカリックスの有機抽出物中に存在する活性フリー−B−環フラボノイドの分離、精製および同定を実施例5に説明した。実施例5に説明した方法論を使用し、スクテラリア オルトカリックス根からの有機抽出物の主活性成分としてバイカレインを同定した。実施例6に示したように、いくつかの他のフリー−B−環フラボノイドが単離され、COX−1およびCOX−2酵素活性の阻害を試験した。結果を表4に示した。
【0042】
実施例7および表5は、3つの異なった植物種からの、5つの活性植物抽出物中のフリー−B−環フラボノイド含有量および分量を示している。フリー−B−環フラボノイドは水性抽出物に対して、有機抽出物中により多くの量が存在している。このことは、なぜCOX−2阻害活性が通常、水性抽出物よりもむしろ有機抽出物中に現れるかを説明している。
【0043】
活性抽出物を同定するために実施例2で説明した一次アッセイは、組換え体酵素を利用する無細胞系である。活性抽出物および化合物の生物学的活性をさらに示すため、細胞に基づいたインビトロ有効性および動物に基づいたインビボ有効性を表す、2つのモデルを用いた。インビトロ有効性および選択性を評価するために使用した方法は、実施例8で説明されている。各々、主としてCOX−1(THP−1細胞)およびCOX−2(HOSC細胞)を発現するように誘導できる2つの細胞株を選択した。各々の細胞型は、COX酵素の主生成物であるPGE2の産生で試験した。結果は表6に示されており、3つの異なったタツナミソウ属の種からの3つの有機抽出物が、COX−1酵素を優先して、COX−1およびCOX−2酵素両方の阻害を示したことを示している。THP−1細胞株の使用は重要であり、および細胞膜を横切る活性化合物の能力を示しているが、それは不死化された細胞株であり、それ故、より適切なモデル系に基づいたフリー−B−環フラボノイドの有効性の評価が望まれる。そのため、COX−1およびCOX−2両方の活性の主起源として全血を使用し、抽出物をまた評価した。この系は、COX−2およびCOX−1阻害活性を区別するため、各々、PGE2 vs TXB2の産生の阻害を測定する。表6に示された結果は、COX−2およびCOX−1酵素の両方が、3つすべてのスクテラリア根抽出物からのフリー−B−環フラボノイドにより阻害されることを示している。IC50値は、この系内において、コガネバナからのものを除いたすべてのフリー−B−環フラボノイドがCOX−2に対してより効力があることを示唆している。全体としてみると、これらの抽出物内に存在する活性化合物の阻害効果は、インビトロでの無細胞および細胞に基づいた系の両方で有意でありおよび有効である。また、試験過程において細胞毒性は観察されなかった。
【0044】
2つの別々のインビボモデルを、フリー−B−環フラボノイドで観察されたインビトロ有効性がインビボ炎症応答を阻害する能力へ転換されるかどうかを決定するために用いた。2つのモデルは実施例9に説明されている。これらの系の第一は、アラキドン酸代謝経路から直接的に生じる炎症を測定するように設計した。この実施例においては、炎症性応答を誘発するためのAAの局所適用に先立って、3つのタツナミソウ属の種からのフリー−B−環フラボノイドでマウスを処理した。動物の前処理の効果は、次に、測微計を使用した耳膨潤の抑制により測定された。これらの3つのタツナミソウ属種からのフリー−B−環フラボノイド含有抽出物は様々な程度の有効性を示した。例えば、コガネバナの根から抽出されたフリー−B−環フラボノイドは、図3AおよびBに図示したように、経口お
よびIP経路の両方で送達された場合、対照と比較して60%まで耳膨潤を抑制した。これは、5mg/kgの濃度でIP送達された場合の陽性対照インドメタシンで観察された抑制の程度に類似している。スクテラリア オルトカリックスから抽出されたフリー−B−環フラボノイドは、IP経路投与で送達された場合は効力があったが、経口経路により送達された場合は効果を有せず、そして最後に、スクテラリア ラテリフローラから抽出されたフリー−B−環フラボノイドは、投与経路にかかわらず、効果を示さなかった(データは示されていない)。
【0045】
コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドは、アラキドン酸により直接的に誘発された炎症に対して最も有効であることが明瞭に示された。それ故、これらのフリー−B−環フラボノイドの有効性を、炎症の多数の機構が最終効果の最後の原因になる、第二のモデルを使用して試験した。この系はそれ故、天然に存在する炎症応答により一層関連している。このモデルを使用し、Balb/Cマウスの背中に作られた空気嚢内へ、補足システムの非常に強力な活性化薬を注入した。これにより、炎症性細胞の浸潤、COX酵素の活性化(PGE2の放出を生じる)、酵素ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、およびTNF−αを含む炎症誘発性サイトカインの非常に特異的なプロフィールの産生、を含む炎症性事象のカスケードが生じる。これらの研究は、コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドが空気嚢内への炎症性細胞の初期浸潤(化学走性応答)は阻害しなかったけれども、これらの細胞の活性化を阻止したことを示した。このことは、嚢の細胞外液内へ排出されたMPOの欠損およびTNF−α産生の顕著な欠損により証明される。結果は図4に示されている。このデータは、多数の炎症性経路が活性であるモデル系において、フリー−B−環フラボノイドが有効であることを示している。
【0046】
医薬製剤で投与するための生成物の調製は、当業者にはよく知られた種々の方法により実行することができる。フリー−B−環フラボノイドはその天然に存在する形でのハーブ粉末として;異なった濃度の溶剤および/または超臨界流体として;再結晶、カラム分離、溶媒分配、沈殿および他の手段を経た濃縮および精製化合物として;合成法により製造された、実質的に精製されたフリー−B−環フラボノイドを含んでいる純粋物および/または混合物として処方することができる。
【0047】
多様な送達系が本分野で知られており、本発明の治療組成物を投与するために使用できる、例えば、水性溶液、リポソーム、微粒子およびマイクロカプセル内へのカプセル化。
本発明の治療組成物は注射により非経口的に投与してもよいが、動脈内注射、吸入ミスト、経口的に活性な処方、経皮イオン導入法または座薬のごとき他の有効な投与形もまた想像される。一つの好適な坦体は生理学的食塩水であるが、他の医薬として受容可能な坦体もまた使用できることも企図される。一つの好適な態様において、坦体およびフリー−B−環フラボノイドが生理学的に適合した、徐放性処方が想像される。そのような坦体での一次溶剤は、性質が水性でも非水性でもよい。加えて、坦体は処方のpH、浸透圧モル濃度、粘度、透明度、色、無菌性、安定性、溶解速度または香りを修飾または維持するために、他の医薬として受容可能な添加剤を含んでいてもよい。同様に、坦体は、リガンドの安定性、溶解速度、放出または吸収を修飾または維持するために、他の医薬として受容可能な添加剤をさらに含んでいてもよい。そのような添加剤は、1回服用量かまたは多回服用量形での非経口投与のための剤形を処方するために、通常および慣例上用いられる物質である。
【0048】
一度治療組成物が処方されたら、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固形物、または脱水されたまたは凍結乾燥された粉末として無菌バイアル中で保存してもよいし;または直接カプセル化してもよいし、および/または経口投与のための他の不活性坦体で錠剤化してもよい。そのような製剤は、すぐに使用できる形かまたは投与の直前に再構築を必要とするように保存することができる。全身性送達のための組成物を含んでいる製剤の投与
様式は、経腸、皮下、筋肉内、静脈内、鼻孔内、または膣または直腸座剤であることができる。
【0049】
特定の障害または状態の処置に有効であろう組成物の量は、障害または状態の性質に依存するだろうし、それは標準臨床技術により決定できる。加えて、最適用量範囲の同定を助けるために、インビトロまたはインビボアッセイを随意に使用することができる。製剤中に使用されるべき正確な用量もまた、投与経路および疾患または状態の重度または進行に依存するだろうが、開業医および各々の患者の情況に従って決定すべきである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から導かれた用量−応答曲線から外挿することができる。例えば、本発明の組成物の有効量は、本発明の組成物を段階的用量で投与し、所望の効果を観察することにより容易に決定される。
【0050】
本発明に従った処置法は、単一起源または多数の起源からの、個々のおよび/または多数のフリー−B−環フラボノイド混合物の治療的に有効量を、それらを必要としている患者へ内用であるいは局所的に投与することを含んでいる。個々のおよび/または多数のフリー−B−環フラボノイド混合物の純度は、化合物を得るために使用された方法論に依存して、限定されるわけではないが、0.01%から100%である。好適な態様において、フリー−B−環フラボノイドおよびそれを含んでいる医薬組成物の用量は、有効で無毒な量であり、一般的に0.01から200mg/体重kgの範囲から選択される。日常の臨床試験を使用している当業者は、処置されている特定の疾患のための最適用量を決定することができる。
【0051】
本発明は植物からフリー−B−環フラボノイドを単離および精製するための改良法を含んでおり、それは実施例10に説明されている。実施例10において、二つのタツナミソウ属種からのフリー−B−環フラボノイドを、異なった溶媒系で抽出した。結果は表7および8に示されている。本発明の改良法は:フリー−B−環フラボノイドを含んでいる植物のすり砕いたバイオマスを単一溶剤または有機溶剤および/または水の組合わせでの抽出、中和および中和された抽出物の濃縮;および再結晶および/またはクロマトグラフィーによる該抽出物の精製から成る。上に提供したように、これらのフリー−B−環フラボノイドは、20の植物系統群より多くの属から単離できる。本発明の方法は、これらの化合物を含んでいる任意の植物源からの、これらの化合物の単離へ拡大できる。
【0052】
さらに、フリー−B−環フラボノイドは、限定されるわけではないが、全植物、幹、幹樹皮、小枝、塊茎、花、果実、根、根樹皮、若芽、種、根茎、および空中部分を含む、植物の多様な部分から単離できる。好適な態様において、フリー−B−環フラボノイドは根、再生性器官または全植物から単離される。
【0053】
植物のすり砕いたバイオマスの抽出に使用する溶媒には、限定されるわけではないが、水、酸性にした水、限定されるわけではないが、メタノールまたはエタノール、およびアルコール類とTHF、アセトン、酢酸エチルのごとき他の有機溶剤との混合物を含む、混和可能なヒドロキシル化有機溶媒と組み合わされた水が含まれる。一つの態様において、抽出物は4.5−5.5のpHまで中和し、次に濃縮および乾燥すると粉末を得る。フリー−B−環フラボノイドは、限定されるわけではないが、再結晶、溶媒分配、沈殿、昇華、および/または、限定されるわけではないが、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過またはこれらの組合わせを含むクロマトグラフィー法、を含む種々の方法により精製できる。
【0054】
実施例11は膝関節部および/または股関節部の慢性関節リウマチまたは変形性関節症により起こされる痛みの軽減に対するフリー−B−環フラボノイドの有効性を評価するた
めに実施された臨床研究を説明している。本研究は単一中心、無作為化、二重盲検、プラシーボ−対照研究であった。膝関節部および/または股関節部の慢性関節リウマチまたは変形性関節症を患った60の被験者(n=60)を4つの群に分け、プラシーボ、ウニベスチン(250mg/日または500mg/日)またはセレブレックス(200mg/日)で60日間処置した。ウニベスチンは、62.5%(w/w)のバイカリン含率および>75%(w/w)の総フリー−B−環フラボノイドを有する、オウゴン標準化抽出物の特許薬品比から成っている。セレブレックスはCOX−2選択的阻害薬である処方箋薬剤の商標名である。表9は処置前のWOMAC指標スコア(ベースラインスコア)を示しており、表10は処置後のWOMAC指標スコアにおける変化を示している。図5から8は、研究の結果を図によって説明している。
【0055】
図5から8で示されているように、痛み、硬直、および身体機能化に関連したWOMAC複合スコアおよび個々のサブスコアは、プラシーボ群と比較すると、フリー−B−環フラボノイドの投与後に著しい改良を示した。さらに、フリー−B−環フラボノイドは、痛み軽減および身体機能の改良において、処方箋薬剤セレブレックスと同じ有効性を示した。最後に、投与された2つの異なった用量で、フリー−B−環フラボノイドでは有効性の相違が観察されなかった。
【0056】
以下の実施例は例示の目的でのみ提供されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
(実施例1)タツナミソウ属植物からの有機および水性抽出物の調製
スクテラリア オルトカリックス根、コガネバナ根またはスクテラリア ラテリフローラ全植物からの植物材料を2mmより小さな粒子サイズにまですり砕いた。乾燥し、粉にした植物材料(60g)は次に三角フラスコに移し、そしてメタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)を加えた。混合物を1時間振盪し、濾過し、そしてバイオマスを再びメタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、真空下で蒸発させると有機抽出物を得た(下記表1参照)。有機抽出後、バイオマスを風乾し、一度超純水(600mL)で抽出した。水性溶液を濾過し、凍結乾燥すると水性抽出物を得た(下記表1参照)。
【0057】
【表1】

【0058】
(実施例2)種々のタツナミソウ属種からの植物抽出物によるCOX−2およびCOX−1ペルオキシダーゼ活性の阻害
特異的COX−2阻害薬の同定のためのスクリーニングプロセスを指向するバイオアッセイは、以下に記載するように、酵素のペルオキシダーゼ活性をアッセイするように設計した。
【0059】
ペルオキシダーゼアッセイ COX−2阻害薬を検出するためのアッセイを高スループットプラットフォームのために改変した(Raz)。簡単には、組換え体ヒツジCOX−2(Cayman)をペルオキシダーゼ緩衝液(100mM TBS、5mM EDTA、1μMヘム、0.01mgエピネフリン、0.094%フェノール)に溶解し、抽出物(1:500希釈)と15分インキュベートした。クワンタブル(Quantablu)
(Pierce)基質を加え、25℃で45分間、発色させた。次に、Wallac Victor 2プレートリーダーを使用してルミネセンスを読みとった。結果は表2に示されている。
【0060】
表2は、構造的に類似したフリー−B−環フラボノイドを包含する、5つの植物種(2つのタツナミソウ属種の根、および3つの他の植物種からの抽出物を含む)から得られた有機および水性抽出物による酵素の阻害を示している。データは、組換え体ヒツジCOX−2酵素および基質単独と比較したペルオキシダーゼ活性のパーセントとして示されている。有機抽出物による阻害は、30%から90%の範囲であった。
【0061】
【表2】

【0062】
COX−1およびCOX−2アイソフォームの相対阻害の比較は、これらの酵素各々に対するIC50値の算出を必要とする。IC50とは、対照に関して酵素活性の50%阻害が特定の阻害剤により達成される濃度として定義される。この場合、表3に示したように、IC50値はCOX−1およびCOX−2酵素に対して、各々、6から50μg/mLおよび7から80μg/mLの範囲であることが観察された。COX−2およびCOX−1のIC50値の比較は、これらの酵素各々に対する、種々の植物からの有機抽出物の特異性を示している。スクテラリア ラテリフローラの有機抽出物は、例えば、COX−1よりもCOX−2の優先的阻害を示し、各々、IC50値は80および30μg/mLである。いくつかの抽出物がCOX−2の優先的阻害を示しているが、その他は示していない。HTP分画およびこれらの分画から精製された化合物の試験が、これらの抽出物および化合物の真の特異的阻害を決定するために必要である。
【0063】
【表3】

【0064】
(実施例3)活性抽出物のHTP分画化
コガネバナ根からの有機抽出物(400mg)をプレパックフラッシュカラム(2cm
IDx8.2cm、10gのシリカゲル)にロードした。カラムは、Hitachi高スループット精製(HTP)システムを使用し、(A)50:50 EtOAc:ヘキサンおよび(B)メタノール、30分で100%Aから100%Bの濃度勾配の移動相により、5mL/分の流速で溶離した。分離は広帯域波長UV検出器を使用してモニターし、Gilsonフラクションコレクターを使用して、深い96ウェルプレート内に、1.9mL/ウェルで集めた。試料プレートを低真空および遠心分離下で乾燥した。各々のセル内の試料を溶解するためにDMSO(1.5mL)を使用し、一部(100μL)をCOX阻害アッセイ用に取り出した。
【0065】
コガネバナ根からの水性抽出物(750mg)を水(5mL)に溶解し、1μmシリンジフィルターを通して濾過し、4mL HPLCバイアルへ移した。溶液は次ぎに、オートサンプラーにより、プレパック逆相カラム(C−18、15μm粒子サイズ、2.5cm IDx10cm、プレカラムを挿入)へ注入した。カラムは、Hitachi高スループット精製(HTP)システムを使用し、(A)水および(B)メタノール、20分で100%Aから100%Bの濃度勾配の移動相で、続いて100%メタノールで5分間、10mL/分の流速で溶離した。分離は広帯域波長UV検出器を使用してモニターし、Gilsonフラクションコレクターを使用して、深い96ウェルプレート内に、1.9mL/ウェルで集めた。試料プレートは凍結乾燥した。各々のセル内の試料を溶解するために超純水(1.5mL)を使用し、一部(100μL)をCOX阻害アッセイ用に取り出した。
(実施例4)種々のタツナミソウ属種からのHTP分画によるCOXペルオキシダーゼ活性の阻害
個々の生物活性有機抽出物は、各々の分画の、COX−1およびCOX−2組換え体酵素両方のペルオキシダーゼ活性を阻害する能力を試験することによりさらに特徴付けられた。結果は図1に描かれており、それは実施例1および3に説明したごとく単離された、コガネバナからのHTP分画による、COX−2およびCOX−1活性の阻害を描いている。図1に描かれたプロフィールは、COX−2に対して非常に選択的である阻害のピークを示している。スクテラリア オルトカリックスおよびスクテラリア ラテリフローラを含む他のタツナミソウ属種は、類似の阻害ピークを示した(データは示されていない)。しかしながら、COX−1およびCOX−2酵素両方が多数の阻害ピークを示しており、最初の阻害プロフィールへ寄与している一つより多くの分子が存在していることを示唆している。
(実施例5)スクテラリア オルトカリックスの有機抽出物からの活性フリー−B−環フラボノイドの単離および精製
実施例1に説明したように単離された、スクテラリア オルトカリックスの根からの有機抽出物(5g)を、プレパックフレッシュカラム(120g シリカゲル、40μm粒子サイズ 32−60μm、25cmx4cm)へロードし、(A)50:50 EtOAc:ヘキサンおよび(B)メタノール、60分で100%Aから100%Bの濃度勾配の移動相により、15mL/分の流速で溶離した。10mL/分画で、分画を試験管に集めた。溶媒を真空下で蒸発させ、各々の分画中の試料を1mLのDMSOに溶解し、一部、20μLを96ウェル浅皿プレートへ移し、COX阻害活性を試験した。COXアッセイ結果に基づき、活性分画#31から#39を合併し、蒸発させた。HPLC/PDAおよびLC/MSによる分析は、8.9分の保持時間および272m/eにMSピークを有する主化合物を示した。生成物はさらに、(A)水および(B)メタノール、45分の濃度勾配の移動相で、5mL/分の流速で溶離する、C18セミ分取カラム(25cmx1cm)により精製した。88の分画を集め、5.6mgの淡黄色固形物が得られた。純度はHPLC/PDAおよびLC/MSにより決定し、そして基準品およびNMRデータと比較した。1H NMR:δppm.(DMSO−d6)8.088(2H,m,H−3
’,5’),7.577(3H,m,H−2’,4’,6’),6.932(1H,s,H−8),6.613(1H,s,H−3)。 MS:[M+1]+=271m/e。化合物をバイカレインと同定した。COX−2酵素に対するバイカレインのIC50は10μg/mLである。
(実施例6)精製フリー−B−環フラボノイドのCOX阻害
いくつかの他のフリー−B−環フラボノイドが得られており、上で説明した方法を使用し、20μg/mLの濃度でのCOX−2阻害活性を試験した。結果は表4に要約されている。
【0066】
【表4】

【0067】
(実施例7)スクテラリア オルトカリックス根、コガネバナ根およびオロキシラム インディカム種子からの活性抽出物中のフリー−B−環フラボノイドのHPLC定量
3つの異なった植物種からの5つの活性抽出物におけるフリー−B−環フラボノイドの存在および量が確認され、表5に示されている。フリー−B−環フラボノイドはLuna
C−18カラム(250x4.5mm、5μm)を使用し、0.1%リン酸および22分で80%から20%へのアセトニトリル濃度勾配を使用するHPLCにより定量分析した。フリー−B−環フラボノイドは,254nmでUV検出器を使用して検出し、フリー−B−環フラボノイド基準品との比較により、保持時間に基づいて同定した。HPLCクロマトグラムは図2に描かれている。
【0068】
【表5】

【0069】
(実施例8)種々のタツナミソウ属種からのフリー−B−環フラボノイドのCOX阻害活性のインビトロ研究
種々のタツナミソウ属種から単離されたフリー−B−環フラボノイドのインビトロ有効性およびCOX−2特異性は、細胞に基づいた系において、アラキドン酸代謝物の発生を阻害するそれらの能力で試験した。構成的にCOX−2を発現するHOSC、およびCOX−1を発現するTHP−1細胞株を、アラキドン酸の存在下でプロスタグランジンE2(PGE2)を発生するそれらの能力で試験した。
【0070】
COX−2細胞に基づいたアッセイ。 HOSC(ATCC#8304−CRL)細胞を80−90%コンフルエントまで培養した。細胞をトリプシン処理し、洗浄し、そして1x106細胞/mLの濃度で10mLの組織培養培地(MEM)に再懸濁した。細胞懸濁液(200μL)を96ウェル組織培養プレートに播き、37℃および5%CO2で2時間インキュベートした。次ぎに培地を、IL−1b(1mg/mL)を含んでいる新鮮なHOSC培地で置き換え、一夜インキュベートした。再び培地を除去し、190mLのHOSC培地で置き換えた。次ぎに、10μLのHOSC培地に溶解した試験化合物を加え、37℃で15分インキュベートした。HOSC培地に溶解したアラキドン酸(20mL、100μM)を加え、混合物を振盪器上、10分間室温でインキュベートした。100μMインドメタシン含有ELISA緩衝液を190μL/ウェルで含んでいる新しいプレートへ、上清液(20μL)を移した。上清液を、以下に説明するようにELISAにより分析した。
【0071】
COX−1細胞に基づいたアッセイ。 THP−1細胞は30mLの容量に懸濁した(5x105細胞/mL)。TPAを10nM TPAの最終濃度まで加え、48時間培養してマクロファージへ分化させた(接着性)。細胞をHBSS(25mL)に再懸濁し、200mL容量、5x105細胞/ウェルで、96ウェルプレートへ加えた。次ぎに、RPMI1640(10μL)に溶解した試験化合物を加え、37℃で15分インキュベートした。続いて、RPMI(20μL)に溶解したアラキドン酸を加え、混合物を振盪器上、10分間室温でインキュベートした。上清液(20μL)をインドメタシン含有(100μM)ELISA緩衝液(190μL)へ加えた。次ぎに、上清液を以下に説明するようにELISAにより分析した。
【0072】
COX−2全血アッセイ。 正常、健康ドナーからの末梢血は、静脈穿刺により集めた。全血(500μL)を試験化合物および抽出物と37℃で15分インキュベートした。リポポリサッカリド(大腸菌血清型0111:B4から)を100μg/mLの最終濃度まで加え、37℃で一夜培養した。血液を遠心分離し(12,000xg)、血漿を集めた。血漿(100μL)をメタノール(400μL)へ加えてタンパク質を沈殿させた。PGE2産生について上清をELISAにより測定した。この方法は、Brideauら、(1996) Inflamm. Res. 45: 68−74、に記載されている方法の改良法である。
【0073】
COX−1全血アッセイ。 新鮮な血液は凝固阻止薬を含んでいないチューブに集め、直ちに、シリコン処理微量遠心チューブに500μLの一定量で等分した。試験試料を加え、37℃で1時間、ボルテックスして凝固させた。次ぎに、試料を遠心分離し(12,000xg)、血漿を集めた。血漿(100μL)をメタノール(400μL)へ加えてタンパク質を沈殿させた。TXB2産生について上清をELISAにより測定した。この方法は、Brideauら、(1996) Inflamm. Res. 45: 68−74、に記載されている方法の改良法である。
【0074】
ELISAアッセイ。 Immunolon−4 ELISAプレートを、炭酸塩緩衝液(pH9.2)中の捕捉抗体0.5−4μg/mLを用い、4℃で一夜被覆した。プレ
ートを洗浄し、遮断緩衝液(PBS+1%BSA)と2時間、室温でインキュベートした。再びプレートを洗浄し、そして試験試料(100μL)を加え、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。ペルオキシダーゼ結合第二抗体を50μL容量で加え(0.5−4mg/mL含有)、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。プレートを次ぎに3回洗浄し、そしてTMB基質を加えた(100μL)。プレートを30分間発色させ、その後1Mリン酸(100μL)の添加により反応を停止させた。次ぎに、Wallac Victor 2プレートリーダーを使用し、450nmで読みとった。
【0075】
細胞毒性。 細胞毒性は、損傷細胞における乳酸脱水素酵素の放出を測定する比色法キット(Oxford biochemical research)を使用して評価した。アッセイは使用説明書に従って企図した。試験された化合物はどれも細胞毒性が観察されなかった。
【0076】
アッセイの結果は表6に示されている。データは、直接比較のため、IC50値で表されている。表6を参照すると、IC50値は一般的にCOX−2よりもCOX−1がより低い。全血もまた、PGE2発生(この系におけるCOX−2の尺度)またはトロンボキサンB2(TXB2)(COX−1活性化の尺度)の分化抑制について測定した。表6を参照すると、これらの研究は、試験された3種の内の2種に含まれる有機抽出物からのCOX−2阻害に対する特異性を示している。この矛盾についての可能性のある理由は、構成的に各々の酵素を発現する不死化細胞株と、COX酵素を発現するように誘導される全血由来の初代細胞間の基本的相違である。初代細胞は、インビボ炎症過程を研究するための、より適切なモデルである。
【0077】
【表6】

【0078】
(実施例9)種々のタツナミソウ属種からのフリー−B−環フラボノイドのCOX阻害活性のインビボ研究
炎症のインビボ抑制を、2つのモデル系を使用して測定した。第一の系(耳膨潤モデル)は、アラキドン酸により直接的に誘発される炎症を測定する。このモデルはCOX阻害の優れた尺度であるが、ホスホリパーゼA2(PLA2)による細胞膜リン脂質からのアラキドン酸遊離の上流で起こっているであろうどんな細胞事象を測定していない。それ故、どのように阻害薬がより生物学的に関連した応答に機能しているかどうかを決定するため、空気嚢モデルを使用した。このモデルは、強い細胞浸潤、およびサイトカインならびにアラキドン酸代謝物を含む炎症性メディエーター産生により特徴付けられる炎症性応答を誘発するために補足となる強力な活性化剤を利用する。
【0079】
耳膨潤モデル。 耳膨潤モデルはアラキドン酸代謝阻害の直接測定である。アラキドン酸のアセトン溶液をマウスの耳に局所的に適用する。アラキドン酸代謝物は、COX−2のごとき酵素の作用により産生される炎症誘発性ディエーターの産生を生じる。膨潤の抑制は、この経路に含まれる酵素の阻害の直接尺度である。結果は図3に示されており、そ
れは2つの時間点(24時間および1時間)において、強制栄養により経口でまたは腹腔内のどちらかで送達された3つの抽出物の効果を示している。コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドは、IPがより有効であったけれども、IPおよび強制栄養の両方で送達された場合に膨潤を抑制した(図3AおよびB)。S.オルトカリックスから抽出されたフリー−B−環フラボノイドは、IPで与えられた場合にこれらの代謝物の発生を抑制したが、経口では抑制せず、一方、S.ラテリフローラから単離された抽出物は、インビトロでは有効であったが、インビボでは効果を示さなかった(データは示されていない)。
【0080】
空気嚢モデル。 コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドが、耳膨潤モデルにおいてより有効であったため、それらをまた炎症の空気嚢モデルを使用して試験した。簡単には、3mLの無菌空気を注入することにより、マウスの背中に空気嚢を作り出した。空気嚢は、1週間の期間、1日おきの1mLの無菌空気追加注入により維持した。動物には耳膨潤モデルで記載したものと同一の方法および濃度を使用して投与し、炎症性応答を開始させるため、ザイモサンを注入した(空気嚢内へ)。4時間後、嚢内の液を集め、炎症性細胞の浸潤、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性(細胞活性化、脱顆粒の尺度)、および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)産生(活性化の尺度)を測定した。結果は図4に示されている。
【0081】
図4Aは、空気嚢液から集められた細胞総数を示している。対照(インドメタシン)により抑制された強い応答があったけれども、コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドは炎症性細胞の浸潤(化学走性)を抑制しなかった。化学走性応答は減弱されなかったが、MPO活性およびTNF−α産生を測定することにより、浸潤した細胞が活性化されたかどうかを決定するために液体を試験した。図4Bおよび4Cは、抽出物がIP投与された場合にMPO活性およびTNF−α産生の両方が著しく減少したが、強制栄養では減少しなかったことを示している。これらのデータは、フリー−B−環フラボノイドは補足活性化により誘発される化学走性応答を抑制しなかったけれども、それらは炎症誘発性ディエーターの放出および産生の防止により、炎症を減少させることに効果的であることを示している。
アラキドン酸誘発耳膨潤。 インビボで炎症を直接的に抑制するフリー−B−環フラボノイドの能力を以前に記載されているように測定した(Greenspanら、(1999) J. Med. Chem. 42: 164−172;Youngら、(1984) J. Invest. Dermat. 82: 367−371)。簡単には、5つのBalb/Cマウス群に、アラキドン酸(AA)の適用に先立った24時間および1時間前、腹腔内(I.P.)かまたは強制栄養による経口で、図4に示したような試験化合物の3つの用量を与えた。AAのアセトン溶液(2mg/15μL)を左耳に適用し、陰性対照としてのアセトン(15μL)を右耳に適用した。1時間後、動物をCO2吸入により殺し、そして技術者用測微計を使用して、耳の厚さを測定した。対照は、AAを与えたが、抗炎症薬で処理していない動物、およびAAおよび5mg/kgのインドメタシンで処理された動物を含んでいた。
炎症の空気嚢モデル。 空気嚢モデルは、Riojaら、(2000) Eur. J.
Pharm. 397: 207−217、の方法を適応させた。3mLの無菌空気の注入、そして6日間、2日ごとの1mLの追加注入により維持することにより、空気嚢を5つのBalb/C群において確立した。1%ザイモサン(1mL)の嚢内への注入に先立った24時間および1時間前、I.P.かまたは強制栄養による経口で、図4に示したような試験化合物の3つの用量を動物に与えた。4時間後、動物をCO2吸入により殺し、空気嚢を無菌生理学的食塩水(3mL)で洗浄した。洗浄液を遠心分離し、浸潤細胞の総数を決定した。また、上清液は確保し、活性化の尺度として、ELISAによりミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性およびTNF−αの存在を分析した。
(実施例10)タツナミソウ属種からの標準化フリー−B−環フラボノイド抽出物の開発
スクテラリア オルトカリックス(500mgのすり砕いた根)を25mLの以下の溶剤系で2回抽出した。(1)100%水、(2)80:20 水:メタノール、(3)60:40 水:メタノール、(4)40:60 水:メタノール、(5)20:80 水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20 メタノール:THF、(8)60:40 メタノール:THF。抽出溶液を合併し、低真空下で濃縮および乾燥した。化学成分の同定は、フォトダイオードアレイ検出器を使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC/PDA)、および250mmx4.6mm C18カラムにより実施した。化学成分は、バイカレイン、バイカリン、スクテラレインおよびオウゴニン基準品を使用した保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果は表7に示されている。
【0082】
【表7】

【0083】
コガネバナ(1000mgのすり砕いた根)は、以下のメタノールおよび水の混合物を50mL使用して2回抽出した:(1)100%水、(2)70:30 水:メタノール、(3)50:50 水:メタノール、(4)30:70 水:メタノール、(5)100%メタノール。抽出溶液を合併し、低真空下で濃縮および乾燥した。化学成分の同定は、フォトダイオードアレイ検出器を使用したHPLC(HPLC/PDA)、および250mmx4.6mm C18カラムにより実施した。化学成分は、バイカレイン、バイカリン、スクテラレインおよびオウゴニン基準品を使用した保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果は表8に示されている。
【0084】
【表8】

【0085】
(実施例11)膝関節部および/または股関節部の慢性関節リウマチまたは変形性関節症の痛み軽減におけるフリー−B−環フラボノイドの有効性の臨床評価
この臨床研究は単一中心、無作為化、二重盲検、プラシーボ−対照研究であった。膝関節部および/または股関節部の慢性関節リウマチまたは変形性関節症を患った60の被験者(n=60)を以下の4つの群の一つへ無作為においた:A0 プラシーボ n=15
プラシーボ;A1 用量1 n=15 250mg/日(125mg b.i.d.);A2 用量2 n=15 ウニベスチン 500mg/日(250mg b.i.d.);A3 活性対照 n=15 200mg/日(100mg b.i.d.)。ウニベスチンは、62.5%(w/w)のバイカリン含率および>75%(w/w)の総フリー−B−環フラボノイドを有する、オウゴン標準化抽出物の特許薬品比から成っている。セレブレックスはCOX−2選択的阻害薬である処方箋薬剤の商標名である。
【0086】
被験者は性を一致させ、および40から75の年齢で募集した。処置は、前記の用量スケジュールに従った、プラシーボまたは活性化合物(ウニベスチンまたはセレブレックス)の60日間の投与から成っている。NSAIDを服用している被験者は、研究の開始の前に、2週間の洗い出し期間に参加させた。身体的活動は制限しなかった。被験者は、いつでもどんな理由でも、試験を自由にやめることができた。処置の有効性は、Western Ontario and McMaster Universities(WOMAC)骨−関節症指標を使用し、医者による経口投与後、60日間評価した。(Lingardら、(2001) The Journal of Bone & Joint Surgery 83(12): 1856−1864;Sodennan & Malchau (2000) Acta Orthop Scand. 71(1): 39−46参照)。このプロトコールはモントリオール大学IRB委員会により論評され、承認されている。表9は処置前のWOMAC指標スコア(ベースラインスコア)を示しており、および表10は60日の処置後のWOMAC指標スコアにおける変化を示している。図5から8は研究の結果を図示している。
【0087】
【表9】

【0088】
【表10】

【0089】
以下に、出願時の特許請求の範囲を記載する。
[請求項1]
シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害するための方法であって、フリー−B−環フラボノイドから成っている組成物またはフリー−B−環フラボノイドの混合物を含んでいる組成物を投与することから成っている方法。
【0090】
[請求項2]
該フリー−B−環フラボノイドが下記の構造を有している化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法:
【化4】

式中、
、R、R、RおよびRは、―H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH、−NHR、−NR、−NRアルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を包含する単一のまたは多数の糖の組合わせの、炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドからなる群より独立して選択され;
式中、
Rは1−10の間の炭素原子を有するアルキル基であり;および
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、およびカーボネートを包含する、医薬として受容可能なカウンターアニオンの群より選択される。
【0091】
[請求項3]
該フリー−B−環フラボノイドが有機合成により得られる、請求項1に記載の方法。
【0092】
[請求項4]
該フリー−B−環フラボノイドが植物の一部分から単離される、請求項1に記載の方法。
【0093】
[請求項5]
該植物が、バンレイシ科、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科(Compositae)、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、ワラビ科、中国ワラビ科、ニレ科およびショウガ科から成る科より選択される、請求項4に記載の方法。
【0094】
[請求項6]
該植物が、デスモス(Desmos)属、アキロクリネ(Achyrocline)属、オロキシルム(Oroxylum)属、ブケナヴィア(Buchenavia)属、ヤマハハコ属、コツラ(Cotula)属、ハハコグサ属、ムギワラギク属、ヤグルマギク属、ヒヨドリバナ属、バッカリス(Baccharis)属、シラキ属、タツナミソウ属、モルサ(Molsa)属、コレブルッケア(Colebrookea)属、イヌゴマ属、オリガヌム(Origanum)属、ジジフォラ(Ziziphora)属、クロモジ属、カゴノキ属、アカシア属、デリス(Derris)属、カンゾウ属、ナツフジ属、ポンガミア(Pongamia)属、テフロシア(Tephrosia)属、アルトカルプス(Artocarpus)属、イチジク属、ピチログラマ(Pityrogramma)属、ノトラエナ(Notholaena)属、マツ属、ニレ属およびハナミョウガ属から成る属より選択される、請求項4に記載の方法。
【0095】
[請求項7]
フリー−B−環フラボノイドが、幹、幹樹皮、小枝、塊茎、根、根樹皮、若芽、種、根茎、花および他の再生性器官、葉および他の空中部分から成る群より選択される植物の一部
分から単離される、請求項4に記載の方法。
【0096】
[請求項8]
COX−2仲介疾患又は状態を予防又は処置するための方法であって、フリー−B−環フラボノイドから成っている組成物またはフリー−B−環フラボノイドおよび医薬として受容可能な坦体の混合物を含んでいる組成物の有効量を、それらを必要としている宿主に投与することから成っている方法。
【0097】
[請求項9]
該フリー−B−環フラボノイドが下記の構造を有している化合物の群より選択される、請求項8に記載の方法:
【化5】

式中、
、R、R、RおよびRは、―H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH、−NHR、−NR、−NRアルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を包含する単一のまたは多数の糖の組合わせの、炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドからなる群より独立して選択され;
式中、
Rは1−10の間の炭素原子を有するアルキル基であり;および
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、およびカーボネートを包含する、医薬として受容可能なカウンターアニオンの群より選択される。
【0098】
[請求項10]
該フリー−B−環フラボノイドが有機合成により得られる、請求項8に記載の方法。
【0099】
[請求項11]
該フリー−B−環フラボノイドが植物の一部分から単離される、請求項8に記載の方法。
【0100】
[請求項12]
該植物が、バンレイシ科、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科(Compositae)、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、ワラビ科、中国ワラビ科、ニレ科およびショウガ科から成る科より選択される、請求項11に記載の方法。
【0101】
[請求項13]
該植物が、デスモス(Desmos)属、アキロクリネ(Achyrocline)属、オロキシルム(Oroxylum)属、ブケナヴィア(Buchenavia)属、ヤマハハコ属、コツラ(Cotula)属、ハハコグサ属、ムギワラギク属、ヤグルマギク属、ヒヨドリバナ属、バッカリス(Baccharis)属、シラキ属、タツナミソウ属、
モルサ(Molsa)属、コレブルッケア(Colebrookea)属、イヌゴマ属、オリガヌム(Origanum)属、ジジフォラ(Ziziphora)属、クロモジ属、カゴノキ属、アカシア属、デリス(Derris)属、カンゾウ属、ナツフジ属、ポンガミア(Pongamia)属、テフロシア(Tephrosia)属、アルトカルプス(Artocarpus)属、イチジク属、ピチログラマ(Pityrogramma)属、ノトラエナ(Notholaena)属、マツ属、ニレ属およびハナミョウガ属から成る属より選択される、請求項11に記載の方法。
【0102】
[請求項14]
フリー−B−環フラボノイドが、幹、幹樹皮、小枝、塊茎、根、根樹皮、若芽、種、根茎、花および他の再生性器官、葉および他の空中部分から成る群より選択される植物の一部分から単離される、請求項11に記載の方法。
【0103】
[請求項15]
COX−2仲介疾患又は状態が、変形性関節炎、慢性関節リウマチ、月経痙攣、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、慢性緊張性頭痛、偏頭痛、炎症性腸疾患と関連する炎症;小擦過傷、日焼けおよび接触性皮膚炎からなる群より選択される局所的創傷および小炎症状態;および固形癌から成る群より選択される、請求項8に記載の方法。
【0104】
[請求項16]
フリー−B−環フラボノイド組成物が、0.01%から100%のフリー−B−環フラボノイドから成る、請求項8に記載の方法。
【0105】
[請求項17]
組成物が、0.01から200mg/体重kgから成る群より選択される用量で投与される、請求項8に記載の方法。
【0106】
[請求項18]
投与の経路が、適切な医薬処方での経口、局所、座剤、静脈内、および経皮、胃内、筋肉内、腹腔内、および静脈内投与から成る群より選択される、請求項8に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、コガネバナからのHTP分画によるCOX−1およびCOX−2の阻害を、図を用いて描いている。抽出物は実施例1および3に説明したように調製および分画した。抽出物は、組換え体ヒツジCOX−1(■)またはヒツジCOX−2(◆)のペルオキシダーゼ活性の阻害で試験した。データは非処置対照のパーセントとして表されている。
【図2A】図2Aはスクテラリア ラテリフローラ根からの有機抽出物中のフリー−B−環フラボノイドの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを描いている。
【図2B】図2Bはスクテラリア オルトカリックス根からの有機抽出物中のフリー−B−環フラボノイドの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを描いている。
【図2C】図2Cはコガネバナ根からの有機抽出物中のフリー−B−環フラボノイドの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを描いている。
【図3】図3は、アラキドン酸誘発炎症に対する、コガネバナからのフリー−B−環フラボノイドのインビボ有効性を示している。インビボ有効性は、実施例9に説明したように、アラキドン酸の直接適用により誘発される膨潤を抑制する能力に基づいて評価した。処置耳および対照耳間の、膨潤における平均差異が図3Aに示されている。図3Bはアラキドン酸処置対照と比較した、各々の群のパーセント阻害を示している。
【図4A】図4Aは、ザイモサンにより誘発された炎症に対する、コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドのインビボ有効性を図で説明している。ザイモサンは、実施例9で説明したように、空気嚢中の炎症誘発性応答を惹起するために使用した。炎症誘発性細胞の浸潤を含む炎症マーカーを、コガネバナからのフリー−B−環フラボノイドの有効性および抗炎症活性作用機構を評価するために使用した。
【図4B】図4Bは、ザイモサンにより誘発された炎症に対する、コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドのインビボ有効性を図で説明している。ザイモサンは、実施例9で説明したように、空気嚢中の炎症誘発性応答を惹起するために使用した。空気嚢液中のMPO活性のパーセント阻害を含む炎症マーカーを、コガネバナからのフリー−B−環フラボノイドの有効性および抗炎症活性作用機構を評価するために使用した。
【図4C】図4Cは、ザイモサンにより誘発された炎症に対する、コガネバナから単離されたフリー−B−環フラボノイドのインビボ有効性を図で説明している。ザイモサンは、実施例9で説明したように、空気嚢中の炎症誘発性応答を惹起するために使用した。TNF−α産生のパーセント阻害を含む炎症マーカーを、コガネバナからのフリー−B−環フラボノイドの有効性および抗炎症活性作用機構を評価するために使用した。
【図5】図5は、実施例11で説明したように、プラシーボ、200mg/日の用量でのセレブレックス、250mg/日の用量でのウニベスチン、および500mg/日の用量でのウニベスチンにより60日処置した後での、複合WOMAC指標スコアの%変化を図で説明している。
【図6】図6は、実施例11で説明したように、プラシーボ、200mg/日の用量でのセレブレックス、250mg/日の用量でのウニベスチン、および500mg/日の用量でのウニベスチンにより60日処置した後での、硬直のWOMAC指標スコアの%変化を図で説明している。
【図7】図7は、実施例11で説明したように、プラシーボ、200mg/日の用量でのセレブレックス、250mg/日の用量でのウニベスチン、および500mg/日の用量でのウニベスチンにより60日処置した後での、身体機能化に関連するWOMAC指標スコアの%変化を図で説明している。
【図8】図8は、実施例11で説明したように、プラシーボ、200mg/日の用量でのセレブレックス、250mg/日の用量でのウニベスチン、および500mg/日の用量でのウニベスチンにより60日処置した後での、痛みに関するWOMAC指標スコアの%変化を図で説明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形性関節炎を有する患者における身体機能、柔軟性又は可動性の改良における使用のための、有効量のタツナミソウ属(genus Scutellaria)の植物からの抽出物を含む組成物であって、当該抽出物が、バイカリンを含むフリー−B−環フラボノイドの混合物を含む、組成物。
【請求項2】
変形性関節炎を有する患者における身体機能、柔軟性又は可動性の改良のための療法的組成物の製剤化における組成物の使用であって、当該組成物が、有効量のタツナミソウ属(genus Scutellaria)の植物からの抽出物を含み、当該抽出物が、バイカリンを含むフリー−B−環フラボノイドの混合物を含む、使用。
【請求項3】
前記フリー−B−環フラボノイドの混合物中の各フリー−B−環フラボノイドが下記の構造を有している化合物の群より選択される、請求項1又は2に記載の組成物又は使用
【化1】

式中、
、R、R、RおよびRは、―H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH、−NHR、−NR、−NR、アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース及びケトヘキソースを包含する単一のまたは多数の糖の組合わせの、炭素、酸素、窒素または硫黄グリコシドからなる群より独立して選択され;
式中、
Rは1−10の間の炭素原子を有するアルキル基であり;および
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、およびカーボネートを包含する、医薬として受容可能なカウンターアニオンの群より選択される。
【請求項4】
フリー−B−環フラボノイドの混合物が、幹、幹樹皮、小枝、塊茎、根、根樹皮、若芽、種、根茎、花および他の再生性器官、葉および他の空中部分から成る群より選択されるタツナミソウ属植物の一部分から単離される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物又は使用
【請求項5】
前記組成物が0.01%から100%のフリー−B−環フラボノイドの混合物を含む、請求項1又は2に記載の組成物又は使用
【請求項6】
前記組成物が0.01から200mg/体重kgから成る群より選択される用量で投与される、請求項1又は2に記載の組成物又は使用
【請求項7】
投与の経路が、適切な医薬処方での経口、局所、座剤、静脈内、および経皮、胃内、筋肉内、腹腔内、および静脈内投与から成る群より選択される、請求項1又は2に記載の組成物又は使用


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−280686(P2010−280686A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168973(P2010−168973)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【分割の表示】特願2003−572581(P2003−572581)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】