説明

動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ

動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの第1手摺(2)は、環状に形成された循環する第1手摺ベルト(3)を含み、このベルトは、乗客が手で掴んで支えるための第1握り部(4)を有する。第1握り部(4)は、運送方向に対して下流に位置する下流端(5)を有する。手摺ベルト(3)を支持、案内するために、手摺(2)は、第1側面(7)を有する第1手摺フレーム(6)を含む。第2手摺(8)は、運送方向に対して第1手摺の下流に、コンベヤに沿って第1手摺と同じ側に配設され、第1手摺(2)と並行して伸びている。第2手摺(8)は、環状に形成された第2循環手摺ベルト(9)を含み、このベルトは、乗客が手で掴んで支えるための上部第2握り部(10)を有する。第2握り部(10)は、運送方向に対して上流に位置する上流端(11)を有する。手摺ベルト(9)を支持、案内するために、手摺(8)は第2側面(13)を有する第2手摺フレーム(12)を含み、第2側面は、第1側面(7)と向い合っている。第1手摺(2)および第2手摺(8)は、第1握り部(4)の下流端(5)が第2握り部(10)の上流端(11)と実質的に並行するよう、相互の重複部をもって設置され、第1握り部と第2握り部との間に間隙(14)を残す。第1手摺(2)および/または第2手摺(8)は、乗客の指が間隙(14)に入り込むのを防ぐ案内部材(15)を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータに関するものである。
【発明の背景】
【0002】
立っている、または歩いている人々を運送する方式として、従来、さまざまなタイプの動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータがある。動く歩道はまた、自動歩道およびオートウォークとしても知られている。このような動く歩道は、例えば、空港、ショッピングセンター、地下鉄の駅などの長い通路や、広い空間に設置される。動く歩道は、水平部と、緩やかな上昇および下降勾配部とを含んでいてよい。
【0003】
従来技術において、動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータは、人々をコンベヤで運送方向に移動させるコンベヤを含むものとして知られている。動く歩道はさらに、第1手摺と、運送方向に対して第1手摺の下流に配設される第2手摺とを含み、第2手摺は第1手摺に並行して、コンベヤの同じ側をそこに沿って伸びている。第1手摺は、環状に形成された循環する第1手摺ベルトを含み、このベルトは上部第1握り部を有し、乗客が手で掴んで支えることができる。手摺ベルトは第1手摺フレームで支持される。同様に、第2手摺は環状に形成された循環する第2手摺ベルトを含み、このベルトは上部第2握り部を有し、乗客は手で掴んで支えることができる。手摺ベルトは第2手摺フレームで支持される。
【0004】
日本国特許公開公報第2000‐318961号の明細書にこのタイプの方式が開示されていて、連続する複数の手摺を有する加減速型の動く歩道用の手摺に関して述べている。軸方向に連続する手摺2本ごとに、互いに独立して動く循環手摺ベルトの転換部が互いに近接して配設されているため、手摺ベルトの転換部における円弧の半径を非常に小さくしなければならない。連続する2本の手摺ベルト間の間隙を覆うために、手摺には、くし板状の固定手摺部分が手摺ベルトの直線上に設けられている。くし板は互いに隣接する複数の指状突起を有する。これに対して、循環手摺ベルトには、くし板の指状突起を受けるための複数の互いに隣接する溝が設けられている。くし板および溝は、乗客の手/指が手摺ベルト間の間隙に挟まるのを防ぐことで、乗客が怪我を負うのを防止する役割を果たす。
【0005】
従来方式における問題点は、それまでの、手摺ベルトが下部戻り部と上部手摺部との間で180度の弧を描いて回転する、径の大きな転換部を使用できないことである。
【0006】
そのうえ、従来方式では、くし板および溝のある手摺ベルトは高価で複雑な特殊構造をしているという問題もある。乗客にとって、溝のある手摺ベルトに触れたり寄りかかったりするのは不便である。また、溝にはごみが溜まりやすい。
【発明の目的】
【0007】
本発明は、上述の欠点を克服することを目的とする。
【0008】
本発明はとくに、簡単で経済的に有利な方法で、手や指が連続する手摺ベルト間に挟まるのを防ぐ、動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータを開示することを目的とする。
【0009】
さらに本発明は、従来の表面が平滑な手摺ベルトを使用して循環手摺ベルトを構成する手摺を実現し、また、径の大きい(例えば、0.5mのオーダーの)円弧を形成する従来の転換部を利用して端部を実現する動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータを開示することを目的とする。
【発明の簡単な説明】
【0010】
本発明の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータは、請求項1に開示されている事項により特徴付けられる。本発明の他の実施例は、他の請求項に開示されている事項により特徴付けられる。また本発明の実施例は、本願の明細書および図面に示されている。本願に開示されている発明の内容は、特許請求の範囲に規定されているものとは別の形で規定することも可能である。また、本発明は、とくに外在あるいは内在するサブタスクの点から見た場合、または達成される利点あるいは一連の利点から見た場合に、いくつかの別々の発明から成っていてもよい。この場合、特許請求の範囲に含まれるある特徴が、別の発明思想の観点から見て不必要であってもよい。本発明の基本概念の枠内で、本発明の様々な実施例における特徴は、他の実施例と併せて適用可能である。
【0011】
本発明の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータは以下を含む。
【0012】
−乗客を運送方向に移動させるコンベヤ。
【0013】
−第1手摺。第1手摺は、環状に形成され乗客が手で掴んで支えるための上部第1握り部を有し、第1握り部が運送方向に対して下流に位置する下流端を備える動く第1手摺ベルトと、手摺ベルトを支持して案内する第1手摺フレームと、第1側面とを有する。
【0014】
−運送方向から見て第1手摺の下流に、コンベヤに沿って第1手摺と同じ側に設けられ、第1手摺に並行して伸びる第2手摺。第2手摺は、環状に形成され乗客が手で掴んで支えるための上部第2握り部を有して第2握り部が運送方向に対して上流に位置する上流端を備える循環する第2手摺ベルト、手摺ベルトを支持して案内する第2手摺フレームと、第1手摺フレームの第1側面と向かい合う第2側面とを有する。
【0015】
本発明では、第1手摺および第2手摺は相互重複部をもって設置され、第1握り部と第2握り部の間に間隙を残して、第1握り部の下流端が第2握り部の上流端と実質的に並行する。第1手摺および/または第2手摺は案内部材を有し、互いに隣接する手摺ベルト間の間隙に乗客の指が入り込むのを防ぐ。
【0016】
本発明の利点は、手摺の重複配置によって、従来の径の大きなアーチ状の転換部を使用して手摺の端部を実現できることにある。また、案内部材は、手摺ベルト間の間隙に乗客の指が近づかないようにして、指が挟まれたり、巻き込まれたりする危険性を排除する。本方式は安全で、簡単かつ廉価である。案内部材は、磨耗しやすい可動部を含むことなく形成され得る。長い動く歩道では、所望の長さの手摺を、適切な数だけ次々と重複配設して使用できる。
【0017】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第1手摺は、コンベヤに対して第2手摺よりも内側に位置する。案内部材は、第1手摺フレームの第1側面に取り付けられている。
【0018】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、案内部材は、第1握り部近傍で握り部に並行して第1手摺ベルトの真下に伸びる案内端を含み、指が第1手摺ベルトの下に入り込むのを防止する。
【0019】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、案内端には、突起や波形状のものなどの警告部材が設けられ、乗客は第1手摺ベルトを掴んでいる手の指がそこに触れることで、切替り点への接近に気付くことができる。この切替り点で、手を第1手摺ベルトから第2手摺ベルトに移動させなければならない。
【0020】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第2手摺ベルトは、下部戻り部およびアーチ状の転換部を含む。第2手摺ベルトはこの転換部において、実質的に180度の大きな径をもって戻り部から第2握り部へ曲がる。案内部材はカバーストリップを含み、カバーストリップは、横方向および垂直方向に、第2手摺ベルトの転換部の少なくとも一部分にわたって、その曲形状に沿って伸び、乗客の手が第1手摺フレームと第2手摺ベルトの転換部との間の間隙に巻き込まれるのを防止する。
【0021】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、案内部材は、間隙内で長手方向に垂直に伸びる挿入部材を含み、この挿入部材は、手摺ベルトの上面近くで間隙の長さ方向および幅方向を部分的に埋めて、指が間隙に入り込むのを防止する。
【0022】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、案内部材は固体材料で形成された一つの部材であり、そこに、案内端、警告部材、カバーストリップ、および挿入部材が一体化されている。
【0023】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第1手摺ベルトおよび第2手摺ベルトの運転速度は実質的に同じである。
【0024】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第1手摺ベルトと第2手摺ベルトの運転速度は異なる。
【0025】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、これらの動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータは、いわゆる高速の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータであり、乗客輸送速度を実質的に低速の初期速度から高輸送速度へと加速する加速部と、乗客を一定の輸送速度で運送する定速部と、乗客輸送速度を一定輸送速度から減速最終速度へと減速する減速部とを含んでいる。
【0026】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第1手摺は加速部に、第2手摺は加速部または定速部に設けられ、このとき、第2手摺ベルトの運転速度は第1手摺ベルトの運転速度よりも速い。
【0027】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第1手摺および第2手摺は定速部に設けられ、したがって第1手摺ベルトおよび第2手摺ベルトの運転速度は実質的に同じである。
【0028】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、第1手摺は定速部または減速部に、第2手摺は減速部に設けられ、したがって第2手摺ベルトの運転速度は第1手摺ベルトの運転速度よりも遅い。
【0029】
動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータの一実施例において、これらは例えば床やその他の支持体などの固定基部に設置するように設計された低構造の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータである。
【発明の詳細な説明】
【0030】
以下、本発明をいくつかの実施例および添付の図面を参照して詳細に述べる。
【0031】
図1は、水平型の動く歩道の概略図である。この動く歩道は、コンベヤ1と、コンベヤに沿って設けられた連続する手摺2、8とを含む。図1および以下の詳説では、動く歩道の進入口端に設置された2本の連続する手摺2、8について述べるが、動く歩道沿いのどの位置であっても、連続する手摺の切替り部に本発明の原理を応用できる。
【0032】
図1に示す動く歩道はいわゆる高速の動く歩道であり、その運送方向は右から左に進む方向である。この動く歩道は、例えば床やその他の支持体などの固定基部に設置するように設計された低構造体である。動く歩道はその進入口端に加速部22を有し、乗客輸送速度を、人間の歩行速度(例えば、0.5〜0.7m/s)に相当するかなり遅い初期速度から、高輸送速度(例えば、5m/s)まで加速する。定速部23では、乗客を一定輸送速度で運送する。動く歩道はその出口端に減速部24を有し、乗客輸送速度を、一定輸送速度から、前述の人間の歩行速度に相当する減速最終速度へと減速する。動く歩道に沿った手摺のベルトは、対応部分のコンベヤの速度に近い速さで動くため、コンベヤに対する長さLの手摺区間における手摺ベルトのリード/スリップは、適切な範囲内、例えば±35〜40cm以内である。
【0033】
図2は、図1における動く歩道の進入口端のA部分を示し、次々に設置された第1手摺2および第2手摺8を含む。第2手摺8は、運送方向に対して第1手摺2の下流の、第1手摺と同じ側に設置され、コンベヤ1に沿って第1手摺と平行に伸び、第1手摺から短い横方向間隔をおいて離間され、手摺2および8が重複するかたちで並んで配置されている。
【0034】
第1手摺2は、環状に形成された循環する第1手摺ベルト3を含み、このベルトは上部第1握り部4を有し、乗客が手で掴んで支えることができる。第1握り部は、運送方向に対して下流に位置する下流端5を有する。手摺ベルト3の戻り部分は、コンベヤフレーム内を走行するように案内される。手摺ベルトのループ端の片側には、戻り部と第1手摺部3との間に大きな半径を有するアーチ状の転換部がある。手摺ベルト3は、第1手摺フレーム6に支持、案内される。フレーム6は第1側面7を有し、この側面は図2の紙面で表側を向いている。
【0035】
これに対応して、第2手摺8も第1手摺2と同じ構成である。第2手摺8は、環状に形成された循環する第2手摺ベルト9を含み、このベルトは上部第2握り部10を含み、乗客が手で掴んで支えることができる。第2握り部は、運送方向に対して上流に位置する上流端11を有する。第2手摺フレーム12は、手摺ベルト9を支持して、案内する。第2手摺フレーム12の第2側面13は、第1手摺フレーム6の第1側面7に面し、図2の紙面の裏側を向いている。
【0036】
図2〜図8から明らかなとおり、第1手摺2および第2手摺8は、第1握り部4の下流端5が第2握り部10の上流端11と実質的に並行するよう、重複するように配設されて、第1握り部と第2握り部との間には間隙14が残る。図2に示すように、案内部材15が第1手摺2に取り付けられていて、乗客の指が間隙14に入り込むのを防ぐ。第1手摺2は、コンベヤ1に対して第2手摺8よりも内側に位置する。
【0037】
図5を参照すると、案内部材15は、重複部分の、手摺ベルトの運転方向から見て進入口側に位置し、第1手摺フレーム6の第1側面7に取り付けられている。手摺ベルトの運転方向から見て、重複部分の下流側には第2案内部材15が設けられ、第2手摺フレーム12の第2側面13に取り付けられている。
【0038】
図4、図7、図8から明白なとおり、案内部材15は、第1握り部4近傍で握り部に並行して第1手摺ベルト3真下に伸びる案内端16を含み、それによって指が第1手摺ベルト3の下に入り込むのを防止している(図7を参照)。案内端16には警告部材17が設けられる。この警告部材17は、本例では波形などの形状であり、乗客は第1手摺ベルト3を掴んでいる手の指がそこに触れることで、切替り点に近づいていることに気付く。この切替り点で第1手摺ベルト3から第2手摺ベルト8へ手を移動させなければならない。図7は、第1手摺ベルト3を掴んでいる手が、警告部材17に接触する様子を示す。
【0039】
また、図5、図6、および図7からわかるとおり、案内部材15はさらに、間隙14内で長手方向に垂直に伸びる挿入部材21を含む。この挿入部材は、手摺ベルト3および9上面のTの高さ近くにおいて、間隙の長さ方向および幅方向をある程度埋めて、指が間隙14に入り込むのを防止する。挿入部材21は隣接するベルト間に指が挟まれるのを防ぎ、また、各指を一斉に次の手摺ベルトに載せるように形成されている。たとえベルト間に指を入れようとしても、それは不可能であり、指および手は次の手摺ベルトへと安全に案内される。
【0040】
案内部材15はまた、カバーストリップ20を含む。カバーストリップは、横方向および垂直方向に、第2手摺ベルト3の転換部19の少なくとも一部分にわたって、その曲形状に沿って伸び、乗客の手が第1手摺フレーム6と第2手摺ベルト3の転換部19との間の間隙に巻き込まれるのを防止する。
【0041】
案内部材15は固体材料で形成された一つの部材であり、そこに、案内端16、警告部材17、カバーストリップ20、および挿入部材21が形成されている。
【0042】
再び図1を参照すると、第1手摺2は加速部22に、第2手摺8は加速部22または定速部23に設置され、この場合、第2手摺ベルト9の運転速度は第1手摺ベルト3の運転速度よりも高い。
【0043】
第1手摺2および第2手摺8はまた、定速部23に設置してもよく、その場合、第1手摺ベルト3と第2手摺ベルト9の運転速度は実質的に同じである。
【0044】
同様に、第1手摺2は定速部23または減速部24に設置し、第2手摺8は減速部24に設置してもよく、その場合、第2手摺ベルト9の運転速度は第1手摺ベルト3の運転速度よりも低い。
【0045】
一連の手摺を上述のように重複配設することで、動く歩道の手摺を適度の長さに分割できるため、非常に長い手摺ベルト輪は不要となる。手摺ベルトのループ長は自由に選択できる。
【0046】
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本願特許請求の範囲に規定される発明の概念の範囲において、さまざまに変更可能である。したがって、上述の実施例における動く歩道を、動くスロープ、エスカレータ、または同様のコンベヤに置き換えてもよい。
【0047】
また、当業者にとって明らかなように、本発明は、例として示される上述の実施例に限定されるものではなく、本願特許請求の範囲に規定される発明の概念の範囲において、多様な変形例が実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による動く歩道の実施例の概略側面図である。
【図2】図1におけるA部分の拡大図である。
【図3】図2におけるIII−III方向から見た図である。
【図4】並行する第1および第2手摺の重複部分を、そこに設けられた案内部材とともに斜め上から見た斜視図である。
【図5】第1および第2手摺の重複部分の上面図である。
【図6】図4における切替り部を図5におけるVI−VI方向から見た図である。
【図7】および
【図8】乗客の手を切替り部に誘導する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 コンベヤ
2 第1手摺
3 第1手摺ベルト
4 第1握り部
5 下流端
6 第1手摺フレーム
7 第1側面
8 第2手摺
9 第2手摺ベルト
10 第2握り部
11 上流端
12 第2手摺フレーム
13 第2側面
14 間隙
15 案内部材
16 案内端
17 警告部材
18 戻り部
19 転換部
20 カバーストリップ
21 挿入部材
T 高さ
22 加速部
23 定速部
24 減速部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−乗客を運送方向に移動させるコンベヤ(1)と、
−第1手摺(2)とを含み、第1手摺は、環状に形成され乗客が手で掴んで支えるための上部第1握り部(4)を有して第1握り部が運送方向に対して下流に位置する下流端(5)を有する動く第1手摺ベルト(3)、該手摺ベルト(3)を支持して案内する第1手摺フレーム(6)、および第1側面(7)を含み、さらに
−運送方向に見て第1手摺の下流に、前記コンベヤに沿って第1手摺(2)と同じ側に設けられ、第1手摺に並行して伸びる第2手摺(8)を含み、第2手摺(8)は、環状に形成され乗客が手で掴んで支えるための上部第2握り部(10)を有して第2握り部が運送方向に対して上流に位置する上流端(11)を有する第2循環手摺ベルト(9)、該手摺ベルト(9)を支持して案内する第2手摺フレーム(12)、および第1手摺フレーム(6)の第1側面(7)に面している第2側面(13)を含む、人を運送する動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、
第1手摺(2)および第2手摺(8)は、第1握り部(4)の前記下流端(5)が第2握り部(10)の前記上流端(11)と実質的に並行して設けられるよう相互の重複部をもって設置され、第1握り部と第2握り部との間に間隙(14)が残り、第1手摺(2)および/または第2手摺(8)は、乗客の指が前記間隙(14)に入り込むのを防止する案内部材(15)を含むことを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項2】
請求項1に記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第1手摺(2)は、前記コンベヤに対して第2手摺(8)よりも内側に位置し、前記案内部材(15)は、第1手摺フレーム(6)の第1側面(7)に取り付けられることを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、前記案内部材(15)は案内端(16)を含み、該案内端は、第1手摺ベルト(3)の真下に伸びて、第1握り部(4)の近傍で該握り部に並行し、指が第1手摺ベルト(3)の下に入り込むのを防止することを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項4】
請求項3に記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、前記案内端(16)は突起や波形状などの警告部材(17)を有し、第1手摺ベルト(3)を掴む手の指が該警告部材(17)に触れることで、乗客が切替り点に近づいていることに気付くことができ、該切替り点で手を第1手摺ベルト(3)から第2手摺ベルト(8)に移動しなければならないことを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第2手摺ベルト(3)は、下部戻り部(18)およびアーチ状転換部(19)を含み、該転換部で第2手摺ベルトが実質的に180度の大きな径をもって前記戻り部(18)から第2握り部(10)に転換し、前記案内部材(15)は、横方向および垂直方向において、第2手摺ベルトの転換部の少なくとも一部分にわたって、その曲形状に沿って伸びるカバーストリップ(20)を含み、乗客の手が第1手摺フレーム(6)と第2手摺ベルト(3)の転換部(19)との間の前記間隙に入り込むのを防止することを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、前記案内部材(15)は、前記間隙(14)内を長手方向に垂直に伸びる挿入部材(21)を含み、該挿入部材は、前記手摺ベルト(3、9)の上面の高さ(T)近くで該間隙の長さ方向および幅方向を部分的に埋めて、指が前記間隙に入り込むのを防止することを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項7】
請求項6に記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、前記案内部材(15)は固体材料で形成された一つの部材であり、そこに、前記案内端(16)、警告部材(17)、カバーストリップ(20)、および挿入部材(21)が一体化されていることを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第1手摺ベルト(3)および第2手摺ベルト(9)の運転速度は実質的に同じであることを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第1手摺ベルト(3)および第2手摺ベルト(9)の運転速度は異なることを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、該動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータはいわゆる高速の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータであり、乗客輸送速度を実質的に低速の初期速度から高輸送速度へと加速する加速部(22)と、乗客を一定の輸送速度で運送する定速部(23)と、乗客輸送速度を該一定輸送速度から減速最終速度へと減速する減速部(24)とを含むことを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項11】
請求項10に記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第1手摺(2)は加速部(22)に、第2手摺(8)は前記加速部(22)または定速部(23)に設けられ、このとき、第2手摺ベルト(9)の運転速度は第1手摺ベルト(3)の運転速度よりも速いことを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項12】
請求項10のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第1手摺(2)および第2手摺(8)は前記定速部(23)に設けられ、第1手摺ベルト(3)と第2手摺ベルト(9)の運転速度は実質的に同じであることを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項13】
請求項10のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、第1手摺(2)は前記定速部(23)または減速部(24)に、第2手摺(8)は該減速部(24)に設けられ、このとき、第2手摺ベルト(9)の運転速度は第1手摺ベルト(3)の運転速度よりも遅いことを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータにおいて、該動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータは、床やその他の支持体などの固定基部に設置するように設計された低構造体であることを特徴とする動く歩道、動くスロープ、またはエスカレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−526654(P2008−526654A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550804(P2007−550804)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/FI2006/000014
【国際公開番号】WO2006/075047
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(591159044)コネ コーポレイション (75)
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
【Fターム(参考)】