説明

動作制御装置及びこれを用いる動作制御方法

【課題】操作者が操作スイッチに対応する動作部及びその動作を容易に認識することができる動作制御装置及びこれを用いる動作制御方法を提供する。
【解決手段】操作スイッチ3と、所定の動作を行う動作部4と、操作スイッチ3からの信号により動作部4を作動させる制御部5とを備える動作制御装置であり、操作スイッチ3は、手指の接触又は所定値以下の操作力によって作動する第1スイッチ7と、所定値を超える操作力によって作動する第2スイッチ8とを備え、制御部5は、第1スイッチ7からの信号により、動作部4a、4b等に対し所定の動作を操作者に感知させるための予備動作を行わせ、第2スイッチ8からの信号により、動作部4a、4b等に所定の動作を行わせる。第1スイッチ7としてタッチスイッチ、第2スイッチ8としてプッシュスイッチやスライドスイッチ等を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作制御装置及びこれを用いる動作制御方法に関し、更に詳しくは、操作者が操作スイッチに対応する動作部及びその動作を容易に認識することができる動作制御装置及びこれを用いる動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両では、その居住性能や走行性能を向上させるために、所定の動作を行う各種の動作部(例えば、室内灯、電動シート、電動ルーフ、電動ウィンドウ等)が搭載され、これに伴って各動作部を作動させるための多数の操作スイッチが搭載されている。また、各操作スイッチによる動作部の作動も多様であるため、操作者には、操作による作動具合が直ぐに予測できない場合もある。
そこで、操作者に対して各操作スイッチの役割やそれによる作動を理解しやすくさせるため、例えば、操作スイッチ上又はその近傍に動作部の動作をイメージさせるイラスト等を表記する他、タッチした操作スイッチに対応する動作部の動作説明をディスプレイに表示したり、タッチした操作スイッチに対応する動作部の動作説明をスピーカから音声アナウンスする等が行われている。
なお、従来のスイッチ構造体として、タッチスイッチの表面側にプッシュスイッチを配設してなるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、これら特許文献1及び2の技術は、タッチスイッチ及びプッシュスイッチのそれぞれが異なる動作部の動作を行わせるためのものであり、上述のような操作者が操作スイッチに対応する動作部及びその動作を認識し難いといった問題を解決することは目的とされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−76582号公報
【特許文献1】特開2008−140755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のとおり、車両等においては、各種装置・機器など動作部を作動させるために多数の操作スイッチが設けられており、かつ各操作スイッチによる動作部の作動態様も多様であるため、操作者は操作スイッチの位置を覚え、操作をするときにはスイッチ上の表示等を視認しなければならない場合が多い。表示方法が、メーカや車種によって異なっているという問題もある。また、操作スイッチ自体も、プッシュスイッチや回転式、レバー式等さまざまであり、各操作スイッチによる作動具合が操作者に直感的に理解できない場合も多い。
これらの問題に対して、従来提案されている操作スイッチに対応した動作部の動作説明をディスプレイに表示したり音声で案内したりする場合には、ディスプレイ装置やスピーカ等の別途の報知手段を必要とし、コスト高となってしまう。また、操作者に対して操作による動作を直感的に認識させるものではない。
なお、上述の問題は、自動車等の車両のみでなく各種の家電製品や電子機器等でも同様に生じる。
【0005】
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、操作スイッチに対応する動作を案内するための特別な装置を用いることなく、操作者が操作スイッチに対応する動作部及びその動作を容易に認識することができる動作制御装置及びこれを用いる動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.操作スイッチと、所定の動作を行う動作部と、前記操作スイッチからの信号により前記動作部を作動させる制御部とを備える動作制御装置であって、
前記操作スイッチは、手指の接触又は所定値以下の操作力によって作動する第1スイッチと、前記所定値を超える操作力によって作動する第2スイッチとを備え、
前記制御部は、前記第1スイッチからの信号により、前記動作部に対し前記所定の動作を操作者に感知させるための予備動作を行わせ、前記第2スイッチからの信号により、前記動作部に前記所定の動作を行わせることを特徴とする動作制御装置。
2.前記第1スイッチはタッチスイッチであり、前記第2スイッチは前記第1スイッチの表面又はその直下に設けられたプッシュスイッチ又はスライドスイッチである上記1.記載の動作制御装置。
3.前記動作部は所定の輝度で発光する光源を有する照明装置であり、
前記予備動作は、前記光源を前記所定の輝度より低い輝度で発光させ、又は前記光源を点滅させる上記1.又は2.に記載の動作制御装置。
4.前記動作部は、所定範囲で所定速度により移動する可動体を有する可動装置であり、
前記予備動作は、前記可動体を前記範囲よりも小さい範囲、及び前記速度よりも遅い速度のうちの少なくとも一つにより移動させる上記1.又は2.に記載の動作制御装置。
5.前記制御部は、前記第1スイッチが作動されてから所定時間内に前記第2スイッチが作動されたときには、前記予備動作を行わせることなく前記動作部の所定の動作を行わせる上記1.乃至4.のいずれかに記載の動作制御装置。
6.前記照明装置は、車両に設けられた室内灯である上記3.記載の動作制御装置。
7.前記可動装置は、車両に設けられた電動シート、電動ルーフ及び電動ウィンドウのうちのいずれかである上記4.記載の動作制御装置。
8.上記1.乃至7.のいずれかに記載の動作制御装置を用いる動作制御方法であって、
前記第1スイッチが作動されたとき前記動作部に前記予備動作をさせる第1工程と、
前記第2スイッチが作動されたとき前記動作部に前記所定の動作をさせる第2工程と、
を備えることを特徴とする動作制御方法。
9.さらに前記第1スイッチが作動されてから所定時間内に前記第2スイッチが作動されたかを判断する監視工程を備え、
前記監視工程により前記第2スイッチが作動されなかったと判断された場合には、前記第1工程を行い、
前記監視工程により前記第2スイッチが作動されたと判断された場合には、前記第2工程を行う上記8.記載の動作制御方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の動作制御装置によると、第1スイッチが作動されたとき動作部が予備動作を行い、第2スイッチが作動されたとき動作部が所定の動作を行う。これにより、その操作スイッチによる作動がどのような態様である場合であっても、操作者は、操作スイッチに触れ又は軽く力を加えることにより第1スイッチを作動させて動作部の予備動作を確認することができ、操作スイッチに対応する動作部及びその動作を直感的に認識することができる。さらに、操作者は、そのまま操作力を加えて第2スイッチを作動させることによって、その動作部に通常の動作をさせることができる。また、動作部自体の予備的な作動によって案内を行うため、音声、画像等を用いた報知手段が不要となり低コスト化を図ることができる。
また、前記第1スイッチがタッチスイッチであり、前記第2スイッチが前記第1スイッチの表面又はその直下に設けられたプッシュスイッチ又はスライドスイッチである場合は、操作部の表面に触れたことを感知して予備動作を行い、そのまま強く操作されたときに所定動作をすることができる。また、操作スイッチの取付けスペース効率を高めることができる。
また、前記動作部が所定の輝度で発光する光源を有する照明装置であり、前記予備動作が、前記光源を前記所定の輝度より低い輝度で発光させ、又は前記光源を点滅させる場合は、操作者は、予備動作として光源の所定の輝度より低い輝度での発光又は点滅を確認することによって、操作スイッチに対応する照明装置及びその動作を容易に認識することができる。
また、前記動作部が、所定範囲で所定速度により移動する可動体を有する可動装置であり、前記予備動作が、前記範囲よりも小さい範囲、及び前記速度よりも遅い速度のうちの少なくとも一つにより動作する場合は、操作者は、予備動作として可動体の所定範囲よりも小さい範囲及び所定速度よりも遅い速度のうちの少なくとも一つの移動を確認することによって、操作スイッチに対応する可動装置及びその動作を容易に認識することができる。
また、前記制御部は、前記第1スイッチが作動されてから所定時間内に前記第2スイッチが作動されたときには、前記予備動作を行わせることなく前記動作部の所定の動作を行わせる場合は、操作者が操作スイッチに対応する動作部及びその動作を既に認識しているときに、動作部に不必要な予備動作をさせずに直ぐに所定の動作をさせることができる。
また、前記照明装置が、車両に設けられた室内灯である場合は、車両用の室内灯に適した動作制御装置を提供することができる。また、乗員は操作スイッチを視認する必要がないため安全である。
また、前記可動装置が、車両に設けられた電動シート、電動ルーフ及び電動ウィンドウのうちのいずれかである場合は、車両用の電動シート、電動ルーフ及び電動ウィンドウのいずれかに適した動作制御装置を提供することができる。
【0008】
本発明の動作制御方法によると、第1スイッチが作動されたとき動作部が予備動作を行う第1工程を備えるため、その操作スイッチによる作動がどのような態様である場合であっても、操作者は、第1スイッチを作動させて動作部の予備動作を確認することができ、操作スイッチに対応する動作部及びその動作を直感的に認識することができる。さらに、第2スイッチが作動されたとき動作部が所定の動作を行う第2工程を備えるため、操作者は、そのまま第2スイッチを作動させることによって、その動作部に通常の動作をさせることができる。
また、さらに前記第1スイッチが作動されてから所定時間内に前記第2スイッチが作動されたかを判断する監視工程を備え、前記監視工程により前記第2スイッチが作動されなかったと判断された場合には前記第1工程を行い、前記監視工程により前記第2スイッチが作動されたと判断された場合には前記第2工程を行う場合は、操作者が操作スイッチに対応する動作部及びその動作を既に認識しているときに、動作部に不必要な予備動作をさせずに直ぐに所定の動作をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例1及び2に係る車両室内側を示す斜視図である。
【図2】上記室内灯の要部拡大正面図である。
【図3】実施例1に係る操作スイッチの縦断面図である。
【図4】実施例1に係る動作制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】上記動作制御装置による動作制御処理のフローチャート図である。
【図6】実施例2に係る電動シートを示す側面図である。
【図7】実施例2に係る動作制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】上記動作制御装置による動作制御処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
1.動作制御装置
本実施形態1.に係る動作制御装置は、操作スイッチと、所定の動作を行う動作部と、操作スイッチからの信号により動作部を作動させる制御部とを備える動作制御装置であって、操作スイッチは、手指の接触又は所定値以下の操作力によって作動する第1スイッチと、所定値を超える操作力によって作動する第2スイッチとを備え、制御部は、第1スイッチからの信号により、動作部に対し所定の動作を操作者に感知させるための予備動作を行わせ、第2スイッチからの信号により、動作部に所定の動作を行わせることを特徴とする。
【0012】
なお、上記「手指の接触」とは、第1スイッチに対する手指の直接的な接触の他に、第1スイッチに対する手指の近接による間接的な接触も含むものとする。また、上記「予備動作」は、動作部に対し所定の動作を操作者に感知させ又は予測させるための、所定の動作を限定した動作とすることができる。また、上記「所定の動作」とは、動作部が通常時に行う動作を意図する。
【0013】
上記「操作スイッチ」としては、例えば、(1)第1スイッチがタッチスイッチであり、第2スイッチが第1スイッチの表面又はその直下に設けられたプッシュスイッチ又はスライドスイッチである形態(例えば、図3等参照)、(2)第1スイッチがタッチスイッチであり、第2スイッチが第1スイッチの側方に隣接して設けられたプッシュスイッチ又はスライドスイッチである形態、(3)第1及び第2スイッチが2段式のプッシュスイッチ又はスライドスイッチである形態、(4)第1及び第2スイッチが、操作力が所定値を超えるか否かを判別可能な一つのスイッチにより構成されている形態等を挙げることができる。
【0014】
上記形態(1)〜(4)において、上記第2スイッチは、通常、所定値以下の操作力によって作動されない。また、上記第2スイッチは、例えば、所定値を超える操作力によってその一部の弾性体が変形又は変位されて作動されるものであって、その構成や構造は限定されず、一般的なメカニカルスイッチ、メンブレンスイッチ(図3参照)、歪みセンサを用いたスイッチ等が挙げあれる。なお、上記「所定値」としては、例えば、0.2〜1.0kgf(好ましくは0.3〜0.5kgf)とすることができる。
上記形態(1)において、上記タッチスイッチは、例えば、検出用電極と、この検出用電極と接地との間の静電容量の変化を検出する静電容量検出部と、を備える静電容量式のタッチスイッチとすることができる(例えば、図3等参照)。この静電容量式のタッチスイッチの作動契機としては、例えば、検出用電極の表面(一方の面)を覆う絶縁物を介して検出用電極に手指が接触する形態の他に、検出用電極の表面に直接的に手指が接触する形態等を挙げることができる。
第1スイッチとしての上記タッチスイッチは、上記形態(2)のように、第2スイッチとしてのプッシュスイッチ又はスライドスイッチに隣接して配設されてもよい。
上記形態(3)では、例えば、上記2段式のプッシュスイッチ又はスライドスイッチを所定値以下の操作力で押圧操作又はスライド操作してその一部を変形又は変位させると第1スイッチが作動し、所定値を超える操作力で押圧操作又はスライド操作してその一部を変形又は変位させると第2スイッチが作動するようにすることができる。
上記形態(4)では、例えば、操作力に応じた歪みを検出する歪みセンサを用いたスイッチを挙げることができ、操作力が加わり且つ所定値よりも小さいときは第1スイッチとして作動し、操作力が所定値以上のときは第2スイッチとして作動するようにすることができる。
【0015】
上記「動作部」としては、例えば、(1)所定の輝度で発光する光源を有する照明装置、(2)所定範囲で所定速度により移動する可動体を有する可動装置、(3)所定の熱量で発熱する発熱装置、(4)所定の音量で音を発生する音発生装置、(5)所定の送量で空気を送出する送風装置等を挙げることができる。
【0016】
上記形態(1)において、照明装置の予備動作としては、例えば、(a)光源を所定の輝度より低い輝度で発光させる形態、(b)光源を点滅させる形態、(c)光源を所定時間の間で発光又は点滅させる形態、(d)光源の輝度を変化させつつ発光させる形態等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。また、上記照明装置としては、例えば、車両に設けられた室内灯(例えば、図2等参照)、ヘッドランプ等の他、表示器のバックライト等を挙げることができる。また、上記光源としては、例えば、白熱電球等のバルブ、発光ダイオード、蛍光灯、エレクトロルミネセンスライト等を挙げることができる。
【0017】
上記形態(2)において、可動装置の予備動作としては、例えば、(a)可動体を所定範囲よりも小さい範囲、及び所定速度よりも遅い速度のうちの少なくとも一つにより移動させる形態、(b)可動体を所定時間の間で移動させる形態、(c)可動体の速度を変化させつつ移動させる形態等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。また、上記可動装置としては、例えば、車両に設けられる電動シート(例えば、図6等参照)、電動ルーフ、電動ウィンドウ、ワイパー等を挙げることができる。また、上記電動シートの可動体としては、例えば、座席部、背もたれ部、ヘッドレスト部等を挙げることができる。なお、上記形態(2)において、上記「移動」としては、例えば、直線移動、曲線移動、回転移動等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0018】
上記形態(3)において、発熱装置の予備動作としては、例えば、(a)発熱装置を所定の熱量より大きな又は小さな熱量で発熱させる形態、(b)発熱装置を所定時間の間で発熱させる形態、(c)発熱装置を熱量を変化させつつ発熱させる形態等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。また、上記発熱装置としては、例えば、車両に設けられるシートヒータ、ウィンドウヒータ等を挙げることができる。
【0019】
上記形態(4)において、音発生装置の予備動作としては、例えば、(a)音発生装置を所定の音量より大きな又は小さな音量で音を発生させる形態、(b)音発生装置を所定時間の間で音を発生させる形態、(c)音発生装置を音量を変化させつつ音を発生させる形態等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。また、上記音発生装置としては、例えば、車両に設けられるオーディオ装置、カーナビゲーション装置等を挙げることができる。
【0020】
上記形態(5)において、上記送風装置の予備動作としては、例えば、(a)送風装置を所定の送量より大きな又は小さな送量で空気を送出させる形態、(b)送風装置を所定時間の間で空気を送出させる形態、(c)送風装置を送量を変化させつつ空気を送出させる形態等のうちの1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。また、上記送風装置としては、例えば、車両に設けられるエアコンディショナ、室内ヒータ等を挙げることができる。
【0021】
上記「制御部」の制御処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適には、CPU、メモリ(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより構成することができる。デジタル信号プロセッサ、プログラム可能な論理回路、ゲートアレーその他の論理回路が用いられて構成されてもよい。
【0022】
ここで、本実施形態1.に係る動作制御装置としては、例えば、上記制御部は、第1スイッチが作動されてから所定時間内に第2スイッチが作動されたときには、動作部に予備動作を行わせることなく動作部の所定の動作を行わせる形態を挙げることができる。上記所定時間としては、例えば、0.01〜0.5秒等を挙げることができる。
【0023】
2.動作制御方法
本実施形態2.に係る動作制御方法は、上述の実施形態1.の動作制御装置を用いる動作制御方法であって、第1スイッチが作動されたとき動作部に予備動作をさせる第1工程と、第2スイッチが作動されたとき動作部に所定の動作をさせる第2工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
本実施形態2.の動作制御方法としては、例えば、さらに第1スイッチが作動されてから所定時間内に第2スイッチが作動されたかを判断する監視工程を備え、監視工程により第2スイッチが作動されなかったと判断された場合には第1工程を行い、監視工程により第2スイッチが作動されたと判断された場合には第2工程を行う形態を挙げることができる。
【実施例】
【0025】
以下、図面を用いて実施例1及び2により本発明を具体的に説明する。
【0026】
〔実施例1〕
先ず、実施例1に係る動作制御装置について説明する。なお、本実施例1では、本発明に係る「動作制御装置」として、車両用の室内灯の点灯処理を含む動作制御処理を行う動作制御装置を例示する。
【0027】
(1)動作制御装置の構成
本実施例に係る動作制御装置1は、図1、図2及び図4に示すように、複数(図2中で5つ)の操作スイッチ3a〜3dと、室内灯4(本発明に係る「動作部」及び「照明装置」として例示する。)と、操作スイッチ3a〜3dからの信号により室内灯4の点灯処理等を行う制御部5(図4参照)と、を備えている。
【0028】
上記複数の操作スイッチ3a〜3dのそれぞれは、図3に示すように、操作者の手指の接触(接近)によって作動するタッチスイッチ7(本発明に係る「第1スイッチ」として例示する。)と、操作者の手指の接触による所定値(例えば、0.3kgf)を超える操作力によって作動するプッシュスイッチ8(本発明に係る「第2スイッチ」として例示する。)と、を備えている。
【0029】
上記タッチスイッチ7は、静電容量式のスイッチであり、シート状の検出用電極7aと、この検出用電極7aと接地との間の静電容量の変化を検出する静電容量検出部(図示省略)と、を有している。このタッチスイッチ7の作動契機は、検出用電極7aの表面を覆う絶縁物としての後述する操作キーを介して検出用電極7aに手指が接触することである。すなわち、検出用電極7aの表面に操作者の手指が接触している間、タッチスイッチ7は作動(オン)状態となる。
【0030】
上記プッシュスイッチ8は、筐体9に形成された開口部9aに押圧操作可能に設けられた操作キー10を有している。この操作キー10の裏面には、上記検出用電極7aを挟んで弾性体シート11が取り付けられている。この筐体9には、弾性体シート11の長手方向の両端側が取り付けられている。また、この筐体9には、弾性体シート11と離間して対向するように基板12が取り付けられている。この基板12上には、導電性を有するドーム状の弾性体である押圧変形部13が配設されている。この押圧変形部13により、弾性体シート11は筐体9の表面側に付勢されている。また、基板12には導通接点部14及び導通接点部15が設けられており、導通接点部14は押圧変形部13と常時接触している。操作キー10が所定値を超える力で押圧されない状態においては、ドーム状の押圧変形部13は導通接点部15と接触していないため、導通接点部14と導通接点部15とは電気的に切断されており、プッシュスイッチ8は非作動(オフ)状態である。各操作キー10を所定値を超えて押圧操作すると、弾性体シート11を介して押圧変形部13が押圧されて変形し、ドーム状の押圧変形部13の中心部が導通接点部15に接触される。そうすると導通接点部14と導通接点部15とが押圧変形部13によって接続され、プッシュスイッチ8が作動(オン)状態となる。
【0031】
上記室内灯4は、車両の天井面においてフロントガラス寄りで且つ車幅方向の略中央部に配置されている(図1参照)。この室内灯4は、所定の輝度で点灯する複数(図2中で2つ)のバルブ4a,4b(本発明に係る「光源」として例示する。)を有している。これらバルブ4a,4bは、プッシュスイッチ8の押圧操作によって所定の輝度で発光し(本発明に係る「動作部の所定の動作」として例示する。)、またタッチスイッチ7の接触操作によって所定の輝度より低い輝度で発光する(本発明に係る「動作部の予備動作」として例示する。)。
【0032】
なお、上記室内灯4の動作例として、操作スイッチ3aを一度押圧操作するとバルブ4aのみが発光し、操作スイッチ3aをもう一度押圧操作するとバルブ4aが消灯する。また、操作スイッチ3dを一度押圧操作するとバルブ4bのみが発光し、操作スイッチ3dをもう一度押圧操作するとバルブ4bが消灯する。また、操作スイッチ3cを押圧操作すると複数のバルブ4a,4bが発光し、消灯用スイッチ6を押圧操作すると複数のバルブ4a,4bが消灯する。さらに、操作スイッチ3bを一度押圧操作すると複数のバルブ4a,4bがドアの開閉に連動して点灯及び消灯可能なドア連動状態となり、操作スイッチ3bをもう一度押圧操作するとドア連動状態が解除されるようにすることができる。
【0033】
上記制御部5は、図示しないCPU、ROM及びRAMを有しており、ROMに保存された制御プログラムに従ってCPUが各種処理動作を実行し、またRAMはデータの一時保存等に使用される。この制御部5には、図4に示すように、上記複数の操作スイッチ3a〜3dを構成するタッチスイッチ7及びプッシュスイッチ8が電気的に接続されている。また、制御部5には、上記室内灯4を構成する複数のバルブ4a,4bが電気的に接続されている。また、タッチスイッチ7は、手指が接触されたときにオン信号を制御部5に出力し、プッシュスイッチ8は、手指で押されたときにオン信号を制御部5に出力するように構成することができる。そして、制御部5は、タッチスイッチ7及びプッシュスイッチ8から信号が入力されると、その入力信号に基づいてバルブ4a,4bの点灯処理等を行う。
【0034】
次に、制御部5による室内灯4の点灯処理等を含む動作制御処理について説明する。制御部5は、図5に示すように、タッチスイッチ7がオン操作されると(ステップS1でYES判定)、内部タイマで計時を開始する(ステップS2)。次に、タッチスイッチ7のオン操作が継続されているときは(ステップS3でYES判定)、タイマによる計時が所定時間(例えば、0.5秒)を経過したか否かを判定する(ステップS4)。その結果、所定時間を経過していない場合(ステップS4のNO判定)、プッシュスイッチ8がオン操作されたか否かを判定する(ステップS5)。その結果、プッシュスイッチ8がオン操作されていない場合(ステップS5でNO判定)、ステップS2に戻ってタイマで計時を続ける。次いで、タッチスイッチ7のオン操作が継続されていることを判定して(ステップS3でYES判定)、タイマによる計時が所定時間を経過したと判定した場合(ステップS4でYES判定)、タッチスイッチ7のオン操作が継続されているときは(ステップS6)、所定時間、バルブ4a、4bを所定の輝度より低い輝度で発光させて弱点灯させる(ステップS7)。
【0035】
その後、プッシュスイッチ8がオン操作されたか否かを判定する(ステップS8)。その結果、プッシュスイッチ8がオン操作された場合(ステップS8でYES判定)、バルブ4a,4bを所定の輝度で発光させて通常点灯させる(ステップS9)。一方、プッシュスイッチ8がオン操作されていない場合(ステップS8でNO判定)、バルブ4a,4bを通常点灯させずにステップS1に戻る。
【0036】
また、タイマによる計時が所定時間を経過していない状態で(ステップS4でNO判定)、プッシュスイッチ8がオン操作された場合(ステップS5でYES判定)、プッシュスイッチ8が継続してオン操作されていることを再判定して(ステップS8でYES判定)、バルブ4a,4bを通常点灯させる(ステップS9)。なお、ステップS1、S3及びS6においてタッチスイッチ7がオン操作されていないと判定された場合、ステップS1に戻る。
【0037】
なお、本実施例では、室内灯4のバルブ4a,4bの何れかが点灯している状態においては、バルブ4a,4bを消灯させるために操作者が操作スイッチ3a〜3eを操作しても室内灯4の弱点灯(予備動作)を行わせないように設定されているものとする。
【0038】
ここで、本実施例に係るステップS2、S3、S4及びS5によって本発明に係る「監視工程」が構成されている。また、本実施例に係るステップS6及びS7によって本発明に係る「第1工程」が構成されている。さらに、本実施例に係るステップS8及びS9によって本発明に係る「第2工程」が構成されている。
【0039】
(2)動作制御装置の作用
次に、上記構成の動作制御装置1の作用について説明する。
操作者が操作スイッチ3a〜3dに対応する室内灯4のバルブ4a,4b及びその動作を把握していない場合、操作者は、複数の操作スイッチ3a〜3dのうちの任意の操作スイッチに手指を近づけて軽く接触する。例えば、操作スイッチ3aに軽く接触する場合、操作スイッチ3aのタッチスイッチ7のオン操作が検出されて制御部5により操作スイッチ3aに対応するバルブ4aが弱点灯され、操作者は、その弱点灯されたバルブ4aを確認する。その結果、操作者が所望するバルブ4aが弱点灯された場合には、操作者はその操作スイッチ3aをそのまま押圧する。すると、操作スイッチ3aのプッシュスイッチ8のオン操作が検出されて制御部5によりその操作スイッチ3aに対応するバルブ4aが通常点灯される。一方、弱点灯されたバルブ4aが操作者の所望のバルブでない場合には、例えば、操作者は他の操作スイッチ3dに軽く接触してバルブ4bを弱点灯させて確認する。そして、所望のバルブとなるまで上述の作用を繰り返す。
【0040】
また、操作者が操作スイッチ3a〜3dに対応する室内灯4のバルブ4a,4b及びその動作を既に把握している場合、操作者は複数の操作スイッチ3a〜3eのうちから所望の操作スイッチを選択して押圧操作する。例えば、操作スイッチ3aを押圧操作する場合、操作スイッチ3aのタッチセンサ7がオン操作され、そのオン操作から所定時間(例えば、0.5秒)内にプッシュスイッチ8がオン操作される。その結果、制御部5によりその操作スイッチ3に対応するバルブ4aは弱点灯されずに通常点灯される。
【0041】
以上より、本実施例の動作制御装置1によると、タッチスイッチ7が作動されたとき予備動作として室内灯4を所定の輝度より低い輝度で発光させ、プッシュスイッチ8が作動されたとき室内灯4を所定動作(本動作)として所定の輝度で発光させるようにしたので、操作者は、予備動作として室内灯4の所定輝度より低い輝度での発光を確認することができ、操作スイッチ3a〜3dに対応する室内灯4及びその動作を直感的に認識することができる。さらに、操作者は、そのままプッシュスイッチ8を作動させることによって、室内灯4に通常の動作をさせることができる。また、室内灯4自体の予備的な作動によって案内を行うため、音声、画像等を用いた報知手段が不要となり低コスト化を図ることができる。
【0042】
また、本実施例では、タッチスイッチ7の直下にプッシュスイッチ8を設けて操作スイッチ3a〜3dを構成したので、操作部の表面に触れたことを感知して予備動作を行い、そのまま強く操作されたときに所定動作をすることができる。また、操作スイッチ3a〜3dの取付けスペース効率を高めることができる。
【0043】
さらに、本実施例では、制御部5によって、タッチスイッチ7が作動されてから所定時間内にプッシュスイッチ8が作動されたときには、室内灯4に予備動作を行わせることなく所定動作を行わせるようにしたので、操作者が操作スイッチ3a〜3dに対応する室内灯4のバルブ4a,4b及びその動作を既に認識しているときに、室内灯4に不必要な予備動作をさせずに直ぐに所定動作をさせることができる。
【0044】
〔実施例2〕
次に、実施例2に係る動作制御装置について説明する。なお、本実施例2では、本発明に係る「動作制御装置」として、車両用の電動シートの移動処理を含む動作制御処理を行う動作制御装置を例示する。
【0045】
(1)動作制御装置の構成
本実施例に係る動作制御装置21は、図6及び図7に示すように、複数(図中で2つ)の操作スイッチ23a〜23dと、電動シート24(本発明に係る「動作部」及び「可動装置」として例示する。)と、操作スイッチ23a〜23dからの信号により電動シート24の駆動処理等を行う制御部25と、を備えている。
【0046】
上記複数の操作スイッチ23a〜23dのそれぞれは、操作者の手指の接触(接近)によって作動するタッチスイッチ27(本発明に係る「第1スイッチ」として例示する。)と、操作者の手指の接触による所定値(例えば、0.3kgf)を超える操作力によって作動するプッシュスイッチ28(本発明に係る「第2スイッチ」として例示する。)と、を備えている。
【0047】
上記プッシュスイッチ28は、公知の機械式スイッチであり、筐体に対して押圧操作可能に設けられた操作キー30と、所定値(例えば、0.3kgf)を超える操作力により操作キー30を押圧操作したときに導通して制御部15に接続可能な導通接点部(図示省略)と、を有している。この操作キー30の裏面側には上記タッチセンサ27を構成する検出用電極(図示省略)が配設されている。なお、上記タッチスイッチ27及びプッシュスイッチ28は、上記実施例1に係るタッチスイッチ7及びプッシュスイッチ8と略同じ構成であってもよいし、プッシュスイッチの代わりにスライドスイッチ等が用いられてもよい。
【0048】
上記電動シート24は、車両の車室内の運転席側及び助手席側に配置されている(図1参照)。これら各電動シート24は、座席部24a(本発明に係る「可動体」として例示する。)と、この座席部24aの後端側に連なる背もたれ部24b(本発明に係る「可動体」として例示する。)と、背もたれ部24bの上端側に連なるヘッドレスト部24cと、を有している。
【0049】
上記座席部24aは、車両の床面に対して車両の前後方向に沿ってスライド自在に支持されており、後述する駆動モータの駆動によりスライド移動される。この座席部24aは、操作スイッチ23aのプッシュスイッチ28の押圧操作によって、車両の前方(例えば、図6中で右方向)に向かって所定の速度(例えば、0.02m/s)によりスライド移動する(本発明に係る「動作部の所定の動作」として例示する。)。また、座席部24aは、操作スイッチ23aのタッチスイッチ27の接触操作によって、車両の前方に向かって上記所定の速度より遅い速度でスライド移動する(本発明に係る「動作部の予備動作」として例示する。)。また、座席部24aは、操作スイッチ23bのプッシュスイッチ28の押圧操作によって、車両の後方(例えば、図6中で左方向)に向かって所定の速度(例えば、0.02m/s)によりスライド移動する(本発明に係る「動作部の所定の動作」として例示する。)。さらに、座席部24aは、操作スイッチ23bのタッチスイッチ27の接触操作によって、車両の後向に向かって上記所定の速度より遅い速度でスライド移動する(本発明に係る「動作部の予備動作」として例示する。)。
【0050】
上記背もたれ部24bは、座席部24aに対して水平軸周りに傾動自在に支持されており、後述する駆動モータの正逆駆動により傾動される。この背もたれ部24bは、操作スイッチ23cのプッシュスイッチ28の押圧操作によって、車両の前方(例えば、図6中で右方向)に向かって所定の速度により傾動する(本発明に係る「動作部の所定の動作」として例示する。)。また、背もたれ部24bは、操作スイッチ23cのタッチスイッチ27の接触操作によって、車両の前方に向かって上記所定の速度より遅い速度で傾動する(本発明に係る「動作部の予備動作」として例示する。)。また、背もたれ部24bは、操作スイッチ23dのプッシュスイッチ28の押圧操作によって、車両の後方(例えば、図6中で左方向)に向かって所定の速度により傾動する(本発明に係る「動作部の所定の動作」として例示する。)。さらに、背もたれ部24bは、操作スイッチ23cのタッチスイッチ27の接触操作によって、車両の後方に向かって上記所定の速度より遅い速度で傾動する(本発明に係る「動作部の予備動作」として例示する。)。
【0051】
なお、上記操作スイッチ23a,23bでは、操作キー30を押圧操作してその押圧状態を維持すると座席部24aがスライド移動し続け、操作キー30の押圧操作を止めると座席部24aがスライド移動を停止する。また、上記操作スイッチ23c,23dでは、操作キー30を押圧操作してその押圧状態を維持すると背もたれ部24bが傾動し続け、操作キー30の押圧操作を止めると背もたれ部24bが傾動を停止する。
【0052】
上記制御部25は、図示しないCPU、ROM及びRAMを有しており、ROMに保存された制御プログラムに従ってCPUが各種処理動作を実行し、またRAMはデータの一時保存等に使用される。この制御部25には、図7に示すように、上記複数の操作スイッチ23a〜23dを構成するタッチスイッチ27及びプッシュスイッチ28が電気的に接続されている。また、この制御部25には、上記座席部24aをスライド移動させる駆動モータ32a及び上記背もたれ部24bを傾動させる駆動モータ32bが電気的に接続されている。また、タッチスイッチ27は、手指が接触されたときにオン信号を制御部25に出力し、プッシュスイッチ28は、手指で押されたときにオン信号を制御部25に出力するように構成されている。そして、制御部25は、タッチスイッチ27及びプッシュスイッチ28aから信号が入力されると、その入力信号に基づいて駆動モータ32a,32bの駆動処理等を行う。
【0053】
次に、制御部25による駆動モータ32a,32bの駆動処理等を含む動作制御処理について説明する。制御部25は、図8に示すように、タッチスイッチ27がオン操作されると(ステップS11でYES判定)、内部タイマで計時を開始する(ステップS12)。次に、タッチスイッチ27のオン操作が継続されているときは(ステップS13でYES判定)、タイマによる計時が所定時間(例えば、0.5秒)を経過したか否かを判定する(ステップS14)。その結果、所定時間を経過していない場合(ステップS14のNO判定)、プッシュスイッチ28がオン操作されたか否かを判定する(ステップS15)。その結果、プッシュスイッチ28がオン操作されていない場合(ステップS15でNO判定)、ステップS12に戻ってタイマで計時を続ける。次いで、タッチスイッチ27のオン操作が継続されていることを判定して(ステップS13でYES判定)、タイマによる計時が所定時間を経過したと判定した場合(ステップS14でYES判定)、タッチスイッチ27のオン操作が継続されているときは(ステップS16)、所定時間、駆動モータ32a,32bを弱駆動させる(ステップS17)。
【0054】
その後、プッシュスイッチ28がオン操作されたか否かを判定する(ステップS18)。その結果、プッシュスイッチ28がオン操作された場合(ステップS18でYES判定)、駆動モータ32a,32bを通常駆動させる(ステップS19)。次に、プッシュスイッチ28がオフ操作されたか否かを判定し(ステップS20)、その結果、プッシュスイッチ28がオフ操作された場合(ステップS20でYES判定)にはステップ11に戻り、プッシュスイッチ28がオフ操作されていない場合にはステップS18に戻る。一方、プッシュスイッチ28がオン操作されていない場合(ステップS18でNO判定)、駆動モータ32a,32bを通常駆動させずにステップS11に戻る。
【0055】
また、タイマによる計時が所定時間を経過していない状態で(ステップS14でNO判定)、プッシュスイッチ28がオン操作された場合(ステップS15でYES判定)、プッシュスイッチ28が継続してオン操作されていることを再判定して(ステップS18でYES判定)、駆動モータ32a,32bを通常駆動させる(ステップS9)。なお、ステップS11、S13及びS16においてタッチスイッチ27がオン操作されていないと判定された場合、ステップS11に戻る。
【0056】
ここで、本実施例に係るステップS12、S13、S14及びS15によって本発明に係る「監視工程」が構成されている。また、本実施例に係るステップS16及びS17によって本発明に係る「第1工程」が構成されている。さらに、本実施例に係るステップS18、S19及びS20によって本発明に係る「第2工程」が構成されている。
【0057】
(2)動作制御装置の作用
次に、上記構成の動作制御装置21の作用について説明する。
操作者が操作スイッチ23a〜23dに対応する電動シート24の可動体(座席部24a及び背もたれ部24b)及びその動作を把握していない場合、操作者は、複数の操作スイッチ23a〜23dのうちの任意の操作スイッチに手指を近づけて軽く接触する。例えば、操作スイッチ23aに軽く接触する場合、操作スイッチ23aのタッチスイッチ27のオン操作が検出されて制御部25によりその操作スイッチ23aに対応する駆動モータ32aが正方向に弱駆動されて座席部24aが車両前方に向かって通常の速度より遅い速度で所定時間スライド移動する。そして、操作者は、その車両前方に向かってスライド移動する座席部24aを確認する。その結果、操作者が所望する座席部24aがスライド移動された場合には、操作者はその操作スイッチ23aをそのまま押圧操作する。すると、操作スイッチ23aのプッシュスイッチ28のオン操作が検出されて制御部25によりその操作スイッチ23に対応する駆動モータ32aが正方向に通常駆動されて座席部24aが車両前方に向かって通常の速度でスライド移動する。一方、通常の速度より遅い速度でスライド移動された座席部23a又はそのスライド方向が操作者の所望するものでない場合には、操作者は他の操作スイッチ23b〜23dに軽く接触する。例えば、操作スイッチ23bに軽く接触すると、駆動モータ32bが逆方向に弱駆動されて座席部24aが車両後向に向かって通常の速度より遅い速度でスライド移動されて操作者はそれを確認する。そして、所望の可動体及びその動作となるまで上述の作用を繰り返すことができる。
【0058】
また、操作者が操作スイッチ23a〜23dに対応する電動シート24の可動体及びその動作を既に把握している場合、操作者は複数の操作スイッチ23a〜23dのうちから所望の操作スイッチ23を選択して押圧操作する。例えば、操作スイッチ23aを押圧操作する場合、操作スイッチ23aのタッチセンサ27がオン操作され、そのオン操作から所定時間(例えば、0.5秒)内にプッシュスイッチ28がオン操作される。その結果、制御部25によりその操作スイッチ23aに対応する駆動モータ32aは弱駆動されずに通常駆動されて座席部24aが車両前方に向かって通常の速度でスライド移動する。
【0059】
以上より、本実施例の動作制御装置21によると、タッチスイッチ27が作動されたとき予備動作として電動シート24の可動体を通常の速度より遅い速度で移動させ、プッシュスイッチ28が作動されたとき所定動作(本動作)として電動シート24の可動体を通常の速度で移動させるようにしたので、操作者は、予備動作として電動シート24の可動体の通常より遅い速度での移動を確認することができ、操作スイッチ23a〜23dに対応する電動シート24の可動体及びその動作を直感的に認識することができる。さらに、操作者は、そのままプッシュスイッチ28を作動させることによって、電動シート24の可動体に通常の動作をさせることができる。また、電動シート24自体の予備的な作動によって案内を行うため、音声、画像等を用いた報知手段が不要となり低コスト化を図ることができる。プッシュスイッチ28の代わりにスライドスイッチ等を使用する場合も同様である。
【0060】
また、本実施例では、タッチスイッチ27の直下にプッシュスイッチ28を設けて操作スイッチ23a〜23dを構成したので、操作部の表面に触れたことを感知して予備動作を行い、そのまま強く操作されたときに所定動作をすることができる。また、操作スイッチ23a〜23dの取付けスペース効率を高めることができる。
【0061】
さらに、本実施例では、制御部25によって、タッチスイッチ27が作動されてから所定時間内にプッシュスイッチ28が作動されたときには、電動シート24の可動体に予備動作を行わせることなく所定動作を行わせるようにしたので、操作者が操作スイッチ23a〜23dに対応する電動シート24の可動体及びその動作を既に認識しているときに、電動シート24の可動体に不必要な予備動作をさせずに直ぐに所定動作をさせることができる。
【0062】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1及び2では、タッチスイッチ7,27が作動されてから所定時間内にプッシュスイッチ8,28が作動されたかを判定する監視工程を備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、監視工程を備えない形態としてもよい。
【0063】
また、上記実施例1及び2では、1つのタッチスイッチ7,27に対応して1つのプッシュスイッチ8,28を設けて操作スイッチ3a〜3d,23a〜23dを構成するようにしたが、これに限定されず、例えば、1つのタッチスイッチに対応して複数のプッシュスイッチを設けて操作スイッチを構成するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施例1及び2では、第2スイッチとしてプッシュスイッチを採用する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第2スイッチとしてスライドスイッチを採用するようにしてもよい。また、上記実施例1では、第2スイッチとしてメンブレン式のプッシュスイッチを採用する形態を例示したが、これに限定されない。
【0065】
また、上記実施例1において、操作スイッチ3a〜3dのうちの任意の操作スイッチのタッチスイッチ7が作動されたときに、室内灯4のバルブ4a,4bに予備動作を行わせるとともに、その操作スイッチに対応する室内灯4のバルブ4a,4bの動作説明をディスプレイに表示したり、スピーカから音声アナウンスしたりしてもよい。また、上記実施例2において、操作スイッチ23a〜23dのうちの任意の操作スイッチのタッチスイッチ27が作動されたときに、電動シート4の可動体に予備動作を行わせるとともに、その操作スイッチに対応する電動シート4の可動体の動作説明をディスプレイに表示したり、スピーカから音声アナウンスしたりしてもよい。
【0066】
また、上記実施例1では、予備動作として室内灯4のバルブ4a,4bを弱点灯させる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、バルブ4a,4bを点滅させたり、バルブ4a,4bを短時間のみ点灯させたりしてもよい。
【0067】
また、上記実施例2では、予備動作として電動シート4の可動体を通常の速度より遅い速度で移動させる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、可動体を通常の範囲より狭い範囲で移動させたり、可動体を短時間のみ移動させたりしてもよい。
【0068】
さらに、上記実施例1において、制御部5による動作制御処理のステップS3、S6及びS8(図5参照)を省略するようにしてもよい。また、上記実施例2において、制御部25による動作制御処理のステップS13、S16及びS18(図8参照)を省略するようにしてもよい。
【0069】
本発明は前記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
多数備えられた操作スイッチのうち、操作者が所望の操作スイッチを好適に選択する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0071】
1,21;動作制御装置、3a〜3d,23a〜23d;操作スイッチ、4;室内灯、4a,4b;バルブ、24;電動シート、24a;座席部、24b;背もたれ部、5,25;制御部、7,27;タッチスイッチ、8,28;プッシュスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作スイッチと、所定の動作を行う動作部と、前記操作スイッチからの信号により前記動作部を作動させる制御部とを備える動作制御装置であって、
前記操作スイッチは、手指の接触又は所定値以下の操作力によって作動する第1スイッチと、前記所定値を超える操作力によって作動する第2スイッチとを備え、
前記制御部は、前記第1スイッチからの信号により、前記動作部に対し前記所定の動作を操作者に感知させるための予備動作を行わせ、前記第2スイッチからの信号により、前記動作部に前記所定の動作を行わせることを特徴とする動作制御装置。
【請求項2】
前記第1スイッチはタッチスイッチであり、前記第2スイッチは前記第1スイッチの表面又はその直下に設けられたプッシュスイッチ又はスライドスイッチである請求項1記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記動作部は所定の輝度で発光する光源を有する照明装置であり、
前記予備動作は、前記光源を前記所定の輝度より低い輝度で発光させ、又は前記光源を点滅させる請求項1又は2に記載の動作制御装置。
【請求項4】
前記動作部は、所定範囲で所定速度により移動する可動体を有する可動装置であり、
前記予備動作は、前記可動体を前記範囲よりも小さい範囲、及び前記速度よりも遅い速度のうちの少なくとも一つにより移動させる請求項1又は2に記載の動作制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1スイッチが作動されてから所定時間内に前記第2スイッチが作動されたときには、前記予備動作を行わせることなく前記動作部の所定の動作を行わせる請求項1乃至4のいずれかに記載の動作制御装置。
【請求項6】
前記照明装置は、車両に設けられた室内灯である請求項3記載の動作制御装置。
【請求項7】
前記可動装置は、車両に設けられた電動シート、電動ルーフ及び電動ウィンドウのうちのいずれかである請求項4記載の動作制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の動作制御装置を用いる動作制御方法であって、
前記第1スイッチが作動されたとき前記動作部に前記予備動作をさせる第1工程と、
前記第2スイッチが作動されたとき前記動作部に前記所定の動作をさせる第2工程と、
を備えることを特徴とする動作制御方法。
【請求項9】
さらに前記第1スイッチが作動されてから所定時間内に前記第2スイッチが作動されたかを判断する監視工程を備え、
前記監視工程により前記第2スイッチが作動されなかったと判断された場合には、前記第1工程を行い、
前記監視工程により前記第2スイッチが作動されたと判断された場合には、前記第2工程を行う請求項8記載の動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−100617(P2011−100617A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254399(P2009−254399)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】