説明

動力出力装置及び電動車両

【課題】従来よりも高効率で動作することが出来る動力出力装置及び電動車両を提供することを目的とする。
【解決手段】電動車両が、副モータであり、ロータに永久磁石が搭載されていない1つまたは複数の永久磁石非搭載モータと、主モータであり、最大トルクが副モータの最大トルクより低トルクである永久磁石同期モータと、主モータ及び副モータの回転駆動により動力を出力する出力軸と、主モータである永久磁石同期モータの最大トルクを超えないトルク要求があった場合に、永久磁石同期モータのみを回転駆動し、永久磁石同期モータの最大トルクを超えるトルク要求があった場合に、副モータである永久磁石非搭載モータを回転駆動することによってトルクの不足分を補うモータ駆動制御部とを、具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転駆動によって動力を出力する動力出力装置及び当該動力出力装置を備える電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動車両(電気自動車及びハイブリッド自動車等)の駆動用モータとして、効率の良さから永久磁石同期モータが広く用いられている。また、永久磁石同期モータ以外にも、電動車両の駆動用モータとして直流モータ及び誘導モータが用いられている。
【0003】
そして、このような永久磁石同期モータ及び誘導モータを利用した発明として、下記特許文献1には、複数のモータを駆動源とすることで大出力化に対応し、かつ操舵フィーリングに優れた電動パワーステアリング装置が開示されている。当該電動パワーステアリング装置は、ラック軸にアシスト力を付与するラックアクチュエータと、コラムシャフトにアシスト力を付与するコラムアクチュエータと、これら各アクチュエータの駆動源である各モータへの駆動電力の供給によって該各アクチュエータの作動を制御するECUとを備える。そして、上記ラックアクチュエータのモータとして永久磁石モータが用いられるとともに、上記コラムアクチュエータのモータとして非永久磁石型モータが用いられる。
【0004】
また、下記特許文献2には、迅速な起動特性のみならず、微力稼動から定格稼動までの何れの運転領域においても効率良く動作するタンデムスクリューコンプレッサが開示されている。当該タンデムスクリューコンプレッサは、第1軸に軸支され同軸結合された第1ギアと共に回転自在の第1スクリューと、第1軸とほぼ平行な第2軸に軸支され第1ギアと歯合して逆回転する第2ギアに同軸結合された第2スクリューと、を備え、逆ネジの関係にある第1スクリューと第2スクリューをかみ合わせた空間で流体を圧縮するタンデムスクリューコンプレッサであって、第1スクリューに同軸結合された主モータ(永久磁石同期モータ)と、第2スクリューに同軸結合された副モータ(誘導モータ)と、を備え、主モータと副モータの何れか一方は軽負荷時に遊動可能とする。
【0005】
さらに、永久磁石同期モータのみを利用した技術として、下記特許文献3には、エネルギー効率をより向上することが出来る電動車両が開示されている。当該電動車両は、前記複数の電動機のうち、高トルク低回転数の領域内を主動作領域として、集中巻コイルにより形成された電動機が駆動制御され、低トルク高回転数の領域内を主動作領域として分布巻コイルにより形成された電動機が駆動制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−120241号公報
【特許文献2】特開2008−261225号公報
【特許文献3】特許第4196545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来技術における電動車両の電動車両用モータには、低速〜高速及び低トルク〜大トルクまで幅広い運転領域が要求される。そして、当該モータ及びそのドライバでは、発熱の問題がある為に、最大トルク及び最大出力を考慮した設計がなされている。しかしながら、一般的に、上記従来技術の電動車両で最も駆動時間が長い出力領域は市街地走行を中心とした低速及び低トルク領域である為に、最大トルク及び最大出力を考慮した設計のモータでは、効率の悪い出力領域での稼動が長時間続くことになってしまうとい問題があった。
【0008】
そして、上記特許文献1では、ホイールを左右に動かすための比較的大トルクが必要なラックアクチュエータの駆動に永久磁石モータを、ステアリングをきるための比較的低トルクで済むコラムアクチュエータに誘導モータを適用している。しかし、上記特許文献1の発明は、コラムアクチュエータに永久磁石モータを適用した場合に生じるコギングトルクが原因の操舵性悪化を改善することを目的とした発明である為に、電動車両用モータのエネルギー効率を向上させることは困難である。
【0009】
また、上記特許文献2では、ギアを介して対向回転する2軸のそれぞれを駆動するためのモータに永久磁石モータ及び誘導モータを適用しているが、あくまでコンプレッサの発明である為、電動車両の走行に利用される動力装置とは、構造が異なる。
さらに、特許文献3では、使用するモータはいずれも永久磁石同期モータを想定しており、それぞれのモータはギアやベルトにより結合されている為、一方のモータのみが稼動している場合に、他方のモータに鉄損が発生してしまう。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも高効率で動作することが出来る動力出力装置及び電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、動力出力装置に係る第1の解決手段として、副モータであり、ロータに永久磁石が搭載されていない1つまたは複数の永久磁石非搭載モータと、主モータであり、最大トルクが前記副モータの最大トルクより低トルクである永久磁石同期モータと、前記主モータ及び前記副モータの回転駆動により動力を出力する出力軸と、主モータである前記永久磁石同期モータの最大トルクを超えないトルク要求があった場合に、前記永久磁石同期モータのみを回転駆動し、前記永久磁石同期モータの最大トルクを超えるトルク要求があった場合に、副モータである前記永久磁石非搭載モータを回転駆動することによってトルクの不足分を補うモータ駆動制御部とを、具備するという手段を採用する。
【0012】
本発明では、動力出力装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記永久磁石非搭載モータは、誘導モータであるという手段を採用する。
【0013】
本発明では、動力出力装置に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記永久磁石非搭載モータは、リアクタンスモータであるという手段を採用する。
【0014】
本発明では、動力出力装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、前記永久磁石同期モータと、前記前記永久磁石非搭載モータとは、同軸に配置されているという手段を採用する。
【0015】
本発明では、動力出力装置に係る第5の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、前記永久磁石同期モータと、前記前記永久磁石非搭載モータとは、遊星ギアを介して別軸に配置されているという手段を採用する。
【0016】
また、本発明では、電動車両に係る第1の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段を採用する動力出力装置を具備し、前記動力出力装置の出力軸から出力される動力によって車輪を回転するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電動車両が、副モータであり、ロータに永久磁石が搭載されていない1つまたは複数の永久磁石非搭載モータと、主モータであり、最大トルクが副モータの最大トルクより低トルクである永久磁石同期モータと、主モータ及び副モータの回転駆動により動力を出力する出力軸と、主モータである永久磁石同期モータの最大トルクを超えないトルク要求があった場合に、永久磁石同期モータのみを回転駆動し、永久磁石同期モータの最大トルクを超えるトルク要求があった場合に、副モータである永久磁石非搭載モータを回転駆動することによってトルクの不足分を補うモータ駆動制御部とを、具備する。
【0018】
このように、動力出力装置では、主モータであり、最大トルクが低トルクである永久磁石同期モータと、副モータである永久磁石非搭載モータとを搭載し、モータ駆動制御部は、市街地等の低トルク走行時には、永久磁石同期モータ1を稼動し、永久磁石同期モータ1の最大トルクを超える高トルク走行時には、永久磁石同期モータを最大トルクで稼動させ、さらに不足分のトルクを誘導モータの回転によって補う。
このように、動力出力装置では、利用頻度の高い市街地等の走行時に、最大トルクが低トルクである永久磁石同期モータを駆動することで、従来よりも高効率で動作することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動車両Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電動車両Aの永久磁石同期モータ1と誘導モータ2とのモータ出力特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、電気自動車及びハイブリッド自動車等の電動車両に関する。
まず、本実施形態に係る電動車両Aの機能構成について、図1を参照して、説明する。図1は、本実施形態に係る電動車両Aの機能ブロック図である。
【0021】
本実施形態に係る電動車両Aは、モータを動力として走行する電気自動車またはハイブリッド自動車であり、図1に示すように、永久磁石同期モータ1、誘導モータ2、回転軸3、ディファレンシャルギア4、車軸5(出力軸)、車輪6、バッテリ7、第1インバータ8、第2インバータ9、第1モータ駆動電流検出部10、アクセル操作部11及びモータ制御部12を備えている。
【0022】
なお、車軸5は、本実施形態における出力軸である。また、バッテリ7、第1インバータ8、第2インバータ9、第1モータ駆動電流検出部10、アクセル操作部11及びモータ制御部12は、本実施形態におけるモータ駆動制御部を構成する。
【0023】
永久磁石同期モータ1は、電動車両Aの主モータであり、ロータ及びステータによって構成されている埋め込み型永久磁石モータ(IPMモータ:Interior Permanent Magnetモータ)である。
【0024】
永久磁石同期モータ1のロータは、円筒状のロータコアと、複数枚の永久磁石とによって構成されている。ロータコアは、中空円盤形状の鋼鈑を複数枚積層した積層鋼板であり、その中心軸上に設けられた貫通孔に回転軸3が圧入・固定されている。永久磁石は、ロータコアの外周側にN極の極性を持つ永久磁石及びS極の極性を持つ永久磁石のそれぞれが、ロータコアの外周に沿って埋設されている。
【0025】
そして、永久磁石同期モータ1のステータは、略円筒形状のステータコアと当該ステータコアに巻回された巻線とから構成されている。ステータコアは、複数の金属製のコアプレートが積層されて構成されており、円環状に形成されたヨークから内周側に突設されたティースを等角度間隔に備えている。そして、このティースの先端部は、全体として略円管状の内周面を形成している。巻線は、ティースに複数巻き回されており、モールド剤によってティースに固定している。そして、この巻線は、U相巻線、V相巻線及びW相巻線の3相の巻線から構成されており、第1インバータ8から供給される3相に応じた第1モータ駆動信号によって磁極の向きが切り替わる。上記構成のステータは、内周面が所定の隙間を介してロータの外周面に対向している。
【0026】
誘導モータ2は、電動車両Aの副モータであり、ロータ及びステータから構成されている。
誘導モータ2のロータは、円筒状のロータコアと、銅製のリング(銅リング)の間を複数の銅製の棒(銅棒)によってつないだカゴ形状の銅カゴとによって構成されている。
【0027】
ロータコアは、中空円盤形状の鋼鈑を複数枚積層した積層鋼板であり、その中心軸上に設けられた貫通孔に回転軸3が圧入・固定されている。銅カゴは、ロータコアの外周面に軸方向に沿って設けられた複数の溝に埋め込まれた銅棒の両端に銅リングが接合することによって形成されている。そして、誘導モータ2のステータは、永久磁石同期モータ1のステータと同様の構造となっている。
【0028】
上記構成の永久磁石同期モータ1及び誘導モータ2のモータ出力特性について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る電動車両Aの永久磁石同期モータ1と誘導モータ2とのモータ出力特性図である。なお、図2の縦軸がトルクを示し、横軸がモータ回転数を示す。
【0029】
図2に示すように、電動車両において、主モータの永久磁石同期モータ1は、最大トルクが低トルクであり、市街地等を走行する際に最も電力効率がよくなるように低トルク中回転数領域ar1が主動作領域である。また、副モータの誘導モータ2は、モータ制御部12の制御の下、永久磁石同期モータ1の最大トルクと越えるトルクが必要な場合に、回転駆動によってトルクを発生する。
【0030】
回転軸3は、円柱状部材であって、複数の径を有して多段状に形成されたものである。この回転軸3の最大径を有する部位に永久磁石同期モータ1及び誘導モータ2それぞれのロータコアが固定されており、永久磁石同期モータ1及び誘導モータ2の回転駆動によって生じた動力をディファレンシャルギア4へ伝達する。
ディファレンシャルギア4は、複数の歯車を組み合わせて構成された動力伝達機構(差動歯車)であり、回転軸3から伝夏された動力を、車軸5を介して車輪6へ伝達する。
【0031】
車軸5は、円柱状部材であって、その両端に車輪6が取り付けられ、ディファレンシャルギア4から伝達された動力を車輪6へ伝達する。
車輪6は、左右一対からなる駆動輪(後輪)であり、ディファレンシャルギア4を介して永久磁石同期モータ1及び誘導モータ2から伝達される動力によって回転する。
バッテリ7は、負荷として接続された第1インバータ8及び第2インバータ9の負荷状況に応じて直流電圧を放電するものであり、例えば鉛蓄電池、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池である。
【0032】
第1インバータ8は、モータ制御部12から供給されるPWM(Pulse Width Modulation)信号に基づいてバッテリ7から供給される直流電圧をスイッチングすることにより、U相、V相及びW相からなる3相の第1モータ駆動電流を生成し、当該第1モータ駆動電流を永久磁石同期モータ1へ供給する。すなわち、第1インバータ8は、第1モータ駆動電流によって永久磁石同期モータ1を回転駆動する駆動装置である。
【0033】
第2インバータ9は、モータ制御部12から供給されるPWM信号に基づいてバッテリ7から供給される直流電圧をスイッチングすることにより、U相、V相及びW相からなる3相の第2モータ駆動電流を生成し、当該第2モータ駆動電流を誘導モータ2へ供給する。すなわち、第2インバータ9は、第2モータ駆動電流によって誘導モータ2を回転駆動する駆動装置である。
【0034】
第1モータ駆動電流検出部10は、第1インバータ8と永久磁石同期モータ1のU相巻線、V相巻線及びW相巻線のそれぞれとを接続するU相駆動信号線、V相駆動信号線及びW相駆動信号線に設けられており、第1インバータ8から永久磁石同期モータ1へ流れるU相、V相及びW相の3相からなる第1モータ駆動電流を検出し、検出結果に基づいて第1モータ駆動電流を示す検出信号をモータ制御部12へ出力する。
【0035】
アクセル操作部11は、アクセルペダル等から構成されており、アクセルペダルの押下に応じた運転者の速度指示をモータ制御部12へ出力する。
モータ制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される内部メモリ並びに上記第1インバータ8、第2インバータ9及びアクセル操作部11と信号の入出力をそれぞれ行うインタフェース回路等から構成されており、上記ROMに記憶されたモータ制御プログラム及びアクセアクセス操作部が受け付けた速度指示に基づいて、第1インバータ8及びに第2インバータ9をPWM制御する。
【0036】
次に、このように構成された電動車両Aの動作について、詳しく説明する。
まず、電動車両Aによって走行しようとする運転者は、アクセル操作部11のアクセルペダルを踏み込むことによって、走行を電動車両Aに開始させる。
モータ制御部12は、アクセルペダルの踏み込みによってアクセル操作部11が速度指示を受け付けると、速度指示に応じた第1モータ駆動電流を第1インバータ8に生成させ、当該第1モータ駆動電流を永久磁石同期モータ1へ供給させる。
【0037】
第1モータ駆動電流検出部10は、第1インバータ8から永久磁石同期モータ1への第1モータ駆動電流の供給の開始に伴って、第1モータ駆動電流に応じた検出信号をモータ制御部12へ出力する。
【0038】
そして、モータ制御部12では、第1モータ駆動電流検出部10から検出信号が入力されると、当該検出信号に基づいて、永久磁石同期モータ1が最大トルクを出力する為に必要な第1モータ駆動電流に達したか否か判断することによって、永久磁石同期モータ1が図2に示す最大トルクまで達したか否か判断する。
【0039】
モータ制御部12は、永久磁石同期モータ1が図2に示す最大トルクまで達すると、速度指示に応じて永久磁石同期モータ1の最大トルクを超えるトルクが必要な場合に、第2モータ駆動電流を第2インバータ9に生成させ、当該第2モータ駆動電流を誘導モータ2へ供給させる。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る電動車両Aでは、最大トルクが低トルクであり、市街地等を走行する際に最も電力効率がよくなるように低トルク中回転数領域ar1が主動作領域である主モータである永久磁石同期モータ1と、副モータである誘導モータ2とを搭載し、モータ制御部12は、市街地等の低トルク走行時には、永久磁石同期モータ1を稼動し、永久磁石同期モータ1の最大トルクを超える高トルク走行時には、永久磁石同期モータ1を最大トルクで稼動させ、さらに不足分のトルクを誘導モータ2の回転によって補う。
【0041】
このように、電動車両Aでは、利用頻度の高い市街地等の走行時に、最大トルクが低トルクでありかつ低トルク中回転数領域ar1が主動作領域である永久磁石同期モータ1を駆動することで、従来よりも高効率で動作することが出来る
【0042】
また、電動車両Aでは、永久磁石同期モータ1は、最大トルクが低トルクであり、かつ市街地等を走行する際に最も電力効率がよくなるように、低トルク中回転数領域ar1が主動作領域である為に、永久磁石同期モータ1を小型化することが出来る。これにより、永久磁石同期モータ1の製作に必要は永久磁石等の原料を節約することが出来る。
【0043】
また、最大トルクが低トルクである永久磁石同期モータ1を搭載する為に、第1インバータの最大出力の低くすることが出来る。
さらに、電動車両Aでは、永久磁石同期モータ1の稼動時に、遊転する誘導モータ2のロータには永久磁石が搭載されていない為、磁束の変化が生じない。これにより、電動車両Aでは、鉄損が発生しない。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、誘導モータ2を1つ搭載したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、電動車両Aでは、上記誘導モータ2を1つに限定せずに、複数搭載するようにしてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、永久磁石同期モータ1及び誘導モータ2を同軸(回転軸3)に配置したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、永久磁石同期モータ1と誘導モータ2とを、遊星ギアを介して、別軸に配置するようにしてもよい。
【0046】
(3)上記実施形態では、誘導モータ2を搭載したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、誘導モータ2の代わりに、ロータに永久磁石が取り付けられていないリアクタンスモータを搭載するようにしてもよい。
【0047】
(4)上記実施形態では、第1モータ駆動電流検出部10をU相駆動信号線、V相駆動信号線及びW相駆動信号線に設け、U相、V相及びW相の3相からなる第1モータ駆動電流を検出したが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
例えば、電動車両Aに、第1モータ駆動電流検出部10をU相駆動信号線、V相駆動信号線及びW相駆動信号線のいずれか2つを配設する。そして、モータ制御部12は、2つの第1モータ駆動電流検出部10から入力される2相の第1モータ駆動電流から残り1相のモータ駆動電流を算出するようにしてもよい。
【0049】
(5)上記実施形態では、永久磁石同期モータは、埋め込み型永久磁石モータ(IPMモータ)であるが、本願発明はこれに限定されない。
例えば、埋め込み型永久磁石モータの代わりに、表面永久磁石モータ(SPMモータ: Surface Permanent Magnetモータ)であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
A…電動車両、1…永久磁石同期モータ、2…誘導モータ、3…回転軸、4…ディファレンシャルギア、5…車軸(出力軸)、6…車輪、7…バッテリ、8…第1インバータ、9…第2インバータ、9…第2インバータ、10…第1モータ駆動電流検出部、11…アクセル操作部、12…モータ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副モータであり、ロータに永久磁石が搭載されていない1つまたは複数の永久磁石非搭載モータと、
主モータであり、最大トルクが前記副モータの最大トルクより低トルクである永久磁石同期モータと、
前記主モータ及び前記副モータの回転駆動により動力を出力する出力軸と、
主モータである前記永久磁石同期モータの最大トルクを超えないトルク要求があった場合に、前記永久磁石同期モータのみを回転駆動し、前記永久磁石同期モータの最大トルクを超えるトルク要求があった場合に、副モータである前記永久磁石非搭載モータを回転駆動することによってトルクの不足分を補うモータ駆動制御部とを、
具備することを特徴とする動力出力装置。
【請求項2】
前記永久磁石非搭載モータは、誘導モータであることを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
【請求項3】
前記永久磁石非搭載モータは、リアクタンスモータであることを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
【請求項4】
前記永久磁石同期モータと、前記前記永久磁石非搭載モータとは、同軸に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動力出力装置。
【請求項5】
前記永久磁石同期モータと、前記前記永久磁石非搭載モータとは、遊星ギアを介して別軸に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動力出力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の動力出力装置を具備し、
前記動力出力装置の出力軸から出力される動力によって車輪を回転することを特徴とする電動車両。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−259253(P2010−259253A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107874(P2009−107874)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】