説明

動力装置

【課題】 エンジンおよび往復動式の無段変速機を組み合わせた動力装置の小型化を図る。
【解決手段】 エンジンEのクランクシャフト14および無段変速機Tの出力軸15を平行に配置し、コネクティングロッド13および出力軸15を第1二対偶素節L1、第2二対偶素節L2、三対偶素節L3およびワンウェイクラッチ16を介して接続し、変速比変更手段Vで三対偶素節L3の三つの節のうちの少なくとも一つの節の長さを変更するか第3回り対偶P3の固定位置を変更することで、クランクシャフト14の回転運動を変速して出力軸15の間欠回転運動に変換することができる。エンジンEの軸線および無段変速機Tの軸線を並列に配置することができるので、動力装置の軸方向寸法を小型化することができ、しかも無段変速機Tの入力軸が不要になり、動力装置の軸直角方向の寸法を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンの往復運動をコネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換するエンジンと、前記クランクシャフトの回転運動をリンク機構およびワンウェイクラッチを介して出力軸の間欠回転運動に変換する変速機と、前記変速機の変速比を変更する変速比変更手段とを備える動力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力軸の回転運動を偏心量が可変の偏心ディスクでコネクティングロッドの往復運動に変換し、コネクティングロッドの往復運動をワンウェイクラッチで出力軸の間欠回転運動に変換する往復動式の無段変速機において、エンジンのクランクシャフトと前記無段変速機の入力軸とを直列に接続したものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−502543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記従来のものは、エンジンのクランクシャフトと無段変速機の入力軸とが直列に接続されているので、エンジンおよび無段変速機で構成される動力装置の軸方向の寸法が大きくなることが避けられず、その動力装置を車両等に搭載する際のスペースの確保が難しくなる可能性がある。
【0005】
この問題を解決するために、エンジンのクランクシャフトと無段変速機の入力軸とを平行に配置し、クランクシャフトと入力軸とをギヤやチェーンで接続することが考えられる。しかしながら、このようにするとクランクシャフト、入力軸および出力軸が平行に配置されるため、今度は動力装置に軸直角方向の寸法が大型化してしまう問題がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンおよび往復動式の変速機を組み合わせた動力装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ピストンの往復運動をコネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換するエンジンと、前記クランクシャフトの回転運動をリンク機構およびワンウェイクラッチを介して出力軸の間欠回転運動に変換する変速機と、前記変速機の変速比を変更する変速比変更手段とを備える動力装置であって、前記リンク機構は、前記エンジンにより回転運動する第1対偶と、前記ワンウェイクラッチ上に設けられた第2対偶と、位置を固定された第3対偶と、前記第3対偶を中心として揺動運動する第4対偶と、前記第3対偶を中心として揺動運動する第5対偶と、前記第1対偶および前記第4対偶を接続する第1二対偶素節と、前記第2対偶および前記第5対偶を接続する第2二対偶素節と、前記第3対偶、前記第4対偶および前記第5対偶を接続する三対偶素節とを備え、前記変速比変更手段は、前記三対偶素節の三つの節のうちの少なくとも一つの節の長さを変更するか前記第3対偶の固定位置を変更することで、前記第2対偶の往復揺動のストロークを増減して前記変速機の変速比を変更することを特徴とする動力装置が提案される。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記変速比変更手段は、回転軸と、前記回転軸の回転に応じて容積が相互に逆方向に拡大・縮小する第1、第2油室と、前記第1油室に連なる第1油路と、前記第2油室に連なる第2油路と、前記第1油路および前記第2油路間に配置されたチェックバルブと、前記第1油路および前記第2油路間に配置されて前記第1、第2油室に対する前記チェックバルブの接続方向を切り換える切換バルブと、一端が前記回転軸に接続された第1変速リンクと、一端が前記第1変速リンクの他端に接続されて他端が前記第2二対偶素節に接続された第2変速リンクとを備え、前記クランクシャフトが1回転する間に、前記第2変速リンクおよび前記第2二対偶素節が相互に成す角度は、鋭角と鈍角との間で切り換わることを特徴とする動力装置が提案される。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記第1変速リンクから前記変速比変更手段の前記回転軸に入力する正負の駆動力を調整する駆動力調整手段を設けたことを特徴とする動力装置が提案される。
【0010】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記第3対偶、前記第4対偶および前記第5対偶の少なくとも一つが滑り対偶であることを特徴とする動力装置が提案される。
【0011】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、1個の前記第1対偶に対して複数個の前記ワンウェイクラッチを設け、前記1個の第1対偶と前記複数個のワンウェイクラッチとを複数個の前記リンク機構で接続し、前記複数個の第2対偶の位相を相互に異ならせたことを特徴とする動力装置が提案される。
【0012】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1〜請求項5の何れか1項の構成に加えて、1個の前記第5対偶に対して複数個の前記ワンウェイクラッチを設け、前記複数個のワンウェイクラッチに位相が相互に異なるように設けられた複数個の前記第2対偶を、複数個の前記第2二対偶素節で前記1個の第5対偶に接続したことを特徴とする動力装置が提案される。
【0013】
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1〜請求項6の何れか1項の構成に加えて、前記第1対偶を前記クランクシャフト上に設けたことを特徴とする動力装置が提案される。
【0014】
また請求項8に記載された発明によれば、請求項1〜請求項6の何れか1項の構成に加えて、前記第1対偶を前記コネクティングロッドのキャップ部上に設けたことを特徴とする動力装置が提案される。
【0015】
また請求項9に記載された発明によれば、請求項2〜請求項8の何れか1項の構成に加えて、複数個の前記第1変速リンクが単一の前記回転軸に接続されており、前記変速比変更手段は前記回転軸の軸方向に対して前記複数個の第1変速リンクの間に配置されることを特徴とする動力装置が提案される。
【0016】
尚、実施の形態の捩じりバネ42は本発明の駆動力調整手段に対応し、実施の形態の無段変速機Tは本発明の変速機に対応する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、動力装置の変速機のリンク機構は、エンジンにより回転運動する第1対偶と、ワンウェイクラッチ上に設けられた第2対偶と、位置を固定された第3対偶と、第3対偶を中心として揺動運動する第4対偶と、第3対偶を中心として揺動運動する第5対偶と、第1対偶および第4対偶を接続する第1二対偶素節と、第2対偶および第5対偶を接続する第2二対偶素節と、第3対偶、第4対偶および第5対偶を接続する三対偶素節とを備え、変速比変更手段で三対偶素節の三つの節のうちの少なくとも一つの節の長さを変更するか第3対偶の固定位置を変更することで、エンジンのクランクシャフトの回転運動をストロークが可変の往復運動に変換し、その往復運動をワンウェイクラッチで出力軸の間欠回転運動に変換して変速を行うことができる。
【0018】
エンジンの軸線および変速機の軸線を並列に配置することができるので、動力装置の軸方向寸法を小型化することができ、しかもエンジンのクランクシャフトあるいはコネクティングロッドの駆動力を変速機のリンク機構に直接入力するので変速機の入力軸が不要になり、動力装置の軸直角方向の寸法を小型化することができる。
【0019】
また変速比変更手段で第5対偶の位置を第3対偶の位置に一致させると、変速機の変速比を無限大にすることが可能になり、変速比の可変領域を大きく確保することができる。しかも通常の自動変速機のトルクコンバータや多板クラッチが不要になるため、伝達効率を低下させる要素を削減して高効率の動力伝達を可能にすることができる。
【0020】
また三対偶素節は二対偶素節に比べて対偶数が多いために重くなり易いが、この三対偶素節の第3対偶の位置を固定することでリンク機構の作動時における慣性力を低減し、リンク機構に対する入力が変動したときの追従性を高めることができる。
【0021】
また請求項2の構成によれば、変速比変更手段は、回転軸と、回転軸の回転に応じて容積が相互に逆方向に拡大・縮小する第1、第2油室と、第1油室に連なる第1油路と、第2油室に連なる第2油路と、第1油路および第2油路間に配置されたチェックバルブと、第1油路および第2油路間に配置されて第1、第2油室に対するチェックバルブの接続方向を切り換える切換バルブと、一端が回転軸に接続された第1変速リンクと、一端が第1変速リンクの他端に接続されて他端が第2二対偶素節に接続された第2変速リンクとを備えるので、切換バルブで、第1油室から第2油室への作動油の移動のみを許容する状態と、第2油室から第1油室への作動油の移動のみを許容する状態とを切り換えることができる。
【0022】
クランクシャフトが1回転する間に、第2変速リンクおよび第2二対偶素節が相互に成す角度は鋭角と鈍角との間で切り換わるので、回転軸は回転方向が交互に切り換わる荷重を受けて第1、第2油室の容積が交互に拡大・縮小しようとするため、切換バルブに位置に応じて回転軸を正転方向あるいは逆転方向に回転させることができる。これにより、特別の駆動源を必要とせずに変速比変更手段を作動させて変速機の変速比を制御することができる。
【0023】
また請求項3の構成によれば、第1変速リンクから変速比変更手段の回転軸に入力する正負の駆動力を駆動力調整手段で調整するので、要求される変速比変更手段の動作速度が回転軸の正転・逆転や回転軸の回転角度によって異なる場合に、それに応じて変速比変更手段に入力される駆動力の調整が可能になる。
【0024】
また請求項4の構成によれば、第3対偶、第4対偶および第5対偶の少なくとも一つが滑り対偶で構成されるので、三対偶素節の節自体をガイドとする簡単な構造で該節の長さを変更することができる。
【0025】
また請求項5の構成によれば、1個の第1対偶に対して複数個のワンウェイクラッチを設け、1個の第1対偶と複数個のワンウェイクラッチとを複数個のリンク機構で接続し、複数個の第2対偶の位相を相互に異ならせたので、クランクシャフトの1個所あるいは1個のコネクティングロッドから取り出した駆動力を複数のリンク機構を介して異なる位相で出力軸に伝達することができ、各リンク機構毎に設けた第1対偶からそれぞれ駆動力を入力する場合に比べて動力装置の軸方向寸法を小型化しながら、複数個のワンウェイクラッチを位相差をもって係合させることで出力軸のトルク変動を低減することができる。
【0026】
また請求項6の構成によれば、1個の第5対偶に対して複数個のワンウェイクラッチを設け、複数個のワンウェイクラッチに位相が相互に異なるように設けられた複数個の第2対偶を、複数個の第2二対偶素節で1個の第5対偶に接続したので、複数個のワンウェイクラッチを位相差をもって係合させることで出力軸のトルク変動を低減することができる。
【0027】
また請求項7の構成によれば、第1対偶をクランクシャフト上に設けたので、複数のリンク機構に対応する複数の第1対偶の位相を相互に異ならせることで、出力軸のトルク変動を低減することができる。
【0028】
また請求項8の構成によれば、第1対偶をコネクティングロッドのキャップ部上に設けたので、組立を完了したリンク機構に予めコネクティングロッドのキャップ部を組み付けておき、そのキャップ部をクランクピンを挟んでコネクティングロッドの本体部に結合することで、動力装置の組付性が向上する。
【0029】
また請求項9の構成によれば、複数個の第1変速リンクが単一の回転軸に接続されており、変速比変更手段は回転軸の軸方向に対して複数個の第1変速リンクの間に配置されるので、各リンク機構をそれぞれ対応する変速比変更手段で作動させる場合に比べて部品点数を減少させて変速機を更に小型化することができ、しかも変速比変更手段の第1、第2油室により発生する負荷が回転軸を介して各第1変速リンクに伝達される経路の捩じれの影響を最小限に抑えて変速特性を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】動力装置のスケルトン図。(第1の実施の形態)
【図2】変速比変更手段の油圧回路を示す図。(第1の実施の形態)
【図3】変速比変更手段の構造および作用を説明する図。(第1の実施の形態)
【図4】動力装置の側面図。(第1の実施の形態)
【図5】図4の5(A)−5(A)線断面図および5(B)−5(B)線断面図。(第1の実施の形態)
【図6】変速比変更手段の斜視図。(第1の実施の形態)
【図7】動力装置のスケルトン図。(第2の実施の形態)
【図8】動力装置のスケルトン図。(第3の実施の形態)
【図9】動力装置のスケルトン図。(第4の実施の形態)
【図10】動力装置のスケルトン図。(第5の実施の形態)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図1〜図6に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0032】
図1に示すように、例えば自動車の走行用の動力源として使用される動力装置は、ガソリンエンジンのようなレシプロ型のエンジンEと、往復動型の無段変速機Tと、無段変速機Tの変速比を変更する変速比変更手段Vとを備える。
【0033】
エンジンEはシリンダ11と、ピストン12と、コネクティングロッド13と、クランクシャフト14とを備える。コネクティングロッド13は本体部13aとキャップ部13bとからなり、クランクジャーナル14aを中心として回転するクランクシャフト14のクランクピン14bが、コネクティングロッド13の本体部13aおよびキャップ部13b間に回転自在に挟持される。そしてコネクティングロッド13のキャップ部13bに設けた第1回り対偶P1がエンジンEから無段変速機Tへの駆動力の入力部となる。
【0034】
無段変速機Tの出力軸15にはワンウェイクラッチ16が設けられており、このワンウェイクラッチ16上に設けた第2回り対偶P2が往復揺動することで、出力軸15が一方向に間欠回転する。
【0035】
第1回り対偶P1および第2回り対偶P2を接続するリンク機構17は、前記第1回り対偶P1および前記第2回り対偶P2に加えて、第3回り対偶P3、第4回り対偶P4および第5滑り対偶P5を備える。第3回り対偶P3は位置固定であり、第4回り対偶P4および第5滑り対偶P5は第3回り対偶P3を中心に揺動可能である。第1回り対偶P1および第4回り対偶P4は第1二対偶素節L1で接続され、第2回り対偶P2および第5滑り対偶P5は第2二対偶素節L2で接続される。また第3回り対偶P3および第4回り対偶P4は三対偶素節L3で接続され、第5滑り対偶P5は三対偶素節L3上を摺動可能である。
【0036】
変速比変更手段Vは、三対偶素節L3上の第5滑り対偶P5の位置を変化させることで、リンク機構17の作動態様を変化させて無段変速機Tの変速比を変更する。
【0037】
図1(A)は変速比が最小となるOD(オーバードライブ)状態を示すもので、変速比変更手段Vにより三対偶素節L3の第5滑り対偶P5が第3回り対偶P3から所定距離だけ離間した位置に設定される。
【0038】
このOD状態では、コネクティングロッド13のキャップ部13bに設けた第1回り対偶P1がクランクシャフト14の回転に伴って楕円状の軌跡を描いて移動すると、第1回り対偶P1に第1二対偶素節L1を介して第4回り対偶P4を接続された三対偶素節L3が第3回り対偶P3を中心として往復揺動し、三対偶素節L3上の第5滑り対偶P5に第2二対偶素節L2を介して接続された第2回り対偶P2が往復揺動することで、ワンウェイクラッチ16を介して出力軸15が一方向に間欠回転する。
【0039】
このとき、変速比変更手段Vによって第5滑り対偶P5が第3回り対偶P3から最も遠い位置に調整されることで、第2二対偶素節L2の往復運動のストロークが最大になり、ワンウェイクラッチ16を介して駆動される出力軸15の回転数が最大になって変速比がODになる。
【0040】
図1(B)は変速比が最大(無限大)となるUD(アンダードライブ)状態を示すもので、変速比変更手段Vにより三対偶素節L3の第5滑り対偶P5が第3回り対偶P3に重なる位置に設定される。
【0041】
このUD状態では、コネクティングロッド13により第1二対偶素節L1を介して三対偶素節L3が第3回り対偶P3を中心として往復揺動しても、第5滑り対偶P5が第3回り対偶P3に重なっているため、第2二対偶素節L2の往復運動のストロークがゼロになって出力軸15は回転せず、クランクシャフト14が回転しても出力軸15は停止したままになって変速比が無限大になる。
【0042】
エンジンEが単気筒である場合には出力軸15は間欠回転するが、往復運動の位相が異なる複数のピストン12…を備える多気筒エンジンEを用いる場合には、複数のピストン12…に対応する複数のワンウェイクラッチ16…から出力軸15に異なる位相で間欠的に駆動力を入力することで、出力軸15を連続回転させることができる。
【0043】
図2および図3には変速比変更手段Vの構造が示される。図3のリンク機構17の形状は図1のものと異なっているが、その原理および作動は同一である。
【0044】
図2から明らかなように、ハウジング20を貫通する回転軸21に2枚のベーン22,22が固定されており、各ベーン22はハウジング20の内部に形成した第1油室23および第2油室24の間を仕切るように配置される。回転軸21が図中時計方向に回転すると第1油室23の容積が増加して第2油室24の容積が減少し、回転軸21が図中反時計方向に回転すると第1油室23の容積が減少して第2油室24の容積が増加する。
【0045】
2個の第1油室23,23に接続された第1油路25と、2個の第2油室24,24に接続された第2油路26とがチェックバルブ27を介して接続される。第1、第2油室23,23;24,24とチェックバルブ27との間の第1、第2油路25,26に切換バルブ28が配置される。切換バルブ28が中央位置28Cにあるとき、第1油室23,23および第2油室24,24は閉塞される。切換バルブ28が左位置28Lにあるとき、第1、第2油室23,23;24,24はチェックバルブ27を介して連通し、第2油室24,24から第1油室23,23への作動油の流通だけが許容される。切換バルブ28が右位置28Rにあるとき、第1、第2油室23,23;24,24はチェックバルブ27を介して連通し、第1油室23,23から第2油室24,24への作動油の流通だけが許容される。
【0046】
第1、第2油室23,23;24,24からリークして失われた作動油を補充すべく、第1、第2油路25,26に接続された第3油路29とオイルタンク30との間に、オイルポンプ31および2個のチェックバルブ32,32が配置される。
【0047】
図3から明らかなように、前記回転軸21(図2参照)に一端を固定された第1変速リンクL4の他端に第6回り対偶P6を介して第2変速リンクL5の一端が接続され、第2変速リンクL5の他端が前記第5滑り対偶P5に接続される。従って、回転軸21が回転すると、第1変速リンクL4および第2変速リンクL5を介して三対偶素節L3上を第5滑り対偶P5が摺動し、無段変速機Tの変速比が変化する。
【0048】
図3(A)はピストン12が上死点近傍にある状態を示しており、このとき第2変速リンクL5と第2二対偶素節L2との成す角度θは鈍角になる。例えば、ワンウェイクラッチ16が第2二対偶素節L2から圧縮力を受けたときに動力伝達するように設定されている場合、第2二対偶素節L2は圧縮荷重だけを受けて引張荷重は受けないため、第5滑り対偶P5は第2二対偶素節L2から図中左向きの圧縮荷重だけを受けるが、このとき第2変速リンクL5と第2二対偶素節L2との成す角度θは鈍角であるため、回転軸21は図中時計方向のモーメントMだけを受けることになる。
【0049】
図3(B)はピストン12が下死点近傍にある状態を示しており、このとき第2変速リンクL5と第2二対偶素節L2との成す角度θは鋭角になる。上述したワンウェイクラッチ16の動力伝達特性により、第2二対偶素節L2は圧縮荷重だけを受けて引張荷重は受けないため、第5滑り対偶P5は第2二対偶素節L2から図中左向きの圧縮荷重だけを受けるが、このとき第2変速リンクL5と第2二対偶素節L2との成す角度θは鋭角であるため、回転軸21は図中反時計方向のモーメントMだけを受けることになる。
【0050】
このように、リンク機構17および変速比変更手段Vは、クランクシャフト14が1回転する間に回転軸21が時計方向および反時計方向のモーメントを交互に受けるように構成されている。
【0051】
図2において、切換バルブ28が中央位置28Cにあるとき、第1、第2油室23,23;24,24間の連通が遮断されて回転軸21が回転不能に拘束されるため、無段変速機Tの変速比は固定される。
【0052】
切換バルブ28が左位置28Lにあるとき、第1、第2油室23,23;24,24はチェックバルブ27を介して連通し、第2油室24,24から第1油室23,23への作動油の流通だけが許容されるため、回転軸21は時計方向の回転だけを許容され、反時計方向の回転を阻止される。回転軸21はクランクシャフト14の回転に伴って時計方向および反時計方向のモーメントを交互に受けるが、時計方向のモーメントを受けたときだけ回転し、これを間欠的に繰り返して回転軸21は時計方向に回転する。
【0053】
切換バルブ28が右位置28Rにあるとき、第1、第2油室23,23;24,24はチェックバルブ27を介して連通し、第1油室23,23から第2油室24,24への作動油の流通だけが許容されるため、回転軸21は反時計方向の回転だけを許容され、時計方向の回転を阻止される。回転軸21はクランクシャフト14の回転に伴って時計方向および反時計方向のモーメントを交互に受けるが、反時計方向のモーメントを受けたときだけ回転し、これを間欠的に繰り返して回転軸21は反時計方向に回転する。
【0054】
このようにリンク機構17から第2変速リンクL5および第1変速リンクL4を介して伝達される正逆のモーメントのうち、一方のモーメントだけを取り出して回転軸21を回転させるので、電動モータのような特別のアクチュエータが不要になって構造が簡素化される。
【0055】
以上のように、本実施の形態によれば、動力装置のエンジンEおよび無段変速機Tを軸方向に直列に接続することなく、エンジンEおよび無段変速機Tを軸直角方向に並列に接続することができるので、動力装置の軸方向寸法を小型化することができる。また無段変速機Tは入力軸を持たず、エンジンEのクランクシャフト14が無段変速機Tの入力軸の機能を果たすので、動力装置の軸直角方向の寸法も小型化することが可能になって車両への搭載が容易になる。
【0056】
また三対偶素節L3は3個の対偶P3,P4,P5を備えるために大型化し易く、三対偶素節L3の慣性質量が増加してエンジンEの回転数変動に対する追従性が低下する虞があるが、その三対偶素節L3の第3回り対偶P3を位置固定としたことで慣性質量の増加を最小限に抑えることができる。
【0057】
無段変速機Tが多気筒エンジンEに接続されていて複数のリンク機構17…が並置されている場合、各リンク機構17の第1回り対偶P1の位相を異ならせれば出力軸15のトルク変動を低減することができるが、各コネクティングロッド13は異なる位相で往復運動するため、各リンク機構17の第1回り対偶P1の位相を異ならせて出力軸15のトルク変動を低減することができる。
【0058】
図4〜図6には、図2および図3で説明した動力装置の具体的な構造が示される。図4〜図6の構成要素に付された符号は、図2および図3の符号に対応している。
【0059】
リンク機構17の第1回り対偶P1は、コネクティングロッド13の本体部13aに結合されてクランクシャフト14のクランクピン14bを回転自在に挟持するキャップ部13bの下端に設けられる。従って、サブアセンブリとして予め組み立てたリンク機構17の第1回り対偶P1をコネクティングロッド13のキャップ部13bに組付けておき、そのキャップ部13bをコネクティングロッド13の本体部13aに結合することで、エンジンEおよび無段変速機Tの組付けを容易に完了することが可能となって組付性が向上する。
【0060】
第5滑り対偶P5は、第3回り対偶P3を介してミッションケース40(図5(B)参照)に枢支された軸状の三対偶素節L3の外周に摺動自在に嵌合するスリーブ41を備えており、このスリーブ41には、三対偶素節L3の上端に第4回り対偶P4で枢支された第1二対偶素節L1との干渉を回避するためのスリット41aが軸方向に開口している。スリーブ41の側面にはピン41bが植設されており、このピン41bに2個の第2二対偶素節L2,L2と第2変速リンクL5とが枢支される。第5滑り対偶P5が三対偶素節L3をガイドとして摺動するスリーブ41を備えるので、簡単な構造で三対偶素節L3の節の長さを変更することができる。
【0061】
図4はOD状態を示しており、このとき第1変速リンクL4および第2変速リンクL5を枢支する第6回り対偶P6の位置が、三対偶素節L3の下端をハウジングに枢支する第3回り対偶P3の位置に一致するように設定されている。これにより、クランクシャフト14の回転に伴って三対偶素節L3が第3回り対偶P3を支点として往復揺動したとき、第2変速リンクL5によって第5滑り対偶P5が押し引きされることがなくなり、第4回り対偶P4および第5滑り対偶P5間の距離が一定に保持される。
【0062】
またリンク機構17は2個のワンウェイクラッチ16,16に接続されており、それらのワンウェイクラッチ16,16の2個の第2回り対偶P2,P2は位相が異なるように配置されている。そして1個の第5滑り対偶P5と2個の第2回り対偶P2,P2とが2個の第2二対偶素節L2,L2で接続される。これにより、出力軸15は2個のワンウェイクラッチ16,16の少なくとも一方が係合しているときに駆動力を伝達されるようになり、出力軸15のトルク変動を低減することができる。
【0063】
尚、第2回り対偶P2…を相互に異なる位相で往復揺動させる複数個のリンク機構17…と複数個のワンウェイクラッチ16…とを軸線方向に並置し、それを単一のコネクティングロッド13の単一の第1回り対偶P1に接続すれば、各リンク機構17を各々対応するコネクティングロッド13の第1回り対偶P1に接続する場合に比べて、第1回り対偶P1の数を減少させて動力装置に軸方向寸法を減少させながら、出力軸15のトルク変動を低減することができる。
【0064】
本実施の形態のエンジンEは直列4気筒であり、動力装置は4個のコネクティングロッド13…に対応して4個のリンク機構17…および4個のワンウェイクラッチ16…を備えているが、1個の変速比変更手段Vが4個のリンク機構17…に対して共用される。図6から明らかなように、変速比変更手段Vの回転軸21はハウジング20から軸方向両側に延出し、その一方および他方にそれぞれ2個の第1変速リンクL4,L4が接続される。このように、4個の第1変速リンクL4…をハウジング20を挟んで回転軸21の両側に振り分けて配置したので、つまり変速比変更手段Vのハウジング20を並置された4個のリンク機構17…の中央に配置したので、回転軸21の捩じれの影響を最小限に抑えて各リンク機構17…の作動特性を均一化することができる。
【0065】
また変速比変更手段Vの回転軸21とハウジング20との間に捩じりバネ42(図6参照)が配置されており、その弾発力で回転軸21が一方向に付勢される。これにより、第1変速リンクL4から変速比変更手段Vの回転軸21に入力する正負の駆動力を捩じりバネ42で調整し、要求される変速比変更手段Vの動作速度が回転軸21の正転・逆転や回転軸21の回転角度によって異なる場合に、それに応じて変速比変更手段Vに入力される駆動力の調整が可能になる。
【0066】
また無段変速機Tの変速比が無限大の状態(駆動力を伝達しない状態)でエンジンEが停止し、その後にエンジンEを始動したとき、リンク機構17から変速比変更手段Vの回転軸21に駆動力が入力しないために変速比が無限大の状態に固定されてしまう問題がある。しかしながら、捩じりバネ42で回転軸21を変速比を減少させる方向に付勢しておけば、変速比が無限大の状態から変速を開始することができる。
【0067】
次に、図7に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0068】
第1の実施の形態では、リンク機構17の第1回り対偶P1がコネクティングロッド13のキャップ部13bに設けられているが、第2の実施の形態では、リンク機構17の第1回り対偶P1がクランクシャフト14のクランクウエブ14cに設けられている。その他のリンク機構17の構成は、第2二対偶素節L2,L2およびワンウェイクラッチ16,16が各2個設けられている点を除いて、図3で説明した第1の実施の形態と同じである。
【0069】
コネクティングロッド13のキャップ部13bに設けられた第1回り対偶P1は横長の楕円状の軌跡上を回転するのに対し、クランクシャフト14上に設けられた第1回り対偶P1は円形の軌跡上を回転するが、その機能に差異はない。クランクシャフト14上の第1回り対偶P1の位置は、クランクジャーナル14a以外の任意の位置とすることができるが、クランクジャーナル14aとクランクピン14bとを接続するクランクウエブ14cに設けるのが適切である。
【0070】
無段変速機Tが多気筒エンジンEに接続されていて複数のリンク機構17…が並置されている場合、各リンク機構17の第1回り対偶P1の位相を異ならせれば出力軸15のトルク変動を低減することができるが、クランクシャフト14のクランクウエブ14cは各ピストン12毎に位相が異なるように形成されているため、各リンク機構17の第1回り対偶P1の位相を異ならせて出力軸15のトルク変動を低減することができる。
【0071】
次に、図8に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0072】
第1の実施の形態では三対偶素節L3の第3回り対偶P3、第4回り対偶P4および第5滑り対偶P5が一直線上に配置されているが、第3の実施の形態ではそれらが三角形の頂点に配置されており、かつ第1の実施の形態の第5滑り対偶P5が、第3の実施の形態では第5回り対偶P5に置き換えられている。そして変速比変更手段Vは、第3回り対偶P3および第5回り対偶P5を結ぶ節aの長さをゼロから所定値までの間で変更可能である。
【0073】
図8(A)に示すように、節aの長さが最大になったとき、無段変速機Tの変速比はODになり、図8(B)に示すように、節aの長さがゼロになったとき、無段変速機Tの変速比はUD(無限大)になって出力軸15は回転を停止する。節aの長さをゼロにするためには、つまり第3回り対偶P3および第5回り対偶P5を重ね合わせるには、第4回り対偶P4および第3回り対偶P3を結ぶ節bの長さと、第4回り対偶P4および第5回り対偶P5を結ぶ節cの長さが一致していることが必要である。
【0074】
次に、図9に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0075】
第1の実施の形態では三対偶素節L3の第3回り対偶P3および第4回り対偶P4の間に第5滑り対偶P5が配置されているが、第4の実施の形態では三対偶素節L3の第4回り対偶P4および第5回り対偶P5の間に第3回り対偶P3が配置されており、かつ第1の実施の形態の第5滑り対偶P5が、第4の実施の形態では第5回り対偶P5に置き換えられている。そして変速比変更手段Vは、第5回り対偶P5および第4回り対偶P4を結ぶ節の長さを一定に保ったまま、第5回り対偶P5および第3回り対偶P3を結ぶ節の長さをゼロから所定値までの間で変更可能である。
【0076】
図9(A)に示すように、第5回り対偶P5および第3回り対偶P3を結ぶ節の長さが最大になったとき、無段変速機Tの変速比はODになり、図9(B)に示すように、第5回り対偶P5および第3回り対偶P3を結ぶ節の長さがゼロになったとき、つまり第5回り対偶P5および第3回り対偶P3が重なり合ったとき、無段変速機Tの変速比はUD(無限大)になって出力軸15は回転を停止する。
【0077】
次に、図10に基づいて本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0078】
第5の実施の形態では、第1の実施の形態の第4回り対偶P4が第4滑り対偶P4に置き換えられ、三対偶素節L3の第4滑り対偶P4および第5滑り対偶P5を結ぶ節と第2二対偶素節L2とが一直線を成す一部材で構成される。そして変速比変更手段Vは、三対偶素節L3の第4滑り対偶P4および第5滑り対偶P5を結ぶ節の長さを変更可能である。
【0079】
図10(A)に示すように、第4滑り対偶P4および第5滑り対偶P5を結ぶ節の長さが最小になったとき、つまり第2二対偶素節L2の長さが最大になったとき、無段変速機Tの変速比はODになり、図10(B)に示すように、第4滑り対偶P4および第5滑り対偶P5を結ぶ節の長さが最大になったとき、つまり第2二対偶素節L2の長さが最小になって第5滑り対偶P5が第2回り対偶P2に重なり合ったとき、無段変速機Tの変速比はUD(無限大)になって出力軸15は回転を停止する。
【0080】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0081】
例えば、変速比変更手段Vは、電動モータ等のアクチュエータを駆動源とするものであっても良いし、油圧によって直接ベーンを駆動するものであっても良く、実施の形態の変速比変更手段Vにこれらを付加しても良い。
【0082】
また変速比変更手段Vは、三対偶素節L3の三つの節のうちの少なくとも一つの節の長さを変更するか、第3対偶P3の固定位置を変更するものであれば良い。
【符号の説明】
【0083】
12 ピストン
13 コネクティングロッド
13b キャップ部
14 クランクシャフト
15 出力軸
16 ワンウェイクラッチ
17 リンク機構
21 回転軸
23 第1油室
24 第2油室
25 第1油路
26 第2油路
27 チェックバルブ
28 切換バルブ
42 捩じりバネ(駆動力調整手段)
E エンジン
L1 第1二対偶素節
L2 第2二対偶素節
L3 三対偶素節
L4 第1変速リンク
L5 第2変速リンク
P1 第1対偶
P2 第2対偶
P3 第3対偶
P4 第4対偶
P5 第5対偶
T 無段変速機(変速機)
V 変速比変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(12)の往復運動をコネクティングロッド(13)を介してクランクシャフト(14)の回転運動に変換するエンジン(E)と、前記クランクシャフト(14)の回転運動をリンク機構(17)およびワンウェイクラッチ(16)を介して出力軸(15)の間欠回転運動に変換する変速機(T)と、前記変速機(T)の変速比を変更する変速比変更手段(V)とを備える動力装置であって、
前記リンク機構(17)は、
前記エンジン(E)により回転運動する第1対偶(P1)と、
前記ワンウェイクラッチ(16)上に設けられた第2対偶(P2)と、
位置を固定された第3対偶(P3)と、
前記第3対偶(P3)を中心として揺動運動する第4対偶(P4)と、
前記第3対偶(P3)を中心として揺動運動する第5対偶(P5)と、
前記第1対偶(P1)および前記第4対偶(P4)を接続する第1二対偶素節(L1)と、
前記第2対偶(P2)および前記第5対偶(P5)を接続する第2二対偶素節(L2)と、
前記第3対偶(P3)、前記第4対偶(P4)および前記第5対偶(P5)を接続する三対偶素節(L3)とを備え、
前記変速比変更手段(V)は、前記三対偶素節(L3)の三つの節のうちの少なくとも一つの節の長さを変更するか前記第3対偶(P3)の固定位置を変更することで、前記第2対偶(P2)の往復揺動のストロークを増減して前記変速機(T)の変速比を変更することを特徴とする動力装置。
【請求項2】
前記変速比変更手段(V)は、
回転軸(21)と、
前記回転軸(21)の回転に応じて容積が相互に逆方向に拡大・縮小する第1、第2油室(23,24)と、
前記第1油室(23)に連なる第1油路(25)と、
前記第2油室(24)に連なる第2油路(26)と、
前記第1油路(25)および前記第2油路(26)間に配置されたチェックバルブ(27)と、
前記第1油路(25)および前記第2油路(26)間に配置されて前記第1、第2油室(23,24)に対する前記チェックバルブ(27)の接続方向を切り換える切換バルブ(28)と、
一端が前記回転軸(21)に接続された第1変速リンク(L4)と、
一端が前記第1変速リンク(L4)の他端に接続されて他端が前記第2二対偶素節(L2)に接続された第2変速リンク(L5)とを備え、
前記クランクシャフト(14)が1回転する間に、前記第2変速リンク(L5)および前記第2二対偶素節(L2)が相互に成す角度は、鋭角と鈍角との間で切り換わることを特徴とする、請求項1に記載の動力装置。
【請求項3】
前記第1変速リンク(L4)から前記変速比変更手段(V)の前記回転軸(21)に入力する正負の駆動力を調整する駆動力調整手段(42)を設けたことを特徴とする、請求項2に記載の動力装置。
【請求項4】
前記第3対偶(P3)、前記第4対偶(P4)および前記第5対偶(P5)の少なくとも一つが滑り対偶であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の動力装置。
【請求項5】
1個の前記第1対偶(P1)に対して複数個の前記ワンウェイクラッチ(16)を設け、前記1個の第1対偶(P1)と前記複数個のワンウェイクラッチ(16)とを複数個の前記リンク機構(17)で接続し、前記複数個の第2対偶(P2)の位相を相互に異ならせたことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の動力装置。
【請求項6】
1個の前記第5対偶(P5)に対して複数個の前記ワンウェイクラッチ(16)を設け、前記複数個のワンウェイクラッチ(16)に位相が相互に異なるように設けられた複数個の前記第2対偶(P2)を、複数個の前記第2二対偶素節(L2)で前記1個の第5対偶(P5)に接続したことを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の動力装置。
【請求項7】
前記第1対偶(P1)を前記クランクシャフト(14)上に設けたことを特徴とする、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の動力装置。
【請求項8】
前記第1対偶(P1)を前記コネクティングロッド(13)のキャップ部(13b)上に設けたことを特徴とする、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の動力装置。
【請求項9】
複数個の前記第1変速リンク(L4)が単一の前記回転軸(21)に接続されており、前記変速比変更手段(V)は前記回転軸(21)の軸方向に対して前記複数個の第1変速リンク(L4)の間に配置されることを特徴とする、請求項2〜請求項8の何れか1項に記載の動力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−252579(P2011−252579A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128511(P2010−128511)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】