説明

動態監視システム

【課題】RFIDタグを利用した認証のセキュリティー性を向上することができる動態監視システムを提供する。
【解決手段】認証位置まで通じる複数の経路に沿って複数設けられた受信装置を介して、RFIDタグが送信するRFID用情報を読取るRFID読取り部と、受信装置の各々がRFID用情報を受信した時刻の差に基づいて、複数の経路の中からRFIDタグの移動軌跡を特定して蓄積する移動軌跡蓄積部と、RFID用情報が、複数の経路の中から選択された認証用軌跡情報とRFID用情報とは異なる個人認証用情報とに対応して予め記憶されている記憶部と、認証位置で個人認証用情報を用いて認証操作が行われた場合に、移動軌跡蓄積部に蓄積されたRFIDタグの移動軌跡と記憶部に記憶されている認証用軌跡情報との比較結果に基づいて、個人認証を行う認証部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動態監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の動態監視システムとして、RFIDタグから得られた現在の位置情報を用いて認証を行い、セキュリティー性の向上を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−31055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のものは、RFIDタグを第三者が使用した場合、なりすましができてしまうという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、RFIDタグを利用した認証のセキュリティー性を向上することができる動態監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る動態監視システムは、認証位置まで通じる複数の経路に沿って複数設けられた受信装置を介して、前記RFIDタグが送信するRFID用情報を読取るRFID読取り部と、前記受信装置の各々が前記RFID用情報を受信した時刻の差に基づいて、前記複数の経路の中から前記RFIDタグの移動軌跡を特定して蓄積する移動軌跡蓄積部と、前記RFID用情報が、前記複数の経路の中から選択された認証用軌跡情報と前記RFID用情報とは異なる個人認証用情報とに対応して予め記憶されている記憶部と、前記認証位置で前記個人認証用情報を用いて認証操作が行われた場合に、前記移動軌跡蓄積部に蓄積された前記RFIDタグの移動軌跡と前記記憶部に記憶されている前記認証用軌跡情報との比較結果に基づいて、個人認証を行う認証部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、RFIDタグを利用した認証のセキュリティー性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1における動態監視システムのブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における動態監視システムの認証用軌跡情報の登録方法を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1における動態監視システムの移動軌跡の蓄積方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1における動態監視システムにより認証された場合を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1における動態監視システムにより認証が拒否された場合を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態1における動態監視システムの認証動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
まず、図1を用いて、動態監視システムの構成を説明する。
図1はこの発明の実施の形態1における動態監視システムのブロック図である。
図1に示すように、動態監視システムは、RFID読取り部1、制御部2、登録情報記憶部3、動態情報判定部4、移動軌跡蓄積部5、カード読取り部6、カード登録情報記憶部7、登録移動軌跡記憶部8、認証部9、表示部10を備える。
【0011】
RFID読取り部1は、建築物内等の監視エリア内の認証位置まで通じる複数の経路に沿って複数設けられた受信装置(図示せず)、例えば、アンテナを介して、ユーザ所有のRFIDタグが送信するRFID用情報とRFID用情報を受信した受信装置の位置情報とを読取る機能を備える。制御部2は、RFID読取り部1を介して受信装置の制御を行う機能を備える。また、制御部2は、RFID読取り部1からRFID用情報と受信装置の位置情報とを読取る機能を備える。
【0012】
登録情報記憶部3は、RFID用情報に対応した動態の情報、例えば、名前等の各属性を記憶する機能を備える。動態情報判定部4は、制御部2からRFID用情報と受信装置の位置情報とを読取るととともに、登録情報記憶部3からRFID用情報に対応した動態の情報を読取る機能を備える。
【0013】
移動軌跡蓄積部5は、動態情報判定部4から、RFID用情報、受信装置の位置情報、動態の情報を読取る機能を備える。また、移動軌跡蓄積部5は、受信装置の各々がRFID用情報を受信した時刻の差に基づいて、複数の経路の中からRFIDタグの移動軌跡を特定して蓄積する機能を備える。
【0014】
カード読取り部6は、認証位置に設けられたカード読取り装置(図示せず)を介し、ユーザ所有のカード内の情報を読取る機能を備える。カード登録情報記憶部7は、カード内の情報に対応した個人認証用情報を予め記憶する機能を備える。登録移動軌跡記憶部8は、カード内の情報に対応したRFID用情報を、複数の経路の中から選択された認証用軌跡情報に対応付けて予め記憶する機能を備える。
【0015】
認証部9は、移動軌跡蓄積部5から、RFID用情報、動態の情報、RFIDタグの移動軌跡の情報を読取る機能を備える。また、認証部9は、認証位置でカードを用いて個人認証操作が行われた場合に、移動軌跡蓄積部5に蓄積されたRFIDタグの移動軌跡と登録移動軌跡記憶部8に記憶されている認証用軌跡情報との比較結果に基づいて、個人認証を行う機能を備える。表示部10は、認証部9から動態の情報と認証結果とを読取り、表示画面に表示する機能を備える。
【0016】
次に、図2を用いて、登録移動軌跡記憶部8への認証用軌跡情報の登録方法を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における動態監視システムの認証用軌跡情報の登録方法を説明するための図である。
図2において、11は登録表示装置の表示画面である。認証用軌跡情報は、GUI等を用いて登録される。即ち、表示画面11上の操作で、RFID用情報が入力されると、建建築物のフロア模式図12と注意書き13が表示される。
【0017】
フロア模式図12の左側中央には、部屋14が示される。この部屋14の下方中央には、扉A15が示される。フロア模式図12の右上側には、部屋16が示される。この部屋16の下方中央には、扉B17が示される。フロア模式図12の右下側には、部屋18が示される。この部屋18の上方中央には、扉C19が示される。扉A15、扉B17、扉C19の入口側には、カード読取り装置(図示せず)が設けられる。即ち、扉A15、扉B17、扉C19の建築物内の認証位置となっている。
【0018】
そして、部屋14の上下側及び右側に沿って、通路が示される。この部屋14の右側通路中央は、部屋16、18の間の通路に連結されて示される。ここで、受信装置による第1検出エリア20が、部屋14の左上隅近傍の通路上に示される。また、受信装置による第2検出エリア21が、部屋14右側の通路と部屋17、18間の通路との交差部上に示される。さらに、受信装置による第3検出エリア22が、扉A15近傍の通路上に示される。
【0019】
一方、注意書き13には、「軌跡登録」の方法が表示される。即ち、まず、「対象扉の指定」が行われる。図2においては、扉C19近傍の表示画面11を触れることにより、対象扉として、扉C19が指定されている。その後、「軌跡の登録」が行われる。具体的には、「タグ検出エリアの通過順番を指定」することにより、「軌跡の登録」が行われる。図2においては、表示画面11の第1検出エリア20近傍、第2検出エリア21近傍を順番に触れることにより、第3検出エリア22を経由することなく、第1検出エリア20、第2検出エリア21の順で、扉Cまでの軌跡が指定されている。これにより、認証用軌跡情報23が登録される。
【0020】
その後、「通過時間指定」が行われる。具体的には、「カード認証時から何分前までの間の軌跡が対象であるかを指定」することにより、「通過時間指定」が行われる。図2においては、「通過時間指定」として、「5分前」(図示せず)までが指定されている。
【0021】
次に、図3を用いて、移動軌跡蓄積部5による移動軌跡の蓄積方法を説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における動態監視システムの移動軌跡の蓄積方法を説明するためのフローチャートである。
まず、電源が投入されると、ステップS1では、RFID用情報の読取処理が行われ、ステップS2に進む。ステップS2では、RFID用情報の読取りができたか否かが判定される。
【0022】
RFID用情報の読取りができない場合は、ステップS1を繰り返す。RFID情報の読取りができた場合は、ステップS3に進む。ステップS3では、動態情報判定部4を介して、RFID用情報に対応した動態の情報に関する登録データの読取りが行われ、ステップS5に進む。ステップS5では、登録データから動態の特定を行い、受信装置の位置情報とRFID用情報を受信した時刻の差に基づいて、RFIDタグの移動軌跡の情報が記録されて蓄積される。また、これと同時に、移動軌跡の情報が記録されたときの時刻も対応付けて記憶される。
【0023】
次に、認証部9によるユーザの認証方法を説明する。
まず、図4を用いて、ユーザが認証される場合を説明する。
図4はこの発明の実施の形態1における動態監視システムにより認証された場合を説明するための図である。
【0024】
図4の左側には、図2を用いた説明で登録された認証用軌跡情報の登録パターンが示される。一方、図4の右側には、図3を用いた説明で記憶されたRFIDタグの移動軌跡24の情報に対応した照合パターンが示される。図4に示すように、登録パターンと照合パターンの軌跡は同一である。また、照合パターンの軌跡は、5分前に蓄積されたものであり、登録パターンの「5分以内」の条件を満足している。このため、ユーザは認証される。これにより、扉C19の解錠処理が行われる。
【0025】
次に、図5を用いて、ユーザが認証を拒否される場合を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1における動態監視システムにより認証が拒否された場合を説明するための図である。
【0026】
図5の左側には、図2を用いた説明で登録された認証用軌跡情報の登録パターンが示される。一方、図5の右側には、図3を用いた説明で記憶されたRFIDタグの移動軌跡25の情報に対応した照合パターンが示される。図5に示すように、登録パターンと照合パターンの経路は同一である。しかし、照合パターンの軌跡は、6分前に蓄積されたものであり、登録パターンの「5分以内」の条件を満足していない。このため、ユーザは認証を拒否される。即ち、扉C19の解錠処理が行われることはない。
【0027】
次に、図6を用いて、動態監視システムによる扉C19での認証動作を説明する。
図6はこの発明の実施の形態1における動態監視システムの認証動作を説明するためのフローチャートである。
まず、電源が投入されると、ステップS11では、カード読取り部6でカードの読取処理が行われ、ステップS12に進む。ステップS12では、カードの読取りができたか否かが判定される。
【0028】
カードの読取りができない場合は、ステップS11を繰り返す。カードの読取りができた場合は、ステップS13に進む。ステップS13では、認証部9で、カードに対応した個人認証用情報に関する登録データがカード登録情報記憶部7から読取られ、ステップS14に進む。ステップS14では、カードが正規に登録されているかのカード認証処理が行われ、ステップS15に進む。ステップS15では、カード認証ができたか否かが判定される。
【0029】
カードにより認証された場合は、ステップS16に進む。ステップS16では、認証用軌跡情報が登録移動軌跡記憶部8から読取られ、ステップS17に進む。ステップS17では、移動軌跡が移動軌跡蓄積部5から読取られ、ステップS18に進む。ステップS18では、認証用軌跡情報と移動軌跡との比較による軌跡認証が行われる。
【0030】
軌跡により認証された場合は、ステップS19に進む。ステップS19では、扉C19の解錠処理が行われ、ステップS20に進む。ステップS20では、認証結果OKの表示処理が行われ、ステップS21に進む。ステップS21では、移動軌跡が通行履歴として保存される。また、ステップS15でカードによる認証が拒否された場合や、ステップS18で軌跡による認証が拒否された場合は、ステップS19での扉C19の解錠処理を行わず、ステップS20に進み、認証結果NGの表示処理が行われる。その後、ステップS21に進み、移動軌跡が通行履歴として保存される。
【0031】
以上で説明した実施の形態によれば、個人認証用情報を用いて認証操作が行われた場合に、移動軌跡蓄積部5に蓄積されたRFIDタグの移動軌跡と登録移動軌跡記憶部8に記憶されている認証用軌跡情報との比較結果に基づいて、個人認証が行われる。即ち、本人しか知り得ない情報として、動態の軌跡を利用して認証が行われる。
【0032】
これにより、異常な軌跡で認証位置に到着した通行者の認証を拒否する運用ができる。また、各ユーザ毎に異なる認証用軌跡情報を登録することができる。このため、RFIDタグやカード拾った第三者によるなりすましが困難となり、セキュリティー性を向上することができる。
【0033】
また、認証用軌跡情報との比較対象となる移動軌跡は、認証操作が行われたときを基点とした過去の指定時間内に移動軌跡蓄積部5に蓄積されたものである。このため、一旦、移動軌跡蓄積部5に認証用軌跡情報と同一の移動軌跡が蓄積された後であっても、指定時間が経過すれば、RFIDタグやカード拾った第三者によるなしすましを防止することができる。
【0034】
なお、実施の形態1では、個人認証用情報をカード内の情報と対応した情報とし、カード認証を行う構成とした。しかし、個人認証用情報を生体データとして、生体認証を行う構成としてもよい。また、実施の形態1では、認証位置が扉の場合で説明した。しかし、認証位置は、単なるゲート等でもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 RFID読取り部、 2 制御部、 3 登録情報記憶部、
4 動態情報判定部、 5 移動軌跡蓄積部、 6 カード読取り部、
7 カード登録情報記憶部、 8 登録移動軌跡記憶部、 9 認証部、
10 表示部、 11 表示画面、 12 フロア模式図、 13 注意書き、
14 部屋、 15 扉A、 16 部屋、 17 扉B、 18 部屋、
19 扉C、 20 第1検出エリア、 21 第2検出エリア、
22 第3検出エリア、 23 認証用軌跡情報、 24、25 移動軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証位置まで通じる複数の経路に沿って複数設けられた受信装置を介して、前記RFIDタグが送信するRFID用情報を読取るRFID読取り部と、
前記受信装置の各々が前記RFID用情報を受信した時刻の差に基づいて、前記複数の経路の中から前記RFIDタグの移動軌跡を特定して蓄積する移動軌跡蓄積部と、
前記RFID用情報が、前記複数の経路の中から選択された認証用軌跡情報と前記RFID用情報とは異なる個人認証用情報とに対応して予め記憶されている記憶部と、
前記認証位置で前記個人認証用情報を用いて認証操作が行われた場合に、前記移動軌跡蓄積部に蓄積された前記RFIDタグの移動軌跡と前記記憶部に記憶されている前記認証用軌跡情報との比較結果に基づいて、個人認証を行う認証部と、
を備えたことを特徴とする動態監視システム。
【請求項2】
前記認証部は、前記認証位置で前記個人認証用情報を用いて認証操作が行われたときを基点とした過去の指定時間内に前記移動軌跡蓄積部に蓄積された前記RFIDタグの移動軌跡を、前記認証用軌跡情報との比較対象とすることを特徴とする請求項1記載の動態監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286301(P2010−286301A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139090(P2009−139090)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】