説明

包袋への被包装物搬入装置

【課題】クランプに吊り下げて開口する包袋内に被包装物を落下充填する場合の、袋底面に対する被包装物の落下衝撃を緩衝する。
【解決手段】搬送コンベヤ21から、誘導ベース32とシャット板34とからなる一次緩衝機構30内に被包装物19を運びいれ、第1直動モータ40により、枢支軸31を支点に前記一次緩衝機構30を鉛直線90に沿う位置まで回転垂下させたあと、クランプ13に吊り下げた包袋10内に、前記シャット板34を開放して被包装物19を投入する。この場合壁板51と、挟持板52とで被包装物19を受け止め、その後の挟持板52の下降で被包装物19を包袋10の底に誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端軌道に沿って等間隔で搬送する包袋に対して、鰹の半生製品のような比較的破損しやすい被包装物を、落下衝撃を和らげた状態で搬入する装置に関する。
【0002】
円盤の周面に取り付けた多数組のクランプによりそれぞれ吊り下げた包袋を、前記円盤と一体に1ピッチづつ断続回転させ、各包袋が特定のセクションで順次、停止している間に、各包袋に被包装物を順次、落下充填する装置を下記の特許文献1は開示する。ただこの場合、例えば分割した鰹の身を火あぶりした「たたき」、又は茹でた「生ぶし」は包袋への落下衝撃で、包袋内で崩れやすいという問題がある。
【0003】
一方、下記の特許文献2には、ベルトコンベヤに搭載して搬送する被包装物を、前記ベルトコンベヤのエンド端で立つ塞ぐサブベルトに衝突させて同被包装物の速度を緩め、そのあと前記の被包装物を、前記のベルトコンベヤとサブベルトとで挟持しながら包装容器内に導き入れる装置を開示しており、前記の特許文献1に開示する装置に、特許文献2の装置を組み合わせることにより被包装物の落下衝撃は軽減するという考えは生ずるが、特許文献2に開示するような極めて被包装物自体が柔軟で衝撃破壊が生じないものとは異なり、例えば豆腐のような破壊しやすいものを扱う場合は搬入に時間を費やし能率低下を起こすという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平08−169416号公報
【特許文献1】特表2002−504462公報
【発明の開示】
【0005】
本発明は前記の問題点を解決するための装置であって、該装置は、搬送コンベヤのエンド端の、該エンド端に枢支軸を介して上下方向に揺動する誘導ベースと該誘導ベースのエンド端を開閉するシャット板とからなる一次緩衝機構と、前記一次緩衝機構下域に停止する包袋を隔てて、一側の壁板と同他側の、下縁が前記壁板に接近し上縁が壁板から離反傾斜する挟持板とで構成する二次緩衝機構とを備え、
水平状態を保つ誘導ベースに搬送コンベヤから被包装物を受け入れる都度、エンド端をシャット板で閉鎖した一次緩衝機構は、内部に被包装物を保持してそのエンド端を下方向に回転し、一方、充填セクションに包袋が停止した信号発信の都度、前記シャット板は開放して、一次緩衝機構内の被包装物を包袋内に放出し、
また、二次緩衝機構における挟持板は、通常、高位置に待機しかつ包袋の停止信号を受けて壁板に接近し、一次緩衝機構から放出される被包装物の重量を壁板との間に支えて下降するごとく構成する。
【0006】
一次緩衝機構は、搬送コンベヤから被包装物を受け入れたあと、シャット板を閉鎖して誘導板と一体に被包装物を垂下方向に回転させるので、搬送コンベヤから放出される被包装物の、一次緩衝機構への落下衝撃は緩衝され、続いて、二次緩衝機構は、包袋の縦長中間部分で挟持板を壁板に接近させて同壁板との間隔を狭め、被包装物の落下量を縮小し、そのあと、壁板と挟持板とを一体に下降させ、この下降速度でもって被包装物を包袋の底面に着地させて落下衝撃を緩衝する。この場合、壁板と、傾斜する挟持板との間に被包装物が落下するとき、被包装物はこれら両板の間に楔状に食い込み、これら各要素間の楔摩擦によって、被包装物下端の直接的な衝突衝撃を排除するのである。
【実施例1】
【0007】
図2は、ロータリ式袋詰め包装機の一部の平面図であり、周囲に2個を1組とする3組のクランプアーム11を支持する円盤12を図示し、各クランプアームの先端に設置したクランプ13はそれぞれ包袋10の両側縁を挟持して吊下げ、一方モータ15に連結した間歇回転機器16の出力軸17を介して前記円盤12は、包袋10を支持する各クランプ13を1ピッチづつ断続移送し、断続移送軌道における充填セクション20に包袋10が停止しいる間に、該包袋には、後述する搬送コンベヤでもって被包装物19が充填される仕組みになっている。
【0008】
図3は、その搬送コンベヤ21であって、該搬送コンベヤは、ほぼ水平に配置したフレーム22にプーリ23を介してエンドレスなベルト24を支持して形成し、前記ベルト24は被包装物19を搭載してセンサー25の設置位置まで搬送する仕組みであり、外部からの制御信号があると、一次緩衝機構30に向けて被包装物19を送り出す仕組みである。
【0009】
前記の一次緩衝機構30は、前記搬送コンベヤのフレーム22のエンド端に、枢支軸31を介して上下に揺動自在に支持した溝型の誘導ベース32と、該誘導ベース32にピン33を介して枢支しかつ前記誘導ベース32のエンド端を閉鎖するシャット板34とからなり、前記誘導ベース32の上面に3本の棒ローラ35を設置し、通常、設定したタイミングでもって搬送コンベヤ21は、被包装物19を、3本の棒ローラ35の転がりを利用して閉鎖するシャット板34の位置まで運びいれて被包装物19が受ける衝撃を緩衝する構成である。
【0010】
図3に比較して、図4は、枢支軸31を支点に一次緩衝機構30が下方向に回転した状態を示している。つまり第1直動モータ40がレバー41を介して枢支軸31を回転することにより一次緩衝機構30は図示の状態になる。なお同図ではシャット板34が誘導板32のエンド端を開放して被包装物19を放出する態様を示すが、外部からの制御信号が到達しない限りシャット板34は誘導板32のエンド端を閉鎖して被包装物19を保持するのであり、このようにシャット板34を閉鎖して誘導板32と一体に被包装物19を垂下方向に回転させる。
【0011】
図2における間歇回転機器16に接した回転角検出器40は、円盤12の回転角を、回路41を介してコントローラ42に発信し、コントロラ42につながる各発信機43〜46は規定のタイミングで制御信号を発信することになる。先ず第1発信機43は、図3における第1直動モータ40に信号を送り、図4のごとく一次緩衝機構30を垂下方向に回転させる。続いて、図2において断続移動する包袋10が充填セクション20に達して停止すると、図4において筒型のホッパー47がクランプアーム11の支持する包袋10内に下降するのに続いて、図2における第2発信機44からの信号が図4における第2直動モータ48を操作する結果、待機していた被包装物19はホッパー47を通して包袋10内に落下することになるのである。
【0012】
図2に示すように充填セクション20には、ロータ側の壁板51と、包袋を隔てる挟持板52とからなる二次緩衝機構50を配置する。図5に示すように二次緩衝機構50は、機台53上のスリーブ54に支持した昇降棒55に、セット金具56を介して前記の壁板51を垂直に固定する一方、壁板51の下辺から突き出る棚板57にブラケット58を介して第3直動モータ59を支持し、該第3直動モータ59でもって、下縁61が前記壁板51に接近し上縁62が壁板51から離反する傾斜状の挟持板52を操作する構成である。
【0013】
通常、図5の壁板51及び挟持板52は、昇降棒55の操作でもって図示の位置より上域に位置確保しており、図2における第3発信機45から制御信号が発信されると、図6のごとく第3直動モータ59により、包袋10の縦長中間部分で挟持板52は壁板51に接近して壁板51との間隔を狭め、被包装物19の落下量を縮小制限したあと、第4直動モータ64の操作で壁板51と挟持板52とを一体に下降させ、この下降速度でもって被包装物19を包袋10の底面に着地させて落下衝撃を緩衝するのである。
【実施例2】
【0014】
壁板51と、挟持板52との間に被包装物19が落下するとき、被包装物19はこれら両板のあだに楔状に食い込み、これら各要素間の楔摩擦によって直接的な衝突衝撃を排除したものである。したがって、壁板51が垂直面を形成することが絶対条件ではなく、壁板51と挟持板52とで上広がりの隙間を形成するればよく、特許請求の範囲はかかる構造をも含んでいる。
【実施例3】
【0015】
仮に壁板51の面を垂直に形成した場合は、傾斜する挟持板52との間に被包装物19が楔摩擦を起こして落下したあと、必ずしも壁板51が下降する必要はないので、挟持板52単独の下降で被包装物19を包袋10の底面に収容できるので、特許請求の範囲はかかる構造をも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】概略側面図
【図2】ロータリ袋詰め機の部分的平面図
【図3】搬送コンベヤ及び一次緩衝機構の側面図
【図4】一次緩衝機構の作用説明図
【図5】二次緩衝機構の側面図
【図6】二次緩衝機構の作用説明図
【符号の説明】
【0017】
10‥‥包袋
13‥‥クランプ
20‥‥充填セクション
21‥‥搬送コンベヤ
30‥‥一次緩衝機構
31‥‥枢支軸
32‥‥誘導ベース
34‥‥シャット板
51‥‥壁板
50‥‥二次緩衝機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対を1組とする多数組みのクランプでもってそれぞれ両側縁を挟持して吊り下げた各包袋を前記クランプと一体に断続移送し、前記の断続移送軌道の充填セクションにほぼ水平に配置した配置した搬送コンベヤから被包装物を、前記クランプが支持する各包袋に順次、搬入する装置であって、
該装置は、前記搬送コンベヤのエンド端の、該エンド端に枢支軸を介して上下方向に揺動する誘導ベースと該誘導ベースのエンド端を開閉するシャット板とからなる一次緩衝機構と、前記一次緩衝機構下域に停止する包袋を隔てて、一側の壁板と同他側の、下縁が前記壁板に接近し上縁が壁板から離反傾斜する挟持板とで構成する二次緩衝機構とを備え、
水平状態を保つ誘導ベースに搬送コンベヤから被包装物を受け入れる都度、エンド端をシャット板で閉鎖した一次緩衝機構は、内部に被包装物を保持してそのエンド端を下方向に回転し、一方、充填セクションに包袋が停止した信号発信の都度、前記シャット板は開放して、一次緩衝機構内の被包装物を包袋内に放出し、
また、二次緩衝機構における挟持板は、通常、高位置に待機しかつ包袋の停止信号を受けて壁板に接近し、一次緩衝機構から放出される被包装物の重量を壁板との間に支えて下降する構成の包袋への被包装物搬入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−18820(P2009−18820A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181584(P2007−181584)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】