説明

包装体の中に設けられる食料品の香気処理方法

包装体(1)の中に設けられる食料品(3)の香気処理方法が示され、包装体(1)が気密に閉じられる前に、開いた包装体(1)の上部空間(4)へ、保護ガス(5)特に二酸化炭素、窒素、不活性ガス又はその混合物が、少なくとも1種類の香料を含む液体(7)と共に入れられる。改善された方法条件を与えるために、特に主成分として水を含む液体(7)に酸化防止剤が添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の中に設けられる食料品の香気処理方法であって、包装体が気密に閉じられる前に、開いた包装体の上部空間へ、保護ガス特に二酸化炭素、窒素、不活性ガス又はその混合物が、少なくとも1種類の香料を含む液体と共に入れられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品包装体を開く際の香気を規定するため、包装体の上部空間へ香料と共に食料品に合った保護ガスを入れることは公知であり(欧州特許第69500032号及び第69616765号のドイツ語翻訳)から公知であり、香料が有機液体に溶解されている。保護ガスとして例えば不活性ガス、二酸化炭素及び/又は窒素が用いられ、これらのガス又はガス混合物は、包装体の上部空間にある大気の酸素を追い出す役割を持っている。それにより今や一方では保護ガスによって食料品の持ち又はその香気が改善され、他方では付加的な香料によって食料品の自然の香気が援助される。しかし包装期間が長くなると、保護ガス及び香料にもかかわらず、香気の質低下を防止できないので、開く際所定の香気が得られないか又は狭い範囲に保たれる香気が得られない、という欠点があった。保護ガスを入れる前における包装体の改善される排気及び/又は質低下を少なくできたが、それは著しい処理費用を意味する。
【0003】
更に国際公開第2007/002768号から、水、香料及び酸化防止剤を含む液体で食料品を処理し、それから包装体へ入れることが公知である。この包装体は、後で修正された雰囲気例えば保護ガスを入れることもできる。その場合欠点は、このような方法は費用がかかり、更に包装体の上部空間の均一な香気処理が保証されないことである。香気の変化は、従って国際公開第2007/002768号では防止されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の基礎になっている課題は、最後に述べた従来技術から出発して、長い保管時間にもかかわらず香気の変化を甘受しなくてもよいか、又は開く際香気を狭い限界内に保つことができるように、食料品包装体の香気処理方法を改善することである。更に方法が簡単かつ安価であるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、方法に関して与えられた課題を、特に主成分として水を含む液体に酸化防止剤が添加されることによって、与えられた課題を解決する。
【0006】
香料を含む液体に、食料品に合った酸化防止剤が添加され、液体が主成分として水を含んでいると、驚くべきことに、それにより包装された食料品の香気を、比較的狭い限界内に保持できることがわかった。即ち水と混合されるか又その中に溶解する酸化防止剤は、保護ガスと共に特に食料品より上の上部空間に有利に分布されるので、上部空間の体積にわたる香気の均一な放出を予想することができる。しかし香料が例えば入れられる際液体を介して食料品へ到達する時、酸化防止剤によって、水に混合するか又は溶解する香料も、食料品の万一の酸化による質低下を防止される。従って包装体を開く際、比較的長い保管時間であっても、従来技術から公知であるよりも安定な改善された香気が生じ、それにより本発明が特にすぐれている。これに加えて、排気及び/又はガス洗流の際及び保護ガスの充填度において、方法による相違も、包装体を開く際の香気に少ない影響しか与えず、それにより一層少ない方法費用従って安価な方法を生じる。更に水の主成分は、香気処理の際簡単な方法条件に関して特に有利なことがわかった。なぜならば、それにより上部空間へ、食料品の状態を考慮することなく、液体を入れることができるからである。即ち液体の組成により、食料品の組成の変化を恐れなくてもよい。従って従来技術とは異なり、比較的長い保管の場合にも香気の質低下、従って開く際消費者の購入挙動への不利な影響を考慮しなくてよい。食料品に合った保護ガスとして、特に不活性ガス、二酸化炭素又は窒素が、持ちをよくし、かつ食料品の香気を保つことがわかり、不活性ガスは例えば希ガス又は窒素又はその混合物であってもよい。食料品添加物としての香料として、欧州委員会の一覧表に従って選ぶことができる。
【0007】
更に保護ガスのために、不活性ガスに加えて又はその代りに、20%のCO2及び80%のN2の混合比を持つガスも使用でき、こうして一般に修正された雰囲気で食料品を包装することができる。従って水、香料及び酸化防止剤を含む組成を持つ液体と保護ガスを一緒に入れることによって、特に簡単で安価な方法条件が与えられ、この方法条件により包装体の上部空間の香気処理のための最高条件が得られる。食料品を食品とみなすこともできることは明らかである。
【0008】
液体が香料として芳香抽出物を含んでいると、新鮮さ及び香気堅牢度に関して特別な状態が生じる。即ち芳香抽出物は、濃縮されるか又は濃縮されない製品として、食料品包装体を開く際天然の香気を与え、それが消費者においてこのような包装体の受入れを特に高める。更に芳香抽出物の使用は、長い保管時間でも香気が狭い所定の限界に保たれる方法を与えることができる。
【0009】
液体が負圧を使用して保護ガスに添加されると、簡単な方法状態が生じる。更にそれにより保護ガス中における液体の有利な分布状態が生じ、それは例えば液体の負圧による渦巻きによって生じることができる。
【0010】
保護ガスが、食料品に合った液体と共に包装体の上部空間へ吹込まれると、均一にされる香気放出のため上部空間における液体の改善された分布が生じる。
【0011】
液体の重量に関して、0.1〜3重量%の香料及び0.1〜10重量%の酸化防止剤の量が存在すると、香気処理の特別な混合比がわかった。残りの重量百分率は水中で形成されることができる。
【0012】
液体がエーロゾルとなるように霧化され、それから保護ガスと共に包装体へ入れられると、包装体の上部空間におけるエーロゾルの特に均一な分布を行うことができる。これにより特に改善された保管時間、改善された一層均一な香気及び/又は食料品における改善された色維持が行われる。
【0013】
液体が保護ガス中でエーロゾルとなるように霧化されると、簡単な方法条件が可能になる。その場合このエーロゾルを、入れるべき保護ガスへ簡単に混合するか、又は他のやり方で添加して、包装体の上部空間へ入れることができる。
【0014】
従って香気処理のために、水、少なくとも1種類の香料及び酸化防止剤を含む液体と、保護ガス特に二酸化炭素、窒素、不活性ガス又はその混合物とから成る混合物を使用し、この混合物を食料品包装体の上部空間へ吹込むと、有利なことがわかった。
【0015】
本発明の別の課題は、包装体の中に設けられる食料品の香気処理手段の取入れを比較的安価にかつ構造的に簡単に可能にするため、本発明による方法を実施する装置を提供することである。
【0016】
本発明は、装置に関して与えられた課題を、液体タンクが水を含む液体、少なくとも1種類の香料及び少なくとも1種類の酸化防止剤を収容し、液体及び保護ガスを包装体の上部空間へ一緒に入れるため、包装体の上部空間へ通じるガス導管が、ガスタンク及び液体タンクに接続されていることによって、解決する。
【0017】
液体タンクが水を含む液体、少なくとも1種類の香料及び少なくとも1種類の酸化防止剤を収容していると、簡単化される構造的前提条件が与えられる。なぜならば、その場合構造的にタンクに由来する手段を包装すべき食料品の処理のために設けることができるからである。従って液体及び保護ガスを包装体の上部空間へ一緒に入れるため、ガス導管をガスタンク及び液体タンクに接続することも可能なので、包装体の簡単な香気処理装置が提供される。更に液体及び保護ガスを一緒に入れることにより、包装体の上部空間におけるエーロゾルの均一な分布を行うことができる。
【0018】
液体タンクがエーロゾル容器を介してガス導管に接続され、エーロゾル容器において液体タンクの液体が霧化されると、食料品にわたるエーロゾルの分布を構造的に簡単に更に改善することができる。即ちエーロゾル容器の比較的均一なエーロゾルを保護ガスへ簡単に添加することができ、それによりエーロゾルを霧化するための取入れ手段の費用のかかる構造を回避することができる。
【0019】
エーロゾル容器がガスタンクの保護ガスを含んでいると、簡単な構造状態が更に与えられる。更に取入れ手段の汚れも回避することができる。
【0020】
図には、本発明の対象が複数の実施例で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 第1実施例を示す。
【図2】 第2実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1実施例として図1に示される装置は、プラスチックから成る殻2を持つ包装体1を持ち、この殻2が包装すべき食料品3を収容している。開いた包装体1の上部空間4へ保護ガス5が入れられる。この目的のためガス導管6が設けられている。保護ガス5と共に、食料品に合った液体7が上部空間4へ入れられ、液体7は食料品に合った香料を含んでいる。液体7及び保護ガス5を入れた後、箔8により包装体1が気密に閉鎖される。例えば保護ガス5はガスタンク9に設けられ、液体7は液体タンク10に保管することができる。液体7及び保護ガス5は、一緒にガス導管6を経て包装体1へ導かれる。本発明による方法は、特に主成分としての水と香料を含む液体7に、食料品に合った酸化防止剤が添加されることを特徴としている。即ち酸化防止剤が、香気及び水を含む液体7の一部として保護ガス5と共に入れられると、酸化防止剤によって、箔8の取除きにより包装体1を開く際、香料の改善された一層安定な香気放出を行うことができる。
【0023】
液体7を含む保護ガス5の分布を改善するため、これらの媒体5及び7は2つのノズル11を経て包装体1の上部空間4へ入れられる。ノズルにより、液体7を有利に少なくとも部分的にエーロゾルへ移行させることができ、それにより包装体1の上部空間4において保護ガス5と共に液体の特別な分布が行われ、従って香気の安定性の改善が可能になる。しかしこのエーロゾル形成は、ガス導管6において既に部分的に始まるか、又はそこで行われ、保護ガス5を導くガス導管6へ液体7が供給される。
【0024】
更にガス導管6へ入り込む液体導管13の負圧湾曲部12によって液体7を添加すると、保護ガス5への液体7の分布に関して有利なことがわかった。弁14を介して、供給される保護ガス5の量、従って液体7の供給量も調節することができる。
【0025】
図2に示す第2実施例によれば、図1に示す第1実施例と区別するために、液体7の霧化における変更が示される。ここでは液体タンク10の液体7が、液体導管13を経て、エーロゾル容器15内へ突出する霧化ノズル16へ導かれる。液体タンク10は、例えば圧力をかけられるガス導管6に接続されているため、圧力をかけられているので、エーロゾル容器15へ押込まれる液体7が霧化される。従ってエーロゾル容器15内に、ガス中における浮遊粒子の特に均一な分布という点ですぐれているエーロゾル17が形成される。更にエーロゾル容器15のガス中における霧化液体7の濃度の増大も簡単に可能である。ガス導管6が調節弁18を介してエーロゾル容器15に接続されていることによって、エーロゾル容器15がガス容器9の保護ガス5を簡単に満たされる。液体タンク10とエーロゾル容器15との間に異なる圧力状態を設定できるようにするため、液体タンク10は調節弁19を介してガス導管6に接続されている。
【0026】
その場合エーロゾル容器10のエーロゾル17は、接続導管20を経て、保護ガス5を導くガス導管6へ供給されるので、このエーロゾル17を保護ガス5と共に包装体1の上部空間4へ入れることができる。その際エーロゾル17は保護ガス5と混合し、かつ/又はこの流れに混合されることなく添加されることができる。最後の共通なノズルが包装体1の上部空間4における均一な分布に全く役立つとしても、場合によってはエーロゾル容器15において既に行われるエーロゾル形成によって、ノズル11をなくすことができる。
【0027】
ガス導管6には更に別の調節弁21が設けられて、ガスタンク9内の圧力状態に応じて、保護ガス5とエーロゾル17の組合わせを制御することができ、その際接続導管20におけるエーロゾル17の体積制御のため電磁弁22が設けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体(1)の中に設けられる食料品(3)の香気処理方法であって、包装体(1)が気密に閉じられる前に、開いた包装体(1)の上部空間(4)へ、保護ガス(5)特に二酸化炭素、窒素、不活性ガス又はその混合物が、少なくとも1種類の香料を含む液体(7)と共に入れられるものにおいて、特に主成分として水を含む液体(7)に酸化防止剤が添加されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
液体(7)が香料として芳香抽出物を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体(7)が負圧を使用して保護ガス(5)に添加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
保護ガス(5)が、液体(7)と共に包装体(1)の上部空間(4)へ吹込まれることを特徴とする、請求項1又は2又は3に記載の方法。
【請求項5】
液体(7)の重量に関して、0.1〜3重量%の香料及び0.1〜10重量%の酸化防止剤の量が存在することを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の方法。
【請求項6】
液体(7)がエーロゾル(17)となるように霧化され、それから保護ガス(5)と共に包装体(1)へ入れられることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の方法。
【請求項7】
液体(7)が保護ガス(5)中でエーロゾル(17)となるように霧化されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
包装体(1)の中に設けられる食料品(3)の香気処理のため包装体(1)の上部空間(4)へ吹込むために、水、少なくとも1種類の香料及び酸化防止剤を含む液体(7)と、保護ガス(5)特に二酸化炭素、窒素、不活性ガス又はその混合物とから成る混合物の使用。
【請求項9】
食料品(3)の香気処理装置であって、包装体(1)の中に設けられる食料品(3)、香料を含む液体(7)用の液体タンク(10)、保護ガス(5)特に二酸化炭素、窒素、不活性ガス又はその混合物用のガスタンク(9)、及び包装体(1)の上部空間(4)へ香料及び保護ガス(5)を入れるため少なくとも1つのガス導管(6)を持つ取入れ手段を有するものにおいて、液体タンク(10)が水を含む液体、少なくとも1種類の香料及び少なくとも1種類の酸化防止剤を収容し、液体(7)及び保護ガス(5)を包装体(1)の上部空間(4)へ一緒に入れるため、包装体(1)の上部空間(4)へ通じるガス導管(6)が、ガスタンク(9)及び液体タンク(10)に接続されていることを特徴とする、装置。
【請求項10】
液体タンク(10)がエーロゾル容器(15)を介してガス導管(6)に接続され、エーロゾル容器(15)において液体タンク(10)の液体が霧化されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
エーロゾル容器(15)がガスタンク(9)の保護ガス(5)を含んでいることを特徴とする、請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−527250(P2012−527250A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513404(P2012−513404)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000066
【国際公開番号】WO2010/132902
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511294969)
【Fターム(参考)】