説明

包装体

【課題】コンパクトかつ安価に製造できる複数の収容部を有する包装体を提供する。
【解決手段】可撓性の、一対の側壁2と底壁3とを、熱溶着して形成された、包装容器と、包装容器の第一収容部4に収容された第一内容物20、及び、包装容器の第二収容部5に収容された第二内容物21と、を備えた包装体1であり、第一収容部は、両側壁と上ヒートシール部16と底壁とによって囲まれた空間として、構成されており、第二収容部は、底壁の谷折り稜線12から両側壁の下辺部に至る空間として、構成されており、第二内容物は、袋状の付属包装体30に内包された状態で、第二収容部に収容されており、第一内容物及び第二内容物は、流動性を有しており、両内容物は、混合することにより、二酸化炭素外用剤として調製されるものであり、包装容器が、平らな形態で、両内容物を収容している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種類の内容物を収容している包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種液体洗剤、食品など、液状物や、粉状物などは、主にプラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶などの保形性のある容器に充填され、流通、使用に供され、使用後の容器は廃棄処分されていた。しかし、このような保形性容器は、資源の消費傾向が強く、商品に占める容器コストの割合も無視できないものがあった。
【0003】
このような見地から、ラミネートフィルムなど軟包装材料による袋など、より簡易型の容器が求められるようになっている。このような簡易型容器は、前記プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶などの保形性容器の代替として使用できるほか、使用後のボトルなどの容器に同一内容物を補充するために用いる詰め替え用容器としても使用することができる。かかる簡易型容器としては、例えばスタンディングパウチと呼ばれる自立可能な包装体がある。一般には、このような包装体は収容部を一つしかもたないが、使用時に二種類の内容物を混ぜ合わせるために、内部を剥離可能な熱融着部によって上下に区分して、収容部を二つ備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、これと同じようなものとして、薬液とこの薬液を含浸する材料を境目を設けて容器に収容し、使用時に容器内の開封手段によりワンタッチで調製可能とした容器なども知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−54574号公報(請求項1、図面1)
【特許文献2】特開2002−291843号公報(請求項1、図面1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来から使用されている一つの収容部を有する包装体では複数の内容物を入れることはできないので不便であり、収容部を上下に二つ備える特許文献1の包装体では、内容物の充填作業が煩雑であり、製造コストが高いという問題点がある。特許文献2の包装体では、充填作業は容易であるが、包装体のかさが大きい。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑み、コンパクトかつ安価に製造できる複数の収容部を有する包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、可撓性の、一対の側壁と底壁とを、熱溶着して形成された、包装容器と、包装容器の第一収容部に収容された第一内容物、及び、包装容器の第二収容部に収容された第二内容物と、を備え、両側壁は、両側縁が熱溶着されており、且つ、上部開口部が熱溶着されて形成された上ヒートシール部を有しており、底壁は、両側壁の下辺部が接離できるように谷折りされた状態で、両側壁間に挟み込まれて、両側壁の底部の間を閉塞しており、第一収容部は、両側壁と上ヒートシール部と底壁とによって囲まれた空間として、構成されており、第二収容部は、底壁の谷折り稜線から両側壁の下辺部に至る空間として、構成されており、第二内容物は、袋状の付属包装体に内包された状態で、第二収容部に収容されており、第二収容部は、付属包装体を収容した状態で、両側壁の下辺部の間の下部開口部が、閉塞手段によって、非離間状態で且つ開放可能に、閉じられており、第一内容物及び第二内容物は、流動性を有しており、両内容物は、混合することにより、二酸化炭素外用剤として調製されるものであり、包装容器が、平らな形態で、両内容物を収容している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、第一収容部を区分けしない簡易な構成としながらも、第一内容物と異なる第二内容物を第二収容部に収容することが可能である。
【0010】
したがって、ヒートシールで上下に区分した包装体(特開2003−54574号公報)のように、内容物の充填作業時に行われる区分けの融着工程を必要とせず、第二収容部を側壁間の余剰空間を利用して形成しているので、安価に製造可能であり、かつコンパクトな包装体とすることができる。
【0011】
上記本発明において、前記第二収容部に、着脱自在に第二内容物を収容した袋状の付属包装体を収容しており、それ故、第二収容部を密封せずに第二内容物を収容することができ、この第二内容物を第一内容物に簡単に混合することができる。
【0012】
さらに、前記第二内容物を、第一内容物に対して適正量に調整して前記付属包装体に内包することが好ましい。これにより、第二内容物の全量を使い切りとすることができ、使用者が第一内容物に誤った量を混合するのを防ぐことができる。
【0013】
本発明においては、前記両側壁の下辺部を離間させた状態で自立可能としており、これにより包装体を自立させた状態で、第一内容物が収容されている第一収容部に、第二収容部から取り出した第二内容物を混合するための混合容器として使用することができる。
【0014】
また、本発明においては、前記第二収容部の下部開口部を開放可能に閉じる閉塞手段を設けている。これにより、付属包装体が第二収容部から抜け落ちないようにすることができる。この開閉手段としては、例えば、片面に粘着剤が塗布され、他方の面に印刷が施されているテープ材を、両側壁にわたして止着するものを挙げることができる。
【0015】
以上説明したように、本発明によればコンパクトかつ安価に製造可能な複数の収容部を有する包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる第一実施形態の包装体を示す正面図である。
【図2】同包装体に使用される包装容器の縦断面図である。
【図3】同包装容器を自立可能とした状態の斜視図である。
【図4】第二実施形態の包装体に使用される包装容器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の第一実施形態にかかる包装体1を示すものであり、この包装体1は、可撓性の側壁2と底壁3とを熱溶着し、第一収容部4と第二収容部5を有する自立可能の袋体としたスタンディングパウチ形式となっている。ここでは、第一収容部4に第一内容物20が収容され、第二収容部5に第二内容物21を内包した付属包装体30が収容されている。
【0019】
図2は、前記包装体1に使用される包装容器25の縦断面図を示している。側壁2はほぼ四角形状の2枚の側壁フィルム10,10により構成され、図1に示すように、その左右側縁が熱溶着されて所定幅の側縁ヒートシール部15となっており、これと底壁3とにより第一収容部4を形成している。また、側壁フィルム10,10の上縁は充填用の上部開口部6とされ、この上部開口部6は第一内容物20の充填後に熱溶着されて、上ヒートシール部16となっている。
【0020】
また、図2において、底壁3は側壁フィルム10、10の間に稜線12を上にして、両側壁2の下辺部が接離できるように挟み込まれる二つ折りに谷折りされた底壁フィルム11によって構成されている。底壁3と側壁2とのヒートシールは、底壁フィルム11の二股に分けられた各下縁と各側壁フィルム10,10の下縁とをそれぞれ独立に熱溶着する2箇所の下ヒートシール部17、17と、図1に示す底壁3の左右側縁と側壁フィルム10、10の左右側縁とを一体的に熱溶着する底部側縁ヒートシール部18,18と、を備えている。下ヒートシール部17,17の上辺は、直線状の下辺部に対して下方に凸の円弧形状で、船底形のシールパターンとなっている。
【0021】
これにより、両側壁2間の余剰空間を利用するようにして、二つ折りにされた底壁フィルム11の谷折り稜線12を底側とし、底部側縁ヒートシール部18、18を側縁とし、包装体1の下方に下部開口部13を有する第二収容部5が構成されている。ここで、側壁フィルム10,10の間に挿入する底壁フィルム11の挿入深さを所要寸法とすることで、第二収容部5の充分な深さを確保し、後述する別体の付属包装体30を収容できるようにしている。また、両側壁2の下辺部が、接離できるようにされているので、図3に示すように、この下辺部を離間させることで、包装体1を自立状態とすることができる。
【0022】
この包装体1の材質としては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムを用いるが、特にバリア性フィルム(例:シリカ蒸着フィルム、アルミラミネートフィルム)、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、PETフィルム等、内容物の種類に応じて適宜選択され、液状などの内容物の包装用袋に用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用することができる。
【0023】
また、図1に示すように、別に設けられた付属包装体30は、第二収容部5の内側にフィットするように矩形状に形成され、第二内容物21が内包されている。そして、この付属包装体30が、包装体1の下部開口部13から第二収容部5に装填され、着脱自在とされている。
【0024】
下部開口部13を開放可能に閉じる閉塞手段として、一定幅をもって細長く形成されているテープ材31が、一方の側壁2から他方の側壁2へわたすようにして止着されている。このテープ剤31は、紙あるいは樹脂製で、側壁2に粘着可能な粘着剤が片面に塗布され、他方の面に各種の印刷が施されている。これにより、第二収容部5に収容された付属包装体30が、当該第二収容部5から抜け落ちない。そして、テープ材31による閉塞状態を解除するときは、テープ材31自体をカットして破断させてもよいし、側壁2から剥がすようにしてもよい。
【0025】
なお、テープ材31は、上記実施形態に限られるものではなく、下部開口部13を開放可能に閉塞できるものであれば、その他の閉塞手段も採用することができる。例えば、所要長さと側壁2の幅と略同じ幅を有する矩形状のテープ材31を形成し、このテープ材31を、一方の側壁2の下辺部全体から他方の側壁2の下辺部全体にわたすようにして止着してもよい。これにより、下部開口部13全体がかかるテープ材31に被われて閉塞され、外観の良好な包装体1とすることができる。
【0026】
したがって、輸送、携帯時にはテープ材31で、付属包装体30が包装体1から抜け落ちないように止めておき、使用時に、テープ材31を解除して付属包装体30を取り出すことができるので便利である。
【0027】
以上説明したとおり、本実施形態にかかる包装体1は、簡単でコンパクトな構成としながらも、第一収容部4と第二収容部5の二つの収容部を有し、第一収容部4にはベースとなる第一内容物20を入れておき、第二収容部5にはそれと異なる第二内容物21を入れた付属包装体30を収容して使用に供することができる。
【0028】
したがって、収容部(本発明にかかる第一収容部4にあたる部分)をヒートシールにより上下に区分けされた公知の包装体のように、区分けする融着工程を必要とせず、第二収容部5を側壁2間の余剰空間を利用して形成しているので、内容物の収容作業は煩雑とはならず、製造コストを抑えることができ、かさばらずコンパクトである。その上、別に設けた付属包装体30を、第二収容部5に一体に付属させることで、第二収容部5を密封せずに第二内容物21を収容することができ、当該第二内容物21を第一内容物20に簡単に混合することができる。
【0029】
また、付属包装体30を取り出したあと、下部開口部13を離間させて、包装体1を自立状態にできるので、第一内容物20に第二内容物21を混合するための混合容器として使用することができる。
【0030】
さらに、付属包装体30に内包された第二内容物21の収容量を、第一内容物20に対して適正量に調整しておき、使用者が当該第二内容物21の全量を一度に使い切ることで、混合量を計量する必要がなくなる。
【0031】
したがって、使用者にとってはコンパクトで携帯に便利であり、安価に購入できる上、混合容器としても使用できるだけでなく、混合量を誤ることがないので非常に利便性が高い。
【0032】
なお、本実施形態においては、第一収容部4には、第一内容物20として、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、水、アルギン酸ナトリウム等の増粘剤を必須成分とした粘性組成物が収容され、第二収容部5に収容された付属包装体30には、第二内容物21として、クエン酸等の水溶性酸、加工澱粉等の増粘剤、乳糖等の水溶性分散剤を必須成分とした粒状物が内包されており、これら第一、第二内容物20,21を混合することにより、美容効果等を有する二酸化炭素外用剤が調製される。ただし、本発明の包装体1に収容される内容物は、特に限定するものではなく、液状物、ゲル状、粉状、粒状など流動性を有するものであれば、どのようなものでもよい。
【0033】
図4は、本発明の第二実施形態にかかる包装体1を示している。本実施形態の包装体1が第一実施形態と異なる点は、図4に示すように、第一収容部4を左右に区分けした点である。このようにすることで、区分けされた各第一収容部4に第一内容物20を分けて収容し、ここへ第二収容部5から取り出した付属包装体30に内包された第二内容物21を入れることができる。この場合、付属包装体30を第二収容部5に二つ備えることにしてもよい。これにより、小分けされた配合物を作ることが可能となる
【0034】
なお、本発明は、前記した各実施例の形態に限定されるものではない。
【0035】
例えば、第一実施形態にかかる包装体1の上部に幅を狭くした注出口部を設けたもの、更には、その注出口部の開口性と保形性を一層安定なものにするため、包装体1の上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 包装体 2 側壁 3 底壁 5 第一収容部 6 第二収容部 12 稜線 17 下ヒートシール部 18 底部側縁ヒートシール部 20 第一内容物 21 第二内容物 25 包装容器 30 付属包装体 31 テープ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の、一対の側壁(2)と底壁(3)とを、熱溶着して形成された、包装容器(25)と、
包装容器(25)の第一収容部(4)に収容された第一内容物(20)、及び、包装容器(25)の第二収容部(5)に収容された第二内容物(21)と、
を備え、
両側壁(2)は、両側縁が熱溶着されており、且つ、上部開口部(6)が熱溶着されて形成された上ヒートシール部(16)を有しており、
底壁(3)は、両側壁(2)の下辺部が接離できるように谷折りされた状態で、両側壁(2)間に挟み込まれて、両側壁(2)の底部の間を閉塞しており、
第一収容部(4)は、両側壁(2)と上ヒートシール部(16)と底壁(3)とによって囲まれた空間として、構成されており、
第二収容部(5)は、底壁(3)の谷折り稜線(12)から両側壁(2)の下辺部に至る空間として、構成されており、
第二内容物(21)は、袋状の付属包装体(30)に内包された状態で、第二収容部(5)に収容されており、
第二収容部(5)は、付属包装体(30)を収容した状態で、両側壁(2)の下辺部の間の下部開口部(13)が、閉塞手段によって、非離間状態で且つ開放可能に、閉じられており、
第一内容物(20)及び第二内容物(21)は、流動性を有しており、両内容物(20、21)は、混合することにより、二酸化炭素外用剤として調製されるものであり、
包装容器(25)が、平らな形態で、両内容物(20、21)を収容している、
ことを特徴とする包装体。
【請求項2】
閉塞手段を解除して、第二収容部(5)の下部開口部(13)を開放するとともに両側壁(2)の下辺部を離間させると、自立可能である、
請求項1記載の包装体。
【請求項3】
閉塞手段が、一定幅の細長いテープ材(31)であり、
テープ材(31)は、第二収容部(5)から付属包装体(30)が抜け落ちないように、一方の側壁(2)から他方の側壁(2)へ渡して止着されている、
請求項1記載の包装体。
【請求項4】
一内容物(20)が、粘性組成物であり、第二内容物(21)が、粒状物である、
請求項記載の包装体。
【請求項5】
二内容物(21)が、第一内容物(20)に対して適正量に調整されている、
請求項1に記載の包装体。
【請求項6】
第一収容部(4)が、左右に区分けされている、
請求項1記載の包装体。
【請求項7】
第二収容部(5)が、二つの付属包装体(30)を収容している、
請求項6記載の包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−196714(P2009−196714A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100000(P2009−100000)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【分割の表示】特願2003−176876(P2003−176876)の分割
【原出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願人】(301039505)ネオケミア株式会社 (15)
【Fターム(参考)】