説明

包装方法および包装機

【課題】包装材料内の空気を効果的に抜く。
【解決手段】包装機10は、食パンXA1を内包した袋状の包装材料YA1を、開口部を上流に向けて搬送するベルト23の下流走行面23aと、開口部を幅方向に横シールするエンドシール装置13と、エンドシール装置13の搬送方向下流にあって、包装材料YA1を挟んで、内包されている食パンXA1の上面及び左右両面に対向し、且つ当該食パンXA1との間に隙間を残しながら近接状態となることで包装材料YA1の膨張を規制する膨張規制装置15と、エンドシール装置13より下流にあって、包装材料YA1に対し下流側から押し付けて、包装材料YA1内の空気をエンドシール装置13の上流側へ押し出す下流脱気装置75と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して供給される包装材料によって物品を包装する包装方法および包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品等の物品を包装する包装ラインでは、物品が包装機に次々と供給され、フィルム等の包装材料によって個別に包装される。具体的には、包装機に、物品が順次供給されることに合わせて、フィルム等の包装材料が連続して供給され筒状に製袋される。包装材料が筒状に製袋される過程において物品が順次供給され、次いで包装材料の両側縁部がセンターシールされる。それから、所定ピッチ毎に包装材料の幅方向にエンドシール(横シール)とカットとが行われ、各物品が包装される。エンドシール時には、同時に空気抜きを行う場合があり、例えば、包装材料を上部から固定しながら下流側の端部を打撃して、内部の余分な空気を抜くものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4321933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、物品の側方に回り込んだ空気を効果的に抜くことは困難であり、タイトに包装できない。このような問題は、包装材料が物品を包み込みながら筒状に製袋される場合に限られず、包装袋にあらかじめ物品が内包されている場合に共通して存在し得る。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、包装材料または包装袋内の空気を効果的に抜くことのできる包装方法および包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、帯状の包装材料を物品の搬送方向に連続供給して筒状に製袋しながら内部に物品を供給し、該物品の搬送方向下流側に次いで上流側で該包装材料を幅方向に横シール及びカットすることで前記物品を包装する包装方法において、前記物品の下流側で横シールする下流横シール工程後、前記包装材料の膨張を規制する規制手段を、前記包装材料を挟んで前記物品の上面及び左右両側面に対向させ、且つ前記物品との間に隙間を残しながら近接状態とする近接工程と、前記規制手段が近接している前記包装材料に対し、下流側から下流脱気手段を押し付けて包装材料内の空気を、前記物品の上流側で行う横シールの予定位置よりも上流側へ押し出す下流押付工程と、前記下流押付工程後、前記物品の上流側で横シールおよびカットする上流横シール工程に移行することを特徴とする、包装方法である。
【0007】
(2)本発明はまた、物品を内包した包装袋を搬送し、開口部を幅方向に横シールして包装する包装方法において、前記開口部を搬送方向上流に向けて搬送される前記包装袋に対して、該包装袋の膨張を規制する規制手段を、前記包装袋を挟んで前記物品の上面及び左右両側面に対向させ、且つ前記物品との間に隙間を残しながら近接状態とする近接工程と、前記規制手段が近接している前記包装袋に対し、下流側から下流脱気手段を押し付けて包装袋内の空気を前記開口部から押し出す下流押付工程と、前記下流押付工程後、前記包装袋の前記開口部を横シールする上流横シール工程に移行することを特徴とする、包装方法である。
【0008】
(3)本発明はまた、前記上流横シール工程までに前記物品と前記上流横シール工程における横シールの予定位置との間を、上流脱気手段によって隙間を残しつつ上下に挟み込む上流挟込工程を含むことを特徴とする、上記(1)又は(2)記載の包装方法である。
【0009】
(4)本発明はまた、前記上流横シール工程は、前記上流挟込工程と同時に行われることを特徴とする上記(3)記載の包装方法である。
【0010】
(5)本発明はまた、前記物品は、食パンであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の包装方法である。
【0011】
(6)本発明はまた、連続供給される帯状の包装材料を、搬送されてくる物品を包み込みながら筒状に製袋する製袋手段と、前記物品の上流側及び下流側において前記包装材料を幅方向に横シール及びカットする横シール手段と、を備え、前記横シール手段の前記物品の搬送方向下流には、前記包装材料を挟んで、内包されている前記物品の上面及び左右両側面に対向し、且つ該物品との間に隙間を残しながら近接状態となることで前記包装材料の膨張を規制する規制手段と、前記包装材料に対し下流側から押し付けて、包装材料内の空気を前記横シール手段の上流側へ押し出す下流脱気手段と、を備えることを特徴とする、包装機である。
【0012】
(7)本発明はまた、物品を内包した袋状の包装袋を、開口部を上流に向けて搬送する搬送面と、前記開口部を幅方向に横シールする横シール手段と、を備え、前記横シール手段の前記物品の搬送方向下流には、前記包装袋を挟んで、内包されている前記物品の上面及び左右両側面に対向し、且つ該物品との間に隙間を残しながら近接状態となることで前記包装袋の膨張を規制する規制手段と、前記包装袋に対し下流側から押し付けて、包装袋内の空気を前記横シール手段の上流側へ押し出す下流脱気手段と、を備えることを特徴とする、包装機である。
【0013】
上記(1)、(2)、(6)および(7)の発明によれば、物品の上方および搬送方向に沿った左右側方に規制手段を近接させるので、当該規制手段により、包装材料または包装袋が物品の上方や左右側方でむやみに膨らむことが防止できる。すなわち、物品の上方や左右側方に空気が留まることが防止できる。そして、規制手段と物品との間に隙間を残すので、当該物品の上方や左右側方において、当該物品と包装材料または包装袋との間に空気の流路が形成される。このため、物品の下流から下流脱気手段を包装材料または包装袋に押し付けた場合に、物品の下流側に留まっている空気を、当該流路を介して上流に向けて送ることができる。
【0014】
このとき、流路における空気の流量に限りがあって、物品の下流側に留まっている空気を一気に排出することができないので、包装材料または包装袋を押し付ける下流脱気手段に当該包装材料または当該包装袋から反力が働く。このため、包装材料または包装袋は、一気に潰れることはなく除々に潰れる。結果、包装材料または包装袋に形成されているガゼット部などが捲れることはなく、当該包装材料または当該包装袋は、外観をきれいに保てる。
【0015】
(8)本発明はまた、前記横シール手段と前記規制手段との間にあって、前記物品の上流側で、隙間を残しつつ前記包装材料を上下に挟み込む上流脱気手段を備えることを特徴とする、上記(6)または(7)記載の包装機である。
【0016】
上記(3)および(8)の発明によれば、クロージャなどの結束部材で閉じる結束代を備えて一旦開いた封を再封可能とする態様に対応できる。
【0017】
(9)本発明はまた、前記物品が食パンであることを特徴とする、上記(6)〜(8)のいずれかに記載の包装機である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記(1)〜(5)に記載の包装方法、および上記(6)〜(9)に記載の包装機によれば、包装材料または包装袋内(包装品内)の空気を効果的に抜ける。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る包装機の概略を示す正面図である。
【図2】図1に示す包装機におけるエンドシール装置を矢印IIの方向に視た図である。
【図3】図2に示すエンドシール装置におけるカム溝およびカムフロアを示す図である。
【図4】図2に示すエンドシール装置におけるシーラおよびその周囲の各部を示す斜視図である。
【図5】図1に示す包装機における膨張規制装置を矢印Vの方向に視た図である。
【図6】図2に示すエンドシール装置を矢印VIAの方向に視た一部断面図であり、シーラのボックスモーションの動作を説明する図である。
【図7】図4に示す第1の連動機構の動きを説明する図である。
【図8】図4に示す第1の連動機構の動きを説明する図であり、図7に示す動きの続きを示す。
【図9】図4に示す第2の連動機構の動きを説明する図である。
【図10】図4に示す第2の連動機構の動きを説明する図であり、図9に示す動きの続きを示す。
【図11】図1に示す包装機の動きを概略的に説明する図である。
【図12】図1に示す包装機の動きを詳細に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る包装機について詳細に説明する。
【0021】
まず、図1〜図5を用いて、包装機10の構成について説明する。図1は、包装機10の概略を示す正面図である。図2は、図1における矢印IIの方向にエンドシール装置13を視た図である。図3は、エンドシール装置13におけるカム溝71aおよびカムフロア72,73を示す図である。図4は、シーラ38およびその周囲の各部を示す斜視図である。図5は、膨張規制装置15を矢印Vの方向に視た図である。
【0022】
なお、必要に応じて、図6〜図12を参照されたい。また、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。さらに、以下の説明における方向は、特に説明がない限り、図面における方向をいう。
【0023】
図1に示す包装機10は、いわゆる横ピロー包装機であり、搬送方向に沿って連続して供給される樹脂フィルム等の包装材料YA1を利用して、前工程から順次供給される食パンXA1を上流から下流に向けて搬送しながら停止させずに一斤毎に包装する。その包装には、一旦開いた封をクロージャなどの結束部材で閉じて再封を可能にする態様を採用する。図1では、左側を上流とし、右側を下流とする。なお、本実施形態では、食パンXA1を包装する場合を例に説明するが、本発明の包装機は、その他のパン類等、各種物品を包装するために使用可能である。
【0024】
包装機10は、上流側に配置された上流側搬送手段であるベルトコンベア11と、このベルトコンベア11に後続する下流側搬送手段であるベルトコンベア12と、ベルトコンベア11の上流側にあって包装材料YA1を製袋する製袋器(図示省略)と、この製袋器に続いて配置されて包装材料YA1をセンターシールするセンターシール装置(図示省略)と、両ベルトコンベア11,12間にあって包装材料YA1をエンドシールすると共にカットするエンドシール装置13と、食パンXA1の上流側で包装材料YA1内の空気を抜く上流脱気装置14と、包装材料YA1内の空気を抜く際に当該包装材料YA1の移動範囲を制限して当該包装材料YA1の膨張量を規制する膨張規制装置15と、ベルトコンベア11,12および上流脱気装置14の動作を、エンドシール装置13の動作に連動させる連動機構16(図4参照)と、食パンXA1の下流側で包装材料YA1内の空気を抜く下流脱気装置75と、各部の動作を統括的に制御する制御ユニット(図示省略)と、等を備えている。以下、包装機10の各構成を説明する。
【0025】
制御ユニット(図示省略)は、CPU、RAM、およびROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0026】
製袋器(図示省略)は、ベルトコンベア11における上流側に配置されている。この製袋器は、食パンXA1に対して連続して供給される帯状の包装材料YA1を、食パンXA1を包み込ませながら当該包装材料YA1の長手方向に沿った筒状に製袋する。すなわち、製袋器は、次に説明するセンターシール装置と共に、連続供給される帯状の包装材料YA1を、搬送されてくる食パンXA1を包み込みながら筒状に製袋する製袋手段として機能する。
【0027】
(センターシール装置)センターシール装置(図示省略)は、製袋器の下流に続いて配置されている。このセンターシール装置は、筒状に製袋された包装材料YA1の両側縁部を搬送方向にセンターシールする。
【0028】
ベルトコンベア11は、食パンXA1を載せて上流から下流に向けて走行する搬送面として機能する環状のベルト17と、上流側に配置された一つまたは複数のローラ(図示省略)と、下流側に配置されたローラ18,19と、ベルトの長さを調整するローラ20,21と、モータ(図示省略)に接続された駆動用のローラ(図示省略)と、各構成を支持する固定フレームおよび移動フレーム(図示省略)と、等を備えている。
【0029】
ベルト17は、上流から下流に向けて走行する上流側走行面17aと、この上流側走行面17aの下方に沿って配置され、下流から上流に向けて走行する戻り面17bと、が無端で連結されている。このベルト17は、上流側走行面17aにおいて、筒状に製袋された包装材料YA1に包み込まれた食パンXA1が搬送される。ベルト17は、駆動用のローラ(図示省略)の回転によって走行する。
【0030】
ローラ18〜20は、移動フレーム(図示省略)に対して回転自在に取り付けられ、移動フレームの往復移動により上流側走行面17aの走行方向に進退自在となっている。つまり、移動フレームが下流方向へ移動すると上流側走行面17aは下流方向へ伸長されることになるが、この際、ローラ20と固定フレームに支持されているローラ21との間隔が縮小して、この間に蓄えられているベルト17の余長分が繰り出される。一方、移動フレームが上流方向へ移動すると上流側走行面17aは短縮し、それによって生じたベルト17の余長分は、ローラ20とローラ21との間隔が拡大することにより吸収される。
【0031】
以上のローラ18〜21および不図示のローラによれば、ベルト17は、上流側に配置された不図示のローラの上部から、下流側に配置されたローラ18の上部に向けて水平に延びる。そして、ベルト17は、ローラ18の側部からローラ19の側部に向けて斜め下方に延びる。次いで、ベルト17は、ローラ19の下部からローラ20の上部に向けて水平に延びる。また、ベルト17は、ローラ20の下部からローラ21の上部に向けて水平に延びる。さらに、ベルト17は、ローラ21の下部から、上流側に配置された不図示のローラの下部に向けて水平に延びる。
【0032】
ベルトコンベア12は、食パンXA1を載せて上流から下流に向けて走行する搬送面として機能する環状のベルト23と、上流側に配置されたローラ24〜29と、ベルト23の長さを調整するローラ30,31と、モータ(図示省略)に接続された駆動用のローラ32と、このローラ32の近傍に設けられたローラ33と、下流側に配置されたローラ34と、各構成を支持する固定フレームおよび移動フレーム(図示省略)と、等を備えている。
【0033】
ベルト23は、上流から下流に向けて走行する下流側走行面23aと、この下流側走行面23aの下方に沿って配置され、下流から上流に向けて走行する戻り面23bと、が無端で連結されている。このベルト23は、下流側走行面23aに、ベルトコンベア11から引き継いだ食パンXA1が載置される。ベルト23は、ローラ32の回転によって走行する。
【0034】
ローラ24〜30は、移動フレーム(図示省略)に対し回転自在に取り付けられ、移動フレームの往復移動により下流側走行面23aの走行方向に進退自在となっている。ローラ24,26,28は、エンドシール装置13の近傍において、下流側走行面23aに沿って走行方向に互いに間隔を置いて配置される。ローラ25は、ローラ24および26の間において、ローラ24,26の下方に配置される。このローラ25は、ローラ24,26を支点としてベルト23を下方に迂回させる。ローラ27は、ローラ26および28の間において、ローラ26,28の下方に配置される。このローラ27は、ローラ26,28を支点としてベルト23を下方に迂回させる。このように、ローラ25,27は、下流側走行面23aを走行方向に複数に分断する。
【0035】
移動フレームが上流方向へ移動すると下流側走行面23aは上流方向へ伸長されることになるが、この際、ローラ30と固定フレームに支持されているローラ31との間隔が縮小して、この間に蓄えられているベルト23の余長分が繰り出される。一方、移動フレームが下流方向へ移動すると下流側走行面23aは短縮し、それによって生じたベルト23の余長分は、ローラ30とローラ31との間隔が拡大することにより吸収される。
【0036】
ローラ32は、固定フレームに対して回転自在に取り付けられる。このローラ32は、モータ(図示省略)の回転動力の供給を受けて回転する。ローラ33は、固定フレームに対して回転自在に取り付けられる。このローラ33は、ローラ32へのベルト23の巻付け角を大きくする目的で設けられている。ローラ34は、固定フレームに対して回転自在に取り付けられる。このローラ34は、ベルト23を、下流側走行面23aから戻り面23bに折り返す。ローラ32以外の各ローラ24〜31,33,34は、ベルト23の走行と共に回転する。
【0037】
以上のローラ24〜34によれば、ベルト23は、上流側に配置されたローラ28の上部から、下流側に配置されたローラ34の上部に向けて水平に延びる。この間、ベルト23は、ローラ27によって、ローラ26,28を支点として下方に迂回すると共に、ローラ25によって、ローラ24,26を支点として下方に迂回する。
【0038】
そして、ベルト23は、ローラ34の下部からローラ32の下部に向けて斜め下方に延びる。さらに、ベルト23は、ローラ32の側部から、上流側に配置されたローラ28に斜め上方に延びる。この間、ベルト23は、ローラ29〜31,33によって、つづら折り状に配置される。
【0039】
図1および図2に示すエンドシール装置13は、製袋器より下流であるベルトコンベア11および12の間に、位置を固定して配置されている。このエンドシール装置13は、筒状に製袋された包装材料YA1を走行面17a,23aの幅方向にエンドシール(横シール)すると共にカットする横シール手段として機能する。
【0040】
具体的に、一斤の食パンXA1を基準として説明すると、エンドシール装置13は、基準となる食パンXA1の下流側で包装材料YA1を幅方向にエンドシールおよびカットして袋状にする。その後、基準となる食パンXA1は下流に搬送されて、エンドシール装置13は、基準となる食パンXA1の上流側で包装材料YA1を幅方向にエンドシールおよびカットする。なお、エンドシール装置13が基準となる食パンXA1の上流側でエンドシールする動作は、基準となる食パンXA1に後続する食パンXA1から見れば、当該後続する食パンXA1の下流側でエンドシールする動作である。
【0041】
このエンドシール装置13は、包装材料YA1の上方および下方に対向するように長手方向を包装材料YA1の幅方向に沿って配置されたシーラ37,38と、シーラ37,38を保持する保持部39,40と、保持部39を介してシーラ37を支持し、水平軸回りに回転する一対の回転円板41と、保持部40を介してシーラ38を支持し、水平軸回りに回転する一対の回転円板42と、これらの回転円板41,42の側方に配置された一対の側板71と、保持部39,40の軸の先端に設けられたカムフロア72,73と、等を備えている。
【0042】
上方のシーラ37は、保持部39および保持部40間に掛け渡されたスライドバー(図示省略)によって、下方に向けた姿勢が保たれながら昇降させられる。下方のシーラ38は、前記スライドバーによって、上方に向けた姿勢が保たれながら昇降させられる。下方のシーラ38は、上方のシーラ37が上昇する際に下降し、上方のシーラ37が下降する際に上昇する。シーラ37,38は、シーラ37が最下位に達すると共にシーラ38が最上位に達する時に、包装材料YA1を上下に挟み込んでエンドシールすると共に内蔵されたカッターでカットする。このように、シーラ37および38は、包装材料YA1を上下に挟み込んでシールするシール手段として機能する。
【0043】
保持部39は、シーラ37を下向きに保持する。この保持部39は、一対の回転円板41の偏心した位置で支持されており、これらの回転円板41の回転によって、姿勢が保たれながら回転円板41の回転軸41b回りに公転することで昇降する。保持部40は、シーラ38を上向きに保持する。この保持部40もまた、一対の回転円板42の偏心した位置で支持されており、これらの回転円板42の回転軸42b回りの回転によって、姿勢が保たれながら回転軸42b回りに公転することで昇降する。
【0044】
一対の回転円板41は、互いの板面が向かい合うように、機枠(図示省略)に対して水平軸回りに回転自在に取り付けられる。この一対の回転円板41は、モータ(図示省略)に連繋されており、モータの動力によって水平軸回りに回転する。一対の回転円板41は、水平軸回りに回転することによって、シーラ37を水平軸回りに公転させることで昇降させる。
【0045】
一対の回転円板42は、互いの板面が向かい合うように、機枠(図示省略)に対して水平軸回りに回転自在に取り付けられる。なお、回転円板41,42に対して保持部39,40は、スライダ39a,40aを介して連結されている。即ち、回転円板41,42において外周縁から中心に向かって形成されている切欠き41a,42aに、当該溝41a,42aに沿って移動可能なスライダ39a,40aが組み込まれている。スライダ39a,40aには、保持部39,40の軸が回転自在に挿通される貫通孔(符号省略)が形成されており、当該貫通孔に挿通された保持部39,40の軸の先端部分には、カムフロア72,73が取り付けられている。各カムフロア72,73は、回転円板41,42が回転すると側板71に形成された上下のカム溝71aにそれぞれ案内される。図3に示すように、カム溝71aは、一部に直線部分を有する環状の溝であり、直線部分が隣接するように上下対称に形成されている。これにより、シーラ37,38は、カム溝71aの直線部分において包装材料YA1を挟み込んだ状態を保持することができる。
【0046】
図1および図4に示す上流脱気装置14は、膨張規制装置15の上流に設けられている。この上流脱気装置14は、下部脱気装置44と上部脱気装置45とを備えている。下部脱気装置44および上部脱気装置45は、互いに連携して、食パンXA1の上流側で包装材料YA1内の空気を抜く。
【0047】
下部脱気装置44は、複数に分断された下流側走行面23aの隙間に沿って設けられ(図11(B)参照)、包装材料YA1を下方から押す長尺形状の下側押部46と、この下側押部46の上面をカバーするスポンジシート47と、下側押部46の両端を下方から支持する固定支持部材48と、を備えている。
【0048】
下側押部46は、下流側走行面23aに面一の状態で配置されており、隙間の間を橋渡しする渡り部材として機能する。また、下側押部46は図示しないガイド部材により上下方向にのみ移動自在となっている。この下側押部46は、連動機構16によって、下方から押し上げられて上昇する。スポンジシート47は、下側押部46および包装材料YA1の間に介在する。このスポンジシート47は、クッションとして機能し、下側押部46によって包装材料YA1にキズが付くことを防止する。固定支持部材48は、ベルトコンベア12を構成する移動フレーム(図示省略)に固定されると共に、下流側走行面23aの走行方向に進退自在に取り付けられる。この固定支持部材48は、ローラ24〜30と一体となって進退する。
【0049】
上部脱気装置45は、包装材料YA1を上方から押す上側押部として機能するスポンジブロック49と、このスポンジブロック49を昇降させるシリンダ50と、等を備えている。スポンジブロック49は、下側押部46が上昇する際に下降し、下側押部46が下降する際に上昇する。なお、上部脱気装置45は、昇降せずに固定式でもよい。
【0050】
以上の上流脱気装置14は、エンドシール装置13が包装材料YA1をエンドシールすると共にカットする際に、後述する所定のタイミングで動作して、下側押部46が最上位に達すると共に、スポンジブロック49が最下位に達し、包装材料YA1を上下に挟み込んで包装材料YA1内の空気を抜く。すなわち、下側押部46およびスポンジブロック49は、食パンXA1の上流側で包装材料YA1を上下に挟み込む上流脱気手段として機能する。なお、下側押部46とスポンジブロック49が包装材料YA1を挟む位置は、製品となる食パンXA1の高さによって調整することが可能である。
【0051】
図1および図5に示す膨張規制装置15は、ベルトコンベア12の上方において、エンドシール装置13に続く上流脱気装置14のさらに下流側に設けられている。この膨張規制装置15は、包装材料YA1の外側から食パンXA1の上方に、当該食パンXA1との間に隙間を残しながら近接状態とするスポンジブロック52と、このスポンジブロック52を昇降させるシリンダ53と、包装材料YA1の外側から食パンXA1の搬送方向に沿った左右側方に、当該食パンXA1との間に隙間を残しながら近接状態とする一対のスポンジブロック81と、これら一対のスポンジブロックを進退させる一対のシリンダ82と、等を備えている。スポンジブロック52および一対のスポンジブロック81は、互いに連動する。これらのスポンジブロック52,81が食パンXA1に最も近接したときの間隔は、それぞれ、2mm以上10mm以下であることが好ましく、3mm以上5mm以下であることがより好ましい。
【0052】
以上の膨張規制装置15は、上流脱気装置14および下流脱気装置75が包装材料YA1内を脱気する際に、後述する所定のタイミングで動作して、スポンジブロック52および一対のスポンジブロック81が同時に食パンXA1に対する近接状態とし、当該包装材料YA1の移動範囲を制限して当該包装材料YA1がむやみに膨らむことを防止する。すなわち、スポンジブロック52および一対のスポンジブロック81は、包装材料YA1の移動範囲を制限して当該包装材料YA1の膨張を規制する規制手段として機能する。
【0053】
また、膨張規制装置15の下流側には、下流脱気装置75が配置されている。下流脱気装置75は、下流側走行面23a上において、走行方向に回動可能な支持アーム75aと、この支持アーム75aの先端部分に設けられている当接部75bと、等を備えている。支持アーム75aの回動中心となる基端部は、製品となる食パンXA1と干渉しない十分な高さに位置し、鉛直状態(図11(A)参照)から反時計回りに約90°(図11(B)参照)の範囲で回動可能になっている。下流脱気装置75は、上流脱気装置14および膨張規制装置15と協働して脱気を行う。即ち、下流脱気装置75は、後述するように、上流脱気装置14および膨張規制装置15の動作のタイミングに関連させて、支持アーム75aを時計回りに回転させ、当接部75bを、製品となる食パンXA1の下流側から包装材料YA1に押し付けて、包装材料YA1内の空気を上流側に送る。すなわち、下流脱気装置75の動作によって脱気を行う。脱気が終了すると、支持アーム75aを反時計回りに回転させ、次の脱気に備える。当接部75bは、スポンジ等の軟質の材料で形成されているため、製品となる食パンXA1および包装材料YA1を傷つけることがない。なお、当接部75bは、食パンXA1の下流から包装材料YA1に押し付けて、当該包装材料YA1内の空気を上流側に送る下流脱気手段として機能する。
【0054】
図4に示す連動機構16は、上流側走行面17aが伸縮する動作、および下流側走行面23aが伸縮する動作を、シーラ38が昇降する動作に連動させる第1の連動機構55と、下側押部46が昇降する動作を、シーラ38が昇降する動作に連動させる第2の連動機構56と、を備えている。
【0055】
第1の連動機構55は、シーラ38を保持する保持部40に取り付けられた上流側プレート57と、この上流側プレート57に固定されたカムフロア58と、このカムフロア58をガイドする溝59aが形成されたガイド部材59と、シーラ38を保持する保持部40に取り付けられた下流側プレート60と、この下流側プレート59に固定されたカムフロア61と、このカムフロア61をガイドする溝62aが形成されたガイド部材62と、を備えている。
【0056】
上流側プレート57は、上流側走行面17aの幅方向における両側にそれぞれ設けられている。カムフロア58は、各上流側プレート57に対応して、上流側走行面17aの幅方向における両側にそれぞれ設けられている。これらのカムフロア58は、保持部40の水平軸回りの公転により、水平軸回りに公転する。
【0057】
ガイド部材59は、各カムフロア58に対応して、上流側走行面17aの幅方向にそれぞれ設けられている。各ガイド部材59は、ベルトコンベア11を構成する移動フレーム(図示省略)に固定され、上流側走行面17aの走行方向に進退自在になっている。よって、ガイド部材59は、ローラ18〜20と一体となって進退する。ガイド部材59に形成された溝59aは、屈曲する形状を有している。ガイド部材59は、カムフロア58の水平軸回りの公転により、上流側走行面17aの走行方向に、ローラ18〜20と共に進退する。
【0058】
下流側プレート60は、下流側走行面23aの幅方向における両側にそれぞれ設けられている。カムフロア61は、各下流側プレート60に対応して、下流側走行面23aの幅方向における両側にそれぞれ設けられている。これらのカムフロア61は、保持部40の水平軸回りの公転により、水平軸回りに公転する。
【0059】
ガイド部材62は、各カムフロア61に対応して、下流側走行面23aの幅方向にそれぞれ設けられている。各ガイド部材62は、ベルトコンベア12を構成する移動フレーム(図示省略)に固定され、下流側走行面23aの走行方向に進退自在になっている。よってガイド部材62は、ローラ24〜30と一体となって進退する。ガイド部材62に形成された溝62aは、上下方向に伸びる直線形状を有している。ガイド部材62は、カムフロア61の水平軸回りの公転により、下流側走行面23aの走行方向に、ローラ24〜30と共に進退する。
【0060】
第2の連動機構56は、下方のシーラ38を保持する保持部40に取り付けられたプレート63と、このプレート63に固定された昇降支持部材64と、を備えている。
【0061】
プレート63は、下流側走行面23aの幅方向における両側にそれぞれ設けられている。昇降支持部材64は、各プレート63に対応して、下流側走行面23aの幅方向における両側にそれぞれ設けられている。これらの昇降支持部材64には、下側押部46の端部を引っ掛ける切欠き64aが形成されている。昇降支持部材64は、保持部40の水平軸回りの公転により、水平軸回りに公転する。昇降支持部材64は、固定支持部材48に支持された下側押部46を、下方から押し上げて上昇させる。
【0062】
以上の連動機構16によれば、上流側走行面17aが伸縮する動作、下流側走行面23aが伸縮する動作、および上流脱気装置14における下側押部46が昇降する動作を、エンドシール装置13におけるシーラ38が昇降する動作に連動させられる。これにより、シール装置13が包装機10の中枢を占める。
【0063】
次に、包装機10の作用について図6〜図12に基づいて説明する。図6は、図2に示すVIAの方向に視たエンドシール装置13の一部断面図であり、シーラ37,38のボックスモーションの動作を説明する図である。具体的に、図6(A)は、シーラ37および38による包装材料YA1の挟込みの最中を示すが、この状態で所定時間(または距離)包装材料YA1と共に下流へ移動する。図6(B)は、シーラ37および38による包装材料YA1の挟込みが解除された状態を示す。図6(C)は、シーラ37および38が互いに最も離れた状態を示す。図6(D)は、シーラ37および38による包装材料YA1の挟込みの直前の状態を示す。
【0064】
図7は、第1の連動機構55の動きを説明する図である。図7(A)および図7(B)は、図6(A)および図6(B)にそれぞれ対応する。図8は、第1の連動機構55の動きを説明する図であり、図7に示す動きの続きを示す。図8(A)および図8(B)は、図6(C)および図6(D)にそれぞれ対応する。なお、図7および図8において、ベルト23が下方に迂回して下流側走行面23aを複数に分断している状態の図示は省略する。
【0065】
図9は、第2の連動機構56の動きを説明する図である。図9(A)および図9(B)は、図6(A)および図6(B)にそれぞれ対応する。図99は、第2の連動機構56の動きを説明する図であり、図9に示す動きの続きを示す。図10(A)および図10(B)は、図6(C)および図6(D)にそれぞれ対応する。図11は、包装機10の動きを概略的に説明する図である。図12は、包装機10の動きを詳細に説明する図である。図6〜図12では、図1と同様、左側を上流側とし、右側を下流側とする。
【0066】
エンドシール装置13は、図6(A)→図6(B)→図6(C)→図6(D)→図6(A)の順に繰り返し動作する。具体的に、モータ(図示省略)の動力によって、一対の回転円板41が水平軸回りに回転する。回転円板41は、下半分が上流側から下流側に進行し、かつ上半分が下流側から上流側に戻る向きに回転する。
【0067】
一対の回転円板41が水平軸回りに回転することによって、シーラ37が水平軸回りに公転する。シーラ37は、公転中心となる水平軸から下方において、上流側から下流側に進行し(図6(D)→図6(A)→図6(B)参照)、かつ水平軸から上方において、下流側から上流側に戻る(図6(B)→図6(C)→図6(D)参照)向きに公転する。公転中のシーラ37は、保持部39および保持部40間に掛け渡されたスライドバー(図示省略)によって、下方に向けた姿勢が保たれる。
【0068】
一対の回転円板41が水平軸回りに回転する一方、一対の回転円板42が水平軸回りの逆向きに回転する。回転円板42は、上半分が上流側から下流側に進行し、かつ下半分が下流側から上流側に戻る向きに回転する。
【0069】
一対の回転円板42が水平軸回りに回転することによって、シーラ38が水平軸回りに公転する。シーラ38は、公転中心となる水平軸から上方において、上流側から下流側に進行し(図6(D)→図6(A)→図6(B)参照)、かつ水平軸から下方において、下流側から上流側に戻る(図6(B)→図6(C)→図6(D)参照)向きに公転する。公転中のシーラ38は、不図示のスライドバーによって、上方に向けた姿勢が保たれる。
【0070】
以上のエンドシール装置13によれば、シーラ37および38で包装材料YA1を上下に挟み込んでエンドシールできると共にカットできる。エンドシール装置13は、包装材料YA1の流れにしたがって、シーラ37,38を上流側から下流側に進行させるから(図6(D)→図6(A)→図6(B)参照)、滑らかな流れで包装材料YA1を挟み込める。
【0071】
第1の連動機構55は、図7(A)→図7(B)→図8(A)→図8(B)→図7(A)の順に繰り返し動作する。具体的に、一対の回転円板42が水平軸回りに回転することによって、シーラ38(図2参照)を保持する保持部40が水平軸回りに公転する。保持部40は、公転中心となる水平軸から上方において、上流側から下流側に進行し(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)、かつ水平軸から下方において、下流側から上流側に戻る(図7(B)→図8(A)→図8(B)参照)向きに公転する。
【0072】
保持部40が水平軸回りに公転することによって、上流側プレート57を介して保持部40に取り付けられたカムフロア58が、水平軸回りに公転する。カムフロア58は、公転中心となる水平軸から上方において、上流側から下流側に進行し(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)、かつ水平軸から下方において、下流側から上流側に戻る(図7(B)→図8(A)→図8(B)参照)向きに公転する。
【0073】
カムフロア58が水平軸回りに公転することによって、カムフロア58をガイドするガイド部材59が上流側走行面17aの走行方向に進退する。ガイド部材59は、カムフロア58が、公転中心となる水平軸から上方に位置する場合、上流側から下流側に進行する(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)。また、ガイド部材59は、カムフロア58が、公転中心となる水平軸から下方であって下流側に位置する場合、略進退しない(図7(B)→図8(A)参照)。さらに、ガイド部材59は、カムフロア58が、公転中心となる水平軸から下方であって上流側に位置する場合、下流側から上流側に退行する(図8(A)→図8(B)参照)。
【0074】
ガイド部材59が上流側走行面17aの走行方向に進退することによって、ガイド部材59と一体となってローラ18〜20(図1参照)が進退し、上流側走行面17aが伸縮する。上流側走行面17aは、ガイド部材59およびローラ18〜20が一体となって、上流側から下流側に進行する場合、下流側に伸長する(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)。また、上流側走行面17aは、ガイド部材59およびローラ18〜20が一体となって略進退しない場合、略伸縮しない(図7(B)→図8(A)参照)。さらに、上流側走行面17aは、ガイド部材59およびローラ18〜20が一体となって、下流側から上流側に退行する場合、上流側に収縮する(図8(A)→図8(B)参照)。
【0075】
また、保持部40が水平軸回りに公転することによって、下流側プレート60を介して保持部40に取り付けられたカムフロア61が、水平軸回りに公転する。カムフロア61は、公転中心となる水平軸から上方において、上流側から下流側に進行し(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)、かつ水平軸から下方において、下流側から上流側に戻る(図7(B)→図8(A)→図8(B)参照)向きに公転する。
【0076】
カムフロア61が水平軸回りに公転することによって、カムフロア61をガイドするガイド部材62が下流側走行面23aの走行方向に進退する。ガイド部材62は、カムフロア61が、公転中心となる水平軸から上方に位置する場合、上流側から下流側に進行する(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)。また、ガイド部材62は、カムフロア61が、公転中心となる水平軸から下方に位置する場合、下流側から上流側に退行する(図7(B)→図8(A)→図8(B)参照)。
【0077】
ガイド部材61が下流側走行面23aの走行方向に進退することによって、ガイド部材62と一体となってローラ24〜30(図1参照)が進退し、下流側走行面23aが伸縮する。下流側走行面23aは、ガイド部材62およびローラ24〜30が一体となって、上流側から下流側に進行する場合、下流側に収縮する(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)。また、下流側走行面23aは、ガイド部位62およびローラ24〜30が一体となって、下流側から上流側に退行する場合、上流側に伸長する(図7(B)→図8(A)→図8(B)参照)。
【0078】
以上の第1の連動機構55によれば、上流側走行面17aが下流側に伸長する場合、下流側走行面23aが下流側に収縮し、上流側走行面17aおよび下流側走行面23aの間隔が一定に保たれる(図8(B)→図7(A)→図7(B)参照)。また、上流側走行面17aが略伸縮しない場合、下流側走行面23aが上流側に伸長し、上流側走行面17aおよび下流側走行面23aの間隔が近接する(図7(B)→図8(A)参照)。さらに、上流側走行面17aが上流側に収縮する場合、下流側走行面23aが、上流側走行面17aの収縮量と比較して少ない量だけ上流側に伸長し、上流側走行面17aおよび下流側走行面23aの間隔が離反する(図8(A)→図8(B)参照)。このように、第1の連動機構55によれば、シーラ37および38で包装材料YA1を上下に挟み込む際に、上流側走行面17aおよび下流側走行面23aの間隔が離反する(図8(A)→図8(B)参照)また、第1の連動機構55によれば、シーラ37および38による包装材料YA1の上下の挟込みを解除した後に、上流側走行面17aおよび下流側走行面23aの間隔が近接する(図7(B)→図8(A)参照)。
【0079】
第2の連動機構56は、図9(A)→図9(B)→図10(A)→図10(B)→図9(A)の順に繰り返し動作する。具体的に、一対の回転円板42が水平軸回りに公転する。保持部40は、公転中心となる水平軸から上方において、上流側から下流側に進行し(図10(B)→図9(A)→図9(B)参照)、かつ水平軸から下方において、下流側から上流側に戻る(図9(B)→図10(A)→図10(B)参照)向きに公転する。
【0080】
保持部40が水平軸回りに公転することによって、プレート63に取り付けられた昇降支持部材64が、水平軸回りに公転する。昇降支持部材64は、公転中心となる水平軸から上方において、上流側から下流側に進行し(図10(B)→図9(A)→図9(B)参照)、かつ水平軸から下方において、下流側から上流側に戻る(図9(B)→図10(A)→図10(B)参照)向きに公転する。
【0081】
固定支持部材48(図4参照)に支持された下側押部46は、昇降支持部材64が、公転中心となる水平軸の下方であって上流側を公転する場合(12時を0°とし時計回りに180〜270°の間)、すなわち、昇降支持部材64が、上昇すると共に上流側に退行する場合、昇降支持部材64と連動して上流側に退行すると共に、上昇する昇降支持部材64によって下方から押し上げられて上昇する(図10(A)→図10(B)参照)。
【0082】
また、下側押部46は、昇降支持部材64が、公転中心となる水平軸の上方であって上流側を公転する場合、すなわち、昇降支持部材64が、上昇すると共に下流側に進行する場合(270〜360°)、昇降支持部材64と一体となって下流側に進行すると共に、上昇する昇降支持部材64によって下方から押し上げられてさらに上昇する(図10(B)→図9(A)参照)。
【0083】
さらに、下側押部46は、昇降支持部材64が、公転中心となる水平軸の上方であって下流側を公転する場合(0〜90°)、すなわち、昇降支持部材64が、下降すると共に下流側に進行する場合、昇降支持部材64と一体となって下流側に進行すると共に、下降する(図9(A)→図9(B)参照)。
【0084】
そして、下側押部46は、昇降支持部材64が、公転中心となる水平軸の下方であって下流側を公転する場合(90〜180°)、すなわち、昇降支持部材64が、下降すると共に上流側に退行する場合、昇降支持部材64と一体となって下降して固定支持部材48(図4参照)に支持され、昇降支持部材64から離れる(図9(B)→図10(A)参照)。
【0085】
包装機10は、制御ユニットの制御下において、図11(A)→図11(B)→図11(A)の順に繰り返し連続的に動作する。具体的に、ベルトコンベア11におけるベルト17の走行中に筒状に製袋された包装材料YA1に包み込まれた食パンXA1が、エンドシール装置13において食パンXA1の下流側および上流側がエンドシールおよびカットがなされ、一個の包装品として、下流のベルトコンベア12に引き継がれる(製袋工程→下流横シール工程→・・・→上流横シール工程)。なお、包装体(包装袋)の上部をクロージャで結束するための結束代となる延長部分を形成するため、食パンXA1はある程度間隔をあけて包装材料YA1に供給される(図11(B)参照)。
【0086】
制御ユニットは、エンドシールするタイミングに関連させて、上流脱気装置14、膨張規制装置15、および下流脱気装置75を動作させる。具体的に、制御ユニットは、まず、図12(A)および図12(B)に示すように、膨張規制装置15を動作させて、包装材料YA1の外側から食パンXA1の上方および搬送方向に沿った左右側方に、当該食パンXA1との間に隙間を残しながらスポンジブロック52,81を近接状態にして包装材料YA1の移動範囲を制限して当該包装材料YA1がむやみに膨らむことを防止する(近接工程)。食パンXA1にスポンジブロック52,81が近接状態になることで、上流脱気装置14にて脱気する場合にその空気が下流側に生き難くなる。そして、制御ユニットは、下流脱気装置75を動作させる前に、図12(C)に示すように、上流脱気装置14の動作を開始させる(上流挟込工程の開始)。すなわち、制御ユニットは、膨張規制装置15のスポンジブロック52,81が近接状態となる食パンXA1より上流側で、包装材料YA1を下側押部46およびスポンジブロック49で上下に挟み込む上流挟込動作を開始させる。また、制御ユニットは、図12(D)に示すように、上流脱気装置14による上流挟込動作の最中に、下流脱気装置75を動作させて、膨張規制装置15のスポンジブロック52,81が近接状態となる食パンXA1の下流側から包装材料YA1に当接部75bを押し付けて、当該包装材料YA1内の空気を上流側に送る(下流押付工程)。なお、下流脱気装置75の動作を開始するタイミングは、できる限り遅いことが好ましく、上流脱気装置14による上流挟込動作が完了する直前であることがより好ましい。その後、制御ユニットは、図12(E)に示すように、下流脱気装置75の動作完了直後に、上流脱気装置14による上流挟込動作を完了させる(上流挟込工程の完了)。なお、制御ユニットは、上流脱気装置14の動作と同時に、エンドシール装置13を動作させて、包装材料YA1を幅方向にエンドシールおよびカットさせる(上流横シール工程)。
【0087】
エンドシールが終了すると、図12(F)に示すように、上下のシーラ37,38は離間し、上流脱気装置14、膨張規制装置15および下流脱気装置75は、待機位置に復帰する。それと同時にベルトコンベア11,12が近接することで、後続の食パンXA1がベルトコンベア11からベルトコンベア12へとスムーズに移載される。この一連の処理が連続的に繰り返し行われて、食パンXA1の包装品が次々と製造される。
【0088】
このように、包装機10によれば、包装材料YA1を上下に挟み込んでエンドシールするエンドシール装置13のタイミングに同期して昇降する上流脱気装置14が、包装材料YA1を上下に挟み込む。よって、包装材料YA1を物品の半分の高さ付近で挟み込む設定にすることで、包装材料YA1内の空気を効果的に抜けると共に、包装材料YA1の上側または下側の一方に異常な張力が作用することを避けることができ、包装材料YA1内の空気を抜く際に食パンXA1を潰さない。さらに、上流脱気装置14を、ベルトコンベア12の領域内に設けたから、ベルトコンベア11およびベルトコンベア12の間に設けるものと仮定した場合と比較して、ベルトコンベア11およびベルトコンベア12の間隔を広くする必要はない。その間隔を可能な限り狭く設定することで、ベルトコンベア11からベルトコンベア12への食パンXA1の引継ぎを滑らかな流れで行える。
【0089】
そして、食パンXA1の上方および搬送方向に沿った左右側方にスポンジブロック52,81を近接させるので、当該スポンジブロック52,81により、包装材料YA1が食パンXA1の上方や左右側方でむやみに膨らむことが防止できる。すなわち、食パンXA1の上方や左右側方に空気が留まることが防止できる。そして、スポンジブロック52,81と食パンXA1との間に隙間を残すので、当該食パンXA1の上方や左右側方において、当該食パンXA1と包装材料YA1との間に空気の流路が形成される。このため、食パンXA1の下流側から当接部75bを包装材料YA1に押し付けた場合に、食パンXA1の下流側に留まっている空気を、当該流路を介して上流に向けて送ることができる。結果、包装材料YA1内の空気を効果的に抜ける。
【0090】
このとき、流路における空気の流量に限りがあって、食パンXA1の下流側に留まっている空気を一気に排出することができないので、包装材料YA1を押し付ける当接部75bに当該包装材料YA1から反力が働く。このため、包装材料YA1は、一気に潰れることはなく除々に潰れる。結果、包装材料YA1に形成されているガゼット部などが捲れることはなく、当該包装材料YA1は、外観をきれいに保てる。このような効果は、食パンXA1にスポンジブロック52,81を近接状態にして当該食パンXA1と包装材料YA1との間に空気の流路が形成されることに起因するだけでない。すなわち、上流脱気装置14の動作によって包装材料YA1同士の間に流路が形成されることで、その効果は増大する。また、クロージャなどの結束部材で閉じる結束代を備えて一旦開いた封を開封可能とする態様に対応できる。
【0091】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0092】
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、形状、材質、向き、数量などは適宜変更できる。例えば、下側押部46の数量が挙げられる。
【0093】
あるいは、上記実施形態において、走行方向複数に分断された下流側走行面23aを、ベルトコンベア12のベルト23によって構成したが、食パンXA1を上流から下流に搬送できればよく、間隔を置いて配置される複数のローラによって構成してもよい。
【0094】
あるいは、上記実施形態において、食パンXA1の上流側で包装材料YA1を上下に挟み込む上流脱気手段として、下側押部46(スポンジシート47)と、スポンジブロック49と、のそれぞれが昇降する上流脱気装置14を備えるようにしたが、包装材料YA1の上方で昇降するスポンジブロックなどの部材のみを、ベルトコンベア12における下流側走行面23aに向けて下降させる上流脱気装置を備えるようにしてもよい。
【0095】
あるいは、上記実施形態において、スポンジで構成している部材を、ジャージで構成してもよい。
【0096】
あるいは、上記実施形態において、上方のスポンジブロック52もしくは左右側方の一対のスポンジブロック81のいずれか、またはこれらの両方が移動不能に固定されていてもよい。
【0097】
あるいは、上記実施形態において、あらかじめ袋状に製袋された包装材料を用いるようにしてもよい。すなわち、あらかじめ一枚ずつ製造された包装袋に食パンXA1を詰め、口(開口部)を上流に向けた状態でエンドシール装置13へと搬送し、エンドシール装置13において口を幅方向にシールし密封するものでもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 包装機
11,12 ベルトコンベア
13 エンドシール装置
14 上流脱気装置
15 膨張規制装置
16 連動機構
17 ベルト
17a 上流側走行面
17b 戻り面
18〜21 ローラ
23 ベルト
23a 下流側走行面
23b 戻り面
24〜34 ローラ
37,38 シーラ
39,40 保持部
39a,40a スライダ
41,42 回転円板
41a,42a 切欠き溝
41b,42b 回転軸
44 下部脱気装置
45 上部脱気装置
46 下側押部
47 スポンジシート
48 固定支持部材
49 スポンジブロック
50 シリンダ
52 スポンジブロック
53 シリンダ
55 第1の連動機構
56 第2の連動機構
57 上流側プレート
58 カムフロア
59 ガイド部材
59a 溝
60 下流側プレート
61 カムフロア
62 ガイド部材
62a 溝
63 プレート
64 昇降支持部材
64a 切欠き
71 側板
71a カム溝
72,73 カムフロア
75 下流脱気装置
75a 支持アーム
75b 当接部
81 スポンジブロック
82 シリンダ
XA1 食パン
YA1 包装材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包装材料を物品の搬送方向に連続供給して筒状に製袋しながら内部に物品を供給し、該物品の搬送方向下流側に次いで上流側で該包装材料を幅方向に横シール及びカットすることで前記物品を包装する包装方法において、
前記物品の下流側で横シールする下流横シール工程後、前記包装材料の膨張を規制する規制手段を、前記包装材料を挟んで前記物品の上面及び左右両側面に対向させ、且つ前記物品との間に隙間を残しながら近接状態とする近接工程と、
前記規制手段が近接している前記包装材料に対し、下流側から下流脱気手段を押し付けて包装材料内の空気を、前記物品の上流側で行う横シールの予定位置よりも上流側へ押し出す下流押付工程と、
前記下流押付工程後、前記物品の上流側で横シールおよびカットする上流横シール工程に移行することを特徴とする、包装方法。
【請求項2】
物品を内包した包装袋を搬送し、開口部を幅方向に横シールして包装する包装方法において、
前記開口部を搬送方向上流に向けて搬送される前記包装袋に対して、該包装袋の膨張を規制する規制手段を、前記包装袋を挟んで前記物品の上面及び左右両側面に対向させ、且つ前記物品との間に隙間を残しながら近接状態とする近接工程と、
前記規制手段が近接している前記包装袋に対し、下流側から下流脱気手段を押し付けて包装袋内の空気を前記開口部から押し出す下流押付工程と、
前記下流押付工程後、前記包装袋の前記開口部を横シールする上流横シール工程に移行することを特徴とする、包装方法。
【請求項3】
前記上流横シール工程までに前記物品と前記上流横シール工程における横シールの予定位置との間を、上流脱気手段によって隙間を残しつつ上下に挟み込む上流挟込工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の包装方法。
【請求項4】
前記上流横シール工程は、前記上流挟込工程と同時に行われることを特徴とする、請求項3記載の包装方法。
【請求項5】
前記物品は、食パンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の包装方法。
【請求項6】
連続供給される帯状の包装材料を、搬送されてくる物品を包み込みながら筒状に製袋する製袋手段と、
前記物品の上流側及び下流側において前記包装材料を幅方向に横シール及びカットする横シール手段と、を備え、
前記横シール手段の前記物品の搬送方向下流には、
前記包装材料を挟んで、内包されている前記物品の上面及び左右両側面に対向し、且つ該物品との間に隙間を残しながら近接状態となることで前記包装材料の膨張を規制する規制手段と、
前記包装材料に対し下流側から押し付けて、包装材料内の空気を前記横シール手段の上流側へ押し出す下流脱気手段と、を備えることを特徴とする、包装機。
【請求項7】
物品を内包した包装袋を、開口部を上流に向けて搬送する搬送面と、
前記開口部を幅方向に横シールする横シール手段と、を備え、
前記横シール手段の前記物品の搬送方向下流には、
前記包装袋を挟んで、内包されている前記物品の上面及び左右両側面に対向し、且つ該物品との間に隙間を残しながら近接状態となることで前記包装袋の膨張を規制する規制手段と、
前記包装袋に対し下流側から押し付けて、包装袋内の空気を前記横シール手段の上流側へ押し出す下流脱気手段と、を備えることを特徴とする、包装機。
【請求項8】
前記横シール手段と前記規制手段との間にあって、前記物品の上流側で、隙間を残しつつ前記包装材料を上下に挟み込む上流脱気手段を備えることを特徴とする、請求項6または7記載の包装機。
【請求項9】
前記物品が食パンであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−103750(P2013−103750A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249482(P2011−249482)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】