説明

包装箱の備品収納構造

【課題】保冷材その他の備品を容易に収容保持可能な包装箱の備品収納構造を提供する。
【解決手段】本発明の包装箱の備品収納構造は、正方形又は長方形の底板2の各辺に折曲げ起伏可能に周壁3a,3b,6a,6bを連設し、いずれかの周壁3a,3b,6a,6bの上端に天板4を連設するとともに周壁の一部を開閉可能に連設して開口部を設けた立方体又は直方体状の包装箱において、開口部の開閉蓋を構成する周壁を底板2と天板4のいずれか一方に連設した内蓋9aと、他方に設けた外蓋6aとで構成し、閉蓋状態の内蓋9aと外蓋6aとの間に保冷材51又はその他の備品を収納する空間からなる予備スペースSを形成している。
そして予備スペースSの側面視断面形状が三角形を形成するように、内蓋9aの高さ方向の寸法を外蓋6aの高さ方向の寸法より長く設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はケーキ等の収容物を収容する包装箱に関し、特に保冷材やローソク,表示プレートその他の付属品等を収容する包装箱の備品収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の保冷材等を収容する包装箱の備品収納構造としては、包装箱の内部に立設した仕切壁によって備品収容部を形成するもの(特許文献1参照)や、前壁の上端に連設された皿箱状の保冷底部によって包装箱の上方に皿状の保冷材の収納空間を形成するもの(特許文献2参照)のほか、前壁の上端に連設された折返しフラップを内側に折り返すことによって前壁と折返しフラップとの間に備品収容スペースを形成するものが知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−315024号公報(図2)
【特許文献2】特開平8−200914号公報(図3)
【特許文献3】特開2005−200023号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記特許文献1の備品収容部は、備品収容部を使用する場合は、常に仕切壁を立設して備品収容部を形成しているので、ケーキを出し入れする際に仕切壁の起立保持手段や仕切壁にケーキが接触してケーキが損傷するという問題があった。
【0004】
特許文献2の備品収容部は、上部開放型の包装箱であるので円筒形状のケーキの包装には不向きであるほか、小片形状のケーキを収納したとしてもケーキの出し入れ時にそのケーキを損傷するという問題があった。
また備品収容部が箱の上方にあるので保冷材によって発生した結露水がケーキに落下するという問題があるほか、備品収容部が保冷底部とその各辺に連設された周壁とで形成された皿箱状であるので、紙の原材料が余分に必要であり、コスト高となっていた。
【0005】
特許文献3の備品収容部は、前壁に連設された折返しフラップを前壁内面に折り返すことにより、前壁内面に備品収容部を形成しているので、箱組み時に外蓋である前壁が撓み、前壁の両側に隙間が形成されて、冷気の漏れが生じるほか、外観上も問題があった。
この発明は、これらの課題を解決又は改善し、ケーキを傷つけずに出し入れができ、原材料を節約して廉価に製造できるとともに、保冷材による結露水のケーキへの付着を防止できる包装箱の備品収納構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の包装箱の備品収納構造は、第1に、正方形又は長方形の底板2の各辺に折曲げ起伏可能に周壁3a,3b,6a,6bを連設し、いずれかの周壁3a,3b,6a,6bの上端に天板4を連設するとともに周壁の一部を開閉可能に連設して開口部を設けた立方体又は直方体状の包装箱1であって、上記開口部の開閉蓋を構成する周壁を底板2と天板4のいずれか一方に連設した内蓋9aと、他方に設けた外蓋6aとで構成し、閉蓋状態の内蓋9aと外蓋6aとの間に保冷材51又はその他の備品を収納する空間からなる予備スペースSを形成させたことを特徴としている。
【0007】
第2に、予備スペースSの側面視断面形状が三角形を形成するように、内蓋9aの高さ方向の寸法h2を外蓋6aの高さ方向の寸法h1より長くしたことを特徴としている。
【0008】
第3に、内蓋9aを天板4の開口端に連設し、底板2側に内蓋9aの内側への移動を定位置で規制する規制部を設けたことを特徴としている。
【0009】
第4に、規制部が蓋部に隣接する周壁3b下端に連設され、底板2の端部に接着固定される接着片17の開口端側の端部であることを特徴としている。
【0010】
第5に、規制部が底面上に載置されるケーキ用トレイ41の開口端側端部であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上の如く構成される本発明の包装箱の備品収納構造によれば、以下のような効果を奏するものである。
(1)保冷材を収納する予備スペースが周面側に設けられているので、保冷材による結露水のケーキ側への落下が防止できるほか、予備スペースを周面側に設けてケーキを出し入れする際は予備スペースを形成する内蓋と外蓋とを開蓋状態に保っているので、ケーキを損傷させることなく出し入れすることができる。
【0012】
(2)外蓋を撓ませることなく保冷材を保持できるので、予備スペースの両側に隙間が形成されず、冷気の漏れを防ぐほか、前壁を撓みのない外観デザインにすることができる。
【0013】
(3)予備スペースを箱皿状に形成する必要がないので、箱皿の周壁の一部が不要となり、紙の原材料を節約することができる。また予備スペースを側面視で三角形の断面にして強度を高めることができるので、開閉蓋による周壁強度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。図1は箱組み後の斜視図,図2,3は箱の組立途中を示す斜視図,図4は外面展開図を示している。
【0015】
包装箱1は、正方形又は長方形の底板2の左端部から左側壁3a,天板4,右側壁3bそれぞれが順に折曲げ可能に連設され、底板2には外蓋として前後壁6a,6bが、左側壁3a及び右側壁3bの前端には前端フラップ7a,7bが、後端には後端フラップ8a,8bが折曲げ可能に連設されている。
【0016】
天板4には内蓋として内前後壁9a,9bが折曲げ可能に連設され、前後部の開口部の開閉蓋は、前後壁(外蓋)6a,6bと内前後壁(内蓋)9a,9bとで構成されている。この例では、周壁は側壁3a,3bと前後壁6a,6b等によって構成される。
【0017】
前後壁6a,6bの先端には係止片11a,11bが連設され、天板4と内前後壁9a,9bの折目には係止孔12a,12bが形成されている。また天板4には、該天板4の一部をU字型に切り取った一対の把手13が設けられている。
【0018】
把手13により切残し形成された切残し孔14は、例えば天板4の内側から透明樹脂シート等を貼着することにより該切残し孔14を閉塞し、塵やゴミ等の侵入を防止するとともに、ケーキ等の内容物を見ることが可能な窓とすることもできる。
【0019】
底板2の右端部には接着代16aが設けられ、該接着代16aに対応する接着代16bを備えた接着片17が右側壁3bの下端部に折曲げ可能に連設され、該接着片17の前端に切欠部18が形成されている。
【0020】
内前壁(内蓋)9aには冷気の通り道として通気孔19が穿設され、内前壁9aの先端には底板2に当接して内前壁9aの起立を保持する帯状の当接フラップ21が折曲げ可能に連設されている。該当接フラップ21の連設折目の右端部には切込22が、略中央にはU字型の切込23がそれぞれ形成されている。
【0021】
以上のように構成される本包装箱の箱組みは、底板2に設けられた接着代16aに対し、右側壁3b下端に連設された接着片17の接着代16bを接着固定し、折畳まれて平板状に形成され、平板状のまま店頭の現場へ納品される構成となっている。
【0022】
店頭等の現場では平板状の包装箱1の左右側壁3a,3bを底板2に対して略直角方向に折り曲げて起立させる。そして後端フラップ8a,8bを内側にアングル状に折曲げ、次に内後壁(内蓋)9bを下方にアングル状に折り曲げ、後壁6bを上方にアングル状に折り曲げて、後壁6b上端に連設された係止片11bを係止孔12bに挿入係止して後部の開口部を閉蓋する。
【0023】
次に前部の開口部の閉蓋および保冷材51等の備品を収納する予備スペースSの形成方法について説明する。図2に示すように前部の開口時にケーキを載せたケーキ用トレイ41を底板2上に載置する。そして図2,3,5に示すように、内前壁9aに連設された当接フラップ21を外向きに折曲げながら内前壁9aを下向きに内側に折り曲げる。
【0024】
当接フラップ21の右端には切込22が形成されているので、当接フラップ21を外向きに折り曲げると、後方(包装箱内部側)に突起部24が突出形成される。そして内前壁9aを内側に折り曲げて当接フラップ21を底板2に当接させた際に、該突起部24を上記接着片17の切欠部18に当接して係止することにより、内前壁9aの内側への移動を規制する構成となっている。
【0025】
図4に示すように、内前壁9aの高さ方向の寸法h2は前壁6aの高さ方向の寸法h1より長く設定されている(h2>h1)ので、内前壁9aを内側に折り曲げた際は、図5に示すように内前壁9aと前端フラップ7a,7bや前壁6aとで形成される予備スペースSは側面視断面形状が三角形となっている。
【0026】
また当接フラップ21の連設折目の略中央にはU字型の切込23が形成されているので、当接フラップ21を外向きに折り曲げることによって孔26が切残し形成される。この例では、孔26はケーキ用トレイ41の摘み部42を挿通する孔として用いられている。底板2上にケーキ用トレイ41を載置することにより、上記の突起部24と切欠部18とが内前壁9aの内側への移動を規制する規制部であるとともに、底板2上に載置したケーキ用トレイ41も規制部とすることもできる。
【0027】
図3に示すように底板2上に当接した当接フラップ21上に、保冷材51を載置し、前端フラップ7a,7bを内側にアングル状に折り曲げて、前壁6aを上方にアングル状に折り曲げて、内前壁(内蓋)9aと前端フラップ7a,7b又は前壁(外蓋)6aとの間に保冷材その他の備品を収容する予備スペースSを形成する。そして前壁6a上端に連設された係止片11aを係止孔12aに挿入係止して前部の開口部を閉蓋して箱組みを完成させる。
【0028】
ケーキ等の内容物を包装箱から取り出す場合は、係止孔12aから係止片11aを外して前壁6aを下向きに折り曲げ、前端フラップ7a,7bを外向きに折り曲げて、予備スペースSから保冷材51その他の備品を取り除き、内前壁9aを上方にアングル状に折り曲げた状態で保持しながら、包装箱1内のケーキをケーキ用トレイ41とともに取り出す。
【0029】
以上のように構成される本発明の包装箱の備品収納構造は、上記態様に限らず内後壁9bに通気孔を形成してその先端に当接フラップを連設することにより後部の開口部にも予備スペースを形成することができる。また内蓋を底板に連設して、外蓋を天板に連設して予備スペースを形成することもできる。その他、内蓋に形成された通気孔の形状等のその他の形状は上記態様に限らず他の形状にすることが可能であり、通気孔の数も包装箱のサイズに応じて自由に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本包装箱の箱組み完成状態を示す斜視図である。
【図2】本包装箱の内蓋と外蓋の開蓋状態を示す斜視図である。
【図3】本包装箱の内蓋の閉蓋状態を示す斜視図である。
【図4】本包装箱の外面展開図である。
【図5】本包装箱の予備スペースの形成過程を示す側面断面図であり、(A)内蓋の閉蓋前と(B)内蓋の閉蓋後に前端フラップを内側に折り曲げた状態を示している。
【符号の説明】
【0031】
1 包装箱
2 底板
3a 左側壁(周壁)
3b 右側壁(周壁)
4 天板
6a 前壁(周壁・外蓋)
6b 後壁(周壁・外蓋)
9a 内前壁(周壁・内蓋)
9b 内後壁(周壁・内蓋)
17 接着片
41 ケーキ用トレイ
51 保冷材
S 予備スペース
1 寸法
2 寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方形又は長方形の底板(2)の各辺に折曲げ起伏可能に周壁(3a),(3b),(6a),(6b)を連設し、いずれかの周壁(3a),(3b),(6a),(6b)の上端に天板(4)を連設するとともに周壁の一部を開閉可能に連設して開口部を設けた立方体又は直方体状の包装箱(1)であって、上記開口部の開閉蓋を構成する周壁を底板(2)と天板(4)のいずれか一方に連設した内蓋(9a)と、他方に設けた外蓋(6a)とで構成し、閉蓋状態の内蓋(9a)と外蓋(6a)との間に保冷材(51)又はその他の備品を収納する空間からなる予備スペース(S)を形成させた包装箱の備品収納構造。
【請求項2】
予備スペース(S)の側面視断面形状が三角形を形成するように、内蓋(9a)の高さ方向の寸法(h2)を外蓋(6a)の高さ方向の寸法(h1)より長くした請求項1の包装箱の備品収納構造。
【請求項3】
内蓋(9a)を天板(4)の開口端に連設し、底板(2)側に内蓋(9a)の内側への移動を定位置で規制する規制部を設けた請求項1又は2の包装箱の備品収納構造。
【請求項4】
規制部が蓋部に隣接する周壁(3b)下端に連設され、底板(2)の端部に接着固定される接着片(17)の開口端側の端部である請求項3の包装箱の備品収納構造。
【請求項5】
規制部が底面上に載置されるケーキ用トレイ(41)の開口端側端部である請求項3又は4の包装箱の備品収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−207819(P2008−207819A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44294(P2007−44294)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(391064197)株式会社パッケージ中澤 (3)
【Fターム(参考)】