説明

包装箱及び包装体

【課題】パッキングケース3の外側上蓋フラップ35の上面凹部35c内に取っ手取り出し孔35dを開口することにより、この取っ手取り出し孔35dを通して取っ手2を常に露出させると共に、パッキングケース3の積載時の邪魔にならないようにすることができる包装箱及び包装体を提供する。
【解決手段】蓋板1bの上に取っ手2を取り付けた鉛蓄電池1を収納して包装する筐体状のパッキングケース3において、外側上蓋フラップ35の一部に、この外側上蓋フラップ35の上面の平坦面よりも窪んだ上面凹部35cが形成されると共に、この上面凹部35c内に、鉛蓄電池1の取っ手2を露出させるためにパッキングケース3内部に開口する取っ手取り出し孔35dが形成された構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に収納物の保管や運搬の際に傷付いたりや汚れが付着するのを防止するための包装箱及び包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば図5に示すような自動車用の鉛蓄電池1は、質量が大きいので、持ち運びを容易にするために、取っ手2を取り付けることがある。また、このような鉛蓄電池1を段ボール紙製のパッキングケースに収納する場合には、このパッキングケースの上端開口部を塞ぐ上蓋フラップに設けた開口部から取っ手2を取り出して、パッキングケースごと持ち運ぶことができるようにするのが一般的である。
【0003】
ここで、剛性を有するプラスチック製の取っ手を鉛蓄電池の蓋板の上部に回転自在に取り付け、パッキングケースの上蓋フラップに設けた開口部からこの取っ手を突出させることができるようにしたものが従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。そして、この場合には、取っ手を回転させて寝かせておけば、上蓋フラップの開口部から突出しないようにすることができるので、パッキングケースを積み上げるようなときに、この取っ手が邪魔になるようなことがなくなるという利点を有する。しかしながら、取っ手の出し入れのたびに、一旦パッキングケースの上蓋フラップを開かなければならないので、積み上げたパッキングケースを1個ずつ取っ手を持って別の場所に運び積み替えるような作業の際に、この取っ手の出し入れが面倒になるという欠点があった。
【0004】
このため、ある程度可撓性のある樹脂成形品からなる取っ手を鉛蓄電池の蓋板の上部に取り付け、パッキングケースの上蓋フラップに設けた観音開き状の開口部からこの取っ手を取り出すことができるようにしたものも従来からあった(例えば、特許文献2参照。)。また、この取っ手を持ちやすくすると共に高級感を出すために、樹脂製等の繊維を織って作製した柔軟性のある取っ手を鉛蓄電池の蓋板の上部に取り付け、パッキングケースの上蓋フラップに設けた切り込み状の開口部を開いてこの取っ手を取り出すことができるようにしたものも従来からあった(例えば、特許文献3参照。)。これらの場合には、持ち運び時に取っ手を開口部から引き出し、積載時には取っ手を開口部からパッキングケース内部に押し込めばよいので、この取っ手の出し入れが比較的容易になる。
【0005】
ところが、このようにパッキングケースの上蓋フラップに設けた開口部から取っ手を出し入れ自在とした場合には、取っ手の収納時にこの取っ手が外部から見えないために、知らずに利用されないことがあり、鉛蓄電池のユーザに取っ手付きの商品であることをアピールすることができないという問題があった。
【0006】
しかも、取っ手の出し入れが比較的容易になったとはいっても、やはり大量のパッキングケースの運搬時等には、取っ手をいちいち出し入れする作業が面倒なものとなるので、この取っ手を開口部から引き出した状態のままパッキングケースを積み上げることがあり、また、この取っ手を内部に確実に納め切れないままとなることもあり、これらの場合に、外部に引き出されたままの取っ手が上のパッキングケースの底面との間に挟まって、積み荷が不安定となり荷崩れを生じるおそれがあるという問題も生じていた。
【0007】
さらに、パッキングケースの開口部は、段ボール紙を切断したエッジが露出するので、ここに素手を差し入れて取っ手の出し入れを行うと、指や手の甲等がこすれて傷つくおそれがあり、ユーザが不快な思いをしたり、取っ手の出し入れをためらうことになるという問題もあった。
【特許文献1】特開昭62−66562号公報
【特許文献2】特許第2956357号公報
【特許文献3】実開平7−7066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、包装箱の筐体上面の窪んだ上面凹部内に取っ手取り出し孔を開口することにより、この取っ手取り出し孔を通して取っ手を常に露出させると共に、積載時の邪魔にならないようにすることができる包装箱及び包装体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の包装箱は、上部に取っ手を備えた収納物を収納して包装する筐体状の包装箱において、筐体上面の一部に、この上面の平坦面よりも窪んだ上面凹部が形成されると共に、この上面凹部内に、収納物の取っ手を露出させるために筐体内部に開口する取っ手取り出し孔が開口されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の包装体は、上部に取っ手を備えた電池と、請求項1に記載の包装箱とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、収納物の上部の取っ手が包装箱の筐体上面に形成した上面凹部内の取っ手取り出し孔を通して外部に露出するので、搬送時等にこの取っ手を利用できることをユーザが一目で分かるようになる。しかも、ユーザは、この取っ手取り出し孔に露出した取っ手を手で持つだけでよいので、開口部から引き出す等の作業が不要になるだけでなく、この引き出し時に素手が傷つくようなおそれもなくなる。さらに、この取っ手は、使い終われば手を離すだけで、上面凹部内に簡単に収納できるので、包装箱を積み上げたとしても、この取っ手が間に挟まって積み荷が傾き不安定になるようなおそれもなくなる。
【0012】
なお、請求項1の上面凹部は、例えば筐体上面における向かい合う両端辺間に形成された断面逆台形の溝状であり、この溝状の溝長方向の中央部に、この溝状の底部から両側部にかけて長孔状の取っ手取り出し孔が開口された構成とすることができる。このような構成によれば、筐体上面の平面状の板材を凹状に折り曲げるだけで溝状の上面凹部を形成することができ、取っ手取り出し孔も、この板材の打ち抜きだけで形成することができるので、段ボール紙を用いたパッキングケース等でも容易に包装箱を作製することができるようになる。
【0013】
請求項2の発明によれば、質量の大きい電池をパッキングケース等に収納して手で持ち運ぶことが多い包装体として最適なものを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。なお、これらの図においても、図5に示したものと同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0015】
本実施形態は、自動車用の鉛蓄電池1を収納する段ボール紙製のパッキングケース3について説明する。鉛蓄電池1は、図3に示すように、樹脂製の電槽1aの上端開口部に樹脂製の蓋板1bを熱溶着したものである。蓋板1bには、左右で向かい合う短辺側の両端中央部にそれぞれ取っ手2を取り付けるための取付部1c、1cが形成されている。また、この蓋板1bの上面からは、正負極の端子1d、1dが上方に突出している。ただし、この蓋板1bの上面は、これらの端子1d、1dが突出する以外はほぼ平坦であり、注液栓1e…も、蓋板1bの上面から突出することがないように埋め込まれて取り付けられ、フラットタイプの鉛蓄電池1となっている。
【0016】
取っ手2は、ポリエステル繊維を織った厚布状の帯材であり、長尺方向となる左右の両端にそれぞれ剛性の高い係止杆2a、2aが固着されている。そして、これらの係止杆2a、2aを蓋板1bの取付部1c、1cに係止することにより、取っ手2の中央部の持ち手部分が鉛蓄電池1の蓋板1bの上面の上に取り付けられるようになっている。従って、この取っ手2は、ポリエステル繊維の織物によって十分な引っ張り強度は有するが、極めて高い柔軟性を有しているので、自由状態では、図3に示すように、蓋板1bの上に垂れて載置された状態となる。ただし、この取っ手2は、鉛蓄電池1を自動車に装着して使用するときには不要となるので、係止杆2a、2aを取付部1c、1cから外すことにより容易に取り去ることができる。
【0017】
上記鉛蓄電池1を収納するパッキングケース3は、図1及び図2に示すように、1枚の段ボール紙を所定形状に抜き加工して組み立てたものであり、底面と四方の側面31〜34とを有する筐体状の包装箱である。四方の側面31〜34は、左右で向かい合って直立する短辺側の一対の側面31、32と、これらに直交して隣接し、前後で向かい合って直立する長辺側の一対の側面33、34とからなる。なお、このパッキングケース3の底面は、図では隠れているが、4枚の側面31〜34の下端からそれぞれ突設された底フラップを折り曲げて、互いに組み合わせたり、テープや金具で固定する等の任意の構造により、重い鉛蓄電池1を収納して持ち上げても底が抜けることがないようになっている。
【0018】
このパッキングケース3の短辺側の側面31、32の上端からは、それぞれ外側上蓋フラップ35、36が突設されている。また、長辺側の側面33、34の上端は、左右の中央部が逆台形に窪んだ形状をなし、これによって折れ線状となった上端からそれぞれ内側上蓋フラップ37…が突設されている。これらの内側上蓋フラップ37…は、長辺側の側面33、34の折れ線状の上端と繋がって切り出された段ボール紙片であり、これらの側面33、34の上端で内側に直角に折り曲げられて四方の側面31〜34の上端開口部の一部を覆うようになっている。
【0019】
外側上蓋フラップ35、36は、短辺側の側面31、32の上端と繋がって切り出されたほぼ方形の段ボール紙片であり、これらの側面31、32の上端(図2に示す折り曲げ線A、B)で内側に直角に折り曲げられて四方の側面31〜34の上端開口部を、内側上蓋フラップ37の上に重ねて覆うようになっている。また、これらの外側上蓋フラップ35、36は、先端の前後の中央部に切り込み35a、36aが形成されると共に、四方の側面31〜34の上端開口部を覆ったときにこれらの先端部が下方を向くように折れ曲げられて差し込み片35b、36bが形成されている。さらに、右側の側面31と繋がった外側上蓋フラップ35は、左側の側面32と繋がった外側上蓋フラップ36よりも長く突出するように切り出されている。そして、これらの外側上蓋フラップ35、36は、差し込み片35b、36bを除く、短辺側の側面31、32の上端から突出する突出長さの合計が、長辺側の側面33、34の折れ線状の上端の各辺に沿った長さとほぼ一致するようになっている。
【0020】
上記右側の側面31と繋がった外側上蓋フラップ35は、差し込み片35bを除く先端部がさらに繰り返し折り曲げられて、断面逆台形の上面凹部35cが形成されている。そして、この上面凹部35cは、図1に示すように、外側上蓋フラップ35が四方の側面31〜34の上端開口部を覆った状態となった際に、長辺側の側面33、34の上端の逆台形に窪んだ形状に沿うことにより、前後方向の溝状となる。また、この外側上蓋フラップ35の上面凹部35c内には、前後方向(溝長方向)の中央部に、この上面凹部35cの底部から左右両側部にかけて長孔状となる取っ手取り出し孔35dが開口されている。
【0021】
上記構成のパッキングケース3は、外側上蓋フラップ35、36と内側上蓋フラップ37…を全て上向きにして四方の側面31〜34の上端開口部が開いた状態とし、上方から鉛蓄電池1を挿入することにより内部に収納する。そして、まず全ての内側上蓋フラップ37を長辺側の側面33、34の上端で折り曲げて図2に示した状態する。次に、外側上蓋フラップ35、36を短辺側の側面31、32の上端で折り曲げると共に、これらの外側上蓋フラップ35、36の差し込み片35b、36bを重ね合わせて、隣り合う内側上蓋フラップ37…の間に差し込むことにより、図1に示したように、鉛蓄電池1を収納して包装したパッキングケース3の組み立てを完了する。
【0022】
上記パッキングケース3は、外側上蓋フラップ35における上面凹部35cの底部が、内側上蓋フラップ37、37を介して鉛蓄電池1の蓋板1bの上面にほとんど隙間なく接するようになっている。また、鉛蓄電池1の蓋板1bの上面に垂れて載置された取っ手2は、パッキングケース3の組み立ての際に、この上面凹部35c内の取っ手取り出し孔35dに対応するような位置、即ち前後方向の中央部に載置しておく。すると、この取っ手2は、上面凹部35cの底部の下にもぐり込むようなことがなく、常に取っ手取り出し孔35dに露出するので、ユーザが鉛蓄電池1をパッキングケース3に収納したまま搬送する際にも、この取っ手2を利用できることが一目で分かるようになる。また、この鉛蓄電池1を搬送しようとするユーザは、取っ手取り出し孔35dの開口縁部に触れることなく、又は、多少触れる程度で、取っ手2を摘み容易に持ち上げることができるので、この取っ手取り出し孔35dの内部に手を差し込んで段ボール紙のエッジによりこすれるようなことがないため、素手が傷つくようなおそれもなくなる。なお、外側上蓋フラップ35、36の先端の切り込み35a、36aは、取っ手2を持ち上げたときに、差し込み片35b、36bがこの取っ手2によって上方に押し戻されるのを防ぐためのものである。
【0023】
また、ユーザが搬送を終えて手を離すと、ほとんど意識しなくても、取っ手2が上面凹部35c内に収納されるので、搬送して来た複数のパッキングケース3を上下に積み上げたときに、この取っ手2がパッキングケース3の底面と外側上蓋フラップ35、36との間に挟まって、積み荷が傾き不安定になるようなおそれもなくなる。なお、従来のパッキングケース3では、正負極の端子1d、1dが突出した部分を除けば、内部に収納された鉛蓄電池1の蓋板1bの上方に空間が生じることになる。従って、このようなパッキングケース3を上下に積み上げると、この蓋板1bの上方の空間が押し潰されてパッキングケース3が破損するだけでなく、荷崩れを生じるおそれもある。しかしながら、本実施形態のパッキングケース3では、外側上蓋フラップ35に形成された上面凹部35cの底部が鉛蓄電池1の蓋板1bの上面にほとんど接するようになるため、この上面凹部35cの傾斜した側部がリブとして機能することにより、蓋板1bの上方の空間が押し潰されるのを防ぐことができるようになる。また、この際、外側上蓋フラップ35、36の先端部の差し込み片35b、36bも、同様にリブとして機能するようになる。
【0024】
なお、上記実施形態では、段ボール紙製のパッキングケース3について説明したが、その他の紙材料や樹脂材料等を用いた包装箱にも同様に実施可能である。
【0025】
また、上記実施形態では、複数枚の内側上蓋フラップ37…と2枚の外側上蓋フラップ35、36でパッキングケース3の上面を構成する場合を示したが、この筐体上面は、上面凹部35c以外の部分がほぼ平坦な水平面を形成すればよく、そのための構成は任意である。例えば、図4に示すように、複数枚(図4では2枚)の内側上蓋フラップ37、37と1枚の外側上蓋フラップ35のみで上面を構成することもでき、内側上蓋フラップ37を全く用いない構成とすることも可能である。さらに、上記実施形態では、短辺側の側面31、32の上端から外側上蓋フラップ35、36を突出させると共に、長辺側の側面33、34の上端から内側上蓋フラップ37…を突出させる場合を示したが、これら短辺側と長辺側の側面31〜34を逆にすることもでき、短辺と長辺の区別のない幅の等しい側面31〜34とすることもできる。
【0026】
また、上記実施形態では、溝状の上面凹部35cを示したが、この上面凹部35cは、外側上蓋フラップ35、36等で構成される筐体上面の一部が、この上面の平坦面よりも窪んだ部分であればよいので、必ずしも溝状である必要はない。例えば、図4に示したように、外側上蓋フラップ35の前後左右の中央部に窪み穴状の上面凹部35cを形成することもできる。樹脂製の包装箱であれば、樹脂板からなる外側上蓋フラップ35に樹脂成形によってこのような窪み穴状の上面凹部35cを容易に形成することができる。しかし、段ボール紙製のパッキングケース3の場合には、このように1枚の外側上蓋フラップ35の中央部に窪み穴状の上面凹部35cを形成することは困難であるため、2枚の外側上蓋フラップ35、36の双方の先端部を組み合わせて窪み穴状の上面凹部を形成するようにしてもよい。さらに、樹脂材料以外の段ボール紙製等のパッキングケース3の場合には、この段ボール紙等からなる外側上蓋フラップ35、36に、樹脂成形によって溝状や窪み穴状等の上面凹部35cを形成した樹脂板を貼り付けたり組み付けるようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、上面凹部35cの底部が平坦面である場合を示したが、この上面凹部35c内の凹状の形状は任意であり、例えば半球状の凹部であってもよい。
【0027】
また、上記実施形態では、上面凹部35cの底部が鉛蓄電池1の蓋板1bの上面にほとんど隙間なく配置される場合を示したが、この底部は蓋板1bの上に隙間を介してある程度上方に配置されていてもよい。例えば、取っ手取り出し孔35dが十分に幅広のものであれば、蓋板1bの上の取っ手2がこの外側上蓋フラップ35の開口面よりも多少下方にあっても十分に露出するので、手で取っ手2を容易に摘み上げることができるからである。
【0028】
また、上記実施形態では、取っ手取り出し孔35dが幅の一定な長孔である場合を示したが、例えば左右の中央部の幅を狭くして、取っ手2がこの中央部の幅の狭い部分の上方に配置されるようにしてもよい。このようにすれば、取っ手2を摘まみ上げることがさらに容易になり、しかも、上記のように、上面凹部35cの底部が蓋板1bの少し上方に配置されている場合には、取っ手2がこの底部の下にもぐり込んで、取っ手取り出し孔35dに露出しなくなるのを確実に防ぐことができるようになる。さらに、取っ手取り出し孔35dの左右中央部の幅を狭める代わりに、例えば左右両端部付近に突起状の係止部を設けて、これらの係止部に取っ手2を係止させるようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、上面凹部35c内に1箇所の取っ手取り出し孔35dを開口する場合を示したが、この取っ手取り出し孔35dは、上面凹部35c内に2箇所以上開口することもできる。例えば2箇所の取っ手取り出し孔35d、35dが開口されている場合には、一方の取っ手取り出し孔35dから取っ手2を上面凹部35c内に引き出し、他方の取っ手取り出し孔35dから再び蓋板1bの上に戻るようにする。ただし、上面凹部35cが1枚の外側上蓋フラップ35によって形成される場合には、パッキングケース3の組み立て時に、この取っ手2を2箇所の取っ手取り出し孔35d、35dに通す手間が必要となるため、例えば上記のように2枚の外側上蓋フラップ35、36の双方の先端部を組み合わせて上面凹部を形成するようにして、この組み合わせの際に取っ手2が2箇所の取っ手取り出し孔35d、35dに通るようにする等の工夫が必要となる。
【0030】
また、上記実施形態では、取っ手2がポリエステル繊維を織った柔軟性の高い厚布状の帯材である場合を示したが、この材質は任意であり、例えば織物ほどの柔軟性はないが、図5に示したような可撓性を有する樹脂成形品等であってもよい。さらに、この取っ手2は、幅広の帯材に限らず、例えばロープ状のものでもよく、左右の中央部のみを手で持ち易いように太く形成したものであってもよい。さらに、この取っ手2は、鉛蓄電池1への取り付け構造も任意であり、着脱自在に取り付ける場合に限らず、使用時にも取り外すことができないようになっていてもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、収納物として自動車用の鉛蓄電池1を包装する場合について説明したが、自動車用のものには限らず、他の用途の鉛蓄電池でも同様であり、注液栓が突出しないフラットタイプのものにも限定されず、注液栓のない制御弁式の鉛蓄電池であってもよい。さらに、この収納物は、鉛蓄電池以外の電池であってもよく、電池に限らず、取っ手を備えたその他の収納物であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、取っ手を備えた鉛蓄電池を収納して包装したパッキングケースの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、取っ手を備えた鉛蓄電池を収納して包装直前のパッキングケースの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであって、取っ手を備えた鉛蓄電池を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであって、取っ手を備えた鉛蓄電池を収納して包装したパッキングケースの他の例を示す部分拡大斜視図である。
【図5】取っ手を備えた鉛蓄電池の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 鉛蓄電池
1b 蓋板
2 取っ手
3 パッキングケース
35 外側上蓋フラップ
35c 上面凹部
35d 取っ手取り出し孔
37 内側上蓋フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に取っ手を備えた収納物を収納して包装する筐体状の包装箱において、
筐体上面の一部に、この上面の平坦面よりも窪んだ上面凹部が形成されると共に、この上面凹部内に、収納物の取っ手を露出させるために筐体内部に開口する取っ手取り出し孔が開口されたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
上部に取っ手を備えた電池と、請求項1に記載の包装箱とからなる包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−76680(P2007−76680A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265754(P2005−265754)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(304021440)株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション (461)
【Fターム(参考)】