説明

包装袋の製造方法及び同方法により製造した包装袋

【課題】青果物を密封した場合であっても、袋内の酸素と二酸化炭素の濃度を好適な値に保つことができる一方、優れた経済性や透明性や熱溶着性や見栄え性を備える包装袋の製造方法及び同方法により製造した包装袋を提供する。
【解決手段】二軸延伸ポリプロピレンフィルムを捲回した第1のロールと、無延伸ポリプロピレンフィルムを捲回した第2のロールとを用い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを熱処理しながら製袋する包装袋の製造方法において、それぞれ搬送しながら重ねる重ね工程と、重ねたフィルムを、所定の方向に搬送しつつ、同所定の方向に沿って熱処理しながらシールする底部形成工程と、底部形成工程で形成した底部の形成方向に交差する方向において熱処理しながらシールして側部を形成し、フィルムを袋状とする側部形成工程と、を有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物の鮮度を保持するために好適な包装袋の製造方法及び同方法により製造した包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経済性や透明性や熱溶着性や見栄え性に優れている二軸延伸のポリプロピレンフィルム(以下、「OPPフィルム」ともいう。)により成型した包装袋がある。
【0003】
そして、かかる包装袋では、ガス透過度が低すぎて、過度の低酸素・高二酸化炭素状態となり、品質低下が急激に進行しやすいために、一般的には袋の上部を開封したままとし、又は、軽く折り込みテーピングするようにしている。
【0004】
さらには、包装袋に微細な孔を形成して、ガス透過度を抑制するようにしたものもある(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平2−85181号公報
【特許文献2】特開平6−22686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、包装袋は密封しなければ本来の鮮度保持効果は発揮されず、きわめて短時間に鮮度が低下してしまうという不具合がある。
【0006】
また、密封した上で微細な孔を形成した包装袋では、微細な孔を形成する作業工程を要するためにコスト高になっている。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、青果物を密封した場合であっても、袋内の酸素と二酸化炭素の濃度を好適な値に保つことができる一方、優れた経済性や透明性や熱溶着性や見栄え性を備える包装袋の製造方法及び同方法により製造した包装袋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る包装袋の製造方法では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを捲回した第1のロールと、無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「CPPフィルム」ともいう。)を捲回した第2のロールとを用い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを熱処理しながら製袋する包装袋の製造方法において、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムと、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムとを、それぞれ搬送しながら重ねる重ね工程と、重ねたフィルムを、所定の方向に搬送しつつ、同所定の方向に沿って熱処理しながらシールする底部形成工程と、前記底部形成工程で形成した底部の形成方向に交差する方向において熱処理しながらシールして側部を形成し、フィルムを袋状とする側部形成工程と、を有することとした。
【0009】
また、以下の点にも特徴を有する。
【0010】
(1)前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを8〜30μmとし、前記無延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜40μmとしていること。
【0011】
(2)前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの20℃における酸素透過度は1000〜3750cc/m2・day・atmであり、前記無延伸ポリプロピレンフィルムの20℃における酸素透過度は1500〜6000cc/m2・day・atmであること。
【0012】
(3)前記底部形成工程では、熱処理の温度を350±5℃とし、前記袋形成工程では、熱処理の温度を380±5℃としていること。
【0013】
(4)前記底部形成工程では、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムの張力が、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムの張力よりも大きいこと。
【0014】
さらに、本発明に係る包装袋では、請求項1〜5いずれか1項に記載の包装袋の製造方法により製造することとした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の包装袋の製造方法では、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムと、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムとを、それぞれ搬送しながら重ねる重ね工程と、重ねたフィルムを、所定の方向に搬送しつつ、同所定の方向に沿って熱処理しながらシールする底部形成工程と、底部形成工程で形成した底部の形成方向に交差する方向において熱処理しながらシールして側部を形成し、フィルムを袋状とする側部形成工程と、を有することとしたので、一方の面を経済性や透明性や熱溶着性や見栄え性を備えるOPPフィルムとし、他方の面をガス透過度が良好なCPPフィルムとすることができて、包装袋を密封しても、中に収納した青果物の鮮度を保つことが可能な包装袋を製造することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の包装袋の製造方法では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを8〜30μmとし、無延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜40μmとしているため、製造した包装袋の酸素透過度を適切な状態とすることができる。
【0017】
また、請求項3に記載の包装袋の製造方法では、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの20℃における酸素透過度は1000〜3750cc/m2・day・atmであり、無延伸ポリプロピレンフィルムの20℃における酸素透過度は1500〜6000cc/m2・day・atmであることとしているため、製造した包装袋の酸素透過度を適切な状態とすることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の包装袋の製造方法では、底部形成工程では、熱処理の温度を350±5℃とし、側部形成工程では、熱処理の温度を380±5℃としているので、融点の異なるOPPフィルムとCPPフィルムとを歪みなく溶着することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の包装袋の製造方法では、底部形成工程では、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムの張力が、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムの張力よりも小さいこととしているので、融点の異なるOPPフィルムとCPPフィルムとを、さらに歪みなく溶着することができる。
【0020】
さらに、請求項6に記載の包装袋では、請求項1〜5いずれか1項に記載の包装袋の製造方法により製造しているので、包装袋を密封しても、中に収納した青果物の鮮度を保つことが可能な包装袋とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る包装袋の製造方法では、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムと、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムとを、それぞれ搬送しながら重ねる重ね工程と、重ねたフィルムを、所定の方向に搬送しつつ、同所定の方向に沿って熱処理しながらシールする底部形成工程と、底部形成工程で形成した底部の形成方向に交差する方向において熱処理しながらシールして側部を形成し、フィルムを袋状とする側部形成工程とを有する。
【0022】
すなわち、本発明では、第1のロールに巻回されたOPPフィルムと、第2のロールに巻回されたCPPフィルムとを搬送するとともに、それぞれの張力を違えながら重ね合わせる重ね工程と、重ねたフィルムを、所定の方向に搬送しつつ、加熱した熱刃を同所定の方向に沿って接触させて熱溶断しながらシールする底部形成工程と、底部形成工程で形成した底部の形成方向に交差する方向において加熱した熱刃を接触させ、熱溶断しながらシールして側部を形成し、フィルムを袋状とする側部形成工程とを有し、形成した包装袋をコンベア上で搬送して貯留するするようにしている。
【0023】
したがって、融点の異なるOPPフィルムと、CPPフィルムとを熱溶着して袋状とすることができるとともに、包装袋を密封しても、中に収納した青果物の鮮度を保つことが可能な包装袋を一連の工程の流れの中で連続的に製造することができる。
【0024】
ここで、加熱した熱刃を重ねたフィルムに接触させて熱溶断する際には、融点の高いフィルム側から熱刃を接触させて熱溶断させつつ、融点の低いフィルムを熱溶断するのが好ましく、具体的には、融点の高いOPPフィルム側から熱刃を接触させて溶断すると良い。
【0025】
このような熱溶断の方法によれば、熱刃で溶断した瞬間に、OPPフィルムの端部で溶けて溶融状態となった二軸延伸ポリプロピレン(以下、OPPという。)を、同じく熱刃で溶断されたCPPフィルムの端部に絡みつけることができるので、重ねたフィルムの端部同士を歪みなく溶着させることができるとともに、溶着部の強度を十分なものとすることができる。
【0026】
この熱刃の温度は、第1のロールに巻回したフィルムと、第2のロールに巻回したフィルムとを重ね合わせて熱溶断し、製袋する製袋機において、第1のロール及び第2のロールをOPPフィルムとした際に、重ねたフィルムを熱刃で熱溶断するときの温度よりも低い温度であって、第1のロール及び第2のロールをCPPフィルムとした際に、重ねたフィルムを熱刃で熱溶断するときの温度よりも高い温度とすることが好ましい。
【0027】
より詳細には、底部形成工程では350±5℃とし、側部形成工程では380±5℃とすることにより、重ねたフィルムを熱溶断した溶着部を良好な状態としながらも、効率よく包装袋を製造することができる。
【0028】
また、底部形成工程では、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムの張力が、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムの張力よりも小さくなるように調整している。
【0029】
このCPPフィルムは、OPPフィルムよりも伸びやすいという性質を持っているため、OPPフィルムと同等の張力をCPPフィルムにかけてしまうと、張力から解放された際に縮みが生じてしまい、製造した包装袋が反ってしまうこととなる。
【0030】
そこで、あらかじめフィルムにかける張力を、CPPフィルム<OPPフィルムとすることにより、張力から解放された際に生じるCPPフィルムの縮みを、OPPフィルムと同等とすることができるので、製造した包装袋の反りを防止することができる。
【0031】
ここで、それぞれのフィルムにかける張力は、CPPフィルム:OPPフィルム=1:2程度とすることが好ましい。このような張力とすることにより、適度な縮み具合とすることができ、熱溶断した溶着部を良好な状態としながらも、製造した包装袋の反りを防止することができる。
【0032】
また、OPPフィルム及びCPPフィルムは、所定の酸素量を透過可能であるものが望ましい。すなわち、OPPフィルムにあっては、20℃における酸素透過度が1000〜3750cc/m2・day・atm、より好ましくは1200〜1800cc/m2・day・atm、CPPフィルムにあっては、20℃における酸素透過度が1500〜6000cc/m2・day・atm、より好ましくは2000〜5000cc/m2・day・atmであるものが良い。
【0033】
これらのような酸素透過性を有するフィルムを用いることにより、野菜や果実の鮮度を良好に保つことができる包装袋を製袋することができる。
【0034】
また、フィルムの厚みは、包装袋を製袋する際の加工性に影響を与えるため、OPPフィルムにあっては8〜30μm、好ましくは10〜25μm、より好ましくは15〜25μm、CPPフィルムにあっては、20〜40μm、好ましくは20〜30μm、より好ましくは20〜25μmとするのが良い。
【0035】
これらのような厚みを有するフィルムを用いることにより、野菜や果実の鮮度を良好に保つことができる包装袋を製袋することができる。
【0036】
また、野菜や果物等の青果物は、品種、収穫時期、産地、流通条件、保管条件、販売時の条件によって呼吸量や劣化速度が異なるため、たとえば、フィルムの厚みを野菜用包装袋と果物用包装袋とで変えるようにしても良い。
【0037】
以下、本発明に係る実施例について、図面を参照しながら詳説する。
【0038】
図1は、本発明に係る実施例の製造工程を示したフローである。本発明に係る包装袋の製造方法では、張力調整工程(ステップS1)、重ね工程(ステップS2)、底部形成工程(ステップS3)、側部形成工程(ステップS4)、搬送工程(ステップS5)、貯留工程(ステップS6)からなる6つの工程を経て製袋する。
【0039】
図2は、本発明に係る包装袋を製造するための製袋機Aを模式的に示した説明図である。製袋機Aは、OPPフィルム19を巻回した第1のロール11と、CPPフィルム20を巻回した第2のロール12とを供えており、各ロール11、12より引き出したOPPフィルム19と、CPPフィルム20とを重ね合わせて熱溶断することにより、いわゆる2丁どりで包装袋18を製造するように構成したものである。以下、図1に示したフローに沿って、順を追って説明する。
【0040】
〔張力調整工程〕
まず、張力調整工程では、各ロール11、12より引き出したOPPフィルム19とCPPフィルム20とに、所定の張力を与えて、製袋した際に、包装袋18に反りが生じないようにする(ステップS1)。
【0041】
第1のロール11から引き出されたOPPフィルム19は、第1ガイドローラ30と、第2ガイドローラ31と、第1、第2ガイドローラ30、31の下方に配設した第1テンションローラ13と、にそれぞれ掛け回している。
【0042】
この第1テンションローラ13は、上下方向へ移動可能とした動滑車状のローラとしており、図示しない張力調整装置により、第1テンションローラ13の軸を下方へ押し下げることで、OPPフィルム19に張力をかけるようにしている。
【0043】
一方、第1のロールと同様に、第2のロール12から引き出されたCPPフィルム20は、第3ガイドローラ32と、第4ガイドローラ33と、第3、第4ガイドローラ32、33の下方に配設した第2テンションローラ14と、にそれぞれ掛け回している。
【0044】
そして、この第2テンションローラ14もまた、上下方向へ移動可能とした動滑車状のローラとしており、図示しない張力調整装置により、第2テンションローラ14の軸を下方へ押し下げることで、CPPフィルム20に張力をかけるようにしている。
【0045】
ここで、第2テンションローラがCPPフィルム20にかける張力は、第1テンションローラ13がOPPフィルムにかける張力の約2分の1としている。ただし、これらの張力は、フィルムの温度や製造時の湿度によって適宜調整するのは勿論である。
【0046】
これにより、フィルム素材の違いにより生じる縮みの差を補正して、製袋後の包装袋に反りが生じることを防止している。
【0047】
なお、各テンションローラ13、14は、軸を上方へ移動させることにより、張力を弱くすることができる。
【0048】
また、本実施例では、一方のフィルムに対して、2つのガイドローラと、1つのテンションローラで張力を調整しているが、これに限定されるものではなく、流れ作業時におけるフィルムの緩衝領域を設けるために、より多くのガイドローラと、複数個のテンションローラを設けるようにしても良い。
【0049】
〔重ね工程〕
次に、張力調整工程を経たOPPフィルム19と、CPPフィルム20は、重ね工程へ搬送される。この重ね工程では、それぞれに与えられた張力を保ったままフィルム同士を重ね合わせ、二重フィルム21を形成する。(ステップS2)。
【0050】
すなわち、第2ガイドローラ31を経たOPPフィルム19を第5ガイドローラ34に巻き回し、第4ガイドローラ33を経たCPPフィルム20を第6ガイドローラ35に巻き回すとともに、一方のフィルムに他方のフィルムを接触させて二重フィルム21を形成している。
【0051】
そして、第4ガイドローラ33と、第6ガイドローラ35との下流には、第7ガイドローラ36と、押さえローラ37とを配設し、この第7ガイドローラ36と押さえローラ37との間隙に二重フィルム21を挟むことで、フィルムの張力を保つようにしている。
【0052】
したがって、張力調整工程でそれぞれのフィルムに与えた張力を保ったまま、二重フィルム21を形成することができる。
【0053】
〔底部形成工程〕
次に、重ね工程で形成した二重フィルム21の幅方向略中央部を、連続的に溶断して底部41を形成する底部形成工程を行う(ステップS3)。
【0054】
図3は、底部形成工程での二重フィルム21を正面から見た状態を示しており、図中において符号Bで示した二重フィルム21の幅方向略中央部に、温度を350±5℃とした底部形成用熱刃15を接触させて溶断すると同時に、この溶断部分のOPPフィルム19の端部とCPPフィルム20の端部とを溶着させて、二重フィルム21の長さ方向に沿って底部41を形成するようにしている。なお、図3中、白抜きの矢印は、二重フィルム21の流れる方向を示している。
【0055】
ここで、底部形成用熱刃15は、一般に製袋用の熱刃として用いられている物であれば良く、二重フィルム21を切断しながら端部を溶着できるものであれば、特に限定されるものではない。
【0056】
〔側部形成工程〕
次に、底部形成工程で底部41を形成した二重フィルム21を、幅方向に熱溶断し、側部を形成して袋状となす側部形成工程を行う(ステップS4)。
【0057】
この側部形成工程では、図2に示すように、ロールを複数個平行に並べて配設したロールコンベア17の上部に、所定の時間間隔で上下に移動可能とした側部形成用熱刃16とを備えており、ロールコンベア17と、側部形成用熱刃16との間隙に底部形成工程を経た二重フィルム21を通過させ、所定の時間間隔で側部形成用熱刃16を上下動させ、下方に移動したときに二重フィルム21に接触させることにより、溶断しながら溶着させて、図4中破線で示すように、底部41と交わる方向に側部42を形成し包装袋18とするようにしている。なお、図4中白抜きの矢印は、二重フィルム21の流れる方向を示している。
【0058】
側部形成用熱刃16の上下動の時間間隔は、製造する包装袋18の大きさに応じて適宜調整することができ、上下動の時間間隔を長くすることにより、内容積が大きく、また、時間間隔を短くすることにより、内容積の小さな包装袋18を製造することができる。
【0059】
ここで、側部形成用熱刃16は、二重フィルム21の融点の高いフィルム側、すなわち、本実施例におけるOPPフィルム19側から接触させるようにしている。
【0060】
すなわち、まず融点の高いOPPフィルム19を溶かして溶断し、この溶けたOPPフィルム19を、CPPフィルム20に絡みつけることにより、図5(a)に示す側部42の溶着部の拡大断面図のごとく、側部42にシール玉43を形成している。したがって、このシール玉43が冷えて固化することにより、融点の異なるOPPフィルム19とCPPフィルム20とからなる包装袋18でありながら、十分な強度を有する側部42を形成することができる。
【0061】
なお、仮に融点の低いCPPフィルム20から先に側部形成用熱刃16に接触させた場合は、溶断部のCPPフィルム20に過度の熱が加わることとなり、図5(b)に示すように、シール玉43の根元部分に亀裂44が発生し、側部42の強度が極端に弱くなるブロッキング現象が生じるおそれがある。
【0062】
このブロッキング現象が生じると、フィルムが薄くなった亀裂44の部分から、包装袋18に穴が生じたり、包装袋18に青果物を収納した際に破れが生じたりすることとなり、好ましくない。
【0063】
したがって、ブロッキング現象を防止するためにも、側部形成用熱刃16は、融点の高いOPPフィルム19から先に接触させることが好ましい。
【0064】
また、この側部形成用熱刃16は、その温度を380±5℃に調整している。したがって、強度を十分に保つことができる程度のシール玉43を側部42に形成できるとともに、効率よく包装袋18を製造することができる。
【0065】
〔搬送工程〕
次に、側部形成工程で形成した包装袋18を、ロールコンベア17上に載置して、同ロールコンベア17の終端部に設けた貯留部6に至るまで搬送する搬送工程を行う(ステップS5)。
【0066】
ここで、図2に示すように、ロールコンベア17上の包装袋18は、CPPフィルム20側がロールコンベア17に接触するように載置している。
【0067】
したがって、滑り性の良いCPPフィルム20が、回転するロールコンベア17に接触することとなるので、貯留部6に至るまで、包装袋18を滑らかに搬送することができる。
【0068】
なお、側部形成工程において、二重フィルム21のCPPフィルム20側を下に向け、OPPフィルム側から側部形成用熱刃16を接触させることは、形成した包装袋18を反転させる必要なく、そのまま本搬送工程においてロールコンベア17で搬送することができるので、反転に要する労力を削減することができ、生産コストの低減を図ることができる。
【0069】
〔貯留工程〕
そして、搬送工程を経て送られてきた包装袋18を重ねて貯留部6に貯留する貯留工程を行う(ステップS6)。
【0070】
この貯留工程は、手作業で貯留部6に包装袋18を収納するようにしても良く、機械的に包装袋18の束を形成して貯留部6に貯留するようにしても良い。
【0071】
このようにして貯留された包装袋18は、図6に示すように、OPPフィルム19とCPPフィルム20とからなり、溶着された底部41及び側部42、42と、上部に形成した開口部45とを備えた袋体となる。
【0072】
なお、ここまで本発明に係る包装袋18の製造方法及び同方法で製造した包装袋18について図面を参照しながら説明してきたが、本発明の概念を逸脱しない範囲内で、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0073】
たとえば、本実施例では二重フィルム21の幅方向略中央部を溶断することにより底部41を形成し、続く側部形成工程において側部形成用熱刃16が二重フィルム21に1回接触することで2つの包装袋18を得ることができる、いわゆる2丁取りでの製造方法について説明したが、これに限定されるものではなく、1丁取りでの製造方法にも適用することができる。
【0074】
また、底部形成工程では、底部形成用熱刃15を二重フィルム21に連続的に接触させて底部41を形成したが、これに限定されるものではなく、側部形成用熱刃16と同様の方法で熱溶着して底部41を形成するようにしても良い。
【0075】
さらに、本実施例で製造した包装袋18は略矩形状の袋体としたが、これに限定されるものではなく、略台形状の袋体や、側部42が底部41を兼ねるようにした三角形状のものとしても良い。これらの形状の包装袋18は、一例として、側部形成用熱刃16を略八の字状に形成したり、二重フィルム21の流れ方向に対して角度を変えて複数個備えるようにして製造することができる。
【0076】
次に、このようにして製造した本発明に係る包装袋18を用いて、同包装袋18内部に青果物を収納して保存した際のガス分析を行った試験について述べる。
【0077】
〔各フィルムの酸素透過度測定〕
まず、青果物の試験に先立って、OPPフィルム及びCPPフィルムの酸素透過度の測定を行った。本試験はJIS K 7126 B法に従い、20℃、湿度80%にて行った。
【0078】
【表1】

表1にも示すように、OPPフィルム及びCPPフィルムともに、フィルムの厚みが薄くなるにしたがって、酸素透過性が高くなる傾向が見られた。また、OPPフィルムとCPPフィルムとを比較すると、同じ厚みのフィルムであれば、CPPフィルムはOPPフィルムに比して酸素透過性が高いことが示された。
【0079】
これらのデータを踏まえて形成した包装袋について、以下、実際に青果物を収納し、内部のガス濃度の測定を行った結果を示す。
【0080】
〔小松菜保存試験1〕
フィルムの素材や厚みをそれぞれ違えた7種の包装袋を形成して、各包装袋内に小松菜を収容して所定温度で保存し、包装袋内の酸素及び二酸化炭素量、小松菜の外観鮮度の経時変化について試験を行った。本試験に供すべく形成した7種の包装袋は次に示す通りである。なお、以下に記す包装袋の各パターンに記載の「ハンカチ折り」とは、袋の開口部分を折り返して係止した状態のことをいう。
【0081】
パターン(1)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。ただし、上部は開放したままとした。
【0082】
パターン(2)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。ただし、上部はハンカチ折りにした。
【0083】
パターン(3)の包装袋:厚み25μmのCPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0084】
パターン(4)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムと、厚み20μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0085】
パターン(5)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0086】
パターン(6)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムと、厚み30μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0087】
パターン(7)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0088】
そして、室温15℃の条件下で小松菜のガス濃度(%)の経時変化を測定すると共に、室温15℃の条件下で小松菜の外観鮮度の経時変化を、最大8日間に亘って調査した。なお、本試験において、OPPフィルムの厚みは、現在小松菜用の包装袋として一般に多く用いられている25μmに固定し、CPPフィルムの厚みを変化させてデータの収集を行うこととした。これは、常用されている素材をできるだけ用いることにより、本発明に係る包装袋の製造コストを安価にするという意図が含まれているものである。これらの結果を表2と表3に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

表2及び表3から分かるように、OPPフィルムとOPPフィルム、または、CPPフィルムとCPPフィルムを組み合わせて形成した両面同素材の包装袋よりも、OPPフィルムとCPPフィルムを組み合わせて形成した包装袋の方が良好な結果が得られた。
【0091】
すなわち、前述の理由によりOPPフィルムの厚みを25μmに固定する一方、CPPフィルムの厚みが厚くなるほど酸素透過度が低くなるため、包装袋内の酸素濃度が低くなるとともに、二酸化炭素濃度が高くなって、黄化の進行が抑制されることが示唆された。
【0092】
また、両面OPPフィルムで密封状態としたパターン(7)の包装袋に着目すると、8日目の酸素濃度は、パターン(6)の8日目の酸素濃度と略同量であったが、二酸化炭素濃度が高いために、異臭の発生が見られた。
【0093】
〔小松菜保存試験2〕
次に、小松菜保存試験1の結果を踏まえて、包装袋内のガス環境をより最適にすべく小松菜保存試験2を行った。
【0094】
表2及び表3に示すように、小松菜保存試験1において、一方の面を厚み25μmのOPPフィルムに固定して試験を行った場合、他方の面に厚み30μmのCPPのフィルムを適用すると、15℃で8日間保存することにより異臭の発生が確認された。そこで、CPPフィルムの厚みを25μmや20μmに薄くすることで異臭の発生は回避できることが示された。しかしながら、包装袋内の酸素濃度が、試験開始時に比してかなり低くなっており、青果物が嫌気呼吸を行うことで異臭を発生させる恐れがある。
【0095】
そこで、品質を保持するとともに嫌気呼吸が起こらない最適なガス環境にするために、本小松菜保存試験2では、OPPフィルムの厚みを変更して検討を行った。本試験に供すべく形成した包装袋は次に示す7種である。
【0096】
パターン(1)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。ただし、上部はハンカチ折りとした。
【0097】
パターン(2)の包装袋:厚み15μmのOPPフィルムと、厚み20μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0098】
パターン(3)の包装袋:厚み15μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0099】
パターン(4)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムと、厚み20μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0100】
パターン(5)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0101】
パターン(6)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムと、厚み20μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0102】
パターン(7)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0103】
そして、室温15℃の条件下で小松菜のガス濃度(%)の経時変化を最大8日間に亘って測定した。その結果を表4に示す。
【0104】
【表4】

表4からも分かるように、OPPフィルムの厚みが薄くなるほど、包装袋内の酸素濃度は高くなり二酸化炭素濃度は低くなった。厚み15μmのOPPフィルムと厚み20μmのCPPフィルムとを貼り合わせた最もガス透過度の高いと考えられる包装袋では、十分な酸素濃度の低下は認められなかった。
【0105】
また、厚み15μmのOPPフィルムと厚み25μmのCPPフィルム、厚み20μmのOPPフィルムと厚み20μmのCPPフィルム、厚み20μmのOPPフィルムと厚み25μmのCPPフィルム、あるいは厚み25μmのOPPフィルムと厚み20μmのCPPフィルムとの組合せによって、小松菜では黄化と異臭の発生が抑制され、鮮度が保持された。
【0106】
〔小松菜保存試験3〕
前記した小松菜保存試験1のパターン(1)〜(7)の包装袋を形成して、各包装袋内に小松菜を収容し、室温25℃の条件下で小松菜のガス濃度(%)の経時変化を測定すると共に、室温25℃の条件下で小松菜の外観鮮度の経時変化を調査した。これらの結果を表5と表6に示す。
【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

表5及び表6から分かるように、保存温度を25℃とした場合であっても、OPPフィルムとOPPフィルム、または、CPPフィルムとCPPフィルムを組み合わせて形成した両面同素材の包装袋よりも、OPPフィルムとCPPフィルムを組み合わせて形成した包装袋の方が良好な結果が得られた。
【0109】
また、小松菜保存試験1と同様の傾向が見られ、CPPフィルムの厚みが厚くなるほど酸素透過度が低くなるため、包装袋内の酸素濃度が低くなるとともに、二酸化炭素濃度が高くなって、黄化の進行が抑制されることが示唆された。
【0110】
また、両面CPPフィルムで密封状態としたパターン(3)の包装袋に着目すると、6日目の酸素濃度は、パターン(4)の6日目の酸素濃度と略同量であったが、二酸化炭素濃度が低いために、パターン(4)に比してやや強めの黄化の発生が見られた。
【0111】
また、厚み20μmのOPPフィルムと厚み25μmのCPPフィルムを組み合わせて密封状態としたパターン(5)の包装袋に着目すると、6日目の酸素濃度は小松菜保存試験1のパターン(5)と略同等であったが、保存温度が高いために、異臭の発生が見られた。
【0112】
〔小松菜保存試験4〕
次に、前述の小松菜保存試験1〜3の結果を踏まえて、包装袋内のガス環境の変化の再現性について試験をおこなった。また、併せてOPPフィルム単体で鮮度保持が可能かどうかについても検討をおこなった。本試験に供すべく形成した包装袋は次に示す10種である。
【0113】
パターン(1)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。ただし、上部はハンカチ折りとした。
【0114】
パターン(2)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムと、厚み20μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0115】
パターン(3)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0116】
パターン(4)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムと、厚み30μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0117】
パターン(5)の包装袋:厚み15μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0118】
パターン(6)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムと、厚み25μmのCPPフィルムとを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0119】
パターン(7)の包装袋:厚み15μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0120】
パターン(8)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0121】
パターン(9)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0122】
パターン(10)の包装袋:厚み20μmのCPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅230mmで高さ380mmの包装袋18を成形した。そして、それぞれのパターンで形成した包装袋18内に小松菜を収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0123】
そして、室温15℃の条件下で小松菜のガス濃度(%)の経時変化を測定すると共に、室温15℃の条件下で小松菜の外観鮮度の経時変化を、最大9日間に亘って調査した。その結果を表7及び表8に示す。
【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

これらの結果から分かるように、厚み15μmのOPPフィルムで形成した包装袋や、厚み20μmのOPPフィルムで形成した包装袋、厚み25μmのOPPフィルムで形成した包装袋では、異臭の発生が認められ、品質の低下が確認された。これは、保存3日目以降に包装袋内部の酸素濃度が急激に低下したためであると考えられる。
【0126】
次に、OPPフィルムとCPPフィルムとを組み合わせて形成した包装袋について検討すると、OPPフィルムの厚みが一定であれば、CPPフィルムの厚みが厚くなるほど、日数の経過に伴って包装袋内の酸素濃度が低下する傾向が見られた。
【0127】
また同様に、CPPフィルムの厚みが一定であれば、OPPフィルムの厚みが厚くなるほど、日数の経過に伴って包装袋内の酸素濃度が低下する傾向が見られた。
【0128】
これらの結果より、小松菜の鮮度保持に適していると考えられる組合せは、表4の試験結果からも示唆されるように、厚み15μmのOPPフィルムと厚み25μmのCPPフィルム、厚み20μmのOPPフィルムと厚み20μmのCPPフィルム、厚み20μmのOPPフィルムと厚み25μmのCPPフィルム、厚み25μmのOPPフィルムと厚み20μmのCPPフィルムとで形成した包装袋が良好な結果をもたらすことが示された。
【0129】
但し、同じ青果物であってもその呼吸量は様々の要因により変化するため、フィルムの組合せは適宜検討する必要がある。
【0130】
〔葉ネギ保存試験〕
フィルムの素材や厚みをそれぞれ違えた5種の包装袋を形成して、各包装袋内に葉ネギを収容して所定温度で保存し、包装袋内の酸素及び二酸化炭素量、葉ネギの外観鮮度の経時変化について試験を行った。本試験に供すべく形成した5種の包装袋は次に示す通りである。
【0131】
パターン(1)の包装袋:厚み25μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を部分的(スポット的)に熱溶着し、実質内寸法が左右幅80mmで高さ600mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に葉ネギを収容した後、上部の開口部45を部分的(スポット的)に熱溶着して非密封状態とした。
【0132】
パターン(2)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅80mmで高さ600mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に葉ネギを収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0133】
パターン(3)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムに、厚み30μmのポリエチレンフィルム(以下、PEフィルムともいう。)を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅80mmで高さ600mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に葉ネギを収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0134】
パターン(4)の包装袋:厚み20μmのOPPフィルムに、厚み20μmのCPPフィルムを重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅80mmで高さ600mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に葉ネギを収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0135】
パターン(5)の包装袋:厚み20μmのCPPフィルムを二枚を重ねて、底部41及び側部42、42を熱溶着で形成し、実質内寸法が左右幅80mmで高さ600mmの包装袋18を成形した。そして、包装袋18内に葉ネギを収容した後、上部の開口部45を熱溶着して密封状態とした。
【0136】
そして、室温15℃の条件下で葉ネギのガス濃度(%)の経時変化を測定すると共に、室温15℃の条件下で葉ネギの外観鮮度の経時変化を、最大7日間に亘って調査した。これらの結果を表9と表10に示す。
【0137】
【表9】

【0138】
【表10】

表9及び表10から分かるように、OPPフィルムとOPPフィルム、または、CPPフィルムとCPPフィルムを組み合わせて形成した両面同素材の包装袋よりも、異種のフィルムの組み合わせ(OPPフィルムとCPPフィルム、または、OPPフィルムとPEフィルム)を組み合わせて形成した包装袋の方が良好な結果が得られた。
【0139】
すなわち、表10によれば、貯蔵後7日目に外観鮮度の顕著な差異が認められ、パターン(3)と(4)が最も鮮度を良好に保っていたが、パターン(2)では、異臭、鮮度ともに若干の劣化が認められた。
【0140】
さらに、最も良好な結果であったパターン(3)と(4)とを比較すると、PEフィルムよりもCPPフィルムの方が透明度が高く、包装袋の性質上、内容物の視認性を向上させることができるため、消費者の購買意欲を向上させるためには、CPPフィルムの方がより有用であると考えられた。
【0141】
これらの結果より、葉ネギの黄化や異臭の発生を抑制し、鮮度を保持するのに適した包装袋は、15〜20μmのOPPフィルムと、20〜25μmのCPPフィルムの組み合わせであることが示唆された。
【0142】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0143】
たとえば、本明細書に記載の実施形態では、小松菜、葉ネギに用いる包装袋として試験を行っているが、これに限定されるものではなく、あらゆる野菜や果物に使用しても良い。この際、OPPフィルムとCPPフィルムの厚みは、包装袋内に収容する野菜や果物の品種、産地、収穫時期等にあわせて変化させることができ、たとえば、同一品目の野菜であっても、夏に収穫された野菜を収納する夏用包装袋と、冬に収穫された野菜を収納する冬用包装袋とでフィルムの厚みを変えるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明に係る包装袋の製造方法の工程を示したフローである。
【図2】本発明に係る包装袋を製造するための製袋機を示した説明図である。
【図3】底部形成工程における二重フィルムを示した説明図である。
【図4】側部形成工程における二重フィルムを示した説明図である。
【図5】側部形成工程において形成した側部の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る包装袋の製造方法で製造した包装袋を示す説明図である。
【符号の説明】
【0145】
11 第1のロール
12 第2のロール
18 包装袋
19 二軸延伸ポリプロピレンフィルム
20 無延伸ポリプロピレンフィルム
S2 重ね工程
S3 底部形成工程
S4 側部形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを捲回した第1のロールと、無延伸ポリプロピレンフィルムを捲回した第2のロールとを用い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを熱処理しながら製袋する包装袋の製造方法において、
第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムと、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムとを、それぞれ搬送しながら重ねる重ね工程と、
重ねたフィルムを、所定の方向に搬送しつつ、同所定の方向に沿って熱処理しながらシールする底部形成工程と、
前記底部形成工程で形成した底部の形成方向に交差する方向において熱処理しながらシールして側部を形成し、フィルムを袋状とする袋形成工程と、
を有する包装袋の製造方法。
【請求項2】
前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを8〜30μmとし、
前記無延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜40μmとしていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋の製造方法。
【請求項3】
前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムの20℃における酸素透過度は1000〜3750cc/m2・day・atmであり、
前記無延伸ポリプロピレンフィルムの20℃における酸素透過度は1500〜6000cc/m2・day・atmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装袋の製造方法。
【請求項4】
前記底部形成工程では、熱処理の温度を350±5℃とし、
前記袋形成工程では、熱処理の温度を380±5℃としていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記底部形成工程では、第1のロールから引き出した二軸延伸ポリプロピレンフィルムの張力が、第2のロールから引き出した無延伸ポリプロピレンフィルムの張力よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の包装袋の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の包装袋の製造方法により製造した包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−37010(P2008−37010A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215978(P2006−215978)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【出願人】(594041449)株式会社堀江本店 (3)
【Fターム(参考)】