説明

包装袋

【課題】除湿剤や芳香剤等用の容器として、店頭での陳列や流通時のスペースを多く要せず、廃棄に際し嵩張らず、かつその使用に際し、容易で簡便な開封と再閉封が可能な包装袋の提供にある。
【解決手段】最内層がシーラント層でなり、該シーラント層で上端縁と側縁及び底縁がシールされて上端縁シール部16、側縁シール部14と底縁シール部18を形成した包装袋で、前記上端縁シール部16の下側略平行に切断開封予定部22、雌型テープ24aと雄型テープ24bとでなるポリチャック24、さらにその下側内面に通気性を有する素材からなる仕切りシート20が設けられ、前記底縁シール部18には底面シート12がシールされているスタンディングタイプの包装袋1とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿剤や消臭剤あるいは芳香剤等用の容器に関するものであり、特に、従来のリジッドな(堅くたわまない成形品(容器))に代わり、その開封と封緘が簡便で、かつ流通時や店頭陳列時等に場所をとらず廃棄性にも優れる袋(パウチ)化した包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除湿剤や消臭剤、あるいは芳香剤等を収納し、押入れやタンス等の除湿や室内等の消臭、あるいは芳香剤の飛散などのためのの容器が知られ、そのうちの一つである除湿剤容器として、例えば、図9の側面図に示すように、吸湿薬剤(103)を収納した成形容器体(105)の上面を通気性のシート(微多孔フィルム(102)と不織布(101)でなる)でシールしたもので、この開封は、被せ蓋(図示せず)を取り外し、上記通気性のシートを露出せしめて除湿する除湿剤容器(100)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、芳香剤を飛散せしめる芳香剤容器として、例えば、図10の斜視図に示すように、カップ状容器本体(211)のフランジ部(213)に、シール可能な内層材(241)と剥離可能な外層材(242)とで構成される蓋材がシールされ、その内層材(241)には複数の芳香剤飛散用孔(243)が穿設されていて、この開封は、被せ蓋(図示せず)を取り外し、その外層材(242)を剥離することによって、蓋材に通気性を付与した芳香剤容器(200)がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平5−76720号公報
【特許文献2】実開昭64−53072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の除湿剤容器や芳香剤容器においては、その容器本体のいずれもがリジッドな(堅くてたわまない)プラスチック製の成形品であるため、店頭での陳列や流通時のスペースを多くとり、かつ廃棄時においても嵩張り、また使用時の開封に際し、被せ蓋を容器本体から取り外してから外層材を剥離し、またその一時閉封に際し再び被せ蓋で覆うといった手間のかかる動作を必要とするものであった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、除湿剤、消臭剤、芳香剤等用の容器として、店頭での陳列や流通時のスペースを多く要せず、廃棄に際し嵩張らず廃棄物の減容化に貢献し、かつその使用に際し、容易で簡便な開封と再閉封が可能な包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、少なくとも最内層がシーラント層でなり、該シーラント層で上端縁と側縁がシールされて上端縁シール部と側縁シール部を形成した包装袋において、前記上端縁シール部の下側でそれと略平行に切断開封予定部を有し、該切断開封予定部の下側内面に通気性を有する素材からなる仕切りシートが設けられていることを特徴とする包装袋としたものである。
【0008】
また、請求項2の発明では、前記切断開封予定部と仕切りシートとの間にチャックが設けられていることを特徴とする請求項1記載の包装袋としたものである。
【0009】
また、請求項3の発明では、前記チャックと仕切りシートが一体化されて設けられていることを特徴とする請求項2記載の包装袋としたものである。
【0010】
また、請求項4の発明では、前記切断開封予定部の側縁シール部にノッチが刻設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包装袋としたものである。
【0011】
また、請求項5の発明では、前記上端縁シール部に対峙する下端縁の内面に最内層がシーラント層でなる底面シートがシールされている、縦方向に自立性を有するスタンディングタイプであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の包装袋としたものである。
【0012】
さらにまた、請求項6の発明では、前記袋内に除湿剤、消臭剤、芳香剤等のいずれかを収納してなる請求項1乃至5のいずれかに記載の包装袋としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0014】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、少なくとも最内層がシーラント層でなり、該シーラント層で上端縁と側縁がシールされて上端縁シール部と側縁シール部を形成した包装袋において、前記上端縁シール部の下側でそれと略平行に切断開封予定部を有し、該切断開封予定部の下側内面に通気性を有する素材からなる仕切りシートが設けられていることによって、この包装袋の使用に際し、切断開封予定部を切断して上端縁シール部を取り除いて開封し、通気性を有する素材からなる仕切りシートが外気に曝されるようになり、例えば、押入れ等外気の湿気を内容物である除湿剤で吸収するなどのための包装袋とするもので、従来のリジッドな(堅くたわまない)プラスチック製成形品でなる容器に比べ、店頭での陳列や流通時のスペースを多く要せず、廃棄に際しても嵩張らず(廃棄物の減容化に寄与し)、かつその使用に際し、容易で簡便な開封を可能にする包装袋とすることができる。
【0015】
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記切断開封予定部と仕切りシートとの間にチャックが設けられていることによって、開封後の一時的閉封や再開封に際し、従来の成形品でなる容器での被せ蓋で覆ったり取り外したりすることに比べ、容易でかつ簡便な閉封や再開封を可能にする包装袋とすることができる。
【0016】
また、上記請求項3に係る発明によれば、前記チャックと仕切りシートが一体化されているので、これらのうちのチャックのみを袋内面にシールすることで両者を一度で設けることができ、製造効率のよい包装袋とすることができる。
【0017】
また、請求項4に係る発明によれば、前記切断開封予定部の側縁シール部にノッチが刻設されていることによって、切断開封予定部から容易に確実に切断して開封することができる。
【0018】
また、請求項5に係る発明によれば、前記上端縁シール部に対峙する下端縁の内面に最内層がシーラント層でなる底面シートがシールされている、縦方向に自立性を有するスタンディングタイプであるので、押入れや室内の所定の位置に安定した載置を可能にする包装袋とすることができる。
【0019】
さらにまた、請求項6に係る発明によれば、前記袋内に除湿剤、消臭剤、芳香剤等のいずれかを収納していることによって、開封すると通気性を有する仕切りシートを透して外気の水分を吸収したり、外気の臭いを消したり、あるいは外気へ芳香を飛散したりなどするための包装袋とすることができる。
【0020】
従って本発明は、除湿剤や消臭剤あるいは芳香剤等用の容器の如き用途において、優れた実用上の効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の包装袋の一実施の形態を示す説明図であり、図2は、本発明の包装袋の開封状態の一事例を示すもので、図3及び図5は、本発明の包装袋の他の一実施の形態を示す説明図である。また、図4は、本発明の包装袋を構成するチャックの機能の事例をを示す説明図であり、図6は、本発明の包装袋を構成するチャックと仕切りシートの拡大図である。また、図7は、本発明の包装袋を構成する側面シートの1事例を示す積層図である。
【0023】
本発明は、例えば、上記図1(b)の側断面概略図に示すように、除湿剤や消臭剤あるいは芳香剤等の薬剤(30)を収納し、これらいずれかの薬剤(30)により、通気性の素材でなる仕切りシート(20)を透して押入れやタンス等の除湿や室内等の消臭、あるいは室内等への芳香の飛散(拡散)などを徐々に成さしめるための包装袋(1)に関するものである。
【0024】
まず、上記請求項に係る発明では、上記図1(a)の正面概略図およびそのB−B面を表す図1(b)の側断面概略図に示すように、方形状で最内層がシーラント層(図示せず)でなる2枚の側面シート(10)の両側縁と上端縁が、このシーラント層でシールされて上端縁シール部(16)と側縁シール部(14)を形成した包装袋において、前記上端縁シール部(16)の下側でそれと略平行に切断開封予定部(22)を有し、この切断開封予定部(22)の下側内面に、通気性を有する素材からなる仕切りシート(20)の端縁がシールされ、中央で折り曲げられるようになって設けられて、除湿剤等の薬剤(30)を収納する包装袋(1)とするものである。
【0025】
この包装袋(1)の使用は、例えば、上記図1(a)および図1(b)に示すような除湿剤等でなる薬剤(30)を収納する包装袋(1)の天部にある切断開封予定部(22)を切断して、例えば、図2の側断面概略図に示すように、天部に開口部(33)を形成すると、側面シート(10)の内面にシールされている通気性を有する素材からなる仕切りシート(20)が外気に曝されるようになり、この仕切りシート(20)を透して例えば除湿剤でなる薬剤(30)により外気の水分(湿気)を吸収せしめる除湿剤用の包装袋(1)とすることができる。
【0026】
このように、上記請求項に係る発明は、従来のリジッド(堅く曲がらない)なプラスチック成形品でなる除湿剤等を収納する容器に代え、柔軟で曲げも可能な包装袋とすることによって、店頭での陳列や流通時のスペースを多く要せず、使用済の廃棄に際しても嵩張らず、その減容化に貢献し、かつその使用に際し、例えば、図9に示す従来の成形容器のように被せ蓋を取り外し、外層材を剥離するといった開封に比べ、容易でかつ簡便な開封を可能にする包装袋(1)とするものである。
【0027】
また、上記他の請求項に係る発明は、上記図3(a)の正面概略図およびそのB−B面
を表す図1(b)の側断面概略図に示すように、2枚の側面シート(10)の両側縁と上端縁が、その内面でシールされて上端縁シール部(16)と側縁シール部(14)を形成した包装袋で、前記上端縁シール部(16)の下側にある切断開封予定部(22)と、この切断開封予定部(22)の下側内面にシールされている通気性を有する素材からなる仕切りシート(20)との間の位置に雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とが相対してなるポリチャック(24)がシールされていることを特徴とする包装袋(1)である。
【0028】
このように切断開封予定部(22)と仕切りシート(20)との間に雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とでなるポリチャック(24)がシールされていることによって、例えば、図4(a)の側断面概略図に示すように、開封前での流通時にこのポリチャック(24)で切断開封予定部(22)の下を止めておくと、全体的に嵩張らずスペースを多く要しないというメリットがあり、また図4(a)の側断面概略図に示すように、一旦開封したものを簡便に一時的閉封して、その持ち運び(移動等)や芳香等の一時的停止などに便利なものとすることができ、その後の再開封をも簡便に行える包装袋(1)とすることができる。
【0029】
また、上記他の請求項に係る発明では、上記図5(a)の正面概略図およびそのB−B面を表す図5(b)の側断面概略図に示すように、2枚の側面シート(10)の両側縁と上側断面概略図および図5(b)の正面概略図に示すように、2枚の側面シート(10)の両側縁と上端縁が、その内面でシールされて上端縁シール部(16)と側縁シール部(14)を形成した包装袋で、上端縁シール部(16)の下側に切断開封予定部(22)を有し、この切断開封予定部(22)の下側内面にシールされている通気性を有する素材からなる仕切りシート(20)の下側内面に雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とが相対してなるポリチャック(24)がシールされている包装袋(1)とすることも可能である。
【0030】
このように通気性を有する仕切りシート(20)の下側内面に雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とでなるポリチャック(24)を設けた包装袋(1)とすることも可能で、それによる効果としては、開封前での流通時にこのポリチャック(24)で止めておくと、全体的に嵩張らず、また、一旦開封したものを一時的閉封して、その持ち運び(移動等)や芳香等の一時的停止などに便利なものとすることができ、その後の再開封をも行えるものとすることもできるが、特にこの再開封がし難いという問題点のある包装袋(1)でもある。
【0031】
また、上記他の請求項に係る発明では、図6の側断面拡大図に示すように雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とが相対してなるポリチャックとその下側にある通気性を有する仕切りシート(20)とが一体化されて両側の側面シート(14)の内面にシールされていることを特徴とする包装袋(1)とするものである。
【0032】
このように仕切りシート(20)と一体化している雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とが相対してなるポリチャックとすることによって、雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)でなるポリチャックのみをシールすればよく、仕切りシート(20)とポリチャックを別別別々にシールする必要がないので、製造工程の節減化に寄与する包装袋とすることができる。
【0033】
また、上記他の請求項に係る発明では、例えば、図1(b)に示すように、切断開封予定部(22)の少なくとも一方の側縁シール部(14)にV型ノッチ(V)が刻設されている包装袋(1)とするものである。
【0034】
上記のようなV型ノッチ(V)の他に、例えばU型ノッチ、I型ノッチあるいは単なる切り込みノッチであってもよく、側縁シール部(14)の一方に設けたもののみならず、両側の側縁シール部(14)に設けたものであってもよい。
【0035】
このように、切断開封予定部(22)の側縁シール部(14)にノッチを設けることによって、この包装袋(1)の開封に際し、このノッチを起点とし指をかけ切断開封予定部から容易に確実に切断して開封することができる。
【0036】
また、上記他の請求項に係る発明では、例えば、図1(a)および図1(b)に示すように、上端縁シール部(16)に対峙する側面シート(10)の下端縁の内面に最内層がシーラント層(図示せず)でなる底面シート(12)がシールされて底縁シール部(18)を形成していて、縦方向に自立性を有するスタンディングタイプの包装袋(1)とするものである。
【0037】
このように、側面シート(10)の下端縁の内面に底面シート(12)がシールされて底縁シール部(18)を形成したスタンディングタイプの包装袋(スタンディングパウチ)とすることによって、この使用に際し、押入れや室内の所定の位置に安定した載置を可能にする包装袋(1)とすることができる。
【0038】
以上のような包装袋(1)は、袋内に除湿剤、消臭剤、芳香剤等のいずれかを収納している包装袋(1)とすることによって、開封予定部(22)から開封すると、内容物である薬剤(30)により、通気性を有する仕切りシート(20)を透して外気の水分を吸収したり、外気の臭いを消したり、あるいは外気へ芳香を飛散したりなどするための包装袋(1)とするものである。
【0039】
以下に、本発明の包装袋(1)を構成する材料の種類やその製法などについて具体的に説明する。
【0040】
まず、本発明の包装袋(1)を構成する通気性を有する仕切りシート(20)としては、内容物である薬剤(30)によって異なり、その薬剤(30)が、例えば塩化カルシウム、五酸化リン等潮解性物質、シリカゲル、ゼオライト等多孔性吸湿物質等の除湿剤の場合、外気の水蒸気を通過させ、これら除湿剤に一定速度で吸着させる透過性フィルムが好適であり、例えば、ウレタンフィルムや微多孔膜が使用され、その微多孔膜として、例えばセルポア(積水化学社製)、NFシート(徳山曹達社製)などが挙げられ、これらウレタンフィルムや微多孔膜に不織布などをラミネートして強度を上げたもの、あるいは合成紙であるタイベック(デュポン社製)などが挙げられ、これらいずれもが袋内面のシーラント層とシール可能な、あるいはポリチャックと一体化が可能なもので、本発明の包装袋用の仕切りシート(20)としては、より好適なものである。
【0041】
また、薬剤(30)が芳香剤あるいは消臭剤の場合の通気性を有する仕切りシート(20)としては、材質には特に限定されず、芳香等が大気に拡散する量を調整する孔があればよく、例えば、多数の孔の開いた多孔フィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルフィルムあるいはこれらにアルミニウム箔がラミネートされたもの等)や不織布であってもよく、その不織布として、樹脂製の繊維を機械的に絡めるてウエブ化する乾式不織布やレーヨン、合繊で、時にはパルプを混抄した原料を紙をすく方式でウエブ化する湿式不織布があり、そのいずれでも適用可能であるが、薬剤等に安定でかつ袋のシーラント層にヒートシールや超音波シールが容易な乾式不織布が好ましく、その乾式不織布の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等熱可塑性樹脂を多数のノズルから紡糸しながら、ランダムなウエブを作る高生産性に優れるスパンポンド式のものがより好適に使用することができる。
【0042】
また、本発明の包装袋(1)を構成するポリチャック(24)としては、雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とからなり、その材料としてポリプロピレン樹脂が一般的に使用され、その幅(W)として8mm程度のものが使用される。
【0043】
また、本発明の包装袋(1)を構成する側面シート(10)としては(底縁シート(12)も同様の構成とすることが殆どである)、内容物である薬剤(30)の種類によっても多少は異なるが、一般的には、例えば、図7の側断面を表す積層図に示すように、最内面がヒートシール性に優れるシーラント層(52)と、最外層の基材フィルム(50)の裏面に全体が水蒸気と酸素に対するバリア性に優れるガスバリア層(54)とを有するものが使用され、さらに開封予定部で切断開封が可能な一方向引裂性フイルム(56)が積層されたものがより好適に使用される。
【0044】
上記基材フィルム(50)としては、厚み12μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムが一般的で、その他に延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが挙げられ、内容物である薬剤(30)の種類によって適宜選定される。
【0045】
また、上記基材フィルム(50)の裏面に形成するガスバリア層(54)としては、例えば、珪素酸化物やアルミニウム酸化物などの蒸着層でなり、この蒸着層面にアンカーコート層(53)が施されて、このガスバリア層(54)の揉みなどでできるクラック等を防止するようにしてある。
【0046】
上記アンカーコート層(53)として、例えば少なくともアクリルポリオール、イソシアネート化合物、および一般式:R’SI(OR)3 (式中R’はアルキル基、ビニル基、グリシオキシプロピル基の一種、Rはアルキル基)で表される3官能オルガノシランあるいはオルガノシランの加水分解物を含む組成物、または前記組成物に一般式:M(OR)n (式中Mは金属元素、RはCH3 、C2 5 等のアルキル基、nは金属元素の酸化数)で表せる金属アルコキシド、あるいは金属アルコキシドの加水分解物を含む組成物を用いることができる。
【0047】
また、特に図示しないが、上記アンカーコート層(53)を基材フィルム(50)とガスバリア層(54)との間に設け、このガスバリア層(54)の外面に被覆層を設けたものとすることもでき、この被覆層として、例えば、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合液を主剤とするコーティング剤からなるものを用いることができ、このように無機酸化物のガスバリア層(54)をアンカーコート層とこの被覆層とで挟むように覆うことによって、この蒸着層であるガスバリア層(54)の揉みなどでできるクラックやピンホール等の発生をより防止し、結果としてガスバリア性をより向上させることができる。
【0048】
また、切断開封を容易にする一方向引裂性フイルム(56)としては、例えば、厚み20μm程度の一軸延伸ポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの縦一軸または横一軸ポリオレフィン系フィルムや、ナイロン6樹脂にポリメタキシリレンアジパミド樹脂を混合して、層分離構造と延伸条件を工夫した二軸延伸ポリアミド系フィルム、またはポリエチレンテレフタレート樹脂にポリブチレンテレフタレート系樹脂を混合して、層分離構造と延伸条件を工夫した二軸延伸ポリエステル系フィルムなどが挙げられる。
【0049】
上記側面シート(10)および底面シート(12)のバリア層(54)として、アルミニウム箔が使用される場合があり、この場合、例えば、図8の側断面を表す積層図に示す
ように、ポリエチレンテレフタレート等でなる基材フィルム(50)の片面に接着剤を介して12μm程度のアルミニウム箔(55)をラミネートし、この上にシーラント層(56)をポリエチレン等を押し出しラミネートで施した側面シート(10)とすることもできる。ただし、このアルミニウム箔(55)は、使用後の廃棄処理に際し、焼却時にその炉を傷めたり、その焼却灰の環境上の問題などから上記のアルミニウム酸化物等の蒸着層とすることが好まれている。
【0050】
さらにまた、最内層に設けるシーラント層(52)としては、例えば、ヒートシール性に優れる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタアクリル酸共重合体(EMAA)等エチレン共重合樹脂のフィルムをドライラミネーション用接着剤を介して得られるか、あるいは溶融された上記樹脂をアンカーコート剤を介して押し出しラミネートして得ることができる。
【0051】
以下に、上記のような材料を用いた包装袋の製造の事例について説明する。
【0052】
まず、図7に示すように、基材フィルム(50)として厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その片面にガスバリア層(54)としてアルミニウム酸化物(Al2 3 )を蒸着し、金属アルコキシドの加水分解物を含む組成物でなるアンカーコート層(53)を介して厚み20μmの一軸延伸ポリエチレンフィルムが一方向引裂性フイルム(56)をラミネートし、その面にシーラント層(52)として溶融されたポリエチレン樹脂をアンカーコート剤を介して押し出しラミネートで側面シート(10)用および底面シート(図示せず)の原反フィルムを得た。この原反フィルムを所望のサイズに断栽し2枚の側面シート(10)と1枚の底面シートを作製する。
【0053】
一方で、予めポリプロピレン樹脂を用い、図6に示すように雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とでなるポリチャックに合成紙であるタイベック(デュポン社製)を仕切りシート(20)として一体成形しておく。
【0054】
この一体化されたポリチャックの雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)を、上記で得られた2枚の四角形状の側面シート(10)の内面シーラント層(図示せず)の所定の位置に超音波シール器等でシールする。
【0055】
続いて、図3(a)および図3(b)に示すように、仕切りシート(20)と、雌型テープ(24a)と雄型テープ(24b)とでなるポリチャック(24)が施された側面シート(10)の側縁および上端縁の内面同士をヒートシールして側縁シール部(14)と上端縁シール部(16)を形成し、同時に下端縁の内面に底面シート(12)の端縁をヒートシールして底縁シール部(18)を形成し、上端縁シール部(16)の下部にある切断開封予定部(22)の一方の側縁シール部(14)にV型ノッチ(V)を設けてスタンディングタイプの包装袋を作製する。
【0056】
なお、上記で側面シート(10)の側縁シール部(14)を施す際に、その一方の側縁シール部(14)の略中央の一部に未シール部(図示せず)を設けておき、この未シール部から薬剤(30)を充填した後、この未シール部をシールして除湿剤用の包装袋(1)とするものである。
【0057】
以上のような材料と方法を用いて得られた包装袋は、使用に際する開封と一時閉封や再開封等が簡便で、流通や店頭での陳列にスペースを取らず、かつ使用後の廃棄性にも優位な除湿剤、芳香剤等用の容器として、優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の包装袋の一実施の形態を示すもので、(a)は、その正面概略図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す側断面概略図である。
【図2】本発明の包装袋の一実施の形態を示すもので、天部の切断予定部より開封した際の側断面側断面概略図である。
【図3】本発明の包装袋の他の一事例を示すもので、(a)は、その正面概略図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す側断面概略図である。
【図4】本発明の包装袋の一実施の形態を示すもので、(a)は、流通時等でチャックを閉めた際の側断面概略図であり、(b)は、天部の開封後、一時閉封した時の側断面概略図である。
【図5】本発明の包装袋の他の一事例を示すもので、(a)は、その正面概略図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す側断面概略図である。
【図6】本発明の包装袋の一事例を示すもので、チャックと仕切りシートが一体化した側断面概略図である。
【図7】本発明の包装袋を構成する側面シートの1事例を示す積層断面図である。
【図8】本発明の包装袋を構成する側面シートの他の事例を示す積層断面図である。
【図9】従来の除湿剤容器の一事例を説明する側断面図である。
【図10】従来の芳香剤容器の一事例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1‥‥包装袋
10‥‥側面シート
12‥‥底面シート
14‥‥側縁シール部
16‥‥上端縁シール部
18‥‥底縁シール部
20‥‥仕切りシート
22‥‥切断開封予定部
24‥‥ポリチャック
24a‥‥雌型テープ
24b‥‥雄型テープ
30‥‥薬剤
33‥‥開口部
50‥‥基材フィルム
52‥‥シーラント層
53‥‥アンカーコート層
54‥‥ガスバリア層
55‥‥アルミニウム箔
56‥‥一方向引裂性フィルム
100‥‥除湿剤容器
101‥‥従来の除湿剤容器の不織布
102‥‥従来の除湿剤容器の微多孔フィルム
103‥‥吸湿薬剤
105‥‥成形容器体
200‥‥芳香剤容器
211‥‥従来の芳香剤容器のカップ状容器本体
213‥‥従来の芳香剤容器のフランジ部
241‥‥内層材
242‥‥外層材
243‥‥芳香剤飛散用孔
V‥‥V型ノッチ
W‥‥ポリチャックの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも最内層がシーラント層でなり、該シーラント層で上端縁と側縁がシールされて上端縁シール部と側縁シール部を形成した包装袋において、前記上端縁シール部の下側でそれと略平行に切断開封予定部を有し、該切断開封予定部の下側内面に通気性を有する素材からなる仕切りシートが設けられていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記切断開封予定部と仕切りシートとの間にチャックが設けられていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記チャックと仕切りシートが一体化されて設けられていることを特徴とする請求項2記載の包装袋。
【請求項4】
前記切断開封予定部の側縁シール部にノッチが刻設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記上端縁シール部に対峙する下端縁の内面に最内層がシーラント層でなる底面シートがシールされている、縦方向に自立性を有するスタンディングタイプであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
前記袋内に除湿剤、消臭剤、芳香剤等のいずれかを収納してなる請求項1乃至5のいずれかに記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−81179(P2008−81179A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264572(P2006−264572)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】