説明

包装袋

【課題】 その目的とするところは包装箱を簡単な操作で開封して組立てられ包装袋の開封用蒸気抜き手段形成部を高い位置にして包装袋を傾斜させることができ、内容物が噴き零れることなく電子レンジ加熱可能な電子レンジ加熱用包装容器を提供することにある。
【解決手段】 加熱により上昇する蒸気圧により開口する蒸気抜き手段形成部を備えた包装袋に内容物が充填された包装体を包装箱に収納した電子レンジ加熱用包装容器であって、包装箱は、直方体形状であり、天面パネルの両端に亘って延びる開封用切目線が斜めに形成され、さらに開封用切目線が、両側面パネルを跨ぎ、底面パネルの両側近傍まで延びて形成され、開封用切目線を連結する折目線が底面パネルに設けられていると共に、包装袋が、包装箱内に収納された状態において、包装袋の蒸気抜き手段形成部が、上側面パネルと開封用切目線との距離が長い側の天面パネルの隅部近傍に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、粘体あるいは液体、粘体と固体とが混在する内容物を充填密封した蒸気抜き手段形成部を備えた包装袋を電子レンジで加熱するための電子レンジ加熱用包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理済あるいは半調理済の液体、粘体あるいは液体と固体とが混在する内容物、例えば、カレー、シチュー、スープ等の調理済食品をプラスチック製の包装袋に充填密封し、これを包装箱に収納して、食べるに際して電子レンジにより加熱調理する包装食品が多く市場に出回っている。最近、このような食品を収納する包装袋には、電子レンジで包装袋ごと加熱すると、食品から発生する蒸気や内部空気の熱膨張により包装袋内部の内圧が上昇すると、包装袋が破袋することのないように包装袋に蒸気抜き手段が形成され使用者に利便性を与える包装袋が多く使われている。このような包装袋は蒸気抜き手段が形成されているので電子レンジで加熱する場合に袋に蒸気抜き穴を開けたり、包装袋の隅部を一部切取ったりする手間がなく使用者にとって便利なものである。
【0003】
しかしながら前記内容物は流動性があるために電子レンジで加熱する場合、蒸気抜き手段形成部から加熱により上昇した内圧により蒸気抜き手段形成部が開封され包装袋内と外が蒸通した際に、その蒸通口より内容物が噴き零れ電子レンジ内を汚したり、手指等に火傷する等の恐れがあるために蒸気抜き手段形成部を上にして電子レンジ内で包装袋を立てた状態で保持する必要がある。そのような電子レンジ加熱用包装容器としてマイクロ波を通し、且つ上端部に開封ノッチを有するパウチと、該パウチを収容する容器とからなり、前記容器にはパウチの開封ノッチに対応する部分に開口用ミシン目を設けると共にその一側面に切起し折曲して容器衝立具を形成するための衝立用ミシン目を設けた構成であり、前記衝立用ミシン目は、容器一側面に上向きに単片状に切起片を形成し、これを下方に折曲して容器衝立具を形成できるように設ける電子レンジ用容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、マイクロ波を通しかつ上端部一側に開封ノッチを有する流動性内容物を充填密封したパウチと、前記開封ノッチ部に対向して開口部形成ミシン目を設けると共に裏面に起伏自在の折曲片を有する平板状の衝立用具を重設した耐熱性合成樹脂よりなるカートリッジとの組合せからなる電子レンジ用容器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記電子レンジ用容器は、電子レンジで立て掛け状態に支持しながら加熱されるので内容物の噴き零れが防止できる。しかしながら、特許文献1の電子レンジ用容器は、電子レンジで加熱する場合、箱形容器の開口用ミシン目を切開き除去してパウチの開封ノッチを開放除去すると共に衝立用ミシン目を切開いて切起片を外方に切起し断面三角状に折曲して箱形容器の裏側に容器衝立具を形成する必要があり、操作が面倒で手間隙がかかるという問題がある。
また、特許文献2の場合、耐熱性合成樹脂によるカートリッジと衝立用具が別部材として必要となり、別部材の費用が嵩み、また部材の在庫管理の手間が増えるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−99065号公報
【特許文献2】特開平11−113740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは衝立用具を使用することなく包装箱を簡単な操作で開封して組立てられ包装袋の開封用蒸気抜き手段形成部を高い位置にして包装袋を傾斜させることができ、内容物が噴き零れることなく電子レンジ加熱可能な電子レンジ加熱用包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、加熱により内部蒸気圧が所定圧力以上に上昇するとその蒸気圧により開口する蒸気抜き手段形成部を備えた包装袋と、前記包装袋を収納する包装箱とで構成され、前記包装袋に内容物が充填されてなる包装体を前記包装箱に収納した電子レンジ加熱用包装容器であって、前記包装箱は、天面パネルと、前記天面パネルに対向する底面パネルと、前記天面パネルおよび前記底面パネルの両端を連設し対向する両側面パネルと、さらに上側面パネル及び下側面パネルとで形成される直方体形状であり、前記天面パネルの両端に亘って延びる開封用切目線が斜めに形成され、さらに前記開封用切目線が、前記天面パネルに連設される両側面パネルを跨ぎ、前記天面パネルに対向する前記底面パネルの両側近傍まで延びて形成され、前記底面パネルの両端近傍まで延びて形成された前記開封用切目線を連結する折目線が前記底面パネルに設けられていると共に、前記包装袋が、前記包装箱内に収納された状態において、前記包装袋の前記蒸気抜き手段形成部が、前記上側面パネルと前記開封用切目線との距離が長い側の前記天面パネルの隅部近傍に位置していることを特徴とする電子レンジ加熱用包装容器である。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の電子レンジ加熱用包装容器において、前記開封用切目線が前記天面パネルを前記両側面パネル方向に3等分したとき、前記上側面パネルに近い区画された領域内に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の電子レンジ加熱用包装容器において、前記開封用切目線が2本の開封切目線により形成され、それぞれの両端が切目線で連結されたジッパー部であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装袋は、加熱により内部蒸気圧が所定圧力以上に上昇するとその蒸気圧により開口する蒸気抜き手段形成部を備えた包装袋と、前記包装袋を収納する包装箱とで構成され、前記包装袋に内容物が充填されてなる包装体を前記包装箱に収納した電子レンジ加熱用包装容器であって、前記包装箱は、天面パネルと、前記天面パネルに対向する底面パネルと、前記天面パネルおよび前記底面パネルの両端を連設し対向する両側面パネルと、さらに上側面パネル及び下側面パネルとで形成される直方体形状であり、前記天面パネルの両端に亘って延びる開封用切目線が斜めに形成され、さらに前記開封用切目線が、前記天面パネルに連設される両側面パネルを跨ぎ、前記天面パネルに対向する前記底面パネルの両側近傍まで延びて形成され、前記底面パネルの両端近傍まで延びて形成された前記開封用切目線を連結する折目線が前記底面パネルに設けられていると共に、前記包装袋が、前記包装箱内に収納された状態において、前記包装袋の前記蒸気抜き手段形成部が、前記上側面パネルと前記開封用切目線との距離が長い側の前記天面パネルの隅部近傍に位置している構成とすることにより、開封用切目線に沿って、包装箱を開封し、包装箱の上方部分を蓋体、下方部分を容器体として折目線で折り曲げて包装袋の上方の蒸気抜き手段形成部を露出させ、蓋体を接地側にして電子レンジ内に寝かせた状態で載置することにより、包装袋を傾斜させることができ蒸気抜き手段形成部が高い位置となり、内容物が下方に移動し電子レンジ加熱しても内容物が噴き零れることがないので電子レンジ内を汚すこともなく、手指に火傷することもないので衛生的で安全なものとできる。また、衝立用具を使用することがないので経済的であり、また、簡単な操作で包装箱を開封して組立てられるので衝立具を組み立てる操作も省け使用者に利便性を付与できる。
【0011】
また、請求項2記載の本発明は、前記開封用切目線が前記天面パネルを前記両側面パネル方向に3等分したとき、前記上側面パネルに近い区画された領域内に形成されている構成とすることにより、上記効果に加え、開封用切目線に沿って、包装箱を開封し、開封した部分を蓋体として折目線で折り曲げて蓋体を接地側にして電子レンジ内に寝かせた状態で載置することにより、包装袋を傾斜した状態に安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の天面パネル側(表面側)から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の底面パネル側(裏面側)から見た斜視図である。
【図3】本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装箱の一実施形態を示す平面展開図である。
【図4】本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装袋の一実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の使用状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装箱のその他の実施形態を示す平面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
図1は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の天面パネル側(表面側)から見た斜視図、図2は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の底面パネル側(裏面側)から見た斜視図、図3は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装箱の一実施形態を示す平面展開図、図4は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装袋の一実施形態を示す平面図、図5は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の使用状態を示す斜視図、図6は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装箱のその他の実施形態を示す平面展開図であり、図中のCは電子レンジ加熱用包装容器、Bは包装袋、Kは包装箱、K1は蓋体、K2は容器体、K2aは開口部、K2bは隅部、Pは包装体、1は天面パネル、1cは天面パネル隅部、1uは上側面パネル、1dは下側面パネル、2は底面パネル、2uは上側面パネル、2dは下側面パネル、3、4は側面パネル、3u、3d、4u、4dは折込フラップ、5は糊代フラップ、6は開封用切目線、6aは切目線、7は折目線、8はジッパー部、10は蒸気抜き手段形成部、10aはコの字状ポイントシール部、10bは未シール部、10cは蒸気抜き用切欠、11は上端縁熱接着部、12、13は側端縁熱接着部、14は下端縁熱接着部、20は積層体、21は基材層、22は中間層、23は熱接着性樹脂層をそれぞれ示す。
【0014】
図1は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の一実施形態を示す天面パネル側(表面側)から見た斜視図であり、図2は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の一実施形態を示す底面パネル側(裏面側)から見た斜視図である。図1、図2に示すように本発明の電子レンジ加熱用包装容器Cは、液体、粘体あるいは液体、粘体と固体とが混在する内容物、例えばカレー、シチュー、スープ等を蒸気抜き手段形成部10を備えた包装袋Bに充填密封されてなる包装体Pを包装袋Bの蒸気抜き手段形成部10が上側面パネル1uと側面パネル4とで囲まれる隅部に位置するようにして包装箱Kに収納した構成である。
【0015】
包装箱Kは、図3に示す1枚のブランク板から形成され、天面パネル1と、天面パネル1に対向する底面パネル2と、天面パネル1および底面パネル2の両端を連設し対向する側面パネル3及び側面パネル4と、さらに上側面パネル1u及び下側面パネル1dとで形成された偏平状の直方体形状である。
【0016】
包装箱Kの天面パネル1には天面パネル1の両端に亘って延びる開封用切目線6が斜めに形成され、さらに開封用切目線6が、天面パネル1に連設される両側面パネル3、4を跨ぎ、天面パネル1に対向する底面パネル2の両側近傍まで延びて形成され、底面パネル2の両端近傍まで延びて形成されている。さらに、開封用切目線6の両端を連結する折目線7が底面パネル2に設けられている。そして、包装袋Bの蒸気抜き手段形成部10が包装箱Kの上側面パネル1uから斜めに形成された開封用切目線6まで遠い方の天面パネル1の隅部1c近傍と対向する位置に形成されている。
【0017】
開封用切目線6は、天面パネル1に斜めに形成されていれば、直線でも曲線でもよい。一実施形態では、側面パネル3側から側面パネル4側に向かって下がり、上側面パネル1u側から下側面パネル1d側に湾曲した曲線で形成されている。開封用切目線6は切目と非切目(刃止め)からなるミシン目等のミシン目状破断線を用いて形成する。
【0018】
開封用切目線6を形成する位置は、天面パネル1を対向する両側面パネル3、4方向に3等分したとき、上側面パネル1uに近い区画領域内に形成されていることが好ましい。
【0019】
包装箱Kは、図3に示す1枚のブランクから形成され、汎用の製函機(サック貼機)を用いて、側面パネル3と糊代フラップ5を酢酸ビニル、アクリル系等の樹脂を主成分とする水性エマルジョンタイプ、またはホットメルトタイプの接着剤等により貼着させ、筒状に製函して筒状カートンを得る。そして、横型カートニングマシンを用いて、筒状カートンに包装袋Bに内容物が充填密封されてなる包装体Pを収納し折込フラップ3u、4u、3d、4dを内側にそれぞれ折り曲げ、さらに折り曲げられた折込フラップ3u、4u、3d、4dの外面に底面パネル2に連設される上側面パネル2uおよび下側面パネル2dを内側に折り曲げて覆い、さらに上側面パネル2u、下側面パネル2dの外面上にホットメルトタイプの接着剤等を塗布した後、天面パネル1に連設する上側面パネル1uおよび下側面パネル1dを内側に折り曲げて上側面パネル2u、下側面パネル2dに重ね合せて貼着することにより、包装箱Kが製造されると共に電子レンジ加熱用包装容器Cが製造される。なお、充填包装機により、1枚のブランクを供給し充填包装機で製函しながら包装体Pを包装して電子レンジ加熱用包装容器Cを製造する、通称ラップランド包装形態にしてもよい。
【0020】
本発明の電子レンジ加熱用包装容器Cは、包装袋Bが、包装箱K内に収納された状態において、包装袋Bに形成された蒸気抜き手段形成部10が、上側面パネル1uと開封用切目線6との距離が長い側の天面パネル1の隅部1c近傍に位置しているように、包装箱Kと包装袋Bとを位置合せして作製することが肝要である。
【0021】
本発明において、包装箱Kを構成する原紙としては、コートボール、マニラボール、チップボール等の板紙や、板紙にプラスチックフィルムをラミネートして耐水性を与えた材料が使用される。
【0022】
つぎに、本発明の電子レンジ加熱用包装容器を構成する包装袋について説明する。
図4は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装袋の一実施形態を示す平面図であり、図4(イ)は平面図、図4(ロ)はA−A線断面図で積層体の構成例と蒸気抜き手段形成部を示すものである。図4に示すように、包装袋Bは、基材層21、印刷層、接着層、中間層22、接着層、熱接着性樹脂層23を順次、積層した積層体20を用いて製袋されるものである。なお、図4(ロ)では、印刷層、接着層は省略し図示していない。中間層22は内容物や包装体の殺菌条件や包装体の輸送条件等を勘案して適宜設けるものであり、条件により省略できる層である。なお、印刷層、接着層は図示していない。
【0023】
本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の包装袋Bは、図4に示すように、2枚の略四角形の積層体20の熱接着性樹脂層23面同士を対向させて重ね合わせ、下端縁熱接着部14と、側端縁熱接着部12、13と、内容物を包装袋内に充填した後に熱接着される上端縁熱接着部11を設け周縁を熱接着した四方シールタイプの包装袋である。側端縁熱接着部12と上端縁熱接着部11に挟まれた隅部近傍に側端縁熱接着部12に連接して電子レンジ加熱により内部蒸気圧が所定圧力以上に上昇するとその蒸気圧により開口する蒸気抜き手段形成部10が設けられている。包装袋Bに備えた前記蒸気抜き手段形成部10の位置は、包装袋Bに内容物が充填されてなる包装体Pを包装箱Kに収納し電子レンジ加熱用包装容器Cとなったとき、図1に示すように上側面パネル1uと開封用切目線6との距離が長い側の天面パネル1の隅部1c近傍に位置となるように形成されている。
【0024】
図4に示すように側端縁熱接着部12と連接して形成された蒸気抜き手段形成部10は、側端縁熱接着部12に連接されたコの字状ポイントシール部10aを設け、このコの字状ポイントシール部10aに囲まれた未シール部10b内に蒸気抜き用切欠10cが設けられた構成である。コの字状ポイントシール部10aのシール幅としては、2mm〜5mm程度が好ましく、加熱による内圧でスムーズにシール剥離できる。シール幅が2mm未満であると、シール強度が不安定となるので好ましくなく、5mmを超えると、電子レンジ加熱による内圧でスムーズにシール剥離しにくくなるので好ましくない。周縁を熱接着して設けられた上端縁熱接着部11、側端縁熱接着部12、13及び下端縁熱接着部14のシール幅は通常5mm〜12mmにするのが好ましい。
【0025】
蒸気抜き手段形成部10を上記構成とすることにより、電子レンジによる加熱に際して、コの字状ポイントシール部10aが内圧により剥離後退して、未シール部10bに到達すると、未シール部10b内に設けた蒸気抜き用切欠10cより速やかに蒸気が抜け自動開封されるものである。
【0026】
蒸気抜き手段形成部10は一実施形態を示したものであり、この形態に限定されるものではなく側端縁熱接着部12に連接されずに独立して形成されてもよい。また、蒸気抜き用切欠を囲むポイントシール形状もコの字状、ロの字状、ドーナツ形状でもよい。蒸気抜き用切欠の形状も電子レンジ加熱により蒸気が包装袋の内から外へ放出される形状であれば使用でき、切目であってもよい。
【0027】
包装袋Bの積層体20を構成する基材層21としては、耐熱性を有し、通常、電子レンジによる加熱に耐えれるものであれば使用でき、限定されるものではない。例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム等のいずれか、またはこれらを2以上を積層した複合フィルムが使用できる。また、基材層21の厚みは10μm〜50μm、好ましくは10μm〜30μm程度である。
【0028】
中間層22としては、基材層21で示したフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が使用される。
【0029】
また、熱接着性樹脂層23を構成する樹脂は、通常、電子レンジによる加熱に耐えるものであれば使用できる。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマー等樹脂を使用できる。
【0030】
熱接着性樹脂層23はこれらの樹脂を押出ラミネート法により形成しても良いし、予め、Tダイ法またはインフレーション法等により製膜したフィルムとして、基材層21とドライラミネートあるいは押出ラミネート法等により積層しても良い。熱接着性樹脂層23の厚さは、20μm〜100μm程度が好ましい。
【0031】
また、熱接着性樹脂層23の樹脂としては、とりわけ、低温時(0℃)および常温時(25℃)において十分なシール強度があり、電子レンジ加熱時(90℃以上)にシール強度が低く、速やかに剥離する性質を有する樹脂として、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるものを使用することが好ましい。
【0032】
また、基材層21と熱接着性樹脂層23あるいは基材層21と中間層22と熱接着性樹脂層23は押出ラミネーション法、ドライラミネーション法等の通常のラミネーション法により積層されることにより積層体20が得られる。接着層とは押出ラミネーション法に使用されるポリオレフィン系樹脂等の接着樹脂層、ドライラミネーション法に使用される例えば、ウレタン系2液反応型接着剤等の接着剤層である。
【0033】
次に、図1、図5を参照しながら本発明の電子レンジ加熱用包装容器Cの使用方法と作用を説明する。本発明の電子レンジ加熱用包装容器Cを電子レンジで加熱をする場合には、包装箱Kの開封用切目線6を手指で切開き、包装箱Kの上方部分を蓋体K1、下方部分を容器体K2として蓋体K1を外方に折目線7で折り曲げて底面パネル2の外面同士を対向させて包装袋Bの上方の蒸気抜き手段形成部10を露出させ蓋体K1を接地側にして電子レンジ内に寝かせた状態で載置して加熱する。
【0034】
このように載置することにより、図5に示すように容器体K2の開口部K2a側から下側面パネル1d側に下りで且つ側面パネル4側から側面パネル3側に下りの傾斜面を有する状態に保持される。つまり、容器体K2の接地点は底面パネル2の側面パネル3と下側パネル1dとで挟まれた隅部K2bのみの状態となる。なお、図5におけるハッチングは、その状態を視覚的に示すために用いたものである。その結果、容器体K2内に収納されている包装体Pの包装袋Bに形成された蒸気抜き形成部10の位置が高い位置となり、内容物が隅部K2b側に移動し、蒸気抜き形成部10と内容物が離れた状態となる。さらに電子レンジ加熱により内圧上昇に伴い袋が膨張すると、より内容物が隅部K2b側に移動し蒸気抜き形成部10と内容物が離れた状態となる。その結果、内部蒸気圧が所定圧力以上に上昇するとその蒸気圧により蒸気抜き手段形成部10が開口し速やかに蒸気が抜け自動開封されるが、内容物が噴き零れることがないので電子レンジ内を汚すこともなく、手指に火傷することもないので衛生的で安全なものとできる。
【0035】
図6は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器Cの包装箱のその他の実施形態を示す平面展開図である。図6に示す1枚のブランク板は開封用切目線6が所定の間隔で2本形成され両端を切目線6aで連結され、2本の開封用切目線6と2本の切目線6aで区画された領域がジッパー部8とされた構成である。その他は一実施形態の包装箱Kと同じであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に説明する。
【実施例1】
【0037】
原紙に坪量310g/m2 のコートボールを使用し、打抜機で打抜き、図3に示すようなブランク板を作製した。ブランク板の各寸法は以下の通り。
天面パネル1、底面パネル2 :幅130mm×長さ160mm
側面パネル3、4 :幅20mm×長さ160mm
折込フラップ3u、3d、4u、4d:幅20mm×長さ20mm
上側面パネル1u、2u :幅130mm×長さ20mm
下側面パネル1d、2d :幅130mm×長さ20mm
糊代フラップ :幅10mm×長さ160mm
また、開封用切目線6、折目線7並びに連設される各パネル間および各パネルと各フラップ間には折罫線を打抜機で設けた。開封用切目線の位置はa=30mm、b=45mmとする斜め線とした。
【0038】
次に上記ブランク板を製凾機で側面パネル3と糊代フラップ5をアクリル系エマルジョン接着剤で接着し、スリーブを作製した。
包装箱仕上がり寸法:幅130mm×長さ160mm×高さ20mm
【0039】
次に、厚さ12μmのアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、15μmの延伸ナイロンフィルム、60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをウレタン系2液反応型接着剤でドライラミネートした積層体で、図4に示すような蒸気抜き手段形成部10を備えた包装袋B(外寸法、長さ:163mm、幅:131mm、端縁熱接着部のシール幅:10mm)を作製した。但し、上端縁熱接着部11となる部分は未シールとした。また、蒸気抜き手段形成部10は、コの字状ポイントシール部10a、未シール部10b、切欠10cからなり側端縁熱接着部12に連設して上端縁熱接着部11の内縁から30mmの位置に形成した。
コの字状ポイントシール部の寸法:長さ35mm、幅15mm、シール幅3mm
切欠の直径 :5mmφ
【0040】
上記で得られた包装袋の未シールとした開口部より、内容物として、市販のカレー210gを入れ、未シール部を熱接着して上端縁熱接着部11を形成し、内容物を密封し、120℃で30分間レトルト処理した後、包装体Pを作製した。
【0041】
次に、横型カートニングマシンにより、スリーブを筒状に起函して、包装体Pの包装袋Bの蒸気抜き手段形成部10の位置が、上側面パネル1uから開封用切目線6まで遠い方の天面パネル1の隅部1c近傍と対向する位置となるように、包装箱Kと包装体Pとを位置合せして収納し、電子レンジ加熱用包装容器Cを作製した。
【0042】
次に、包装箱Kの開封用切目線6を手指で切開き、蓋体K1を外方に折目線7で折り曲げて底面パネル2の外面同士を対向させて包装袋Bの上方の蒸気抜き手段形成部10を露出させて蓋体K1を接地側にして電子レンジ内に寝かせた状態で載置した。
上記状態を観察すると露出された包装体Pの包装袋Bに形成された蒸気抜き形成部10の位置が高い位置となり、カレーが隅部K2b側に移動し、蒸気抜き形成部10とカレーが離れた状態となった。そして、出力500Wの電子レンジで加熱すると内圧上昇に伴い包装袋が膨張し、さらにカレーが隅部K2b側に移動し蒸気抜き形成部10とカレーが離れた状態が観察された。約1分20秒後に切欠10cから速やかに蒸気が抜け包装袋が自動開封されたがカレーの噴き零れることがなかった。
【符号の説明】
【0043】
C 電子レンジ加熱用包装容器
B 包装袋
K 包装箱
K1 蓋体
K2 容器体
K2a 開口部
K2b 隅部
P 包装体
1 天面パネル
1c 天面パネル隅部
1u 上側面パネル
1d 下側面パネル
2 底面パネル
2u 上側面パネル
2d 下側面パネル
3 側面パネル
3u、3d 折込フラップ
4 側面パネル
4u、4d 折込フラップ
5 糊代フラップ
6 開封用切目線
6a 切目線
7 折目線
8 ジッパー部
10 蒸気抜き手段形成部
11 上端縁熱接着部
12、13 側端縁熱接着部
14 下端縁熱接着部
10a コの字状ポイントシール部
10b 未シール部
10c 蒸気抜き用切欠
20 積層体
21 基材層
22 中間層
23 熱接着性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により内部蒸気圧が所定圧力以上に上昇するとその蒸気圧により開口する蒸気抜き手段形成部を備えた包装袋と、前記包装袋を収納する包装箱とで構成され、前記包装袋に内容物が充填されてなる包装体を前記包装箱に収納した電子レンジ加熱用包装容器であって、
前記包装箱は、天面パネルと、前記天面パネルに対向する底面パネルと、前記天面パネルおよび前記底面パネルの両端を連設し対向する両側面パネルと、さらに上側面パネル及び下側面パネルとで形成される直方体形状であり、前記天面パネルの両端に亘って延びる開封用切目線が斜めに形成され、さらに前記開封用切目線が、前記天面パネルに連設される両側面パネルを跨ぎ、前記天面パネルに対向する前記底面パネルの両側近傍まで延びて形成され、前記底面パネルの両端近傍まで延びて形成された前記開封用切目線を連結する折目線が前記底面パネルに設けられていると共に、前記包装袋が、前記包装箱内に収納された状態において、前記包装袋の前記蒸気抜き手段形成部が、前記上側面パネルと前記開封用切目線との距離が長い側の前記天面パネルの隅部近傍に位置していることを特徴とする電子レンジ加熱用包装容器。
【請求項2】
前記開封用切目線が前記天面パネルを前記両側面パネル方向に3等分したとき、前記上側面パネルに近い区画された領域内に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ加熱用包装容器。
【請求項3】
前記開封用切目線が2本の開封切目線により形成され、それぞれの両端が切目線で連結されたジッパー部であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ加熱用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−201375(P2012−201375A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65206(P2011−65206)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】