説明

化学療法剤と組み合わせた癌の治療用免疫サイトカイン

本発明は、テネイシン−Cを標的とする抗体−インターロイキン2(IL2)コンジュゲートと組み合わせて、抗癌剤、例えばドキソルビシンまたはパクリタキセルを使用する癌の治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学療法剤と免疫サイトカインとの組合せを使用した癌の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
テネイシン−Cは、細胞接着を調節する細胞外マトリックスの大型六量体糖タンパク質である。これは、細胞増殖および細胞遊走などのプロセスに関与しており、形態形成および胚形成の間、ならびに腫瘍形成または血管新生下で生じる組織構造の変化に関係している。
【0003】
テネイシン−Cの大型アイソフォーム(large isoform)の強力な過剰発現は、多くの腫瘍で報告されており[Borsi 1992年 上記]、ドメインA1およびドメインDに特異的なモノクローナル抗体は、それぞれ、臨床において広範に特徴づけられている[Riva Pら Int J Cancer 1992年;第51巻:7〜13頁、Riva Pら Cancer Res 1995年;第55巻:5952s〜5956s頁、Paganelli Gら Eur J Nucl Med 1994年;第21巻:314〜321頁、Reardon DAら J Clin Oncol 2002年;第20巻:1389〜1397頁、Bigner DDら J Clin Oncol 1998年;第16巻:2202〜2212頁]。
【0004】
テネイシン−Cに特異的なヒトモノクローナル抗体断片は、国際公開第2006/050834号パンフレットに記載されており、正常組織と比べて優先的に腫瘍組織と結合することが示されている。これらの抗体は、例えば、サイトカインなどのトキシンを腫瘍細胞へと特異的に送達するのに有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/050834パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第184187号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2188638(A)号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第239400号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0120694号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0125023号明細書
【特許文献7】PCT/US92/09965
【特許文献8】国際公開第94/13804号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Borsi 1992 上記
【非特許文献2】Riva Pら Int J Cancer 1992年;第51巻:7〜13頁
【非特許文献3】Riva Pら Cancer Res 1995年;第55巻:5952s〜5956s頁、
【非特許文献4】Paganelli Gら Eur J Nucl Med 1994年;第21巻:314〜321頁
【非特許文献5】Reardon DAら J Clin Oncol 2002年;第20巻:1389〜1397頁
【非特許文献6】Bigner DDら J Clin Oncol 1998年;第16巻:2202〜2212頁
【非特許文献7】Altschulら(1990年)J.Mol.Biol.第215巻:405〜410頁
【非特許文献8】PearsonおよびLipman(1988年)PNAS USA 第85巻:2444〜2448頁
【非特許文献9】SmithおよびWaterman(1981年)J.Mol Biol.第147巻:195〜197頁
【非特許文献10】Nucl.Acids Res.(1997年)第25巻 3389〜3402頁
【非特許文献11】Ward,E.S.ら、Nature 第341巻、544〜546頁(1989年)
【非特許文献12】Birdら、Science、第242巻、423〜426頁、1988年
【非特許文献13】Hustonら、PNAS USA、第85巻、5879〜5883頁、1988年
【非特許文献14】P.Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第90巻 6444〜6448頁、1993年
【非特許文献15】Y.Reiterら Nature Biotech 第14巻 1239〜1245頁 1996年
【非特許文献16】S.Huら、Cancer Res.第56巻 3055〜3061頁 1996年
【非特許文献17】Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.US Department of Health and Human Services.1987年
【非特許文献18】http://immuno.bme.nwu.edu
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、テネイシン−Cを標的とする抗体−サイトカインコンジュゲートが、癌の治療において、ドキソルビシンおよびパクリタキセルなどの抗癌化合物と予想外の相乗作用を示すことを発見した。
【0008】
本発明の一態様では、抗癌化合物および抗体−インターロイキン2(IL2)コンジュゲートを、それを必要とする個体に投与することを含み、ここで抗体−IL2コンジュゲートが、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたIL2を含む、癌の治療方法が提供される。
【0009】
本発明の他の態様では、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートと組み合わせて、それを必要としている個体に抗癌化合物を投与することを含む癌の治療方法に使用するための抗癌化合物、および抗体−IL2コンジュゲートと組み合わせて、それを必要とする個体に抗癌化合物を投与することを含む癌の治療方法で使用するための薬剤の製造における抗癌化合物の使用が提供され、前記抗体−IL2コンジュゲートは、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む。
【0010】
本発明の他の態様では、抗体−IL2コンジュゲートを、抗癌化合物と組み合わせて、それを必要とする個体に投与することを含む癌の治療方法で使用するための、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲート、および抗体−IL2コンジュゲートを、抗癌化合物と組み合わせて、それを必要とする個体に投与することを含む癌の治療方法で使用するための薬剤の製造における、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートの使用が提供される。
【0011】
本発明の他の態様では、抗体−IL2コンジュゲートおよび抗癌化合物をそれを必要とする個体に投与することを含む癌の治療方法で使用するための、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートと抗癌化合物との組合せ、ならびに抗体−IL2コンジュゲートおよび抗癌化合物をそれを必要とする個体に投与することを含む癌の治療方法で使用するための薬剤の製造における、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートと抗癌化合物との組合せの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ドキソルビシンのプレ注射後に投与された標識F16−IL2の生体内分布を示す図である。
【図2】ドキソルビシンのプレ注射後に投与された標識F16−IL2の生体内分布を示す図である。
【図3】ドキソルビシンのプレ注射後に投与された標識F16−IL2の生体内分布を示す図である。
【図4】ドキソルビシンのプレ注射後に投与された標識F16−IL2の生体内分布を示す図である。
【図5】ヌードマウスに移植されたMDA−MB231ヒト乳癌腫瘍に対する、ドキソルビシン、F16−IL2、および組換えIL2の効果を示す図である。
【図6】ヌードマウスに移植されたMDA−MB231ヒト乳癌腫瘍に対する、パクリタキセル(タキソール(商標))およびF16−IL2の効果を示す図である。
【図7】小型テネイシン−Cアイソフォーム(A)および大型テネイシン−Cアイソフォーム(B)の模式図を示す図である。いくつかのフィブロネクチンタイプIII様ドメインは、選択的スプライシングの影響下にあり、分子に含まれているか(B)または除外されているか(A)のいずれかである。テネイシンCのアミノ酸配列およびコーディングヌクレオチド配列は、それぞれ、配列データベース参照番号NP_002151.1 GI:4504549およびNM_002160.1 GI:4504548として公表されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中に記載されているような治療に好適な癌には、任意のタイプの固形癌もしくは非固形癌または悪性リンパ腫、特に白血病、肉腫、皮膚癌、膀胱癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頚癌、肝臓癌、頭頸部癌、食道癌、膵臓癌、腎癌、胃癌、および大脳癌が含まれる。癌は家族性であってもよく、または散発性であってもよい。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態では、癌は乳癌であってもよい。
【0015】
抗癌化合物とは、癌細胞の成長、分裂、および/または増殖を阻害する細胞毒性化合物である。抗癌化合物は、ある場合には、患者の正常な非癌細胞に影響を与える場合がある。例えば、抗癌化合物は、細胞周期を阻害、またはアポトーシスを活性化する場合がある。細胞周期を阻害する好適な抗癌化合物には、有糸分裂紡錘体形成の阻害剤を含むDNA損傷剤および抗有系分裂剤が含まれる。
【0016】
DNA損傷剤は、細胞内DNAのDNA DSBを誘導し、それによってDNA複製を阻害または破棄する化学療法化合物である。癌の治療に使用するための多くの好適な化合物が、当技術分野で知られており、例えば、ブレオマイシンヒドルキシ尿素(bleomycin hydorxyurea)、マイトマイシン、およびアクチノマイシン、ならびにダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、およびバルルビシンなどのアントラサイクリン(anthracyline)、エトポシドおよびテニポシド、およびテカン(tecan)ファミリーのメンバー、例えばイリノテカン、トポテカン、ルビテカン(rubitecan)を含むトポイソメラーゼIおよびII活性の阻害剤が含まれる。DNA損傷剤は、任意の便利な形態または製剤で、本明細書中に記載されているように使用することができる。例えば、特定のDNA損傷剤の任意の好適な異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態、またはプロドラッグを使用することができる。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、DNA損傷剤は、ドキソルビシン((8S,10S)−10−(4−アミノ−5−ヒドロキシ−6−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(2−ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン)である。ドキソルビシンは、アドリアマイシン(商標)およびルベックス(商標)などの商品名で癌の治療に広く使用されているアントラサイクリン・インターカレート剤である。
【0018】
有糸分裂紡錘体形成を阻害する抗癌化合物は、例えば微小管に結合し、微小管重合または微小管安定性を変更して、細胞周期進行の阻害および最終的にはアポトーシスを導くことができる。有糸分裂紡錘体形成阻害剤の例には、タキサン、例えばパクリタキセル(タキソール(商標):β−(ベンゾイルアミノ)−α−ヒドロキシ−,6,12b−ビス(アセチルオキシ)−12−(ベンゾイルオキシ)−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−4,11−ジヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−5−オキソ−7,11−メタノ−1H−シクロデカ(3,4)ベンズ(1,2−b)オキセト−9−イルエステル,(2aR−(2a−α,4−β,4a−β,6−β,9−α(α−R,β−S),11−α,12−α,12a−α,2b−α))−ベンゼンプロパン酸)およびその類似体または誘導体が含まれる。
【0019】
タキサンとは、4員のオキセタン環と連結されている15員のタキサン環系からなる複合エステルである。好ましいタキサンは、微小管形成の増強に必要であることが当技術分野で知られている成分を有するもの、例えばパクリタキセルおよびドセタキセルである。パクリタキセルおよびドセタキセルの構造は、タキサン環C−10位における置換、およびC−13に結合されているエステル側鎖における置換の点で異なっている。ドセタキセルは、C−13位の(2R,3S)−フェニルイソセリン部分のアミノ基に、ベンゾイルの代わりにt−ブトキシカルボニルを有し、C−10のアセトキシ基の代わりにヒドロキシル基を有する。パクリタキセルおよびドセタキセルの構造は、当技術分野で周知である。
【0020】
本明細書中に記載されているような使用に好適な他のタキサンは、炭素6〜12を含むパクリタキセル分子の部分に沿って、C−7、C−9、およびC−10に酸素官能基を有する構造的変異を有するパクリタキセル誘導体である。多数のそのような誘導体が当技術分野で知られており、そのような誘導体は、パクリタキセルの生物活性に匹敵する生物学的活性を示すことが知られている。例えば、C−7ヒドロキシル基のアシル化、または水素によるその置換は、パクリタキセルの活性を有意には低減しない。加えて、10位のアセトキシ基を水素と置換しても、ほんの少しの活性低下が引き起こされるだけである。
【0021】
C−9カルボニル基をα−OH基へと還元すると、チューブリン形成活性のわずかな増大が引き起こされることが知られている。加えて、シクロプロパン環が7位および8位を架橋している転位生成物は、パクリタキセルとほぼ同様に細胞毒性であることが知られている。m−置換ベンゾイル誘導体は、それらのp−置換類似体より活性であり、多くの場合パクリタキセル自体より活性であることも報告されている。
【0022】
本明細書中に記載されているような使用に好適な別のパクリタキセル類似体は、A−ノル−パクリタキセル(A−nor−paclitaxel)である。この類似体は、パクリタキセルの活性のほんの3分の1であるチューブリン形成活性を示す。A−ノル−パクリタキセルおよびパクリタキセルは、非常に類似した分子形状を有しており、それにより、それらのチューブリン形成活性が類似していることが説明できる。
【0023】
他の好適なタキサンは、タキサズム(taxasm)、7−エピパクリタキセル、t−アセチルパクリタキセル、10−デスアセチル−パクリタキセル、10−デスアセチル−7−エピパクリタキセル、7−キシロシルパクリタキセル、10−デスアセチル−7−グルタリルパクリタキセル、7−N,N−ジメチルグリシルパクリタキセル、7−L−アラニルパクリタキセル、およびそれらの混合物である。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態では、抗癌化合物はパクリタキセルである。
【0025】
本明細書中に記載されているような使用のための抗体−IL2コンジュゲートは、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含むことができる。
【0026】
インターロイキン−2(IL2)は、免疫調節と、Tリンパ球およびBリンパ球の増殖とに関与する分泌サイトカインである。IL2は、腫瘍細胞に対して細胞毒性効果を有することが示されており、組換えヒトIL2(アルデスロイキン:プロロイキン(Proleukin)(登録商標))は、転移性腎癌および転移性黒色腫の治療用にFDA承認を有する。ヒトIL2の配列は、配列番号11に提示されており、配列データベース参照番号NP_000577.2 GI:28178861として公表されている。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態では、抗体−IL2コンジュゲートのIL2部分は、配列番号11に提示されている成熟ヒトIL2配列と、少なくとも90%の配列同一性、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0028】
配列同一性は、一般的にアルゴリズムGAPに準拠して定義される(Wisconsin GCG package、Accelerys Inc社製、サンディエゴ USA)。GAPは、ニードルマン−ブンシュアルゴリズム(Needleman and Wunsch algorithm)を使用して、一致の数を最大化しギャップの数を最小化する2つの完全配列を整列する。一般的には、ギャップ生成ペナルティ=12およびギャップ伸長ペナルティ=4を用いて、初期設定パラメーターが使用される。GAPの使用が好ましい場合があるが、他のアルゴリズム、例えばBLAST(Altschulら(1990年)J.Mol.Biol.第215巻:405〜410頁の方法を使用している)、FASTA(PearsonおよびLipman(1988年)PNAS USA 第85巻:2444〜2448頁の方法を使用している)、またはスミス−ウォーターマンアルゴリズム(Smith−Waterman algorithm)(SmithおよびWaterman(1981年)J.Mol Biol.第147巻:195〜197頁)、または上記のAltschulら(1990年)のTBLASTNプログラムを、一般的には初期設定パラメーターを用いて使用してもよい。特に、psi−Blastアルゴリズム(Nucl.Acids Res.(1997年)第25巻 3389〜3402頁)を使用することができる。
【0029】
いくつかの特に好ましい実施形態では、抗体−IL2コンジュゲートのIL2部分は、配列番号11に提示されている成熟ヒトIL2の配列を含む。
【0030】
IL2部分は、抗体またはそのポリペプチド構成要素の上流(N末端)または下流(C末端)に融合することができる。
【0031】
IL2部分は、任意の好適な共有結合手段または非共有結合手段によって、抗体−IL2コンジュゲートの抗体部分に接続または結合することができる。好ましい実施形態では、抗体−IL2コンジュゲートは、IL2および抗テネイシンC抗体またはそのポリペプチド構成要素(例えば、抗体またはFabなどの多鎖抗体断片の重鎖または軽鎖)を含む融合タンパク質であってもよい。したがって、例えば、IL2部分は、抗体のVHドメインまたはVLドメインに融合することができる。典型的には、抗体またはその構成要素とIL2部分は、ペプチドリンカー、例えば約5〜25残基、例えば10〜20残基、好ましくは約15残基のペプチドを介して結合されている。ペプチドリンカーの好適な例は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号12で示されているようなアミノ酸配列を有してもよい。通常、リンカーは、モチーフの1つまたは複数のタンデムリピートを含むアミノ酸配列を有する。典型的には、モチーフは5個の残基の配列であり、好ましくは、残基のうち少なくとも4個はGlyまたはSerである。5個の残基のうちの4個がGlyまたはSerである場合、残りの残基はAlaであってもよい。より好ましくは、5個の残基の各々はGlyまたはSerである。好ましいモチーフは、GGGGS、SSSSG、GSGSA、およびGGSGGである。好ましくは、モチーフは、配列において隣接しており、介在するヌクレオチドがリピート間に存在しない。リンカー配列は、モチーフの1つから5つのリピート、好ましくはモチーフの3つまたは4つのリピートを含んでいてもよく、またはそれらからなっていてもよい。例えば、3つのタンデムリピートを有するリンカーは、以下のアミノ酸配列の1つを有していてもよい:
GGGGSGGGGSGGGGS−配列番号13
SSSSGSSSSGSSSSG−配列番号14
GSGSAGSGSAGSGSA−配列番号15
GGSGGGGSGGGGSGG−配列番号16
好ましい実施形態では、抗体−IL2コンジュゲートの抗体部分は、テネイシン−C大型アイソフォームに特異的に結合する。例えば、抗体は、テネイシン−C小型アイソフォームと比べて、テネイシン−C大型アイソフォームと優先的に結合することができる。最も好ましくは、抗体は、テネイシン−C大型アイソフォームのA1ドメインに結合する。
【0032】
好ましい抗体は、腫瘍特異的であり、正常組織と比べて腫瘍組織に優先的に結合する。抗体は、例えば、腫瘍組織の間質ならびに/または新生血管構造および血管周囲構造に対して、正常組織より優先的に結合することができる。
【0033】
抗体−IL2コンジュゲートに使用するための好適な抗体の例は、国際公開第2006/050834号パンフレットに開示されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されているような抗体−IL2コンジュゲートの抗体部分は、配列番号2の4A1−F16 VHドメインおよび配列番号4の4A1−F16 VLドメインを含む抗体と、テネイシン−Cに対する結合に競合する。
【0035】
抗体間の競合は、例えばELISAを使用して、および/または他の未標識抗体(複数可)の存在下で検出することができる1つの抗体に対する特異的リポーター分子の標識化によって、in vitroで容易にアッセイすることができ、同一エピトープまたは重複するエピトープに結合する抗体の同定を可能にする。
【0036】
本明細書中に記載されているような抗体−IL2コンジュゲートに使用するための好適な抗体は、VHドメインおよびVLドメインを含む抗体抗原結合部位を含んでいてもよく、
VHドメインは、配列番号5のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、および配列番号7のVH CDR3を含み、
VLドメインは、配列番号8のVL CDR1、配列番号9のVL CDR2、および配列番号10のVL CDR3を含む。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態では、抗体は、配列番号2の4A1−F16 VHドメインおよび配列番号4の4A1−F16 VLドメインを含む抗体抗原結合部位を含んでいてもよい。
【0038】
これらのVHドメインおよびVLドメインならびにCDRの変異体も、本明細書中に記載されているような抗体−IL2コンジュゲートに使用するための抗体に使用することができる。好適な変異体は、配列変更または突然変異およびスクリーニングの方法によって取得することができる。
【0039】
本明細書中に記載されているような使用のための特定の変異体は、1つまたは複数のアミノ酸配列変更(アミノ酸残基の付加、欠失、置換、および/または挿入)、恐らくは、約20未満の変更、約15未満の変更、約10未満の変更、または約5つ未満の変更、4、3、2、または1つの変更を含んでいてもよい。1つまたは複数のフレームワーク領域および/または1つまたは複数のCDRに、変更がなされていてもよい。特に、VH CDR1、VH CDR2、および/またはVH CDR3、特にVH CDR3に変更がなされていてもよい。
【0040】
抗癌化合物、抗体−IL2コンジュゲート、およびこれらの分子の1つまたは両方を含む組成物の投与は、好ましくは「治療上有効な量」内であり、これは患者に有益性を示すのに十分である。そのような有益性は、少なくとも1つの徴候の少なくとも寛解であり得る。実際の投与量、ならびに投与の速度および時間的経過は、治療されるものの性質および重症度に依存するであろう。治療の処方、例えば用量などに関する決定は、一般開業医および他の医師の責任内にある。
【0041】
正確な用量は、多くの要素、治療される区域の大きさおよび位置、抗体−IL2コンジュゲートの厳密な性質(例えば、全抗体、断片、または二重特異性抗体(diabody))に依存するであろう。典型的な抗体−IL2コンジュゲート用量は、全身投与の場合は0.5mgから100g、局所投与の場合は10μgから1mgの範囲であろう。典型的には、コンジュゲートの抗体部分は、全抗体、好ましくはIgG1またはIgG4アイソタイプであろう。これは、成人患者の単回治療用の用量であり、小児および幼児用には比例的に調節することができ、他の抗体構成用に分子量に比例させて調節することもできる。抗癌化合物用の適切な用量および投薬計画は、当技術分野で周知である。
【0042】
治療は、医師の裁量により、毎日、週2回、毎週、または毎月の間隔で反復することができる。
【0043】
抗体−IL2コンジュゲートおよび抗癌化合物は、任意の好適な投薬計画に従って、順次または同時に投与することができる。
【0044】
抗体−IL2コンジュゲートおよび抗癌化合物は、通常、活性化合物に加えて少なくとも1つの成分を含んでいてもよい医薬組成物の形態で個体に投与されるであろう。
【0045】
好適な成分には、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、または当業者に周知の他の物質が含まれる。そのような物質は非毒性であるべきで、活性成分の効果を妨げるべきではない。担体または他の物質の厳密な性質は、投与経路に依存するであろうし、投与経路は、経口であってもよく、または注射によって、例えば静脈内でもよい。
【0046】
抗体−IL2コンジュゲートおよび抗癌化合物は、別々の医薬組成物中に配合してもよく、または適切な場合には、同一医薬組成物中に配合してもよい。
【0047】
本発明の別の態様では、抗癌化合物と、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートとを含む癌の治療に使用するための医薬組成物が提供される。
【0048】
本発明の別の態様では、抗癌化合物と、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートとを配合することを含む癌の治療に使用するための医薬組成物を作製するための方法が提供される。
【0049】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、散剤、または液剤の形態であってもよい。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体を含むことができる。液状医薬組成物は、一般的に、水、石油、動物油もしくは植物油、鉱油、または合成油などの液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他のサッカライド溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれていてもよい。
【0050】
静脈注射または疾患部位への注射の場合、活性成分は、発熱性物質を含まない、好適なpH、等張性、および安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形態であろう。当業者であれば、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを使用して、好適な溶液を調製することが十分に可能である。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤、および/または他の添加剤が含まれていてもよい。
【0051】
本発明の別の態様では、抗癌化合物と、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートとを含む癌の治療に使用するための治療用キットが提供される。
【0052】
キットの構成要素(すなわち、抗癌化合物および抗体−IL2コンジュゲート)は、無菌であり、密封されたバイアルまたは他の容器の中にある。キットは、本明細書中に記載されている方法で構成要素を使用するための説明書をさらに含んでいてもよい。キットの構成要素は、容器、例えば、袋、箱、ビン、カン、またはブリスターパックに含まれていてもよく、または包装されていてもよい。
【0053】
用語
抗体
これは天然であるか、または部分的合成もしくは全合成的に生成されたかにかかわらず、これから免疫グロブリンを表す。この用語は、抗体結合ドメインであるかまたは抗体結合ドメインと実質的に相同的である結合ドメインを有する任意のポリペプチドまたはタンパク質も包含する。抗体の例は、免疫グロブリンアイソタイプおよびそれらのアイソタイプのサブクラス;Fab、scFv、Fv、dAb、Fdなどの抗原結合ドメインを含む断片;ならびに二重特異性抗体である。
【0054】
モノクローナル抗体および他の抗体を採取し、組換えDNA技術の手法を使用して、元の抗体の特異性を保持する他の抗体またはキメラ分子を産生することが可能である。そのような手法は、抗体の免疫グロブリン可変領域または相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを、異なる免疫グロブリンの定常領域、またはフレームワーク領域を有する定常領域に導入することを伴っていてもよい。例えば、欧州特許出願公開第184187号明細書、英国特許出願公開第2188638(A)号明細書、または欧州特許出願公開第239400号明細書を参照されたい。ハイブリドーマまたは抗体を産生する他の細胞は、遺伝子突然変異または他の変化の影響下にある可能性があり、産生された抗体の結合特異性を変更する場合もまたは変更しない場合もある。
【0055】
抗体は様々な様式で修飾されている場合があるため、「抗体」という用語は、必要とされる特異性を有する結合ドメインを有する任意の特異的結合メンバーまたは物質を包含すると解釈されるべきである。したがって、この用語は、天然であるか、または部分的合成もしくは全合成的に産生されたかにかかわらず、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含む、抗体の抗体断片、誘導体、機能的等価物、および相同体を包含する。したがって、別のポリペプチドに融合された免疫グロブリン結合ドメインを含むキメラ分子、または等価物が含まれる。キメラ抗体のクローニングおよび発現は、欧州特許出願公開第0120694号明細書および欧州特許出願公開第0125023号明細書に記載されている。
【0056】
全抗体の断片は、抗原に結合するという機能を果たし得ることが示されている。結合断片の例は、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFab断片;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片;(iv)VHドメインからなるdAb断片(Ward,E.S.ら、Nature 第341巻、544〜546頁(1989年));(v)単離されたCDR領域;(vi)F(ab’)2断片、2つの連結されたFab断片を含む二価断片;(vii)VHドメインおよびVLドメインが、この2つのドメインを結合させて抗原結合部位の形成を可能にするペプチドリンカーによって連結されている単一鎖Fv分子(scFv)(Birdら、Science、第242巻、423〜426頁、1988年;Hustonら、PNAS USA、第85巻、5879〜5883頁、1988年);(viii)二重特異的な単一鎖Fv二量体(PCT/US92/09965)および(ix)「二重特異性抗体」、遺伝子融合によって構築された多価性または多重特異性断片(国際公開第94/13804号パンフレット;P.Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 第90巻 6444〜6448頁、1993年)である。Fv、scFv、または二重特異性抗体分子は、VHドメインとVLドメインとを連結するジスルフィド架橋を組み入れることによって安定化することができる(Y.Reiterら Nature Biotech 第14巻 1239〜1245頁 1996年)。CH3ドメインに結合されたscFvを含むミニ抗体(Minibody)も作製することができる(S.Huら、Cancer Res.第56巻 3055〜3061頁 1996年)。
【0057】
二重特異性抗体はポリペプチドの多量体であり、各ポリペプチドは、免疫グロブリン軽鎖の結合領域を含む第1のドメインと、免疫グロブリン重鎖の結合領域を含む第2のドメインとを含み、この2つのドメインは連結されている(例えば、ペプチドリンカーによって)が、互いに結合して抗原結合部位を形成することはできず、抗原結合部位は、多量体内の一方のポリペプチドの第1のドメインと、多量体内の別のポリペプチドの第2のドメインとの結合によって形成される(国際公開第94/13804号パンフレット)。
【0058】
抗原結合ドメイン
これは、抗原に特異的に結合し、抗原の一部またはすべてに相補的である区域を含む抗体の部分を表す。抗原が大きい場合、抗体は、抗原の特定の部分に結合できるだけであり、その部分はエピトープと称されている。抗原結合ドメインは、1つまたは複数の抗体可変ドメインによって提供されてもよい(例えば、VHドメインからなるいわゆるFd抗体断片)。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
【0059】
特異性
これは、特異的な結合対の1つのメンバーが、その特異的結合パートナー(複数可)以外の分子とはいかなる有意な結合をも示さない状況を指すために使用することができる。例えば、テネイシン−Cに特異的な抗体は、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスの他の構成要素に対して、ほぼまたは全く結合を示すことはできない。同様に、テネイシン−C大型アイソフォームに特異的な抗体は、テネイシン−C小型アイソフォームに対して、ほぼまたは全く結合を示すことができない。この用語は、例えば、抗原結合ドメインが、多数の抗原によって担持されている特定のエピトープに特異的である場合にも適用可能であり、その場合には、抗原結合ドメインを担持する特異的結合メンバーは、エピトープを担持する種々の抗原に結合することができるであろう。
【0060】
含む(Comprise)
これは、包む(include)という意味で一般的に使用され、換言すると、1つまたは複数の特徴または構成要素の存在が許容されるということである。
【0061】
「実質的に提示されているように」とは、本発明の関連CDRまたはVHドメインもしくはVLドメインが、本明細書中に提示されている配列の特定の領域と同一であるか、または高度に類似するであろうことを意味する。「高度に類似した」によって、1つから5つまで、好ましくは、1つから3つまたは1つもしくは2つ、あるいは3つまたは4つなどの1つから4つの置換が、CDRおよび/またはVHドメインもしくはVLドメインになされていてもよいことが企図されている。
【0062】
本発明のCDRを担持するための構造は、一般的に、そのCDRが、再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされる天然のVH抗体可変ドメインおよびVL抗体可変ドメインのCDRに対応する位置に位置する抗体重鎖配列もしくは抗体軽鎖配列またはその実質的な部分であろう。免疫グロブリン可変ドメインおよびCDRの構造および位置は、(Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.US Department of Health and Human Services.1987年、およびその改訂版、現在はインターネットで入手可能である(http://immuno.bme.nwu.edu))を参照することによって決定することができる。
【0063】
当業者であれば、本開示を考慮すると、本発明の種々のさらなる態様および実施形態が明白になろう。本明細書において言及された文書およびデータベースエントリーはすべて、参照によってそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「および/または」は、2つの特定の特徴または構成要素の各々の、他方の有無にかかわらない具体的な開示として受け取られるべきである。例えば、「Aおよび/またはB」は、(i)A、(ii)B、および(iii)AおよびBの各々の具体的な開示として、あたかも各々が本明細書中で個々に提示されるように受け取られるべきである。
【0065】
状況がそうでないと指示しない限り、上記で提示された特徴の記載および定義は、本発明の任意の特定の態様または実施形態に限定されず、記載されているすべての態様および実施形態に等しく適用される。
【実施例】
【0066】
これから、本発明の特定の態様および実施形態を、上記で説明された図および下記で説明する表を参照して、実施例によって例示する。
【0067】
実験
生体内分布
生体内分布解析によってin vivoターゲティング能力を評価した。10個のMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を、10週齢から12週齢のBalb/cヌード雌マウス(Charles River Laboratories社製)に皮下注射することによって、担癌マウスを得た。腫瘍が明白に触知可能になったときにマウスを群別し(n≧5)、生体内分布の8日前、24時間前、または2時間前に、10mg/kgのドキソルビシンを側尾静脈に静脈注射した。対照群は、ドキソルビシン投与から除外した。精製F16−IL2を放射性ヨウ素で標識し、全マウスの側尾静脈に注射した。注射(マウス1匹当たり12.5μg、3.3μCi)の24時間後にマウスを犠牲にした。臓器を計量し、Packard社製Cobraガンマ計で放射活性を計数した。代表的な臓器の放射活性量は、組織のグラム当たり注射用量のパーセンテージ(%ID/g)として表した。
【0068】
これらの実験の結果により、ドキソルビシンの事前注射は、免疫サイトカインの腫瘍ターゲティングを損なわないことが示された(図1〜4)。
【0069】
治療
2×10個のMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を、10週齢から12週齢のBalb/cヌード雌マウス(Charles River Laboratories社製)に皮下注射することによって、担癌マウスを得た。腫瘍が明白に触知可能であった腫瘍細胞移植の9日後にマウスを群別し(n=5)、生理食塩水、20μgのF16−IL2(6.6μgのIL2に相当する)、6.6μgの組換えIL2(プロロイキン(登録商標))、および4mg/kgまたは1mg/kgのドキソルビシンを、250μlの最大容積で側尾静脈に静脈注射した。マウスを毎日モニターし、週3回カリパスを用いて、以下の式:容積=長さ×幅2×0.5を使用して腫瘍の増殖を測定した。腫瘍が2000mmを超える容積に達したとき、または腫瘍が、スイス規則(Swiss regulations)に従って、およびVeterinaramt des Kantons Zurich(198/2005)によって与えられたプロジェクトライセンスに基づいて壊死性になったとき、動物を犠牲にした。腫瘍の大きさは、平均±SEとして表す。
【0070】
ヌードマウスに移植したMDA−MB231ヒト乳癌モデルにおいて、F16−IL2とドキソルビシンとの間に相乗効果が認められた(図5)。より高用量のドキソルビシンが、より低い用量よりさらに効果的だったことも認められた。
【0071】
同じ方法で作製した担癌マウスの側尾静脈に、生理食塩水、20μgのF16−IL2(6.6μgのIL2に相当する)、および1mg/kgまたは5mg/kgのタキソール(商標)を、250μlの最大容積で静脈注射した。上記で記載したようにマウスをモニターし、腫瘍の成長を測定した。
【0072】
ヌードマウスに移植したMDA−MB231ヒト乳癌モデルにおいて、F16−IL2とタキソール(商標)との間に相乗効果が認められた(図6)。
【0073】
配列
配列番号1.4A1−F16 VHドメインヌクレオチド配列
GAG GTG CAG CTG TTG GAG TCT GGG GGA GGC TTG GTA CAG CCT GGG GGG TCC CTG AGA CTC TCC TGT GCA GCC TCT GGA TTC ACC TTT AGC CGG TAT GGT GCG AGC TGG GTC CGC CAG GCT CCA GGG AAG GGG CTG GAG TGG GTC TCA GCT ATT AGT GGT AGT GGT GGT AGC ACA TAC TAC GCA GAC TCC GTG AAG GGC CGG TTC ACC ATC TCC AGA GAC AAT TCC AAG AAC ACG CTG TAT CTG CAA ATG AAC AGC CTG AGA GCC GAG GAC ACG GCC GTA TAT TAC TGT GCG AAA GCG CAT AAT GCT TTT GAC TAC TGG GGC CAG GGA ACC CTG GTC ACC GTG TCG AGA
配列番号2 4A1−F16 VHドメインアミノ酸配列
EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS RYGASWVRQA PGKGLEWVSA ISGSGGSTYY ADSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCAKAH NAFDYWGQGT LVTVSREVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS RYGASWVRQA PGKGLEWVSA ISGSGGSTYY ADSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCAKAH NAFDYWGQGT LVTVSR
配列番号3 4A1−F16 VLドメインヌクレオチド配列
TCG TCT GAG CTG ACT CAG GAC CCT GCT GTG TCT GTG GCC TTG GGA CAG ACA GTC AGG ATC ACA TGC CAA GGA GAC AGC CTC AGA AGC TAT TAT GCA AGC TGG TAC CAG CAG AAG CCA GGA CAG GCC CCT GTA CTT GTC ATC TAT GGT AAA AAC AAC CGG CCC TCA GGG ATC CCA GAC CGA TTC TCT GGC TCC AGC TCA GGA AAC ACA GCT TCC TTG ACC ATC ACT GGG GCT CAG GCG GAA GAT GAG GCT GAC TAT TAC TGT AAC TCC TCT GTT TAT ACT ATG CCG CCC GTG GTA TTC GGC GGA GGG ACC AAG CTG ACC GTC CTA GGC
配列番号4 4A1−F16 VLドメインアミノ酸配列
SSELTQDPAV SVALGQTVRI TCQGDSLRSY YASWYQQKPG QAPVLVIYGK NNRPSGIPDR FSGSSSGNTA SLTITGAQAE DEADYYCNSS VYTMPPVVFG GGTKLTVLG
配列番号5 4A1−F16 VH CDR1アミノ酸配列
RYGAS
配列番号6 4A1−F16 VH CDR2アミノ酸配列
AISGSGGSTYYADSVKG
配列番号7 4A1−F16 VH CDR3アミノ酸配列
AHNAFDY
配列番号8 4A1−F16 VL CDR1アミノ酸配列
QGDSLRSYYAS
配列番号9 4A1−F16 VL CDR2アミノ酸配列
GKNNRPS
配列番号10 4A1−F16 VL CDR3アミノ酸配列
NSSVYTMPPVV
配列番号11 hIL2前駆体配列(成熟hIL2:残基7〜150)
MYRMQLLSCI ALSLALVTNS APTSSSTKKT QLQLEHLLLD LQMILNGINN YKNPKLTRML TFKFYMPKKA TELKHLQCLE EELKPLEEVL NLAQSKNFHL RPRDLISNIN VIVLELKGSE TTFMCEYADE TATIVEFLNR WITFCQSIIS TLT
配列番号12 ペプチドリンカーアミノ酸配列
GGGGSGGGGSGGGG
配列番号13 ペプチドリンカーアミノ酸配列
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号14 ペプチドリンカーアミノ酸配列
SSSSGSSSSGSSSSG
配列番号15 ペプチドリンカーアミノ酸配列
GSGSAGSGSAGSGSA
配列番号16 ペプチドリンカーアミノ酸配列
GGSGGGGSGGGGSGG
【配列表フリーテキスト】
【0074】
配列番号1:合成順序:4A1−F16 VHドメインヌクレオチド配列
配列番号2:合成順序:4A1−F16 VHドメインアミノ酸配列
配列番号3:合成順序:4A1−F16 VLドメインヌクレオチド配列
配列番号4:合成順序:4A1−F16 VLドメインアミノ酸配列
配列番号5:合成順序:4A1−F16 VH CDR1アミノ酸配列
配列番号6:合成順序:4A1−F16 VH CDR2アミノ酸配列
配列番号7:合成順序:4A1−F16 VH CDR3アミノ酸配列
配列番号8:合成順序:4A1−F16 VL CDR1アミノ酸配列
配列番号9:合成順序:4A1−F16 VL CDR2アミノ酸配列
配列番号10:合成順序:4A1−F16 VL CDR3アミノ酸配列
配列番号12:合成順序:ペプチドリンカーアミノ酸配列
配列番号13:合成順序:ペプチドリンカーアミノ酸配列
配列番号14:合成順序:ペプチドリンカーアミノ酸配列
配列番号15:合成順序:ペプチドリンカーアミノ酸配列
配列番号16:合成順序:ペプチドリンカーアミノ酸配列
配列番号17:合成順序:リンカーモチーフ
配列番号18:合成順序:リンカーモチーフ
配列番号19:合成順序:リンカーモチーフ
配列番号20:合成順序:リンカーモチーフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗癌化合物および抗体−インターロイキン2(IL2)コンジュゲートを、それを必要とする個体に投与することを含み、
抗体−IL2コンジュゲートが、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたIL2を含む癌の治療方法。
【請求項2】
抗体が、テネイシン−C大型アイソフォーム(tenascin-C large isoform)に特異的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗体が、テネイシン−C大型アイソフォームのA1ドメインに特異的に結合する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抗体が、配列番号2の4A1−F16 VHドメインおよび配列番号4の4A1−F16 VLドメインを含む抗体と、テネイシン−C大型アイソフォームに対する結合に競合する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抗体がVHドメインおよびVLドメインを含む抗体抗原結合部位を含み、
VHドメインが、配列番号5のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、および配列番号7のVH CDR3を含み、
VLドメインが、配列番号8のVL CDR1、配列番号9のVL CDR2、および配列番号10のVL CDR3を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抗体が、配列番号2の4A1−F16 VHドメインおよび配列番号4の4A1−F16 VLドメインを含む抗体抗原結合部位を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
抗癌化合物がDNA損傷剤である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抗癌化合物がドキソルビシンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抗癌化合物が有糸分裂紡錘体形成の阻害剤である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗癌化合物がパクリタキセルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
癌が乳癌である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
抗体−IL2コンジュゲートと組み合わせて抗癌化合物を投与することを含む癌の治療方法で使用するための薬剤の製造における抗癌化合物の使用であり、
抗体−IL2コンジュゲートが、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む、使用。
【請求項13】
抗癌化合物と組み合わせて抗体−IL2コンジュゲートを投与することを含む癌の治療方法で使用するための薬剤の製造における、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートの使用。
【請求項14】
抗体が、前記テネイシン−C大型アイソフォームに特異的に結合する、請求項12または請求項13に記載の使用。
【請求項15】
抗体が、テネイシン−C大型アイソフォームの前記A1ドメインに特異的に結合する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
抗体が、配列番号2の4A1−F16 VHドメインおよび配列番号4の4A1−F16 VLドメインを含む抗体と、テネイシン−C大型アイソフォームに対する結合に競合する、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
抗体が、VHドメインおよびVLドメインを含む抗体−抗原結合部位を含み、
VHドメインが、配列番号5のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、および配列番号7のVH CDR3を含み、
VLドメインが、配列番号8のVL CDR1、配列番号9のVL CDR2、および配列番号10のVL CDR3を含む、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
抗体が、配列番号2の4A1−F16 VHドメインおよび配列番号4の4A1−F16 VLドメインを含む抗体−抗原結合部位を含む、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
抗癌化合物がDNA損傷剤である、請求項12から18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
抗癌化合物がドキソルビシンである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
抗癌化合物が有糸分裂紡錘体形成の阻害剤である、請求項12から18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記抗癌化合物がパクリタキセルである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記癌が乳癌である、請求項12から22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
抗癌化合物と、テネイシン−Cに特異的に結合する抗体にコンジュゲートされたインターロイキン2(IL2)を含む抗体−IL2コンジュゲートとを含む、癌の治療に使用するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−531349(P2010−531349A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514182(P2010−514182)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002310
【国際公開番号】WO2009/001219
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509347192)
【Fターム(参考)】