説明

化学的に接合されたセラミック材料のためのシステム、かかるセラミック材料のための粉末材料および水和水、その製造方法および装置

化学的に接合されたセラミック材料のためのシステムであって、水溶性水和水および粉末材料を含み、その結合相は主にセメントシステムからなり、粉末材料は結合相に反応する水和水と飽和したのちに化学的に接合されたセラミック材料と水和する能力を有する。本発明によるとこの粉末材料は、セラミック材料内に有機相を形成するための第1部成分とこの有機相を形成するための第2部成分とを含む。本発明はまた粉末材料および水和水のそれぞれに関するものであり、形成されたセラミック材料、かかる材料の製造方法および粉末材料を保存し水和水と混合するための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学的に接合されたセラミック材料のためのシステムに関し、好ましくは主に無機セメントシステムからなる水溶性水和水および粉末材料を含む歯の充填材料またはインプラント材料に関し、粉末材料は水和水と飽和したのちに無機相および有機相を有する化学的に接合された複合材料を形成する能力を有する。本発明はまた粉末材料および水和水のそれぞれに関し、形成されたセラミック材料、かかる材料の製造方法および粉末材料を保存し水和水と混合するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は水和セメントシステムタイプの接着剤システムに関し、特に主なカチオンとしてカルシウムを有するアルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類およびこれらの組み合わせからなる群の化学的に接合されたセラミックスを含むセメントを基材にしたシステムに関する。本発明は特に、充填剤類およびコーティングを含むインプラント類両方の歯科および整形外科用の用途のための生体適合材料用として開発されてきたが、電気関連、マイクロメカニクス等の工業用用途における充填剤として用いられてもよい。
【0003】
生体と互いに影響しあう歯の充填材料およびインプラントなどの材料にとって、可能な限り対生物作用または生体適合性を有することは利点である。歯の充填材料およびインプラントに必要とされる他の特徴として、歯の間隙内にて平易な応用性を有する良好な取扱い能力、良好なモデル性を可能にする成形性、詰め作業には充分迅速でありセラピー後ただちに使用可能な硬化性/固化性、高い硬度および強度、耐蝕性、充填材料と生化学的壁部との間の良好なボンディング、寸法安定性、放射線不透過性、ならびに歯の充填材料に関しては特に良好な長期間特性および良好な外観があげられる。これらの必要とされる特性の少なくとも大半を実現する材料を提供するために、SE463,493、SE502,987、WO00/21489、WO01/76534、WO01/76535などの記載による材料が開発されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は特にモデル性、高い強度および粘弾性といった複合した問題、(縮小または過度の拡大を避けるための)寸法安定性、および外観の美しさ、特に歯の充填材料等については製品における複合特性側面の好適化を可能にするための問題に関連する。
【0005】
したがって本発明は複合特性側面を有する生体適合材料を提供することであり、このために粉末材料を提供することである。この粉末材料は、セメントを基材にしたシステムからなり、この粉末材料に反応する流体に飽和したのちに水和して化学的に接合された材料に化学的に反応する能力を有するもので、かかる粉末材料は、高い圧縮度、良好なモデル性、硬化時における最小限の寸法変化、E係数等の良好な機械特性、一定の粘弾性および高い強度といった高度の特性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の他の目的は放射性不透過率および改良された半透明性を示す材料を提供することである。これらおよび他の目的は本願明細書特許請求の範囲で定義される本発明によるシステム、粉末材料、水和水、セラミック材料およびデバイスにより達成される。
【0007】
in−situ活性化(化学的に、熱的におよび/または光化学的に)によって有機相を形成する能力を有する材料は、無機セメント材料に、好ましくはCa−アルミン酸塩を主な成分として有する無機セメント材料に加えられる。有機相は以下の要求を満たすものでなければならない:
1.連絡しない隔たった領域または、硬化上の寸法特性および他の好適化された特性に依存するネットワークとして、材料の含有率は体積で50%以下、好ましくは体積で5から40%、さらに好ましくは体積で10から35%、最も好ましくは体積で15から25%である。
2.良好な生体適合率。
3.部分的な親水性。
4.可塑性に対する能力。
【0008】
これらおよび他の目的は新規なプロセス技術によって達成され、粉末材料および水和水は以下の特有な能力に基づくものである:
1.連絡している微細孔システムを介して水剤に湿気を介してCa−およびヒドロキシル基イオンまたは更なるイオン類(たとえばリン酸)と反応する唾液、水溶性溶液を送る機会を与え、かつその孔を低レベルに封止する無機セメント、好ましくはCa−アルミン酸塩を基材とするシステム。
2.改良された弾性特性により、充填の際の負荷集中のリスクが低減されたより延性である挙動を材料に与える有機相。
3.システム内の改良されたモデル製を与える有機添加物。
4.欠陥をほとんど有しない安定した材料を形成することによって改良された外観の美しさ。
5.活性物質を物理的に分離し、反応が活性化されるべき場合にはこれらの活性物質を結合させる活性化制御を行なうことができる能力。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によると粉末材料は、粉末粒子の顆粒の形態で存在し、この顆粒は55%以上の圧縮度および30から250μmの平均粒径を示す。このように極めて高度に圧縮された微細顆粒を用いることで、極めて圧縮された物体の任意の残りの施工性を制限されることなく、材料の成形を次のステップで行なうことができる。混練法、押し出し、タブレット投入法、超音波等の次のステップにおいて促進された成形方法は、システム内の機動能力を保持しながら行なうことが可能で、このシステムは最終的な高い圧縮度を有し、その値は55%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上である。
【0010】
この原理は、前もって加圧された極めて圧縮された物体の顆粒化後の微小顆粒が何百万の数十分の1の接点を粒子間に有し、これらの粒子の大きさはマイクロメートル単位であるという事実に基づくものである。これらの微小顆粒を互いに加圧して新しい物体を形成する場合には、新しい接点が発生するが、この新しい接点は同様の高い圧縮度のものではない。これらの新しい接点における低い圧縮度により改良された施行性が得られ、同時に全体的な圧縮度はこれらの新しい接点における低い圧縮度によりほんのわずかに低くなるのみである。これは接点がその全体量の極めてわずかな割合を構成するのみだからである。たとえ新しい接点が例えば千個形成されたとしてもこれらの接点表面は全体的な接点表面の1マイルあたりより少ないものとなる。すなわちこれらの新しい接点は最終的な密度に対して極めてわずかな影響を及ぼすのみで、その影響は本発明によるこれらの粒子の高い圧縮度により判断されるものとなる。さらに、固く圧縮された個々の接点間は他の接点からはほとんど識別不可能である。本発明によるシステムの一般的な硬化メカニズムは、水に反応することによる固体物質の溶解を含むため、イオン類の形成、飽和溶液、および水和沈澱につながる。
【0011】
加えられた流体のためにセメントが水和するシステムにおいて、新しい接点は硬化相によりさらに充填されるが、これは水和/硬化後に均質性が増加することを意味する。このような形態で増加される最終的な圧縮度により、さらに緻密な最終製品が得られることになり、この緻密さが強度を高め、放射性不透過薬剤の分量低減の可能性につながり、さらにはより容易に透明度を達成するものであり、また同時に製品の施工性が極めて良好なものとなる。
【0012】
本発明の実施形態の一態様によると、顆粒は好ましくは圧縮度が60%以上であり、より好ましくは65%以上であり、最も好ましくは70%以上である。顆粒は好ましくは平均粒径が少なくとも30μm、より好ましくは少なくとも50μm、さらにより好ましくは少なくとも70μmであるが、最大で250μm、好ましくは最大で200μm、さらに好ましくは最大で150μmである。一方、顆粒内の粉末粒子は最大粒径が20μm以下であり、好ましくは10μm以下である。ここで極めて微小の割合の粉末粒子のみが最大粒径を有する粒子を構成することに留意されたい。粒子はレーザー回折により測定される。極めて圧縮された顆粒は規定の圧縮度に圧縮された粉末粒子により製造されるが、製造方法にはたとえば冷間均衡プレス法、薄層のタブレットプレス法、ハイドロパルス技術、または爆発圧縮などがある。しかるべく圧縮化された物質は、たとえば粉砕されたり断裂されたりして規定の大きさの顆粒に粒状化される。
【0013】
本発明の実施形態の他の態様によるとセメントを基材にしたシステムは、好ましくはカチオンをCa、Sr、Baからなる群に有するアルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類およびこれらの組み合わせからなる群の化学的に接合されたセラミックスを含む。セメントはWO00/21489で記載されたように、長期的な寸法安定特性をセラミック材料に与えるようになされた1または複数のさらなる拡大を補償する添加物も含む。
【0014】
かかる粉末材料はガラス相を含み、このガラス相は透明性に寄与し、結合相に反応する流体に飽和したのちに化学的に接合されたセラミック材料と水和する能力を示す。
【0015】
本発明の他の実施形態によると、このガラス相はガラスアイオノマーガラスすなわちガラスアイオノマーセメント類での使用で知られるガラス類を含んでもよい。代替として、または組み合わせで、粉末材料は対生物活性のまたは再吸収可能な生物材料を含んでもよい。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態によると、粉末材料は任意選択的な添加剤または粒子類および前圧縮されていない粉末材料を含む粒子の態様のみであることが好ましく、結合相に反応する流体と混合されて、得られる懸濁液は充填すべき間隙内に直接注入されてもよい。流体は適宜、水分を含み、かつ粉末材料内の部成分と相まって有機相を形成する能力を有する新規な部成分に加えて、好適な懸濁液の粘稠度を得るために分散剤および/または超可塑剤を含む。促進剤は水和反応の速度を上げ、好ましくはアルカリ金属塩を含み、最も好ましくは塩化リチウム、フッ化リチウム、または炭素リチウム等のリチウム塩が用いられる。超可塑剤は好ましくはリグノスルホン酸塩および/またはクエン酸塩と、EDTAおよび/または化合物を含むヒドロキシカルボキシと、PEGまたはPEGを有するユニットを有する物質とを含む。一実施形態においてはまた懸濁液が排出され圧縮された際、促進剤、分散剤および/または超可塑剤が当然用いられてもよく、あるいは一実施形態においては材料が原料成形体に成形され、かかる原料成形体はセラミック材料生成時に流体を吸収するようになされる。
【0017】
本発明はまた粉末材料の化学的に接合されたセラミック材料を生産するためのシステムに関し、その結合相は主にカルシウムを基材にしたセメントシステムからなり、かかるシステムはin−situでアパタイトを形成する能力を有する。in−situでアパタイトを形成する能力により、システムはアパタイトを形成するために必要な成分、たとえばヒドロキシアパタイトまたはフッ化アパタイト(それぞれ(Ca5(PO4)30HおよびCa5(PO4)3F)および任意のいくつかの他の生物学的に好ましい相を含み、このシステムによりかかる相は水和反応中および/または水和反応後に形成される。
【0018】
結合相への添加剤もまた、球体、定型または不定形の形状、ファイバー類、ホイスカー類、プレート類等の任意の形態または形状を有してもよい。添加剤の粒子は30μmより小さくなければならず、好ましくは10μmより小さく、さらに好ましくは5μmより小さい。懸濁の方法に関する態様についてはWO01/76534に対して参考がなされ、その内容は参照として本願明細書に取り込まれている。原料成形体の他の態様については、WO01/76535に対して参考がなされ、その内容は参照として本願明細書に取り込まれている。
【0019】
歯の充填材料または整形外科用の構成等の用途に加えて、電子機器、マイクロメカニクス、光学分野および生体センサ技術内における下地/鋳造材料等の分野の範囲での用途も考えられる。環境的な態様によりかかる材料はさらに他の用途での使用すなわちパテとして、より大きい分野も得られる。
〔粉末材料の詳細な説明〕
【0020】
1.粉末材料の主結合相はカルシウムを基材にしたアルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類、およびそれらの組み合わせ、好ましくはアルミン酸塩類からなる群の塩基性セラミック粉末からなる。
効果:
水和物の形成により、孔およびその他の充填材料と体内壁または他の接触帯との間の微小の空間に対して充填が行なわれる。
2.物質は少なくとも第1有機部成分を含み、この成分は水和水中で第2有機部成分と反応することにより有機相、好ましくは重合(より詳しい説明については水和水の章を参照のこと)を形成する能力を有する。
効果:
物質を形成する有機重合は、圧縮段階における改良された施工性および最終生産物において一定の粘弾性を得ることに寄与する。
3.好ましくは、粉末材料は水溶性リン酸塩を含みそのセメントシステムは水和中にアパタイトを形成する能力を有する。
効果:
さらに高い生体適合率が得られる。
4.粉末材料は追加のコラーゲン、エラスチンまたは、in−situで形成されうる高分子重合(プロテイン、セルロース、ポリエステル、ポリアセタール等)を含んでもよい。
効果:
有機相の良好な供給
5.材料はコラーゲン、エラスチンの添加剤またはin−situで塗布されるかまたは飽和溶液からアパタイトにより事前塗布される他の高分子重合を含んでもよい。
効果:
アパタイトの沈澱調整
6.粉末材料は炭酸塩またはシュウ酸類、乳酸類、カルサイト、アラゴナイトを形成しうる生化学的に存在するイオン類からなるものでもよい。炭酸塩化イオン類はたとえばカルサイトを形成してもよく、カルシウムは乳酸、乳酸塩などのアニオンを有する難溶解性の生化学的塩類を形成してもよい。
効果:
イオン類の濃度および構成を調整することにより、Caを含む異なる生化学的相が沈着されてもよい。このことはまた粉末化された原材料内の水溶性添加物にもあてはまる。
【0021】
セメントシステムの主結合相はカルシウムアルミン酸塩(Ca−アルミン酸塩)からなることが特に好ましいが、その理由を以下に述べる:
1.Ca−アルミン酸塩類はアパタイトに局地的な塩基環境をもたらすが、この環境が相を安定させる(溶解が行なわれないので、プラークおよび乳酸の生成が防止される)。
2.Ca−アルミン酸は余剰分に存在し、材料中の全ての孔に形成されるが、アパタイトのみが使われる場合に限り材料の充填に寄与するものであって、水で充填された穿孔を水和により充填させるために変換されることはほとんどない。
【0022】
Ca−アルミン酸塩は酸基反応により沈着されるが、ここで水は溶解を始める粉末材料と反応する。溶液内には、カルシウムアルミン酸塩水和物、ギブサイトおよびアパタイト(リンのいくつかのタイプが供給される場合)の両者の形成に必要とされる全ての構成物、およびいくつかの他の生化学的に好ましい相(カルサイト、アラゴナイト、乳酸塩など)が存在する。各材料の溶解度積が達せられると、沈着が始まる。沈着は充填材料と歯壁との間のミクロ空間内を含むあらゆる場所で行なわれる。小型の結晶は歯壁または他の生化学的な接触表面の表面形状構造に沈着されて、充填材料−歯/骨の接触帯の完全な消滅に寄与するが、これはミクロ構造の一体化につながる。
〔水和水の詳細な説明〕
【0023】
水和水は、水を基材としており、重合形成のために有機部成分の添加剤を有し、好ましくは一般的な水和に関して反応を調整するためおよび重合の形成のために添加剤を有し、アパタイトの形成および濃化剤のためにイオン類を有する。
有機成分:好ましくは共重合化反応に加担する成分であり、好ましくは濃縮重合化に加担する成分であって、得られる水剤の形成は一般的な水和反応のため原材料を供給する。したがって共重合化反応は、セメントの水和中の駆動反応である酸を基材とする反応と共存してもよい。他の代替には光化学誘導反応があるが、この反応ではモノマーが粉末材料に加えられ、開始剤が水和水を介して加えられたり、別途に加えられたりする。
【0024】
可能な有機成分には以下があげられる:親水性のメタクリル酸塩タイプのモノマー類、たとえばHEMA、リン酸塩を有するモノマー類、アルケノイド類、炭化重合のモノマー類。有機添加剤は、一般的にコンポマーを示す歯の充填材料と共に反応する。
【0025】
段階的な重合化を用いてもよく、この段階的な重合化は通常の濃縮反応に基づく。
二つの異なる反応群は互いに反応しあい、水やその他の分子などのより小さい分子は分解されることが多い。2個のモノマー類の化学量論比は分子重量および最終的な群の機能を調整する。
【0026】
段階的重合化の例:ジオールおよび二塩基酸が反応して2個の活性端部を有する二量体を形成する。これらの間にエステル結合が形成されて水剤が分解される。この水剤が連続的に分解されたり消費されたり(たとえば本発明によるセメント反応において)した場合、反応が促進されてより高い重合分子重量が達成される。)ここで活性二量体は新しいモノマーまたはより高い分子重量を有する他の鎖と反応してもよい。ポリカーボネート類は段階的重合化により作成されることが多い。ジオールおよび二塩基酸または同様のものを使用する場合、その部成分の一つを粉末材料に加え、他を水和水に加えると好都合であるが、ジオールを粉末材料に加え、二塩基酸を水和水に加えることが好ましい。
【0027】
本発明の重要な態様は、粉末材料を介して濃縮重合化時に形成される水剤を処理するためにもたらされる可能性である。この水剤は水和反応において用いられる。特に、周囲からの水摂取が制限される可能性のある整形外科での用途において、これは要である。
【0028】
本発明による材料は歯の充填材料の場合にはcompocerとよばれ、ここで「cer」は化学的に接合された セラミックスの短縮形である。
用語biocerもまた一般的に用いられてもよい。
総体的な効果:製品に粘弾性挙動を与える。
【0029】
他の添加剤:説明は一般的な記載および上述の特許の記載から明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
エネルギー(光、熱)を加えることにより、加えられた開始剤(たとえばジベンゾイルペルオキシド)から遊離基が形成される。遊離基はモノマーに添加され、基に変換することによりモノマーを活性化する。充分な反応が起こされたのちは、エネルギーを加える必要はなく、非反応モノマーに反応する遊離重合鎖による重合化が持続する。異なる部分が混合されたり、互いに接触したりすると化学反応により材料が形成される。これらの部分は粉末材料(Pm)および水和水(Hl)からなる。Pmは粉末、粒子またはタブレットとして別途のコンテナの中に存在してもよい。HlはPmとの結合で設けられた別途のコンテナ内に存在する。この結合は使用時には中断されて、Pm部における過小圧力またはHl部における過大圧力に促進されて成分は素早く混合される。こののち材料は超音波などにより混練または振動される。多くの場合では、使用前にPmとHlとを分離することにより開始剤、停止剤、抑制剤の使用を避けることができる。通常はこれらの化合物は重合作成時において最も毒性の高い化合物である。図1および図2も参照のこと。
【0031】
本発明の一つの長所は有機添加剤に求められる含有率がコンポマーの場合と比較してより低いことであり、これは無機粉末原材料の一般的な特性のためである。有機添加剤の含有率が低いことはまた、セラミック材料の孔充填効果に加え、コンポマーの場合と比較してより低い収縮効果をもたらす。
【0032】
薄く微細に分散された領域内またはネットワークの有機相の分布および本発明にしたがって有機部を体積で50%以下に保持するための実施および能力の他の態様は、反応中の温度上昇を低減する能力であって、温度は好ましくは最大で摂氏50度、より好ましくは最大で摂氏42度であり、これらの温度は整形外科用ペーストの使用においては特に重要であり、この分野では歯科用途に比較してより多量に用いられることが多い。
【実施例1】
【0033】
無機原材料:モノカルシウムアルミン酸塩、ガラス粒子
水和水:水、LiCl
重合形成のための添加剤:ジオールおよび二塩基酸
形成された重合体:濃縮重合タイプの炭酸塩
【0034】
以下実施例が示すものは次の通りである:
a)充填剤として体積で30%のガラス粒子を有する水和モノカルシウムアルミン酸塩の湾曲強さおよびE係数
b)水和カルシウムアルミン酸塩および充填剤として体積で30%のガラス粒子を有する固化状態での体積で5%の重合物の湾曲強さおよびE係数
c)水和カルシウムアルミン酸塩および充填剤として体積で30%のガラス粒子を有する固化状態での体積で10%の重合物の湾曲強さおよびE係数
d)水和カルシウムアルミン酸塩および充填剤として体積で30%のガラス粒子を有する固化状態での体積で20%の重合物の湾曲強さおよびE係数
e)水和カルシウムアルミン酸塩および充填剤として体積で30%のガラス粒子を有する固化状態での体積で40%の重合物の湾曲強さおよびE係数
【0035】
モノカルシウムアルミン酸塩原材料をジェット噴流ミルにより粒径が最大で10μmの粒子に挽く。ガラス粒子は最大で7μmの粒径を有する。
【0036】
それぞれの実施例での粉末原材料は乾燥しており適当な割合で調合され、それぞれの実施例での水和水もまた適当な割合で調合されて硬化時に適当な重合量を作成する。LiCl(0.1g/l水)を加えると、より迅速なカルシウムアルミン酸塩の水和プロセスが得られた。
【0037】
粉末原材料を150MPaで直線的に加圧することにより、ASTM−F394による湾曲強さ試験用の高さが2mmおよび径が11mmであるプレートを製作し、かつ引張試験におけるE係数を測定するために円柱形の棒材を製作する。かかるプレートおよび棒材をそれぞれの流体で湿潤させ14日間摂氏37度の水中で保ったのち、特性を測定した。全ての試料は0.1μmの表面仕上がりに研磨される。測定結果は表1に示されている。
【0038】
表1

【0039】
これらの結果が示すのは、湾曲強さの大幅な増加は、水和カルシウムアルミン酸塩と組み合わされた硬化重合を含む構成のために保持されたE係数で得ることができるということである。
【実施例2】
【0040】
透明性および寸法安定性におけるポリマーの影響を調べるための試験を行なった。
【0041】
材料の説明
上述の実施例laおよびldに従った構成を有する材料
【0042】
ISO9917に準拠した透明性の測定および寸法安定性の測定のため、薄プレート試験体を実施例1と同様に製作した。透明性の測定試料は測定前に摂氏37度の水中で14日間保持された。寸法安定性は20mmの棒材の大きさの変化により測定され、測定は湿潤試料を使って行なわれた。
【0043】
試験結果を表2に示す。
【0044】
表2

【0045】
これらの結果が示すのは、重合していないカルシウムアルミン酸塩水和物に比較して、硬化カルシウムアルミン酸塩および重合を含む保持された材料の寸法安定性ではより高い透明性が得られるということである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1は、粉末材料を保存するためおよびかかる粉末材料を結合相に反応する水和水と混合するための第1の実施形態における装置を示し、図2は粉末材料を保存するためおよびかかる粉末材料を結合相に反応する流体と混合するための第2の実施形態における装置を示す。図1の装置10は本発明における粉末材料を保存するようになされ、粒子の態様で粉末材料により、あるいは結合相に反応する水和水により例示される。特に第1チャンバ1には所与の量の粒子が保持され、第2チャンバ2にはかかる粒子量でありかつ望ましいW/C比になされた量の流体が保持される。チャンバの大きさ、形状、充填度は変化してもよいが、重点度は通常100%近くである。チャンバ1、2は流路5により互いに連結されているが、この流路は保存のため封止部3(膜など)により封止されている。第1チャンバ1における圧力は、第2チャンバ2よりも低い。
化学的に接合されたセラミック材料が粒子および流体から作成される場合には、封止部3が破壊され、駆動力としての圧力差、または第2チャンバ2の圧搾に促進されおよび/または重力に促進されて、流体が第2チャンバ2から第1チャンバ1内に流れ込んでもよい。したがって、流体の供給は閉じた空間で行なわれる。
【0047】
第1チャンバ1は少なくとも壁部材料である壁部4と共に設計され、この壁部により粒子/流体をその内部に通す機械的処理がなされる。第1チャンバ1は適宜可撓制のある袋により構成される。また第2チャンバ2は同様の材料で形成されてもよく、封止部3はこれら2つのチャンバ間の溶接等により構成されてもよい。機械的処理法はたとえば混練法、回転法、手押し法などでもよい。材料はついで塗布を行なうようになされたシステムに移される。
【0048】
図2は本発明による第2の実施形態を示す。装置20において第2チャンバ2は、第1チャンバ1の内部に配置される。第2チャンバ2は膜の態様でまたは膜を含む壁部6を有し、流体に加えて球体7(プラスチックボールなど)を保持する。装置20全体を揺動させることにより、膜は球体によって破壊される。ここにおいてもまた、チャンバ1とチャンバ2との間に圧力差が存在することが好ましい。当然ながら、粒子を有する第1チャンバが流体を有する第2チャンバの内部に配置されるように装置が作動されてもよい。揺動および圧力差により、いかなる場合でも流体と材料との混合が行なわれてペーストを形成する。ペーストは注射器によって、材料により充填されるべき間隙部内に施される。
【0049】
本発明による装置は、材料が歯科または整形外科用の材料で構成されている場合に、材料の保存、配給または作成に特に適しているが、他の用途に用いられてもよい。

本発明は上記に詳細を述べた実施形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲内で変更が加えられてもよい。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的に接合されたセラミック材料のためのシステムであって、水溶性水和水および粉末材料からなり、前記粉末材料の結合相は主にカルシウムを基材としたセメントシステムからなり、前記粉末材料は結合相に反応する流体と飽和したのちに、化学的に接合されたセラミック材料と水和する能力を有し、前記粉末材料は有機相形成のために第1部成分を前記セラミック材料内に含み、前記水和水は前記有機相の形成のために第2部成分を含むことを特徴とする化学的に接合されたセラミック材料のためのシステム。
【請求項2】
粉末材料であって、前記粉末材料の結合相は主にセメントシステムからなり、前記粉末材料は前記接合相に反応する水和水と飽和したのちに、化学的に接合されたセラミック材料と水和する能力を有し、前記粉末材料は前記セラミック材料内に有機相を形成するための第1部成分を含むことを特徴とする粉末材料。
【請求項3】
粉末材料であってその結合相は、アルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類およびその組み合わせからなる群のカルシウムを含むセラミック粉末であることを特徴とする請求項2に記載の粉末材料。
【請求項4】
粉末材料であって、前記第1部成分は第2部成分と相まって重合体、好ましくは親水性または部分的に親水性であるアクリル酸塩、炭酸塩、プロテイン、セルロース、シロキサンまたはポリアセタールを基材とする重合体からなる群の重合体である有機相を形成する能力を有する請求項2または3に記載の粉末材料。
【請求項5】
粉末材料であって、前記第1部成分は前記重合体形成のためにモノマーからなる群の成分であることを特徴とする請求項4に記載の粉末材料。
【請求項6】
粉末材料であって、前記粉末材料は粉末粒子である顆粒の態様で存在し、前記顆粒は55%以上の圧縮度を示し、平均粒径が30から250μmであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の粉末材料。
【請求項7】
粉末材料であって、前記顆粒は圧縮度が60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上を示すことを特徴とする請求項6に記載の粉末材料。
【請求項8】
粉末材料であって、前記顆粒は平均粒径が少なくとも50μm、好ましくは少なくとも70μm、さらに好ましくは少なくとも70μmであるが、最大で200μmであり、好ましくは最大で150μmであることを特徴とする請求項6および7に記載の粉末材料。
【請求項9】
粉末材料であって前記顆粒は、50%まで、好ましくは5から30%、さらに好ましくは10から20%の前圧縮されていない粉末材料、好ましくは顆粒内の粉末材料のようにセメントを基材としたシステムの粉末材料を含む構成の中に存在することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1つに記載の粉末材料。
【請求項10】
粉末材料用の水溶性水和水であって、その結合相は主にセメントシステムからなり、前記粉末材料は結合相に反応する水和水と飽和したのち化学的に接合されたセラミック材料と水和する能力を有し、前記水和水は前記セラミック材料内に有機相形成のための第2部成分を含むことを特徴とする粉末材料用の水溶性水和水。
【請求項11】
水和水であって、前記有機相は重合体であり、好ましくは親水性または部分的に親水性であるアクリル酸塩、炭酸塩、プロテイン、セルロース、シロキサンまたはポリアセタールを基材とする重合体からなる群の重合体であることを特徴とする請求項10に記載の水和水。
【請求項12】
水和水であって、前記第2部成分は好ましくは二塩基酸またはアミノ酸成分であるモノマーからなる群の成分であることを特徴とする請求項10または11に記載の水和水。
【請求項13】
化学的に接合されたセラミック材料であって、その結合相は主に無機セメント相からなり、前記セラミック材料は基体上または間隙内にin−situで形成されて、前記材料はまた有機のin−situで形成された相を含むことを特徴とする化学的に接合されたセラミック材料。
【請求項14】
セラミック材料であってその結合相は、アルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類およびその組み合わせからなる群のカルシウムを含むセラミック粉末であることを特徴とする請求項13に記載のセラミック材料。
【請求項15】
セラミック材料であって、前記結合相は重合体、好ましくは親水性または部分的に親水性であるアクリル酸塩、炭酸塩、プロテイン、セルロース、シロキサンまたはポリアセタールを基材とする重合体からなる群の重合体であることを特徴とする請求項13または14に記載のセラミック材料。
【請求項16】
セラミック材料であって、前記無機セメント相は体積で材料の50%または50%以上を構成し、一方有機相は体積で材料の50%以下を構成し、好ましくは体積で5から40%であり、より好ましくは体積で10から35%であり、最も好ましくは体積で15から25%であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項17】
セラミック材料であって、前記有機相は無機セメント相と連絡しない相として、好ましくは別の領域として存在することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項18】
セラミック材料であって、前記有機相は無機セメント相内のネットワークとして存在することを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項19】
セラミック材料であって、前記有機相は無機セメント相内のネットワークとしてまたは別の領域として存在し、前記ネットワークまたは別の領域の部分は幅が最大で5μm、好ましくは最大で1μm、さらに好ましくは最大で0.5μmであることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項20】
セラミック材料を作成するための方法であって、結合相が主にセメントシステムからなる粉末材料は、前記結合相に反応する水和水と飽和されて、前記材料が前記化学的に接合されたセラミック材料内で水和されたのちに、前記有機相はin−situの共重合化により、好ましくは濃縮重合化により形成されるようになされることを特徴とする請求項13乃至19のいずれか1つに記載のセラミック材料を作成するための方法。
【請求項21】
前記粉末材料は前記有機相形成のために第1部成分を含むようになされ、かつ前記水和水は前記有機相形成のために第2部成分を含むようになされて、前記重合化反応は前記粉末材料が前記水和水に飽和した時点で開始されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記重合化反応は光または熱化学的に開始されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
水和反応および重合化反応は材料内で摂氏50度を超える温度にならないように、好ましくは摂氏42度を超えないようになされ、かかる温度調整は好ましくは無機セメント内のネットワークまたは別の領域を形成するようになされた有機相によりおよび/または前記材料の体積で50%以下、または好ましくは体積で5から40%に、さらに好ましくは体積で15から25%に構成されるようになされた有機相により実施されることを特徴とする請求項20乃至22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記粉末材料は最初に圧縮度55%以上に圧縮され、粉末粒子の顆粒に微細に分割されたのち、前記顆粒は平均粒径が30から250μmを示すことを特徴とする請求項20乃至23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記顆粒は50%まで、好ましくは5から30%、さらに好ましくは10から20%の前圧縮されていない、顆粒内の粉末材料のようにセメントを基材としたシステムの粉末材と混合されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記材料は平均圧縮度が55%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上を示す原料成形体に圧縮されることを特徴とする請求項24乃至25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記材料は結合相に反応する流体内に懸濁し、得られた懸濁液/ペーストは排出され圧縮されたのちに、前記結合相と任意の残った流体との間の反応により硬化されるが、前記圧縮は好ましくは圧縮度が55%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上でなされることを特徴とする請求項24乃至25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記結合相に反応する流体は、得られたペーストがセラミック材料に充填される間隙内に施されたのちに前記顆粒内に分散されることを特徴とする請求項24乃至25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記流体は前記顆粒に供給され、そののち回転法、混練法、または手押し法により互いに圧縮されて、セラミック材料に充填される間隙内に充填または注射により施されるペーストとなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
粉末材料を保存し、かつ水和水と混合するための装置(10、20)であって前記装置は、請求項2乃至5のいずれか1つに記載の粉末材料を保持する第1チャンバ(1)と、請求項6乃至8のいずれか1つに記載の水和水を保持する第2チャンバ(2)と、前記チャンバ間の開封可能な封止部(3、6)とを含むことを特徴とする粉末材料を保存し、かつ水和水と混合するための装置(10、20)。
【請求項31】
前記第2チャンバ(2)の圧力は前記第1チャンバ(1)より大きいことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも前記第1チャンバ(1)は壁部材料である壁部(4)を有し、前記壁部(4)を通る前記粉末材料を処理させることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その結合相が主にセメントシステムからなり、粉末材料が水和水と飽和した後、化学的に接合されたセラミック材料と水和する能力を有する粉末材料であって、前記粉末材料が、前記粉末材料に含まれていない第2部成分と相まって、親水性または部分的に親水性であるアクリル酸塩、炭酸塩、プロテイン、セルロース、シロキサン、ポリアセタール、コラーゲン、エラスチン、またはポリエステルを基材とする重合体からなるグループから選択される重合体である有機相を形成する能力を有する第1部成分を含んでいることを特徴とする粉末材料。
【請求項2】
粉末材料であってその結合相が、アルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類およびその組み合わせからなる群から選択されるセラミック粉末であることを特徴とする請求項1に記載の粉末材料。
【請求項3】
粉末材料であって、その結合相がCa、SrおよびBaからなる群から選択される陽イオンを有することを特徴とする請求項2に記載の粉末材料。
【請求項4】
粉末材料であって、前記第1部成分は親水性のメタクリル酸塩タイプのモノマー類、HEMA、リン酸塩を有するモノマー類、アルケノイド類、炭化重合のモノマー類、ジオール類、二塩基酸類モノマーからなる群から選択されたモノマーであることを特徴とする請求項3に記載の粉末材料。
【請求項5】
粉末材料であって、前記粉末材料は粉末粒子である顆粒の態様で存在し、前記顆粒は55%以上の圧縮度を示し、平均粒径が30から250μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の粉末材料。
【請求項6】
粉末材料であって前記顆粒が、50%までの前圧縮されていない粉末材料で、顆粒内の粉末材料と同様のセメントを基材としたシステムの粉末材料を含む構成の中に存在することを特徴とする請求項5のいずれか1つに記載の粉末材料。
【請求項7】
水溶性水和水であって、粉末セラミック材料の化学的に接合されたセラミック材料への水和用の水溶性水和水であり、前記水和水は、前記粉末材料中に含まれる第1部成分と相まって、重合体の形態の有機相を形成する能力を有する第2部成分を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の水溶性水和水。
【請求項8】
水和水であって、前記第2部成分は、親水性または部分的に親水性であるアクリル酸塩、炭酸塩、プロテイン、セルロース、シロキサン、ポリアセタール、コラーゲン、エラスチン、またはポリエステルを基材とする重合体からなるグループから選択される重合体であることを特徴とする請求項7に記載の水和水。
【請求項9】
水和水であって、前記第2部成分は親水性のメタクリル酸塩タイプのモノマー類、HEMA、リン酸塩を有するモノマー類、アルケノイド類、炭化重合のモノマー類、ジオール類、二塩基酸類アミノ酸類であるモノマーからなる群から選択されたモノマーであることを特徴とする請求項7に記載の水和水。
【請求項10】
水和水であって、前記第2部成分は二塩基酸類またはアミノ酸類である群から選択されたモノマーであることを特徴とする請求項9に記載の水和水。
【請求項11】
化学的に接合されたセラミック材料であって、その結合相は主に無機セメント相からなり、前記セラミック材料は基体上または間隙内にin−situで形成されて、前記材料はまた有機のin−situで形成され、親水性または部分的に親水性であるアクリル酸塩、炭酸塩、プロテイン、セルロース、シロキサン、ポリアセタール、コラーゲン、エラスチン、またはポリエステルを基材とする重合体からなるグループから選択される重合体を含むことを特徴とする化学的に接合されたセラミック材料。
【請求項12】
セラミック材料であって、その結合相は、アルミン酸塩類、珪酸塩類、燐酸塩類、硫酸塩類およびその組み合わせからなる群のカルシウムを含むセラミック粉末であることを特徴とする請求項11に記載のセラミック材料。
【請求項13】
セラミック材料であって、その結合相は、Ca、SrおよびBaからなる群から選択される陽イオンを有することを特徴とする請求項11乃至12に記載のセラミック材料。
【請求項14】
セラミック材料であって、前記無機セメント相が体積でセラミック材料の50%または50%以上を構成することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項15】
セラミック材料であって、前記有機相は別の領域のような、無機セメント相と連絡しない相として存在することを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項16】
セラミック材料であって、前記有機相が無機セメント相内のネットワークとしてまたは別の領域として存在することを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1つに記載のセラミック材料。
【請求項17】
セラミック材料を作成するための方法で、有機相を重合体の形態で含む方法であって、
−親水性のメタクリル酸塩タイプのモノマー類、HEMA、リン酸塩を有するモノマー類、アルケノイド類、炭化重合のモノマー類、ジオール類、二酸塩類アミノ酸類であるモノマーからなる群から選択されたモノマーである第2部成分を請求項1乃至6に記載の粉末材料に加えるステップと、
モノマー類の同一の群から選択された第1部成分を含むステップと、
−もし必要ならば、第1および第2部成分の間の重合反応を開始するステップとを含み、
ここで第1部成分および第2部成分が一緒に重合体の形態の有機相を形成することを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1つに記載のセラミック材料を作成するための方法。
【請求項18】
セラミック材料を作成するための方法であって、第2部成分が水和水に含まれているかまたは別途追加されることを特徴とする請求項17に記載のセラミック材料を作成するための方法。
【請求項19】
セラミック材料を作成するための方法であって、重合体がin situで共重合によって形成されることを特徴とする請求項17乃至18に記載のセラミック材料を作成するための方法。
【請求項20】
セラミック材料を作成するための方法であって、重合体がin situで縮重合によって形成されることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1つに記載のセラミック材料を作成するための方法。
【請求項21】
第1部成分および第2部成分が接触されたときに重合反応が開始することを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
前記重合化反応は光または熱化学的に開始されることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
水和反応および重合化反応は材料内で摂氏50度を超える温度にならないように、かかる温度調整は無機セメント相内のネットワークまたは別の領域を形成するようにもたらされた有機相によりおよび/または前記材料の体積で50%以下に構成されるようにもたらされた有機相により実施されることを特徴とする請求項17乃至22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記粉末材料は最初に圧縮度55%以上に圧縮され、粉末粒子の顆粒に微細に分割されたのち、前記顆粒は平均粒径が30から250μmを示すことを特徴とする請求項17乃至23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記顆粒は最大50%まで前圧縮されていない、顆粒内の粉末材料と同様のセメントを基材としたシステムの粉末材と混合されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記材料は平均圧縮度が55%以上を示す原料成形体に圧縮されることを特徴とする請求項24乃至25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記材料は結合相に反応する流体内に懸濁し、得られた懸濁液/ペーストは排出され圧縮されたのちに、前記結合相と任意の残った流体との間の反応により硬化されるが、前記圧縮は圧縮度が55%以上でなされることを特徴とする請求項25乃至26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
水和水が前記顆粒と回転法、混練法、または手押し法により混合されてペーストが形成され, ペーストが間隙内に施されることを特徴とする請求項25乃至26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
ペーストが充填または注射により間隙内に施されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
化学的に接合されたセラミック材料のためのキットまたはシステムであって、請求項1乃至6のいずれか1つに記載された粉末材料と請求項7乃至10のいずれか1つに記載の水和水と、オプションとして第1部成分および第2成分の間の反応を開始させるための開始剤とを含むことを特徴とする化学的に接合されたセラミック材料を作成するためのキットまたはシステム。
【請求項31】
粉末材料と水和水とを保管し、混合するための装置(10、20)であって、前記装置は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の粉末材料を保持する第1チャンバ(1)と、請求項7乃至10のいずれか1つに記載の水和水を保持する第2チャンバ(2)と、前記チャンバ(1,2)間の開封可能な封止部(3、6)とを含むことを特徴とする粉末材料と水和水とを保管し、混合するための装置(10、20)。
【請求項32】
前記第2チャンバ(2)の圧力は前記第1チャンバ(1)より大きいことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
少なくとも前記第1チャンバ(1)は壁部(4)を有し、壁部材料は前記壁部(4)を通る前記粉末材料を処理させるために十分な柔軟性を有することを特徴とする請求項31乃至32のいずれか1つに記載の装置。
【請求項34】
前記第1チャンバ内に配置された前記第2チャンバは球体(7)を有し、前記第2チャンバおよびボールは装置を揺動させることによって、前記球体が第2チャンバの壁を破壊し、第1および第2チャンバを接触させることができるように形成されていることを特徴とする請求項31乃至33に記載の装置。

【公表番号】特表2006−502939(P2006−502939A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−515294(P2004−515294)
【出願日】平成15年6月11日(2003.6.11)
【国際出願番号】PCT/SE2003/000955
【国際公開番号】WO2004/000240
【国際公開日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【出願人】(502370421)ドクサ アクティボラグ (8)
【Fターム(参考)】