説明

化学的機械的平坦化パッド

本開示は研磨パッドに関する。この研磨パッドは、3次元網状組織を内部に有するポリマー層と、パッド表面全域で圧力を等化する能力を有し、第1の接着剤を含み、1〜50psiの圧力で圧縮した場合に複合材料が1〜500psiの静水圧係数を示す複合材料層と、を含んでいてよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2007年12月31日付けの米国仮特許出願第61/017,952号の利益を主張するものであり、当該米国仮特許出願は、参照することによって本願明細書中にその全内容が援用される。
[発明の分野]
本発明は、二重の機能性を有する接着剤層を伴う化学的機械的平坦化(CMP)パッドに関する。
[背景]
化学的機械的平坦化(CMP)のための従来の研磨パッドは、第2の軟質層が積層された第1の多孔質または充填材分散型ポリマー層の複合材料を含んでいてよい。米国特許第5,257,478号の中で報告されているように、軟質の第2層は、第1層とは異なる静水圧係数と呼ばれるものを有し、均一な研磨のために半導体表面全域で等しい圧力を提供するための圧力等化手段として役立つ。CMPパッド内に第2の軟質層が無い場合、研磨されたウェーハの均一性は劣化するかもしれない。
【0002】
研磨用工具に複合材料パッドを取付ける目的で、第2層に第3の接着剤層が適用されてよい。しかしながら、従来のパッド内の層構造を使用すると、研磨中の層間分離または層間剥離の危険性を増大させるかもしれない。さらに、3層構造は、層間に気泡または外部汚染物質を取込み、その結果、パッド表面上の突起を検出するのが困難となり、こうして、スクラッチ欠陥および研磨の不均一性を導くかもしれない。
[概要]
本開示の一局面は、研磨パッドに関する。この研磨パッドは、3次元網状組織を含むポリマー層と、パッド表面全域で圧力を等化する能力を有し、第1の接着剤を含み、1〜50psiの圧力で圧縮した場合に複合材料が1〜500psiの静水圧係数を示す複合材料層とを含んでいてよい。
【0003】
さらなる局面は、研磨パッドを工具に張付ける方法に関する。この方法は、工具に研磨パッドを接着させるステップを含んでいてよい。研磨パッドは、3次元網状構造を有するポリマー層、および第1の接着剤を含むパッド表面全域で圧力を等化する能力を有する複合材料層を含んでいてよい。複合材料は、1〜50psiの圧力で圧縮された場合に1〜500psiの静水圧係数を示してよい。
【0004】
本開示の別の局面は、研磨パッドを形成させる方法に関する。この方法には、3次元網状構造を内部に有するポリマー層を提供するステップと、第1の接着剤を含むパッド表面全域で圧力を等化する能力を有する複合材料層をポリマー層に接着させるステップとが含まれていてよい。複合材料は、1〜50psiの圧力で圧縮された場合に1〜500psiの静水圧係数を示してよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本明細書中で意図されているCMPパッドの一実施例を示す図である。
【図2】本明細書中で意図されているCMPパッドの一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の上述のおよびその他の特徴、そしてそれらに到達する要領は、添付図面と合わせて取上げた本明細書に記述されている実施形態についての以下の説明を参照にすることによって、さらに明らかとなり、より良く理解されるであろう。
【0007】
本発明は、第1の多孔質または充填材分散型ポリマー層を含む研磨パッドに関する。しかしながら第1層は、第2の軟質層に積層される代わりに、半導体表面全域で圧力を等化する能力を有する複合材料に対し直接積層されてよい。複合材料は1つ又はそれ以上の接着剤層ならびに接着剤層の間に位置づけされた付加的な層を含んでいてよい。
【0008】
図1に示されている1つの実施例において、研磨中に半導体表面全域で圧力を等化する能力を有する複合材料は、シートの表面上にコーティングされた接着剤の1つ又はそれ以上の層の14、16を含むシート12を含んでいてよい。複合材料は、ポリマー層20に接着されてよい。結果として得られた複合材料は、内部の全ての値および増分を含めて1〜50psiの圧力下で圧縮された場合に、内部の全ての値および増分を含めて1〜500psiの全体的静水圧係数を示してよい。例えば、静水圧係数の範囲は、半導体ウェーハのCMP中に広く利用され得るものである1〜10psiの圧力下で圧縮された場合の150〜250psiであってよい。
【0009】
ポリマー層は結合剤中に分散した、または少なくとも部分的に封入された可溶性または不溶性材料の3次元網状構造を含み入れることによって形成されてよい。ポリマー材料は粒子、繊維および/またはファブリックの形をしていてよい。結合剤は、3次元網状構造材料の硬度H2よりも大きい硬度H1を示してよい。
【0010】
一実施例においては、3次元網状構造を金型キャビティ内に置いてよく、結合剤材料も金型キャビティ内に注ぎ込んでよい。熱および/または圧力を金型キャビティ内の結合剤および3次元網状構造の混合物に加え、研磨パッドを形成させてよい。パッドの形成においても、付加的な加熱および/または硬化ステップを利用してもよい。さらに、内部に包含されたまたは封入された3次元網状構造を露出させるためにパッドを摩滅させてもよい。一部の実施例においては、3次元網状構造の全てまたは一部分をパッドから取り除いて、ポリマー層の中に比較的多孔質の3次元網状構造を提供してよい。
【0011】
以上で示唆されているように、複合材料は1つの接着剤層を含んでいてよい。したがって、次に図2に注目すると、この図には、第1の多孔質のまたは充填された分散ポリマー層20に接着された接着剤層16を含む本明細書中の別の例示的実施形態が示されている。認識できるように、この実施形態においては、シート12の使用を回避してよい。しかしながらここでもまた、このような結果として得られた複合材料は、接着剤層16とポリマー層20の組合せを通して1〜500psiの全体的静水圧係数を示すように構成されてよい。このような静水圧係数値は同様に、1〜50psiの圧力下で圧縮された場合の1〜500psiの間の全ての値および増分も含む。
【0012】
例えば図1を参照すると、シートの一方の面に適用される接着剤14が、そのシートの反対側の面に適用される接着剤16と同じであってもなくてもよいということが認識できる。一実施形態においては、シートの一方の面に適用される接着剤14は、ASTM試験規格D903−98(2004)にしたがって2.5ポンド/インチを超える180度剥離強度(PS1)を示してよい。シートの反対側の面に適用される接着剤16は、以上のASTM規格にしたがって1〜1.5ポンド/インチの比較的低い180度剥離強度(PS2)を示してよい。したがって、接着剤14の剥離強度は接着剤16の剥離強度よりも高くてよく、PS1はPS2よりも高くて(>)よい。
【0013】
一実施形態においては、シートの一方の面に適用される接着剤はアクリル系接着剤であってよく、シートの他方の面に適用される接着剤は、ジエンタイプのエラストマなどの異なるポリマー構成成分に由来してよい。ジエンタイプのエラストマ接着剤は、その結合力を増大させるために架橋されてよい。その上、アクリルベースの接着剤の面を研磨パッドに付着させ、一方ジエンタイプのエラストマベースの面を研磨用工具の表面に付着させてもよい。研磨の終りで、パッドは、より低い剥離強度およびより高い結合力に起因して、研磨工具から比較的容易に離脱可能である。
【0014】
したがって、接着剤にはポリブタジエンおよびポリイソプレンのエラストマなどの1つ又はそれ以上の材料が含まれてよいが、これらに限定されない。ポリイソプレンは天然物(例えば、シス−1,4ポリイソプレン)または合成物であってよい。さらに、接着剤はアクリルエラストマおよび/またはポリウレタンタイプのエラストマを含んでいてよい。さらに、接着剤は、エポキシタイプのポリマー系および/またはビスマレイミドタイプの接着剤などのポリイミドタイプの系も含み得るということが意図されている。1つまたは複数の接着剤は、1ミル〜20ミルの範囲内などといったような、その中の全ての値および増分を含めた1ミル〜200ミルの範囲内の厚みで適用されてよい。接着剤は浸漬被覆、スクリーン印刷、リバースロールコーティング、ギャップコーティング、メータリングロッドコーティング、スロットダイコーティング、エアナイフコーティング、スプレーコーティングなどのさまざまなスプレーまたはコーティングプロセスによって適用してよい。
【0015】
シートは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、スチレンおよびその固体および発泡体構成などの1つ以上の材料を含んでいてよいが、これらに限定されない。シートは同じく、織物または不織布を含めたファブリック、または複数のガス入りセルまたは細孔を含む発泡体であってよい。シートの厚みは、1〜100ミルなどの、その中の全ての値および増分を含めた0.1〜500ミルの範囲内にあってよい。
【0016】
以上のことからわかるように、本開示は、先行技術のパッド内のように第2の圧力等化層の必要性を完全に回避することのできる研磨パッドに関する。本明細書中、開示されている通りの接着剤を含む複合材料層は、接着剤と圧力等化手段という2重の機能を効率よく提供し得る。したがって、本明細書中のパッドは、3次元網状組織を含むポリマー層と、パッド表面全域で圧力を等化する能力を有し、第1の接着剤を含み、1〜50psiの圧力で圧縮した場合に複合材料が1〜500psiの静水圧係数を示す複合材料層とで構成されていてよく、かかるパッド性能のためにその他の構成要素を全く必要としない、ということが認識できる。パッド内の複合材料層は、同様に、第1の面と第2の面を含むシート、前記シートの前記第1の面上に配置された前記第1の接着剤の第1層、および前記シートの前記第2の面上に配置された第2の接着剤の第2層を含んでいるだけでもよい。
【0017】
複数の方法および実施形態についての以上の記述は、例示を目的として提示されたものである。それは、網羅的であること、またはクレームを開示された精確なステップおよび/または形態に限定することを意図されておらず、明らかに、以上の教示に照らして数多くの修正および変形形態が可能である。発明の範囲は、本明細書に付記されたクレームによって定義づけられることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元網状組織を含むポリマー層と、
パッド表面全域で圧力を等化する能力を有し、第1の接着剤を含み、1〜50psiの圧力で圧縮した場合に複合材料が1〜500psiの静水圧係数を示す複合材料層と、
を含む研磨パッド。
【請求項2】
前記3次元網状構造が少なくとも部分的に多孔質である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記第1の接着剤がアクリル系接着剤である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記ポリマー層が第1の硬度H1を有する結合剤材料を含み、前記3次元網状構造が第2の硬度H2を示し、H1>H2である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記複合材料層が、第1の面および第2の面を含むシート、前記シートの前記第1の面上に配置された前記第1の接着剤の第1層および前記シートの前記第2の面上に配置された第2の接着剤の第2層を含んでいる、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記第1の接着剤が第1の180度剥離強度PS1を示し、前記第2の接着剤が第2の180度剥離強度PS2を示し、PS1>PS2である、請求項5に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記第1の接着剤がアクリル系接着剤であり、前記第2の接着剤がジエンタイプのポリマーであり、前記第1の接着剤が前記ポリマー層に貼付けられている、請求項5に記載の研磨パッド。
【請求項8】
研磨パッドを工具に貼付する方法において、3次元網状組織を含むポリマー層と、パッド表面全域で圧力を等化する能力を有し、第1の接着剤を含み、1〜50psiの圧力で圧縮した場合に複合材料が1〜500psiの静水圧係数を示す複合材料層と、を含む研磨パッドを工具に接着させるステップを含む方法。
【請求項9】
前記第1の接着剤がアクリル系接着剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー層が第1の硬度H1を有する結合剤材料を含み、前記3次元網状構造が第2の硬度H2を示し、H1>H2である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複合材料層が、第1の面および第2の面を含むシート、前記シートの前記第1の面上に配置された前記第1の接着剤の第1層および前記シートの前記第2の面上に配置された第2の接着剤の第2層を含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の接着剤が第1の180度剥離強度PS1を示し、前記第2の接着剤が第2の180度剥離強度PS2を示し、PS1>PS2である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の接着剤がアクリル系接着剤であり、前記第2の接着剤がジエンタイプのポリマーである、請求項12に記載の研磨パッド。
【請求項14】
3次元網状組織を内部に有するポリマー層を提供するステップと、
パッド表面全域で圧力を等化する能力を有し、第1の接着剤を含み、1〜50psiの圧力で圧縮した場合に複合材料が1〜500psiの静水圧係数を示す複合材料層を前記ポリマー層に接着させるステップと、
を含む研磨パッドを形成する方法。
【請求項15】
前記第1の接着剤がアクリル系接着剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー層が、第1の硬度H1を有する結合剤材料を含み、前記3次元網状構造が第2の硬度H2を示し、H1>H2である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記複合材料層が、第1の面および第2の面を有するシート、前記シートの前記第1の面上に配置された前記第1の接着剤の第1層および前記シートの前記第2の面上に配置された第2の接着剤の第2層をさらに含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の接着剤が第1の180度剥離強度PS1を示し、前記第2の接着剤が第2の180度剥離強度PS2を示し、PS1>PS2である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の接着剤がアクリル系接着剤であり、前記第2の接着剤がジエンタイプのポリマーである、請求項14に記載の研磨パッド。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−507720(P2011−507720A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541543(P2010−541543)
【出願日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/088672
【国際公開番号】WO2009/086557
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507255732)イノパッド,インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】