説明

化学種又は生物種用の表面プラズモンマイクロセンサ及びナノセンサ

本発明は、化学種又は生物種用の表面プラズモンマイクロセンサ又はナノセンサに関し、サポート(1)表面上に分布するパッド(2)を備え、前記パッド(2)は、少なくとも一つ以上の導電性材料を備えるとともに、前記化学種又は生物種を固定可能であり、前記パッド(2)は、1μm未満の寸法を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化学種又は生物種用の、新たに局在化された表面プラズモンセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
表面プラズモンは、金属伝導表面上を伝わり、該金属の表面上に位置する電子の集団的移動による電荷密度の縦振動によって生じる電磁モードである。表面プラズモンは、光励起されうる。従って、表面プラズモンの様々な伝搬モードに直接連結された共鳴が強調される。
【0003】
励起され得る表面プラズモンは、「非局在化」又は「局在化」するものとして知られている。両者は、それらの伝搬長さによって原理的に区別される。
【0004】
現状の技術水準において、最も頻繁な用法は、典型的には可視領域における0.5ミクロンメートル付近の、励起光の波長よりも大きい距離に亘って伝搬する非局在化した表面プラズモンに好適に関するものである。
【0005】
局在化した表面プラズモンは、励起光の波長未満の距離、換言すれば、サブミクロン、さらにはナノメートルの距離、に亘って伝搬する波である。
【0006】
表面プラズモンは、周囲の環境の様々な特性に対して非常に敏感である。従って、例えば、前に励起した表面プラズモンが伝搬する金属表面上に堆積した1つ又は複数の分子やナノ物体の物理的及び化学的特性を決定することが可能であり、従って、化学的及び生物的検出器を形成することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非局在化した表面プラズモンを励起するためのいくつかの配置が存在している。最も広範に使用されている配置は、Kretschmann配置である。この配置では、プリズムの第1の面は、検出対象の化学種又は生物種と接触して取り込む意図で、金又は銀の極薄金属層で覆われている。読み取りビーム(リーディングビーム)は、全内部反射のガラスプリズムにおける一つの傾斜面を介して透過される。このビームは、検出器の方向でのガラス/金属の接触面上で部分的に反射され、ビームのエネルギーの一部は金属によって吸収される。金属/エアの接触面で発生する全反射は、この同一の接触面で表面プラズモンを励起するエバネセント波の形成によって生じる。表面プラズモンの励起は、所定の照明角度の下でのみ発生し得る。表面プラズモンが励起されたときに、検出器によって収集された光ビームの強度は、プラズモンに変換されたエネルギーによって減少する。前記プリズムの第一の面上での光ビームの入射角に応じて、検出器によって収集された光ビームの強度での最小深さが形成される。この角度は、エバネセント場の厚さ内の、金属表面における屈折率のプロファイルに非常に大きく依存する。この屈折率は、金属層上が吸着した基材に応じて変化する。表面プラズモンの形成に対応する共鳴角度は、それ故、吸着した基材を表す。固定された入射角で、プラズモン共鳴に励起波長を調整することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化学種又は生物種に対する既存のセンサの解像度を向上するためになされているものである。本発明は、サポート表面上に分布するパッドを用いて、前記化学種又は生物種を固定可能である。パッドのサイズ及び形状は、その分布と同様に、ナノメートルスケールでの解像度を許容するために提供されうる。本発明の範囲内において、局在化した表面プラズモンが特に用いられる。
【0009】
全体的な観点から、本発明によって、金属基板上の化学種又は生物種の吸着される周囲の媒体の光学特性を変化させるために、表面プラズモンの特性の変調が強調される。本発明によって、パッドに吸着された生化学種は、表面増感ラマン分光法によって同定され、この増大及びその結果この分光法の種類が金属パッドのプラズモン共鳴によって可能となる。
【0010】
本発明の主題は、それ故、化学種又は生物種用の表面プラズモンマイクロセンサ又はナノセンサであって、サポート表面上に分布するパッドを備え、前記パッドは、少なくとも一つ以上の導電性材料を備えるとともに、前記化学種又は生物種を固定可能であり、前記パッドは、1μm未満の寸法を有している。
【0011】
本発明の範囲内において、ナノセンサは、0.5μm未満の寸法(光学システムの経験的回折限界にほぼ相当する寸法)を有し、マイクロセンサは、0.5μmよりも大きい寸法を有している。
【0012】
有利には、前記パッドは、2次元マトリックスによって前記サポート表面上に分布している。
【0013】
前記パッドは、横断面(換言すれば、サポートの表面に平行な平面における断面)が円形又は楕円形状である。センサがマイクロセンサの場合には、パッドの断面の最大寸法は、0.5μmから1μmの間である。センサがナノセンサの場合には、パッドの断面の最大寸法は、0.5μm未満である。
【0014】
前記マイクロセンサ又はナノセンサは、少なくとも2つ以上のパッドのネットワークを備え、一つのネットワークのパッドの断面形状は、他のネットワークのパッドの断面形状と異なっていてもよい。
【0015】
前記パッドの導電性材料は、金又は銀であってもよい。
【0016】
前記パッドは、少なくとも二つ以上の異なる金属層の重ね合わせによって形成されていてもよい。また、前記パッドは、前記サポートと一体の金属層と、化学種又は生物種に結合可能な材料の極薄層(数nmの厚さ)との重ね合わせによって形成されていてもよい。
【0017】
前記サポートの前記表面は、誘電体材料、半導体材料、及び金属材料の中から選択された材料の表面であってもよい。
【0018】
有利には、マイクロセンサ又はナノセンサは、前記センサの感度を増大可能な手段をさらに備えている。これらの手段は、前記サポートの前記表面上に直接的に堆積された金属薄膜を備えていてもよい。誘電体薄膜は、前記誘電体膜の厚さに応じてプラズモン共鳴を調整するために、前記金属薄膜と前記パッドとの間に介在していてもよい。これらの手段は、誘導電磁モードを伝えることを意図された平面型の導波路を備えてもよく、このとき、前記平面型の導波路は、前記サポートの表面上又は表面下であって前記パッドの下に、形成されている。これらの手段は、パッドを一体的にグルーピングすることによって構成されてもよく、このとき、前記グルーピングされたパッド間の距離は、前記グルーピングされたパッド間で電磁結合が生じ得る十分に小さいものである。前記パッドが断面楕円形状である場合には、これらの手段は、前記楕円の長軸に沿ったパッドの端部を、前記楕円の長軸に沿って隣接するパッドの端部から、前記パッド間に電磁結合が可能となる微小な距離で離隔することによって、構成されてもよい。
【0019】
前記センサの感度を増大可能な手段は、パッドに用いられる少なくとも一つ以上の粒子を備えていてもよい。この粒子は、前記化学種又は生物種に固着された粒子であってもよい。前記粒子は、パッド付近に配置する意図の物体に固着されていてもよい。前記物体は、近接場光学顕微鏡におけるチップであってもよい。この粒子は、金属であってもよく、このとき、前記感度は、前記パッドと前記粒子のプラズモン共鳴同士を結合することによって強化される。この粒子は、蛍光材料で構成されてもよく、蛍光の放出は、対応するパッドのプラズモン共鳴によって増幅される。
【0020】
非限定的な例として付与された後述する図面とともに説明を読むことで、本発明は十分に理解され、他の利点は特色も明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
最初に、図1及び図2に関して本発明を説明する。図1は、本発明による作動原理を示し、図2は、本発明によるセンサの斜視図である。
【0022】
例えば、金製又は銀製の金属パッド2が、サポート(支持体)1の表面上に形成されている。サポート1は、任意の性質;つまり、誘電体材料(例えばガラス製)、半導体(例えばシリコン製)、又は金属(例えばガラス板上に堆積した金の薄板層)、のものであってもよい。前記パッドは、2次元マトリックスに従って分布している。これらのパッドは、その上側面に、DNAのストランド(らせん構造)のような化学種又は生物種を吸着(付着)することができる。
【0023】
マイクロセンサの場合、パッド2は、数μmから数百μmの距離(例えば、5μmから300μm)で中心間が離れた、直径0.5μmから1μmの円筒形パッドであってもよい。パッドの厚さは、20nmから500nmの間であってもよい。
【0024】
ナノセンサの場合、パッドの直径は、全体的に0.5μmより小さく、中心間距離は0.5μmから0.5μmであってもよい。パッドの厚さは、10nmから100nmの間であってもよい。
【0025】
観察対象となる金属パッドの表面への照明(ライティング)5と、これらのパッドからの光信号の検出とは、好ましくはミクロンサイズの場合に、非排他的な方法であるが、共焦点の光学レンズによって実行されるか、近接場光学顕微鏡(SNOM)によって、実行される。特定の照明パラメータ(偏光、入射角、励起光源の波長)は、パッドのスケールで励起される表面プラズモンを許容する。
【0026】
照明5に対して、空間的に密閉されて、近接場光学的構成における試料の照明に対する十分な強度、光ファイバーで自由に可視スペクトルでの白色光源の出力を有するようなフェムト秒のパルスレーザー源からの光ファイバーにおける非線形効果(位相自己変調、誘導ラマン効果)を通した連続的な白色光を生成する可能性が想定され得る。非限定的な例として、800nmの波長で150fsの放射パルスを有するチタニウムサファイヤレーザーは、200mW出力の連続白色光を生成するために、3μmの直径のコアの光結晶ファイバーに連結されてもよい。
【0027】
エバネセント波による照明を介して、検出のノイズ比に対する信号を増大させることを可能にする全反射プリズムを介したパッドの照明も想定され得る。
【0028】
各パッドの波長解析は、吸着した種、又は、該種以外の種に関するパッドのプラズモンシグニチャを可能とする。基準スペクトルは、任意の吸着種が無いパッドの上方で受けるものである。第2のスペクトルは、種の吸収の後で、受けるものである。2つのプラズモン共鳴の間でのスペクトルシフトによって、各パッド上に吸着される化学種又は生物種の存在及び多様性の検出、及び、それらの濃度の評価が可能である。試料一式の研究は、固定された試料上方の光線による走査か、又は、固定された光線の下で試料を走査することによって、実行され得る。各パッド上方で受けるラマン分光分析によって得られた励起ラマンスペクトルにより、前記パッド上で吸着された化学種の同定が可能となる。
【0029】
例えば、非限定的な例として、数ナノメータの直径の金又は銀の球体の金属粒子4(図1)は、検出対象となる所定の生物種又は化学種と一体で、目印(マーカー)として使用され得る。これらの粒子4は、これらの粒子における局在化したプラズモンを対応するパッドと連結した結果、プラズモン共鳴波長シフトを強化して、検出器のノイズ比に対する信号を改善することによって検出器の感度を増大させる。
【0030】
非限定的な例として、本発明によるパッドのネットワークは、サブミクロン直径の、200nmの高さ、中心間距離10μmの、10000の円筒形パッドを備えたおよそ1×1mmの表面領域の基板上に印刷されている。
【0031】
図3は、本発明による他の実施の形態のナノセンサとともに配置した図である。化学的又は生物学的対象物のサブミクロンの特徴に特に適合した、局在化した表面プラズモンセンサ構造を示している。
【0032】
図3において図式化されたナノセンサは、基板11上に形成された微小寸法のナノ金属パッド12のネットワークからなり、基板11上で検出対象である種13が吸収される。非限定的な例として、本発明によるネットワークのパッドは、50nmの直径の、20nmの高さ、中心間距離500nmの、400の円筒形パッドを備えたおよそ10×10μmの表面領域の基板上に印刷されている。
【0033】
非限定的な例であるが、およそ100nmから500nmの間隔を有し、10から20nmの高さ、数十nm(20nmから100nm)の典型的な寸法の、断面円形又は楕円形の円筒形のナノパッド12が好ましく使用される。これらのパッドは、電子リソグラフィの技術(電子照射と、これに続くメタライゼーションと、最終的なリフトオフとによって形成されるPMMAにおけるパッド)によって好ましく形成される。図4及び図5は、直径100nm、高さ70nm、中心間距離300nmの、金22製の円筒形パッド(回転シリンダ)のネットワークと、高さ50nm、長軸65nm、及び短軸40nm、短軸間の間隔150nm、長軸間の間隔200nmの、金32製の断面楕円形のパッドのネットワークとをそれぞれ示す。パッドのサイズ及び/又は形状を変更することによって、プラズモン共鳴の波長を調整することができる。この共鳴波長をレーザーの励起波長に調整することで、表面増感ラマン分光法によって生物種を同定する場合に、検出器の感度を増大させることが可能となる。マーカーとしての役割を担って生物種に固着可能な蛍光粒子19(非限定的な例として、量子箱又は有機分子)における(蛍光)吸収又は放射波長へのパッドの共鳴波長を調整することで、マーカーによって放射される蛍光信号を増大させることが可能となる。
【0034】
センサは、同一の基板上に形成された、ナノパッド粒子のいくつかのネットワークからなるものでもよい。これら各ネットワークはそれ自体の幾何学的特性を有している。例えば、非限定的な例として、図4及び図5のネットワークは、同一の基板上に形成されてもよい。従って、各ネットワークは、それ自体のプラズモンシグニチャを規定の波長で有することになる。非限定的な例として、各ネットワークの共鳴波長は、ラマン分光法によって種を同定するために、いくつかのレーザーの波長、又は、いくつかのマーカーの蛍光吸収又は放射波長を調整してもよい。
【0035】
非限定的な例として、(断面円形又は楕円形の)円筒形のナノパッドは、直接的に金属表面上に接合(グラフト)できない分子を接合するため、又は、センサの感度及び/又は波長可変特性を増大させるため、多層(マルチレイヤー)構造を有していてもよい。第1の場合(分子の接合)、例えば、非限定的な例として、100nmの直径の円筒形パッドは、50nmの金の下側層と、3nmのシリコンの上側層との、2つの層からなってもよい。第2の場合(感度及び/又は可変特性)、非限定的な例として、100nmの直径の円筒形パッドは、20nmの銀の下側層と、10nmの金の上側層との、2つの金属層からなってもよい。
【0036】
非限定的な例として、典型的には数nmの直径の金の球体である金属粒子14は、化学種又は生物種自体に固着して、パッド12のプラズモン共鳴と、金属粒子のプラズモン共鳴とを連結することで、検出器の感度を増大させるようにしてもよい。
【0037】
パッドが堆積した特定のサポートは、パッドと誘導電磁モードとを連結することにより、センサの感度を増大させてもよい。例えば、非限定的な例として、金属パッドは、平面型又は密閉型の導波路17の表面上に堆積されてもよく、又は、表面プラズモンの励起に付随する共鳴が発生する薄型金属膜の上に堆積されてもよい。
【0038】
センサの感度を向上させるために、ネットワークのパターンは、互いに電磁気的に連結されたいくつかの金属の基礎構造(サブストラクチャー)18(図3参照)からなる。この連結により、プラズモン共鳴に関する局所的な電磁場が強化され、従って、検出器の感度も強化される。前記基礎構造が互いに接近している程、この連結(カップリング)が強くなるであろう。この連結は、長軸における曲げ半径の下端付近での点効果(ポイントエフェクト)によって生じる非常に強い領域の結果、長軸に沿って配列された楕円形状の断面を有するパッドを有する基礎構造に対しても強くなるであろう。例えば、ネットワークのパターンは、非限定的な例として、それぞれの長軸に沿って配置され、数nmで離隔された3つの連結された楕円断面のナノパッド18であってもよい。
【0039】
マーカーの役割を担う他の物体、蛍光球体粒子(例えば、量子箱、又は有機着色剤をドープしたラテックス)又は蛍光分子は、種の上に固定されてもよく、これにより、粒子又は分子19の吸収が最大となる波長に類似している場合に、パッドのプラズモン共鳴の変調における検出器の感度を増大させることができる。パッドのプラズモン共鳴の摂動は、吸収種の存在下では、吸収種の非存在下よりも増大する。
【0040】
ナノメータパッドのスケールでの、換言すればサブ波長スケールでの光信号の検出は、パッド間の距離が1ミクロンメートル(これより下で、共焦点は回折限界下である)よりも大きい場合、共焦点顕微鏡によって行われることが好ましく、また、パッド間の距離が1ミクロンメートル未満の場合、SNOM型の近接場光学顕微鏡によって行われることが好ましく、また、開口部無し(オープニングフリー)のプローブ設定における非限定的な例によって行われることが好ましい。
【0041】
特定の照明条件下での、開口21を有さないプローブを有するSNOMの金属チップは、チップ効果によって、前記場付近の電磁場の励起をもたらすことができ、従って、検出対象のナノ物体付近の光度を強化する。このチップは、さらに、プラズモン共鳴の連結を介して、材料を構成このチップも許容される場合に、金属ナノパッド12と、前記チップによって構成されたシステムのマークされた波長共鳴移動の、金属マーカー14に適切な材料の場合に、前記パッドとマーカーとが、さらに可能であり、それ故、改善された感度のサブ波長スケールの光検出が可能である。フィールド信号付近の検出のノイズ比に対する信号は、試料上方のプローブを垂直に振動させることによって向上することができる。従って、同期検波又は二重ゲート光子計数器によって、高い空間解像度を有するプラズモン共鳴の検出を可能にする、パッド付近の密閉されたエバネセント場は、照射表面からの拡散によって構成されるバックグラウンドノイズから抽出される。同調検波の場合、前記信号は、プローブの振動数で復調される。二重光子計数の場合、臨時ゲートが前記チップ振動の下方位置及び上方位置で継続的に開口し、そして、前記システムが2つの信号の減算操作をして、従って、密閉された場での検出を強化している。
【0042】
本発明の他の実施の形態によれば、図3に示されるように、非常に小さいサイズ(典型的には数nm)の金属又は蛍光粒子20が固定される端部に(非限定的な例として)開口21を有するSNOMプローブが使用される。この粒子は、蛍光粒子である場合には、非限定的な例として、分子又は蛍光量子箱であってもよく、また、金属粒子である場合には、数nmの直径の金又は銀の球体であってもよい。
【0043】
この金属粒子20は、局所的な表面プラズモンにおける励起に連結された、光励起15下での光共鳴を示す。このことから、検出対象であり特徴づけられる種13の影響下での粒子20付近において、SNOMの検出器システムによって強調される粒子20のプラズモン共鳴の変調が保証される。
【0044】
粒子20付近の電磁場における励起が、マーカー14及び誘導電磁モード17における共鳴に適合する場合、断面形状円形12又は楕円形18の円筒形パッドの、粒子20におけるプラズモン共鳴同士の結合によって強化され得る。
【0045】
蛍光粒子の場合、生化学種の存在によって、この粒子の強度及び蛍光寿命が修正される。従って、探索された種13の存在又は非存在によって、粒子20の蛍光放射の特性は修正される。蛍光検出器の感度は、パッドのプラズモン共鳴波長が粒子20の蛍光吸収波長又は放射波長に適合する場合、パッド16の存在によって強化されうる。蛍光粒子20もまた、種13によって誘導されるパッド16のプラズモン共鳴の変調を強化するために使用され得る。
【0046】
本発明は、液状媒体中において使用してもよい、還元すれば、化学種又は生物種が溶液中に存在している場合にも使用してもよい、ということに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明によるマイクロセンサ又はナノセンサの作動原理を示す図である。
【図2】本発明によるマイクロセンサ又はナノセンサの斜視図である。
【図3】本発明による他の実施の形態のナノセンサとともに配置した図である。
【図4】本発明によるマイクロセンサ又はナノセンサの平面図である。
【図5】本発明による他のマイクロセンサ又はナノセンサの平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 サポート(支持体)
2 金属パッド
4 金属粒子
5 照明
11 基板
12 ナノ金属パッド
13 種(スピーシーズ)
14 金属粒子
17 導波路
18 基礎構造(サブストラクチャー)
19 蛍光粒子
20 金属粒子
21 開口
22 金
32 金



【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学種又は生物種(3、13)用の表面プラズモンマイクロセンサ又はナノセンサであって、
サポート(1、11)表面上に分布する複数のパッド(2、12、22、32)を備え、
前記複数のパッドは、少なくとも一つ以上の導電性材料を備えるとともに、前記化学種又は生物種を固定可能であり、
前記複数のパッドは、1μm未満の寸法を有している、マイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項2】
前記複数のパッド(2、12、22、32)は、2次元マトリックスによって前記サポート(1、11)表面上に分布していることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項3】
前記複数のパッドは、断面円形又は楕円形状であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項4】
前記複数のパッドの断面の最大寸法は、0.5μmから1μmの間であることを特徴とする、請求項3に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項5】
前記複数のパッドの断面の最大寸法は、0.5μm未満であることを特徴とする、請求項3に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項6】
少なくとも2つ以上の複数のパッドのネットワークを備え、
一つのネットワークの複数のパッドの断面形状は、他のネットワークの複数のパッドの断面形状と異なっていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項7】
前記導電性材料は、金又は銀であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項8】
前記複数のパッドは、少なくとも二つ以上の異なる金属層の重ね合わせによって形成されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項9】
前記複数のパッドは、前記サポートと一体の金属層と、化学種又は生物種に結合可能な材料の極薄層との重ね合わせによって形成されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項10】
前記サポートの前記表面は、誘電体材料、半導体材料、及び金属材料の中から選択された材料の表面であることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項11】
前記センサの感度を増大可能な手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項12】
前記センサの感度を増大可能な手段は、前記サポートの前記表面上に堆積された金属薄膜を備えることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項13】
誘電体薄膜は、前記誘電体膜の厚さに応じてプラズモン共鳴を調整するために、前記金属薄膜と前記複数のパッドとの間に介在していることを特徴とする、請求項12に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項14】
前記センサの感度を増大可能な手段は、誘導電磁モードを伝えることを意図された平面型の導波路(17)を備え、
前記平面型の導波路は、前記サポート(11)の表面上又は表面下であって前記複数のパッド(12)の下に、形成されていることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項15】
前記センサの感度を増大可能な手段は、複数のパッド(18)を一体的にグルーピングすることによって構成され、前記グルーピングされた複数のパッド間の距離は、前記グルーピングされた複数のパッド間で電磁結合が生じ得る十分に小さいものであることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項16】
前記複数のパッドは断面楕円形状を有し、
前記センサの感度を増大可能な手段は、
前記楕円の長軸に沿ったパッドの端部を、前記楕円の長軸に沿って隣接するパッドの端部から、前記複数のパッド間に電磁結合が可能となる微小な距離で離隔することによって、構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項17】
前記センサの感度を増大可能な手段は、一つのパッドに用いられる少なくとも一つ以上の粒子を備えていることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項18】
前記粒子は、金属粒子及び蛍光粒子からなる群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項19】
前記粒子は、前記化学種又は生物種に固着された粒子(14)であることを特徴とする、請求項17に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項20】
前記粒子(20)は、一つのパッド付近に配置する意図の物体に固着されていることを特徴とする、請求項17に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項21】
前記物体は、近接場光学顕微鏡におけるチップ(21)であることを特徴とする、請求項20に記載のマイクロセンサ又はナノセンサ。
【請求項22】
前記マイクロセンサ又はナノセンサの複数のパッド上に固定された化学種又は生物種の同定用の読み出しシステムによって、検出基準でラマン分光法を実行するために、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載のマイクロセンサ又はナノセンサを使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−508536(P2007−508536A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530462(P2006−530462)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050494
【国際公開番号】WO2005/033335
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】