説明

化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法

【課題】ポリウレタン樹脂を用いて、化粧パフを製造する際の成形性に優れているとともに、耐候性、耐油性、耐水性さらには、圧縮残留ひずみが良好で、耐久性に優れた化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法を提供する。
【解決手段】3官能イソシアネート化合物により架橋せしめた、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂が、アニオン性乳化剤にて水分散されてなる化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物である。前記記載のアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を発泡させた後、所定の形状に硬化させる化粧パフの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法に関し、更に詳しくは、製造する際の成形性に優れているとともに、耐候性、耐油性、耐水性さらには圧縮残留ひずみが良好で、耐久性に優れた高機能性化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧パフに用いられる原料ラテックスとしては、得られる発泡体の感触(ソフト感)が良いことから、主として天然ゴムラテックスが使用されてきた。しかしながら、天然ゴムラテックスから製造された化粧用パフには、以下のような欠点があった。
(1)耐候性が悪く、使用中にボロボロになる。
(2)ファンデーションに含まれているオイルに侵され、膨潤する。
(3)天然ゴムラテックスに含まれている蛋白質及び有機物によりパフ使用中の微生物の繁殖があり、「カビ」が発生する。
【0003】
これらの欠点を解消するために、NBR等の合成ゴムラテックスを使用した化粧パフが使用されているが、耐候性及び耐油性の改良効果は全く不十分であった。
【0004】
一方、ポリウレタン樹脂から発泡体を製造することは周知であり、また、一般に、ポリウレタン樹脂は耐候性及び耐油性に優れ、しかもその架橋度を調整することによって柔軟性も調整できる特長を有しており、さらに、ポリウレタン樹脂を水に分散させた水系ポリウレタン樹脂を用いて発泡体を製造することも知られている。例えば、特許文献1には、ポリウレタンエマルジョンを機械的に起泡させて発泡体を形成させる際に、水溶性または水分散性のエポキシ樹脂とその硬化剤を添加することが記載されている。しかしながら、これらの方法では不均一な発泡体となり、化粧パフとして使用することはできなかった。
【0005】
また、ポリウレタン樹脂と合成ゴムを組み合わせて化粧パフの原料として使用することも提案されており、例えば、特許文献2には、NBR(ニトリル−ブタジエン−ゴム)エマルジョン、水溶性ウレタンエマルジョン、架橋剤、界面活性剤、ゲル化剤を含む組成物からパフ基材を製造する方法が記載されている。しかし、この方法では全エマルジョンに対してNBRエマルジョンの固形分を60質量%以上としているため、感触は優れたものとなるものの、耐候性及び弾性においては十分な性能が得られていなかった。さらに、特許文献3、特許文献4等には、発泡倍率を変えたフォームを組み合わせたり、ゴム発泡体とウレタン発泡体の組み合わせによる化粧パフが記載されている。しかし、この化粧パフは柔軟性やソフト感、肌あたり感は優れているものの、耐候性に関しては十分満足できるものではなかった。さらにまた、従来の化粧パフは、水性ファンデーション等の水性化粧品と接触することにより、耐水強度が低下する問題もあった。これらの問題をすべて解決する方法として特許文献5に、アニオン性乳化剤を使用した水系ウレタン樹脂組成物が開示されている。
【特許文献1】特開昭52−119697号公報
【特許文献2】特公平8−5988号公報
【特許文献3】実公昭60−33863号公報
【特許文献4】特開昭62−148608号公報
【特許文献5】特開2002−146181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献5記載の水系ウレタン樹脂組成物は、耐久性の指標となる圧縮残留ひずみにおいては必ずしも十分と言えるものではなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ポリウレタン樹脂を用いて、化粧パフを製造する際の成形性に優れているとともに、耐候性、耐油性、耐水性さらには、圧縮残留ひずみが良好で、耐久性に優れた化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、所定の水系ポリウレタン樹脂をアニオン性乳化剤にて水分散させることにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物は、3官能イソシアネート化合物により架橋せしめた、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂が、アニオン性乳化剤にて水分散されてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の化粧パフの製造方法は、前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を発泡させた後、所定の形状に硬化させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ポリウレタン樹脂を用いて、化粧パフを製造する際の成形性に優れた効果を奏するとともに、耐候性、耐油性、耐水性さらには、圧縮残留ひずみが良好で、耐久性に優れた化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物及び化粧パフの製造方法について説明する。
【0013】
本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物は、3官能イソシアネート化合物(A)及びアニオン性基を有するポリウレタン樹脂(B)をアニオン性乳化剤(C)にて乳化する方法により得られるものである。
【0014】
かかるアニオン性水系ポリウレタン樹脂は、具体的には、3官能イソシアネート化合物(A)、分子中にアニオン性基としてカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオール(b−1)、ポリオール成分(b−2)及び有機ポリイソシアネート(b−3)を反応させてプレポリマー(以下、ポリウレタン樹脂(B)と記す場合もある)とし、次いでプレポリマーをアニオン性乳化剤(C)及び中和剤(D)の配合された水の中に加えて水分散させ、鎖伸長剤(E)によって高分子量化する方法等の周知の方法によって製造される。
【0015】
前記の3官能イソシアネート化合物(A)は、ジイソシアネートモノマーの三量体またはトリオールのアダクト体である化合物が好ましい。
【0016】
前記のジイソシアネートモノマー(a−1)としては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、1,3−シクロへキシレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等が挙げられ、中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートの三量体が、得るのが容易でかつ、安価であることから特に好ましい。
【0017】
前記のアダクト体を得るために用いられるトリオール(a−2)としては、周知の3官能ポリオールを使用することができ、特に限定されず、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはこれらにエチレンオキシド及びプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したポリエーテルトリオールを用いることができる。エーテル鎖の長いポリエーテルトリオールは、これを用いたポリウレタン樹脂の架橋密度を低下させ物性の低下への影響が考えられるため、低分子量のトリオールが好ましく、中でも、グリセリン及びトリメチロールプロパンが特に好ましい。
【0018】
3官能イソシアネート化合物(A)の使用量は、用いるポリオールおよびポリイソシアネートの種類にもよるが、通常は、ポリオール成分(b−2)1.0モルに対し0.01〜0.30モル、好ましくは0.05〜0.15モルが用いられる。3官能イソシアネート化合物(A)の使用量が0.01モル未満では、圧縮残留ひずみ等の効果が小さく、また、0.30モルを超えると、プレポリマー製造時の粘度上昇による作業性の悪化や、プレポリマーの水分散性の悪化、さらに圧縮残留ひずみ等の諸性能に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0019】
前記の分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオール(b−1)としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等が挙げられる。これらのカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールの使用量は、用いるポリオール及びポリイソシアネートの種類およびNCO/OH比にもよるが、通常は、ポリオール成分(b−2)1.0モルに対し0.03〜1.0モル、好ましくは0.1〜0.7モルが用いられる。カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオール(b−1)の使用量がポリオール成分(b−2)1.0モルに対し0.03モル未満では、ウレタンプレポリマーの水への分散性および水系ポリウレタン樹脂の保存安定性等が劣り、また、1.0モルを超えると、圧縮残留ひずみ等の諸性能に悪影響を及ぼすことがある。
【0020】
前記のポリオール成分(b−2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物等の低分子量ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン及び/又はプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;前記低分子量ポリオール又はアンモニアおよびメチルアミン、エチルアミン、アニリン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミンなどの活性水素を2個以上有する低分子量アミン化合物のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド重付加物;前記低分子量ポリオールとコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸あるいは炭酸との縮合物であるポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリシリコーンポリオールおよびポリカプロラクトン等が挙げられる。これらのポリオール成分(b−2)の使用量は、イソシアネート当量に対し、好ましくは0.25〜2倍当量、より好ましくは0.3〜1倍当量が用いられる。
【0021】
前記の有機ポリイソシアネート(b−3)としては、周知一般のポリイソシアネートを使用することができ、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートがあげられ、具体的には、前記(a−1)に示したイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0022】
前記の3官能イソシアネート(A)及び有機ポリイソシアネート(b−3)の合計使用量は、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオール(b−1)及びポリオール(b−2)の活性水素の合計に対し、好ましくは0.5〜5倍当量、より好ましくは1〜3倍当量となるように使用される。該イソシアネートの使用量が0.5倍当量未満の場合には過剰のポリオール等が残存することとなり、また5倍当量より多い場合には水を加えたときに尿素結合を多量に生成することとなり、いずれの場合もその特性を低下させるおそれがある。
【0023】
前記のアニオン性乳化剤(C)としては、アニオン性界面活性剤を使用することが出来る。
【0024】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩などのアルキルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トリエタノールアミンアビエテート、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヤシ油せっけん、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどの脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェートなどのアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。
【0025】
前記アニオン性界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類やポリマーの疎水性の程度により異なるが、本発明に係る水系ポリウレタン樹脂組成物(エマルジョン)中、好ましくは0.05〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%含有する。
【0026】
前記の中和剤(D)としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基が挙げられ、これらはカルボキシ基またはスルホン酸基を中和するのに十分な量が用いられる。
【0027】
前記の鎖延長剤(E)としては、通常用いられる鎖延長剤が用いられ、例えば、平均分子量200未満の低分子量ポリオール化合物および低分子ポリアミン化合物が挙げられ、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジメチロールプロピオン酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、メラミン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、水加ヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド等のアミン類及び水等が挙げられる。これらの鎖延長剤は単独で又は数種を組み合わせて使用することができ、またその使用量は、目的とするポリウレタン樹脂の分子量にもよるが、通常は、プレポリマーの残存イソシアネート当量に対して、0.1〜1.5当量が用いられる。
【0028】
また、必要に応じて前記プレポリマー(ポリウレタン樹脂(B))を製造するために溶媒が使用できる。通常ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものが使用でき、NCO基に不活性であるか、または活性の低い溶剤が好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ターシャリーブタノール等のアルコール系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶媒等が挙げられる。これらの中で、該ポリウレタン樹脂合成時のプレポリマーの溶解性、水への分散性等の観点からアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒またはN−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。これらの溶媒は、通常、プレポリマーを製造するために用いられる前記原料の合計量に対して、好ましくは3〜100質量%が用いられる。これら溶媒のなかで、沸点100℃以下の溶媒はプレポリマー合成後、減圧留去することが好ましい。
【0029】
上述のように、これらの原料からアニオン性ポリウレタン樹脂を製造することは周知であり、これらの原料の仕込み順序を適宜変更したり、あるいは分割して仕込むことも可能である。
【0030】
また、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物はさらに耐水性を向上させる目的で、アニオン性基(具体的にはカルボキシル基又はスルホン酸基)と反応しうる化合物を配合することが好ましい。アニオン性基と反応しうる化合物(以下封鎖剤と称する)としては、具体的には、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物及び亜鉛錯体等が挙げられる。これらの中でも特にアニオン性基と反応しやすい、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物が好ましく使用される。
【0031】
前記オキサゾリン系化合物としては、例えば2−オキサゾリン、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、並びにスチレン、又はアクリル系化合物などのポリマーにオキサゾリル基をグラウトして得られる多官能オキサゾリンポリマーが挙げられ、例えば、日本触媒社製の商品名エポクロスK−1010E、エポクロスK−1020E、エポクロスK−1030E、エポクロスK−1050E、エポクロスK−2010E等の市販品を用いることができる。
【0032】
前記エポキシ系化合物としては、エポキシ基を1個有するモノエポキシタイプとエポキシ基を2個以上有するポリエポキシタイプが挙げられる。モノエポキシタイプのエポキシ化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1,4−ブチレンオキシド等のα−オレフィンオキシド;シクロヘキセンオキシド;エピクロルヒドリン;グリシドール;アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等の1価の脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化合物;フェノール、4−メチルフェノール、4−第三ブチルフェノール、2,4−ジ第三ブチルフェノール等の1価のフェノール化合物のグリシジルエーテル化合物;脂肪族カルボン酸又は芳香族のカルボン酸のグリシジルエステル化合物等が挙げられ、例えば、アデカグリシドールED−501、ED−502、ED−509、ED−518、ED−529((株)ADEKA製、商品名)、さらにエピオールA,エピオールB、エピオールOH、エピオールP、エピオールM、エピオールEH、ブレンマーG(日本油脂(株)製、商品名)等の市販品を用いることができる。
【0033】
ポリエポキシタイプのエポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンジフェノールなどの多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどが挙げられる。例えば、アデカグリシロールED−503、ED−506、ED−513、ED−523、ED−612、ED−505、ED−507、アデカレジンEP−4000、EP−4005、EP−4085、EP−4000S、EP−4080S、EP−4085S((株)ADEKA製、商品名)等の市販品を用いることができる。
【0034】
また、前記カルボジイミド系化合物とは、R’−N=C=N−R”で表される化合物であり、有機ジイソシアネートをホスホレン化合物、金属カルボニル錯体化合物、及びリン酸エステルなどのように、カルボジイミド化を促進する触媒の存在下に、反応させることにより得られたものが好適に用いられる。具体的には、ジプロピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−p−トリオイルカルボジイミド及びトリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミド等が挙げられ、例えば日清紡績(株)の商品名カルボジライトE−01、カルボジライトE−02等の市販品を用いることができる。
【0035】
前記アジリジン系化合物としては、ジフェニルメタン−ビス−4−4’−N−N’−ジエチレンウレア、2,4,6−トリス(1’−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、2,2−ビスハイドロキシメチルブタノールトリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
【0036】
前記の封鎖剤は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物固形分100質量部に対して、封鎖剤の固形分として0.001〜10質量部使用される。また、アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物アニオン性基に対する封鎖剤の当量比は0.1〜3.0であり、更に好ましくは0.5〜2.0である。封鎖剤の当量比が0.1未満では封鎖剤を配合した効果が得られず、3.0を超えると、過剰な封鎖剤が残存して、得られる化粧パフの物性をかえって低下させてしまうため好ましくない。
【0037】
また、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物には必要に応じてフェノール系抗酸化剤、有機リン系酸化防止剤、チオエーテル系抗酸化剤、紫外線吸収剤あるいはヒンダードアミン化合物等の光安定剤、フッ素系又はシロキサン系等の帯電防止剤、コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、シランカップリング剤、着色剤、顔料、ワックス剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、溶剤、造膜助剤、分散剤、増粘剤、香料等の慣用の添加剤を加えることもできる。前記添加剤は水系ポリウレタン樹脂の製造時に配合しても、下記に記載する発泡体の製造時に配合しても構わない。
【0038】
本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物中の前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂の樹脂固形分は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは50〜80質量%、特に好ましくは55〜70質量%である。前記樹脂固形分が50質量%未満では、得られる発泡体の発泡が不均一となり、乾燥時間が長時間化し、十分な機械的強度も得られず、80質量%を超えると、樹脂の粘度が高くなり、均一な発泡体が得られない。
【0039】
次に、本発明の化粧パフ用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物による化粧パフの製造方法について説明する。
【0040】
前記化粧パフは、上述したように、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を下記に示すように発泡させた後、所定の形状に硬化させる事により得ることができる。
【0041】
すなわち、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物に、必要に応じて発泡剤、発泡助剤、泡安定剤、架橋剤等を混合した後、空気等の気体を混入して十分泡立てる。発泡倍率は、発泡剤、発泡助剤の量等で2〜20倍の範囲で適宜調整される。泡立てる際の撹拌速度は特に制限されず、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物(エマルジョン組成物)中に混入した気体の分散が良好であれば良く、撹拌時間も適宜調整される。
【0042】
前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を発泡させた後、好ましくは硬化促進剤を混合し更に混合する。その後、型に流し込み加熱硬化させる。硬化後、型から取り出し余分の界面活性剤を洗い流し乾燥して化粧パフを得る。
【0043】
前記硬化促進剤は、エマルジョンブレーカー又はゲル化剤とも呼ばれ、具体的にはケイ弗化ナトリウム、ケイ弗化カリウムが挙げられる。硬化促進剤の添加量は、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物中におけるアニオン性水系ポリウレタン樹脂に対して、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。硬化促進剤を配合することにより、発泡体の気泡が微細になり硬化の際も硬化時間が短くなる。
【0044】
また、前記発泡助剤としては、前記の乳化剤として例示したアニオン性界面活性剤のほか高級アルコール硫酸エステルナトリウム、サポニン、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。前記発泡助剤の添加量は、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物(エマルジョン)に対して、好ましくは0.05〜20質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0045】
前記泡安定剤としては、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド;ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。前記泡安定剤の添加量は、本発明に係るアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物(エマルジョン)に対して、好ましくは0.05〜20質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0046】
本発明に係る化粧パフは、ラテックス成分として、前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物が主成分として用いられるが、前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物に、必要に応じてその他の水系ウレタンエマルジョン、アクリル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン、ゴム系エマルジョン、その他の水系樹脂等をブレンドすることが出来る。
【0047】
本発明に係る化粧用パフは、アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を主成分とし、任意に前記他の配合成分を含有するものであるが、化粧パフの全樹脂固形分に対してアニオン性水系ポリウレタン樹脂の樹脂固形分を好ましくは、50質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含有する。前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂の含有量が50質量%未満の場合は、発泡セルの形状が不均一となったり、耐候性及び耐油性が低下するおそれがある。
【0048】
尚、本発明に係る化粧パフとは、最終製品として成形した化粧パフに限らず、成形前の化粧パフ用基材も意味するものである。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0050】
<プレポリマーの合成>
〔表1−1〕〜〔表1−5〕に記載の配合により、窒素気流下で(A)3官能イソシアネート、(b−1)アニオン性基を有するポリオール、(b−2)ポリオール成分、(b−3)イソシアネート成分を100℃で3時間反応させ、プレポリマー(PP)を得た。尚〔表1−1〕〜〔表1−5〕中のNCO/OH当量比以外の数値は、全てモル比で示した。ここで、NCO/OH当量比は、3官能イソシアネート(A)及び有機ポリイソシアネート(b−3)の合計と、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオール(b−1)及びポリオール(b−2)の活性水素の合計の当量比を示すものである。
【0051】
尚、表1−1〜表1−5に用いた原料の略記号を以下に記す。
〔3官能イソシアネート〕
HDIヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体
HDI/TMPアダクト;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン(モル比3:1)のアダクト体
TDI/TMPアダクト;トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン(モル比3:1)のアダクト体
〔アニオン性基としてカルボキシル基を有するポリオール(以下、アニオン性基)〕
DMPA;2,2−ジメチロールプロピオン酸
〔ポリオール成分〕
ポリオールA;3−メチル―1,5−ペンタンジオールとアジピン酸のポリエステルジオール、分子量2000((株)クラレ製、商品名クラポールP−2010)
ポリオールB;1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸、イソフタル酸(モル比1/1)とのポリエステルジオール、分子量2000((株)ADEKA製、商品名アデカニューエースYG−215)
ポリオールC;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量2000(保土ヶ谷化学(株)製、商品名PTG−2000)
ポリオールD;ポリプロピレングリコール、分子量1000((株)ADEKA製、商品名アデカポリエーテルP−1000)
〔イソシアネート成分〕
IPDI;イソホロンジイソシアネート
H−MDI;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
〔内部架橋剤〕
TMP;トリメチロールプロパン
【0052】
【表1−1】

【0053】
【表1−2】

【0054】
【表1−3】

【0055】
【表1−4】

【0056】
【表1−5】

【0057】
<ポリウレタンエマルジョン(アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物)の調製>
下記〔表2〕及び〔表3〕に示す配合の乳化剤及び中和剤を溶解した脱イオン水を40℃に加熱し、この温度を保ちながら、前記〔表1−1〕〜〔表1−5〕の配合で得られたプレポリマーを滴下、続いて鎖伸長剤を添加して、高分子量化することによって水系ポリウレタンエマルジョン(アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物)を得た。但し、中和剤は、ウレタンプレポリマーのアニオン性基のアニオン基に対し1:1当量となる量のトリエチルアミンを用いた。尚、〔表2〕及び〔表3〕中の乳化剤量の数値はポリウレタン樹脂100質量部に対する乳化剤有効成分の質量部で示し、鎖伸長剤成分量に関しては〔表1−1〕〜〔表1−5〕記載のウレタンプレポリマーの残存イソシアネート基に対する当量比で示し、ポリウレタン樹脂固形分は、乳化剤を除いた固形分の質量%で示す。
【0058】
【表2】

〔乳化剤〕
乳化剤SA−1;(アニオン性乳化剤)ヤシ油アルコールポリオキシエチレン硫酸ナトリウム 濃度25質量%((株)ADEKA製、商品名アデカホープYES−25)
乳化剤SA−2;(アニオン性乳化剤)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム 濃度30質量%((株)ADEKA製、商品名アデカホープNES−60N)
乳化剤SA−3;(アニオン性乳化剤)ヒマシ油脂肪酸カリウム 濃度33質量%
〔鎖伸長剤〕
EDA;エチレンジアミン
ADH;アジピン酸ジヒドラジド
【0059】
【表3】

乳化剤SN−1;(ノニオン性乳化剤)ノニルフェノールエトキシレート 分子量800 濃度100質量%
【0060】
〔実施例1−1〜1−19及び比較例1−1〜1−12〕<発泡体(化粧パフ)の製造>
前記〔表2〕及び〔表3〕で得られたポリウレタンエマルジョン、NBRエマルジョン(日本ゼオン(株)製、商品名NBR531B;アクリロニトリルブタジエンゴムの高アクリロニトリル品 樹脂固形分65質量%)を〔表4〕に示す割合で配合し、フェノール系抗酸化剤としてテトラキス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシメチル)メタンを0.5質量部、発泡助剤としてオレイン酸カリウムを0.25質量部配合し、空気を混合して十分に泡立てた。硬化促進剤としてケイ弗化ナトリウムを4質量部混合し、更に撹拌した。その後型に流し込み110℃で7分間加熱し硬化後脱水して型から取り出し、余分な界面活性剤等を取り除いた。さらに乾燥して製品を得た。得られた化粧パフの成形性、耐候性、耐油性、繰返し圧縮残留ひずみ率を測定した。
【0061】
<評価>
(成形性)
○:成形性良好
×:気泡荒れ生じ、成形不良である。
(耐候性)
サンシャインウェザーメーター(雨なし)によるブラックパネル63℃、100時間紫外線照射後の引張強さをJIS K 6301に準じて測定して初期引張強さとの変化率(%)を算出した。
(耐油性)
鉱油に発泡体を室温で100時間浸漬した後、引張強さを測定して初期引張強さとの変化率(%)を算出した。
(繰返し圧縮残留ひずみ)
JIS K 6400−4(B法)に従い、繰返し圧縮残留ひずみ率(%)を測定した。
【0062】
発泡体の配合及び物性評価結果を〔表4〕に示す。但し、〔表4〕における「化粧パフ基材全樹脂固形分」とは、ポリウレタンエマルジョン中のポリウレタン樹脂固形分、NBRエマルジョン中の樹脂固形分の合計である。
【0063】
【表4】

【0064】
〔実施例2−1〜2−15及び比較例2−1〜2−7〕
〔表2〕、〔表3〕で得られたポリウレタンエマルジョン100質量部に対し、〔表5〕で示す割合で封鎖剤を配合し、他は全て実施例と同様の方法で発泡体(化粧パフ)を製造した。得られた化粧パフの耐候性、耐油性、耐水性、繰返し圧縮残留ひずみ率を測定した。ただし、ポリウレタンエマルジョン100質量部に対し、発泡剤(オレイン酸カリウム)は0.25質量部、硬化促進剤(ケイ弗化ナトリウム)は4.0質量部、フェノール系抗酸化剤(テトラキス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシメチル)メタン)を0.5質量部配合した。また、化粧パフ基材全樹脂固形分に対するポリウレタン樹脂固形分の割合%は、全て100%である。
(耐水性試験)
40℃の水中1時間浸漬した後の引張強さを測定し、初期引張り強さとの変化率(%)を算出した。
【0065】
【表5】

〔封鎖剤*〕添加量:ポリウレタンエマルジョン100質量部に対する質量部数、
当量比:ポリウレタンエマルジョン中のCOOH基1個に対する封鎖剤の当量比
封鎖剤CA−1;オキサゾリン系化合物(日本触媒(株)製、商品名エポクロスK−2010E)
封鎖剤CA−2;エポキシ系化合物:BPA型エポキシ樹脂エマルジョン固形分65%
封鎖剤CA−3;エポキシ系化合物:ブチルグリシジルエーテル
封鎖剤CA−4;カルボジイミド系化合物:日清紡績(株)製、商品名カルボジライトE−02
【0066】
以上のように、本発明の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を用いることにより、製造する際の成形性に優れ、耐候性、耐油性、耐水性及び圧縮残留ひずみが良好で耐久性に優れた高品質な化粧パフを製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3官能イソシアネート化合物により架橋せしめた、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂が、アニオン性乳化剤にて水分散されてなることを特徴とする化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記3官能イソシアネート化合物が、ジイソシアネートモノマーの三量体またはトリオールのアダクト体である請求項1記載の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂の固形分が、50質量%以上である請求項1または2記載の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂のアニオン性基と反応しうる化合物がさらに配合されている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記アニオン性基と反応しうる化合物が、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物およびカルボジイミド系化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項4記載の化粧パフ製造用アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項記載のアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を発泡させた後、所定の形状に硬化させることを特徴とする化粧パフの製造方法。
【請求項7】
前記アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物の樹脂固形分が、得られる化粧パフの全樹脂固形分に対して50質量%以上である請求項6記載の化粧パフの製造方法。

【公開番号】特開2008−295932(P2008−295932A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147980(P2007−147980)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】