説明

化粧料

【課題】 皮膚や毛髪に対し刺激性がなく、抗酸化作用を有し、皮膚や毛髪を健やかに保つことのできる化粧料を提供すること。さらに詳しく言うと、抗酸化作用を有することにより、さらに優れた肌荒れ防止効果、角質改善効果、老化防止効果及び美肌効果を発現しなおかつ毛髪の状態、感触を改善する安定性の高い化粧料を提供することにある。
【解決手段】 本発明の化粧料は、イオン化ミネラル水を配合している。そして、このイオン化ミネラル水が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンのうち少なくともいずれかを1mg/ml以上含有するとともにpH4から8であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚や毛髪に対し刺激性がなく、抗酸化作用を有し、皮膚の皺、皮膚のきめ、皮膚の艶、色等の状態や毛髪のまとまりを著しく改善するのに優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、温泉水あるいは海洋深層水などが皮膚に対して有用であるといわれているがその作用や有用性に対しての検討はあまりされていない。しかしながら、温泉水などを配合した化粧料は、微生物の問題や流通や製造コストの上からもの有用な量を配合した物は少ない。また塩濃度が低いために微生物の問題で防腐剤を使用しなければならなく、皮膚に対する刺激の原因になったりし、抗酸化作用に優れた化粧料に関する皮膚のきめ、色、艶等の状態あるいは毛髪の状態を著しく改善させる作用効果を得るには不充分といった問題があった。
【0003】
一方、高齢化や紫外線の害の問題から、これら酸化に対する影響を防止したり抑えたりする化粧料の開発が望まれている。加齢による皮膚のしわやたるみ、あるいは色素沈着や毛髪に対してのダメージなどは活性酸素による影響が強いと言われ、これらに対する対策として、アスコルビン酸やトコフェノールやポリフェノールなどの抗酸化作用を有し、活性酸素を除去する作用の有する成分を配合した化粧料が多々ある(例えば、特許文献1〜2参照。)。これらの原料は高価であり、また安定性が悪いといった問題があった。
【0004】
抗酸化物質は、動脈硬化予防及び血栓予防、また肝臓の解毒作用促進効果及びアレルギー改善作用等を有することで注目されている。これらは、経口での作用が多い。しかしながら、抗酸化作用を有していても、化粧料に配合した場合、その作用機序が充分に解明されていないことやコストや安定性の点から充分な化粧料が提供されていない。
【0005】
なお、本発明者は、グレート・ソルト・レイクから得られる成分を配合した皮膚化粧料が、皮膚に対し刺激性がなく、荒れ肌改善効果及び美肌作用に優れることを見出しているが(特許文献3参照)、抗酸化の効果については全く分かっていなかった。
【0006】
【特許文献1】国際公報第97/14705号パンフレット
【特許文献2】特開2004−175856号公報
【特許文献3】特開2000−72614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者はこれらの問題点を解決するために、鋭意研究した結果、各種イオン化ミネラルが豊富に含まれた水に抗酸化作用を見出し、これらを配合した皮膚や毛髪に対する有用性が高く、安価な化粧料の開発が可能となったことを確認して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、皮膚や毛髪に対し刺激性がなく、抗酸化作用を有し、皮膚や毛髪を健やかに保つことのできる化粧料を提供することにある。さらに詳しく言うと、抗酸化作用を有することにより、さらに優れた肌荒れ防止効果、角質改善効果、老化防止効果及び美肌効果を発現しなおかつ毛髪の状態、感触を改善する安定性の高い化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の化粧料は、イオン化ミネラル水を配合している。そして、このイオン化ミネラル水が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンのうち少なくともいずれかを1mg/ml以上含有するとともにpH4から8であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上の記載の通り、本発明によれば、皮膚や毛髪に対し刺激性がなく、抗酸化作用を有し、皮膚や毛髪を健やかに保つことのできる化粧料を提供できる。さらに詳しく言うと、抗酸化作用を有することにより、さらに優れた肌荒れ防止効果、角質改善効果、老化防止効果及び美肌効果を発現しなおかつ毛髪の状態、感触を改善する安定性の高い化粧料を提供できる。そして、この化粧料は、長期保存しても安定で、人体に好ましくない副作用や皮膚刺激を有さない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の構成の詳細について説明する。
【0012】
本発明に好ましく用いられるイオン化ミネラル水は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンのうち少なくともいずれかを1mg/ml以上含有するものである。含有量が1mg/ml以上あれば、抗酸化効果が充分に得られ好ましい。また、本発明の化粧料の皮膚刺激の面から、イオン化ミネラル水がpH4〜8であれば、気になる範囲とならず好ましい。
【0013】
イオン化ミネラル水は、地球が誕生した後の海は真水だったとされ、その後山から陸に降った雨が川となり大陸地殻の塩類を溶かし、海へ注ぎ、時が経て海は、現在のような塩水となったといわれている。その後の地殻変動によりこれら地層の中に封じ込められた水や川などから流れ込んだ水をせき止めて天日乾燥されたもののが多く知られている。代表的に天然界に存在するものとして、太古珊瑚浸透水 (沖縄瀬底島:日本)、ソルトレイク(米国)、デボラ湖(オーストラリア)、死海(イスラエル)、カールン湖(エジプト)をジェリーフィッシュレイク(パラオ)などがある。
【0014】
たとえば珊瑚浸透水は、沖縄本土本部町瀬底島の地下300mからくみ上げられたもので、長年にわたり高圧力の影響で光と空気を遮断され、熟成された貴重な水である。またソルトレイク(米国)は、アメリカ合衆国ユタ州ソルトレイクシティの北西部の人里離れた未開の地の塩水または天火で濃縮したもので塩分濃度により、原水をソルトレイクIW、ソルトレイクOM、ソルトレイクGMに分けられる。さらにオーストラリアの西オーストラリア州デボラ湖のミネラル水(デボラNM)は、インド洋の風を利用し、原水を乾燥したミネラル水である。これらミネラル水の組成を表1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
本発明で用いるイオン化ミネラル水は、表1に示した天然界に存在するミネラル水から得ることができる。これらは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンのうち少なくともいずれかを1mg/ml以上含有しており、本発
明のイオン化ミネラル水に用いるのに好適である。これらのミネラル水は、必要によりろ過し、ろ液をそのまま、あるいは乳糖などの賦型剤を用い凍結乾燥及び熱風乾燥し粉末化することも可能であるが、できればそのまま液体として使うことが経済的な観点からも望ましい。
【0017】
このようにして得られたイオン化ミネラル水を配合した本発明の化粧料は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどのイオン化したミネラルが皮膚に作用し、相乗的に作用し合って皮膚の機能を亢進する。
【0018】
本発明の抽出したミネラル水は、熱水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等のような親水性溶媒を用いて流通することも可能である。また場合によっては、熱処理をしたものや紫外線殺菌したものやごく微量の防腐剤などを添加することも出来る。
【0019】
本発明におけるイオン化ミネラル水の配合量は、化粧料組成物の総量を基準として、0.005wt%(重量%の略称)以上、95wt%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。特に0.005wt%〜50wt%以下が好ましい。
【0020】
本発明の化粧料にはイオン化ミネラル水のほかにも、他の化粧料成分を配合できる。他の化粧料成分としては、通常使用出来るものなら全て使用出来るが、効能、効果に応じ以下の物質から適宜選択できる。例えば一般に化粧料で用いられている賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤などの各種化粧料成分が挙げられる。
【0021】
前記油脂類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば大豆油、アーモンド油、パラフィン、セタノール、アボガド油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、ホホバ油、卵黄油、ひまし油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリンなどの植物性油脂;牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、パーセリン油、スクワランなどの動物性油脂;メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、トリカプリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィンなどの合成油脂などが挙げられる。
【0022】
前記界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤;グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖エステル、脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0023】
前記保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシグリセリン(26E.O)、ピロリドンカルボン酸ソーダ、パンテテイン−Sスルホン酸塩などの合成保湿剤;ヒアルロン酸、エラスチン、ケラチン、デルマタン硫酸、コラーゲン、胎盤抽出液、ローヤルゼリー、微生物発酵液、例えばキチン、キトサン、ペクチンなどや、その他の植物や動物由来の抽出液などの天然保湿剤などが挙げられる。
【0024】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルブチンやこれらの誘導体などのほかにも、胎盤抽出液、その他の植物や動物由来の抽出液などが挙げられる。
【0025】
前記pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、などの有機酸、無機酸及びその塩類などが挙げられる。
【0026】
前記粘結剤類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ナトリウム塩、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーンガム、カラギナン、寒天、カーボポールなどが挙げられる。
【0027】
前記多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0028】
前記精油及び香料類としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等の天然及び合成香料などが挙げられる。
【0029】
前記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0030】
前記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸などが挙げられる。
【0031】
前記酸化防止剤としては、例えばアルコルビン酸、EDTA4Na,EDTA2Na、ブチルオキシトルエンなどが挙げられる。
【0032】
前記紫外線吸収剤としては、紫外線を選択的に吸収する性質を有するものであれば特に限定されることはないが,例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
【0033】
前記顔料としては、例えばベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。。
【0034】
前記植物粉砕物及び生薬類としては、レモンの皮、海藻、ヒノキ、ヒバ、フッカス、米ヌカ、シュウブ、ショウキョウ、カンゾウ、チンピ、トウヒ、ユズ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケイヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツレ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタバ、ウコギ、ゴボウ、黒ゴマ、黒米等の粉砕物及びその抽出液などが挙げられる。
【0035】
無機塩類及び無機酸類として、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ
酸などが挙げられる。
【0036】
前記洗浄剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0037】
前記乳化剤は、化粧品原料として公知の物質を用いることができる。特に好ましいものとして、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンジステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステテアリン酸ソルビタン等のソルビタン分岐脂肪酸エステル;大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、更にこれらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチン及び/又は水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル化したヒドロキシレシチン等のレシチン類;モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン分岐脂肪酸エステル:などを挙げることができ、1種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
さらに、本発明の化粧料は、上記のもの以外にも、必要に応じてその他の成分として、乳糖、牛乳、練乳、チタン、タルク等の無機顔料、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジンなどの殺菌剤、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2,ビタミンB6、ビタミンP、CoQ10、CoQ9、CoQ8などのビタミン類及び補酵素、無水珪酸、合成珪酸アルミニウム等流動化剤及び医薬品、医薬部外品並びに化粧品用タール系色素等を適宜配合出来る。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例に記載の抗酸化評価測定法、血液量測定法、皮膚明度測定法、角質層のターンオーバー速度測定方法(老化防止効果)、荒れ肌改善効果の測定法、官能試験法は下記の通りである。実施例、比較例中の各成分の配合量の単位はwt%である
【0040】
(1)抗酸化評価方法
方法:β−カロテン退色法(リノール酸の自動酸化に伴い生じるリノール酸過酸化物がβ−カロテンの色の消失することを利用した方法。)を用いた。
実験操作:試験管立てを50℃の恒温槽に入れておき、試験管に被験物質を100μl採取し、4.9mlのリノール酸−β−カロテン混合液を加え、まずコントロールの470nmにおける吸光度を測定し、素早く試験管に反応液を戻した後、直ちに恒温槽内の試験管立てに立てる。次いで、同様の操作でコントロールの吸光度を測定して浴槽に移動した時を0分とし、以後30分、60分における吸光度の減少を測定する。そして、経時による酸化率を以下の式で求めた。

酸化率(%)=(0分の吸光度−経時の吸光度)/(0分の吸光度)×100

上記方法にて評価したイオン化ミネラルと、対照として用いたアスコルビン酸の抗酸化作用について、表2に示す。なお、表中の数値は、「平均値±標準誤差」で表示した。
【0041】
【表2】

【0042】
これらの結果から、コントロールに比べ明らかに、また抗酸化剤として用いられているアルコルビン酸に比べ抗酸化力が強く、マグネシウムの濃度が増加するにつれてその作用は強くなる傾向が認められた。
【0043】
(2)血液量測定法
レーザードップラー血流計(オメガフロー製)を用いて測定を行った。測定には接触タイプの深度可変型プローブを用い、内眼角下部(深度0.6mm)について測定を行った。各測定は約20秒ずつ行い、値の安定したおよそ10秒の平均値を測定値とした。試料連用前と10日間連用後の血液量を測定し、連用後の値から連用前の値を引いた値を血液量差とした。
【0044】
(3)皮膚明度差測定法
色彩色差計(CR−321:ミノルタ製)を用いて、L*値の測定を行った。測定は内眼角下部について5回行い、最大、最小値を除いた3点の平均値を皮膚明度とした。試料連用前と10日間連用後の皮膚明度を測定し、連用後の値から連用後の値を引いた値を皮膚明度差とした。
【0045】
(4)角質層のターンオーバー速度測定法
蛍光色素のダンシルクロライドを白色ワセリン中に5重量%配合した軟膏を作り、被験者の前腕部の皮膚に24時間閉塞貼布し、角質層にダンシルクロライドを浸透結合する。その後同じ部位に1日2回(朝、夕)被験試料を塗布し、毎日ダンシルクロライドの蛍光を調べ、その蛍光が消滅するまでの日数を皮膚角質のターンオーバー速度とした。なお、通常の皮膚角質層のターンオーバー速度は、14〜16日であるが、老化した皮膚においては18日前後に延び、それに対して老化防止効果が現れると12日前後にまで短縮される。
【0046】
(5)荒れ肌改善効果の測定試験法
下脚に荒れ肌を有する中高年被験者20名を対象として4週間連続塗布効果を調べた。被験者の左側下脚試験部位に1日2回約1gの試料を塗布し、試験開始前及び終了後の皮
膚の状態を下記の判定基準により判定した。右側下脚は試料を塗布せず対照とした。試験前後の試験部位と対照部位の判定結果を比較し、皮膚乾燥度が2段階以上改善された場合(例えば;+→−、++→±)を「有効」、1段階改善された場合を「やや有効」、変化がなかった場合を「無効」とした。試験結果は「有効」「やや有効」となった被験者の人数で示した。
【0047】
(6)官能試験法
被験者20名が試料を10日間連用した後の試料の特性を評価した。評価は、肌の明るさ、つや、平滑性、弾力性のアンケート項目に対し、「皮膚が明るくなった」、「皮膚のつやが増した」、「皮膚が滑らかになった」、「皮膚に張りが生じた」と回答した人数で示した。
【0048】
・実施例1、実施例2、比較例1
表3に示す組成から成る実施例1、実施例2、比較例1の各化粧水組成物について、成分bと成分cをそれぞれ均一に溶解した後、両者を混合溶解、さらに成分aを攪拌しながら加え、スキンローションを作成した。得られたスキンローションについて諸試験を実施した結果を表3に併せて記載する。
【0049】
【表3】

【0050】
表3から明らかなように、ソルトレイクOMと太古珊瑚浸透水を配合したスキンローションは諸試験において良好な結果であった。それに対して比較例1のスキンローションは、諸試験において顕著な効果は認められなかった。また実施例1〜2のスキンローションはヒト皮膚を用いた諸試験においても全く皮膚刺激は生じなかった。
【0051】
・実施例3(クリ−ム)
下記処方に従い、成分bと成分cを80℃で加熱溶解し、成分bに成分cを攪拌しながら加え、ホモジナイザーで2.5分間激しく攪拌(2500rpm)して各成分を充分乳化分散させた後、攪拌しながら徐々に冷却して、45℃で成分aを加え、攪拌しながら、35℃で攪拌を止め冷却し、クリームを作成した。
【0052】
【表4】

【0053】
・実施例4(日焼け止めクリーム) 下記処方に従い、実施例3と同様にして、日焼け止めクリームを作成した。
【0054】
【表5】

【0055】
・実施例5(ローション)
下記処方の各成分を常法により混合溶解してローションを調製した。
【0056】
【表6】

【0057】
・実施例6(ジェル)
下記処方の成分b、成分c、成分dをそれぞれ混合分散溶解し、成分dに成分aから成分cを加え、均一に溶解させジェルを作成した。
【0058】
【表7】

【0059】
・実施例7(ジェル)
下記処方の成分b、成分c、成分dをそれぞれ混合分散溶解し、成分dに成分aから成分cを加え、均一に溶解させてジェルを作成した。
【0060】
【表8】

【0061】
・実施例8(制汗ローション)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させ制汗ローションを作成した。
【0062】
【表9】

【0063】
・実施例9(乳液)
下記処方の成分bと成分cを80℃で加熱溶解し、成分bに成分cを攪拌しながら加え乳化し、攪拌しなが冷却し、45℃で成分aを加え、さらに冷却し、40℃で攪拌を止め冷却し、乳液を作成した。
【0064】
【表10】

【0065】
・実施例10(パック)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させパックを作成した。
【0066】
【表11】

【0067】
・実施例11(全身用シート状パック)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させる。ついでこれを成分dの1mあたり、80g塗布し、10
cmに切断しパックを作成した。
【0068】
【表12】

【0069】
・実施例12(液体入浴剤)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させ液体入浴剤を作成した。
【0070】
【表13】

【0071】
・実施例13(粉末入浴剤)
下記処方の成分a、成分bをそれぞれ攪拌混合し、均一に分散させ粉末入浴剤を得た。
【0072】
【表14】

【0073】
・実施例14(パウダーパック化粧料)
下記処方の成分cを混合分散し、成分aから成分dを加え、均一に攪拌混合させパウダーパック化粧料を作成した。
【0074】
【表15】

【0075】
・実施例15(スティック化粧料)
下記処方の成分cを75℃で加熱溶解し、成分a、成分bを加え、均一に攪拌混合し、型に流し込みスティック化粧料を作成した。
【0076】
【表16】

【0077】
・実施例16(洗顔料)
下記処方の成分bと成分dを80℃で加熱溶解し、成分dに成分bを攪拌しながら加え乳化し、攪拌しなが冷却し、45℃で成分a、成分cを加え、さらに冷却し、35℃で攪拌を止め洗顔料を作成した。
【0078】
【表17】

【0079】
・実施例17(固形石鹸)
下記処方の成分bをそれぞれ混合分散し成分a、成分cに加え、均一に混練し、型打ちする。
【0080】
【表18】

【0081】
・実施例18、実施例19、比較例2、比較例3
所内パネラー20名に対して、下記の組成からなるシャンプー、リンスを1週間ずつ使用し、ソルトレイクOMを含む実施例18、19を使用する群を実施例群、含まない比較例2、3を比較例群とし、10名ずつ最初に使用する群をわけ試験を開始し、1週間後に反対の群の試料を使用するようにした使用し評価をおこなった。使用時の感触、使用後のまとまり、翌日のつや、連用後の使用感などについて、5点満点で評価しその平均点を算出した。その結果を表21に示す。評価の得点は、大変良いが5点で、やや良いが4点、普通が3点、やや悪い2点、悪いが1点で得点が高いほど評価が高い。また刺激は全くないが5点満点で、ややあるが3点、あるが1点とした。
【0082】
・実施例18、比較例2(シャンプー)
下記処方の成分b、成分dを80℃で加熱溶解し、均一に攪拌混合溶解し、攪拌しながら45℃まで冷却し、成分a、成分cを加えさらに攪拌し、40℃まで冷却し、シャンプーを作成した。
【0083】
【表19】

【0084】
・実施例19、比較例3(リンス)
下記処方の成分bと成分dを80℃で加熱溶解し、成分dに成分bを攪拌しながら加え乳化し、攪拌しなが冷却し、45℃で成分a、成分cを加え、さらに冷却し、35℃で攪拌を止め、リンスを作成した。
【0085】
【表20】

【0086】
【表21】

【0087】
以上の結果より、実施例は比較例にくらべ全ての点で優れた評価が得られた。
【0088】
・実施例20(ヘアートニック)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させ濾過し、ヘアートニックを作成した。
【0089】
【表22】

【0090】
・実施例21(養毛料)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させ濾過し、養毛料を作成した。
【0091】
【表23】

【0092】
・実施例22(ヘアスプレー)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させ濾過し、ヘアスプレーを作成した。
【0093】
【表24】

【0094】
実施例3〜22の本発明の化粧料は、諸試験において明らかに良好な結果を示し、皮膚刺激も生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の化粧料は、特に限定されるものではないが、例えばクリーム、乳液、化粧水、エッセンス、洗顔料、クレンジング料、パックなどの基礎化粧品、口紅、ファンデーション、アイカラーなどのメイクアップ化粧品、ボディソープ、石鹸、シャンプー、リンス、コンデッショナーなどのトイレタリー製品、毛髪用セット剤などの毛髪用化粧料などとして用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化ミネラル水を配合した化粧料。
【請求項2】
イオン化ミネラル水が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンのうち少なくともいずれかを1mg/ml以上含有するとともにpH4から8である請求項1に記載の化粧料。

【公開番号】特開2006−206499(P2006−206499A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20847(P2005−20847)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】