説明

区画付き注射器

【課題】第一の流体導管および第二の流体導管を備える注射器を提供すること。
【解決手段】上記注射器は、複数の物質のうちの少なくとも2つの物質を収容するための少なくとも2つのチャンバを有する、第一の流体導管;およびこの第一の流体導管に隣接して配置され、そしてこの複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する、第二の流体導管、を備え、各物質は、各流体導管に作動可能に関連したプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するように相互に混合可能であり、この排出材料は、所定体積の、この流体導管の少なくとも2つの物質の相互に混合された組成物により規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年3月30日に出願された米国仮特許出願番号61/164,622の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、塗布前に2つ以上の物質を混合するためのアプリケータ、アプリケータシステムなどに関する。
【背景技術】
【0003】
体内および体外の創傷を閉鎖する際に使用するためのポリマーおよび他の合成材料が、現在開発されている。「生体接着」剤は、生体接着剤を塗布するための種々の方法と同様に、当該分野において公知である。生体接着剤は、従来の創傷閉鎖法(すなわち、縫合糸、ステープル、クリップまたは他の適切な機械的ファスナーを使用すること)より優れた多くの有意な利点を与える。生体接着剤は、塗布がより速くかつ簡単であり、より少ない瘢痕でより迅速な創傷閉鎖を促進する傾向を有し、そして機械的ファスナーを除去するための再度の通院の必要性を排除する。
【0004】
ほとんどの生体接着剤は、即座に活性化する傾向を有し、そしていくつかの例においては、互いに合わせられると迅速に重合する、複数の成分からなる。生体接着剤のこの即座の活性化および/または迅速な重合に起因して、この生体接着剤を構成する成分は、塗布の直前まで合わせられないかもしれない。塗布前に生体接着剤成分を混合するための従来のアプリケータは、一般に、混合チャンバまたは共通導管を備え、物質がこの混合チャンバまたは共通導管を通過する際に、これらの物体がこの混合チャンバまたは共通導管で合わせられる。すなわち、混合される。この混合物のコンシステンシーは、合わせられる物質の型、これらの物質の量、およびこれらの物質またはその組み合わせがこの混合チャンバを通過する速度に依存して、変動し得る。
【0005】
2つの物質を混合するための従来のアプリケータまたは注射器が、当該分野において公知である。Cannonらに対する特許文献1は、このようなデバイスを開示する。具体的には、特許文献1は、エラストマーベースの材料と促進剤とを混合するための、二重バレルのカープル(carpule)型注射器を開示する。この混合用注射器は、その遠位端に共通の混合および分配チャンバを備え、この注射器上のモータにより駆動される回転攪拌器を備える。この混合用注射器は、二重プランジャーをさらに備え、この二重プランジャーを手で押すことにより、流体が、混合および分配チャンバ内に分配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,767,085号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
従って、本開示は、第一の流体導管および第二の流体導管を備える注射器に関する。この第一の流体導管は、複数の物質のうちの2つ以上の物質を収容するための、2つ以上のチャンバを備える。この注射器は、この第一の流体導管の2つ以上の物質を相互に混合することを可能にするためのバイパスを備える。この第二の流体導管は、この第一の流体導管に隣接して配置され、そしてこれらの複数の物質のうちの1つ以上の物質を収容するための、1つ以上のチャンバを有する。1つ以上のチャンバは、気密シールされており、そして1つ以上のチャンバは、2つ以上の物質を分離するための1つ以上の内栓を備える。内栓のうちの1つ以上は、実質的に蛇腹形状であり得る。各物質は、それぞれの流体導管に作動可能に関連するプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するために、相互に混合可能である。この排出材料は、これらの流体導管の所定体積の2つ以上の物質の相互に混合された組成物により規定される。
【0008】
第一の流体導管は、液体物質を第一のチャンバ内に収容し、そして粉末物質を第二のチャンバ内に収容する。この液体物質およびこの粉末物質は、第一の流体導管の物質を形成するように相互に混合可能である。この第一の流体導管の物質および第二の流体導管の1つ以上の物質は、相互混合の際に、排出材料を規定する。この排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0009】
プランジャーは、第一の部材および第二の部材を備える。このプランジャーは、所定体積の、これらの物質のうちの2つ以上を前進させるような構成および寸法にされ得る。このプランジャーの第一の部材および第二の部材は、所定体積の1つ以上の物質および/または排出材料の前進を容易にする目的で、相互にロックされるような構成および寸法にされ得る。このプランジャーは、このプランジャーを使用者が持つことを容易にするために、その近位端に配置された1つ以上のフランジをさらに備え得る。このプランジャーの第一の部材および第二の部材の各々は、別々に前進させられ得る。あるいは、このプランジャーの第一の部材および第二の部材は、同時に前進するような構成および寸法にされ得る。1つ以上の止め機構が、このプランジャーに取り外し可能に結合され得、この止め機構は、このプランジャーが所定の位置を越えて遠位に前進させられることを防止する。
【0010】
1つ以上の接続先端が、流体導管のうちの1つ以上の各々の遠位端に作動可能に関連し得る。各接続先端は、この注射器の外側に配置された表面に排出材料を噴霧するような構成および寸法にされる。各接続先端はまた、流体導管により収容される物質のうちの2つ以上の相互の混合に適合するような構成および寸法にされ得る。
【0011】
注射器は、流体導管のうちの1つ以上の各々の遠位端に配置された、末端キャップを備え得る。この末端キャップは、物質および/または排出材料が望まれるまで排出されることを防止しながら、気体が通ることを可能にするための、通気特徴を有し得る。
【0012】
本開示の別の局面は、混合の方法に関する。この方法は、注射器を提供する工程を包含し、この注射器は、複数の物質のうちの2つ以上の物質を収容するための2つ以上のチャンバを有する第一の流体導管、およびこの第一の流体導管に隣接して配置され、そしてこれらの複数の物質のうちの1つ以上の物質を収容するための1つ以上のチャンバを有する第二の流体導管を備え、各物質は、各流体導管に作動可能に関連するプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するために相互に混合可能であり、この排出材料は、これらの流体導管の所定体積の2つ以上の物質の相互に混合された組成物により規定される。この混合の方法は、これらの物質のうちの2つ以上が相互に混合するようにプランジャーを前進させる工程;これらの2つ以上の物質の相互の混合をさらに容易にするためにこの注射器を振盪する工程;およびこれにより形成された排出材料を排出する工程をさらに包含する。この混合方法は、2つ以上の物質が相互に混合された後に気体が通ることを可能にする工程をさらに包含し得る。
【0013】
別の局面によれば、組み立ての方法は、互いに作動可能に結合された2つ以上のバレルを提供する工程を包含する。この方法は、1つ以上の栓をこれらの2つ以上のバレルのうちの1つ以上に導入し、その結果、2つ以上のチャンバが、これらの2つ以上のバレルのうちの1つ以上の中に形成される工程を包含する。この方法はまた、2つ以上のバレルのうちの1つ以上の中の第一のチャンバに、複数の物質のうちの1つ以上の物質を導入し、そして2つ以上のバレルのうちの1つ以上の中の第二のチャンバに、これらの複数の物質のうちの1つ以上の物質を導入する工程を包含する。1つの工程は、2つ以上のバレルのうちの1つに第一のプランジャーを導入し、そして2つ以上のバレルのうちの別のものに第二のプランジャーを導入する工程を包含する。この方法は、2つ以上の栓を、圧縮状態と拡張状態との間で配置する工程をさらに包含する。
【0014】
本開示の上記および他の局面、特徴、および利点は、添付の図面と組み合わせて、以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになる。
【0015】
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
複数の物質のうちの少なくとも2つの物質を収容するための少なくとも2つのチャンバを有する、第一の流体導管;および
この第一の流体導管に隣接して配置され、そしてこの複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する、第二の流体導管、
を備え、
各物質は、各流体導管に作動可能に関連したプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するように相互に混合可能であり、この排出材料は、所定体積の、この流体導管の少なくとも2つの物質の相互に混合された組成物により規定される、注射器。
(項目2)
上記第一の流体導管が、第一のチャンバ内に液体物質を収容し、そして第二のチャンバに粉末物質を収容し、この液体物質およびこの粉末物質は、第一の流体導管の物質を形成するように相互に混合可能である、上記項目に記載の注射器。
(項目3)
上記第一の流体導管の物質および上記第二の流体導管の上記少なくとも1つの物質が、相互混合の際に、上記排出材料を規定する、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目4)
上記排出材料がヒドロゲルである、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目5)
上記流体導管のうちの少なくとも1つの各々の遠位端に作動可能に関連する少なくとも1つの接続先端をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目6)
上記接続先端が、上記注射器の外側に配置された表面に上記排出材料を噴霧するような構成および寸法にされている、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目7)
上記接続先端が、上記流体導管により収容される上記物質のうちの少なくとも2つの相互混合に適合するような構成および寸法にされている、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目8)
少なくとも1つのチャンバが気密シールされている、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目9)
少なくとも1つのチャンバが、少なくとも2つの物質を分離するための少なくとも1つの内栓を備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目10)
上記少なくとも1つの内栓が、実質的に蛇腹形状である、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目11)
上記流体導管のうちの少なくとも1つの遠位端に配置された末端キャップをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目12)
上記末端キャップが通気特徴を備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目13)
上記第一の流体導管の上記少なくとも2つの物質が相互に混合することを可能にするためのバイパスをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目14)
上記プランジャーが、このプランジャーの近位端に配置された少なくとも1つのフランジをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目15)
上記プランジャーが第一の部材および第二の部材を備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目16)
上記プランジャーが、所定体積の、上記物質のうちの少なくとも2つを前進させるような構成および寸法にされている、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目17)
上記プランジャーの第一の部材および第二の部材が、所定体積の少なくとも1つの物質および/または上記排出材料の前進を容易にする目的で、互いに相互にロックするような構成および寸法にされている、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目18)
上記プランジャーの上記第一の部材と上記第二の部材との各々が、別々に前進可能である、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目19)
上記プランジャーの上記第一の部材と上記第二の部材との各々が、同時に前進するような構成および寸法にされている、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目20)
上記複数の物質の内の少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する第三の流体導管をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目21)
上記プランジャーに取り外し可能に結合される少なくとも1つの止め機構をさらに備え、この止め機構は、このプランジャーが所定の位置を越えて遠位に前進することを防止する、上記項目のいずれかに記載の注射器。
(項目22)
注射器を提供する工程であって、この注射器は、
複数の物質のうちの少なくとも2つの物質を収容するための少なくとも2つのチャンバを有する、第一の流体導管;および
この第一の流体導管に隣接して配置され、そしてこの複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する、第二の流体導管、
を備え、各物質が、各流体導管に作動可能に関連するプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するように相互に混合可能であり、この排出材料は、所定体積の、この流体導管の少なくとも2つの物質の相互に混合された組成物により規定される、工程;
少なくとも2つの物質を相互に混合するように、このプランジャーを前進させる工程;
この少なくとも2つの物質の相互の混合をさらに容易にするために、この注射器を振盪する工程;ならびに
それにより形成されたこの排出材料を排出する工程、
を包含する、混合の方法。
(項目23)
上記少なくとも2つの物質が相互に混合した後に、気体が通ることを可能にする工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の混合の方法。
(項目24)
互いに作動可能に結合した少なくとも2つのバレルを提供する工程;
少なくとも1つの栓をこの少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つに導入して、少なくとも2つのチャンバがこの少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つの中に形成されるようにする工程;
複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を、この少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つの中の第一のチャンバに導入し、そしてこの複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を、この少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つの中の第二のチャンバに導入する工程;
第一のプランジャーをこの少なくとも2つのバレルのうちの1つに導入し、そして第二のプランジャーをこの少なくとも2つのバレルのうちの他のものに導入する工程、
を包含する、注射器を組み立てる方法。
(項目25)
上記少なくとも1つの栓を、圧縮状態と拡張状態との間で配置する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0016】
摘要
注射器は、第一の流体導管および第二の流体導管を備える。この第一の流体導管は、複数の物質のうちの2つの物質を収容するための2つのチャンバを備える。この第二の流体導管は、この第一の流体導管に隣接して配置され、そしてこれらの複数の物質のうちの1つの物質を収容するためのチャンバを有する。この注射器は、第三の流体導管を備え得る。各物質は、各流体導管に関連するプランジャーの前進の際に、排出材料を形成するように相互に混合可能である。この排出材料は、流体導管中の所定体積の物質の、相互に混合された組成物により規定される。この排出材料は、ヒドロゲルであり得る。接続先端が、各流体導管に作動可能に関連し得る。注射器は、流体導管の各々の端部に配置された末端キャップを備え得る。この末端キャップは、望まれるまで排出を防止しながら、気体が通ることを可能にするための通気特徴を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本開示による、第一の配向で配置された注射器の1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、第二の配向で配置された図1の注射器の一部の拡大正面断面図である。
【図3】図3は、本開示による注射器の別の実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、図3の注射器の遠位部分の拡大断面図である。
【図5】図5は、本開示による注射器のさらなる実施形態の正面図である。
【図6】図6は、本開示による注射器の別の実施形態の正面図である。
【図7】図7は、図6の注射器の背面図である
【図8】図8は、内栓およびバイパスを断面で図示する、注射器の1つの実施形態の正面図である。
【図9】図9は、内栓およびバイパスを断面で図示する、注射器の別の実施形態の正面図である。
【図10】図10は、本開示による注射器のさらなる実施形態の正面断面図である。
【図11】図11は、本開示による注射器の別の実施形態の、部品を分離した正面図である。
【図12】図12は、1つの位置で示される注射器のなお別の実施形態の正面図である。
【図13A】図13Aは、別の位置で示される図12の注射器の側面図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示される細部の示される領域の拡大図である。
【図14】図14は、なお別の位置で示される図12の注射器の拡大正面図である。
【図15】図15は、図12の注射器およびこの注射器に設置されて示される噴霧器の実施形態の正面図である。この注射器は、止め機構を備え、この止め機構がこの注射器から取り外されるところである。
【図16A】図16Aは、噴霧器が注射器に設置されて示されている、噴霧器および注射器の側面断面図である。
【図16B】図16Bは、図16Aに示される図の一部の拡大図である。
【図17A】図17Aは、注射器がなお別の位置で示されている、注射器および噴霧器の正面図である。
【図17B】図17Bは、図17Aに示される細部の示された領域の拡大図である。
【図18】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図19】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図20】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図21】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図22A】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図22B】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図23A】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図23B】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図24】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図25】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図26A】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図26B】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図27A】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【図27B】図18〜図27Bは、組み立ての方法を示す進行的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中に記載される。図面に示されるように、そして以下の説明全体にわたって記載されるように、慣習的であるように、物体上の相対位置に言及する場合、用語「近位」とは、装置の、使用者に近い方の端部をいい、そして用語「遠位」とは、装置の、使用者から遠い方の端部をいう。以下の説明において、本開示を不必要な細部においてあいまいにすることを回避するために、周知の機能または構築は詳細には記載されない。
【0019】
ここで図面を参照すると、図面において、同じ参照番号は、数枚の図全体にわたって同じ部品または実質的に類似の部品を識別し、図1は、注射器100を図示する。本開示によれば、注射器100は、第一の流体導管110および第二の流体導管120を有する、ユニタリバレル101を備える。注射器100は、第一の部材132および第二の部材134を有するプランジャー130を備える。注射器100はまた、フィンガーグリップ140、排出先端150、および末端キャップ160を備える。末端キャップ160は、排出が望まれるときに、噴霧先端ST(図11)で置き換えられ得る。第一の流体導管110および第二の流体導管120は、バレル101内に配置され、そして排出先端150と流体連絡する。
【0020】
図1を続けて参照すると、第一の流体導管110は、第一のチャンバ112および第二のチャンバ114を備え、これらのチャンバは、内栓116により分離され、そしてバレル101内に配置される。第一のチャンバ112および第二のチャンバ114は、各々、気密シールされた環境で、1つ以上の物質S1、S2を収容する。例えば、第一のチャンバ112は、第一の物質S1(例えば、流体前駆体(代表的に、液体物質))を収容し得、そして第二のチャンバ114は、第二の物質S2(例えば、ポリマー(代表的に、粉末物質))を収容し得る。注射器100は、プランジャー130の第一の部材132が所定の点まで押されるか、または他の様式で前進させられる場合に、第一の流体導管110の2つ以上の物質S1、S2が相互に混合することを可能にするための、バイパス118を備える(または複数のバイパスを備え得る)。この所定の点は、内栓116がバイパス118の第一のバイパス開口部117(図2)を露出させて、第一の物質S1を第一のチャンバ112からバイパス118に通し、そして露出した第二のバイパス開口部119を出て第二のチャンバ114に至ることを可能にする位置により、規定される。換言すれば、バイパス118は、バイパス118が内栓116より長く、内栓116がバイパス118に隣接して位置するときに、第一のバイパス開口部117が内栓116より上に位置し、そして第二のバイパス開口部119が内栓116より下に位置するような寸法にされる。内栓116およびバイパス118は、互いから所定の距離だけ離して最初に配置される。このことは、以下により詳細に記載される。
【0021】
図1をさらに参照すると、第二の流体導管120は、バレル101内で、第一の流体導管110に隣接して配置される。第二の流体導管120は、1つ以上の物質S3(例えば、第二の流体前駆体)を収容するための1つ以上のチャンバ122を、バレル101内に有する。
【0022】
図1に図示されるように、プランジャー130の第一の部材132は、第一の流体導管110の近位端に配置され、そして第二の部材134は、バレル101の第二の流体導管120の近位端に配置される。この第一の部材は、第一の部材のヘッド132aを有し、そしてこの第二の部材134は、第二の部材のヘッド134aを有する。第一の部材132は、第一の流体導管110と作動可能に関連し、そして第二の部材134は、第二の流体導管120と作動可能に関連する。第一の部材132は、第二の部材134に係合する前に、所定体積の物質が第一の流体導管110内で相互に混合することを容易にする目的で、第二の部材134から所定の距離だけ離して置かれて示されている。例えば、第一の部材132は、第一の物質S1がバイパス118を容易に通過するまで、押され得るかまたは他の様式で前進させられ得、第一の物質S1および第二の物質S2が、プランジャー130の第一の部材132または第二の部材134のいずれかのさらなる前進の前に相互に混合することを可能にする。第一の部材132は、親指パッド133aを有するフランジ133を備える。このフランジは、第二の部材134に係合するような構成および寸法にされる。親指パッド133aは、使用者がプランジャー130を持つことをさらに容易にするように構成される。プランジャー130の第一の部材132および第二の部材134は、相互にロックするような構成および寸法にされ得る。
【0023】
作動において、付与される圧力により第一の物質S1が内栓116をバイパス118に隣接する位置(図2)まで前進させるまで、プランジャー130の第一の部材132は、押されるかまたは前進させられ、その結果、第一の部材132のフランジ133は、第二の部材134の近位端に係合する。この位置において、所定体積の第一の物質S1が、内栓116を迂回し得、そしてバイパス118を通って進み得、その結果、第一の流体導管110の所定体積の第一の物質S1および所定体積の第二の物質S2が相互作用し得る。次いで、注射器100が振盪されて、第一の流体導管110の第一の物質S1および第二の物質S2の再構築をさらに容易にし、所定体積の第一の流体導管の物質SX(図2)を形成する。次いで、末端キャップ160が取り外され、バレル101の遠位端に配置された排出先端150を出す。この排出先端は(代表的に、この排出先端に結合された適合性噴霧先端ST(図11)と一緒になって)、この注射器の外側に配置された表面に排出(噴霧)するための構成および寸法にされる。排出先端150は、規格化されたルアー接続を用いて既存の噴霧先端ST(図11)と嵌合するための、ねじ切りされたISO594ルアー取付具のための寸法にされ得る。あるいは、排出先端150は、排出先端150の遠位端がより容易な遠位装填を可能にするためにより広い寸法を有するように、誂えのルアー取付具のための寸法にされ得る(しかし、このことは、適合性のルアー接続を有する誂えの噴霧先端を必要とする)。異なる排出先端が交換可能であり得ることもまた、想定される。プランジャー130の各それぞれの部材132と134とを同時にさらに押すと、第一の部材132は、第一の流体導管の物質SX(図2)を第一の流体導管110を通して前進させ、そして第二の部材134は、第二の流体導管120の物質S3を、この第二の流体導管を通して前進させる。各物質は、各流体導管110、120に作動可能に関連するプランジャー130の前進の際に、外部への塗布のための排出材料(図示せず)を形成するように相互に混合可能である。その結果として、外部への塗布のための排出材料が、例えば、排出先端150および/または噴霧先端ST(図11)を通して、これらの物質の組み合わせから形成される。この排出材料は、流体導管110、120の所定体積の2つ以上の物質の相互に混合された組成物により規定され得る。得られる排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0024】
図3および図4に示される1つの実施形態において、注射器200は、第一の流体導管110および第二の流体導管120が内部に配置された、バレル101を備える。注射器200は、第一の部材132および第二の部材134を有するプランジャー130をさらに備える。注射器200は、フィンガーグリップ140、排出先端250(図4)、および気体が通ることを提供するための通気口付き末端キャップ260をさらに備える。第一の流体導管110および第二の流体導管120は、排出先端250の第一のチャネル251および第二のチャネル253とそれぞれ流体連絡するように配置される。通気口付き末端キャップ260は、例えば、ルアーインターフェースなどの機械的インターフェースによって、排出先端250と作動可能に関連する。図4に示されるように、排出先端250は、バレル101の遠位端に配置され、そしてこの排出先端の近位端に配置された第一の一方向弁252および第二の一方向弁254を備える。各一方向弁252、254は、それぞれの流体導管110、120と流体連絡するように配置され、そして各々が、流体導管110、120内での尚早な物質混合を生じるあらゆるキャピラリー効果(または類似の効果)を防止するように構成される。各一方向弁252、254は、圧力が各それぞれの流体導管110、120に(プランジャー部材132および134を介して)付与される場合に、流体がこの弁を通過することを可能にする。通気口付き末端キャップ260は、通気アセンブリ262、流体が通過することを防止するように構成されたフィルタ264、ならびに流体の前進を容易にするような構成および寸法にされた1つ以上の通路266を備える。フィルタ264は、およそ20ミクロンの濾過サイズを有し得、これは、流体の通過を妨害しながら気体が通ることを促進するように構成される。通気アセンブリ262は、その外周に配置された、複数の通気口262a、262bなどを備える。酸素および水分が流体導管110、120に滲み込むことを防止する目的で(通気口付き末端キャップ260は大気に曝露されているので)、注射器200全体が、アルゴンを満たしたポーチに包装され得る。
【0025】
操作において、この実施形態は、図1および図2に図示される実施形態と実質的に同様に作動する。しかし、図3および図4に示される実施形態において、第一の物質S1が第一の流体導管110の第二の物質S2と相互に混合するときに、通気口付き末端キャップ260は、物質が出ることを防止しながら、気体が通ることを可能にする。次いで、通気口付き末端キャップ260が取り外され得、そして噴霧先端ST(図11)と交換され、その結果、排出材料が注射器200から排出され得る。
【0026】
ここで図5を参照すると、注射器300の別の実施形態が図示されている。この実施形態において、注射器300は、第一の流体導管310を備え、この第一の流体導管は、第一のバレル301内に配置されており、そして第一の排出先端350aと流体連絡している。注射器300は、第二の流体導管320をさらに備え、この第二の流体導管は、第二のバレル303内に配置されており、そして第二の排出先端350bと流体連絡している。第一の排出先端350aは、第一のバレル301の遠位端に配置されており、そして第二の排出先端350bは、第二のバレル303の遠位端に配置されている。各排出先端350a、350bは、標準的なルアー接続を用いて既存の噴霧先端ST(図11)と嵌合するためのねじ切りされたISO594ルアー取付具のための寸法にされ得る。あるいは、各排出先端350a、350bは、各排出先端350a、350bの遠位端がより容易な遠位装填を可能にするためにより広い寸法を有するように、誂えのルアー取付具のための寸法にされ得る(しかし、このことは、適合性のルアー接続を有する誂えの噴霧先端を必要とする)。注射器300は、第一の部材332および第二の部材334を有するプランジャー330をさらに備える。注射器300はまた、フィンガーグリップ340を備える。
【0027】
図5の参照を続けると、第一の流体導管310は、第一のチャンバ312および第二のチャンバ314を備え、これらの各々は、第一のバレル301により収容されている。さらに、各チャンバ312、314は、内栓316により分離されている。第一のチャンバ312および第二のチャンバ314の各々は、気密シールされた環境で、1つ以上の物質S1、S2を収容する。例えば、第一のチャンバ312は、第一の物質S1(例えば、流体前駆体(代表的に、液体物質))を収容し得、そして第二のチャンバ314は、第二の物質S2(例えば、ポリマー(代表的に、粉末物質))を収容し得る。注射器300は、プランジャー330の第一の部材332が所定の点まで押されるかまたは他の様式で前進させられる場合に、第一の流体導管310の2つ以上の物質S1、S2が相互に混合することを可能にするための、バイパス318を備え得る(が、複数のバイパスを備えてもよい)。この所定の点は、内栓316がバイパス318の第一のバイパスの開口部317を露出させて、第一の物質S1が第一のチャンバ312からバイパス318を通過して第二のバイパス開口部319を出て第二のチャンバ314に至ることを可能にする位置により規定される。換言すれば、バイパス318は、バイパス318が内栓316より長く、その結果、内栓316がバイパス318に隣接して位置するときに、第一のバイパスの開口部317が内栓316より上に位置し、そして第二のバイパスの開口部319が内栓316より下に位置するような寸法にされる。内栓316およびバイパス318は、互いから所定の距離だけ離して最初に配置される。この実施形態において、バイパス318は、注射器300の手前に配置されて示されている。製造中に第二の物質S2を第一のバレル301の第二のチャンバ314に装填することをさらに容易にするために、第一のバレル301の遠位端は、図5の取り外し線「L」により図示されるように、取り外し可能に取り付けられるように構成され得る。
【0028】
図5をさらに参照すると、第二の流体導管320は、第一のバレル301に隣接する第二のバレル303内に配置され、そして1つ以上の物質S3(例えば、第二の流体前駆体)を収容するための1つ以上のチャンバ322を有する。さらに、第二の排出先端350bは、第二のバレル303の遠位端に配置される。
【0029】
図5に図示されるように、プランジャー330の第一の部材332は、第一の流体導管310(および第一のバレル301)の近位端に配置され、そして第二の部材334は、第二の流体導管320(および第二のバレル303)の近位端に配置される。第一の部材332は、第一の部材のヘッド332aを有し、そして第二の部材334は、第二の部材のヘッド334aを有する。第一の部材332は、第一の流体導管310と作動可能に関連し、そして第二の部材334は、第二の流体導管320と作動可能に関連する。第一の部材332は、第二の部材334と係合する前に、第一の流体導管310内で所定体積の物質の相互の混合を容易にする目的で、第二の部材334から所定の距離だけ離して置かれて示されている。第一の部材332は、親指パッド333aを有するフランジ333を備える。フランジ333は、第二の部材334と係合するような構成および寸法にされる。親指パッド333aは、使用者がプランジャー330を持つことをさらに容易にするために構成される。プランジャー330の第一の部材332および第二の部材334は、相互にロックするような構成および寸法にされ得る。
【0030】
操作において、付与される圧力により第一の物質S1が第一のバレル301内の内栓316をバイパス318に隣接する位置まで前進させるまで、プランジャー330の第一の部材332は、押されるかまたは前進させられ、その結果、第一の部材332のフランジ333は、第二の部材334の近位端に係合する。この位置において、所定体積の第一の物質S1が、内栓316を迂回し得、そしてバイパス318を通って進み得、その結果、第一の流体導管310の所定体積の第一の物質S1および所定体積の第二の物質S2が相互作用し得る。次いで、注射器300が振盪されて、第一の流体導管310の第一の物質S1および第二の物質S2の再構築をさらに容易にし、所定体積の第一の流体導管の物質SXを形成する。プランジャー330の各それぞれの部材332と334とを同時にさらに押すと、第一の部材332は、第一の流体導管の物質SXを第一の流体導管310を通して前進させ、そして第二の部材334は、第二の流体導管320の1つ以上の物質S3を、この第二の流体導管を通して前進させる。各物質は、各流体導管310、320に作動可能に関連するプランジャー330の前進の際に、外部への塗布のための排出材料(図示せず)を形成するように相互に混合可能である。その結果として、外部への塗布のための排出材料が、例えば、排出先端350a、350bを通して、これらの物質の組み合わせから形成される。この排出材料は、流体導管310、320の所定体積の2つ以上の物質の相互に混合された組成物により規定され得る。得られる排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0031】
ここで図6および図7を参照すると、注射器400の別の実施形態が図示されている。注射器400は、注射器300と実質的に類似であるが、注射器400は、接続先端470およびラッチ480をさらに備える。このラッチは、接続先端470を第一のバレル301の第一の排出先端350aおよび第二のバレル303の第二の排出先端350b(図7)に取り外し可能に取り付けるためのものである。接続先端470は、本体472を有し、この本体は、実質的にY字型であり、そして第一の排出先端350aおよび第二の排出先端350bとそれぞれ流体連絡し、そして噴霧先端ST(図11)と流体連絡して配置される、第一の流体通路473および第二の流体通路475を備え得る。しかし、接続先端470はまた、噴霧先端として使用され得る(すなわち、物質を本体472内で相互に混合する。この場合、この接続先端は、第一の流体通路473および第二の流体通路475を欠き、そして詰まることを防止するために交換可能であり得る)。本体472は、第一の枝474および第二の枝476を備える。第一の枝474は、第一のバレル301の第一の排出先端350aに取り外し可能に取り付け可能であり、そして第二の枝476は、第二のバレル303の第二の排出先端350bに取り外し可能に取り付け可能である。図6に示されるように、ラッチ480は、旋回点482の周りに回転可能に配置され、そしてラッチアーム484およびラッチヘッド486を備える。ラッチヘッド486は、第一の結合特徴487および第二の結合特徴488を備える(図7)。結合特徴487、488は、接続先端470を第一のバレル301および第二のバレル303のそれぞれの遠位端に取り外し可能に結合するために、接続先端470の本体472の第一の枝474および第二の枝476に結合(例えば、プレスばめなどの機械的係合)するような構成および寸法にされる。
【0032】
操作において、注射器400は、注射器300と実質的に同様に作動する。この実施形態において、物質S1およびS2の再構築後に、結合先端470が、第一の排出先端350aおよび第二の排出先端350bの遠位端に結合され得る。ラッチヘッド486の第一の結合特徴487および第二の結合特徴488が本体472の第一の枝474および第二の枝476にそれぞれ機械的に係合するまで、ラッチ480が、回転により移動させられ得る。第一の流体導管の物質SXおよび第二の流体導管320の1つ以上の物質S3がそれぞれの排出先端350a、350bから排出されるように、プランジャー330の第一の部材332および第二の部材334を前進させた後に、第一の流体導管の物質SXおよび第二の流体導管320の1つ以上の物質S3は、接続先端470の本体472を通過し、そして代表的に、取り付けられた噴霧先端ST(図11)を通って遠位端から排出される。得られる排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0033】
図8に示されるのは、注射器100、200、300、および400と実質的に類似である注射器500である。しかし、注射器500は、内部で中心に配置されたバイパス518を有する、内栓516を備える。この実施形態において、バイパス518は、その長手方向軸の周りで内栓516と機械的に協働するように配置された、圧力濾過膜518である。操作において、付与される圧力が膜518を破壊するまで、プランジャー330の第一の部材332が押されるか、または他の様式で前進させられ、第一の物質S1が膜518を通って第一の流体導管310の第二のチャンバ314に入ることを可能にし、その後、内栓516が前進させられて、粒子状物質を残さない。この実施形態は、二重バレルの構成で図示されているが、この圧力濾過膜はまた、単一バレルの構成または他の複数バレルの構成において使用するために構成され得ることは、本開示の範囲内である。
【0034】
図9に図示されるのは、注射器500と実質的に類似の注射器600である。しかし、注射器600は、内部で中心に配置されたバイパス618を有する、内栓616を備える。この実施形態において、バイパス618は、その長手方向軸の周りで内栓616と機械的に協働するように配置された、一方向逆止弁である。操作において、付与される圧力が逆止弁618を開き、第一の物質S1を逆止弁618に通して前進させて第一の流体導管310の第二のチャンバ314に入れるまで、プランジャー330の第一の部材332が押されるか、または他の様式で前進させられ、その後、内栓616が前進させられて、粒子状物質を残さない。この実施形態は、二重バレルの構成で図示されているが、内栓と機械的に協働するように配置されるこの逆止弁がまた、単一バレルの構成または他の複数バレルの構成において使用するために構成され得ることは、本開示の範囲内である。
【0035】
ここで図10を参照すると、注射器700が図示されている。注射器700は、ユニタリバレル701を備え、このユニタリバレルの内部に、第一の流体導管710、第二の流体導管720、および第三の流体導管760が配置されている。注射器700は、第一の部材732、第二の部材734、第三の部材736、第四の部材737、および第五の部材739を有する、プランジャー730をさらに備える。注射器700はまた、フィンガーグリップ740および排出先端750を備える。各流体導管710、720、760は、バレル701内に配置され、そして排出先端750と流体連絡する。
【0036】
図10を引き続き参照して、第一の流体導管710および第二の流体導管720は、第三の流体導管760の両側に、第三の流体導管760と隣接して配置される。第一の流体導管710は、1つ以上のチャンバ712を有し、そして第二の流体導管720は、1つ以上のチャンバ722を有する。これらのチャンバは、1つ以上の物質S4、S5(例えば、流体前駆体、ポリマーなど)を収容するためのものである。第三の流体導管760は、第一のチャンバ762、第二のチャンバ764、および第三のチャンバ766を備える。各チャンバ762、764、766は、1つ以上の物質を気密シールした環境で収容するように構成される。例えば、第一のチャンバ762は、第一の物質S1(例えば、流体前駆体(代表的に、液体物質))を収容し得、そして第二のチャンバ764は、第二の物質S2(これは、同じかまたは異なる流体前駆体または混合物であり得る)を収容し得る。第三のチャンバ766は、第三の物質S3を収容し得る。例えば、第三の物質S3は、第三の流体導管760の第一のチャンバ762の第一の物質S1および第二のチャンバ764の第二の物質S2と相互に混合するための、ポリマー(代表的に、粉末物質)であり得る。プランジャー730の第三の部材736が所定の点まで押されるかまたは他の様式で前進させられるときに、第三の流体導管760の第一のチャンバ762の第一の物質S1および第二のチャンバ764の第二の物質S2が、第三の流体導管760の第三のチャンバ766の第三の物質S3と相互に混合することを可能にするために、注射器700は、第一のバイパス718aおよび第二のバイパス718bを備える。この所定の点は、内栓716が第一のバイパス718a、718bの第一のバイパスの開口部717a、717bを露出させて、第一の物質S1および第二の物質S2をそれぞれのバイパス718a、718bに通し、第二のバイパス開口部719a、719bから出し、そして第三の流体導管760の第三のチャンバ766に入れる位置によって規定される。しかし、この実施形態の内栓はまた、上に記載されたような逆止弁または圧力濾過膜を有するように構成されてもよい。
【0037】
図10に図示されるように、プランジャー730の第一の部材732は、第一の流体導管710の近位端に配置され、プランジャー730の第二の部材734は、第二の流体導管720の近位端に配置され、プランジャー730の第三の部材736は、第三の流体導管760の近位端に配置され、第四の部材737は、第三の流体導管760の第一のチャンバ762の近位端に配置され、そして第五の部材739は、バレル701の第三の流体導管760の第二のチャンバ764の近位端に配置される。各部材732、734、736、737、739は、それぞれの部材のヘッド732a、734a、736a、737a、739aを有する。第一の部材732は、第一の流体導管710に作動可能に関連し、第二の部材734は、第二の流体導管720に作動可能に関連し、そして第三の部材736、第四の部材737、および第五の部材739、は、第三の流体導管760に作動可能に関連する。第三の部材736は、親指パッド733aを有するフランジ733を備える。フランジ733は、第一の部材732および第二の部材734と係合するような構成および寸法にされる。親指パッド733aは、使用者がプランジャー730を持つことをさらに容易にするために構成される。部材732、734、736、737、739の各々は、相互にロックするような構成および寸法にされ得る。
【0038】
操作において、付与される圧力により、第三の流体導管760の第一のチャンバ762内の第一の物質S1および第二のチャンバ764内の第二の物質S2が、内栓716を第一のバイパス718aおよび第二のバイパス718bに隣接する位置まで前進させるまで、プランジャー730の第三の部材736、第四の部材737、および第五の部材739は、押されるか、または他の様式で前進させられ、その結果、第三の部材736のフランジ733が第一の部材732および第二の部材734の近位端に係合する。この位置において、所定体積の、第三の流体導管760の第一のチャンバ762内の第一の物質S1および第二のチャンバ764内の第二の物質S2が、内栓716を迂回し得、そしてバイパス718a、718bを通って前進し得、その結果、所定体積の、第三の流体導管760の第一のチャンバ762、第二のチャンバ764、および第三のチャンバ766の物質が、相互に混合し得る。次いで、注射器700は振盪されて、第三の流体導管760内に配置された物質の再構築をさらに容易にし、所定体積の第三の流体導管の物質SXを形成する。次いで、プランジャー730の第一の部材732、第二の部材734、および第三の部材736は、一緒に押され得、各導管710、720、760からの物質を、バレル701の遠位端に配置された排出先端750から排出させ、そしてこの排出先端に結合され得る適合性噴霧先端ST(図11)から出す。排出先端750は、規格化されたルアー接続を用いて既存の噴霧先端STと嵌合するために、ねじ切りされたISO594ルアー取付具のための寸法にされ得る。あるいは、排出先端750は、排出先端750の遠位端がより容易な遠位装填を可能にするためにより広い寸法を有するように、誂えのルアー取付具のための寸法にされ得る(しかし、このことは、適合性のルアー接続を有する誂えの噴霧先端を必要とする)。その結果として、外側への塗布のための排出材料は、例えば、排出先端750および/または噴霧先端STを通して、これらの物質の組み合わせから形成される。排出材料は、所定体積の、流体導管710、720、760の2つ以上の物質の相互に混合された組成物により規定され得る。得られる排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0039】
ここで図11を参照すると、注射器800の別の実施形態が図示されている。注射器800は、注射器300と実質的に類似である。しかし、この実施形態において、注射器800は、第三の流体導管860をさらに備え、この第三の流体導管は、部分的に第三のバレル805内に配置され、そして部分的に第三の排出先端350c内に配置される。第三の排出先端350cは、第三のバレル805の遠位端に配置される。排出先端350a、350bと同様に、排出先端350cは、規格化されたルアー接続を用いて既存の噴霧先端STと嵌合するために、ねじ切りされたISO594ルアー取付具のための寸法にされ得る。あるいは、排出先端350cは、遠位端がより容易な遠位装填を可能にするためにより広い寸法を有するように、誂えのルアー取付具のための寸法にされ得る(しかし、このことは、適合性のルアー接続を有する誂えの噴霧先端を必要とする)。注射器800は、プランジャー830をさらに備え、このプランジャーは、第一の部材のヘッド832aを有する第一の部材832、第二の部材のヘッド334aを有する第二の部材334、および第三の部材のヘッド836aを有する第三の部材836を有する。注射器800はまた、その近位端に配置されたフィンガーグリップ840を備える。
【0040】
図11の参照を続けて、第三の流体導管860は、第二の流体導管320と実質的に類似である。第三の流体導管860は、第一のバレル301に隣接する第三のバレル805内に配置され、そして1つ以上の物質(例えば、第三の流体前駆体)を収容するための1つ以上のチャンバ822を有する。さらに、第三の排出先端350cは、第三のバレル805の遠位端に配置される。
【0041】
図11に図示されるように、プランジャー830の第一の部材832は、第一の流体導管310(および第一のバレル301)の近位端に配置され、そして第二の部材334は、第二の流体導管320(および第二のバレル303)の近位端に配置される。同様に、プランジャー830の第三の部材836は、第三の流体導管860(および第三のバレル805)の近位端に配置される。
【0042】
図11をさらに参照すると、第一の部材832は、注射器300の第一の部材332と実質的に類似であるが、第一の部材832は、フランジ833を備え、このフランジは、第一の部材832の長手方向軸から遠位に延び、そして第二の部材334および第三の部材836と係合するような構成および寸法にされる。さらに、フランジ833は、使用者がプランジャー830を持つことをさらに容易にするために、親指パッド833aを備える。プランジャー830の第一の部材832、第二の部材334、および第三の部材836は、相互にロックするような構成および寸法にされ得る。
【0043】
図11の参照を続けて、注射器800は、排出先端350a、350b、350cに取り外し可能に取り付けるための接続先端870をさらに備え得る。図11に図示されるように、接続先端870は、本体872を有し、この本体は、その近位端に配置された第一の枝474、第二の枝476、および第三の枝878を備える。本体872は、第一の排出先端350a、第二の排出先端350b、および第三の排出先端350cとそれぞれ流体連絡し、そして噴霧先端STと流体連絡するように配置された、第一の流体通路873、第二の流体通路874、および第三の流体通路875を備える。各枝474、476、878は、各それぞれの排出先端350a、350b、350cに取り外し可能に取り付け可能である。この遠位端は、排出材料(例えば、ヒドロゲル)の外部への塗布のための噴霧先端STと機械的に協働するように構成され得る。
【0044】
操作において、付与される圧力により、第一の物質S1が第一のバレル301内の内栓316をバイパス318に隣接する位置まで前進させるまで、プランジャー830の第一の部材832は、押されるかまたは他の様式で前進させられ、その結果、第一の部材832のフランジ833は、第二の部材334および第三の部材836の近位端に係合する。この位置において、所定体積の第一の物質S1は、内栓316を迂回し得、そしてバイパス318を通って前進し得、その結果、第一の流体導管310の所定体積の第一の物質S1および所定体積の第二の物質S2が、相互作用し得る。次いで、注射器800は振盪されて、第一の流体導管310の第一の物質S1および第二の物質S2の再構築をさらに容易にし、所定体積の第一の流体導管の物質SXを形成する。プランジャー830の各それぞれの部材832、334、836を同時にさらに押すと、第一の部材832は、第一の流体導管の物質SXを第一の流体導管310に通して前進させ、第二の部材334は、第二の流体導管320の1つ以上の物質S3を第二の流体導管に通して前進させ、そして第三の部材836は、第三の流体導管860の1つ以上の物質S4を第三の流体導管に通して前進させる。各物質は、各流体導管320、330、860に作動可能に関連するプランジャー830の前進の際に、外部への塗布のための排出材料(図示せず)を形成するように、相互に混合可能である。その結果として、外部への適用のための排出材料が、例えば、排出先端350a、350b、350cを通して、これらの物質の組み合わせから形成される。この排出材料は、流体導管310、320、860の所定体積の2つ以上の物質の相互に混合した組成物により規定され得る。得られる排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0045】
ここで図12を参照すると、注射器900の別の実施形態が図示されている。注射器900は、注射器300と実質的に類似である。しかし、この実施形態において、注射器900は、止め機構901と、バイパスチャネルの第二のより遠位のセット318dとの両方を備える。止め機構901は、プランジャー930が所定の点まで前進する場合にプランジャー930のさらなる前進を防止するために、プランジャー930に設置される。プランジャー930は、第一の部材932(例えば、従来のものではないプランジャー)および第二の部材934(例えば、従来のプランジャー)を有する。第一の部材932および第二の部材934の各々は、ヘッド932a、934bを備える。図12に図示されるように、各ヘッド932a、934bは、実質的に蛇腹形状であり得る。バイパスチャネルの第二のセット318dは、一旦、第二の物質S2がチャンバ314内で充分に混合されたら、栓902bの周りで第二の物質S2の流体流れを可能にする。
【0046】
図12の参照を続けると、第一の流体導管310は、第一のチャンバ312、第二のチャンバ314、および第三のチャンバ916を備える。第一のチャンバ312と第二のチャンバ314とは、実質的に円筒形状の蛇腹栓902aにより分離される。同様に、第二のチャンバ314と第三のチャンバ916とは、実質的に切頭円錐形状の蛇腹栓902bにより分離される。バレル301は、2つ以上のバイパス318を備え得、これらのバイパスは、バレル301に沿って長手軸方向、および/またはバレル301の周りの半径方向の、複数の位置に配置され得る。例えば、バレル301は、第一のチャンバ312と第二のチャンバ314との間の第一の長手軸方向位置で、バレル301の周りに半径方向に配置された近位バイパス318p(図13A)を備え得る。図13Aを再度参照すると、バレル301は、同様に、バレル301の遠位端において第二の長手軸方向位置で、半径方向に配置された遠位バイパス318dを備え得る。図13Bに最もよく示されるように、近位バイパス318pはまた、第一の物質S1と第二の物質S2とを種々の流量で合わせるために、例えば、パイパス318p’および318p”のように、互いから長手軸方向にずれ得る。これらのバイパスの各々は、1つ以上の流量でこれらのバイパスを通る種々の物質または物質の組み合わせに適合する目的で、任意の適切な構成になるような形状(例えば、正方形、矩形、三角形など)および/または寸法(例えば、長さ、幅、深さなど)にされ得る。
【0047】
操作において、ヘッド932aから付与される圧力により、第一の物質S1が栓902aを前進させて、第一の物質S1(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水)が第一のチャンバ312から1つ以上の近位バイパス318pを通って、第二のチャンバ314内の第二の物質S2(例えば、PEG粉末)と混合するようになるまで、プランジャー930の第一の部材932は、押されるかまたは他の様式で前進させられる(図13A〜図13B)。図13Bを特に参照すると、第一の物質S1は、最初に最近位バイパス318p’を通過し、そして最近位バイパス318p’の遠位の所定の位置に位置すると、1つ以上の最遠位の近位バイパス318p”を通過し始める。この様式で、第一の物質S1が1つ以上の近位バイパス318pを通過するにつれて、ヘッド932aは、栓902aに接近する。図14を参照すると、止め機構901は、第一の部材932が所定の位置に達すると、プランジャー930の第一の部材932のさらに遠位への前進を防止するような形状およびサイズにされ得、その結果、所定体積の第一の物質S1が、第一のチャンバ312から前進して第二のチャンバ314に入っているが、第三のチャンバ916には入っていない。
【0048】
図15に図示されるように、第一の部材932を所定の位置に配置した後に、臨床医は、注射器900を振盪して、第一の流体導管310の第一の物質S1および第二の物質S2の再構築をさらに容易にし得、所定体積の第一の流体導管の物質SX(例えば、S1+S2)を形成する。その後、臨床医は、止め機構901を取り外し得る。次いで、第一の部材932はまた、第一の部材932が第二の部材934に接触するまでさらに遠位に前進させられ得、その結果、第一の部材932および第二の部材934は、これらを押すと、同時に前進させられ得る。この様式で、第一の部材932、ヘッド932a、栓902a、および物質SXを押すと、栓902bを第三のチャンバ916の遠位端まで前進させ、その結果、遠位バイパス318dの近位開口部919(図17B)が露出する。従って、遠位バイパス318dが通路を提供し、この通路を通って、物質SXが通過し得る(図17A)。この点に関して、図17Aに図示されるように、物質SXは、排出先端350aと流体連絡し、物質S3は、排出先端350bと流体連絡し、そして第一の部材932および第二の部材934は、均質に同時に前進可能であり、物質SXと物質S3とを均質かつ同時に、排出先端350a、350bを通して分配する。
【0049】
図15〜図16に示されるように、プランジャー930の前進の際に噴霧アプリケータを通る1つ以上の物質(例えば、SXおよびS3)の受容および通過を可能にし、その結果、1つ以上の物質が相互に混合して、外部への塗布のための排出材料(図示せず)を形成するために、噴霧アプリケータ1000が、排出先端350a、350bに設置され得る。その結果として、外部への適用のための排出材料が形成される。この排出材料は、所定体積の物質SXおよびS3の相互に混合された組成物により規定され得る。得られる排出材料は、ヒドロゲルであり得る。
【0050】
図15〜図16Aを参照すると、噴霧アプリケータ1000は、コネクタアセンブリ1010、コネクタアセンブリ1010から延びる細長部材1020、および細長部材1020の遠位端に設置された噴霧先端1030を備え得る。コネクタアセンブリ1010は、噴霧アプリケータ1000を、注射器900ならびに第一の枝B1および第二の枝B2(図15)に結合するための、結合器アセンブリ1012を備える。第一の枝B1および第二の枝B2は、任意の適切な機械的結合(例えば、プレスばめ、スナップばめ、ルアーロック、螺合係合など)を介して、排出先端350a、350bの各々に機械的に結合される。図16A〜図16Bから、結合器アセンブリ1012は、対向する旋回可能アーム1014a、1014b(例えば、ばね付勢されている)を備え、これらの旋回可能アームは、注射器900から延びるクロスバーCBとの係合のための、これらの旋回可能アームから延びるラッチ機構1016を有する。ラッチ機構1016は、噴霧アプリケータ1000を注射器900に設置するために、クロスバーCBと係合し得る。
【0051】
図16Bに最もよく示されるように、各アーム1014a、1014bは、第一の位置と第二の位置との間で移動するように配置される。各アーム1014a、1014bは、第一の位置の方へと付勢され得、この第一の位置は、注射器900の長手方向軸と実質的に整列している。アーム1014a、1014bのラッチ機構1016は、アーム1014a、1014bの遠位端に配置された解放パッド1015への力の付与の際に、旋回点1018の周りで外向きに旋回可能であり、その結果、ラッチ機構1016は、噴霧アプリケータ1000を注射機900から取り外すために、クロスバーCBから脱係合する。力を解放すると、このラッチ機構は、旋回点1018の周りで内向きに旋回し、そして解放パッドは、旋回点1018の周りで外向きに旋回し、その結果、アーム1014a、1014bは、第一の位置まで付勢により戻るか、または他の様式で移動して戻る。
【0052】
本開示の範囲内である他の実施形態において、プランジャーは、複数の物質を相互に混合するために使用者が第一の部材を所定の点まで押し得、第一の部材を引き出すと、この第一の部材が他の隣接する部材と相互にロックするように構成され得る。別の実施形態において、プランジャーは、1つ以上の部材の引き出しが、複数の物質を相互に混合させ得るように構成され得る。なお他の実施形態において、単一バレル構成または複数バレル構成の、外部流体導管が、複数の物質を相互に混合するための複数のチャンバおよび/またはサブチャンバを有し得る。
【0053】
進行的な図18〜図27Bに図示される1つの局面において、注射器1100を組み立てる方法は、排出先端350aを有する第一のバレル1101および排出先端350bを有する第二のバレル303を有する、空の二重バレル構築物を提供する工程を包含する。第一のバレル1101および第二のバレル303は、ハンドル1140により結合される。図18に示されるように、第一のバレル1101は、1つ以上の近位バイパス318pおよび1つ以上の遠位バイパス318dを備える。図19を参照すると、次いで、栓902bが、第一のバレル1101に、近位バイパス318pに隣接して導入され、そしてヘッド934bを有する第二の部材(例えば、従来のプランジャー)934が、第二のバレル303に導入される。図20に図示されるように、物質S3(例えば、ホウ酸緩衝溶液)が、標準的なルアーロック遠位開口部(例えば、従来の遠位端注射器装填に適合するためのもの)を介して、第二のバレル303に導入される。図21から、次いで、物質S2(例えば、PEG粉末)が、第一のバレル1101に、1つ以上の近位バイパス318pおよび栓902bに隣接して導入される。
【0054】
ここで図22Aおよび図22Bを参照すると、別の工程は、栓装填デバイス902mを、第一のバレル1101に、物質S2に隣接して導入する工程を包含する。図22Bに最もよく示されるように、栓装填デバイス902mは、「マガジン」様式で装填された複数の栓902を備える。栓902の各々は、圧縮された状態で配置される。図23Aおよび図23Bに図示されるように、さらなる工程は、最遠位の栓902aを栓装填デバイス902mのシース903から外して第一のバレル1101に入れる工程を包含する。具体的には、シース903は、1つ以上の栓が通過することを可能にするための遠位通路911を備える。この工程は、装填デバイス902mを、従来のものではないプランジャー932を用いて、シース903に対して押す工程を包含し、その結果、栓902aがシース903から分配される。この様式で、栓902aは、シース903から分配された後に、拡張状態で配置される。具体的には、栓902aは、シース903から外される際に減圧され、そして拡張状態に開き(例えば、傘に類似)、その結果、栓902aが第一のバレル1101の内壁に接触して配置される。
【0055】
ここで図24を参照すると、次いで、栓装填デバイス902mは、栓902aから取り外され得、この栓902aは、第一のバレル1101内で、物質S2に隣接して拡張状態のままになる。図25に示されるように、次いで、物質S1(例えば、リン酸緩衝溶液)が、栓902aに隣接して導入される。ここで図26Aおよび図26Bを参照すると、次いで、第一の部材(例えば、従来のものではないプランジャー)932(これは、プランジャーシース904内に囲まれたヘッド932aを有し、そして止め機構901を備える)が、第一のバレル1101に導入され得る。この点に関して、ヘッド932aは、プランジャーシース904内に、栓装填デバイス902m内の栓902と同様に装填され、従って、ヘッド932aは、圧縮状態にある。
【0056】
図27Aおよび図27Bに図示されるように、次いで、第一の部材932が、従来のものではないプランジャー932によって、プランジャーシース904に対して押され得、その結果、ヘッド932aは、プランジャーシース904から分配される。この様式で、ヘッド932aは、プランジャーシース904から分配された後に、拡張状態で配置される。具体的には、ヘッド932aは、プランジャーシース904から外される際に減圧され、そして拡張状態に開き(例えば、傘に類似)、第一のバレル1101の内壁と接触する。
【0057】
本開示の数個の実施形態が図面に示されたが、本開示はこれらの実施形態に限定されることは意図されない。なぜなら、本開示は、当該分野が許容すると同程度まで範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の実施形態の例示であると解釈されるべきである。従って、これらの実施形態の範囲は、与えられた例によってではなく、添付の特許請求の範囲およびその法的等価物により規定されるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100 注射器
101 バレル
110 第一の流体導管
112 第一のチャンバ
114 第二のチャンバ
116 内栓
120 第二の流体導管
130 プランジャー
132 第一の部材
134 第二の部材
140 フィンガーグリップ
150 排出先端
160 末端キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物質のうちの少なくとも2つの物質を収容するための少なくとも2つのチャンバを有する、第一の流体導管;および
該第一の流体導管に隣接して配置され、そして該複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する、第二の流体導管、
を備え、
各物質は、各流体導管に作動可能に関連したプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するように相互に混合可能であり、該排出材料は、所定体積の、該流体導管の少なくとも2つの物質の相互に混合された組成物により規定される、注射器。
【請求項2】
前記第一の流体導管が、第一のチャンバ内に液体物質を収容し、そして第二のチャンバに粉末物質を収容し、該液体物質および該粉末物質は、第一の流体導管の物質を形成するように相互に混合可能である、請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記第一の流体導管の物質および前記第二の流体導管の前記少なくとも1つの物質が、相互混合の際に、前記排出材料を規定する、請求項2に記載の注射器。
【請求項4】
前記排出材料がヒドロゲルである、請求項1に記載の注射器。
【請求項5】
前記流体導管のうちの少なくとも1つの各々の遠位端に作動可能に関連する少なくとも1つの接続先端をさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項6】
前記接続先端が、前記注射器の外側に配置された表面に前記排出材料を噴霧するような構成および寸法にされている、請求項5に記載の注射器。
【請求項7】
前記接続先端が、前記流体導管により収容される前記物質のうちの少なくとも2つの相互混合に適合するような構成および寸法にされている、請求項5に記載の注射器。
【請求項8】
少なくとも1つのチャンバが気密シールされている、請求項1に記載の注射器。
【請求項9】
少なくとも1つのチャンバが、少なくとも2つの物質を分離するための少なくとも1つの内栓を備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項10】
前記少なくとも1つの内栓が、実質的に蛇腹形状である、請求項9に記載の注射器。
【請求項11】
前記流体導管のうちの少なくとも1つの遠位端に配置された末端キャップをさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項12】
前記末端キャップが通気特徴を備える、請求項11に記載の注射器。
【請求項13】
前記第一の流体導管の前記少なくとも2つの物質が相互に混合することを可能にするためのバイパスをさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項14】
前記プランジャーが、該プランジャーの近位端に配置された少なくとも1つのフランジをさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項15】
前記プランジャーが第一の部材および第二の部材を備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項16】
前記プランジャーが、所定体積の、前記物質のうちの少なくとも2つを前進させるような構成および寸法にされている、請求項1に記載の注射器。
【請求項17】
前記プランジャーの第一の部材および第二の部材が、所定体積の少なくとも1つの物質および/または前記排出材料の前進を容易にする目的で、互いに相互にロックするような構成および寸法にされている、請求項15に記載の注射器。
【請求項18】
前記プランジャーの前記第一の部材と前記第二の部材との各々が、別々に前進可能である、請求項15に記載の注射器。
【請求項19】
前記プランジャーの前記第一の部材と前記第二の部材との各々が、同時に前進するような構成および寸法にされている、請求項15に記載の注射器。
【請求項20】
前記複数の物質の内の少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する第三の流体導管をさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項21】
前記プランジャーに取り外し可能に結合される少なくとも1つの止め機構をさらに備え、該止め機構は、該プランジャーが所定の位置を越えて遠位に前進することを防止する、請求項1に記載の注射器。
【請求項22】
注射器を提供する工程であって、該注射器は、
複数の物質のうちの少なくとも2つの物質を収容するための少なくとも2つのチャンバを有する、第一の流体導管;および
該第一の流体導管に隣接して配置され、そして該複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を収容するための少なくとも1つのチャンバを有する、第二の流体導管、
を備え、各物質が、各流体導管に作動可能に関連するプランジャーの前進の際に、外部への塗布のための排出材料を形成するように相互に混合可能であり、該排出材料は、所定体積の、該流体導管の少なくとも2つの物質の相互に混合された組成物により規定される、工程;
少なくとも2つの物質を相互に混合するように、該プランジャーを前進させる工程;
該少なくとも2つの物質の相互の混合をさらに容易にするために、該注射器を振盪する工程;ならびに
それにより形成された該排出材料を排出する工程、
を包含する、混合の方法。
【請求項23】
前記少なくとも2つの物質が相互に混合した後に、気体が通ることを可能にする工程をさらに包含する、請求項22に記載の混合の方法。
【請求項24】
互いに作動可能に結合した少なくとも2つのバレルを提供する工程;
少なくとも1つの栓を該少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つに導入して、少なくとも2つのチャンバが該少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つの中に形成されるようにする工程;
複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を、該少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つの中の第一のチャンバに導入し、そして該複数の物質のうちの少なくとも1つの物質を、該少なくとも2つのバレルのうちの少なくとも1つの中の第二のチャンバに導入する工程;
第一のプランジャーを該少なくとも2つのバレルのうちの1つに導入し、そして第二のプランジャーを該少なくとも2つのバレルのうちの他のものに導入する工程、
を包含する、注射器を組み立てる方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの栓を、圧縮状態と拡張状態との間で配置する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【公開番号】特開2010−234055(P2010−234055A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76422(P2010−76422)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(507156015)コンフルエント サージカル, インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】