説明

医用テレメトリーネットワークにおいて無線源を再使用するための方法及びシステム

【課題】医用テレメトリーネットワークにおいて無線源を再使用する。
【解決手段】医用テレメトリーネットワーク内で無線源を再使用するための方法(700)は、サーバーにおいて複数の移動式送受信器に関するトラフィック情報を複数の分散型受信器から受け取る(702)。本方法は、該トラフィック情報に基づいて複数の移動式送受信器に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定する(704)。本方法は次いで、少なくともその一部で該トラフィック情報に基づいて1つまたは複数の時間スロット割り当て及び/または1つまたは複数の周波数チャンネル割り当てを更新する(706)。最後に本方法は、該時間スロット割り当ての更新済みインスタンス及び周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報する(708)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的にはワイヤレス式テレメトリーシステムに関し、またさらに詳細には病院において患者を監視するための医用テレメトリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院において患者は、体温、脈拍数、心拍数、血圧、酸素飽和、呼吸数、心電図(ECGまたはEKG)、筋電図(EMG)、脳波図(EEG)などの生理学データを得るために監視を受ける。こうした監視を実施するためにワイヤレス式医用テレメトリーシステムが使用されることがある。ワイヤレス式医用テレメトリーシステムでは、患者に装着した遠隔のテレメータがワイヤレス式テレメトリーリンクを介して患者の重要な生理学データを監視ステーションに送る。患者を有線式のテレメトリーシステムに繋げていないためこれにより患者を病院内のあちこちに移動させることが可能となる。
【0003】
大病院では、多数の患者を同時に監視することが必要となるのが典型的である。一般に大病院は、こうした多数の患者を監視するために分散配置アンテナのアーキテクチャを利用している。しかしこの実現形態は多数のアンテナ出力が組み合わされることに由来する大きなノイズフロアを受ける。
【0004】
病院で利用される別の方法は、セルラー式の医用テレメトリーネットワークである。セルラー式医用テレメトリーネットワークによれば、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワークにおける周波数再使用などの技法を用いて医用テレメトリーシステムの監視容量が増強される。FDMAネットワークにおける周波数再使用では、複数の有効域エリア内において移動式送信器に同じ時間/周波数リソースを割り当てることが必要である。したがって各セル内のテレメータの最大数が、当該セルに割り当てられる周波数チャンネルによって制限される。近傍のセルから周波数チャンネルを借りることによって、この弱点に部分的に対処できる、ただしこれには近傍のセルの周波数チャンネル容量を枯渇させるという犠牲を伴う。セル近傍内に多数の患者が同時に入り込むと、幾つかの患者テレメータでサービスの中断が生じることがあり得る。セルラー式医用テレメトリーネットワークにおいてサービス中断は重大な問題であり、生命にかかわる事象が通報されないことがあり得る。
【0005】
さらに、監視システムが異なるとそのデータ量が異なっており、また必要とするデータ伝送速度が異なることがある。したがって、異なる監視システムを統合すると様々なデータ伝送速度に対する別々のインフラストラクチャが必要となることがあり、このためワイヤレス式医用テレメトリーシステムの複雑性を増大させること、かつ/または周波数チャンネルが制限される問題をさらに複雑化させることがあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7167463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため本技術分野では、現在のワイヤレス式医用テレメトリーシステムに関連する上述の欠点を克服するための方法及びシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術の上述の欠点/欠陥並びにその他の欠点/欠陥は、医用テレメトリーネットワークにおいて無線源を再使用するための方法の実施形態によって克服または改善することができる。本方法は、サーバーにおいて複数の移動式送受信器に関するトラフィック情報を複数の分散型受信器から受け取っている。本方法は、該トラフィック情報に基づいて複数の移動式送受信器に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定する。本方法は次いで少なくともその一部でトラフィック情報に基づいて、1つまたは複数の時間スロット割り当て及び/または1つまたは複数の周波数チャンネル割り当てを更新する。最後に本方法は、該時間スロット割り当ての更新済みインスタンス及び周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報する。
【0009】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ネットワーク制御器が一実施形態に従って機能するような例示的な環境の図である。
【図2】一実施形態に従った分散型受信器の簡略ブロック図である。
【図3】一実施形態に従って移動式送受信器がその中で動作し得る分散型受信器の例示的な有効域ゾーンの図である。
【図4A】一実施形態による例示的なチャンネル分離拘束マップの図である。
【図4B】一実施形態による例示的なチャンネル分離拘束マップの図である。
【図5】一実施形態による一斉同報ダウンリンクバーストの例示的なパケット構造の図である。
【図6】一実施形態によるアップリンク送信バーストの例示的なパケット構造の図である。
【図7】一実施形態による医用テレメトリーネットワーク内で無線源を再使用するための例示的な処理を表した流れ図である。
【図8】一実施形態による移動式送受信器のアップリンク伝送速度を変動させるための例示的な処理を表した流れ図である。
【図9】一実施形態による移動式送受信器の送信パワーを変動させるための例示的な処理を表した流れ図である。
【図10】一実施形態による移動式送受信器上で前方エラー訂正を選択的に有効にするための例示的な処理を表した流れ図である。
【図11】一実施形態による時間スロット及び周波数チャンネルの例示的な周期的再割り当てを表した流れ図である。
【図12A】一実施形態による例示的なスロットマップを表した図である。
【図12B】一実施形態による例示的なスロットマップを表した図である。
【図13】一実施形態によるネットワーク制御器を実現するための例示的なコンピュータシステムを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
病院内の患者は、体温、心拍数、血圧、酸素飽和及び呼吸数(ただし、これらに限らない)などの重要な生理学データを取得するために監視を受けることがある。こうした監視に関するよく知られた技法の1つは、ワイヤレス式医用テレメトリーサービス(WMTS)スペクトルを用いたワイヤレス式医用テレメトリーである。本明細書では、多数の患者を同時に監視するためにワイヤレス式医用テレメトリーシステムにおいて無線源を再使用するための方法を開示している。本明細書で開示したワイヤレス式医用テレメトリーシステムは、時分割多元接続(TDMA)や周波数分割多元接続(FDMA)を利用した双方向移動式テレメータを利用する。移動式テレメータに対しては、ネットワークの目下のトラフィック条件に基づいて中央ネットワーク制御器によって無線リソース(すなわち、時間スロット及び周波数チャンネル)が割り当てられることがある。本明細書で開示している本発明の様々な実施形態は、ワイヤレス式医用テレメトリーサービス(WMTS)のスペクトルで動作することができる。そのアップリンクはWMTSスペクトルの1395〜1400MHz部分内に配置されることがあり、またそのダウンリンクはWMTSスペクトルの1427〜1432MHz部分内で2.5MHzを占有することがある。一般にWMTS動作は、1427〜1429.5MHzバンドでは非医用のテレメトリー動作に対する主要ステータスに一致するが、1429.5〜1432MHzバンドでは非医用テレメトリー動作に対する副次的なステータスとして取り扱われる。しかし、WMTSが1429〜1431.5MHzバンドでは主要ステータスを有するが1427〜1429MHzバンドで非医用テレメトリー動作に対して副次的となるような幾つかの地理的エリアが存在している。したがって様々な実施形態では、そのバンドにおいてWMTSが主要ステータスとなるように2.5MHzダウンリンクバンドが選択される。本発明の様々な実施形態では、無線源の効率のよい空間的再使用が必要な場合に無線スペクトルの別の部分を利用することがある。
【0012】
ここで同じ番号が幾つかの図の全体にわたって同じ要素を意味している図面を参照すると図1は、本発明の一実施形態に従ってネットワーク制御器102を動作させ得る例示的なテレメトリーシステム100である。テレメトリーシステム100は、ネットワーク制御器102と、一斉同報ダウンリンク発生器103と、複数の移動式送受信器104と、複数の分散型受信器106と、ネットワーク108と、一斉同報リンク109と、複数の有効域ゾーン110と、患者監視システム112と、を含む。ネットワーク制御器102は、トラフィック条件に基づいて移動式送受信器104に時間スロット及び周波数チャンネルを動的に割り当て、移動式送受信器104に関する要件ベースのアップリンクバンド幅割り当てを実行し、移動式送受信器104の送信パワーを制御し、移動式送受信器104に対する前方エラー訂正を選択的に有効にし、改良型アップリンクバンド幅利用のために時間スロット及び周波数チャンネルを周期的に再割り当てし、かつ移動式送受信器104に警報及び通知を一斉同報している。
【0013】
ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104からのアップリンク通信及び/または分散型受信器106を介して移動式送受信器104に関するトラフィック情報を受け取る。トラフィック情報は、分散型受信器106の各々と通信状態にある移動式送受信器104の数、移動式送受信器104の移動送受信器識別子、移動式送受信器104の存在(様々な移動式送受信器104のアップリンク送信をどの分散型受信器106が最も良好に受信したのかに関する)、並びに移動式送受信器104のバッファ状態(ただし、これらに限らない)を含む。移動式送受信器の移動送受信器識別子や移動式送受信器104のバッファ状態など移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報は、移動式送受信器104によって送信されることがある。分散型受信器106の各々と通信状態にある移動式送受信器104の数や分散型受信器106の各々の有効域ゾーン110内での移動式送受信器104の存在など分散型受信器106に関連付けされたトラフィック情報は、分散型受信器106によって送信されることがある。有効域ゾーン110内における移動式送受信器104の存在を分散型受信器106によって判定する処理について図2に関連させながら説明することにする。様々な実施形態では、移動式送受信器104及び/または分散型受信器106は、こうしたトラフィック情報を提供するためにアップリンクフレームをネットワーク制御器102に周期的に送っている。一実施形態では移動式送受信器104はアップリンクフレームを分散型受信器106に送り、また分散型受信器106はこのアップリンクフレーム内に追加のトラフィック情報を挿入した後これをネットワーク制御器102に送っている。
【0014】
ネットワーク制御器102は、受け取ったトラフィック情報に基づいて移動式送受信器104の時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定する。一実施形態ではネットワーク制御器102は、移動式送受信器104の移動送受信器識別子、並びに該移動送受信器識別子に関連付けされた時間スロット及び周波数チャンネルを分散型受信器106から受け取る。
【0015】
ネットワーク制御器102は、ある有効域ゾーン110から別のゾーンへの移動式送受信器104の動きを検出する。ネットワーク制御器102は、分散受信器識別子及び移動送受信器識別子を用いて移動式送受信器104の動きを識別する。ネットワーク制御器102は移動式送受信器104の動きを検出するために、目下の分散受信器識別子と移動送受信器識別子に関連付けされた直前の分散受信器識別子とを比較することがある。ネットワーク制御器102は、別の有効域ゾーン110内に移動したと特定された移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新することがある。
【0016】
ネットワーク制御器102は、時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新するために移動式送受信器104に関するチャンネル分離拘束を考慮することがある。このチャンネル分離拘束は、RF干渉を防止するために同じ時間スロット中に送信を行う複数の移動式送受信器104間で要求される周波数チャンネルの最小分離を指定する。移動式送受信器104がある有効域ゾーン110から別のゾーンに移動するに連れて、元の有効域ゾーン110での送信のために移動式送受信器104に割り当てられていた時間スロット及び周波数チャンネルは、新たな有効域ゾーン110内ではチャンネル分離拘束を侵害することがある。したがってネットワーク制御器102は、チャンネル分離拘束に基づいて移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新する。このチャンネル分離拘束は、異なる有効域ゾーン110及び分散型受信器106の物理的レイアウトに関する拘束マップによって表現されることがある。例示的な拘束マップについて図4A及び4Bに関連して記載することにする。
【0017】
例示的な一実施形態ではネットワーク制御器102は、分散型受信器106の有効域ゾーン110内における移動式送受信器104の存在についての検討、並びに隣接する有効域ゾーン110内への移動式送受信器104の移動の予測を行いながら移動式送受信器104に対する時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新することがある。ネットワーク制御器102は、病院施設内での分散型受信器106の箇所に関する知見を有することがあり、またフロア図トポロジーに関する知見が与えられたときにある有効域ゾーン110から別のゾーンへの移動式送受信器104の移動を予測するためのロジックまたはアルゴリズムを有することがある。例えば、救急救命室(ER)から集中治療室(ICU)まで移動させている患者(及び患者の移動式送受信器104)は単に、ERの分散型受信器106の制御から、ERとICUを繋ぐ廊下の分散型受信器106、そして最後にICUの分散型受信器106の制御へと動くことがある。ネットワーク制御器102は、別の有効域ゾーン110への移動の予測のための各アップリンクフレームの間において分散型受信器106の有効域ゾーン110内における移動式送受信器104の存在を使用することがある。ネットワーク制御器102はこの予測に応答して、移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新することがある。
【0018】
ネットワーク制御器102は次いで、時間スロット及び周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報ダウンリンク発生器103に転送する。一斉同報ダウンリンク発生器103は次いで、ダウンリンクフレームにおいてリンク109を介して分散型受信器106に時間スロット及び周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報する。一斉同報ダウンリンク発生器103は、一斉同報ダウンリンクバンド幅を節約するために時間スロット及び周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスのみを送信する。一斉同報ダウンリンク発生器103は、受け取った時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを送信に適した形態に変調し、次いでこの受け取った時間スロット及び周波数チャンネル割り当てをリンク109を介して一斉同報することがある。リンク109は、光ファイバケーブル、ブロードバンド同軸ケーブル、その他(ただし、これらに限らない)などの適当な任意のRF伝送媒体とすることがある。ある特定の移動式送受信器104に関する更新済み時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを一斉同報した後にネットワーク制御器102は、更新済み周波数チャンネル内の更新済み時間スロットと移動式送受信器104の元の周波数チャンネル内の元の時間スロットとの両方に関して当該移動式送受信器104のアップリンク送信を聴取する。ネットワーク制御器102は、ネットワーク制御器102が更新済み周波数チャンネル内の更新済み時間スロット上で当該移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報を受け取った場合にだけ、元の周波数チャンネル内の元の時間スロットが次の更新に利用可能であると特定することがある。
【0019】
例示的な一実施形態ではネットワーク制御器102は、異なるアップリンクバンド幅要件を有する移動式送受信器104に関する時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新することがある。ネットワーク制御器102は、アップリンク送信において移動式送受信器104からアップリンクバンド幅要件を受け取ることがある。移動式送受信器104は、各アップリンクバースト602内のバッファ状態(すなわち、目下の残りのバッファ容量)を送信することがある。ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104のバッファ状態を使用してその時間スロット割り当てを更新することがある。バッファ状態が移動式送受信器104の目下の残りのバッファ容量が事前定義の容量未満となったことを示した場合、ネットワーク制御器102は移動式送受信器104に対して追加の時間スロットを割り当てる。割り当て時間スロットの全部が使用される前にバッファが空になった場合、ネットワーク制御器102は移動式送受信器104に割り当てられる時間スロットの数を削減することがある。
【0020】
テレメトリーシステム100はさらに、体温、脈拍数、血圧、呼吸数その他などの重要な徴候を監視する心電図(ECGまたはEKG)、筋電図(EMG)、脳波図(EEG)(ただし、これらに限らない)などの多種多様な患者監視用途に対応することがある。異なる患者監視用途では、異なる量の診断データが生成されること、またしたがって様々なデータ速度での送信を要することがあり得る。ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104に対して移動式送受信器のデータ速度要件に基づいて時間スロットを割り当てることがある。移動式送受信器104はネットワーク制御器102に対するメッセージ内において、データ送信に必要な時間スロットの数を指示することがある。この指示に応答してネットワーク制御器102は、移動式送受信器の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新することがある。ネットワーク制御器102は次いで、一斉同報ダウンリンク発生器103に対して一斉同報ダウンリンクを介して移動式送受信器に対して更新済み時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを送信させる。したがって、移動式送受信器104のデータ速度要件に基づいて移動式送受信器104に対して必要とする数だけの時間スロットを割り当てことによって、テレメトリーシステム100のアップリンクバンド幅を節約することができる。
【0021】
例示的な一実施形態ではネットワーク制御器102は、各アップリンクフレームの後に移動式送受信器104の周波数チャンネル及び時間スロット割り当てを更新することがある。一定の更新では、幾つかの周波数チャンネルにおいて未割り当て時間スロットのギャップまたはレンジが生じることがある。このギャップが移動式送受信器が必要とする隣接した時間スロットの最小数より小さい場合や、未割り当て時間スロットと隣接する周波数チャンネル内の同時時間スロットとが有するチャンネル分離拘束が両立しない場合に、その未割り当て時間スロットは使用不可能となることがあり得る。使用不可能な時間スロットが存在すると利用可能な時間・周波数空間の断片化が生じることになる。アップリンクバンド幅をより有効に利用するため並びに利用可能な時間・周波数空間が断片化されるのを防止するために、ネットワーク制御器102はある移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネルを周期的に再割り当てすることがある。実際の状況の1つでは、その病室やベッドから全く出ない患者が存在することがある。こうした患者に装着した移動式送受信器104に対して割り当てた時間スロット及び周波数チャンネルは、あらゆる時点においてチャンネル分離拘束を侵害しないため固定状態とすることができる。こうした患者に装着した移動式送受信器104は固定した送受信器と見なされることがある。ネットワーク制御器102は、時間スロット及び周波数チャンネルの周期的再割り当てに関してこうした固定送受信器を選択する。ネットワーク制御器102は、こうした固定送受信器を最適な数だけ選択し、動いている移動式送受信器104に対する時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新した後で残ったダウンリンクバンド幅をフル活用することがある。時間スロット及び周波数チャンネルを周期的に再割り当てするための処理の一例については、図11に関連して記載することにする。
【0022】
上述の機能を容易にするための時間スロット及び周波数チャンネル割り当ての更新以外に、テレメトリーシステム100はさらに病院敷地内における無線周波数(RF)送信レベル全体を低減し、これにより干渉のおそれを低下させかつ隣接チャンネルの遠近効果(near−far effect)を緩和することで恩恵を得ることができる。ネットワーク制御器102はしたがって、移動式送受信器104の送信パワーを制御するようなパワー制御アルゴリズムを実現することがある。ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104を関連付けさせた分散型受信器106から移動式送受信器104の受信信号強度を受け取ることがある。ネットワーク制御器102は次いで、受信信号強度を事前定義しきい値と比較することがあり、またこの比較に基づいて当該移動式送受信器を目的としたパワー制御信号を一斉同報ダウンリンク発生器103に転送することがある。一斉同報ダウンリンク発生器103は次いで、一斉同報ダウンリンク上のパワー制御信号を移動式送受信器104に送信して送信パワーを調整する。低いビットエラー率(BER)を維持するように目標のパワーレベルが選択される。移動式送受信器104の送信パワーは、これに対して設定可能な最小の非ゼロ値を有することがある。パワー制御アルゴリズムはさらに、低いビットエラー率(BER)を維持しながら移動式送受信器104を可能な最低パワーレベルで動作させることによって、移動式送受信器104の電池寿命を強化するために用いられることがある。図9に関連させながらパワー制御アルゴリズムの一例について説明することにする。
【0023】
受け容れ可能なBERを維持しながら全体的なRF送信レベルを低減するような計測では、分散型受信器106の数を増加させる一方で、分散型受信器106同士の間隔を小さくすることが必要となることがある。しかしこれによって、テレメトリーシステム100のコストが増大することがある。したがってテレメトリーシステム100では、ある限られた数の移動式送受信器104だけを指定のBERを超えた値で動作させている。こうした移動式送受信器104は、生理学データ及びトラフィック情報に加えて追加の前方エラー訂正(FEC)データを送信することがある。FECデータによって追加のバンド幅が必要となる。したがって、アップリンクバンド幅を節約するためにテレメトリーシステム100は、ある限られた数の移動式送受信器104のみに対して指定のBERを超えた値での動作を許可することがある。ネットワーク制御器102は移動式送受信器104のBERを受け取り、移動式送受信器104のBERを最大許容可能BERと比較する。移動式送受信器104のBERが最大許容可能BERを超えていれば、ネットワーク制御器102は当該移動式送受信器104を目的としたエラー訂正有効化信号を一斉同報ダウンリンク発生器103に転送する。一斉同報ダウンリンク発生器103は次いで、このエラー訂正有効化信号を一斉同報ダウンリンク上で移動式送受信器104に送信する。このエラー訂正有効化信号によって移動式送受信器におけるFECスキームを有効化させる。図10に関連させながら移動式送受信器104においてFECを有効にするための処理の一例について説明することにする。
【0024】
本発明の実施形態ではその一斉同報ダウンリンクはさらに、移動式送受信器104のうちの1つまたは幾つかに対する警報の配信、移動式送受信器104のうちの1つまたは幾つかへの情報のダウンロード、看護スタッフへの警報の転送、その他の患者データのダウンロード、ファームウェアの更新、その他(ただし、これらに限らない)など数多くのデータアプリケーションのために使用されることがある。
【0025】
移動式送受信器104は、その移動式送受信器104が取り付けられた患者の生理学データを監視するためのテレメータを装備した双方向通信無線デバイスとすることがある。移動式送受信器104は、準診断用(sub−diagnostic)心電図(ECGまたはEKG)、筋電図(EMG)、脳波図(EEG)、その他(ただし、これらに限らない)などの監視デバイスを含む。移動式送受信器104はさらに、分散型受信器106を通じてネットワーク制御器102及び患者監視システム112と連絡するための双方向通信無線機を含む。移動式送受信器104は、患者の生理学データを収集しこの生理学データをアップリンクパケットの形にフォーマットする。移動式送受信器104はさらに生理学データを圧縮することもある。移動式送受信器104は次いで、アップリンクパケットに対して移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報を追加する。例示的な一実施形態ではその移動式送受信器104は、送信しようとするデータを保存するためのバッファを含むことがある。このバッファは送信準備した圧縮済みかつフォーマット済みのデータを保持している。移動式送受信器104は次いで、割り当てられた周波数チャンネル内で移動式送受信器104に割り当てられた時間スロットの間で変調済みアップリンクパケットを変調し送信する。移動式送受信器104は一斉同報ダウンリンクを介してネットワーク制御器102から時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを受け取る。
【0026】
例示的な一実施形態ではその移動式送受信器104は、一斉同報ダウンリンク上のエラー訂正有効化信号を介してネットワーク制御器102により選択的に有効化させることが可能な前方エラー訂正(FEC)スキームを利用する。前方エラー訂正スキームは、FECデータを生成するために可逆(invertible)コードまたは補完コードを使用することがある。例示的なFECスキームの1つは、第1の周波数によって生理学データを該生理学データに関連付けされたエラー検出データと一緒に送信すること、並びに第2の周波数によって生理学データに関連付けされたFECデータを該FECデータに関連付けされたエラー検出データと一緒に送信することを含む。この生理学データは、該生理学データに関連付けされたエラー検出データを逆算することによって復元されることがある。生理学データに関連付けされたエラー検出データがエラーなしで生理学データを受け取ったことを指示していれば、その生理学データが直接取り出されてFECデータは使用されない。しかし生理学データに関連付けされたエラー検出データがエラー検出を伴って生理学データが受け取られたことを指示した場合は、FECデータを用いて生理学データが復元される。幾つかの実施形態では、率を下げた可逆コードを用いてそのFECデータが生成される。この例示的FECスキームでは、ネットワーク制御器102から自動再送要求(Automatic Resend Request:ARQ)を受け取ることなく移動式送受信器104は各生理学データ送信向けにFECデータを送信する。このFECスキームは、そのアップリンクパケットが2種類の周波数で送信されるという点で周波数ダイバーシティを提供する。
【0027】
移動式送受信器104の送信パワーはさらに、分散型受信器106における受信信号強度に基づいてネットワーク制御器102により制御されることがある。移動式送受信器104は、一斉同報ダウンリンクを介してパワー制御信号を受け取り、このパワー制御信号に基づいて送信パワーを調整することがある。
【0028】
テレメトリーシステム100はさらに患者監視システム112を含む。患者監視システム112は、移動式送受信器104によって送信された患者の生理学データを、グラフィックユーザインタフェース(GUI)に基づいて人間が読み取れる形式で収集し表示する役割をする。この生理学データは、グラフ、波形、その他の形式で表示されることがある。患者監視システム112はさらに、事前定義のロジックに基づいて警告メッセージ及び警報を生成することがある。患者監視システム112は、分散型受信器106からの患者の生理学データ、並びにこれを送った移動式送受信器104の移動送受信器識別子を受け取る。患者監視システム112は次いで、生理学データをデコードし、これを表示することがある。
【0029】
図2は、テレメトリーシステム100で動作可能な例示的な分散型受信器106の簡略ブロック図である。各分散型受信器106は、アップリンクの全バンド幅から割り当てられた指定の周波数チャンネルを復調する。分散型受信器106は、1つまたは複数の受信フロントエンド(RFE)モジュール202と、1つまたは複数の受信信号プロセッサ(RSP)204と、1つまたは複数のアンテナ206と、を含む。アンテナ206は、移動式送受信器104のそれぞれに対する一斉同報ダウンリンクの送信及びアップリンクパケットの受信を行う。
【0030】
アンテナを介した送信のために、RFEモジュール202は受け取った一斉同報ダウンリンクを条件付けする。RFEモジュール202は、一斉同報ダウンリンク発生器からの一斉同報ダウンリンクをリンク109を介して受け取ることがある。リンク109は、光ファイバケーブル、ブロードバンド同軸ケーブル、その他(ただし、これらに限らない)などの適当な任意のRF伝送媒体とすることがある。RFEモジュール202はサーキュレータ222を用いて一斉同報ダウンリンクをアンテナに結合させることがある。幾つかの実施形態ではRF信号を結合させるために、サーキュレータ222に代えて例えば混合器、加算器、スイッチその他など別のデバイスが用いられることがある。幾つかの別の実施形態ではそのRFEモジュール202は、ベースバンドの一斉同報ダウンリンクを受け取り、この一斉同報ダウンリンクをフィルタ処理し、同期させかつアップコンバートすると共に、移動式送受信器104に送信するためにこれをアンテナに供給することがある。RFEモジュール202はさらに、受け取ったアップリンク送信の各々の信号強度を計測し、それぞれのアップリンク送信においてこの信号強度を移動送受信器識別子と関連付けすることがある。RFEモジュール202はさらに、RSPモジュール204で処理するためにこの受け取ったアップリンク送信を条件付けする。RFEモジュール202は、単独のアンテナ域の信号を単独の中間周波数(IF)に再変調し、この単独の中間周波数を合成して合成アナログIF信号にする。RFEモジュール202のこのアナログIF信号は次いで、後続の処理のためにRSPモジュール204に供給される。
【0031】
RSPモジュール204は、高速アナログディジタル変換器(ADC)を用いてRFEモジュール202からの合成アナログIF信号をアップリンクパケットになるように変換する。このアップリンクパケットは次いで、ディジタル信号プロセッサ(DSP)によるさらなる処理のために幾つかの段階においてフィルタ処理されかつデシメーションされることがある。DSPはアップリンクパケットを復調し、このアップリンクパケット内のエラーを検出する。DSPは次いで、アップリンクパケットを個々の移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報と患者の生理学データとに分離する。DSPは、移動送受信器識別子に基づいて移動式送受信器104の目下の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを特定することがある。DSPは、その移動送受信器識別子を受け取った期間である周波数チャンネル内の時間スロットが移動式送受信器104により使用状態にあると特定する。DSPはさらに、移動式送受信器104の存在(すなわち、ある特定の移動式送受信器104が様々な有効域ゾーン110のどこに位置しているか)の判定を支援することもある。DSPは、ある特定の移動式送受信器104に関して分散型受信器106のどの受信器が最適受信を有しているのか決定するためにアップリンク送信に関する計測信号強度及びそれぞれのアップリンク送信内の対応する移動送受信器識別子を他の分散型受信器106と共有すると共に、当該移動式送受信器104からのアップリンク送信の受信を継続することがある。DSPは、ネットワーク108を介して他の分散型受信器106のDSPと通信することがある。DSPは、分散型受信器106に関連付けされたトラフィック情報を移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報に添付することがある。DSPは次いで、ネットワーク108を介して生理学データを患者監視システム112に、またトラフィック情報をネットワーク制御器102に転送することがある。DSPはさらに、移動式送受信器104のアップリンクパケットエラー統計値をネットワーク制御器102に送信することがある。DSPは、トラフィック情報内にパケットエラー統計値を含めること、あるいはネットワーク制御器102にエラー報告を直接送ることのいずれかを行うことがある。
【0032】
例示的な一実施形態ではそのRFEモジュール202は、その各々が分散型受信器106に割り当てられた周波数チャンネルを復調するような合成アンテナからなる複数の組に対応することがある。コヒーレント合成のアンテナからなる各組によって1つのアンテナ域が形成される。アンテナ域とは移動式送受信器104が、分散型受信器106に対して信号を送信または受信する一方、満足なビットエラー率(BER)が維持されかつ通常の送信パワーが利用されるような空間内の1つの領域と定義することができる。こうした一実施形態ではその合成アナログIF信号は、周波数チャンネルの各々に関して、RFEモジュール202の各アンテナ域から1つの割合で複数の画像を包含する。RSPモジュール204は、周波数チャンネルのこれらの画像のうちの幾つかまたはすべてを復調することがある。RSPモジュール204は次いで、エラー数が最小となるようにそのアップリンクパケットを選択することがある。こうしたアップリンク復調スキームによれば、各アップリンクパケット内に存在するエラー検出データを用いたパケット毎の選択に基づく空間的ダイバーシティが提供される。
【0033】
移動式送受信器104がFECを有効化しているようなケースでは、RSPモジュール204が移動式送受信器104の周波数チャンネルの複数の画像を復調できることによって、RSPモジュール204が2種類の周波数チャンネルに関する複数の異なる画像を復調するという点において周波数ダイバーシティと空間的ダイバーシティのそれぞれが提供される。
【0034】
図3は、移動式送受信器104をその内部で動作させ得る例示的な有効域ゾーン110の図である。図3に示した有効域ゾーン110の形状は単に描出を目的としたものである。図3は、図2に関連して記載した2つの分散型受信器106A及び106Bを表した図である。分散型受信器106Aは、コヒーレント合成のアンテナからなる組A及びBのそれぞれにより形成されるアンテナ域306及びアンテナ域308で動作する。分散型受信器106Bは、コヒーレント合成のアンテナからなる組C及びDのそれぞれにより形成されるアンテナ域310及びアンテナ域312で動作する。
【0035】
図3において陰を付けた領域110A、110B、110C、110Dは、様々な実施形態に関連した記載する有効域ゾーン110を表している。有効域ゾーン110は、2つ以上のアンテナ域が重複しているような空間内の領域と定義することができる。少なくとも1つの共通アンテナ域を有するすべての有効域ゾーン110のことを隣接ゾーンと定義する。例えば有効域ゾーン110Aに関しては、有効域ゾーン110B及び110Cが隣接ゾーンである。有効域ゾーン110Aは有効域ゾーン110Bとアンテナ域310を共有し、また有効域ゾーン110Cとアンテナ域306を共有している。空間的に遠く離れた位置にある有効域ゾーン110により周波数の再使用を支援することができる。有効域ゾーン110のことを周波数再使用ゾーンと呼ぶことがある。
【0036】
移動式送受信器104は、あるアンテナ域から別のアンテナ域まで、ある分散型受信器106の有効域ゾーンから別の分散型受信器106の有効域ゾーンまで、並びにある周波数再使用ゾーンから別の再使用ゾーンまで移動することがある。さらに分散型受信器106は、どの分散型受信器106が移動式送受信器104のどれからの送信を受け取るのかを決定するために互いに通信することがある。分散型受信器106は、受け取った全アップリンク送信に関する受信信号強度を計測し、この受信信号強度をそれぞれのアップリンク送信における移動送受信器識別子と関連付けすることがある。分散型受信器106は次いで、分散型受信器106のいずれがある特定の移動式送受信器104に関する最良の受信を有するのかを決定するために別の分散型受信器106との間でこの受信信号強度及び関連付けした移動送受信器識別子を共有すると共に、当該移動式送受信器104からのアップリンク送信の受信を継続することがある。一実施形態では各分散型受信器106が各時間/周波数スロットの復調を可能にするような計算リソースを有する。別の実施形態では分散型受信器106は、時間/周波数スロットの部分組のみを復調するのに十分なだけの計算リソースを有する。ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104がアンテナ域の有効域ゾーン110間で移動するときに移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新することがある。ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを更新する間における移動式送受信器104間の干渉を最小化しなければならない。ネットワーク制御器102は、同じまたは隣接する有効域ゾーン110内の別の移動式送受信器104に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを考慮に入れながら移動式送受信器104の時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを更新する。ネットワーク制御器102は、様々な有効域ゾーン110内で同時に送信している移動式送受信器104間においてあるチャンネル分離を維持することによって干渉を最小化することがある。ネットワーク制御器102は干渉を最小化するために、移動式送受信器104の時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを更新する間において、同時アップリンク送信用のチャンネル分離パラメータを定義している拘束マップを利用することがある。
【0037】
図4Aは、例示的な拘束マップ400の1つを表した図である。例示的な一実施形態ではその拘束マップ400は、同時アップリンク送信用の周波数チャンネル分離パラメータを定義しているマトリックスである。拘束マップ400内の各エントリは、同時に送信している移動式送受信器104間で必要となるチャンネル分離を表すことがある。(i,j)番のエントリは、ゾーン「i」にある移動式送受信器104とゾーン「j」にある同時送信している移動式送受信器104との間で必要となるチャンネル分離とすることがある。
【0038】
拘束マップ400は、3つのタイプの同時アップリンク送信用のチャンネル分離パラメータを定義している。同一サイト拘束402は、同じ有効域ゾーン110内で同時送信している移動式送受信器104に関するチャンネル分離パラメータを定義している。隣接ゾーン拘束404は、隣接ゾーンで同時送信している移動式送受信器104に関するチャンネル分離パラメータを定義している。同一チャンネル拘束406によれば、互いからの適正分離が不十分な有効域ゾーン内にある移動式送受信器104が同じ時間スロットにおいて同じ周波数チャンネルを占有しないように保証される。その移動式送受信器104が空間的に互いに十分に分離されていなければ、同一チャンネル拘束406は2つの移動式送受信器104が同じ1つのチャンネルを使用することを禁止する。
【0039】
例示的な一実施形態ではその指標(横列または縦列の数値)の差が概ね有効域ゾーン110同士の距離を示している。こうしたケースでは、同一サイト拘束が主対角線上に位置することがあり、隣接ゾーン拘束は主対角線の近くに来ることがあり、また同一チャンネル拘束は拘束マップ400内の別の箇所に位置することがある。分離が広い有効域ゾーン110間のみで周波数再使用が実施されることがある。周波数再使用が可能な有効域ゾーン110は、拘束が無いことにより示しており、主対角線からより遠くにあるエントリ位置に来る傾向がある。
【0040】
例示的な一実施形態では、拘束マップ400を所与の据え付けに関して固定とし得るため、拘束マップ400はそのテレメトリーシステム100のスタートアップ時に定義されることがある。拘束マップ400は、スタートアップモードを利用することによって定義されることがある。スタートアップモードの間に、移動式送受信器104を病院施設を巡るように移動させ、移動式送受信器104のそれぞれの箇所に関して各分散型受信器106において受信パワーを計測する。次いで、この計測したパワーレベルを用いて拘束マップ400が定義されることがある。各分散型受信器106の各アンテナと移動式送受信器104の間を結合している信号に関する計測パワーレベル及び信号量に基づいて、同じまたは隣接する有効域ゾーン内の移動式送受信器104について必要な分離に関する周波数チャンネル数が決定される。移動式送受信器104の信号の経路損失も拘束マトリックス400を定義する際の要因となることがある。別の実施形態ではその拘束マップ400は、テレメトリーシステム100の通常動作において動的に更新されることがある。
【0041】
図4Bは、9つの有効域ゾーン110に関する例示的なチャンネル分離パラメータを有する例示的な拘束マップ410を表した図である。例えば有効域ゾーンC内の移動式送受信器104は、有効域ゾーンA内の別の移動式送受信器104からは2周波数チャンネルだけ、また有効域ゾーンF内の移動式送受信器104からは1周波数チャンネルだけ分離させなければならない。有効域ゾーンC内の移動式送受信器104は、有効域ゾーンGまたはH内の別の移動式送受信器104と同じ周波数チャンネルを使用することができる。
【0042】
図5及び6は、一斉同報ダウンリンクバースト502とアップリンクバースト602のそれぞれの例示的なパケット構造を表している。一斉同報ダウンリンクバースト502は、ネットワーク制御器102により単一のダウンリンクフレームで送信される一連の一斉同報ダウンリンクパケットである。同様にアップリンクバースト602は、移動式送受信器104により単一のアップリンクフレームで送信される一連のアップリンクパケットである。
【0043】
図5は例示的な斉同報ダウンリンクバースト502を表した図である。一斉同報ダウンリンクバースト502は、移動式送受信器104に関する更新済みの時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを含む。一斉同報ダウンリンクバースト502はさらに、移動式送受信器104のネットワーク制御器102との同期を維持させることがある。移動式送受信器104は、ダウンリンクバースト502のプリアンブルを用いてスロットクロックをテレメトリーシステム100のスロットクロックと同期させることがある。一斉同報ダウンリンクバースト502はさらに、テレメトリーシステム100のフレームクロックの目下のフェーズを移動式送受信器104に対して指示する情報パケットを包含することがある。
【0044】
一斉同報ダウンリンクバースト502は、プリアンブルと、情報パケットと、1つまたは複数の制御パケットと、を有することがある。情報パケット及び制御パケットは独立のエラー検出ビットを有する。情報パケットは、その内部でバーストが始まった目下のフレーム内部のスロット番号を与えることがある。制御パケットは移動式送受信器104に対するコマンドを包含する。このコマンドは、アップリンクバースト602送信、パワー制御、FECの有効化、その他に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当て向けとすることがある。制御パケットは、その制御パケットが目的とする移動式送受信器104に関する移動送受信器識別子を包含することがある。一斉同報ダウンリンクバースト502を受け取る移動式送受信器104は、制御パケット内の移動送受信器識別子を特定するために一斉同報ダウンリンクバースト502内のすべての制御パケットの復調を必要とすることがある。移動式送受信器104の移動送受信器識別子が制御パケット内の移動送受信器識別子と一致すれば、移動式送受信器104はその制御パケット内に含まれたコマンドを実行することがある。例示的な一実施形態では、ダウンリンクバースト502は所与の移動式送受信器104に関する制御パケットを1つだけ含むことがある。この制御パケットは2種類の周波数を用いて一斉同報され、アップリンクパケットと同様の周波数ダイバーシティを提供することがある。制御パケットのサイズは、一斉同報ダウンリンクパケットに関してもアップリンクパケットに利用したのと同じ前方エラー訂正スキームが利用できるようなサイズとすることがある。
【0045】
本発明の例示的な一実施形態では、プリアンブルの長さを160ビットとすることがあり、情報パケットの長さを108ビットとすることがあり、また制御パケットの長さを108ビットとすることがあり、この両者については情報パケット及び制御パケットに16ビットのCRCデータが続いている。
【0046】
図6は例示的なアップリンクバースト602を表した図である。アップリンクバースト602は、プリアンブルと、1つまたは複数の情報パケットと、1つまたは複数のデータパケットと、を含む。情報パケットと制御パケットは独立のエラー検出ビットを有する。情報パケットは、バースト内のデータのタイプを特定する情報を包含することがある。情報パケットはさらに、移動式送受信器のバッファ状態など移動式送受信器に関連付けされたトラフィック情報を包含することがある。例示的な一実施形態では、アップリンクバースト602内に2つの情報パケットを存在させることがあり、2番目の情報パケットは信頼性を高めるために1番目のものを単純に繰り返したものとすることがある。これらのデータパケットは、移動送受信器識別子や移動式送受信器104により送信されるデータパケット数(ただし、これらに限らない)など移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報を含む。アップリンクデータ速度を変更するためにアップリンクバースト602の最大長は、ネットワーク制御器102により変更されることがある。アップリンクバースト602の全長は、パケット持続時間の倍数ではなく時間スロット持続時間の倍数で変動させることがある。
【0047】
本発明の例示的な一実施形態では、プリアンブルの長さを160ビットとすることがあり、情報パケットの長さを108ビットとすることがあり、かつデータパケットの長さを108ビットとすることがあり、この両者については情報パケット及び制御パケットの次に16ビットのCRCデータが続いている。
【0048】
図7は、テレメトリーシステム100などの中央集約型医用テレメトリーネットワークにおいて無線源を再使用するための例示的な処理の流れ図である。
【0049】
ステップ702ではネットワーク制御器102は、複数の分散型受信器106から複数の移動式送受信器104に関するトラフィック情報を受け取る。図3に関連して記載したように、移動式送受信器104は有効域ゾーン110内で動作する。有効域ゾーン110は分散型受信器106の2つ以上のアンテナ域が重複するような領域である。図2に関連して記載したように、移動式送受信器104からアップリンク送信を受け取ったすべての分散型受信器106がネットワーク制御器102にトラフィック情報を転送する。トラフィック情報は、複数の分散型受信器106の各々と通信している移動式送受信器104の数、移動式送受信器104の移動送受信器識別子、移動式送受信器104のバッファ状態、分散型受信器106の有効域ゾーン内における移動式送受信器104の存在を含む。
【0050】
ステップ704ではネットワーク制御器102は、トラフィック情報に基づいて移動式送受信器104の時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定する。ネットワーク制御器102は、移動式送受信器104の移動送受信器識別子(ただし、これに限らない)などの移動式送受信器104に関連付けされたトラフィック情報を使用することがある。
【0051】
ステップ706ではネットワーク制御器102は、トラフィック情報に基づいて1つまたは複数の時間スロット割り当て及び/または1つまたは複数の周波数チャンネル割り当てを更新する。同一チャンネル干渉、隣接ゾーン干渉及び同一サイト干渉を軽減するために、ネットワーク制御器102はさらに拘束マップに指定されたチャンネル分離パラメータを考慮する。
【0052】
ステップ708ではネットワーク制御器102は、時間スロット割り当ての更新済みインスタンス及び周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報する。ネットワーク制御器102は一斉同報ダウンリンクを用いてその更新を一斉同報する。ネットワーク制御器102は、一斉同報ダウンリンクバンド幅を節約するために、移動式送信器の時間スロット及び/または周波数チャンネル割り当てに対する変更のみを送信する。
【0053】
図8は、移動式送受信器104のアップリンク伝送速度を変更するための例示的な処理の流れ図である。
【0054】
ステップ802ではネットワーク制御器102は、複数の移動式送受信器104の各々で必要とする時間スロットの数を受け取る。異なるタイプの患者テレメータでは必要とするデータ速度が異なることがある。さらに、異なる移動式送受信器104では異なる圧縮率を利用することがある。移動式送受信器104は、接続されたテレメータのタイプに基づいて必要となる時間スロットの数を送信することがある。
【0055】
ステップ804ではネットワーク制御器102は、要求される時間スロットの数に基づいて複数の移動式送受信器のうちの1つまたは幾つかに対して割り当てられる時間スロットの数を更新する。様々な実施形態ではその移動式送受信器104は、送信しようとするデータ量の変化、送信しようとするデータの圧縮、あるいは送信しようとするデータのボリュームの任意の別の増大を考慮に入れながら要求される時間スロットの数を指示する。
【0056】
図9は、移動式送受信器104の送信パワーを変更するための例示的な処理の流れ図である。パワー制御子によって、干渉を低減するために個々の移動式送受信器104の放射パワーを低下させ、アップリンクパケットにおいてビットエラー率(BER)を低く維持させることになる。
【0057】
ステップ902ではネットワーク制御器102は、複数の移動式送受信器の各々の受信パワーを収集する。分散型受信器106は、移動式送受信器104の受信信号強度を計測することがある。例示的な一実施形態では、各移動式送受信器104ごとに2つの異なる分散型受信器106において2つの受信信号強度計測を実施することがある。パワー制御アルゴリズムは、受信信号が最も強い分散型受信器に関して動作するように設定されることがある。分散型受信器106は次いで、ネットワーク制御器102に計測パワーレベルを送信することがある。
【0058】
ステップ904ではネットワーク制御器102は、複数の移動式送受信器の各々の送信パワーを最大許容可能送信パワーと比較する。最大許容可能パワーはその据え付け要件に応じて設定することがある。例示的な一実施形態では、移動式送受信器104により放射し得るその最大許容可能パワーは+10dBmに固定とされることがある。
【0059】
ステップ906ではネットワーク制御器102は、この比較に応答して複数の移動式送受信器のうちの1つまたは幾つかの送信パワーを調整するためのパワー制御信号を送信する。ネットワーク制御器102は、そのパワー制御信号を一斉同報ダウンリンクを介して移動式送受信器104に送信することがある。移動式送受信器104は次いで、ネットワーク制御器102による指定に従ってその送信パワーを新たな値に調整することがある。
【0060】
図10は、移動式送受信器102上で前方エラー訂正を選択的に有効にするための例示的な処理の流れ図である。
【0061】
ステップ1002ではネットワーク制御器102は、複数の移動式送受信器104の各々のエラー率を受け取る。分散型受信器106は、アップリンク送信内のCRCビットを用いて移動式送受信器104からのアップリンク送信のエラーを検出する。分散型受信器106は次いで、ネットワーク制御器102に移動式送受信器104のエラー統計値を送信することがある。
【0062】
ステップ1004ではネットワーク制御器102は、複数の移動式送受信器の各々のエラー率を最大許容可能エラー率と比較する。最大許容可能エラー率は据え付けの時点で判定されることがあり、また本方法の要件に依存させることがある。
【0063】
ステップ1006ではネットワーク制御器102は、この比較に応答して複数の移動式送受信器のうちの1つまたは幾つかに対するエラー訂正を有効にするためにエラー訂正有効化信号を送信する。移動式送受信器104のエラー率が最大許容可能エラー率に近づくかこれを超えると、ネットワーク制御器102は一斉同報ダウンリンクを介して移動式送受信器104にエラー訂正有効化信号を送信する。
【0064】
FECスキームは、必要なときだけに有効にし、これによりアップリンクバンド幅を節約する一方で患者の生理学データの確度を保証することがある。ネットワーク制御器102は、一斉同報ダウンリンクを介したそれぞれの制御信号の送信によって移動式送受信器104に対するFECスキームを有効化または無効化することがある。ネットワーク制御器102はさらに、エラー訂正データの送信を可能にするように移動式送受信器104に割り当てられた時間スロット数を更新することがある。
【0065】
図11は、最適なバンド幅利用とするように時間スロット及び周波数チャンネルを周期的再割り当てするための例示的な処理の流れ図である。ネットワーク制御器102は、時間スロットをその割り当てる順にリストしたスロットマップを定義することがある。ネットワーク制御器102は、スロットマップ内の各時間スロットを当該時間スロットの間に移動式送受信器104が送信を行うことがある有効域ゾーン110の特定によって周期的にタグ付けする。図12A及び図12Bに例示的なスロットマップを示している。
【0066】
ステップ1102ではネットワーク制御器102は、複数の周波数チャンネルの各々内で未使用の時間スロットを特定する。ネットワーク制御器102はスロットマップにアクセスし、複数の周波数チャンネルの各々において未使用の時間スロットを特定する。
【0067】
ステップ1104ではネットワーク制御器102は、未使用の時間スロットのすぐ後に続く時間スロットで送信している移動式送受信器104を再割り当て向けに特定する。
【0068】
ステップ1106ではネットワーク制御器102は、未使用の時間スロットに対する再割り当て向けに特定された移動式送受信器104の時間スロット割り当て及び/または周波数チャンネル割り当てを、その未使用の時間スロットの時間及び周波数に関する位置の順序に従って更新する。ステップ1106が長い時間にわたって実施される場合は、そのスロットマップを固定とすることがある。具体的には、あるギャップに続いてアップリンクバースト602を送信している移動式送受信器104が再割り当てを受け得る箇所を全く有しない可能性がある。このことは、隣接するチャンネルまたは同一サイト拘束のために移動式送受信器104がそのギャップを占有することが不可能である場合に生じることがあり、またこのために患者の移動性によってチャンネル分離拘束が変更されるまでこのギャップが使用不可能のままとなることがある。
【0069】
ステップ1108ではネットワーク制御器102は、周波数チャンネル順序を循環式にシフトさせる。ステップ1108は周波数チャンネル順序を周期的に変更する一方、チャンネルリストに循環バッファとしてアクセスする。スロットマップ上の第1の未割り当てギャップに対して先ずバースト再割り当てが実施されるため、周波数チャンネル順序に対する循環式のシフトによって本アルゴリズムがその中で移動式送受信器104の再割り当てを試みるスロットマップの領域が変更される。したがって、アップリンクバースト602においてあるギャップに続いて送信している移動式送受信器104は、比較的短い時間の後に移動させることがある。
【0070】
図12Aは例示的なスロットマップを表した図である。スロットマップは、時間スロット及び周波数チャンネルの順序に従って有効域ゾーンに割り当てられるスロットを表形式で表したものである。スロットマップ1200Aは、図4Bの拘束マップ410に準拠した時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを表している。スロットマップ1200Aは、連続する5つの周波数チャンネルに対する8つの時間スロットからなる1セグメントを表している。このスロットマップは未割り当て時間スロットの2つのバースト(すなわち、その第1は周波数チャンネルF2内で6時間スロット長のもの、またその第2は周波数チャンネルF4内で3時間スロット長のもの)を有する。
【0071】
完全なEKG波形を送るのに必要な最小アップリンクバースト602サイズが6スロット長となり得るようなEKGテレメトリーなどの例示的な用途について考察することにする。周波数チャンネルF4内の未割り当てバーストはこの移動式送受信器104に対する割り当てには短すぎ、したがって使用不可能である。
【0072】
他方、周波数チャンネルF2内の未割り当てバーストは完全なEKG波形を送るのに必要な最小アップリンクバースト602サイズに等しく、移動式送受信器104に対して直接割り当てることができる。周波数チャンネルF1内の8つの時間スロットは有効域ゾーンG内の移動式送受信器104に割り当てられている。しかし同一サイト拘束402及び隣接ゾーン拘束404によって、ゾーンE、GまたはH内のいずれの移動式送受信器104も周波数チャンネルF2の未使用のスロットに割り当てることができない。さらに周波数チャンネルF3は、周波数チャンネルF2内において6つの未割り当て時間スロットが重複している2つの単独のアップリンクバースト602を有する。第1のアップリンクバースト602は有効域ゾーンF内の移動式送受信器104に割り当てられており、また第2のバーストは有効域ゾーンC内の移動式送受信器104に割り当てられている。有効域ゾーンB、D、E、FまたはI内の移動式送受信器104はいずれも、有効域ゾーンFに関係するチャンネル分離拘束のためにこの未割り当て時間スロットの割り当てを受けることができず、また有効域ゾーンA、CまたはD内の移動式送受信器104はどれも、ゾーンCに関係するチャンネル分離拘束のために未割り当て時間スロットの割り当てを受けることができないことがある。上述のチャンネル分離拘束の和集合を考慮すると、周波数チャンネルF2内の未割り当て時間スロットはいずれのゾーンにおいても使用不可能である。したがって図11に関連して記載したように、ネットワーク制御器102は有効域ゾーンI内にある移動式送受信器104を再割り当て向けに特定する。例示的なシナリオではそのネットワーク制御器102は、周波数チャンネルF2上の時間スロットT8以降において送信を行っている移動式送受信器104をスロットマップ1200A内の単独のチャンネルに再割り当てする。したがって再割り当てのために、さらに大きなギャップが周波数チャンネルF2内に生成される。
【0073】
所定の時間間隔の後でネットワーク制御器102はスロットマップ1200A内の周波数チャンネルの順序を循環式にシフトさせる。スロットマップを循環式にシフトさせるには、周波数チャンネルの順序を循環式に変更することが必要である。
【0074】
図12Bは、スロットマップ1200Aを循環シフトさせたバージョンに当たるスロットマップ1200Bを表した図である。スロットマップ1200Bは、周期的再割り当てに関する周波数チャンネル順序をF4、F5、F1、F2及びF3と表している。周波数チャンネルF4内の3つの未割り当て時間スロットが現在再割り当てしようとする第1番目のものとなることがある。ネットワーク制御器102は、有効域ゾーンE内にある移動式送受信器104を再割り当て向けに特定する。例示的なシナリオではそのネットワーク制御器102は、周波数チャンネルF4上の時間スロットT6以降において送信を行っている移動式送受信器104の時間スロット及び周波数チャンネル割り当てを、周波数チャンネルF4内の未割り当て時間スロットT3〜T6に更新する。換言するとネットワーク制御器102は時間スロットT6より先をギャップ内にシフトさせ、これによりギャップを閉鎖させる。
【0075】
図13は、一実施形態に従ったネットワーク制御器102を実現するための例示のハードウェアシステム1300を表した図である。ハードウェアシステム1300は、少なくとも1つのプロセッサ1302と、システムメモリ1304と、大容量記憶装置1306と、を含む。システムメモリ1304はその内部に、1つまたは複数のアプリケーションソフトウェアと、ネットワーク制御器102を実現するためのプログラム命令1308と、本明細書に記載した機能を目的としたオペレーティングシステム及びドライバと、を保存して有する。大容量記憶装置1306はネットワーク制御器102に関するデータ及びプログラム命令1308の恒久的保存を提供し、また一方システムメモリ1304(例えば、DRAM)はプロセッサ1302により実行する際のデータ及びプログラム命令に関する一時的保存を提供する。ネットワーク制御器102に関するプログラム命令1308の処理フローについては、図7〜11に関連して詳細に説明している。一実施形態ではその拘束マップ400及び/または410は大容量記憶装置1306内に常駐させることがある。ネットワーク/通信インタフェース1310は、ハードウェアシステム1300とイーサネット(商標)(例えば、IEEE802.3)ネットワーク、その他といった広範なネットワークのうちのいずれかとの間に連絡を提供する。さらにハードウェアシステム1300は、高性能入力/出力(I/O)バス1312及び標準I/Oバス1314を含む。システムメモリ1304及びネットワーク/通信インタフェース1310はバス1312に結合されている。大容量記憶装置1306はバス1314に結合されている。I/Oバスブリッジ1316は2つのバス1312及び1314を互いに対して結合させている。
【0076】
一実施形態では、本明細書に記載した処理法700、800、900、1000及び1100はハードウェアシステム1300により実行させる一連のソフトウェアルーチンとして実現される。これらのソフトウェアルーチンは、ハードウェアシステム内のプロセッサ1302などのプロセッサに実行させようとする複数の命令または一連の命令を含む。この一連の命令は最初に大容量記憶装置1306などの記憶デバイス上に保存されている。しかしこの一連の命令は、フレキシブルディスク、CD−ROM、ROM、EEPROM、DVD、ブルーレイディスク(Blu−ray disk:商標)、その他といった適当な任意の記憶媒体上に保存することが可能である。さらにこの一連の命令は必ずしもローカルで保存する必要はなく、ネットワークのサーバー上などの遠隔の記憶デバイスからネットワーク/通信インタフェース1310を介して受け取ることも可能である。これらの命令は大容量記憶装置1306などの記憶デバイスからシステムメモリ1304内にコピーされた後、プロセッサ1302によりアクセスされて実行される。
【0077】
一実施形態ではハードウェアシステム1300はさらに、バス1312に結合させたI/Oポート1318、キーボード/ポインティングデバイス1320、ディスプレイ1322を含むことがある。I/Oポート1318は、ハードウェアシステム1300に結合させ得る追加の周辺デバイス間に連絡を提供する1つまたは複数のシリアル及び/またはパラレル通信ポートである。ホストブリッジ1324はプロセッサ1302を高性能I/Oインタフェース1310に結合させている。ハードウェアシステム1300はさらに、ビデオメモリ(図示せず)と該ビデオメモリに結合させた表示デバイスとを含むことがある。一括するとこれらの素子は、Intel Corporation(カリフォルニア州、Santa Clara)の製造によるx86互換プロセッサ、Advanced Micro Devices(AMD) Inc.(カリフォルニア州、Sunnyvale)の製造によるx86互換のプロセッサ、並びに適当な別の任意のプロセッサに基づいた汎用のコンピュータシステム(ただし、これに限らない)を含む広いカテゴリーのコンピュータハードウェアシステムを表すように意図している。
【0078】
ハードウェアシステム1300は、多種多様なシステムアーキテクチャを含むことがある。すなわち、ハードウェアシステム1300の様々な構成要素を再配列させることができる。例えばキャッシュ1326をプロセッサ1302とでオンチップとすることがある。別法としてキャッシュ1326及びプロセッサ1302を、プロセッサ1302が「プロセッサコア」と呼ばれるような1つの「プロセッサモジュール」の形に一体にパッケージさせることがある。さらに本発明のある種の実施形態では、必ずしも上述の構成要素の全部を必要としないまたは含めないことがある。例えば、標準I/Oバス1312と結合させるように図示した周辺デバイスを高性能I/Oインタフェース1310と結合させることがある。さらに幾つかの実施形態では単一のバスだけを存在させ、この単一のバスにハードウェアシステム1300の構成要素が結合されるようにすることがある。さらにハードウェアシステム1300は、追加のプロセッサ、記憶デバイス、メモリなどの追加の構成要素を含むことがある。
【0079】
オペレーティングシステムによって、ソフトウェアアプリケーション(図示せず)に対するデータの入力及び出力を含むハードウェアシステム1300の動作を管理及び制御させている。このオペレーティングシステムは、該システム上で実行されるソフトウェアアプリケーションと該システムのハードウェア構成要素との間のインタフェースを提供する。本発明の一実施形態ではそのオペレーティングシステムはLinuxオペレーティングシステムである。しかし本発明は、Microsoft Corporation(ワシントン州、Redmond)から入手可能なWindows(商標)95/9/NT/XP/Serverオペレーティングシステム、Apple Computer,Int.(カリフォルニア州、Cupertino)から入手可能なApple Macintosh(商標)オペレーティングシステム、UNIX(商標)オペレーティングシステム、その他など適当な別のオペレーティングシステムでも使用することができる。
【0080】
様々な実施形態では、そのチャンネル割り当て問題(CAP)を動的チャンネル割り当て技法を利用することによって克服している。動的チャンネル割り当て技法によればシステムバンド幅をこれを必要としているセルに割り当てることが可能である。患者テレメータは本来的に動きが低速であるため、ワイヤレス式医用テレメトリーシステムの複雑性が受け容れ可能でかつ計算パワーレベルが受け容れ可能であるような時間スロット及び周波数チャンネル割り当てに対する一括制御が可能である。この技法は、移動式送受信器104に対して秒単位で時間スロット及び周波数チャンネルを割り当てることがある(すなわち、移動式送受信器104は拘束の侵害について秒単位で監視を受けることがある)。
【0081】
別の実施形態ではさらに、固定技法と動的チャンネル割り当て技法を組み合わせて利用することもある。この混合割り当て技法では、ゾーンの変更処理に関わらない移動式送受信器104は固定チャンネルの割り当てを受けることがあり、またゾーン変更処理に関わる移動式送受信器104は動的チャンネルの割り当てを受けることがある。
【0082】
様々な実施形態について、トラフィック適応型の動的チャンネル割り当てを利用するものとして説明してきた。このトラフィック適応型技法では、ネットワーク内で主流のトラフィック条件に応じて移動式送受信器104に時間スロット及び周波数チャンネルが割り当てられることがある。
【0083】
別の実施形態では、再使用適応型の動的チャンネル割り当て技法を利用することもある。再使用適応型技法は、システム内のアップリンク送信器受信器対のすべてに関する受信パワーを計測し、これにより可能なときにはいつでも周波数再使用の実施を可能にさせることがある。ネットワーク制御器102は、すべての移動式送受信器104に関するパワー情報を収集しなければならないことがある。
【0084】
また別の実施形態では干渉適応型の動的チャンネル割り当て技法を利用することがある。干渉適応型技法は、すべての未使用チャンネル並びにすべての使用済みチャンネルに対する環境干渉を計測し、これにより移動式送受信器104のすべてに関する信号対干渉レベルの最適化を可能にさせることがある。ネットワーク制御器102は、すべての受信器にあるすべての受信チャンネルに対してパワー計測値を収集しなければならないことがある。
【0085】
開示した方法は、コンピュータ実現型または制御器実現型の処理法、並びにこれらの処理法を実施するための装置の形態で具現化することが可能である。これらの方法はさらに、フレキシブルディスク、CD−ROM、ハードドライブ、その他などの有形媒体内に具現化された命令を含むコンピュータプログラムコードの形態で具現化することも可能であり、このコンピュータプログラムコードをコンピュータまたは制御器内にロードしてこれらによって実行すると、このコンピュータは本方法を実施するための装置となる。本方法はさらに、コンピュータプログラムコードまたは信号の形態で具現化される(このプログラムコードまたは信号が、例えば記憶媒体内に保存されるか、コンピュータまたは制御器にロードされかつ/またはこれらによって実行されるか、電気配線やケーブル接続による、光ファイバを通す、または電磁放射を介するなど何らかの伝送媒体を用いて伝送を受けるかの如何によらない)ことがあり、このコンピュータプログラムコードをコンピュータ内にロードしてコンピュータによって実行すると、このコンピュータは本方法を実施するための装置となる。汎用のマイクロプロセッサ上で実現させると、このコンピュータプログラムコードのセグメントによって具体的な論理回路を生成させるようにマイクロプロセッサが構成される。
【0086】
本明細書で使用している技術用語及び科学用語は、特に別に指定しない限り本発明が属する分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味である。本明細書で使用している「第1の」、「第2の」その他の用語は、何らかの順序や重要性を意味しておらず、むしろある要素を別の要素と区別するために使用したものである。さらに、「a」や「an」などの用語は数量の限定を意味したものではなく、むしろ言及された項目の少なくとも1つの存在を意味している。
【0087】
本発明について幾つかの例示的な実施形態だけに言及しながらかなり詳細に説明してきたが、開示した実施形態に対して本発明の趣旨を顕著に逸脱することなく様々な修正、省略、追加及び置換が実施し得るため、これらの実施形態のみに本発明を限定しようとする意図でないことを理解されたい。さらに、本発明の本質的な趣旨を逸脱することなくある特定の状況や据え付けに適用するように多くの修正を実施することができる。したがって、本発明について限定的ではなく例示的に記述したものであると理解しなければならない。したがって、本特許請求の範囲に規定した本発明の趣旨及び精神の域内に属し得るようなすべての修正、省略、追加及び置換その他を包含するように意図している。
【符号の説明】
【0088】
102 ネットワーク制御器
103 一斉同報ダウンリンク発生器
104 移動式送受信器
106 分散型受信器
108 ネットワーク
109 一斉同報リンク
110 有効域ゾーン
112 患者監視システム
202 受信フロントエンド(RFE)モジュール
204 受信信号プロセッサ(RSP)モジュール
206 アンテナ
222 サーキュレータ
306 アンテナ域
308 アンテナ域
310 アンテナ域
312 アンテナ域
400 拘束マップ
402 同一サイト拘束
404 隣接ゾーン拘束
406 同一チャンネル拘束
410 拘束マップ
502 一斉同報ダウンリンクバースト
602 アップリンクバースト
1200A スロットマップ
1200B スロットマップ
1302 プロセッサ
1304 システムメモリ
1306 大容量記憶装置
1308 ネットワーク制御器
1310 ネットワークインタフェース
1312 高性能I/Oバス
1314 標準I/Oバス
1316 I/Oバスブリッジ
1318 I/Oポート
1320 キーボード、ポインティングデバイス
1322 ディスプレイ
1324 ホストブリッジ
1326 キャッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用テレメトリーネットワーク内で無線源を再使用するための方法(700)であって、
サーバーにおいて、複数の分散型受信器(106)から複数の移動式送受信器(104)に関するトラフィック情報を受信するステップ(702)であって、複数の移動式送受信器(104)の各々は複数の分散型受信器(106)により形成される有効域ゾーン(110)内に属している受信ステップ(702)と、
前記トラフィック情報に基づいて複数の移動式送受信器に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定するステップ(704)と、
少なくともその一部で前記トラフィック情報に基づいて1つまたは複数の時間スロット割り当て及び/または1つまたは複数の周波数チャンネル割り当てを更新するステップ(706)と、
前記時間スロット割り当ての更新済みインスタンス及び前記周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報するステップ(708)と、
を含む方法(700)。
【請求項2】
前記更新ステップはさらに、同一チャンネル干渉、隣接ゾーン干渉及び同一サイト干渉を軽減するためのチャンネル分離パラメータを備えた拘束マップ(1200A、1200B)を考慮に入れるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トラフィック情報は、複数の分散型受信器(106)の各々と通信している移動式送受信器(104)の数、複数の移動式送受信器の移動送受信器識別子、移動式送受信器のバッファ状態、複数の分散型受信器(106)の有効域ゾーン(110)内における複数の移動式送受信器(104)の存在のうちの1つまたは幾つかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の周波数チャンネルの各々内で未使用の時間スロットを特定するステップと、
前記未使用の時間スロットのすぐ後に続く時間スロットを利用している移動式送受信器を再割り当て向けに特定するステップと、
前記再割り当て向けに特定された移動式送受信器に関する時間スロット割り当て及び/または周波数チャンネル割り当てを、時間及び周波数に関する未使用時間スロットの順で未使用時間スロットに更新するステップと、
周波数チャンネル順序を循環式にシフトさせるステップと、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
医用テレメトリーネットワーク内で無線源を再使用するためのシステム(1300)であって、
1つまたは複数のネットワークインタフェース(1310)と、
1つまたは複数のプロセッサ(1302)と、
メモリ(1304)と、
コンピュータ読み取り可能記憶媒体(1306)内に保存されたコンピュータプログラムコード(1308)であって、実行時に前記1つまたは複数のプロセッサ(1302)に対して、
サーバーにおいて、複数の分散型受信器(106)から複数の移動式送受信器(104)に関するトラフィック情報を受信するステップ(702)であって、複数の移動式送受信器(104)の各々は複数の分散型受信器(106)により形成される有効域ゾーン(110)内に属している受信ステップと、
前記トラフィック情報に基づいて複数の移動式送受信器に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定するステップ(704)と、
少なくともその一部で前記トラフィック情報に基づいて1つまたは複数の時間スロット割り当て及び/または1つまたは複数の周波数チャンネル割り当てを更新するステップ(706)と、
前記時間スロット割り当ての更新済みインスタンス及び前記周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報するステップ(708)と、
を行なわせるように動作可能なコンピュータプログラムコード(1308)と、
を備えるシステム(1300)。
【請求項6】
前記コンピュータプログラムコード(1308)は1つまたは複数のプロセッサ(1302)に対してさらに、同一チャンネル干渉、隣接ゾーン干渉及び同一サイト干渉を軽減するためのチャンネル分離パラメータを備えた拘束マップ(1200A、1200B)を考慮に入れるステップを行わせるように動作可能である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トラフィック情報は、複数の分散型受信器(106)の各々と通信している移動式送受信器(104)の数、複数の移動式送受信器の移動送受信器識別子、移動式送受信器のバッファ状態、複数の分散型受信器(106)の有効域ゾーン(110)内における複数の移動式送受信器(104)の存在のうちの1つまたは幾つかを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
医用テレメトリーネットワーク内で無線源を再使用するためのコンピュータ実行可能命令(1308)によりエンコードされたコンピュータ読み取り可能媒体を備えたコンピュータプログラム成果物であって、該コンピュータ実行可能命令(1308)は実行時に1つまたは複数のプロセッサ(1302)に対して、
サーバーにおいて、複数の分散型受信器(106)から複数の移動式送受信器(104)に関するトラフィック情報を受信するステップ(702)であって、複数の移動式送受信器(104)の各々は複数の分散型受信器(106)により形成される有効域ゾーン(110)内に属している受信ステップと、
前記トラフィック情報に基づいて複数の移動式送受信器に関する時間スロット割り当て及び周波数チャンネル割り当てを特定するステップ(704)と、
少なくともその一部で前記トラフィック情報に基づいて1つまたは複数の時間スロット割り当て及び/または1つまたは複数の周波数チャンネル割り当てを更新するステップ(706)と、
前記時間スロット割り当ての更新済みインスタンス及び前記周波数チャンネル割り当ての更新済みインスタンスを一斉同報するステップ(708)と、
を行わせるように動作可能である、コンピュータプログラム成果物。
【請求項9】
1つまたは複数のプロセッサ(1302)に対して、同一チャンネル干渉、隣接ゾーン干渉及び同一サイト干渉を軽減するためのチャンネル分離パラメータを備えた拘束マップ(1200A、1200B)を考慮に入れるステップを行わせるように動作可能なコンピュータ実行可能命令(1308)をさらに含む請求項8に記載のコンピュータプログラム成果物。
【請求項10】
前記トラフィック情報は、複数の分散型受信器(106)の各々と通信している移動式送受信器(104)の数、複数の移動式送受信器の移動送受信器識別子、移動式送受信器のバッファ状態、複数の分散型受信器(106)の有効域ゾーン内における複数の移動式送受信器(104)の存在のうちの1つまたは幾つかを含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム成果物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−151804(P2011−151804A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7393(P2011−7393)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】