説明

医用レポートシステム及び医用データ変換プログラム

【課題】病院等の施設内に構築されたネットワークに接続されている、異なるベンダー、異なる機種の医用画像診断装置によって得られた検査結果情報の出力先であるレポートサーバに対して、共通の出力形式で定義された検査結果情報を提供する。
【解決手段】複数のモダリティ101〜103と、それらモダリティ101〜103から送信された検査結果情報を蓄積するレポートサーバ10とを備えたネットワーク50内に、前記検査結果情報の出力形式を識別し、必要に応じて、レポートサーバ10に規定された出力形式に変換する変換装置20を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関において、依頼された検査、例えば超音波診断装置等の複数の医用画像診断装置(モダリティ)によって得られた、被検体に関する検査結果情報(医用データ)の出力形式の共通化を実現する医用レポートシステム及び医用データ変換プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、医用画像診断装置には、X線診断装置を始め、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学装置、超音波診断装置などの様々なモダリティがある。
【0003】
医者は患者の病状に応じてこれらの装置を適切に選択し、選択された診断装置によって取得された医用画像に基づいて診断を行う。
【0004】
また、患者の症状によっては1つのモダリティだけでなく、複数のモダリティを用いて検査を行い、各モダリティ間の医用画像を比較して総合的に診断し、必要があればさらに詳細に調べ、治療を行なっている。
【0005】
例えば、一人の患者に対してX線CT装置で検査を行い、さらに磁気共鳴イメージング装置でも検査を行い、両方の医用画像をもとに、循環器X線検査装置にてX線透視・撮影をしながら手術するといったことが行われる。
【0006】
このように複数の異なったモダリティによって得られた医用画像を比較しながら診断することによって、患者の症状をいち早く診断することが可能となり、検査効率を格段に向上させることができる。
【0007】
このように複数の異なるモダリティによって得られた医用画像を用いて総合的に診断し、治療するシステムは、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、循環器X線検査装置等及びこれらの医用画像診断装置から医用画像を取り込むための医用画像保管サーバとこの医用画像保管サーバに取り込んだ医用画像を表示するための医用画像ビューア等を高速ネットワークに接続することによって実現している。
【0008】
そして、このような各種の業務を効率化させるために、近年は、医療情報を電子的に管理する病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や医用画像を管理する医用画像管理システム(Picture Archive Communication System:PACS)、放射線部門における検査情報を管理する放射線部門管理システム(Radiology Information System:RIS)等が導入されており、さらに、検査技師等による検査結果の読影や検査報告書の作成・管理を支援するために、医用情報管理システムが構築されている。
【0009】
また、このような高速ネットワークを介して医用画像を通信するための標準規約(検査結果情報を送信するときの出力形式の定義も含む)としては、医用画像通信規約(DICOM:Digital Imaging and COmmunication in Medicine)が存在する。
【0010】
この医用画像通信規約(DICOM)は、病院内外で、異なった製造業者(ベンダー)の、異なった種類のモダリティを、ネットワークあるいは医用画像保存媒体で、相互に接続して、患者の医用画像検査情報のやり取りや医用画像データの伝送などを実現することを目的としたものである。
【0011】
このDICOMを用いた医用画像管理システムにおいては、一般には、複数のモダリティがネットワークを介して取得した医用データ(検査結果情報)をレポートサーバへ送り、そのレポートサーバで統括して保管管理すると共に、各モダリティや医療端末(ビューア装置など)の要求に供するように管理している。
【0012】
従って、上記各種装置を診療の目的に応じて高速ネットワークを介して相互に接続することにより、これまでのフィルムを中心とした医用画像診断システムの問題点である保管場所不足、フィルムの紛失、遅い配送などといった問題を克服し、医用画像処理、コンピュータ支援診断、総合医用画像診断などといった新しい医用画像診断の付加価値を享受できるようになった(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2002−269535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、病院等、医療機関において、モダリティ、例えば超音波診断装置によって得られた医用画像の検査に対する検査結果情報は、DICOM規格では、「Structured Reporting」にて標準化し、出力することが一般的になってきている。この「Structured Reporting」は、部位(位置)、所見、解釈、病名/処置といったフレーム構造を持ったレポートである。
【0015】
しかし、このDICOM規格がレポート規格を段階的に制定していることと、各ベンダー及び各モダリティの計測機能全てをDICOM規格が常に表現できないこととから、各ベンダー及び各モダリティ固有の計測機能による検査結果(計測結果)情報については、病院等、医療機関では、それぞれXML形式などの独自の出力形式(フォーマット)でレポートサーバに検査結果情報を記録している場合が多く見られていた。
【0016】
そして、各ベンダー及び各モダリティで定義した出力形式がDICOM形式ではないために、独自の出力形式で定義した検査結果情報がDICOM規格で定義された検査結果情報と異なる場合も多く見られていた。
【0017】
例えば、左心室計測の代表的な計測結果である「Septal thickness of the ventricle in end diastole」は上述のDICOM規格では「Interventricular Septum Diastolic Thickness by 2−D」と定義され、ベンダーによっては、これを「IVSTD」と略語で定義している。
【0018】
近年では、会計や検査の予約、薬の処方、食事の管理等に関して広く活用されてきている、いわゆるHISやRISのような医療情報を共有する既存のシステムにモダリティが異なるベンダーで導入される例も少なくない状況にある。
【0019】
このような事情により、異なるモダリティから独自の出力形式で出力された検査結果情報を受信したレポートサーバでは、当該検査結果情報が共通の出力形式で作成されていないので、当該検査結果情報を医師、検査技師がビューア装置で参照できない場合があった。
【0020】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ネットワーク構成された医用レポートシステムにおいて、検査結果情報の出力形式が、その検査結果情報を受けるレポートサーバが認識することができる出力形式と異なる出力形式の検査結果情報がモダリティから送信されても、適正に記録及び保管することができる医用レポートシステム及び医用データ変換プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明に係る医用レポートシステムは、複数のモダリティが、ネットワークを介して医用データを管理するレポートサーバと通信可能に接続された医用レポートシステムであって、一のモダリティから出力された医用データを解析し、共通の出力形式で定義された医用データに変換して、その変換された医用データを前記レポートサーバに出力する変換手段を設けたことを特徴とする。
【0022】
本構成は、複数のモダリティとレポートサーバとがネットワークによって通信可能に接続された医用レポートシステムであって、異なる複数の出力形式を変換するための変換テーブルと、前記モダリティから送信される検査結果情報が如何なる出力形式によるものかを識別する識別手段とを備え、前記モダリティのうち、一のモダリティから送信された検査結果情報を前記識別手段で特定し、前記変換テーブルを参照して、前記検査結果情報を共通の出力形式で定義された検査結果情報に変換し、その変換された検査結果情報を前記レポートサーバに記録する変換装置が設けられたことを意味する。
【0023】
従って、このような構成とすることにより、あるモダリティから出力された検査結果情報に定義される出力形式を前記変換装置の識別手段によって識別し、レポートサーバが認識(表示)することができる共通の出力形式に変換手段が変換して、当該共通の出力形式で定義された検査結果情報をレポートサーバに記録するので、検査結果情報に定義される出力形式の標準化がなされ、前記検査結果情報が如何なる出力形式によって記述された検査結果情報であっても、レポートサーバで確認することができる。
【0024】
上記課題を解決するための、請求項2記載の発明に係る医用レポートシステムは、請求項1に記載の医用レポートシステムにおいて、前記変換手段は、前記一のモダリティから出力された医用データで定義された出力形式と、前記共通の出力形式とを変換するための変換テーブルを有することを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決するための、請求項3記載の発明に係る医用レポートシステムは、請求項1に記載の医用レポートシステムにおいて、前記各モダリティには、定義された出力形式を特定する識別子を付して当該医用データを出力する機能が設けられ、前記変換手段は、前記医用データを解析することによって前記識別子を参照して前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式を特定する識別手段を有していることを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決するための、請求項4記載の発明に係る医用レポートシステムは、請求項3に記載の医用レポートシステムにおいて、前記変換手段は、前記識別手段が特定した前記一のモダリティから出力された医用データの識別子を基に、その定義された出力形式が前記共通の出力形式と同じ出力形式であるか否かを判定する判定手段を備え、前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式と前記共通の出力形式とが異なる出力形式と判定された場合に、前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式を前記共通の出力形式に変換することを特徴とする。
【0027】
上記課題を解決するための、請求項5記載の発明に係る医用レポートシステムは、請求項1に記載の医用レポートシステムにおいて、前記医用データは、前記各モダリティによって得られた被検体に対する検査結果情報であることを特徴とする。
【0028】
上記課題を解決するための、請求項6記載の発明に係る医用レポートシステムは、請求項1に記載の医用レポートシステムにおいて、前記共通の出力形式はDICOMによる出力形式であることを特徴とする。
【0029】
上記課題を解決するための、請求項7記載の発明に係る医用レポート変換プログラムは、ネットワークを介してレポートサーバに通信可能に接続された複数のモダリティのうちの一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式を識別する識別ステップと、該識別ステップで識別された前記出力形式が共通の出力形式と同じであるか否かを判定する判定ステップと、該判定ステップで前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式が前記共通の出力形式と異なる出力形式と判定された場合に、異なって定義された出力形式を前記共通の出力形式に変換するための変換テーブルを参照して、前記一のモダリティから出力された医用データを前記共通の出力形式で定義された医用データに変換する変換ステップと、前記共通の出力形式で定義された医用データを、前記レポートサーバに出力する出力ステップと、出力された医用データを保存する保存ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
従って、あるモダリティから送信された検査結果情報に定義される出力形式を識別し、その出力形式が共通の出力形式とは異なる場合には、レポートサーバが認識することができる共通の出力形式に変換して、レポートサーバに記録するので、検査結果情報に定義される出力形式の標準化がなされ、前記検査家か情報が如何なる出力形式によって定義された検査結果情報であっても、レポートサーバで確認することができる。
【0031】
上記課題を解決するための、請求項8記載の発明に係る医用レポート変換プログラムは、請求項7に記載の医用レポート変換プログラムにおいて、前記共通の出力形式は、DICOMによる出力形式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、異なるベンダーや異なるモダリティから出力された医用データ(検査結果情報)を共通の出力形式(DICOMによる出力形式)に変換してレポートサーバに出力する変換手段を設けたので、モダリティ特有の出力形式で定義された検査結果情報が出力された場合でも、前記レポートサーバに共通な出力形式で保存され、それを常に適正な医用データとして参照することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る医用レポートシステムの一実施の形態における構成を示すブロック図である。図1に示すように、モダリティ101,102,103は病院内LAN50に接続された超音波診断装置であり、それぞれが出力する検査結果情報に定義された出力形式が異なるものとする。
【0035】
例えば、モダリティ103から出力される検査結果情報に定義された出力形式はDICOMによる出力形式であり、モダリティ101から出力される検査結果情報に定義された出力形式はDICOMによる出力形式を基にしたベンダーA独自に定義された出力形式であり、モダリティ102から出力される検査結果情報に定義される出力形式はXMLによる出力形式であるものとする。
【0036】
すなわち、前記「DICOMによる出力形式をベースにしたベンダーA独自に定義された出力形式」や「XMLによる出力形式」が本請求項にいう「一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式」に該当する。
【0037】
本実施形態では、各モダリティから出力され、レポートサーバ10に記憶される検査結果情報において定義された出力形式を「DICOMによる出力形式」に設定して説明するが、これが本請求項にいう「共通の出力形式」に該当する。
【0038】
以下、前記「一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式」を「固有のフォーマット」とし、前記「共通の出力形式」を「共通のフォーマット」として説明する。
【0039】
図1に示すように、本発明に係る医用レポートシステムは、複数のモダリティ101,102,103と、これらのモダリティ101,102,103から出力された検査結果情報を蓄積するレポートサーバ10と、医師や検査技師などがレポートサーバに蓄積された検査結果情報を参照するために用いる端末としてのビューア装置30とが病院内LAN50を介してネットワーク接続されて構成されている。
【0040】
レポートサーバ10は、モダリティ101,102,103から送信された検査結果情報を記憶する記憶手段12と、モダリティ101,102,103から送信された検査結果情報を受け付けると共に、病院内LAN50を介してビューア装置30の入力手段(図示せず)によって入力された情報に基づいて記憶手段12内の検査結果情報をビューア装置30に送信する制御手段11とを備えている。
【0041】
そして、本発明に係る医用レポートシステムでは、モダリティ101,102,103から出力された検査結果情報(医用データ)の「固有のフォーマット」を解析し、その出力された検査結果情報(医用データ)の「固有のフォーマット」が「共通のフォーマット」と異なる場合、当該検査結果情報(医用データ)の「固有のフォーマット」を「共通のフォーマット」に変換し、レポートサーバ10に出力する変換装置20が病院内LAN50とレポートサーバ10との間に設けられている。なお、モダリティ101,102,103から送信される検査結果情報には、例えばそのヘッダに、当該「固有のフォーマット」を特定した識別子が付されている。そして、この識別子を付加する識別子付加手段がモダリティ101,102,103に設けられている。
【0042】
変換装置20は、制御手段21と記憶手段22とを有している。記憶手段22には、「固有のフォーマット」で定義された検査結果情報の識別子と「共通のフォーマット」で定義された検査結果情報の識別子とを変換するための変換テーブル221が予め記憶されている。具体的には、それぞれ固有フォーマットの識別子と、それぞれの固有フォーマットを共通フォーマットへ変換する変換情報が記載されている。
【0043】
制御手段21は、モダリティ101,102,103から出力された検査結果情報のヘッダを参照して、そのヘッダに付された識別子を基に固有フォーマットの種類を特定(識別)する識別手段211と、その識別手段211によって特定(識別)された検査結果情報に定義された固有フォーマットの種類が「共通のフォーマット」と同じか否かを判定する判定手段と、その判定手段により、前記「固有フォーマット」が「共通フォーマット」と異なると判断された場合、当該「固有フォーマット」で定義された検査結果情報を、変換テーブル221を参照して、「共通のフォーマット」で定義された検査結果情報に変換する変換手段213とを備えると共に、その変換された検査結果情報を記憶手段22に記憶する機能を有する。
【0044】
例えば、上述した本実施形態の設定により、モダリティ101から出力された検査結果情報は、そのヘッダを参照した識別手段211によって、「ベンダーA独自に定義された出力形式」と特定され、モダリティ102から出力された検査結果情報は、そのヘッダを参照した識別手段211によって、「XMLで定義された出力形式」と特定され、モダリティ103から出力された検査結果情報は、そのヘッダを参照した識別手段211によって、「DICOMで定義された出力形式」と特定される。判定手段212は、これらのうち、モダリティ101から出力された検査結果情報と、モダリティ102から出力された検査結果情報に対して「出力形式の変換」が必要であると判定し、これらの検査結果情報の出力形式の変換を変換手段213に対して指示するのである。
【0045】
変換の指示を受けた変換手段213は、モダリティ101から出力された検査結果情報に対しては、識別手段211で特定された識別子を基に、変換テーブル221に記憶された変換情報の中から、「ベンダーA独自に定義された出力形式」と「DICOMで定義された出力形式」とが関連づけられた変換情報を、検索して、モダリティ101から出力された検査結果情報を「DICOMで定義された出力形式」の検査結果情報に変換する。一方、モダリティ102から出力された検査結果情報に対しても、識別手段211で特定された識別子を基に、変換テーブル221に記憶された変換情報の中から、「XMLで定義された出力形式」と「DICOMで定義された出力形式」とが関連づけられた変換情報を検索して、モダリティ102から出力された検査結果情報を「DICOMで定義された出力形式」の検査結果情報に変換する。
【0046】
なお、モダリティ103から出力された検査結果情報は、判定手段212によって「共通のフォーマット」と同じであると判定されるので、判定手段212が変換手段213に対して当該検査結果情報の出力形式の変換を指示することなく、当該検査結果情報は、制御手段21によって記憶手段22に記憶される。
【0047】
なお、ビューア装置30は、レポートサーバ10に対して参照したい検査結果情報の要求を行うための入力手段(図示せず)及びその要求に応じてレポートサーバ10から出力(送信)された変換後の(「共通のフォーマット」で定義された)検査結果情報を表示するための表示装置(図示せず)を有している。
【0048】
次に、このように構成された医用レポートシステムにおける動作について、図1及び図2を参照して以下に説明する。図2は、本実施形態におけるモダリティと変換装置とレポートサーバとの間の動作関係を示すシーケンス図である。
【0049】
図1及び図2に示すように、まず、各モダリティ101,102,103において患者の検査が実施された結果、得られた当該患者に関する検査結果情報は、検査が行われたモダリティ101,102,103の何れかから、それぞれに固有なフォーマットで定義されて出力(送信)され、変換装置20の制御手段21が受信する(ステップS1)。
【0050】
(識別ステップ)
次に、識別手段211は、受信した検査結果情報のヘッダに付された識別子を参照して、当該検査結果情報に定義されている出力形式を特定する(ステップS2)。
【0051】
このとき特定される出力形式(「固有のフォーマット」)は、例えば、DICOMによる出力形式ベースのベンダーA独自で定義された出力形式や、XMLによる出力形式や、DICOMによる出力形式などである。
【0052】
(判定ステップ)
変換装置20に出力された検査結果情報に定義された出力形式(「固有のフォーマット」)が特定されると、判定手段212は、その特定された「固有のフォーマット」が変換を必要とする出力形式であるか否かを判定する。
【0053】
この判定手段212は、例えば、レポートサーバ10に記憶する「共通のフォーマット」をDICOMによる出力形式とした場合、あるモダリティから出力された検査結果情報のヘッダを識別手段211が参照することで特定された出力形式(「固有のフォーマット」)が、前記「共通のフォーマット」と同じ出力方式であるか、異なる出力形式であるかを判定する。
【0054】
従って、判定手段212は、あるモダリティから出力された検査結果情報の出力形式「固有のフォーマット」が、レポートサーバ10に記憶する「共通のフォーマット」と異なる出力形式であった場合、出力形式の変換の必要がある(ステップS3−Yes)と判定して、その判定を受けた変換手段213が、変換テーブル221を記憶手段22から読み出して、「固有のフォーマット」で定義されている検査結果情報を「共通のフォーマット(DICOM)」で定義される検査結果情報に変換する(ステップS4)。
【0055】
(変換ステップ)
ここで、この「出力形式の変換(ステップS4)」について、具体的な例を挙げて以下に説明する。図3〜図5は、本発明に係る医用レポートシステムの一実施形態における検査結果情報の一例を示したものであり、図3は、モダリティ101から出力される、DICOM形式による出力形式で定義された検査結果情報の例、図4は、モダリティ102から出力される、DICOMをもとに、ベンダーA独自で出力形式を定義した検査結果情報の例、図5は、モダリティ103から出力される、XMLの出力形式で定義された検査結果情報の例を示す。
【0056】
なお、この説明では、図3〜図5の何れもBSA(Body Surface Area;体表面積)の計測結果についての検査結果情報を示している。また、各図に示した検査結果情報の記述内容において、枠で囲った部分が各出力形式における変換対象となる部分である。
【0057】
(「固有のフォーマット」がDICOMによる出力形式であった場合の変換方法)
まず、検査結果情報をDICOMによる出力形式で出力するモダリティ101から、検査結果情報が変換装置20に出力された場合、制御手段21は、判定対象となる検査結果情報(図3参照)で定義される「固有のフォーマット」が「共通のフォーマット」と同じDICOMによる出力形式であると識別手段211により識別されるので、モダリティ101から出力された検査結果情報の変換を変換装置20に対して指示することなく、レポートサーバ10に当該検査結果情報を出力する。
【0058】
そして、この検査結果情報を受信したレポートサーバ10は、制御手段11によって記憶手段12に「共通のフォーマット(DICOMによる出力形式)」で検査結果情報が記憶される。
【0059】
以下、図3に示したDICOMによる出力形式で定義された検査結果情報を「共通のフォーマット」の参考例として説明する。
【0060】
(「固有のフォーマット」がDICOMを基にベンダーが独自で定義した出力形式であった場合の変換方法)
まず、DICOMを基にベンダーが独自に定義した出力形式で検査結果情報を出力するモダリティ102から、検査結果情報が変換装置20に出力された場合、まず、識別手段211により「DICOMを基にベンダーが独自で定義した出力形式」と識別されるので、制御手段21は、図4に示す検査結果情報の記述内容に対して、当該検査結果情報自体を意味する(0040,a010)の「CONTAINS」を得る。
【0061】
次に、識別手段211による識別結果を基に、変換テーブル221に設定されている「02010003」を検索する。このとき、「02010003」という識別子がコンテナーに含まれていた場合には、図4に示す検査結果情報の記述内容において、(0040,a30a)numeric valueから「2.21」という値を得る。
【0062】
次に、制御手段21は、「共通のフォーマット」として、図3で示したDICOMによる出力形式で定義された検査結果情報と同様のコンテナーを作成する。なお、このコンテナーの作成にあたって、(0040,a030a)の値は現時点で含まないものとする。
【0063】
そして、制御手段21は、空白となっている(0040,a030a)の値に上記「2.21」を設定する。
【0064】
その際、「共通のフォーマット」として図3で示したDICOMによる出力形式で定義された検査結果情報の記述によれば、BSAの標準単位として「m」が設定されて(「0040,08ea」下位の「0008,0100」参照)おり、図4に示す検査結果情報の記述内容において、BSAの標準単位として「cm」が設定されている(「0040,08ea」下位の「0008,0100」参照)ので、変換手段213は、「2.21」の値を、「cm」から「m」への単位変更も、変換テーブル221に従って変換する。
【0065】
(「固有のフォーマット」がXMLで定義された出力形式であった場合の変換方法)
まず、検査結果情報をXMLで定義された出力形式で出力するモダリティ101から、検査結果情報が変換装置20に出力された場合、図5に示すように、まず、制御手段21は、BSAの計測結果についての検査結果情報の固まりであるXMLデータの先頭アドレスを特定する。
【0066】
次に、変換テーブルにおいて、XMLで定義された出力形式に関する独自の用語(Original Word)に設定されている、「TusStudyCommentBSA Value」をXMLデータの先頭アドレスから検索する。
【0067】
「TusStudyCommentBSA Value」という識別子がXMLデータに含まれていた場合、「2.00」という数値データを得る。
【0068】
次に、制御手段21は、「共通のフォーマット」として、図3で示したDICOMによる出力形式で定義された検査結果情報と同様のコンテナーを作成する。なお、このコンテナーの作成にあたって、(0040,a030a)の値は現時点で含まないものとする。
【0069】
そして、制御手段21は、空白となっている(0040,a030a)の値に上記「2.00」を設定する。
【0070】
その後、「共通のフォーマット」として図3で示したDICOMによる出力形式で定義された検査結果情報の記述によれば、BSAの標準単位として「m」が設定されて(「0040,08ea」下位の「0008,0100」参照)おり、図5に示す検査結果情報の記述内容において、BSAの標準単位が「m」ではない場合には、変換手段213は、「2.00」の値を変換テーブル221に従って変換する。
【0071】
(出力ステップ)
以上のようにして「共通フォーマット」で定義された検査結果情報を得た制御手段21は、レポートサーバ10に当該検査結果情報を出力する(ステップS5)。
【0072】
(保存ステップ)
そして、変換装置20から、「共通フォーマット」で定義された検査結果情報を受信した制御手段11は、当該検査結果情報を記憶手段12に記憶させて(ステップS6)完了となる。
【0073】
このようにして、記憶手段12に蓄積された、「共通フォーマット」で定義された検査結果情報は、医師や検査技師がビューア装置30の入力手段(図示せず)を用いて、参照したい検査結果情報の要求を行い、その要求に応じてレポートサーバ10から検査結果情報が送信され、表示装置(図示せず)で確認することができる。
【0074】
本発明に係る医用データ変換プログラムは、以上に説明した医用レポートシステムの動作をプログラムとして構成したものであり、その実施の形態は、識別ステップ、判定ステップ、変換ステップ及び出力ステップを制御手段21に、保存ステップを制御手段11に実行させるものである。なお、制御手段21及び制御手段11はCPUで構成されている。
【0075】
また、以上に説明した医用レポートシステムの動作がプログラムとして構成されたものを記録媒体に記録し、その記録媒体の内容をCPUに読みとらせ、実行させてもよい。
【0076】
上述の実施形態は、本発明の一例であり、本発明は上記実施形態に限定されることはない。また、この他であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0077】
また、モダリティとして、超音波診断装置を例に説明したが、これ以外にも、CT装置、RI装置、MR装置、CR(Computed Radiography)装置及びDR(Digital Radiography)装置などの医用画像発生装置が前記モダリティとして挙げられる。
【0078】
また、レポートサーバ20は、図示していない通信インターフェースを介して、他のLAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電話回線などの種々の通信ネットワーク上に接続可能とし、他の医療機関のサーバコンピュータとの間でデータのやりとりを行うようにしてもよい。
【0079】
以上説明したように、本発明に係るレポートシステムによれば、異なるベンダーや異なるモダリティから出力された医用データ(検査結果情報)を共通の出力形式(DICOMによる出力形式)に変換してレポートサーバに出力する変換手段を設けたので、モダリティ特有の出力形式で定義された検査結果情報が出力された場合でも、前記レポートサーバに共通な出力形式で保存され、それを常に適正な医用データとして参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る医用レポートシステムの一実施形態における構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る医用レポートシステムの一実施形態における動作を示すシーケンス図。
【図3】本発明に係る医用レポートシステムの一実施形態における第1の検査結果情報の内容を示す図。
【図4】本発明に係る医用レポートシステムの一実施形態における第2の検査結果情報の内容を示す図。
【図5】本発明に係る医用レポートシステムの一実施形態における第3の検査結果情報の内容を示す図。
【符号の説明】
【0081】
10 レポートサーバ
11 制御手段
12 記憶手段
20 変換装置
21 制御手段
211 識別手段
212 判定手段
213 変換手段
22 記憶手段
221 変換テーブル
30 ビューア装置
50 病院内LAN
101 モダリティ
102 モダリティ
103 モダリティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモダリティが、ネットワークを介して医用データを管理するレポートサーバと通信可能に接続された医用レポートシステムであって、
一のモダリティから出力された医用データを解析し、共通の出力形式で定義された医用データに変換して、その変換された医用データを前記レポートサーバに出力する変換手段を設けたことを特徴とする医用レポートシステム。
【請求項2】
前記変換手段は、
前記一のモダリティから出力された医用データで定義された出力形式と、
前記共通の出力形式とを変換するための変換テーブルを有することを特徴とする請求項1に記載の医用レポートシステム。
【請求項3】
前記各モダリティには、定義された出力形式を特定する識別子を付して当該医用データを出力する機能が設けられ、前記変換手段は、前記医用データを解析することによって前記識別子を参照して前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式を特定する識別手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の医用レポートシステム。
【請求項4】
前記変換手段は、前記識別手段が特定した前記一のモダリティから出力された医用データの識別子を基に、その定義された出力形式が前記共通の出力形式と同じ出力形式であるか否かを判定する判定手段を備え、前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式と前記共通の出力形式とが異なる出力形式と判定された場合に、前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式を前記共通の出力形式に変換することを特徴とする請求項3に記載の医用レポートシステム。
【請求項5】
前記医用データは、前記各モダリティによって得られた被検体に対する検査結果情報であることを特徴とする請求項1に記載の医用レポートシステム。
【請求項6】
前記共通の出力形式はDICOMによる出力形式であることを特徴とする請求項1に記載の医用レポートシステム。
【請求項7】
ネットワークを介してレポートサーバに通信可能に接続された複数のモダリティのうちの一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式を識別する識別ステップと、
該識別ステップで識別された前記出力形式が共通の出力形式と同じであるか否かを判定する判定ステップと、
該判定ステップで前記一のモダリティから出力された医用データに定義された出力形式が前記共通の出力形式と異なる出力形式と判定された場合に、異なって定義された出力形式を前記共通の出力形式に変換するための変換テーブルを参照して、前記一のモダリティから出力された医用データを前記共通の出力形式で定義された医用データに変換する変換ステップと、
前記共通の出力形式で定義された医用データを、前記レポートサーバに出力する出力ステップと、出力された医用データを保存する保存ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする医用データ変換プログラム。
【請求項8】
前記共通の出力形式は、DICOMによる出力形式であることを特徴とする請求項7に記載の医用データ変換プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−148660(P2007−148660A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340751(P2005−340751)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】