説明

医用情報保有装置および方法

【課題】 患者(ユーザー)の個人データについては、医用情報保有装置(携帯電話機)を持っている限り、年中昼夜を分かたず任意の機会に医用データを読み出して利用に供することができ、且つ、所定範囲の複数人で、個人医用データを共有できるようにする。
【解決手段】 ユーザー(PU)の所有するモバイル情報端末には、調剤薬局又はドラッグストア(PD)の専用伝送路に接続された医用データ出力機器から、薬歴情報、薬情報、お薬手帳に夫々対応する医用データが供給され、モバイル情報端末の記憶手段に蓄積される(PU11)。モバイル通信会社のサーバー(MCS)はユーザーの家族のような特定関連者に同報通信を発して(MCS11)、共有することが望まれる医用データをこれらの特定関連者に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルテデータ、処方箋データ、薬歴データ、検査データ、バイタルサインデータ(心拍数、呼吸数、体温、血圧)等の医用データを当該個人が蓄積し保有することを可能にした装置および方法に関し、特に、蓄積した医用データを特定のセンター機関等の稼動状況に依存することなく任意時点で読み出して利用に供することができるようにした医用データ保有装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、調剤薬局や医療関係の業務ソフトウェアを提供するASP(Application Service Provider)のシステムを利用して、院外処方箋に基づき、患者が適当な調剤薬局を選択できるようにするための調剤薬局システムが提案されている。この提案によるシステムでは、患者は自らのインターネット接続可能な携帯電話を通してASPサーバーの院外処方箋データベースにアクセスし、そこに蓄積された自分の院外処方データを受信する。
【0003】
患者側では受信された自分の院外処方データをその携帯電話を用いて調剤薬局に提示して調剤依頼をすることができる。この依頼に際して、調剤依頼をする候補となる調剤薬局が予め表示されるので、患者はそれらの候補から適宜の調剤薬局を選択する。このようなシステムにおいて、ASPサーバーに患者の薬歴を管理する患者データベースを備え、該当する医療機関のWeb端末で院外処方箋データが入力された際に、その患者データベースに基づいて患者の薬歴をチェックして、薬の禁忌のチェックを行うといった便宜を図ることも可能であるとされている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、地域や系列に限定されずに医療機関に保存されている医療情報を地域や系列、診療科目などに限定されることなしに他の医療機関において利用可能にして患者個人にとっても利便性を高めようとした医療情報システムが提案されている。この提案では、サーバーコンピュータを有する管理センターと、この管理センターのサーバーコンピュータと通信回線を介して接続可能になされ患者の医療情報を入出力ならびに記憶が可能な端末装置を有する複数の契約医療機関を含んで医療情報システムが構成される。
【0005】
各契約医療機関が、自己の患者について、管理センターに備えたサーバーコンピュータまたは他の契約医療機関に配置された端末装置に記憶されている医療情報を、サーバーコンピュータから、またはサーバーコンピュータを介して、他の契約医療機関に配置された端末装置から引き出し可能にすることによって、患者が利用することになった医療機関毎に、患者の生年月日などの基礎データおよび病歴、薬歴などの各種個人医療情報を改めて取得しなければならない煩雑さを解消できる趣旨の提案である。
【0006】
この提案では、更に、患者は契約医療機関であれば、地域や診療科目などを問わずにサービスを受けることができ、患者自身も例えば携帯電話機などの移動体通信機器などによりインターネットなどの通信回線を利用して管理センターのサーバーコンピュータに接続して自己の医療情報を確認または取得することもでき、各患者にとって公開したくない情報については除くこともできるとされている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
以上の他にも、病院等で薬剤を処方された患者が、その処方箋の内容や注意事項等を携帯電話機等の情報端末で簡単に調べることを可能にするシステムが提案されている。この提案では、処方箋関連情報提供業務を「IMS(Internet Medical Service)業務」と称し、これを実行するための機器全体又はその構成要素をIMSシステムと称しており、病院等で薬剤を処方された患者が、その処方箋の内容に関連する情報をIMSシステムが保有する情報から携帯電話機等の情報端末で受信することによって簡単に調べることができるようにするものである。
【0008】
利用者は、メールアドレスを少なくとも含む利用者情報を予め登録しておき、利用者が加盟薬局において処方箋に基づいて薬剤を調剤してもらう際は、該当する処方箋情報がレセプトコンピュータ(「レセコン」と通称される)に入力されると当該情報がこのレセコンからIMSサーバーに送られる。その後IMSサーバーから利用者の情報端末に、メールで処方箋情報が送信される。このIMSシステムによって、一定の量を超えて重複して服用すると害がある薬剤の重複情報の提供を行う場合は、処方箋情報が入力されたときにデータベースからその利用者の過去の処方箋情報を参照して新たな処方内容と対比し、重複がある場合は、その旨を利用者にメールで知らせる(例えば特許文献3参照)。
【0009】
一方、医薬品の服用忘れを効果的に防止するための提案もなされている。医療機関サーバーが、患者に発行した処方箋を示す処方箋情報と患者情報とを通信ネットワークを介してセンタに送信し、センタは受信した処方箋情報と患者情報とを蓄積しておき、薬局サーバーからの要求に応じて、処方箋情報を薬局サーバーに送信すると共にその処方箋に基づいて作成した服用スケジュール情報に依拠して、医薬品の服用時期に、その旨を当該患者のモバイル端末に送信するというものである。当該医薬品による副作用の可能性がある場合は併せてその旨をモバイル端末に送信する(例えば特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−222258号公報(段落0009〜00200019、図1)
【特許文献2】特開2004−234441号公報(段落0025〜0026、図1)
【特許文献3】特開2004−178265号公報(段落0008〜0009、0012〜0014、図12)
【特許文献4】特開2003−016185号公報(段落0007〜0010、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来の技術は次に述べるような種々の課題を残している。
即ち、上掲の各特許文献に開示された技術では、患者個々人が所有する医用情報保有装置たる携帯電話機側には、患者自身に関するカルテデータ、処方箋データ、薬歴データ、検査データ、バイタルサインデータ等々の医用データが蓄積されることがないため、センター機関等のサーバー(特許文献1の場合はASPサーバー、特許文献2の場合は管理センターのサーバー、特許文献3の場合はIMSサーバー、特許文献4の場合はセンタのサーバー)に必要が生じた都度アクセスして所要の情報を読み出す必要がある。
【0011】
従って、これらセンター機関等のサーバーの運用時間内に限ってシステムは機能するため、時間外での利用はできない。また、センター機関等のサーバーを原則的に24時間稼動させるとしても、メンテナンスのために休止させたり、そのサーバーにトラブルが発生するとシステムは機能しなくなり当該システムの加入者全体に影響が及ぶことになる。その一方で、上述のような医用データが要求される場合としては、医用情報保有装置の所有者が事故に遭って緊急に医療処置が必要となる場合のように、予期せぬ事態に遭遇し極めて緊急度の高い状態であることも想定される。
【0012】
このようなときには特に、運用時間等に拘束されることなく、何時でも直ちに医用データを読み出して医療機関の当事者等に提供できることが望まれる。しかしながら、従来提案されている上述のようなシステムではこの要望に十分に応えることが難しい。また、この種の医用データは、例えば医用情報保有装置の所有者自身のような厳密な意味での特定個人に敢えて限定して取得が許容されるだけでなく、プライバシーの保護の観点から支障のない範囲の、例えば家族のような、複数人で共有できるようにした方が良い場合もあるが、従来の提案ではこのような場合への配慮は特にされていない。
【0013】
本発明は上述のような従来の課題に鑑みてなされたものであり、自らの個人データについては、医用情報保有装置(携帯電話機)を持っている限り、年中昼夜を分かたず任意の機会に医用データを読み出して利用に供することができ、且つ、所定範囲の複数人で、医用データを共有できるようにした医用情報保有装置および方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
(1)装置本体の外殻を構成する可搬型の筐体と、前記筐体の所定部に設けられ使用者による操作を受け付ける操作部と、前記筐体内の所定部に設けられ該筐体外部の医用データ出力機器から出力される医用データを受信可能に構成されたデータ受信部と、前記データ受信部で受信された医用データを、使用者の任意による検索が可能な所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段に蓄積する制御部と、を備えたことを特徴とする医用情報保有装置。
【0015】
(2)前記データ受信部は、前記医用データとして、カルテデータ、処方箋データ、検査データ、お薬手帳データ、及び、バイタルサインデータのうちの何れか一のデータを含むデータを受信可能に構成され、前記制御部は、前記データ受信部が受信した前記一のデータを含むデータを前記所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段に蓄積するように構成さていることを特徴とする(1)に記載の医用情報保有装置。
【0016】
(3)前記データ受信部は、当該医用データ出力機器から導体を通して送信される暗号化された医用データを受信するように構成されていることを特徴とする(1)〜(2)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
(4)前記データ受信部は、当該医用データ出力機器から無線のチャネルを通して送信される暗号化された医用データを受信するように構成されていることを特徴とする(1)〜(2)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
【0017】
(5)前記データ受信部は、当該医用データ出力機器からコード化情報印刷によって出力された医用データを所定のコード化情報読み取り装置を介して受信するように構成されていることを特徴とする(1)〜(2)の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
(6)前記筐体は、携帯情報端末として適合するように形成され、アンテナを通して無線通信を行うための無線通信回路部を前記筐体内に更に備えたことを特徴とする(1)〜(5)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
(7)前記記憶手段に蓄積された医用データを、前記無線通信回路部を介して他の特定の医用情報保有装置に暗号化して転送するデータ転送手段を更に備えたことを特徴とする(6)に記載の医用情報保有装置。
【0018】
(8)前記記憶手段としてのメモリ構体を着脱可能に装着するメモリ構体装着機構を前記筐体内に供えていることを特徴とする(1)〜(7)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
(9)前記筐体は前記携帯情報端末である携帯電話機として適合するように形成され、前記無線通信回路部は携帯電話の基地局と通信し得るように構成されていることを特徴とする(6)〜(8)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
【0019】
(10)外部の設備から発せられる所定のマーカー信号を受信し、該マーカー信号の受信状態に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止するように前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備えていることを特徴とする(6)〜(9)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
(11)外部の設備との交信によって自己の位置を認識し、且つ、当該認識された位置が特定の医療機関の域内乃至近接した位置にあるか否かを弁別し、この弁別結果に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止するように前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備えていることを特徴とする(6)〜(9)の何れか一に記載の医用情報保有装置。
【0020】
(12)前記保護回路は、前記マーカー信号の受信状態に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものであることを特徴とする(10)に記載の医用情報保有装置。
(13)前記保護回路は、前記弁別結果に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものであることを特徴とする(11)に記載の医用情報保有装置。
【0021】
(14)使用者による操作を受け付ける操作部が自己の所定部に設けられた可搬型の筐体と、前記筐体内の所定部に設けられ該筐体外部の医用データ出力機器から出力される医用データを受信可能に構成されたデータ受信部とを含んで構成された医用情報保有装置を適用し、当該医用情報保有装置の前記データ受信部で医用データを任意に受信し、該受信した医用データを使用者の任意による検索が可能な所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段に蓄積することを特徴とする医用情報保有方法。
【0022】
(15)前記医用データとして、カルテデータ、処方箋データ、検査データ、お薬手帳データ、及び、バイタルサインデータのうちの何れか一のデータを含むデータを前記医用情報保有装置のデータ受信部で受信し、該受信した前記一のデータを含むデータを前記所定の構造で前記記憶手段に蓄積することを特徴とする(14)に記載の医用情報保有方法。
【0023】
(16)前記筐体として、携帯情報端末に適合するものを適用し、前記筐体内にアンテナを通して無線通信を行うための無線通信回路部を更に備えることを特徴とする(14)〜(15)の何れか一に記載の医用情報保有方法。
(17)前記記憶手段に蓄積された医用データを、前記無線通信回路部を介して他の特定の医用情報保有装置に転送することを特徴とする(16)に記載の医用情報保有方法。
【0024】
(18)前記筐体として、携帯情報端末たる携帯電話機に適合するものを適用し、前記無線通信回路部として携帯電話の基地局と通信し得るものを適用することを特徴とする(16)〜(17)の何れか一に記載の医用情報保有方法。
(19)前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備え、該保護回路によって外部の設備から発せられる所定のマーカー信号を受信し、該マーカー信号の受信状態に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止することを特徴とする(16)〜(18)の何れか一に記載の医用情報保有方法。
【0025】
(20)前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備え、該保護回路によって外部の設備との交信によって自己の位置を認識し、且つ、当該認識された位置が特定の医療機関の域内乃至近接した位置にあるか否かを弁別し、この弁別結果に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止することを特徴とする(16)〜(18)の何れか一に記載の医用情報保有方法。
【0026】
(21)前記保護回路として、更に、前記マーカー信号の受信状態に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものを適用することを特徴とする(19)に記載の医用情報保有方法。
(22)前記保護回路として、更に、前記弁別結果に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものを適用することを特徴とする(20)に記載の医用情報保有方法。
【発明の効果】
【0027】
医用情報保有装置(携帯電話機の形態を採り得る)を持っている限り、自らの個人データについては、年中昼夜を分かたず任意の機会に医用データを読み出して利用に供することができるため、緊急時その他の種々の所要に応じて速やかに医療機関等に医用データを提供することが可能になる。
また、その一つの実施形態においては、所定範囲の複数人で、医用データを共有できるため、何等かの理由で医用情報保有装置が手元にない場合や、手元にあっても故障していたり、或いは本人が操作を行えない状態にある場合などでも、当該医用データの共有者から所要の医用データを医療機関等に適切に提供することが可能になる。
更には、上述の保護回路を備える態様で実施すれば、心臓ペースメーカその他の医用電子機器を使用していて外部からの電界や磁界に晒されると生死に関わる虞がある所謂弱者に対して不測の被害を及ぼしてしまうような虞を極小に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の医用情報保有装置を表すブロック図である。この実施の形態における医用情報保有装置はモバイル情報端末の形態で具現化されている。図1において、送受信兼用のアンテナ10はデュープレクサ11によって適宜のタイミングで切り替えられて受信回路12または送信回路13に選択的に接続される。受信回路12、送信回路13は本装置の系全体を統括的に管理すると共に、医用データの授受も管理するマイクロプロセッサ等を含んで構成されるシステムコントローラ20に接続されている。
【0029】
上述の、アンテナ10、デュープレクサ11、受信回路12、送信回路13、及び、システムコントローラ20のうちの該当する機能部等を含んで構成される無線通信回路部を備えることによって、その一例としては携帯電話機の形態を採り得るモバイル情報端末として具現化されている本実施形態の医用情報保有装置は、その応用例を後に図3及び図4を参照して詳述するように、家族のような特定の複数人の間で個人医用情報を共有したり、最新の医薬情報を個人が取得可能にするために利用するモバイル公衆通信を行い得るように構成されている。
【0030】
システムコントローラ20には、液晶表示器等を含んで構成される表示部21、使用者による操作を受け付ける操作キー等を含んで構成される操作部22、医用データを含む種々のデータを蓄積可能なメモリ23、光学系を有し該光学系による像に対応する画像データを生成するカメラ24、及び、外部接続端子を通して外部との情報の授受を行う入出力回路25が接続されている。以上の各部は、図示省略された装置本体の外殻を構成する可搬型の筐体における各所定位置に配設されている。尚、メモリ23としては、筐体内に設けられた所定仕様のコネクターに着脱可能に装着されるSDカード、xDピクチャーカード、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)等を適用できる。
【0031】
この実施形態では、可搬型の筐体は携帯電話機として適合するように形成され、その適所に通話に供するためのスピーカ26及びマイクロフォン27が配設され、これらのスピーカ26及びマイクロフォン27もシステムコントローラ20に接続されている。また、既述の受信回路12、送信回路13も携帯電話機として適合するように形成され、これらは携帯電話の基地局と通信する無線通信回路部を構成している。後に詳述するように、この無線通信回路部(特に、その受信機能部)は、外部の医用データ出力機器から無線のチャネルを通して送信される医用データを受信するデータ受信部としても機能し得るように構成されている。
【0032】
一方、入出力回路25は、筐体外部の医用データ出力機器から導体を通して送信される医用データを受信可能に構成されたデータ受信部をなしている。システムコントローラ20はこの入出力回路25を通して供給された医用データを、使用者の任意による検索が可能な所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段であるメモリ23に蓄積する。茲に、医用データとは、カルテデータ、処方箋データ、検査データ、お薬手帳データ、及び、バイタルサインデータのうちの何れか一のデータを含む。
【0033】
また、使用者の任意による検索が可能な所定の構造としては、例えば、ツリー型(木構造)階層状の構造を持つフォルダ乃至ファイルのディレクトリ構造を採ることができ、限られた操作キーに対する比較的単純な走査に基づいて所望のデータを検索することが可能な簡易なデータベース様の構造のものであり得る。また、取り扱うデータの種別が限定されたものであるが広い範囲のユーザーに適合する必要があるという特質に合わせ、検索操作が容易な仕様のものとして適宜構築される。
【0034】
他方、この実施形態では、医用データ出力機器からコード化情報印刷によって出力された医用データ(例えば、1次元又は2次元のバーコードとしてシート状体に印刷されたデータ)を既述のカメラ24によって撮像し、この撮像による画像データをシステムコントローラ20によって解析することによってコード化情報を判読するコード化情報読み取り装置部が構成されている。従って、このようなコード化情報読み取り装置部は、医用データ出力機器から出力される医用データを受信可能に構成されたデータ受信部としても機能し得る。
【0035】
この実施形態では、特に、心臓ペースメーカその他の医用電子機器を使用していて外部からの電界や磁界に晒されると生死に関わる虞があるような所謂弱者にアンテナ10からの電波の放射によって悪影響が及ぶ虞を回避するために、上述のような医用電子機器を使用している人が居る蓋然性の高い場所での電波放射による電界強度が所定の安全レベル以下に抑制され乃至は電波の放射が停止されるようにするための弱者/医療保護回路28が設けられている。
【0036】
この弱者/医療保護回路28は、その一例としては、特定の医療機関(病院、医院、調剤薬局、ドラッグストア等)やこれらの機関に関連して設けられた設備から発せられる上述の医用電子機器には影響を与えないようなマーカー信号を受信し、特定の医療機関の域内乃至近接した領域にあるか否かに応じたマーカー信号の受信状態に対応する信号をシステムコントローラ20に与えて、送信回路13からデュープレクサ11を通してアンテナ10に供給する電力を抑制し、或いは、アンテナからの電波放射を停止して通信機能を停止するように制御させる構成を採り得る。
【0037】
弱者/医療保護回路28の他の例としては、モバイル通信会社が把握しているモバイル情報端末(携帯電話機)の現在位置の情報、或いは、GPSによる当該モバイル情報端末の位置情報に基づいて、該当するモバイル情報端末が特定の医療機関(病院、医院、調剤薬局、ドラッグストア等)の域内乃至近接した位置にあることを弁別し、この弁別結果に応じた信号をシステムコントローラ20に与えて、送信回路13からデュープレクサ11を通してアンテナ10に供給する電力を抑制し、或いは、アンテナからの電波放射を停止して通信機能を停止するように制御させる構成を採り得る。
【0038】
弱者/医療保護回路28の更に他の例としては、上述のようにしてシステムコントローラ20によって自動的にアンテナ10に供給する電力を抑制し、或いは、アンテナからの電波放射を停止して通信機能を停止するのではなく、該当するモバイル情報端末が特定の医療機関の域内乃至近接した位置にあることを弁別したときには、スピーカ26や表示部21からアラームを発報し或いは表示して、操作者が操作部22を操作して通信機能を停止するように促すような構成を採り得る。
【0039】
上述のようにしてアンテナ10に供給する電力を抑制し、或いは、アンテナからの電波放射を停止して通信機能を停止した場合、該当するモバイル情報端末が特定の医療機関の域内乃至近接した領域から脱したことが検知されれば、自動的にアンテナ10に供給する電力を正常なレベルに復帰せしめて、或いは、操作者が操作部22を操作するようにして、通信機能を再開させることができる。
【0040】
図2は、本発明の装置乃至方法が適用される環境における医用データの伝送の様子を表す概念図である。図2において、新規又は再来の患者(PA)の内、図1を用いて説明した本発明の実施形態であるモバイル情報端末を持つ者(患者)が病院又は医院(HC)に来院すると(PA→HC)、病院又は医院(HC)は、そのモバイル情報端末の記憶手段に保有された医用データのうちから最新の患者情報を抽出する(HC11)。病院又は医院(HC)側は、このように抽出された最新の患者情報を考慮しつつ、その患者に対して改めて問診や検査を行って診察しその結果に関する或るまとまった情報(シート状体に記入する場合にはカルテとなる情報)を作成する(HC12)。
【0041】
図1を参照して説明したように、実施形態のモバイル情報端末は既述の何れかの形態の弱者/医療保護回路28を備えており、病院又は医院(HC)、及び、調剤薬局又はドラッグストア(PD)には、上述のようにして発せられるマーカー信号が受信される特定の医療機関の域内乃至近接した領域に弱者/医療保護領域(HC10;PD10)が形成される。
【0042】
一方、モバイル情報端末の記憶手段を持たない患者については、病院又は医院(HC)側は、新規に問診や検査を行って診察しその結果に関する上述同様の或るまとまった情報を作成することになる(HC12)。病院又は医院(HC)では、上述の(HC12)で作成された診察結果の情報に基づいて処方箋を作成するので、これに基づくカルテデータ、処方箋データが発生する(HC13)。
【0043】
このカルテデータ、処方箋データ(HC13)は病院又は医院(HC)内のLANのような専用回線を通して患者(PA)のモバイル情報端末に医用データとして使用者の任意による検索が可能な既述のような所定の構造で筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(登録)される(PA11)。このようにして医用データが蓄積されたモバイル情報端末をその所有者(患者)が調剤薬局又はドラッグストア(PD)に持参すれば、その調剤薬局又はドラッグストア(PD)では、モバイル情報端末内に蓄積された医用データから所要の最新の処方情報を読み取って、或いは、該当情報を抽出して、取得することができる(PD11←PA11)。
【0044】
一方、上述のようにして発生したカルテデータ、処方箋データ(HC13)は、一つの方法として、暗号化されてインターネットを経由して調剤薬局又はドラッグストア(PD)に伝送される(HC13→PD11)。他方、このカルテデータ、処方箋データ(HC13)は、他の方法として、一旦処方箋中の所定位置に2次元バーコード等のコード化情報印刷を含むシート状体を原稿として調剤薬局又はドラッグストア(PD)にファクシミリで送信され、或いは、その処方箋(コード化情報印刷を含むシート状体)を患者自身が持参することによって、調剤薬局又はドラッグストア(PD)に届けられる(HC14→PD11)。
【0045】
調剤薬局又はドラッグストア(PD)では、上述のようにしてインターネットを経由して、或いは、ファクシミリで、乃至は、患者自身が携えて提供された2次元バーコード等のコード化情報印刷を含むシート状体から、公知のバーコードリーダ等を用いてコード化情報印刷からそれにより表される最新の処方情報を読み取り乃至は該当情報を抽出して取得し(PD11)、このようにして取得した情報に基づいて調剤情報を作成する(PD12)。
【0046】
尚、上述のような2次元バーコード等のコード化情報印刷を含まないシート状体が原稿として調剤薬局又はドラッグストア(PD)にファクシミリで送信され、或いは、その処方箋(コード化情報印刷を含まないシート状体)を患者自身が持参して、調剤薬局又はドラッグストア(PD)に届けた場合は(HC15→PD12)、そのシート状体、即ち、通常の処方箋の記載に基づいて調剤情報が作成される(PD12)。
【0047】
このようにして新たに調剤情報が作成されると(PD12)、過去に処方された薬剤に関する履歴としての薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に夫々対応するデータが形成される(PD13)。このようにして形成されたデータ(PD13)は、調剤薬局又はドラッグストア(PD)の医用データ転送専用の伝送路に接続された医用データ出力機器を介して患者たる個人の所有するモバイル情報端末に供給され、このモバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に使用者の任意による検索が可能な所定の構造で蓄積(即ち、登録)される(PA12)。
【0048】
上述におけるデータ(PD13)のモバイル情報端末への供給に際しては、医用データ出力機器の出力端子部にモバイル情報端末の入出力端子部が接続された状態で、即ち、入出力端子部を構成するコネクタの導体を通して情報が授受される。
一方、上述の薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に夫々対応するデータは、医用データ出力機器に接続されたプリンタ乃至自己の内部に印刷機能を備えた医用データ出力機器によって、コード化情報印刷され、例えば2次元バーコードのような形式で薬歴情報や薬情報が記載されるシート状体又は所謂お薬手帳の所定部に印刷される(PD14)。
【0049】
このようにしてシート状体又は所謂お薬手帳の所定部に印刷されたコード化印刷情報(PD14)は、患者たる個人の所有するモバイル情報端末に備えられたコード化情報読み取り装置(スキャナー)としてのカメラ及びこれによる撮像情報の解読部(システムコントローラ)で撮像及び判読され、導体を通してのデータ転送におけると同様に、このモバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に使用者の任意による検索が可能な所定の構造で登録されることになる(PD14→PA13)。尚、この種のモバイル情報端末を持たない患者に関しては、上述のような2次元バーコードのような形式では薬歴情報や薬情報が記載されていない通常のこれらシート状体又は所謂お薬手帳を提供して(PD15)、患者が持ち帰ることができる方途を用意しておけば、従前通りの便宜は保証される。
【0050】
以上、図2を参照して説明したように、本発明の実施形態によれば、医用情報保有装置としてのモバイル情報端末(その一例は携帯電話機の形態をとり得る)に、病院又は医院、或いは、調剤薬局又はドラッグストア等々の各個の医療機関で作成された、カルテデータ、処方箋データ、薬歴データ、検査データ、バイタルサインデータ(心拍数、呼吸数、体温、血圧)等の医用データが蓄積され、このように蓄積されたデータは、医療機関等の稼動時間に依らずに、或いは、蓄積された医用データを当初に作成した医療機関とは異なる地域や系列の医療機関に対しても、当該医用情報保有装置の所有者の任意に応じて所要の機会に読み出して、提供するなど、時間的或いは地域的条件、乃至は、系列等々に束縛されずに、有効に医用情報を利用に供することができる。
【0051】
図3は、本発明の装置乃至方法が適用される環境において、特に、モバイル通信を含む環境下での医用データの伝送の様子を表す概念図である。図3において、或るときには患者であるユーザー(PU)は、自己の所有するモバイル情報端末に、図2を参照して説明したと同様に、調剤薬局又はドラッグストア(PD)に設置された専用の伝送路に接続された医用データ出力機器を介して、薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に各対応する医用データが供給され、モバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(即ち、登録)される(PU11)。
【0052】
また、図2を参照して説明したと同様に、シート状体又は所謂お薬手帳の所定部に印刷されたコード化印刷情報の形態で提供される医用データが、モバイル情報端末に備えられたコード化情報読み取り装置(スキャナー)としてのカメラ及びこれによる撮像情報の解読部(システムコントローラ)で撮像及び判読され、モバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に登録される(PU11)。
【0053】
このようにして、或るときには患者である特定の個人ユーザが所有するモバイル情報端末に蓄積された医用情報は、同端末の所有者自身のような厳密な意味での特定個人に敢えて限定して取得及びその蓄積が許容されるだけでなく、プライバシーの保護の観点から支障のない範囲の、例えば家族のような、特定の複数人(以下、「特定関連者」という)で共有できるようにした方が良い場合もある。
【0054】
このような場合、当該ユーザーは、特定関連者を具体的に特定するための情報と、モバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に蓄積された自らに関する医用データ(PU11)のうち、上述の特定関連者間で共有することを望むデータ(PU12)とを、モバイル公衆回線を通してモバイル通信会社のサーバー(MCS)に伝送する。モバイル通信会社のサーバー(MCS)はこれらのデータを受信して登録すると共に、特定関連者に同報通信を発して(MCS11)、既述のような共有することが望まれる医用データを、モバイル公衆回線を通して、暗号化して各該当する特定関連者に伝送する。
【0055】
モバイル通信会社のサーバー(MCS)から同報通信によって伝送された医用データを各自が所有するモバイル情報端末で受信した各特定関連者たるユーザーは、自己のモバイル情報端末内にそれらの医用データを登録する(PU13)。尚、これら各特定関連者たるユーザーが所有するモバイル情報端末には、既述のようなコネクタを通しての機器接続通信、或いは、IrDA規格等による付帯赤外通信によって、それらの所有者や第三者の医用データや、その他のデータが供給され、所用に応じて、既述の医用データと同様に筐体内の記憶手段に蓄積される(PU13)。
【0056】
ユーザー(PU)本人、乃至は、特定関連者によって、自己の所有に係るモバイル情報端末から医用データに関する情報を検索し閲覧する操作(以下、情報検索閲覧操作と略記する)が行われると(PU14)、モバイル公衆通信を通して、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)に対してアクセスの要求が発せられる。この要求の発信元が本人乃至は特定関連者であることが確認された場合に限って(PDS11)サーバー(PDS)に対するアクセスが許容される。
【0057】
このアクセスに基づいて該当するデータが検索され、情報検索閲覧操作の対象となった、例えば、調剤情報が抽出され(PDS12)、モバイル公衆通信を通して、閲覧要求の発信元である本人乃至は特定関連者に伝送されて、閲覧に供される(PU15)。尚、ユーザー(PU)本人、乃至は、特定関連者の所有に係るモバイル情報端末に蓄積されている医用データは、その端末に適用されている専用メモリの内容を編集乃至書き換えによって更新し、或いは、このメモリ自体を交換することによって、最新の医薬情報に更新され得る(PU16)。
【0058】
このような医薬情報の更新は、モバイル通信会社のサーバー(MCS)にこの種のサービスを行うべく用意された最新医薬情報(MCS12)を、モバイル公衆通信を通して、該当するモバイル情報端末に伝送して、適用されているメモリの内容を更新することによっても可能である。また、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)にこの種のサービスを行うべく用意された最新医薬情報(PDS13)を、モバイル公衆通信を通して、該当するモバイル情報端末に伝送して、適用されているメモリの内容を更新することによっても可能であり、更には、インターネットから最新医薬情報を取得して更新を行うことも可能である(PU16)。
【0059】
以上、図3を参照して説明したように、本発明の実施形態によれば、医用情報保有装置としてのモバイル情報端末を、ユーザーの所望に応じて、例えば、家族のような、プライバシーの保護の観点から支障のない範囲の特定の複数人(既述のように、本明細書では「特定関連者」)間で共有することができるため、仮に、ユーザー本人が医用情報保有装置としてのモバイル情報端末を所有しつつも事故に遭遇して自己の所有に係るモバイル情報端末を扱うことができないといった事態が発生しても、特定関連者が所有する医用情報保有装置としてのモバイル情報端末を通して、医療機関に所要の医用データを提供することが可能になる。従って、緊急時においても、本人の医用データを認識した上での的確な医療処置が講じられることが期待できる。
【0060】
図4は、本発明の装置乃至方法が適用される環境において、特に、医用データを個人的に保有するに留まらず種々の便宜が得られるようにシステムを構築した場合の一形態を表す概念図である。図4において、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)には処方情報に基づいて該当する薬剤の適切な服用に関する基本的なスケジュールが準備される(PDS21)。
【0061】
また、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)には、上述のような服用の基本的なスケジュールだけでなく、夫々所用の仕様を満足するモバイル情報端末を所有してこのシステムの構成員として加入している旨登録された各個人たるユーザーの個人生活サイクル情報(PDS22)も保有される。調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)では、薬剤服用の基本的なスケジュール(PDS21)と個人生活サイクル情報(PDS22)とに基づいて、各個人毎の生活サイクルを具体的に勘案した薬剤服用のスケジュールを計画し所要に応じて配信可能に準備する(PDS23)。
【0062】
このようにして配信可能に準備された薬剤服用のスケジュールは、該当する個人毎に整理されてスケジュールに合致したタイミングで伝送されるべく準備され(PDS24)、各該当するタイミングでモバイル公衆通信を通してユーザー(PU)の所有するモバイル情報端末に配信される(PU21←PDS24)。該当するモバイル情報端末において、そのモバイル情報端末の所有者たる患者は、処方スケジュールに従って該当する薬剤を服用済みの場合はその旨の連絡をするべく端末を操作し、未だ服用されていない場合には、当該モバイル情報端末から服用を適時に指示し促すメッセージ乃至はアラームが発報される(PU21)。
【0063】
尚、メッセージ乃至はアラームの発報は、該当する患者本人のモバイル情報端末の他、既述のような特定関連者の所有するモバイル情報端末からも、本人の端末におけると同様に発報され得る(PU21)。一方、既述のように、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)にて計画され所要に応じて配信可能に準備された薬剤服用のスケジュール(PDS23)は、モバイル公衆通信を通してモバイル通信会社のサーバー(MCS)にも伝送され、登録(保存)される(MCS21)。
【0064】
このようにしてモバイル通信会社のサーバー(MCS)に登録された薬剤服用のスケジュール(MCS21)は、該当する個人毎に整理されてスケジュールに合致したタイミングで伝送されるべく準備され(MCS22)、そこから、各該当するタイミングでモバイル公衆通信を通してユーザー(PU)の所有するモバイル情報端末に配信される(PU21←MCS22)。この様子乃至これ以降の様子は、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)からスケジュールを表す情報を伝送する既述の場合(PU21←PDS24)と同様である。情報の伝送は、電話乃至電子メールの何れの形態をとってもよい。
【0065】
以上は、各個のユーザー乃至上述の特定関連者の所有に係るモバイル情報端末に、調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)やモバイル通信会社のサーバー(MCS)等外部から薬剤服用のスケジュール情報を提供する形態に係る説明であったが、このようなスケジュール情報の作成を各個のモバイル情報端末側で行うことも可能である。即ち、各個のモバイル情報端末において、外部から取得して自己のメモリに登録しておいた処方情報と、ユーザーが操作して入力した自己の個人生活サイクル情報等に基づいて、予めモバイル情報端末内に準備したスケジュール作成アルゴリズムのソフトウェアを用いて、薬剤服用のスケジュールを作成するようにしてもよい(PU22)。
【0066】
上述のようにして、各個のモバイル情報端末にて薬剤服用のスケジュール情報を作成した場合も、外部からこの種の情報を取得する既述の場合と略同様に、該当する端末において、当該モバイル情報端末の所有者たる患者は、処方スケジュールに従って該当する薬剤を服用済みの場合はその旨の処理を実行させるべく端末を操作し、未だ服用していない場合には、当該モバイル情報端末から服用を適時に指示し促すメッセージ乃至はアラームが発報されるための設定が行われる(PU23)。
【0067】
尚、上述のように、外部から取得した情報に依拠して、又は、内部の処理に基づいて、薬剤服用のスケジュール情報を得る何れの場合でも、モバイル通信会社のサーバー(MCS)や調剤薬局又はドラッグストアのサーバー(PDS)から、医薬品乃至食品に係る禁忌の最新情報等々医薬に係る緊急の通報がモバイル公衆通信を通してモバイル情報端末に伝送され各個の端末で確認され得る(PU24←PDS25;MCS23)。
【0068】
以上、図4を参照して説明したように、本発明の実施形態によれば、医用情報保有装置としてのモバイル情報端末を通して、医薬の服用を促す情報を、例えば患者の個人的な生活サイクルをも勘案した的確なタイミングで当該患者本人に通知して注意を喚起し、服用忘れを予防すると共に、服用が予定された薬剤に関する最新の情報に基づいて、例えば、禁忌や、場合によっては服用中止等の警告をも、適切なタイミングで患者に報知することが可能となる。
【0069】
図5は、本発明の技術が利用される環境においてインターネットを介在にして種々の医療機関及びモバイル通信事業者が通信網で結ばれたエクストラネットの構成を示す概念図である。図5において、A病院111、B病院(又は医院)113、C病院(又は医院)115、A調剤薬局(又はドラッグストア)117、B調剤薬局(又はドラッグストア)119等の複数の医療機関が夫々回線によってインターネット200に接続され、このインターネット200を介して種々の情報の授受が可能にされている。
【0070】
一方、インターネット200には接続されないa病院112、b病院(又は医院)114、c病院(又は医院)116、a調剤薬局(又はドラッグストア)118、b調剤薬局(又はドラッグストア)120も存在するが、インターネット200への接続の可否によらずこれらの医療機関では、白抜きの矢線で象徴的に表記されたように、医用情報が記載された在来のシート状体(例えば、カルテや処方箋)を患者本人乃至は医療事務取り扱い者等が携えて、該当医療機関から搬出され、対応する医療機関で受領され得る。尚、インターネット200を通してモバイル通信事業者のデータサーバー300もデータの授受を行い得るように構成され、図3及び図4を参照して説明したような医用データの授受がなされ得る。
【0071】
従って、図示のようなシステムでは、必ずしもインターネットを介して情報の授受を行うためのインフラストラクチャを備えていない病院又は医院、乃至は、調剤薬局又はドラッグストアであっても、初期の段階の手続として、在来のシート状体でのカルテや処方箋を持参してこの種のインフラストラクチャを備えている病院又は医院乃至は調剤薬局又はドラッグストアに所要の情報を提供しておけば、情報の流れのうちの当初の部分はオフラインの形式をとることになるものの、相応に本発明の恩恵に浴し得ることになる。
【0072】
図6は、図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えたA病院111のイントラネットの構成を表す概念図である。複数の医師操作情報端末210,…,210、複数の医科レセプトコンピュータ310,…,310、院内医療サーバー410、プリンター420、及び、モバイル暗号化通信インターフェース430及び、カードリーダ550が院内ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)によるLAN)400によって結ばれている。
【0073】
院内医療サーバー410は、患者情報のデータベース411及び薬歴管理データベース412とのデータの授受が可能に構築されると共にこのサーバー410がインターネットに接続され、インターネットを介して、図5を参照して説明した該当する医療機関やモバイル通信事業者のデータサーバー300とも種々情報の授受を行い得るように構成されている。また、プリンター420は、院内ネットワーク400を通して供給されるデータに基づいて、処方箋421をその紙面の所定位置に処方箋としての内容を表す2次元バーコード等の符号化情報印刷422を伴って、処方箋としての内容を表す通常の文字列を印字するようになされている。
【0074】
上述のように、この符号化情報印刷422は、図1を参照して説明したモバイル情報端末100のカメラ24並びにこのカメラ24による撮像画像をコード化情報として判読するシステムコントローラ20の該当機能部によって構成されるコード化情報読み取り装置部を通して入力することを、選択可能な一つの方法として、モバイル情報端末100の記憶手段に所定のデータ構造をもって蓄積され得る。
【0075】
一方、モバイル暗号化通信インターフェース430は、図1を参照して説明した本発明の実施形態としてのモバイル情報端末100の入出力回路25とコネクターで接続して、そのモバイル情報端末100と既述のような医用情報を暗号化したデータの授受を行う。モバイル情報端末100自体は、アンテナ10を用いて無線によって上述同様の医用情報の授受を行い得るようになされ、自己の記憶手段に保有した情報を操作者の任意の操作に応答して表示部21に表示し得る。
【0076】
尚、このモバイル情報端末100側から見たとき、モバイル暗号化通信インターフェース430は、図1を参照して上述した、筐体外部の医用データ出力機器に該当する。また、以上説明した図6のA病院111のイントラネットの構成において、モバイル情報端末100に対する医用データの授受は、図2を参照して説明したように行われる。
【0077】
即ち、図2を参照して説明した、モバイル情報端末を持つ者(患者)が病院又は医院(HC)に来院したときに(PA→HC)、病院又は医院(HC)が、そのモバイル情報端末の記憶手段に保有された医用データのうちから最新の患者情報を抽出する(HC11)操作は、図6のA病院111側のモバイル暗号化通信インターフェース430と患者所有のモバイル情報端末100とを接続して行われる。
【0078】
また、図2を参照して説明した、病院又は医院で作成されたカルテデータ、処方箋データ(HC13)を、病院又は医院(HC)内のLANのような専用回線を通して患者(PA)のモバイル情報端末に医用データとして使用者の任意による検索が可能な所定の構造で筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(登録)する(PA11)操作も、図6のA病院111側のモバイル暗号化通信インターフェース430と患者所有のモバイル情報端末100とを接続して行われる。
【0079】
一方、カードリーダ550は、処方情報等を含む医用情報が書き込まれたカード551から該当する処方情報等を読み込む。即ち、このようなカードリーダ550を備えることによって、A病院111では、処方情報等を含む医用情報を、モバイル情報端末100からモバイル暗号化通信インターフェース430を通して取得する他に、このようなカード551からカードリーダ550を通して取得して取り扱うことができる。
【0080】
図7は図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えたB病院(又は医院)113のイントラネットの構成を表す概念図である。本例におけるB病院(又は医院)14は既述のA病院111よりも小規模であるが、モバイル情報端末100に対する医用情報の授受に関しては、図6を参照して既述のA病院111におけると略同様である。即ち、医科レセプトコンピュータ310、院内医療サーバー410、プリンター420、モバイル暗号化通信インターフェース430及び、カードリーダ550が院内ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)によるLAN)400によって結ばれている。
【0081】
院内医療サーバー410が患者情報のデータベース411及び薬歴管理データベース412とのデータの授受が可能に構築されると共にこのサーバー410でインターネットに接続され、また、プリンター420は、院内ネットワーク400を通して供給されるデータに基づいて、処方箋421をその紙面の所定位置に処方箋としての内容を表す2次元バーコード等の符号化情報印刷422を伴って、処方箋としての内容を表す通常の文字列を印字するようになされている点も図6のA病院111におけると同様である。
【0082】
また、図7のB病院(又は医院)113においても、モバイル情報端末100側から見たとき、モバイル暗号化通信インターフェース430は、図1を参照して上述した、筐体外部の医用データ出力機器に該当する。また、B病院(又は医院)113のイントラネットの構成において、モバイル情報端末100に対する医用データの授受は、図2を参照して説明したように行われる。
【0083】
即ち、図2を参照して説明した、モバイル情報端末を持つ者(患者)が病院又は医院(HC)に来院したときに(PA→HC)、病院又は医院(HC)が、そのモバイル情報端末の記憶手段に保有された医用データのうちから最新の患者情報を抽出する(HC11)操作は、図7のB病院(又は医院)113側のモバイル暗号化通信インターフェース430と患者所有のモバイル情報端末100とを接続して行われる。
【0084】
また、図2を参照して説明した、病院又は医院で作成されたカルテデータ、処方箋データ(HC13)を、病院又は医院(HC)内のLANのような専用回線を通して患者(PA)のモバイル情報端末に医用データとして使用者の任意による検索が可能な所定の構造で筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(登録)する(PA11)操作も、図7のB病院(又は医院)113側のモバイル暗号化通信インターフェース430と患者所有のモバイル情報端末100とを接続して行われる。
【0085】
一方、カードリーダ550は、処方情報等を含む医用情報が書き込まれたカード551から該当する処方情報等を読み込む。即ち、このようなカードリーダ550を備えることによって、B病院(又は医院)113では、処方情報等を含む医用情報を、モバイル情報端末100からモバイル暗号化通信インターフェース430を通して取得する他に、このようなカード551からカードリーダ550を通して取得して取り扱うことができる。
【0086】
図8は、図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えたC病院(又は医院)115のイントラネットの構成を表す概念図である。本例におけるC病院(又は医院)115は図7を参照して既述のB病院(又は医院)113よりも一層小規模であるが、モバイル情報端末100に対する医用情報の授受に関しては、図6を参照して既述のA病院111や図7を参照して既述のB病院(又は医院)113におけると略同様である。
【0087】
C病院(又は医院)115のシステムは、インターネットに接続された医科レセプトコンピュータ310をサーバーとして構築されている。即ち、医科レセプトコンピュータ310が、種々のファイルの共有に関するファイルサーバー、プリンター320に関するプリントサーバー、患者情報のデータベース311及び薬歴管理データベース312に関するデータベースサーバー、及び、モバイル暗号化通信インターフェース330に関するコミュニケーションサーバーとして機能する。
【0088】
上述のプリンター320が、医科レセプトコンピュータ310から供給されるデータに基づいて、処方箋321をその紙面の所定位置に処方箋としての内容を表す2次元バーコード等の符号化情報印刷322を伴って、処方箋としての内容を表す通常の文字列を印字するようになされている点、及び、カードリーダ550を備えて医用情報の授受を行い得る点も図6のA病院111や図7のB病院(又は医院)113のイントラネットの構成におけると同様である。
【0089】
また、図8のC病院(又は医院)115においても、モバイル情報端末100側から見たとき、モバイル暗号化通信インターフェース330は、図1を参照して上述した、筐体外部の医用データ出力機器に該当する。また、C病院(又は医院)115のイントラネットの構成において、モバイル情報端末100に対する医用データの授受は、図2を参照して説明したように行われる。
【0090】
即ち、図2を参照して説明した、モバイル情報端末を持つ者(患者)が病院又は医院(HC)に来院したときに(PA→HC)、病院又は医院(HC)が、そのモバイル情報端末の記憶手段に保有された医用データのうちから最新の患者情報を抽出する(HC11)操作は、図8のC病院(又は医院)115側のモバイル暗号化通信インターフェース330と患者所有のモバイル情報端末100とを接続して行われる。
【0091】
また、図2を参照して説明した、病院又は医院で作成されたカルテデータ、処方箋データ(HC13)を、病院又は医院(HC)内のLANのような専用回線を通して患者(PA)のモバイル情報端末に医用データとして使用者の任意による検索が可能な所定の構造で筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(登録)する(PA11)操作も、図8のC病院(又は医院)115側のモバイル暗号化通信インターフェース330と患者所有のモバイル情報端末100とを接続して行われる。
【0092】
一方、カードリーダ550は、処方情報等を含む医用情報が書き込まれたカード551から該当する処方情報等を読み込む。即ち、このようなカードリーダ550を備えることによって、C病院(又は医院)115では、処方情報等を含む医用情報を、モバイル情報端末100からモバイル暗号化通信インターフェース330を通して取得する他に、このようなカード551からカードリーダ550を通して取得して取り扱うことができる。
【0093】
図9は、図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えたA調剤薬局(又はドラッグストア)117のイントラネットの構成を表す概念図である。複数の調剤レセプトコンピュータ560,…,560、局内調剤サーバー510、プリンター520、及び、モバイル暗号化通信インターフェース530、スキャナー540、及び、カードリーダ550が局内ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)によるLAN)500によって結ばれている。
【0094】
局内調剤サーバー510は、患者情報のデータベース511及び薬歴管理データベース512とのデータの授受が可能に構築されると共にこのサーバー510がインターネットに接続され、また、プリンター520は、局内ネットワーク500を通して供給されるデータに基づいて、薬情報のシート521や所定様式のお薬手帳522に処方された医薬の名称やそれらの用法を印字するようになされている。
【0095】
モバイル暗号化通信インターフェース530は、図1を参照して説明した本発明の実施形態としてのモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して、そのモバイル情報端末100と既述のような医用情報を暗号化したデータの授受を行う点も、図6を参照して説明したA病院111のモバイル暗号化通信インターフェース430と同様である。
【0096】
即ち、図2を参照して説明した、病院又は医院(HC)内のLANのような専用回線を通して医用データが蓄積されたモバイル情報端末をその所有者(患者)が調剤薬局又はドラッグストア(PD)に持参して、調剤薬局又はドラッグストア(PD)側で、モバイル情報端末内に蓄積された医用データから所要の最新の処方情報を読み取り乃至は該当情報を抽出して取得する(PD11←PA11)操作は、図9におけるA調剤薬局(又はドラッグストア)117においては、そのモバイル暗号化通信インターフェース530にモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して行う。
【0097】
同様に、図2を参照して説明した、調剤薬局又はドラッグストア(PD)において、過去に処方された薬剤に関する履歴としての薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に夫々対応するデータを形成し(PD13)、このデータ(PD13)を、調剤薬局又はドラッグストア(PD)の医用データ転送専用の伝送路に接続された医用データ出力機器を介して患者たる個人の所有するモバイル情報端末に供給して、このモバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に使用者の任意による検索が可能な所定の構造で蓄積(即ち、登録)する(PA12)操作も、図9におけるA調剤薬局(又はドラッグストア)117においては、そのモバイル暗号化通信インターフェース530にモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して行う。
【0098】
更に、図3を参照して説明した、調剤薬局又はドラッグストア(PD)に設置された専用の伝送路に接続された医用データ出力機器を介して、薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に夫々対応する医用データが供給されモバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(即ち、登録)する(PU11)操作も、図9におけるモバイル暗号化通信インターフェース530にモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して行う。
【0099】
一方、スキャナー540は、図6乃至図8を参照して説明したような、所定位置に処方箋としての内容を表す2次元バーコード等の符号化情報印刷(既出の符号422、322と同様のものを示すが542とする)が施された処方箋(既出の符号421、321と同様のものを示すが541とする)を判読するに適合する仕様のものである。即ち、処方箋541は、既述の病院又は医院側で作成されて薬局側に提供され、その符号化情報印刷542の内容がこのスキャナー540で読み取られる。
【0100】
即ち、図2を参照して説明した、一旦処方箋中の所定位置に2次元バーコード等のコード化情報印刷を含むシート状体を原稿として調剤薬局又はドラッグストア(PD)にファクシミリで送信し、或いは、その処方箋(コード化情報印刷を含むシート状体)を患者自身が持参することによって、調剤薬局又はドラッグストア(PD)に届け(HC14→PD11)、調剤薬局又はドラッグストア(PD)側で、そのコード化情報印刷を読み取り乃至は該当情報を抽出して取得する(PD11)操作は、図9に基づいて上述したスキャナー540で処方箋を判読する操作に相応する。
【0101】
一方、カードリーダ550は、処方情報等を含む医用情報が書き込まれたカード551から該当する処方情報等を読み込む。即ち、このようなカードリーダ550を備えることによって、A調剤薬局(又はドラッグストア)18では、処方情報等を含む医用情報を、モバイル情報端末100からモバイル暗号化通信インターフェース530を通して取得したり、2次元バーコード等の符号化情報印刷422(322)が施された処方箋421(321)からスキャナー540を用いて取得する他に、このようなカード551からカードリーダ550を通して取得して取り扱うことができる。
【0102】
図10は、図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えたB調剤薬局(又はドラッグストア)119のイントラネットの構成を表す概念図である。本例におけるB調剤薬局(又はドラッグストア)119は図9を参照して説明したA調剤薬局(又はドラッグストア)117よりも小規模であるが、モバイル情報端末100に対する医用情報の授受、薬情報のシート521や所定様式のお薬手帳522の印字、所定位置に処方箋としての内容を表す2次元バーコード等の符号化情報印刷542が施された処方箋541の読み取り、及び、処方情報等を含む医用情報が書き込まれたカード551からの医用情報の読み取りについても、A調剤薬局(又はドラッグストア)117におけるものと略同様である。
【0103】
即ち、図2を参照して説明した、病院又は医院(HC)内のLANのような専用回線を通して医用データが蓄積されたモバイル情報端末をその所有者(患者)が調剤薬局又はドラッグストア(PD)に持参して、調剤薬局又はドラッグストア(PD)側で、モバイル情報端末内に蓄積された医用データから所要の最新の処方情報を読み取り乃至は該当情報を抽出して取得する(PD11←PA11)操作は、図10におけるB調剤薬局(又はドラッグストア)119側のモバイル暗号化通信インターフェース530にモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して行う。
【0104】
同様に、図2を参照して説明した、調剤薬局又はドラッグストア(PD)において、過去に処方された薬剤に関する履歴としての薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に夫々対応するデータを形成し(PD13)、このデータ(PD13)を、調剤薬局又はドラッグストア(PD)の医用データ転送専用の伝送路に接続された医用データ出力機器を介して患者たる個人の所有するモバイル情報端末に供給して、このモバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に使用者の任意による検索が可能な所定の構造で蓄積(即ち、登録)する(PA12)操作も、図10におけるB調剤薬局(又はドラッグストア)119においては、そのモバイル暗号化通信インターフェース530にモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して行う。
【0105】
更に、図3を参照して説明した、調剤薬局又はドラッグストア(PD)に設置された専用の伝送路に接続された医用データ出力機器を介して、薬歴情報、薬歴に該当する薬剤に関する薬情報、或いは薬歴情報を一定の様式に収めた所謂お薬手帳に夫々対応する医用データが供給されモバイル情報端末の筐体内に設けられた記憶手段に蓄積(即ち、登録)する(PU11)操作も、図10におけるモバイル暗号化通信インターフェース530にモバイル情報端末100の入出力回路25をコネクターで接続して行う。
【0106】
B調剤薬局(又はドラッグストア)119のシステムは、インターネットに接続された調剤レセプトコンピュータ560をサーバーとして構築されている。即ち、調剤レセプトコンピュータ560が、種々のファイルの共有に関するファイルサーバー、プリンター540に関するプリントサーバー、患者情報のデータベース561及び薬歴管理データベース562に関するデータベースサーバー、及び、モバイル暗号化通信インターフェース530に関するコミュニケーションサーバーとして機能する。調剤レセプトコンピュータ560には更に、スキャナー540、及び、カードリーダ550が接続され、これらに対する制御とこれらを通しての情報の取得を行う。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の医用情報保有装置を表すブロック図である。
【図2】本発明の装置乃至方法が適用される環境における医用データの伝送の様子を表す概念図である。
【図3】本発明の装置乃至方法が適用される環境において、特に、モバイル通信を含む環境下での医用データの伝送の様子を表す概念図である。
【図4】本発明の装置乃至方法が適用される環境において、特に、医用データを個人的に保有するに留まらず種々の便宜が得られるようにシステムを構築した場合の一形態を表す概念図である。
【図5】本発明の技術が利用される環境においてインターネットを介在にして種々の医療機関及びモバイル通信事業者が通信網で結ばれたエクストラネットの構成を示す概念図である。
【図6】図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えた或る病院のイントラネットの構成を表す概念図である。
【図7】図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えた他の病院(又は医院)のイントラネットの構成を表す概念図である。
【図8】図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えた更に他の病院(又は医院)のイントラネットの構成を表す概念図である。
【図9】図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えた或る調剤薬局(又はドラッグストア)のイントラネットの構成を表す概念図である。
【図10】図5のエクストラネットに係る、インターネットを介して情報の授受を行うための医用インフラストラクチャを備えた他の調剤薬局(又はドラッグストア)のイントラネットの構成を表す概念図である。
【符号の説明】
【0108】
10…アンテナ、11…デュープレクサ、12…受信回路、13…送信回路、20…システムコントローラ、21…表示部、22…操作部、23…メモリ、24…カメラ、25…入出力回路、26…スピーカ、27…マイクロフォン、100…モバイル情報端末、111…A病院、112…a病院、113…B病院(又は医院)、114…b病院(又は医院)、115…C病院(又は医院)、116…c病院(又は医院)、118…A調剤薬局(又はドラッグストア)、119…B調剤薬局(又はドラッグストア)、120…b調剤薬局(又はドラッグストア)、200…インターネット、210…医師操作情報端末、300…モバイル通信事業者のデータサーバー、310…医科レセプトコンピュータ、311…患者情報のデータベース、312…薬歴管理データベース、320…プリンター、321…処方箋、322…符号化情報印刷、330…モバイル暗号化通信インターフェース、400…院内ネットワーク、410…院内医療サーバー、411…患者情報のデータベース、412…薬歴管理データベース、420…プリンター、421…処方箋、422…符号化情報印刷、430…モバイル暗号化通信インターフェース、500…局内ネットワーク、510…局内調剤サーバー、511…患者情報のデータベース、512…薬歴管理データベース、520…プリンター、521…薬情報のシート、522…お薬手帳、530…モバイル暗号化通信インターフェース、540…スキャナー、541…処方箋、542…符号化情報印刷、550…カードリーダ、551…カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の外殻を構成する可搬型の筐体と、前記筐体の所定部に設けられ使用者による操作を受け付ける操作部と、前記筐体内の所定部に設けられ該筐体外部の医用データ出力機器から出力される医用データを受信可能に構成されたデータ受信部と、前記データ受信部で受信された医用データを、使用者の任意による検索が可能な所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段に蓄積する制御部と、を備えたことを特徴とする医用情報保有装置。
【請求項2】
前記データ受信部は、前記医用データとして、カルテデータ、処方箋データ、検査データ、お薬手帳データ、及び、バイタルサインデータのうちの何れか一のデータを含むデータを受信可能に構成され、前記制御部は、前記データ受信部が受信した前記一のデータを含むデータを前記所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段に蓄積するように構成さていることを特徴とする請求項1に記載の医用情報保有装置。
【請求項3】
前記データ受信部は、当該医用データ出力機器から導体を通して送信される暗号化された医用データを受信するように構成されていることを特徴とする請求項1〜2の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項4】
前記データ受信部は、当該医用データ出力機器から無線のチャネルを通して送信される暗号化された医用データを受信するように構成されていることを特徴とする請求項1〜2の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項5】
前記データ受信部は、当該医用データ出力機器からコード化情報印刷によって出力された医用データを所定のコード化情報読み取り装置を介して受信するように構成されていることを特徴とする請求項1〜2の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項6】
前記筐体は、携帯情報端末として適合するように形成され、アンテナを通して無線通信を行うための無線通信回路部を前記筐体内に更に備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項7】
前記記憶手段に蓄積された医用データを、前記無線通信回路部を介して他の特定の医用情報保有装置に暗号化して転送するデータ転送手段を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の医用情報保有装置。
【請求項8】
前記記憶手段としてのメモリ構体を着脱可能に装着するメモリ構体装着機構を前記筐体内に供えていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項9】
前記筐体は前記携帯情報端末である携帯電話機として適合するように形成され、前記無線通信回路部は携帯電話の基地局と通信し得るように構成されていることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項10】
外部の設備から発せられる所定のマーカー信号を受信し、該マーカー信号の受信状態に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止するように前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備えていることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項11】
外部の設備との交信によって自己の位置を認識し、且つ、当該認識された位置が特定の医療機関の域内乃至近接した位置にあるか否かを弁別し、この弁別結果に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止するように前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備えていることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の医用情報保有装置。
【請求項12】
前記保護回路は、前記マーカー信号の受信状態に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものであることを特徴とする請求項10に記載の医用情報保有装置。
【請求項13】
前記保護回路は、前記弁別結果に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものであることを特徴とする請求項11に記載の医用情報保有装置。
【請求項14】
使用者による操作を受け付ける操作部が自己の所定部に設けられた可搬型の筐体と、前記筐体内の所定部に設けられ該筐体外部の医用データ出力機器から出力される医用データを受信可能に構成されたデータ受信部とを含んで構成された医用情報保有装置を適用し、当該医用情報保有装置の前記データ受信部で医用データを任意に受信し、該受信した医用データを使用者の任意による検索が可能な所定の構造で前記筐体内に設けられた記憶手段に蓄積することを特徴とする医用情報保有方法。
【請求項15】
前記医用データとして、カルテデータ、処方箋データ、検査データ、お薬手帳データ、及び、バイタルサインデータのうちの何れか一のデータを含むデータを前記医用情報保有装置のデータ受信部で受信し、該受信した前記一のデータを含むデータを前記所定の構造で前記記憶手段に蓄積することを特徴とする請求項14に記載の医用情報保有方法。
【請求項16】
前記筐体として、携帯情報端末に適合するものを適用し、前記筐体内にアンテナを通して無線通信を行うための無線通信回路部を更に備えることを特徴とする請求項14〜15の何れか一項に記載の医用情報保有方法。
【請求項17】
前記記憶手段に蓄積された医用データを、前記無線通信回路部を介して他の特定の医用情報保有装置に転送することを特徴とする請求項16に記載の医用情報保有方法。
【請求項18】
前記筐体として、携帯情報端末たる携帯電話機に適合するものを適用し、前記無線通信回路部として携帯電話の基地局と通信し得るものを適用することを特徴とする請求項16〜17の何れか一項に記載の医用情報保有方法。
【請求項19】
前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備え、該保護回路によって外部の設備から発せられる所定のマーカー信号を受信し、該マーカー信号の受信状態に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止することを特徴とする請求項16〜18の何れか一項に記載の医用情報保有方法。
【請求項20】
前記無線通信回路部を制御するための保護回路を更に備え、該保護回路によって外部の設備との交信によって自己の位置を認識し、且つ、当該認識された位置が特定の医療機関の域内乃至近接した位置にあるか否かを弁別し、この弁別結果に応じて前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止することを特徴とする請求項16〜18の何れか一項に記載の医用情報保有方法。
【請求項21】
前記保護回路として、更に、前記マーカー信号の受信状態に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものを適用することを特徴とする請求項19に記載の医用情報保有方法。
【請求項22】
前記保護回路として、更に、前記弁別結果に応じて、前記アンテナに供給する電力を抑制乃至停止した状態から元の状態に復帰させるように前記無線通信回路部を制御するように構成されたものを適用することを特徴とする請求項20に記載の医用情報保有方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−136478(P2006−136478A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328091(P2004−328091)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(303024725)ファーマシー中山株式会社 (1)
【Fターム(参考)】