説明

医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラム

【課題】医用画像の読影者190が注目した内容とそのときに入力した内容とを管理すること。
【解決手段】医用情報処理システムは、医学情報が表示されているときに、医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力部と、医学情報のうち、入力部から入力情報が入力されているときに入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定部と、注目情報特定部が特定した注目情報及び入力者が当該注目情報に注目しているときに入力部から入力された入力情報を対応づけて格納する医用情報格納部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、医用画像を処理する医用情報処理システム及び医用情報処理方法、並びに医用情報処理システム用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラにより取得した画像データに基づいて読影時及び非読影時を判別し、読影時に、ROMに記憶されている読影時または非読影時の照度に基づいて、読影時には照明装置の照度を落とすことにより照度を調整する。また、非読影時には、照明装置の照度を通常の照度にすることにより照度を調整する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−190099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の技術では、読影者が読影時に注目していた内容を他の読影者が特定することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、医用情報処理システムであって、医学情報が表示されているときに、医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力部と、医学情報のうち、入力部から入力情報が入力されているときに入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定部と、注目情報特定部が特定した注目情報及び入力者が当該注目情報に注目しているときに入力部から入力された入力情報を対応づけて格納する医用情報格納部とを備える。
【0005】
医用情報格納部が注目情報に対応づけて格納している入力情報を、注目情報とともに表示する表示部をさらに備えてよい。医学情報が表示されているときに入力者が見ている方向を特定する視線特定部をさらに備え、注目情報特定部は、視線特定部が検出した診断者の視線方向の先に表示された内容を注目情報として特定してよい。
【0006】
表示部が医学情報を表示する表示領域のうち、医学情報を閲覧する閲覧者が注目している領域を特定する注目領域特定部と、注目領域特定部が特定した領域に表示部が表示している情報を特定する注目領域情報特定部とをさらに備え、表示部は、注目領域情報特定部が特定した情報に対応づけて医用情報格納部が格納している注目情報又は入力情報を強調して表示してよい。
【0007】
入力者が注目情報に注目した時間長さを検出する注目時間検出部をさらに備え、医用情報格納部は、注目情報及び入力情報を、注目時間検出部が検出した時間が長いほどより高い重要度に対応づけて格納し、表示部は、より高い重要度に対応づけて医用情報格納部が格納している注目情報又は入力情報をより強調して表示してよい。
【0008】
入力者が注目情報に注目した回数を検出する注目回数検出部をさらに備え、医用情報格納部は、注目情報及び入力情報を、注目回数検出部が検出した回数が多いほどより高い重要度に対応づけて格納し、表示部は、より高い重要度に対応づけて医用情報格納部が格納している注目情報又は入力情報をより強調して表示してよい。
【0009】
本発明の第2の形態によると、医用情報処理方法であって、医学情報が表示されているときに、医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力段階と、医学情報のうち、入力段階において入力情報が入力されているときに入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定段階と、注目情報特定段階において特定された注目情報及び入力者が当該注目情報に注目しているときに入力段階において入力された入力情報を対応づけて格納する医用情報格納段階とを備える。
【0010】
本発明の第3の形態によると、プログラムであって、医学情報が表示されているときに、医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力部と、医学情報のうち、入力部から入力情報が入力されているときに入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定部と、注目情報特定部が特定した注目情報及び入力者が当該注目情報に注目しているときに入力部から入力された入力情報を対応づけて格納する医用情報格納部として機能させる。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、一実施形態に係る医用情報処理システム100の利用環境の一例を示す。医用情報処理システム100は、医用情報処理装置110、診断支援情報データベース120、複数の読影者端末150a−d(以下、読影者端末150と総称する)、及び複数の医用画像撮像装置170a−c(以下、医用画像撮像装置170と総称する。)を備える。診断支援情報データベース120は、医学情報データベース130、症例データベース140、及び注目情報データベース145を有する。
【0014】
読影者端末150a及び医用画像撮像装置170aは診断サイト102aに設けられ、読影者端末150aは医用画像撮像装置170aが撮像した読影対象画像を読影者190aに読影させる。また、読影者端末150b及び医用画像撮像装置170bは診断サイト102bに設けられ、医用画像撮像装置170bが撮像した読影対象画像を読影者190bに読影させる。また、読影者端末150c及び医用画像撮像装置170cは診断サイト102cに設けられ、医用画像撮像装置170cが撮像した読影対象画像を読影者190cに読影させる。一例としては、診断サイト102a、診断サイト102b、及び診断サイト102cは互いに異なる病院等の診療・医療機関であってよい。
【0015】
医用情報処理装置110、診断支援情報データベース120、及び読影者端末150dは診断サイト102a−cと異なる診断サイト102dに設けられる。医用情報処理装置110は、医用画像撮像装置170と通信回線160を通じて接続されており、医用画像撮像装置170から読影対象画像を収集して症例データベース140に格納する。そして、読影者端末150は、症例データベース140に格納された読影対象画像を表示する。なお、診断サイト102dは、遠隔読影サービスを提供する機関であってよい。なお、読影者端末150a−cも、通信回線160を通じて症例データベース140が格納している読影対象画像を取得して、読影者190a−cに読影させることができる。
【0016】
医学情報データベース130は、診断を支援する医学的情報を、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ等の、電子的に記録することができる記録媒体に格納している。医学的情報とは、疾患の解説データ、病変部を含む画像を読影する場合に注意すべきポイント、所見として記載すべきポイント、及び代表的な症例画像を含む。また、症例データベース140は、複数の症例情報を、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ等の、電子的に記録することができる記録媒体に格納している。症例情報とは、症例画像、所見、確定された診断結果、カルテデータ等の診療記録を含む。
【0017】
医用情報処理装置110は、診断支援情報データベース120と接続されている。医用情報処理装置110は、医学情報データベース130が格納している医学情報及び症例データベース140が格納している症例情報を電子的に読み出すことができる。医用情報処理装置110は、通信回線160を介して読影者端末150と接続されており、医学情報データベース130及び症例データベース140から読み出した医学情報及び症例情報を、通信回線160を通じて読影者端末150に電子的に提供する。
【0018】
読影者端末150は、医用画像撮像装置170が撮像した読影対象画像を取得して、読影者190に提示する。このとき、読影者端末150は、医用情報処理装置110から取得した関連する医学情報及び症例情報を、読影対象画像とともに提示する。そして、読影者端末150は、読影者190から所見の入力を受け付けて、入力された所見及び読影対象画像を医用情報処理装置110に通信回線160を通じて送信する。医用情報処理装置110は、読影者端末150から受け取った所見及び読影対象画像を含む症例データを、新たな症例情報として症例データベース140に格納させる。
【0019】
なお、カメラ180は、読影者190が読影しているときに読影者190を撮影しており、撮像した画像を読影者端末150に供給する。読影者端末150は、カメラ180が撮像した画像から、読影者190の視線を特定する。そして、読影者端末150は、検出した読影者190の視線の先にある読影対象画像の画像領域を、読影者190が入力した所見内容に対応づけて医用情報処理装置110に送信する。そして、医用情報処理装置110は、読影者端末150から受け取った画像領域及び所見内容を、注目情報データベース145に対応づけて格納させる。
【0020】
そして、読影者端末150は、例えば他の読影者190が注目情報データベース145が格納している所見内容を閲覧していることを検出した場合に、当該所見内容に対応づけて注目情報データベース145が格納している画像領域を取得して、読影者端末150に表示する。
【0021】
なお、医用画像撮像装置170は、X線CT装置、トモシンセシス装置、MRI装置等の、放射線を含む電磁波を利用して被検者の画像を撮像する撮像装置であってよい。なお、ここでは複数の診断サイト102にまたがるシステムとして医用情報処理システム100を説明したが、医用情報処理システム100は、一の診断サイト102内で閉じたシステムであってもよい。この場合、診断サイト102は一の医療機関内の異なる部門であってよい。例えば、診断サイト102は一の医療機関内の異なる診療科であってよい。
【0022】
このように、医用情報処理システム100を実際のシステムに適用すると、読影者190が不足している病院に対して読影を代行する遠隔読影代行システムとして機能したり、一の病院における診断結果に対するセカンドオピニオンを他の病院に依頼することができるセカンドオピニオン提供システムとして機能し得る場合がある。また、医用情報処理システム100を実際のシステムに適用すると、医学情報データベース130に格納されている医学情報及び症例データベース140に格納されている症例情報を読影者端末150に電子的に提供することができ、言うなれば症例を必要に応じて動的に追加することができる電子医学書として機能し得る場合がある。なお、注目情報データベース145は、この発明における医用情報格納部の一例であり、医学情報データベース130、症例データベース140は、この発明における症例画像格納部の一例である。
【0023】
図2は、医用情報処理装置110及び読影者端末150のブロック構成の一例を示す。読影者端末150は、入力部210、視線特定部220、表示部230、注目領域情報特定部240、注目領域特定部245、注目情報送信部250、注目時間検出部260、及び注目回数検出部265を有する。医用情報処理装置110は、注目情報特定部270、異常陰影領域抽出部275、及び画像送信部290を有する。以下に、診断支援情報データベース120が格納するデータとともに、医用情報処理装置110の各構成要素の動作を説明する。
【0024】
入力部210は、医学情報が表示されているときに、医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する。なお、後に説明するように、医学情報とは読影対象画像又は症例画像であってよく、入力者は読影対象画像又は症例画像を読影する読影者190であってよい。そして、入力部210は、読影対象画像又は症例画像に関連する所見を入力情報として読影者190から入力してよい。
【0025】
注目情報特定部270は、医学情報のうち、入力部210から入力情報が入力されているときに入力者が注目した情報である注目情報を特定する。注目情報データベース145は、注目情報特定部270が特定した注目情報及び入力者が当該注目情報に注目しているときに入力部210から入力された入力情報を対応づけて格納する。そして、表示部230は、注目情報データベース145が注目情報に対応づけて格納している入力情報を、注目情報とともに表示する。
【0026】
なお、視線特定部220は、医学情報が表示されているときに入力者が見ている方向を特定する。そして、注目情報特定部270は、視線特定部が検出した診断者の視線方向の先に表示された内容を注目情報として特定する。
【0027】
注目領域特定部245は、表示部230が医学情報を表示する表示領域のうち、医学情報を閲覧する閲覧者が注目している領域を特定する。そして、注目領域情報特定部240は、注目領域特定部245が特定した領域に表示部230が表示している情報を特定する。表示部230は、注目領域情報特定部240が特定した情報に対応づけて注目情報データベース145が格納している注目情報又は入力情報を強調して表示する。
【0028】
注目時間検出部260は、入力者が注目情報に注目した時間長さを検出する。そして、注目情報送信部250は、注目時間検出部260が検出した時間長さを医用情報処理装置110に送信する。そして、注目情報データベース145は、注目情報及び入力情報を、注目時間検出部260が検出した時間が長いほどより高い重要度に対応づけて格納する。そして、表示部230は、より高い重要度に対応づけて注目情報データベース145が格納している注目情報又は入力情報をより強調して表示する。
【0029】
注目回数検出部265は、入力者が注目情報に注目した回数を検出する。そして、注目情報送信部250は、注目回数検出部265が検出した回数を医用情報処理装置110に送信する。そして、注目情報データベース145は、注目情報及び入力情報を、注目回数検出部265が検出した回数が多いほどより高い重要度に対応づけて格納する。そして、表示部230は、より高い重要度に対応づけて注目情報データベース145が格納している注目情報又は入力情報をより強調して表示する。
【0030】
なお、入力部210は、読影対象の画像である読影対象画像を含む医学情報が表示されているときに、当該読影対象画像を読影した読影結果を含む入力情報を読影者190から入力する。そして、注目情報特定部270は、入力部210から入力情報が入力されているときに読影者190が注目した、読影対象画像における位置を含む注目情報を特定する。
【0031】
具体的には、入力部210は、読影対象画像及び当該読影対象画像と対比して表示させる対比画像を含む医学情報が表示されているときに、当該読影対象画像を読影した読影結果を含む入力情報を読影者190から入力する。そして、注目情報特定部270は、入力部210から入力情報が入力されているときに読影者190が注目した、読影対象画像における位置及び対比画像における位置を含む注目情報を特定する。
【0032】
なお、注目情報送信部250は、注目時間検出部260が検出した注目時間、注目回数検出部265が検出した注目回数、及び視線特定部220により特定された視線の先の領域、及び表示部230が表示している症例画像又は読影対象画像を識別する識別情報を、注目情報特定部270に送信する。そして、注目情報特定部270は、注目情報送信部250から受け取った識別情報と、当該識別情報が示す症例画像又は読影対象画像における視線の先の領域とを対応づけて注目情報データベース145に格納させる。
【0033】
なお、異常陰影領域抽出部275は、入力部210から入力情報が入力されているときに読影者190が注目した、読影対象画像における位置の近傍の領域から、異常陰影が存在する領域を抽出する。そして、注目情報特定部270は、異常陰影領域抽出部275が抽出した領域を注目情報として特定してもよい。
【0034】
なお、医学情報データベース130及び症例データベース140は、症例画像を格納する。そして、入力部210は、症例画像格納部が格納している症例画像を含む医学情報が表示されているときに、当該症例画像が示す疾患に関する情報を含む入力情報を入力者から入力する。そして、注目情報特定部270は、入力部210から入力情報が入力されているときに入力者が注目した、症例画像における位置を含む注目情報を特定する。なお、画像送信部290は、医学情報データベース130及び症例データベース140から症例画像を読み出して読影者端末150に送信する。そして、表示部230は、画像送信部290から受け取った症例画像を表示する。
【0035】
以上説明した医用情報処理システム100のように、医用情報処理装置110を実際のシステムとして適用すると、読影者190が注目した領域と入力した所見とを他の読影者190に提供することができる場合がある。このため、読影者190が読影対象画像のどこを見て当該所見を下したかを特定することができる場合がある。
【0036】
図3は、読影者端末150a及びd、並びに医用情報処理装置110の動作フローの一例を示す。読影者端末150dは、医用情報処理装置110から受け取った症例画像を表示する。そして、読影者端末150dは、入力部210により読影者190dから入力された所見を取得する。また、視線特定部220は、カメラ180により撮像された画像に含まれる読影者190dの目の位置等に基づいて、読影者190dの視線の先の位置(視線位置)を特定する(S304)。
【0037】
そして、読影者端末150dは、所見及び視線位置を医用情報処理装置110に送信する(S306)。医用情報処理装置110は、読影者端末150dから受け取った所見を症例データベース140に記録するとともに、所見内容及び視線位置を注目情報データベース145に対応付けて記録する(S308)。このようにして、医用情報処理装置110は、読影技術が優れた読影者190dによる所見を症例データベース140に格納させるとともに、当該所見を下したときに読影者190dが参照していた症例画像における視線位置を、注目情報データベース145に記録させる。
【0038】
一方、他の読影者190が読影対象画像を読影する場合に、読影者端末150aは読影者190に指定された読影対象画像を医用情報処理装置110に要求する(S312)。医用情報処理装置110は、要求された読影対象画像を読影者端末150aに送信する(S314)。そして、読影者端末150aは、医用情報処理装置110から受け取った読影対象画像を表示する(S316)。
【0039】
なお、医用情報処理装置110は、要求された読影対象画像から異常陰影を抽出して、抽出した異常陰影に類似する異常陰影を有する類似症例画像を医学情報データベース130及び症例データベース140の中から検索する(S318)。また、医用情報処理装置110は、当該類似症例画像における読影者190dの視線位置及び所見内容を注目情報データベース145から読み出す。そして、医用情報処理装置110は、類似症例画像、視線位置、及び所見を読影者端末150aに送信する(S320)。
【0040】
そして、読影者端末150aは、医用情報処理装置110から受け取った類似症例画像を表示する(S322)。また、読影者端末150aの注目領域特定部245は、読影者端末150aの視線特定部220が特定した読影者190aの視線の先の領域を特定する。そして、読影者端末150aの注目領域情報特定部240は、注目領域特定部245が特定した領域に表示された所見を特定する。そして、読影者端末150aの表示部230は、当該所見に対応づけられた類似症例画像における視線位置の領域を強調表示する(S324)。
【0041】
図4は、医学情報データベース130が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す。医学情報データベース130は、いわゆる電子的な医学辞書に格納されている医学情報データを格納する。
【0042】
具体的には、医学情報データベース130は、疾患を識別する疾患ID、疾患を示す症例画像を識別する画像ID、及び疾患情報データを対応づけて格納している。医学情報データベース130が格納する症例画像は、疾患の代表的な症例画像であってよい。例えば、医学情報データベース130が格納している症例画像は、いわゆる書籍の医学書に掲載されている症例画像であってよく、疾患の特徴的な特徴を有する症例画像であってよい。また、疾患情報データとは、疾患の特徴、読影時に注意すべきポイント、所見として記載すべきポイント、所見の文例、誤診しやすい他の疾患名等、疾患に関連して読影者190に提供すべき文字情報及び画像情報を含んでよい。
【0043】
図5は、症例データベース140が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す。症例データベース140は、医用画像撮像装置170が撮像した画像を症例画像として、その診断結果とともに格納する。
【0044】
具体的には、症例データベース140は、読影者190を一意に識別するユーザID、医用画像撮像装置170が撮像した症例画像を識別する画像ID、及び疾患を識別する疾患ID、及び診断結果データを対応づけて格納している。ユーザIDは、症例データベース140が格納している症例画像を使用することができるユーザを識別する情報であってもよい。このように、症例データベース140がユーザIDに対応づけて症例画像を格納しているので、読影者190が保存しておくべき症例画像を読影者190毎に蓄積することができる。これにより、症例データベース140は、いわば読影者190独自の症例データベースとして機能することができる。他にも、医用情報処理装置110は、ユーザIDを、症例画像を利用することができる読影者190を限定するためのパーミッション情報としても使用してもよい。なお、症例データベース140は、ユーザIDに代えて、診断サイト102を識別する情報を格納してよい。これにより、症例データベース140は、例えば病院独自の症例データベースとして機能することができる。
【0045】
また、画像IDは、症例データベース140が格納している症例画像を識別する情報であってよい。また、画像IDは、症例データベース140が格納している症例画像及び医学情報データベース130が格納している症例画像を識別する情報であってもよい。疾患IDは、対応する症例画像が示す診断対象について確定診断結果が示す疾患を識別する疾患IDであってよい。
【0046】
また、診断結果データとは、診療録として記録されるデータを含み、例えば診療情報患者の氏名、性別、年齢、診断結果、投薬情報等の診療過程において取得された患者に関する情報、すなわち診療情報又は医療情報と呼ばれる情報を含む。具体的には、診断結果データは、カルテデータであってよい。また、症例データベース140は、ユーザIDによって識別される読影者190毎に、読影者190が下した診断結果を示す診断結果データを格納してよい。
【0047】
図6は、注目情報データベース145が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す。注目情報データベース145は、画像ID、視線領域、入力情報データ、及び重要度を対応づけて格納する。なお、画像IDについては、図4及び図5において説明しているので、説明を省略する。
【0048】
視線領域は、症例画像における読影者190の視線の先の領域を示す座標情報であってよい。例えば、視線領域は、視線領域を示す矩形領域の対角の座標であってよい。なお、視線領域は、矩形以外にも、類円形、多角形等、多様な形状を有してよい。このような矩形以外の視線領域についても、注目情報データベース145は、円の中心座標及び半径、多角形の輪郭形状を示すベクトル情報等により、多様な形状の視線領域を格納することができることは言うまでもない。
【0049】
また、入力情報データは、読影者190により入力された所見の少なくとも一部のデータであってよい。例えば、入力情報データは、「○○状の陰影」等のように、読影者190により入力された異常陰影の特徴を示す語句であってよい。
【0050】
また、注目情報データベース145は、読影者190によって注目された回数及び時間に基づいて算出された重要度を格納する。例えば、注目回数1回あたりの重要度の増分、及び単位注目時間あたりの重要度の増分が予め定められていて、医用情報処理装置110は、読影者端末150から受け取った注目回数及び注目時間、並びに予め定められている重要度の増分に基づいて、注目回数又は注目時間に応じた重要度の増加値を算出してよい。そして、医用情報処理装置110は、注目情報データベース145が格納している重要度に重要度の増加値を加えた値の重要度で、注目情報データベース145が格納している重要度を更新してよい。
【0051】
図7は、医用情報処理装置110が表示部230に表示させる画面の一例を示す。医用情報処理装置110は、読影対象画像ウィンドウ710、類似症例画像ウィンドウ720及び751−754、診断レポート入力ウィンドウ730、及び参考診断レポート表示ウィンドウ740を含む画面を表示部230に表示させる。
【0052】
医用情報処理装置110は、読影対象画像ウィンドウ710内に、医用情報処理装置110から取得した読影対象画像を表示させる。そして、医用情報処理装置110は、症例データベース140が格納している症例画像のうち、類似症例画像を類似症例画像ウィンドウ751−753に表示させる。また、医用情報処理装置110は、指定された症例画像が示す疾患に対応づけて医学情報データベース130が格納している症例画像を、類似症例画像ウィンドウ754に表示させる。そして、読影者190が類似症例画像ウィンドウ751−754のうちのいずれかのウィンドウをマウス等でクリックすることで症例画像が指定されると、表示部230は、指定された症例画像を類似症例画像ウィンドウ750に拡大して表示する。
【0053】
また、医用情報処理装置110は、指定された症例画像の所見等の診断結果データ又は疾患情報データを症例データベース140又は医学情報データベース130から取得して、その内容を参考診断レポート表示ウィンドウ740に表示させる。このとき、医用情報処理装置110は、診断結果データに含まれる疾患名を、医学情報データベース130が格納している疾患情報データへのリンク742として、参考診断レポート表示ウィンドウ940に表示させる。当該リンク742は、例えばHTMLによって記述されるハイパーテキストにおけるハイパーリンクであってよい。読影者端末150に表示されたリンク742を読影者190がマウス操作等によってクリックすると、医用情報処理装置110は、リンク付けされた疾患情報データを医学情報データベース130から取得して、読影者端末150に送信して読影者端末150に表示させる。なお、疾患情報データはHTML、XML等のマークアップ言語等によって記述されてよい。
【0054】
このような表示画面上において、注目領域特定部245は、視線特定部220が特定した読影者190の視線の先の領域を特定する。そして、注目領域情報特定部240は、当該領域に表示部230が表示した表示内容を特定する。例えば、注目領域情報特定部240が、参考診断レポート表示ウィンドウ740における「○○状の陰影」という内容を特定した場合には、表示部230は、当該内容に対応づけられた視線領域(x11、y11)(x12、y12)を矩形の対角の座標とする枠752を、類似症例画像ウィンドウ750の症例画像に重畳して表示する。このようにして、読影者端末150は、類似症例画像について所見が入力されたときに読影者190が注目していた異常陰影領域を強調表示する。なお、表示部230は、当該領域がより高い重要度に対応づけられている場合に、枠752をより強調して表示してもよい。
【0055】
なお、読影者端末150は、読影者190により診断レポート入力ウィンドウ730に読影者190から入力部210に入力された所見データ等のデータを取得する。そして、読影者端末150は、取得したデータを医用情報処理装置110に送信する。そして、医用情報処理装置110は、受信したデータを、症例データベース140の診断結果データとして記録する。
【0056】
なお、診断レポート入力ウィンドウ730における所見欄に入力部210から所見が入力されたことを検出すると、注目情報送信部250は、所見が入力されたときの視線として視線特定部220が特定した視線の先の位置(例えば、類似症例画像上における座標)を、医用情報処理装置110に送信する。そして、注目情報特定部270は、当該視線の先の位置を、注目情報データベース145に記録する。このようにして、注目情報データベース145は、読影者190が入力した所見を、当該所見が入力されたときに読影者190が注目していた領域を格納することができる。
【0057】
図8は、医用情報処理装置110、読影者端末150、及び診断支援情報データベース120をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。医用情報処理装置110、読影者端末150、及び診断支援情報データベース120をは、CPU周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィック・コントローラ1575、及び表示装置1580を有する。入出力部は、入出力コントローラ1584によりホスト・コントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、及びCD−ROMドライブ1560を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570を有する。
【0058】
ホスト・コントローラ1582は、RAM1520と、高い転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505、及びグラフィック・コントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510、及びRAM1520に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置1580上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0059】
入出力コントローラ1584は、ホスト・コントローラ1582と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1540、通信インターフェイス1530、CD−ROMドライブ1560を接続する。ハードディスクドライブ1540は、CPU1505が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1530は、ネットワーク通信装置1598に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。
【0060】
入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、放射線撮像システムが起動時に実行するブート・プログラム、あるいは放射線撮像システムのハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスク・ドライブ1550、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0061】
CPU1505が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1540にインストールされ、RAM1520に読み出されてCPU1505により実行される。CPU1505により実行されるプログラムは、医用情報処理装置110を、図1から図7に関連して説明した注目情報特定部270、異常陰影領域抽出部275、及び画像送信部290として機能させ、読影者端末150を、図1から図7に関連して説明した入力部210、視線特定部220、表示部230、注目領域情報特定部240、注目領域特定部245、注目情報送信部250、注目時間検出部260、及び注目回数検出部265として機能させ、診断支援情報データベース120を、図1から図7に関連して説明した医学情報データベース130、症例データベース140、及び注目情報データベース145として機能させる。
【0062】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595の他に、DVDまたはPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして医用情報処理装置110及び診断支援情報データベース120に提供してもよい。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】一実施形態に係る医用情報処理システム100の利用環境の一例を示す図である。
【図2】医用情報処理装置110及び読影者端末150のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】読影者端末150a及びd、並びに医用情報処理装置110の動作フローの一例を示す図である。
【図4】医学情報データベース130が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図5】症例データベース140が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図6】注目情報データベース145が格納しているデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図7】医用情報処理装置110が表示部230に表示させる画面の一例を示す図である。
【図8】医用情報処理装置110、読影者端末150、及び診断支援情報データベース120をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
100 医用情報処理システム
102 診断サイト
110 医用情報処理装置
120 診断支援情報データベース
130 医学情報データベース
140 症例データベース
145 注目情報データベース
150 読影者端末
160 通信回線
170 医用画像撮像装置
180 カメラ
190 読影者
210 入力部
220 視線特定部
230 表示部
240 注目領域情報特定部
245 注目領域特定部
250 注目情報送信部
260 注目時間検出部
265 注目回数検出部
270 注目情報特定部
275 異常陰影領域抽出部
290 画像送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学情報が表示されているときに、前記医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力部と、
前記医学情報のうち、前記入力部から前記入力情報が入力されているときに前記入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定部と、
前記注目情報特定部が特定した前記注目情報及び前記入力者が当該注目情報に注目しているときに前記入力部から入力された前記入力情報を対応づけて格納する医用情報格納部と
を備える医用情報処理システム。
【請求項2】
前記医用情報格納部が前記注目情報に対応づけて格納している前記入力情報を、前記注目情報とともに表示する表示部
をさらに備える請求項1に記載の医用情報処理システム。
【請求項3】
前記医学情報が表示されているときに前記入力者が見ている方向を特定する視線特定部
をさらに備え、
前記注目情報特定部は、前記視線特定部が検出した診断者の視線方向の先に表示された内容を前記注目情報として特定する
請求項2に記載の医用情報処理システム。
【請求項4】
前記表示部が前記医学情報を表示する表示領域のうち、前記医学情報を閲覧する閲覧者が注目している領域を特定する注目領域特定部と、
前記注目領域特定部が特定した領域に前記表示部が表示している情報を特定する注目領域情報特定部と
をさらに備え、
前記表示部は、前記注目領域情報特定部が特定した情報に対応づけて前記医用情報格納部が格納している前記注目情報又は前記入力情報を強調して表示する
請求項3に記載の医用情報処理システム。
【請求項5】
前記入力者が前記注目情報に注目した時間長さを検出する注目時間検出部
をさらに備え、
前記医用情報格納部は、前記注目情報及び前記入力情報を、前記注目時間検出部が検出した時間が長いほどより高い重要度に対応づけて格納し、
前記表示部は、より高い重要度に対応づけて前記医用情報格納部が格納している前記注目情報又は前記入力情報をより強調して表示する
請求項4に記載の医用情報処理システム。
【請求項6】
前記入力者が前記注目情報に注目した回数を検出する注目回数検出部
をさらに備え、
前記医用情報格納部は、前記注目情報及び前記入力情報を、前記注目回数検出部が検出した回数が多いほどより高い重要度に対応づけて格納し、
前記表示部は、より高い重要度に対応づけて前記医用情報格納部が格納している前記注目情報又は前記入力情報をより強調して表示する
請求項4に記載の医用情報処理システム。
【請求項7】
前記入力部は、読影対象の画像である読影対象画像を含む前記医学情報が表示されているときに、当該読影対象画像を読影した読影結果を含む前記入力情報を読影者から入力し、
前記注目情報特定部は、前記入力部から前記入力情報が入力されているときに前記読影者が注目した、前記読影対象画像における位置を含む前記注目情報を特定する
請求項6に記載の医用情報処理システム。
【請求項8】
前記入力部は、読影対象画像及び当該読影対象画像と対比して表示させる対比画像を含む前記医学情報が表示されているときに、当該読影対象画像を読影した読影結果を含む前記入力情報を前記読影者から入力し、
前記注目情報特定部は、前記入力部から前記入力情報が入力されているときに前記読影者が注目した、前記読影対象画像における位置及び前記対比画像における位置を含む前記注目情報を特定する
請求項7に記載の医用情報処理システム。
【請求項9】
前記入力部から前記入力情報が入力されているときに前記読影者が注目した、前記読影対象画像における位置の近傍の領域から、異常陰影が存在する領域を抽出する異常陰影領域抽出部
をさらに備え、
前記注目情報特定部は、前記異常陰影領域抽出部が抽出した領域を前記注目情報として特定する
請求項7に記載の医用情報処理システム。
【請求項10】
症例画像を格納する症例画像格納部
をさらに備え、
前記入力部は、前記症例画像格納部が格納している症例画像を含む前記医学情報が表示されているときに、当該症例画像が示す疾患に関する情報を含む前記入力情報を入力者から入力し、
前記注目情報特定部は、前記入力部から前記入力情報が入力されているときに前記入力者が注目した、前記症例画像における位置を含む前記注目情報を特定する
請求項6に記載の医用情報処理システム。
【請求項11】
医学情報が表示されているときに、前記医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力段階と、
前記医学情報のうち、前記入力段階において前記入力情報が入力されているときに前記入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定段階と、
前記注目情報特定段階において特定された前記注目情報及び前記入力者が当該注目情報に注目しているときに前記入力段階において入力された前記入力情報を対応づけて格納する医用情報格納段階と
を備える医用情報処理方法。
【請求項12】
医学情報が表示されているときに、前記医学情報に関連する入力情報を入力者から入力する入力部と、
前記医学情報のうち、前記入力部から前記入力情報が入力されているときに前記入力者が注目した情報である注目情報を特定する注目情報特定部と、
前記注目情報特定部が特定した前記注目情報及び前記入力者が当該注目情報に注目しているときに前記入力部から入力された前記入力情報を対応づけて格納する医用情報格納部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−45131(P2009−45131A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211833(P2007−211833)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】