説明

医用情報処理装置

【課題】医用画像を読影に適した並び順で表示可能とする。
【解決手段】検像装置は、画像番号の情報が付帯された医用画像を用いてそのサムネイル画像を生成し、当該サムネイル画像を当該医用画像に付帯されている画像番号順に前記表示手段上に表示させる(ステップS14)。そして、前記サムネイル画像の並び順を変更する操作が操作部を介してなされると、変更された並び順に応じて、変更操作に係るサムネイル画像の医用画像に付帯されている画像番号を書き換えて変更する(ステップS16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、CR(Computed Radiography)装置やCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の各種画像生成装置(モダリティともいう)とPACS(Picture Archiving and Communication System)等をネットワーク接続したシステムが用いられている。このシステムでは、画像生成装置により撮影し、デジタル化した医用画像のデータを、PACSで管理し、診察等の利用に供している。
【0003】
撮影はRIS(Radiology Information System)等において発行されたオーダ情報に従って行う。オーダ情報は、撮影すべき患者、撮影内容等を指示するものであり、その患者に関する患者情報や撮影内容を示す検査情報等から構成されている。
上記システムでは、生成された医用画像のデータに、上記オーダ情報に基づいて、撮影対象となった患者の患者情報(氏名、性別等の情報)や検査情報(検査に用いたモダリティ、撮影部位、撮影方向、撮影日時等の情報)等を付帯し、この付帯情報によって個々の医用画像を識別可能としている。
【0004】
従来、画像生成装置で生成された医用画像をPACSへ転送する前に、撮影技師等が医用画像を閲覧し、指示通りに撮影されているかどうかを確認したり、読影に適した画像濃度等に画像処理の操作をおこなったりする検像操作が可能なシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。PACSにおいて医用画像を閲覧する読影医が、このような確認や操作を逐一行うのは非効率的だからである。
【0005】
上記システムでは、検像操作の対象となる医用画像について画像リストを作成し、これを常に最新のものに更新して、上記のような検像操作を容易にしている。
【特許文献1】特開2005−224472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記システムでは、検査毎に医用画像を撮影し生成した順に画像番号を付与している。検像操作を行う際や読影医が読影を行う際に医用画像を表示する場合、医用画像をこの画像番号順に表示することが一般的である。
しかし、撮影現場では、画像生成装置の空き状況や撮影のしやすさ等によって、撮影の順番を決めることがある。この場合、その撮影順が読影医にとって読影に適した順番とはいえないことがある。表示上、医用画像の並び順を変更することは可能であるが、読影医がその操作を逐一行うのは煩雑である。また、表示上の並び順を変えるだけでなく、医用画像の画像番号自体を調整する必要がある。
【0007】
本発明の課題は、医用画像を読影に適した並び順で表示可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、医用情報処理装置において、
画像を表示するための表示手段と、
画像番号の情報が付帯された医用画像を用いてそのサムネイル画像を生成し、当該サムネイル画像を当該医用画像に付帯されている画像番号順に前記表示手段上に表示させる表示制御手段と、
前記サムネイル画像の並び順を変更する操作を行うための操作手段と、
前記操作手段を介して変更操作がなされると、変更された並び順に応じて、変更操作に係るサムネイル画像の医用画像に付帯されている画像番号を書き換えて変更する変更制御手段と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記表示制御手段は、前記変更操作に応じて前記サムネイル画像の並び順を変更して再表示させる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置において、
前記医用画像の画像番号の変更に関する履歴情報を生成し、当該履歴情報を医用画像に付帯させる履歴制御手段を備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の医用情報処理装置において、
前記表示制御手段は、互いに関連して一連のシリーズを構成する複数の医用画像であって、そのシリーズ番号の情報が付帯された医用画像について、それらのサムネイル画像を当該医用画像に付帯されているシリーズ番号順に、かつシリーズ単位で表示させ、
前記変更制御手段は、前記操作手段を介して前記サムネイル画像の並び順がシリーズ単位で変更操作されると、当該変更された並び順に応じて、変更操作に係るサムネイル画像の医用画像に付帯されているシリーズ番号を書き換えて変更する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の医用情報処理装置において、
前記表示制御手段は、前記変更操作に応じて前記表示されたサムネイル画像の並び順をシリーズ単位で変更して前記表示手段上に再表示させる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の医用情報処理装置において、
前記変更制御手段は、前記操作手段を介して同一シリーズに係るサムネイル画像について、そのシリーズ内における並び順の変更操作がなされると、当該変更操作に係るシリーズに属する医用画像に付帯されている画像番号を書き換えて変更する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、サムネイル画像を用いて医用画像の画像番号の書き換えのための操作を容易に行うことができる。医用画像はこの画像番号順に表示されることがあり、画像番号自体を書き換えることにより、医用画像の提供先においても、医用情報処理装置において変更した通りの並び順で医用画像を表示させることが可能となる。また、変更操作にサムネイル画像を用いることにより、並び順の変更にあたり適切な並び順となるように医用画像の内容を確認することができる。従って、簡便な操作で医用画像の並び順の調整を効率良く行うことができる。
【0015】
請求項2、5に記載の発明によれば、変更操作に応じてサムネイル画像の並び順も変更表示されるので、変更後の並び順を確認することができる。また、変更後のサムネイル画像を用いてさらに医用画像の並び順を変更することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、履歴情報により後に元の画像番号に戻したり、どのような変更を行ったのか、追跡したりすることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、サムネイル画像を用いてシリーズ単位で医用画像の並び順を変更することができる。並び順の変更に応じて医用画像に付帯されているシリーズ番号自体を書き換えるので、医用画像の提供先においても、医用情報処理装置において変更した通りの並び順で医用画像を表示させることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、シリーズに属する医用画像においてもそのシリーズ内における並び順を変更することができる。並び順の変更に応じて医用画像に付帯されているシリーズ番号自体を書き換えるので、医用画像の提供先においても、医用情報処理装置において変更した通りの並び順で医用画像を表示させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
まず、構成を説明する。
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。
医用画像システム100は、図1に示すようにRIS1、画像生成装置2、検像装置3、PACS4、制御装置5を備えて構成されている。各装置1〜5はネットワークNを介して接続されている。
【0020】
RIS1は、放射線科内の情報を管理する放射線科情報システムであり、オーダ情報を生成して管理する。オーダ情報は、医師のオーダ情報の登録操作に応じて生成され、撮影すべき患者の患者情報、検査内容に関する検査情報等から構成されている。患者情報には、例えば患者の氏名、患者ID(個々の患者に付与されたID)、性別等の情報が含まれる。検査情報には、例えば検査ID(検査を個々に識別するめたに付与されるID)、撮影に用いるモダリティ(CR装置、CT装置等の名称)、撮影方法(単純撮影、拡大撮影等)、撮影部位(胸部、腹部等)、撮影方向(正面、斜位等)、撮影体位(立位、臥位等)等の情報が含まれる。
【0021】
RIS1は、必要な撮影単位でオーダ情報を生成する。例えば、同じCR装置によって胸部正面と胸部側面と、撮影方向が異なる場合でもそれぞれ撮影を行うので2つのオーダ情報を生成する。一方、CT装置によって腹部のある範囲について断層画像を撮影する際には、複数枚の医用画像が生成されるが、撮影単位としては1撮影であるので、1つのオーダ情報のみを生成する。
このように生成したオーダ情報に、RIS1はオーダID(個々のオーダ情報に付与されるID)を付して管理する。そして、これらオーダ情報を制御装置5に送信する。
【0022】
画像生成装置2は、患者を撮影し、医用画像のデータを生成する画像生成装置である。本実施形態では、CT装置、CR装置、MRI装置の種類の各画像生成装置2a〜2cを備えることとするが、内視鏡撮影装置、超音波撮影装置等、他の種類のモダリティを適用することも可能である。
【0023】
画像生成装置2は、制御装置5から配信されるオーダ情報に従って、患者を撮影する。そして、生成した医用画像のデータに、オーダ情報に含まれる検査ID、患者ID等の患者情報、検査情報を付帯させて医用画像を特定可能とした後、制御装置5に送信する。情報の付帯は、医用画像のヘッダ領域に情報を書き込むこと等によりすることができる。なお、画像生成装置2は撮影の実施や医用画像の生成に関する情報を医用画像とともに制御装置5に送信する。
【0024】
検像装置3は、本実施形態に係る医用情報処理装置であり、医用画像について検像操作を行うためのものである。
検像操作とは、医用画像がオーダ情報に従って生成されているかどうかの確認操作、医用画像の画質操作、オーダ情報の修正操作等をいう。
【0025】
検像装置3は、図2に示すように、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35、画像メモリ36等を備えて構成されている。
【0026】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部31は、記憶部35から制御プログラムを読み出し、当該制御プログラムとの協働により各種演算を行い、各部32〜36の動作を集中制御する。
【0027】
操作部32は、キーボード、マウス等を備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部31に出力する。
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、制御部31の表示制御に従って、各種操作画面や医用画像等の表示を行う。
【0028】
通信部34は、ネットワークインターフェイスカード等の通信用インターフェイスを備え、制御部31の通信制御に従って、ネットワークN上の外部装置と通信を行う。
記憶部35は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体から構成されている。
記憶部35には、制御部31が実行する制御プログラム等の各種プログラムの他、プログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0029】
画像メモリ36は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体から構成されている。
画像メモリ36には、画像生成装置2において生成された医用画像のデータが記憶されている。医用画像は、検像操作がまだ行われていない検像待ちのものと、検像操作が行われた検像済みのものに分けて記憶されている。
【0030】
PACS4は、検像装置3において検像操作が行われた医用画像のデータを保存する画像サーバの他、医師が当該保存された医用画像を読影するための端末装置等を含んで構成されている。端末装置から読影の要求情報を受信すると、画像サーバが保存している医用画像を端末装置に配信する。端末装置が配信された医用画像を表示することにより、医師が読影を行うことが可能となる。
【0031】
制御装置5は、オーダ情報の流れや医用画像の撮影等を統括的に制御するものである。
制御装置5は、RIS1から配信されたオーダ情報を、そのオーダ情報によって指定されている画像生成装置2に配信するとともに、検像装置3に送信する。一方、画像生成装置2から医用画像のデータを受信すると、当該医用画像に対応するオーダ情報に含まれる患者情報及び検査情報に加えて、シリーズ情報、画像詳細情報等を生成して付帯させる。
【0032】
図3に、付帯情報の一例を示す。
図3に示すように、付帯情報には患者情報T1、検査情報T2、シリーズ情報T3、画像詳細情報T4が含まれる。ここで、シリーズ情報T3とは互いに関連する医用画像を一連のシリーズに属するものとして取り扱う場合に、その医用画像が属するシリーズに関する情報をいう。例えば、CT装置では胸部から腹部にかけて等、ある範囲にわたる断層を撮影するため、1回の撮影で100枚〜数千枚単位の複数の医用画像(断層画像)を生成することとなる。このような場合、同一撮影で得られた各断層画像を1つのシリーズに属するものとして取り扱う。制御装置5は、そのシリーズにおける検査部位等の情報をシリーズ情報T3として生成する。そして、各シリーズに対してシリーズ番号を付し、同一シリーズに属する全ての医用画像に同一のシリーズ情報T3を付帯させる。なお、シリーズ情報T3の生成に必要な情報は画像生成装置2から取得する。
【0033】
画像詳細情報T4は、医用画像に関する情報である。例えば、図3に示すように医用画像を生成した際の割当ビット、画像の生成時刻等の情報である。制御装置5は、画像生成装置2からこれらの情報を取得して画像詳細情報T4を生成する。また、制御装置5はオーダ情報単位又はシリーズ単位で医用画像に画像番号を付す。画像番号は、医用画像の生成順を示す番号である。例えば、CR装置で胸部正面を2枚撮影するオーダ情報であった場合、生成された2枚の医用画像について画像番号はそれぞれ生成順に「1」、「2」と付す。また、胸部正面を1枚、胸部側面を1枚撮影する2つのオーダ情報があった場合には、それぞれ画像番号は「1」となる。一方、シリーズに属する医用画像についてはそのシリーズ内で生成した順に画像番号を付す。
履歴情報T5は、検像装置3によって付帯されるものであるので、詳細は後述する。
【0034】
なお、画像番号及びシリーズ番号は、後に医用画像を表示する際に医用画像の表示順を決定する要素となる。すなわち、検像装置3やPACS4の端末装置等において医用画像を表示する際には、シリーズ番号順、画像番号順に医用画像を表示することとなる。
【0035】
各情報T1〜T5には、それぞれの情報に固有の患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LID、画像詳細情報LID、履歴情報LIDが付されている。検査情報T2に患者情報LIDを含め、同様にシリーズ情報T3に検査情報LID、画像詳細情報T4に患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LID、履歴情報T5にシリーズ情報LID、画像詳細情報LIDを含めることで、各情報T1〜T5を対応付けている。
【0036】
次に、動作について説明する。
医用画像システム100の全体的な処理の流れについて説明する。
医用画像システム100では、大きく分けて(1)オーダ情報の生成、(2)オーダ情報に基づく撮影、医用画像の生成、(3)医用画像について検像処理、(4)PACS4へ転送、の工程を経る。
【0037】
(1)オーダ情報の生成
RIS1は、オーダ情報の登録操作に応じてオーダ情報を生成する。RIS1は生成したオーダ情報にオーダIDを付して制御装置5に送信する。
(2)オーダ情報に基づく撮影、医用画像の生成
制御装置5は、オーダ情報を参照し、指定されている画像生成装置2へオーダ情報を配信する。また、同じオーダ情報を検像装置3へ送信する。
画像生成装置2は、撮影技師にオーダ情報の内容を示すため、オーダ情報に基づいて患者氏名、撮影部位等を表示部上に表示する。そして、撮影指示操作に応じて撮影を行う。その後、医用画像のデータを生成し、制御装置5に送信する。制御装置5は、医用画像にオーダ情報に含まれる患者情報や検査情報、シリーズ情報、画像詳細情報を付帯させて検像装置3へ転送する。
【0038】
(3)医用画像についての検像処理
検像装置3は、検像者の検像操作に応じて様々な検像処理を施す。検像処理については後述する。
(4)PACS4への転送
検像装置3は、検像処理が終了した医用画像のデータを順次PACS4へ転送する。PACS4では当該医用画像を保存する。そして、読影医が使用する端末装置からの要求に応じて医用画像を配信し、医師の読影、診察に供する。
【0039】
次に、上記検像装置3における検像処理について、図4を参照して説明する。
図4は、検像処理の流れを説明するフローチャートである。
まず、制御部31は画像メモリ36に記憶されている医用画像を読み出す。そして、制御装置5から送信されたオーダ情報のうち、読み出した医用画像と対応するオーダ情報と、当該医用画像の付帯情報との整合性をチェックする処理を行う(ステップS1)。これは、医用画像がオーダ情報に従って生成されたものであるか否かを確認するために行う処理である。具体的にはオーダ情報、付帯情報に含まれる患者情報、検査情報をそれぞれ照合し、一致すれば整合性があるとし、不一致であれば整合性がないと判断する。制御部31は、このチェックの結果を表示部33上に表示させる。例えば、オーダ情報の一覧において、整合性がないとされたものに色を付す等する。
【0040】
次に、画像濃度の調整処理を実行する(ステップS2)。
医用画像は撮影部位等に応じて読影しやすい画像濃度がある。制御部31は、医用画像の付帯情報を参照して撮影部位を判断した後、その撮影部位に応じて予め作成された階調変換テーブル(ルックアップテーブル)を用いて医用画像の階調変換を行う。或いは、検像者の濃度やコントラストの調整操作に応じて医用画像の濃度調整を行う。
【0041】
次に、医用画像の並び順の変更処理を行う(ステップS3)。
これは医用画像の表示順の変更操作に応じて、医用画像の並び順を決定する元となる画像番号等を変更する処理である。詳細については後述する。
【0042】
並び順を変更すると、検像範囲の設定処理を行う(ステップS4)。
検像範囲とは、医師の読影に供する医用画像の範囲をいう。例えば、CT装置の場合、胸部から腹部にかけて100枚〜数千枚単位の断層画像が得られるが、撮影は診断に必要な部位の医用画像を確実に確保するため指定された部位部分にマージン部分を加えて行われる。そのため、全ての断層画像が必須ではなく、読影に必要な部分のみを抽出する操作が必要となる。検像範囲の設定処理では、制御部31は検像者の検像範囲の指定操作に応じて一連の医用画像の中から指定された範囲の医用画像を検像範囲として決定する。そして、検像範囲の始点又は終点に決定された医用画像に検像範囲の始点又は終点を示すフラグ情報を付帯させる(図3の画像詳細情報T4参照)。
【0043】
また、オーダ情報又は医用画像の付帯情報等の情報の修正処理を実行する(ステップS5)。情報の修正処理は、ステップS2においてオーダ情報との整合性がとれていない医用画像については、そのオーダ情報又は付帯情報を書き換える処理である。書き換えは、検像者の修正操作(例えば、患者の修正後の氏名の入力操作等)に応じて制御部31が行う。
以上の全ての検像処理を終了すると、制御部31は通信部34を介して、検像済みの医用画像のデータをPACS4に送信させる配信処理を実行する(ステップS6)。
【0044】
次に、上記ステップS3の医用画像の並び順の変更処理について、図5を参照して詳細に説明する。
図5に示すように、制御部31は表示部33上に検像待ちリストを表示させる(ステップS11)。検像待ちリストとは、検像処理がなされていない医用画像のオーダ情報一覧を示すものである。この検像待ちリストの中から検像対象とするオーダ情報の選択操作が操作部32を介して行われると、制御部31はこの選択されたオーダ情報に対応する医用画像を画像メモリ36から読み出す。そして、読み出した医用画像の付帯情報を参照して画像番号を特定するとともに、当該医用画像のサムネイル画像を生成し、このサムネイル画像を特定した画像番号順に並べて一覧表示させる(ステップS12)。
【0045】
図6は、検像待ちリスト画面d1を示す図である。
検像待ちリスト画面d1では、制御部31は検像処理がなされていない医用画像のオーダ情報の一覧を表示するリスト領域d11、リスト領域d11において選択されたオーダ情報に対応する医用画像のサムネイル画像を表示するサムネイル領域d12、リスト領域d11に一覧表示されたオーダ情報の中から所望のオーダ情報を検索するための検索領域d13を設ける。
【0046】
リスト領域d11では、図6に示すように制御装置5から受信されたオーダ情報のうち、検像処理がされていない医用画像のオーダ情報を表示させる。制御部31はオーダ情報に基づいてその内容、例えばオーダ情報の受信日時、検査ID、患者ID、患者氏名、モダリティ、撮影方法、撮影部位、撮影方向等の情報を表示させる。
なお、上述した整合性のチェック処理の処理結果をここで表示することとしてもよい。例えば、整合性がとれていないと判断されたオーダ情報についてはリスト領域d11において当該オーダ情報に赤色を付す等する。このように整合性がとれている他のオーダ情報と識別可能に表示することにより、検像者は容易に整合性がとれていないと判断されたオーダ情報を判別することができる。
【0047】
サムネイル領域d12では、制御部31は医用画像に付帯されている画像番号の順にサムネイル画像gを並べて表示させる。画像番号は画像生成装置2において生成された順に発行されているので、サムネイル画像gの並び順は医用画像の生成順と一致することとなる。サムネイル画像gは、検像者による医用画像の確認及び医用画像の並び順の変更操作に使用される。
また、制御部31は、サムネイル画像gの表示方法として、シリーズ単位毎に表示するか否かを切り替える表示切替メニューk1をサムネイル領域d12に設ける。
【0048】
検索領域d13では、制御部31は所望のオーダ情報の検査ID、患者ID等を検索キーワードとして入力するための入力領域を設ける。検索時には、制御部31はこの入力領域に入力された情報と一致する付帯情報を有するオーダ情報を検索する。検索されたオーダ情報は、リスト領域d11において青色を付す等する。
【0049】
この検像待ちリスト画面d1において、操作部32を介して表示切替メニューk1によりシリーズ単位毎に表示する旨の指示操作がなされた場合(ステップS13;Y)、ステップS18の処理に移行する。一方、そのような指示操作がなければ(ステップS13;N)、ステップS14の処理に移行する。
まず、指示操作がなかった場合についてステップS14の処理から説明する。
【0050】
検像待ちリスト画面d1では、サムネイル画像gの位置を移動させることにより、医用画像の並び順を変更することが可能である。
位置の移動操作は、操作部32を介してサムネイル画像gをドラッグ及びドロップ操作することにより可能である。図7に示すように、医用画像の画像番号順にサムネイル画像g(図7のサムネイル画像の左上に表示されている数字がその医用画像の画像番号を示す)が並べられている場合を例に説明すると、画像番号4の医用画像の並び順を画像番号2と画像番号3の間としたい場合、当該画像番号4のサムネイル画像gをドラッグ操作し、画像番号2、3の各サムネイル画像gの間にドロップ操作する。
【0051】
操作部32を介して上記のサムネイル画像gの位置移動の操作がなされると(ステップS14;Y)、制御部31は移動後の位置に応じて移動操作されたサムネイル画像gの並び順を変更して表示部33上に再表示させる(ステップS15)。図7の例では、画像番号3と画像番号4のサムネイル画像gの位置を入れ替えて並び順を変更し、変更後の並び順で再表示させる。
【0052】
次いで、制御部31は変更後の並び順に応じて、医用画像に付帯されている画像番号の情報を書き換えて変更する(ステップS15)。具体的には、医用画像に付帯されている画像詳細情報T4(図3参照)に、画像番号の情報が含まれるので、これを変更後の画像番号に書き換える(ステップS16)。
【0053】
変更後、制御部31は画像番号の変更に関する履歴情報を生成する(ステップS17)。例えば、図3に示すような履歴情報T5を生成する。例えば、変更日時、変更前の画像番号、変更後の画像番号の情報等の履歴内容を示す情報である。制御部31は、履歴情報T5に書き換え対象の医用画像に付帯されているシリーズ情報LID、画像詳細情報LIDを含めて、履歴情報T5と既に付帯されているシリーズ情報T3、画像詳細情報T4との対応付けを行う。また、制御部31は履歴情報を個々に識別するための履歴IDを生成し、履歴情報T5に含ませる。
【0054】
次に、シリーズ単位での表示が指示操作された場合について、ステップS18の処理から説明する。
この場合、制御部31はサムネイル領域d12において、サムネイル画像gの表示をシリーズ単位とする(ステップS18)。具体的には、選択されたオーダ情報に対応する医用画像に付帯されているシリーズ番号を参照し、医用画像が属するシリーズを判別する。また、医用画像に付帯されている画像番号を参照し、各シリーズの最初の画像番号の医用画像をシリーズの代表画像として、その医用画像のサムネイル画像gをシリーズ番号順に並べて表示させる。
【0055】
例えば、図8に示すように、ある検査においてCT装置により、胸部から腹部間を4つの範囲に分けて、矢印Aで示す方向に順次CT撮影を行った場合、4つのシリーズの医用画像が得られることとなる。このとき、各シリーズに属する医用画像には、撮影順にシリーズ番号SE1、SE2、SE3、SE4が付されるとともに、各シリーズ内で生成された順に医用画像に画像番号1〜n(nはシリーズ内で最後に生成された医用画像の画像番号を示す)が付与される。
【0056】
よって、サムネイル領域d12では、図9(a)に示すように、シリーズ番号SE1、SE2、SE3、SE4の順に、そのシリーズ番号のシリーズ内で画像番号1の医用画像を代表としてそのサムネイル画像gを表示させることとなる。なお、図9においてサムネイル画像gについて付したSE1[1]等の符号は、SE1〜SE4はシリーズ番号を示し、かっこ内の数字は画像番号を示している。
【0057】
このように表示したサムネイル領域d12においては、シリーズ単位で医用画像の並び順を変更することが可能である。変更操作は、上述した画像単位で医用画像の並び順を変更する場合と同様、サムネイル画像gの移動操作によって行う。
例えば、シリーズ番号SE1〜SE4の並び順の場合、読影する際にも医用画像はシリーズ番号の順に表示されるため、胸部→腹部→腹部→胸部と、読影する医用画像の撮影部位の位置が上下することとなる(図8参照)。胸部→腹部の順番で読影することが好ましい場合には、医用画像をシリーズ番号SE1、SE4、SE2、SE3の順番で並べる必要がある。この場合、図9(a)において、シリーズ番号SE4のサムネイル画像gをドラッグ操作し、シリーズ番号SE1、SE2のサムネイル画像g間にドロップ操作する。
【0058】
操作部32を介して上記移動操作がなされると(ステップS19;Y)、制御部31は移動後の位置に応じてサムネイル画像gの並び順を変更し、変更後の並び順で各サムネイル画像gを再表示させる(ステップS20)。図9(b)は、再表示後を示す図である。図9(b)に示すように、シリーズ番号SE4のサムネイル画像gはシリーズ番号SE1のサムネイル画像gの次に並び、シリーズ番号SE2、SE3のサムネイル画像gは並び順が繰り下げられる。その後、制御部31は変更後の並び順に応じて、医用画像に付帯されているシリーズ番号の情報を書き換えて変更する(ステップS21)。
【0059】
さらに、サムネイル領域d12では、上記シリーズ単位の並び順の変更の他、シリーズ内での医用画像の並び順を変更することが可能である。シリーズ単位の表示時には、制御部31は図9(a)に示すように並び替えメニューk2を表示させる。この並び替えメニューk2では、シリーズ内の医用画像の並び順を昇順(画像番号1→nの順番)又は降順(画像番号n→1の順番)とすることを選択可能である。検像者は、まず並び替えを行うシリーズのサムネイル画像gの選択操作をした後、並び替えメニューk2から昇順又は降順の選択操作をする。
【0060】
例えば、上述のようにシリーズ番号の並び順をSE1、SE4、SE2、SE3とした場合、シリーズ単位では撮影部位が胸部→腹部の並び順となる。しかし、医用画像は全て昇順となっているため、シリーズ番号SE4、SE3のシリーズ内では医用画像は撮影部位が腹部→胸部の並び順となっている。よって、シリーズ内での医用画像の順番も胸部→腹部として読影を行いたい場合には、医用画像の順番を降順とする必要がある。
この場合、検像者は、図9(b)に示すサムネイル領域d12において、シリーズ番号SE4のサムネイル画像gを選択操作した後、並び替えメニューk2から降順を選択する操作を行う。シリーズ番号SE3についても同様の操作を行う。
【0061】
上記操作がなされると(ステップS22;Y)、制御部31はサムネイル画像gにより選択されたシリーズ番号SE3、SE4のシリーズに属する医用画像の並び順を、選択された順番(昇順又は降順)に変更する(ステップS23)。上述の例で降順が選択された場合には、画像番号nの医用画像を先頭にして並び順を逆にする。昇順が選択された場合には、画像番号が1だった医用画像を先頭として並び順を逆にする。なお、複数回変更を繰り返す場合、元の画像番号に基づいて昇順、降順の判断をすることとする。元の画像番号とは、医用画像の生成当初に付された画像番号である。つまり、元の画像番号が1→nとなる順番を昇順といい、元の画像番号がn→1となる順番を降順という。元の画像番号は履歴情報T5を参照することにより、把握することができる。
【0062】
サムネイル領域d12では、シリーズ番号SE3、SE4については画像番号1の医用画像のサムネイル画像を表示していたが、降順に変更したことにより先頭の医用画像が画像番号1から画像番号nに変更となったため、図9(c)に示すように、制御部31はムネイル画像gを画像番号nの医用画像に係るサムネイル画像gに変更して再表示させる。
【0063】
次いで、制御部31は、シリーズ内の医用画像の並び順の変更に応じて、変更に係る医用画像に付帯されている画像番号の情報を書き換えて変更する(ステップS24)。シリーズ番号SE4のシリーズに属する医用画像の並び順を昇順から降順にした場合、当該シリーズに属する医用画像全てについて画像番号の書き換えを行う。
【0064】
その後、制御部31は、シリーズ番号又は画像番号の変更に関する履歴情報T5を生成する(ステップS17)。シリーズ番号を変更した場合には、図3に示すように変更前のシリーズ番号と変更後のシリーズ番号を履歴情報T5に含ませる。さらに画像番号も変更したのであれば、同様に変更前後の画像番号を含ませる。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、検像装置3において医用画像のサムネイル画像を、その医用画像に付帯されている画像番号の順に一覧表示させ、このサムネイル画像を用いて医用画像の並び順の変更操作を可能とした。そして、変更操作に応じてサムネイル画像の表示順を変更するとともに、医用画像に付帯されている画像番号を書き換えて変更する。よって、後にPACS4の端末装置において医用画像を表示する際にも、医用画像に付帯されている画像番号の順に医用画像を表示するので、検像装置3で変更した通りの並び順で医用画像を表示させることができる。従って、読影医の読影に供する前に、読影に適した並び順で表示されるよう、検像装置3において簡便な操作で画像番号を調整することが可能となる。
【0066】
また、上記変更操作は、サムネイル画像を用いて行うので、医用画像の内容を確認しながら、並び順の変更操作を行うことができる。
【0067】
さらに、画像番号の変更を行った場合には、その履歴に関する履歴情報T5を生成するので、後に画像番号を元に戻したい場合にはこの履歴情報T5を参照することにより、容易に変更することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態によれば、シリーズ単位で医用画像のサムネイル画像を生成し、そのサムネイル画像をシリーズ番号順に表示させ、これらサムネイル画像を用いて医用画像の並び順の変更操作を可能とした。そして、変更操作に応じてシリーズ単位でサムネイル画像の表示順を変更するとともに、医用画像に付帯されているシリーズ番号を書き換えて変更する。よって、PACS4の端末装置ではシリーズ番号順に医用画像を表示するので、検像装置3で変更した通りの並び順で医用画像を表示させることができる。
【0069】
さらに、並び替えメニューk2の操作により、シリーズ内の医用画像の並び順の変更操作を可能とした。並び替えメニューk2の操作に応じて選択されたシリーズ内の医用画像の並び順を昇順又は降順に変更し、変更後の並び順に応じて医用画像の画像番号を書き換えるので、シリーズ単位で並び順を変更できるだけでなく、シリーズ内の医用画像の並び順をも変更することが可能となる。PACS4の端末装置では、医用画像に付帯されたシリーズ番号及び画像番号の順に医用画像の表示を行うので、読影医の読影に供する前に、読影に適した並び順で表示されるよう、検像装置3において簡便な操作でシリーズ番号、画像番号を調整することが可能となる。
【0070】
なお、上述した実施形態は好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、医用画像の画像番号やシリーズ番号を変更する操作に用いるサムネイル画像を、検像待ちリスト画面d1に表示する例を示したが、図10に示すようにサムネイル画像のみを表示させた表示画面d2において変更操作を可能としてもよい。表示画面d2では、シリーズ単位で表示領域を区切ってそのシリーズに対応する医用画像のサムネイル画像を表示させている。
シリーズ単位で並び順を変更する場合には、各シリーズの先頭(画像番号1)の医用画像のサムネイル画像を用いて変更操作すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】医用画像システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本実施形態における検像装置の機能的構成を示す図である。
【図3】医用画像の付帯情報の例を示す図である。
【図4】検像装置における検像処理の流れを説明する図である。
【図5】検像装置における医用画像の並び順の変更処理を説明する図である。
【図6】検像待ちリスト画面の一例を示す図である。
【図7】サムネイル画像を用いた医用画像の並び順の変更操作例を示す図である。
【図8】シリーズの医用画像の並び順について説明する図である。
【図9】(a)シリーズ単位によるサムネイル画像の表示例を示す図である。(b)(a)の表示状態からシリーズ単位で医用画像の並び順を変更した後の表示例を示す図である。(c)(b)の表示状態からシリーズ内の医用画像の並び順を変更した後の表示例を示す図である。
【図10】他のサムネイル画像の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
100 医用画像システム
1 RIS
2 画像生成装置
3 検像装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 画像メモリ
4 PACS
5 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための表示手段と、
画像番号の情報が付帯された医用画像を用いてそのサムネイル画像を生成し、当該サムネイル画像を当該医用画像に付帯されている画像番号順に前記表示手段上に表示させる表示制御手段と、
前記サムネイル画像の並び順を変更する操作を行うための操作手段と、
前記操作手段を介して変更操作がなされると、変更された並び順に応じて、変更操作に係るサムネイル画像の医用画像に付帯されている画像番号を書き換えて変更する変更制御手段と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記変更操作に応じて前記サムネイル画像の並び順を変更して再表示させる請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記医用画像の画像番号の変更に関する履歴情報を生成し、当該履歴情報を医用画像に付帯させる履歴制御手段を備える請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、互いに関連して一連のシリーズを構成する複数の医用画像であって、そのシリーズ番号の情報が付帯された医用画像について、それらのサムネイル画像を当該医用画像に付帯されているシリーズ番号順に、かつシリーズ単位で表示させ、
前記変更制御手段は、前記操作手段を介して前記サムネイル画像の並び順がシリーズ単位で変更操作されると、当該変更された並び順に応じて、変更操作に係るサムネイル画像の医用画像に付帯されているシリーズ番号を書き換えて変更する請求項1〜3の何れか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記変更操作に応じて前記表示されたサムネイル画像の並び順をシリーズ単位で変更して前記表示手段上に再表示させる請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記変更制御手段は、前記操作手段を介して同一シリーズに係るサムネイル画像について、そのシリーズ内における並び順の変更操作がなされると、当該変更操作に係るシリーズに属する医用画像に付帯されている画像番号を書き換えて変更する請求項4又は5に記載の医用情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−245737(P2008−245737A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88135(P2007−88135)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】