説明

医用画像システム及びプログラム

【課題】医用画像に付加された付加情報の種類を識別可能とする。
【解決手段】医用画像にアノテーションの位置を図示したアノテーションのレイヤー画像及び異常陰影候補の位置を図示したCAD結果のレイヤー画像を付加して印刷用画像を生成する際に、CAD結果と対応させて、CAD結果であることを識別するための識別情報(CADという文字等)を付加する。生成された印刷用画像はフィルム出力装置によりフィルム上に印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、女性の乳癌の罹患率が上昇傾向にある。乳癌は、早期に発見されれば治癒率が高い病気であり、早期発見のため、定期的に検診を行うことが推奨されている。乳癌の発見率を向上させるためには、乳房をX線撮影した画像に対してオーバーリーディングを行うことが有効であると言われている。オーバーリーディングとは、患者を撮影した医用画像を第1の医師が読影した後、第2の医師が読影を行うことである。しかし、現在、乳癌検診において、乳房画像の読影医の数は絶対的に不足しており、十分な検診を行うことができないのが実情であった。
【0003】
そのような状況の中、コンピュータ技術の発展により、コンピュータによる診断支援機能(CAD:Computer-Aided Diagnosis)が登場した。この機能は、デジタル撮影された医用画像(主にCR画像)の解析を行い、病変と思われる領域に対して注釈を付加してディスプレイ上で表示を行い、医師の読影を助ける機能である。乳房画像に対しては、腫瘤や微小石灰化等の病変の可能性がある異常陰影候補領域が検出される。デジタル画像診断においてCADの有効性が確認されており、様々なメーカから製品が出されている。
【0004】
ところで、ディスプレイに医用画像を表示させて読影を行う場合、ディスプレイの性能が、フィルムが有する階調表現性能までには達していないのが実情である。そこで、マンモグラフィ画像をフィルムに出力する際に異常陰影候補の位置を示すCAD結果も合わせてプリントするものが提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】藤田広志著、「マンモグラフィCADシステムの現状 Present Status of Mammography CAD System」、MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY、日本医用画像工学会、2003年1月、第21巻、第1号、p.27-33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、CAD結果はあくまで診断支援のためのものであり、医師が診断した結果として医用画像上に付加されたアノテーションと同程度には診断上の意義があるとはいえない。フィルムに出力された医用画像上にアノテーション、CAD結果等の付加情報が付加されている場合には、実際に医師が病変と診断して付加されたものなのか、CADの結果により付加されたものなのかを判断することができなかった。
【0007】
特に、医用画像において、CAD結果に基づいて表示された異常陰影候補領域のアウトライン表示と、医師が付加した円形のアノテーションは酷似している。ディスプレイ上で読影を行う場合には、CAD結果のアウトライン表示とアノテーションのそれぞれについて、個別に表示するか否かを選択することができるため、両者の違いを容易に判断することができる。一方、CAD結果のアウトライン表示とアノテーションの両方がフィルム等の記録媒体上に印刷されている場合には、それぞれを区別することは非常に困難であった。
【0008】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、医用画像に付加された付加情報の種類を識別可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の医用画像システムは、医用画像に当該医用画像上の予め定められた位置を図示した複数種類の付加情報を付加し、前記医用画像に付加された複数種類の付加情報のうち少なくともいずれか一つの種類の付加情報と対応させて当該付加情報の種類を識別するための識別情報を前記医用画像に付加して印刷用画像を生成する制御手段と、前記生成された印刷用画像を記録媒体に印刷する印刷手段と、を備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像システムにおいて、前記識別情報と対応する付加情報は、前記医用画像から検出された異常陰影候補の位置を図示したものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、コンピュータを、医用画像に当該医用画像上の予め定められた位置を図示した複数種類の付加情報を付加し、前記医用画像に付加された複数種類の付加情報のうち少なくともいずれか一つの種類の付加情報と対応させて当該付加情報の種類を識別するための識別情報を前記医用画像に付加して印刷用画像を生成する制御手段、前記生成された印刷用画像を印刷装置に出力する出力手段、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のプログラムにおいて、前記識別情報と対応する付加情報は、前記医用画像から検出された異常陰影候補の位置を図示したものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、3に記載の発明によれば、医用画像に付加された付加情報の種類を識別可能とすることができる。
【0014】
請求項2、4に記載の発明によれば、異常陰影候補の位置を図示した付加情報を、他の付加情報と識別可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】CAD装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】画像サーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】クライアント端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】CAD結果のレイヤー画像の生成方法を説明するための図である。
【図6】印刷用画像の生成方法を説明するための図である。
【図7】クライアント端末において実行される印刷用画像生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る医用画像システムの一実施形態について説明する。
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100は、モダリティ10、CAD装置20、画像サーバ装置30、クライアント端末40及びフィルム出力装置50が、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介してデータ通信可能に接続されて構成されている。ネットワークNは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格が適用されている。
【0017】
モダリティ10は、患者を撮影して医用画像の画像データのファイル(以下、画像ファイルという。)D1(図2参照)を生成し、この画像ファイルD1をCAD装置20及び画像サーバ装置30へそれぞれ送信する。モダリティ10としては、CR(Computed Radiography)装置、DX(Digital X-Ray)装置等が用いられる。
【0018】
CAD装置20は、モダリティ10から医用画像の画像ファイルD1を受信し、医用画像の画像解析を行い、異常陰影候補の検出を行う。そして、CAD装置20は、検出された異常陰影候補の位置を示すCAD結果ファイルD2を生成する。
【0019】
図2に、CAD装置20の機能的構成を示す。図2に示すように、CAD装置20は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、ROM(Read Only Memory)25、記憶部26を備えて構成され、各部はバス27により接続されている。
【0020】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、CAD装置20の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部22から入力される操作信号又は通信部24により受信される指示信号に応じて、ROM25又は記憶部26に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0021】
操作部22は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部21に出力する。
【0022】
表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部21から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0023】
通信部24は、モダリティ10、画像サーバ装置30等の外部機器との間でデータの送受信を行うインターフェースである。
【0024】
ROM25は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0025】
記憶部26は、ハードディスク等により構成され、各種データを記憶する。具体的には、記憶部26には、異常陰影の種類に応じた検出アルゴリズムに従って異常陰影候補の検出を行う検出プログラムが記憶されている。また、記憶部26には、画像ファイルD1、CAD結果ファイルD2が記憶される。
【0026】
制御部21は、記憶部26に記憶されている検出プログラムとの協働により、医用画像から異常陰影候補を検出し、CAD結果ファイルD2を生成する。CAD結果ファイルD2に含まれる各異常陰影候補の位置は、医用画像内において各異常陰影候補の領域(輪郭)を示すものであってもよいし、各異常陰影候補の代表点(例えば重心等)を示すものであってもよい。例えば、CAD装置20は、乳房画像から腫瘤、微小石灰化等の異常陰影候補を検出する。
【0027】
異常陰影候補の検出アルゴリズムとしては、公知のものを適用可能である。乳房画像における腫瘤の検出アルゴリズムとしては、例えば、アイリスフィルタ、ラプラシアンフィルタ等を用いた方法が適用可能である。また、微小石灰化の検出アルゴリズムとしては、例えば、モルフォロジーフィルタ、ラプラシアンフィルタ、3重リングフィルタ等を用いた方法が適用可能である。
【0028】
制御部21は、CAD結果ファイルD2を、通信部24を介して画像サーバ装置30に送信する。
【0029】
画像サーバ装置30は、PACS(Picture Archiving and Communication System)により構成され、モダリティ10から受信した画像ファイルD1等を保存し、クライアント端末40等の外部機器からの要求に応じて画像ファイルD1等を提供する。
【0030】
図3に、画像サーバ装置30の機能的構成を示す。図3に示すように、画像サーバ装置30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、ROM35、記憶部36を備えて構成され、各部はバス37により接続されている。
【0031】
制御部31は、CPU、RAM等から構成され、画像サーバ装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、ROM35又は記憶部36に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0032】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0033】
表示部33は、LCDにより構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0034】
通信部34は、モダリティ10、CAD装置20、クライアント端末40等の外部機器との間でデータの送受信を行うインターフェースである。
【0035】
ROM35は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0036】
記憶部36は、ハードディスク等により構成され、各種データを記憶する。具体的には、記憶部36には、モダリティ10から受信した画像ファイルD1と、CAD装置20から受信したCAD結果ファイルD2と、クライアント端末40から受信したアノテーションファイルD3と、が対応付けられて記憶される。
【0037】
CAD結果ファイルD2は、対応付けられる画像ファイルD1の医用画像から検出された異常陰影候補の位置を示す情報を含む。アノテーションファイルD3は、対応付けられる画像ファイルD1の医用画像を読影医が読影した際に付加したアノテーションの位置を示す情報を含む。
【0038】
制御部31は、通信部34を介してモダリティ10から画像ファイルD1を取得する。また、制御部31は、画像ファイルD1を解析して得られたCAD結果ファイルD2を、通信部34を介してCAD装置20から取得する。そして、制御部31は、取得した画像ファイルD1とCAD結果ファイルD2とを対応付けて記憶部36に記憶させる。
制御部31は、通信部34を介してクライアント端末40からアノテーションファイルD3を受信した場合には、さらに、アノテーションファイルD3を、画像ファイルD1及びCAD結果ファイルD2と対応付けて記憶部36に記憶させる。
【0039】
制御部31は、クライアント端末40から画像ファイルD1の取得要求があった場合に、要求された画像ファイルD1を記憶部36から読み出し、クライアント端末40に送信する。また、制御部31は、画像ファイルD1と対応付けられているCAD結果ファイルD2が記憶部36に存在する場合には、さらに、CAD結果ファイルD2を記憶部36から読み出し、クライアント端末40に送信する。また、制御部31は、画像ファイルD1と対応付けられているアノテーションファイルD3が記憶部36に存在する場合には、さらに、アノテーションファイルD3を記憶部36から読み出し、クライアント端末40に送信する。
【0040】
クライアント端末40は、画像サーバ装置30から取得した画像ファイルD1に基づいて医用画像を表示させ、当該医用画像の読影を行ったり、当該医用画像の印刷指示を行ったりするための装置であって、PC(Personal Computer)等から構成される。
【0041】
図4に、クライアント端末40の機能的構成を示す。図4に示すように、クライアント端末40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、ROM45、記憶部46、メモリ47を備え、各部はバス48により接続されている。
【0042】
制御部41は、CPU、RAM等から構成され、クライアント端末40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、ROM45又は記憶部46に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0043】
操作部42は、ユーザによる操作指示を受け付ける機能部である。操作部42は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。
【0044】
表示部43は、LCDにより構成され、制御部41から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0045】
通信部44は、画像サーバ装置30等の外部機器との間でデータの送受信を行うインターフェースである。
【0046】
ROM45は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0047】
記憶部46は、ハードディスク等により構成され、各種データを記憶する。例えば、記憶部46には、読影を行う際に医用画像を表示部43に表示させるための画像ビューワプログラム461や、医用画像をフィルムに出力する際に印刷用画像を生成するための印刷用画像生成プログラム462が記憶されている。
【0048】
メモリ47は、半導体メモリ等により構成され、処理中のデータを記憶する。具体的には、メモリ47には、画像サーバ装置30から取得した画像ファイルD1、CAD結果ファイルD2及びアノテーションファイルD3等が記憶される。
【0049】
制御部41は、画像ビューワプログラム461との協働により、通信部44を介して、画像サーバ装置30に対して、記憶部36に記憶されている医用画像の画像ファイルD1の取得要求を送信し、画像サーバ装置30から医用画像の画像ファイルD1を取得する。このとき、当該画像ファイルD1に対応付けられたCAD結果ファイルD2が画像サーバ装置30に存在する場合には、制御部41は、通信部44を介して、このCAD結果ファイルD2を取得する。制御部41は、画像ファイルD1に基づいて、表示部43に医用画像を表示させるとともに、CAD結果ファイルD2が存在する場合には、当該CAD結果ファイルD2に基づいて、医用画像上に異常陰影候補の位置を図示する。そして、読影が行われ、必要に応じて、読影医の操作部42からの操作に基づいて、医用画像上にアノテーションが描画される。制御部41は、このアノテーションの位置を示す情報を、アノテーションファイルD3として画像サーバ装置30に通信部44を介して送信する。
【0050】
制御部41は、印刷用画像生成プログラム462との協働により、印刷用画像を生成する。具体的には、制御部41は、通信部44を介して、画像サーバ装置30に対して、記憶部36に記憶されている医用画像の画像ファイルD1の取得要求を送信し、画像サーバ装置30から医用画像の画像ファイルD1を取得する。このとき、当該画像ファイルD1に対応付けられたCAD結果ファイルD2が画像サーバ装置30に存在する場合には、制御部41は、通信部44を介して、このCAD結果ファイルD2を取得する。また、当該画像ファイルD1に対応付けられたアノテーションファイルD3が画像サーバ装置30に存在する場合には、制御部41は、通信部44を介して、このアノテーションファイルD3を取得する。
【0051】
制御部41は、画像サーバ装置30から取得した画像ファイルD1、CAD結果ファイルD2及びアノテーションファイルD3に基づいて、印刷用画像を生成する。
制御部41は、医用画像に当該医用画像上の予め定められた位置を図示した複数種類の付加情報(アノテーション、CAD結果)を付加し、医用画像に付加された複数種類の付加情報のうち少なくともいずれか一つの種類の付加情報と対応させて当該付加情報の種類を識別するための識別情報を医用画像に付加して印刷用画像を生成する。
制御部41は、生成された印刷用画像を通信部44を介してフィルム出力装置50に出力する。
【0052】
制御部41は、アノテーションファイルD3に基づいて、医師が診断により付加したアノテーションの位置を図示したアノテーションのレイヤー画像を生成する。アノテーションのレイヤー画像は、アノテーションの位置以外は透明を示すデータとなっている。また、制御部41は、CAD結果ファイルD2に基づいて、CAD装置20により検出された異常陰影候補の位置を図示したCAD結果のレイヤー画像を生成する。CAD結果のレイヤー画像は、異常陰影候補の位置以外は透明を示すデータとなっている。
【0053】
制御部41は、CAD結果のレイヤー画像を生成する際に、まず、図5(a)に示すCAD結果C1の位置情報に基づいて、図5(b)に示すように、CAD結果C1を囲む矩形領域C2を算出する。そして、図5(c)に示すように、識別情報を印刷する位置を、例えば矩形領域の右上の領域C3に決定し、識別情報として「CAD」という文字を付加する。
【0054】
制御部41は、図6に示すように、医用画像にアノテーションのレイヤー画像及びCAD結果のレイヤー画像を重ねて印刷用画像を生成する。
なお、図5及び図6では、異常陰影候補の位置として、異常陰影候補の領域(輪郭)を図示しているが(アウトライン表示)、異常陰影候補の代表点をマークにより図示してもよい。
【0055】
次に、動作について説明する。
図7は、クライアント端末40において実行される印刷用画像生成処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部41のCPUと、記憶部46に記憶されている印刷用画像生成プログラム462との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0056】
まず、ユーザの操作部42からの操作により、印刷対象となる医用画像の画像ファイルD1が選択され、制御部41の制御に従って、通信部44により、画像サーバ装置30に対して、選択された医用画像の画像ファイルD1の取得要求が送信される。そして、制御部41により、通信部44を介して、画像サーバ装置30から医用画像の画像ファイルD1が取得され、メモリ47上にロードされる。このとき、当該画像ファイルD1に対応付けられたCAD結果ファイルD2及びアノテーションファイルD3が画像サーバ装置30に存在する場合には、制御部41により、通信部44を介して、画像サーバ装置30からCAD結果ファイルD2及びアノテーションファイルD3が取得され、メモリ47上にロードされる。
【0057】
次に、制御部41により、医用画像の画像ファイルD1に基づいて、印刷用画像(ビットマップデータ)が生成される(ステップS1)。
【0058】
次に、制御部41により、メモリ47上にアノテーションファイルD3が存在するか否かが判断される(ステップS2)。メモリ47上にアノテーションファイルD3が存在する場合には(ステップS2;YES)、制御部41により、アノテーションファイルD3に基づいて、アノテーションのレイヤー画像が生成される(ステップS3)。そして、制御部41により、印刷用画像にアノテーションのレイヤー画像が付加される(ステップS4)。
【0059】
ステップS2においてメモリ47上にアノテーションファイルD3が存在しない場合(ステップS2;NO)、又は、ステップS4の後、制御部41により、メモリ47上にCAD結果ファイルD2が存在するか否かが判断される(ステップS5)。メモリ47上にCAD結果ファイルD2が存在する場合には(ステップS5;YES)、制御部41により、CAD結果ファイルD2に基づいて、CAD結果のレイヤー画像が生成される(ステップS6)。
【0060】
次に、制御部41により、CAD結果から矩形領域が算出される(ステップS7)。具体的には、制御部41により、異常陰影候補領域の縦方向・横方向の座標の最小値及び最大値が求められ、異常陰影候補の領域を囲む最小の矩形領域が算出される。
【0061】
次に、制御部41により、算出された矩形領域に基づいて、識別情報を付加すべき位置が決定される(ステップS8)。例えば、制御部41により、矩形領域の右上の領域が識別情報を付加すべき位置として決定される。
【0062】
次に、制御部41により、CAD結果のレイヤー画像のステップS8において決定された位置に「CAD」という識別情報が付加される(ステップS9)。そして、制御部41により、印刷用画像にCAD結果のレイヤー画像が付加される(ステップS10)。
【0063】
ステップS5においてメモリ47上にCAD結果ファイルD2が存在しない場合(ステップS5;NO)、又は、ステップS10の後、制御部41により、通信部44を介して、印刷用画像がフィルム出力装置50に送信される(ステップS11)。
以上で、印刷用画像生成処理が終了する。
【0064】
フィルム出力装置50では、印刷用画像がフィルム上に印刷される。印刷用画像がアノテーション及びCAD結果を含む場合には、医用画像上にアノテーション、CAD結果及びCAD結果を識別するための「CAD」という識別情報が付加された状態でフィルム上に出力される。
【0065】
以上説明したように、医用画像システム100によれば、クライアント端末40において、医用画像に複数種類の付加情報を付加し、医用画像に付加された複数種類の付加情報のうち少なくともいずれか一つの種類の付加情報と対応させて当該付加情報の種類を識別するための識別情報を医用画像に付加して印刷用画像を生成するので、医用画像に付加された付加情報の種類を識別可能とすることができる。
【0066】
本実施の形態のように、異常陰影候補の位置を図示した付加情報(CAD結果)と対応させて、CAD結果であることを示す識別情報を医用画像に付加した場合には、CAD結果を他の付加情報(アノテーション)と識別可能とすることができる。このようにして、フィルムに出力された医用画像を医師が読影する際にもCAD結果を利用することができる。
【0067】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る医用画像システムの例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0068】
例えば、上記実施の形態では、医用画像システム100が独立した装置としてCAD装置20を備える構成としたが、画像サーバ装置30の内部にCAD装置20を包含する形を取ってもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、医用画像上にCAD結果及びアノテーションを付加して印刷用画像を生成する場合について説明したが、医用画像上の予め定められた位置を図示した付加情報としては、医用画像上の長さや角度を図示した計測線及び計測結果や、DICOM規格のGSPS(Grayscale Softcopy Presentation State)を用いることもできる。その際、CAD結果のみに識別情報を付加してもよいし、複数種類の付加情報のそれぞれに対して、対応する識別情報を付加することとしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、識別情報として文字を付加することとしたが、付加情報の種類を識別するための識別情報であれば、記号・図形等であってもよい。また、上記実施の形態では、CAD結果の右上の領域に識別情報を付加する場合について説明したが、識別情報を付加する位置は、付加情報との対応関係が認識可能な程度に付加情報の近傍であって、かつ付加情報と重ならない位置であればどこであってもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、医用画像に付加情報を付加し、さらに識別情報を付加して印刷用画像を生成し、印刷用画像をフィルム上に印刷する場合について説明したが、印刷用画像を印刷するための記録媒体はフィルムに限らず、用紙等を用いることもできる。
【0072】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMやハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 モダリティ
20 CAD装置
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 通信部
25 ROM
26 記憶部
27 バス
30 画像サーバ装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 ROM
36 記憶部
37 バス
40 クライアント端末
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 ROM
46 記憶部
47 メモリ
48 バス
100 医用画像システム
461 画像ビューワプログラム
462 印刷用画像生成プログラム
D1 画像ファイル
D2 CAD結果ファイル
D3 アノテーションファイル
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像に当該医用画像上の予め定められた位置を図示した複数種類の付加情報を付加し、前記医用画像に付加された複数種類の付加情報のうち少なくともいずれか一つの種類の付加情報と対応させて当該付加情報の種類を識別するための識別情報を前記医用画像に付加して印刷用画像を生成する制御手段と、
前記生成された印刷用画像を記録媒体に印刷する印刷手段と、
を備える医用画像システム。
【請求項2】
前記識別情報と対応する付加情報は、前記医用画像から検出された異常陰影候補の位置を図示したものである、
請求項1に記載の医用画像システム。
【請求項3】
コンピュータを、
医用画像に当該医用画像上の予め定められた位置を図示した複数種類の付加情報を付加し、前記医用画像に付加された複数種類の付加情報のうち少なくともいずれか一つの種類の付加情報と対応させて当該付加情報の種類を識別するための識別情報を前記医用画像に付加して印刷用画像を生成する制御手段、
前記生成された印刷用画像を印刷装置に出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項4】
前記識別情報と対応する付加情報は、前記医用画像から検出された異常陰影候補の位置を図示したものである、
請求項3に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−110173(P2011−110173A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268278(P2009−268278)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】