説明

医用画像処理装置、及び医用画像処理プログラム

【課題】医用画像から観察領域を自動的に特定することが可能な医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】この実施形態に係る医用画像処理装置は、第1の抽出手段と、加算手段と、第1の特定手段と、第2の特定手段と、を有する。第1の抽出手段は、注目臓器を含む領域を表すボリュームデータを受けて、ボリュームデータから空気領域を特定する。加算手段は、ボリュームデータの各画素の画素値を所定の投影方向に沿って加算することにより、画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する。第1の特定手段は、投影画像データから第1の特徴点を特定する。第2の特定手段は、空気領域において第1の特徴点を通り所定の投影方向に沿って延びる線上の点を第2の特徴点として求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置やMRI装置などの医用画像撮影装置を用いて医用画像を取得し、その医用画像を用いた診断が行われている。例えば医用画像を用いて肺気腫の診断が行われている。医用画像を用いた肺気腫の診断では、医用画像から肺野領域を特定(抽出)する必要がある。医用画像から肺野領域を特定(抽出)する手法として、領域拡張(region growing)法がある。領域拡張法は、抽出したい領域内にある1画素を決定し、その画素を開始点(シード点)として、領域内とみなされる画素を次々と抽出する方法である。このように領域拡張法では、抽出すべき領域(例えば肺野領域)内にある1画素が特定されればよい。従来においては、観察者が医用画像を参照して目視によって肺野領域内にある1画素を決定していた。例えば、胸部が表されたコロナル像やアキシャル像を観察者が目視で確認し、肺野領域内にある1画素を決定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−167067
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、観察者が目視によって肺野領域内にある1画素を決定する場合、その決定に手間がかかってしまう。また、観察者が目視で1画素を決定するため、診断の速さが低下し、その結果、診断時間が長くなってしまう。また、観察者が1画素を決定するため、その決定の再現性が低くなるおそれがある。また、観察者間で判断が変わってしまったり、同じ観察者であっても時間が経過すると判断が変わってしまったりするおそれがある。このように、観察者間及び観察者内において判断が変わってしまうおそれがある。
【0005】
この実施形態は、医用画像から注目臓器を自動的に特定することが可能な医用画像処理装置、及び医用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この実施形態に係る医用画像処理装置は、第1の抽出手段と、加算手段と、第1の特定手段と、第2の特定手段と、を有する。第1の抽出手段は、注目臓器を含む領域を表すボリュームデータを受けて、ボリュームデータから空気領域を特定する。加算手段は、ボリュームデータのうち前記空気領域内の各画素の画素値を所定の投影方向に沿って加算することにより、画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する。第1の特定手段は、投影画像データから第1の特徴点を特定する。第2の特定手段は、空気領域において第1の特徴点を通り所定の投影方向に沿って延びる線上の点を第2の特徴点として求める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この実施形態に係る医用画像処理装置のブロック図である。
【図2】低画素値領域を示す図である。
【図3】投影画像を示す図である。
【図4】投影画像を示す図である。
【図5】低画素値領域と線状領域とを示す図である。
【図6】低画素値領域と線状領域とを示す図である。
【図7】医用画像を示す図である。
【図8】医用画像を示す図である。
【図9】この実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照して、この実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。この実施形態に係る医用画像処理装置1は、例えば医用画像撮影装置90に接続されている。
【0009】
(医用画像撮影装置90)
医用画像撮影装置90には、X線CT装置やMRI装置などの撮影装置が用いられる。医用画像撮影装置90は、被検体を撮影することで被検体を表す医用画像データを生成する。例えば医用画像撮影装置90は、3次元の撮影領域を撮影することで3次元の撮影領域を表すボリュームデータを生成する。例えば医用画像撮影装置90としてのX線CT装置は、3次元の撮影領域を撮影することにより、位置がそれぞれ異なる複数の断面におけるCT画像データを生成する。X線CT装置は、複数のCT画像データを用いてボリュームデータを生成する。医用画像撮影装置90は、ボリュームデータを医用画像処理装置1に出力する。この実施形態では医用画像撮影装置90によって、肺、大腸、又は胃などの注目臓器を撮影し、注目臓器を含む領域を表すボリュームデータを取得する。一例として医用画像撮影装置90によって被検体の胸部を撮影し、肺野領域を含む領域を表すボリュームデータを取得した場合について説明する。
【0010】
(医用画像処理装置1)
医用画像処理装置1は、画像記憶部2と、第1の抽出部3と、加算部4と、第1の特定部5と、線状領域算出部6と、第2の特定部7と、第2の抽出部8と、画像生成部9と、表示制御部10と、表示部11とを有する。
【0011】
(画像記憶部2)
画像記憶部2は、医用画像撮影装置90によって生成されたボリュームデータを記憶する。なお、医用画像撮影装置90がボリュームデータを生成せずに、医用画像処理装置1がボリュームデータを生成してもよい。この場合、医用画像処理装置1は、医用画像撮影装置90によって生成された複数の医用画像データ(例えばCT画像データ)を受けて、複数の医用画像データに基づいてボリュームデータを生成する。この場合、画像記憶部2は、医用画像処理装置1によって生成されたボリュームデータを記憶する。
【0012】
(第1の抽出部3)
第1の抽出部3はボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、閾値処理によってボリュームデータから低画素値領域(空気領域)を抽出する。例えば、第1の抽出部3は、2値化処理によって低画素値領域を抽出する。具体的には、第1の抽出部3は、CT値や輝度値などの画素値が予め設定された閾値以下となる領域を濃度値「1」とし、画素値が閾値より大きくなる領域を濃度値「0」とすることにより、画素値(例えばCT値)が低い領域(空気領域)を抽出する。画素値はCT値であってもよいし、輝度値であってもよい。なお、閾値処理の範囲は体表内とする。図2に抽出結果を示す。図2に示す低画素値領域100は、第1の抽出部3によってボリュームデータから抽出された3次元領域である。この低画素値領域100は、例えば空気領域に相当する。
【0013】
(加算部4)
加算部4は、ボリュームデータのうち低画素値領域内の各画素の画素値を所定の投影方向に沿って加算することにより、画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する。ここで、互いに直交するコロナル面、アキシャル面、及びサジタル面を定義する。また、コロナル面に直交する軸をY軸とし、アキシャル面に直交する軸をZ軸とし、サジタル面に直交する軸をX軸とする。Z軸は被検体の体軸に相当する。加算部4は、例えばコロナル面に直交する方向(Y軸方向)を投影方向とし、各コロナル面における各画素の画素値をコロナル面に直交する投影方向(Y軸方向)に沿って加算することにより、画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する。この投影画像データは、コロナル面に平行な平面に各コロナル面における低画素値領域が加算投影された画像データである。
【0014】
図3に投影画像の一例を示す。上述した加算部4の処理は、次のように説明することもできる。ある座標(x、y、z)においてx座標とz座標とを固定し、y座標におけるすべての画素の画素値の和を、xz平面(コロナル面)の各画素の画素値とすることにより投影画像データとする。
投影画像データの各画素値Map(x,z)は、以下の式(1)で定義できる。
式(1):Map(x,z)=ΣMask(x,y,z)
ここで、Mask(x,y,z)は、低画素値領域内の各画素の画素値である。
加算の範囲(yの範囲)は、一例としてi=1〜512とする。すなわち、512枚のコロナル面について加算投影することにより投影画像データを生成する。
図3に示す投影画像200が、式(1)のMap(x,z)に対応する画像である。
【0015】
(第1の特定部5)
第1の特定部5は、投影画像データから第1の特徴点を特定する。具体的には、第1の特定部5は、投影画像データの各画素のうち加算値(画素値)が最大となる画素を第1の特徴点とする。図4に、投影画像と第1の特徴点とを示す。第1の特定部5は、投影画像200において、加算値が最大となる画素(x,z)を第1の特徴点210として特定する。投影画像200において加算値が最大となる画素は、肺野領域内の画素である可能性が高いことを意味している。そのため、この実施形態では、投影画像データにおいて加算値が最大となる画素を特定する。
【0016】
なお、肺を対象として処理を行う場合、第1の特定部5は、X軸方向の中心で投影画像200を分割し、一方の領域に含まれる投影画像を対象にして加算値が最大となる画素を特定してもよい。すなわち、第1の特定部5は、X軸方向の中心を間にして右側の肺部及び左側の肺部のそれぞれを別々の処理対象としてもよい。この場合、第1の特定部5は、右側の肺部において加算値が最大となる画素を、右側の肺部における第1の特徴点として特定し、左側の肺部において加算値が最大となる画素を、左側の肺部における第1の特徴点として特定する。第1の特定部5は、右側の肺部のみ又は左側の肺部のみを対象として第1の特徴点を特定してもよいし、両側の肺部を対象にしてそれぞれの第1の特徴点を特定してもよい。例えば、操作者が図示しない操作部によって、右側の肺部又は左側の肺部を特定するようにしてもよい。
【0017】
(線状領域算出部6)
線状領域算出部6は、第1の特徴点を通り上述した投影方向に沿って延びる線状領域を求める。すなわち、線状領域算出部6は、第1の特徴点の座標(x,z)を、投影方向に沿って元の3次元空間に逆投影することにより線状領域を求める。この実施形態では一例として、線状領域算出部6は、第1の特徴点を通り投影方向(Y軸方向)に沿って元の3次元空間に逆投影する。線状領域の位置は座標群(x,yi,z)で表される。図5に低画素値領域と線状領域とを示す。図5には、アキシャル面における低画素値領域300が示されている。線状領域310は、第1の特徴点の座標(x,z)を通り、座標群(x,yi,z)で表される。上述したように投影画像200において加算値が最大となる画素は肺野領域内の画素である可能性が高いため、投影画像200において最大値を持つ画素の座標(x,z)を3次元空間に投影した線状領域(座標群(x,y,z))には、肺野領域内の1画素が存在している可能性が高い。
【0018】
(第2の特定部7)
第2の特定部7は、低画素値領域において線状領域上の点を第2の特徴点として求める。具体的には、第2の特定部7は、線状領域と低画素値領域の輪郭との交点(x,y,z)を求め、その交点を第2の特徴点として定義する。例えば図6に示すように、第2の特定部7は、低画素値領域300の輪郭と線状領域310との交点320を求める。この交点320は、低画素値領域300のなかで肺野領域内にある可能性が高いため、この交点320の画素を肺野領域内の画素(第2の特徴点)として定義する。第2の特定部7は、第2の特徴点の座標(x,y,z)を示す座標情報を表示制御部10に出力する。
【0019】
なお、図6に示す例では、低画素値領域300の輪郭と線状領域310とは2つの交点(交点320と交点321)で交差する。このように複数の交点がある場合には、第2の特定部7は、いずれか1つの交点を第2の特徴点とする。例えば、操作者が図示しない操作部を用いて、複数の交点から1つの交点を指定するようにしてもよい。後述する表示制御部10が、第2の特徴点を表すマークを医用画像に重ねて表示部11に表示させ、操作者が操作部を用いて所望の交点を指定すればよい。
【0020】
また、上述したように、低画素値領域において線状領域上の点は、肺野領域内の1画素が存在している可能性が高い。そのため、第2の特定部7は、低画素値領域において線状領域上の任意の点を第2の特徴点としてもよい。
【0021】
(第2の抽出部8)
第2の抽出部8は、例えば領域拡張法を用いてボリュームデータから肺野領域を抽出する。この実施形態では、第2の抽出部8は、第2の特徴点の座標(x,y,z)を第2の特定部7から受け、ボリュームデータを画像記憶部2から読み込む。そして、第2の抽出部8は、第2の特徴点を領域拡張法の開始点(シード点)として、肺野領域とみなせる画素をボリュームデータから抽出する。第2の抽出部8は、肺野領域の画像を表す肺野領域画像データを表示制御部10に出力する。
【0022】
(画像生成部9)
画像生成部9はボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、そのボリュームデータにボリュームレンダリングを施すことにより3次元画像データを生成する。または、画像生成部9は、ボリュームデータにMPR処理(Multi Planar Reconstruction)を施すことにより、任意の断面における画像データ(MPR画像データ)を生成してもよい。画像生成部9は、3次元画像データやMPR画像データなどの医用画像データを表示制御部10に出力する。
【0023】
(表示制御部10)
表示制御部10は、医用画像データを画像生成部9から受けて、医用画像データに基づく医用画像を表示部11に表示させる。また、表示制御部10は、第2の特徴点の座標情報を第2の特定部7から受けて、第2の特徴点を表すマークを医用画像に重ねて表示部11に表示させてもよい。図7及び図8に医用画像の一例を示す。例えば図7に示すように、表示制御部10は、第2の特徴点を表すマーク410をアキシャル像400に重ねて表示部11に表示させる。また、図8に示すように、表示制御部10は、第2の特徴点を表すマーク510をコロナル像500に重ねて表示部11に表示させてもよい。なお、第2の特徴点が複数ある場合、表示制御部10は複数の第2の特徴点のそれぞれを表すマークを、医用画像に重ねて表示部11に表示させてもよい。
【0024】
また、表示制御部10は、肺野領域の画像を表す肺野領域画像データを第2の抽出部8から受けて、肺野領域を表す画像を表示部11に表示させてもよい。
【0025】
(表示部11)
表示部11は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタで構成されている。表示部11は、医用画像や肺野領域などを表示する。
【0026】
上述した第1の抽出部3、加算部4、第1の特定部5、線状領域算出部6、第2の特定部7、第2の抽出部8、画像生成部9、及び表示制御部10のそれぞれの機能は、プログラムによって実行されてもよい。一例として、第1の抽出部3、加算部4、第1の特定部5、線状領域算出部6、第2の特定部7、第2の抽出部8、画像生成部9、及び表示制御部10はそれぞれ、CPU、GPU、又はASICなどの図示しない処理装置と、ROM、RAM、又はHDDなどの図示しない記憶装置とによって構成されていてもよい。記憶装置には、第1の抽出部3の機能を実行するための第1の抽出プログラムと、加算部4の機能を実行するための加算プログラムと、第1の特定部5の機能を実行するための第1の特定プログラムと、線状領域算出部6の機能を実行するための線状領域算出プログラムと、第2の特定部7の機能を実行するための第2の特定プログラムと、画像生成部9の機能を実行するための画像生成プログラムと、表示制御部10の機能を実行するための表示制御プログラムと、が記憶されている。CPUなどの処理装置が、記憶部に記憶されている各プログラムを実行することにより、各部の機能を実行する。なお、第1の抽出プログラムと、加算プログラムと、第1の特定プログラムと、線状領域算出プログラムと、第2の特定プログラムとによって、「医用画像処理プログラム」の一例を構成する。
【0027】
(動作)
図9を参照して、この実施形態に係る医用画像処理装置1の動作について説明する。
【0028】
(ステップS01)
まず、第1の抽出部3が、ボリュームデータを画像記憶部2から読み込む。
【0029】
(ステップS02)
第1の抽出部3は、閾値処理によってボリュームデータから低画素値領域(空気領域)を抽出する。
【0030】
(ステップS03)
加算部4は、ボリュームデータのうち低画素値領域内の各画素の画素値を所定の投影方向に沿って加算することにより、画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する。一例として、加算部4は、コロナル面に直交する方向(Y軸方向)を投影方向とし、各コロナル面における各画素の画素値を投影方向(Y軸方向)に沿って加算することにより、画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する。
【0031】
(ステップS04)
第1の特定部5は、投影画像データの各画素のうち加算値(画素値)が最大となる画素を第1の特徴点(x,z)とする。
【0032】
(ステップS05)
線状領域算出部6は、第1の特徴点の座標(x,z)を、投影方向(Y軸方向)に沿って元の3次元空間に逆投影することにより線状領域(x,yi,z)を求める。すなわち、線状領域算出部6は、第1の特徴点を通り投影方向に沿って延びる線状領域を求める。
【0033】
(ステップS06)
第2の特定部7は、低画素値領域と線状領域との交点(x,y,z)を求め、その交点を第2の特徴点として定義する。この交点が、低画素値領域のなかで肺野領域内にある可能性が高いため、この交点の画素を肺野領域内の画素(第2の特徴点)として定義する。
【0034】
(ステップS07)
画像生成部9はボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、そのボリュームデータに基づいて医用画像データを生成する。表示制御部10は、第2の特徴点を表すマークを医用画像に重ねて表示部11に表示させる。例えば表示制御部10は、アキシャル像やコロナル像に第2の特徴点を表すマークを重ねて表示部11に表示させる。
【0035】
(ステップS08)
第2の抽出部8は、ボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、第2の特徴点(x,y,z)を領域拡張法の開始点(シード点)として、肺野領域とみなせる画素をボリュームデータから抽出する。
【0036】
(ステップS09)
表示制御部10は、抽出された肺野領域を表す画像を表示部11に表示させる。
【0037】
なお、ステップS07の処理とステップS08の処理とは順番が逆であってもよいし、同時に行われてもよい。また、ステップS07の処理を行わずに、ステップS08及びステップS09の処理を行ってもよいし、ステップS08及びステップ09の処理を行わずに、ステップS07の処理を行ってもよい。
【0038】
以上のようにこの実施形態に係る医用画像処理装置1によると、肺野領域に含まれる1画素(第2の特徴点)を自動的に決定することが可能となる。そのため、肺野領域を自動的に抽出することが可能となる。その結果、肺野領域に含まれる1画素を目視により決定する手間を省くことが可能となり、診断時間を短縮することが可能となる。
【0039】
また、目視に比べて、1画素(第2の特徴点)を特定する再現性が高くなる。その結果、肺野領域を抽出する再現性も高くなるため、解剖学的に同じ領域を抽出することができ、予後経過の診断に役立てる可能性がある。
【0040】
また、肺野領域に含まれる1画素(第2の特徴点)を自動的に決定することができるため、観察者間でのエラー及び観察者内でのエラーを低減することが可能となる。このように観察者の経験などによらずに、診断を支援することが可能となる。
【0041】
なお、この実施形態では肺野領域を抽出する場合について説明したが、大腸や胃を対象とする場合であっても、上述した処理を実行することにより、大腸や胃などの領域を抽出することができる。
【0042】
また、医用画像撮影装置90が医用画像処理装置1の機能を備えていてもよい。
【0043】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 医用画像処理装置
2 画像記憶部
3 第1の抽出部
4 加算部
5 第1の特定部
6 線状領域特定部
7 第2の特定部
8 第2の抽出部
9 画像生成部
10 表示制御部
11 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目臓器を含む領域を表すボリュームデータを受けて、前記ボリュームデータから空気領域を特定する第1の抽出手段と、
前記ボリュームデータのうち前記空気領域内の各画素の画素値を所定の投影方向に沿って加算することにより、前記画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する加算手段と、
前記投影画像データから第1の特徴点を特定する第1の特定手段と、
前記空気領域において前記第1の特徴点を通り前記所定の投影方向に沿って延びる線上の点を第2の特徴点として求める第2の特定手段と、
を有する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の特定手段は、前記線と前記空気領域の輪郭との交点を前記第2の特徴点として求める、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の特定手段は、前記投影画像データの各画素のうち前記加算値が最大となる画素を前記第1の特徴点として求める、
請求項1又は請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記第2の特徴点を開始点として、領域拡張法により前記ボリュームデータから前記注目臓器を特定する第2の抽出手段を更に有する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記ボリュームデータに基づく医用画像に前記第2の特徴点を表すマークを重ねて表示手段に表示させる表示制御手段を更に有する、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
注目臓器を含む領域を表すボリュームデータから空気領域を特定する第1の抽出機能と、
前記ボリュームデータのうち前記空気領域内の各画素の画素値を所定の投影方向に沿って加算することにより、前記画素値の加算値の分布を表す投影画像データを生成する加算機能と、
前記投影画像データから第1の特徴点を特定する第1の特定機能と、
前記空気領域において前記第1の特徴点を通り前記所定の投影方向に沿って延びる線上の点を第2の特徴点として求める第2の特定機能と、
を実行させる医用画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−75806(P2012−75806A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226187(P2010−226187)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】