説明

医用画像撮影支援装置、医用画像撮影装置および医用画像撮影支援方法

【課題】医用画像撮影装置の撮影条件の決定を支援すること。
【解決手段】操作者が画像の選択条件として入力した患者情報および臨床アプリケーションの情報に基づいて適合画像取得部103が選択条件に適合する画像を画像検索部104から取得し、各画像の適合度、使用履歴および操作者の所属をもとにして算出したポイントに基づいて表示順位をリスト順位決定部105が決定する。そして、画像一覧表示部109が表示順位に基づいて代表画像一覧を表示し、操作者が代表画像一覧から選択した画像に基づいて撮影条件決定部113が撮影条件を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線CT装置やMRI装置などの医用画像撮影装置で医用画像を撮影する場合の撮影条件の決定を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像撮影装置で被検体を撮影するためには、事前に撮影条件を決定する必要がある。具体的には、多数のパラメータの値および再構成関数の種類を決定する必要がある。X線CTであれば、撮影条件(スキャン条件)には、スキャンタイプ(シングルスライススキャン/ヘリカルスキャン(ボリュームスキャン))、スライス厚、スライス間隔、ボリュームサイズ、ガントリ傾斜角度、管電圧、管電流、撮影領域サイズ、スキャンスピード等のパラメータが含まれる。
【0003】
このような数個、さらには数十にもおよぶこともあるパラメータを、撮影の都度、マニュアルで逐一設定することは、非効率的かつ非現実的である。そこで、プリセット機能が活用されている。このプリセット機能は、メーカが推奨するパラメータセットや、過去に使ったことのあるパラメータセットを記憶しておき、それらをボタン操作で再現するものである。すなわち、操作者により選択されたパラメータセットに従って、信号が収集される。
【0004】
しかし、プリセット機能を活用する場合にも、単純にプリセットボタンの数を増やすことはできない。その理由は、プリセットボタンの数を増やすことは簡単であるが、数が増えると、どのプリセットボタンにどのような撮影条件が登録されているのか、その対応関係が分かり難くなり、かえって、利便性が低下してしまうためである。
【0005】
そこで、あらかじめインストールされている画像および過去画像の一覧を参照画像として表示し、操作者がその中から一つの画像を選択すると、その選択された画像に関連付けられているパラメータおよび再構成関数を装置に適用する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−235334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来技術には、表示された数多くの画像から適切な画像を選択することが容易でないという問題がある。また、選択した画像のパラメータの一部を変更した場合にどのような画像が得られるかがわからないという問題もある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、画像を指定してパラメータ設定および再構成関数の選択を行う場合に適切な画像を表示し、撮影条件の決定を支援することができる医用画像撮影支援装置、医用画像撮影装置および医用画像撮影支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、医用画像の撮影を支援する医用画像撮影支援装置であって、被検体の情報と被検体の画像と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段と、新たに画像を撮影する被検体の情報を画像の選択条件として受け付ける被検体情報受付手段と、前記被検体情報受付手段により受け付けられた選択条件に適合する複数の画像を前記画像記憶手段から検索して表示する適合画像表示手段と、前記適合画像表示手段により表示された複数の画像の中から操作者によって選択された画像の撮影条件を前記画像記憶手段から検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の本発明は、医用画像の撮影を支援する医用画像撮影支援装置であって、臨床アプリケーションと症例または部位と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段と、新たに撮影する画像の臨床アプリケーションと症例または部位とに関する情報を受け付ける臨床情報受付手段と、前記臨床情報受付手段により受け付けられた情報を用いて前記画像記憶手段から撮影条件を検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の本発明は、被検体の情報と被検体の画像と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段と、新たに画像を撮影する被検体の情報を画像の選択条件として受け付ける被検体情報受付手段と、前記被検体情報受付手段により受け付けられた選択条件に適合する複数の画像を前記画像記憶手段から検索して表示する適合画像表示手段と、前記適合画像表示手段により表示された複数の画像の中から操作者によって選択された画像の撮影条件を前記画像記憶手段から検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項8記載の本発明は、医用画像の撮影を支援する医用画像撮影支援方法であって、新たに画像を撮影する被検体の情報を画像の選択条件として受け付ける被検体情報受付ステップと、被検体の情報と被検体の画像と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段から前記被検体情報受付ステップにより受け付けられた選択条件に適合する複数の画像を検索して表示する適合画像表示ステップと、前記適合画像表示ステップにより表示された複数の画像の中から操作者によって選択された画像の撮影条件を前記画像記憶手段から検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定ステップと、を含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、6、7または8記載の本発明によれば、被検体の情報に基づいて検索した複数の画像から所望の画像を選択することによって撮影条件を決定することができるので、被検体を撮影する際の撮影条件の決定を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る医用画像撮影支援装置、医用画像撮影装置および医用画像撮影支援方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
まず、本実施例に係る医用画像撮影装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係る医用画像撮影装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この医用画像撮影装置10は、プリセット選択部11と、撮影パラメータ編集部12と、撮影パラメータ送信部13と、信号収集部14と、画像再構成部15と、画像記憶部16と、付帯情報記憶部17と、撮影支援部100とを有する。
【0016】
プリセット選択部11は、事前に各パラメータの値が決められた複数のパラメータセットの中から操作者の指示に基づいて一つのパラメータセットを選択する。撮影パラメータ編集部12は、プリセット選択部11によって選択されたパラメータセットを操作者の指示に基づいて編集する。
【0017】
撮影パラメータ送信部13は、撮影パラメータ編集部12により編集されたパラメータ値または後述する撮影支援部100から通知されるパラメータ値を信号収集部14に送信するとともに、撮影支援部100から通知される再構成関数種類を画像再構成部15に送信する。信号収集部14は、撮影パラメータ送信部13によって送信されたパラメータ値を用いて患者を撮影し、検出器によって検出された信号を収集する。
【0018】
画像再構成部15は、信号収集部14によって収集された信号および撮影パラメータ送信部13から送信された再構成関数種類に基づいて患者の画像を再構成する。画像記憶部16は、画像再構成部15によって再構成された画像を記憶する。また、この画像記憶部16は、あらかじめインストールされたプリセット画像を記憶する。
【0019】
付帯情報記憶部17は、画像記憶部16に画像が記憶された患者に関する情報、パラメータ、再構成関数などの付帯情報を記憶する。また、この付帯情報記憶部17は、画像ごとに撮影条件の決定に利用された頻度、臨床アプリケーションで利用された頻度を記憶する。
【0020】
撮影支援部100は、パラメータの設定および再構成関数の選択を支援する。具体的には、この撮影支援部100は、操作者から患者情報などの画像の選択条件を受け付け、選択条件に適合する代表画像の一覧を表示する。ここで、代表画像とは、選択条件を代表する画像を意味する。なお、代表画像の一覧としては、適合度合いの高い画像を順に並べるが、適合度合いの高い画像を並べると、ほとんど同じ画像が表示されてしまう場合もあるので、一覧表示時には敢えて適合度合いの幅を広げた上でサンプリングするようにすることもできる。そして、操作者が代表画像一覧の中から所望の画像を選択すると、その画像に対応するパラメータ値および再構成関数種類を撮影パラメータ送信部13に渡す。
【0021】
このように、本実施例に係る医用画像撮影装置10では、撮影支援部100が操作者が入力した選択条件に適合する代表画像の一覧を表示することによって、操作者は撮影条件を決定するための画像を簡単に選択することができ、複雑なパラメータ設定および再構成関数選択を支援することができる。
【0022】
次に、撮影支援部100の構成について説明する。図2は、撮影支援部100の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この撮影支援部100は、患者情報入力部101と、選択条件提示部102と、適合画像取得部103と、画像検索部104と、リスト順位決定部105と、使用履歴記憶部106と、権限判定部107と、ユーザ権限記憶部108と、画像一覧表示部109と、画像選択部110と、撮影条件詳細表示部111と、撮影条件詳細編集部112と、撮影条件決定部113とを有する。
【0023】
患者情報入力部101は、操作者が入力する患者情報などを受け付ける処理部である。図3は、患者情報等入力画面の一例を示す図である。同図に示すように、操作者は、選択式で、症例、既往症、部位、患者性別、患者年齢、患者身長、患者体重、臨床アプリの情報を画像の選択条件として入力する。そして、操作者は、画像検索ボタンを押下することによって、選択条件に適合する代表画像一覧の表示を要求することができる。
【0024】
この患者情報等入力画面を用いて入力される情報は、撮影条件に関わる情報であり、例えば、症例や既往症の情報から有効な撮影条件の選択が可能となる。また、臨床アプリは、撮影した画像を利用する臨床アプリケーションであり、臨床アプリケーションの情報からも有効な撮影条件の選択が可能となる。例えば、特定の臨床アプリケーションで利用された頻度の高い撮影条件といった選択が可能となる。なお、操作者は、患者情報等入力画面から全ての情報を入力する必要はなく、例えば、臨床アプリの情報を入力から除外することもできる。
【0025】
選択条件提示部102は、患者情報レベルとは別に、より具体的なレベルでの撮影条件の指定を受け付ける処理部である。図4は、選択条件提示部102が表示する撮影条件入力画面の一例を示す図である。同図に示すように、操作者は、選択式で、プリセット番号、シーケンス、プロトコルを指定することによって撮影条件を指定することができる。
【0026】
例えば、MRI装置の例では、あるプリセットの中で使用されているシーケンスおよびプロトコルを選択することで、それによって撮影された代表画像が表示される。すなわち、この撮影条件入力画面で選択条件を変更することで、対応する代表画像がリアルタイムに更新される。
【0027】
また、操作者は、プロトコルリスト表示ボタンを押下することによって、装置に保存されているシーケンスやプロトコルの一覧を表示することができる。そして、その中から選択することによってプロトコルやシーケンスを決定することもできる。図5は、プロトコルリスト一覧の表示画面例を示す図である。同図に示すように、このプロトコルリスト一覧表示では、頭部(Head)、胸部(Chest)、腹部(Abdomen)など部位ごとにプロトコルが一覧表示される。操作者は、この画面からプロトコルを選択することによって、プロトコルを決定することができる。
【0028】
適合画像取得部103は、患者情報入力部101および選択条件提示部102で選択された条件を画像検索部104に送信し、条件に適合する画像の検索を依頼する。また、この適合画像取得部103は、画像検索部104から検索結果として受け取った画像群をリスト順位決定部105へ通知する。ここで、この適合画像取得部103は、操作者によって指定された選択条件に完全一致したものから部分一致したものまでを適合率の順に区分してリスト順位決定部105に通知する。
【0029】
画像検索部104は、付帯情報記憶部17を参照して患者情報入力部101および選択条件提示部102で選択された条件に合う画像を画像記憶部16から検索する。この画像検索部104は、検索した画像群を適合画像取得部103へ通知する。
【0030】
リスト順位決定部105は、適合画像取得部103から通知された画像群に対して、リスト表示する順序を決定する。このリスト順位決定部105は、適合画像取得部103から選択条件に対する適合率の順に区分された画像群を受け取ることから、この順序をもとに表示順を決定する。
【0031】
具体的には、このリスト順位決定部105は、選択条件に対する適合率をもとにして、さらに、取得した画像の利用頻度、および操作者の所属グループをもとに、画像単位に重要度を重み付けし、表示順を決定する。ここで、使用する重み付けの配分は設定可能であり、装置の運用方針に合わせて重み付けの配分を変えることによって、重視する内容を変えることが可能である。
【0032】
使用履歴記憶部106は、画像が撮影条件の決定に利用された頻度を記憶する。この使用履歴記憶部106は、画像毎に一定期間内の利用回数を集計して記憶し、代表画像のリスト表示順序が常に更新され、利用時におけるトレンドが反映されるようにする。
【0033】
権限判定部107は、装置へのログイン情報をもとに操作者の権限を確認し、ユーザ権限記憶部108で管理される操作者の所属グループ(担当科など)の情報をリスト順位決定部105へ送信する。この権限判定部107が、所属グループの情報をリスト順位決定部105へ送信することによって、リスト順位決定部105は、画像の表示順序を操作者に合わせて変更することが可能となる。例えば、内科医から利用頻度の高い画像をリスト上位にする、脳外科医からの利用頻度が高い画像をリスト上位にする、などが可能となる。
【0034】
ユーザ権限記憶部108は、ユーザ権限を記憶し、主に操作者の所属グループを管理して権限判定部107に通知する。
【0035】
画像一覧表示部109は、リスト順位決定部105にて決定された順番で画像を代表画像一覧として表示する。図6は、画像一覧表示部109が表示する代表画像一覧の表示例を示す図である。同図に示すように、代表画像一覧では、操作者が選択した条件との適合率、撮影条件の決定に用いられた頻度および操作者の所属グループに基づく重み付けによって算出されたポイントの高い順に複数の画像が表示される。
【0036】
画像選択部110は、操作者が代表画像一覧から選択した画像を撮影条件詳細表示部111へ通知する。操作者は、代表画像一覧から複数の画像を選択することができ、ここで選択された画像をもとに撮影条件が決定される。図6では、○数字の1および2で示される二つの画像が操作者によって選択されている。図7は、操作者によって選択された画像の確認用画面の一例を示す図である。この例では、操作者によって二つの画像が選択された場合を示している。
【0037】
撮影条件詳細表示部111は、操作者によって選択された画像に対応する撮影条件の詳細を表示する。操作者は、図7に示した画像をクリックすることによって撮影条件の表示を指示することができる。図8は、撮影条件の表示画面の一例を示す図である。この例では、MRI装置のパラメータとして、繰り返し時間(TR)、エコー時間(TE)、インバージョン時間(TI)、スライス厚(Slice)、収集データポイント数(Matrix Size)、有効視野(FOV)およびインバージョンリカバリパルス(IRパルス)が表示されている。ここで表示された撮影条件は撮影条件詳細編集部112にて更新可能である。
【0038】
撮影条件詳細編集部112は、操作者からの指示に基づいて撮影条件を個別に編集し、編集結果に基づいて画像を再表示する。操作者は、例えば、図8の入力欄を用いて撮影条件を編集する。これによって、代表画像の撮影条件をそのまま適用するだけでなく、患者ごとに撮影条件をカスタマイズすることが可能となる。また、カスタマイズした撮影条件と最も適合度の高い画像またはその条件から推測される撮影画像のイメージが直ちに表示されるため、操作者はカスタマイズ結果を撮影前に簡単に確認することができる。
【0039】
撮影条件決定部113は、操作者が承認した撮影条件を、撮影パラメータ送信部13へ通知する。これにより、操作者が承認した撮影条件でのデータの収集および再構成が可能となる。なお、操作者は、図7に示した画面でOKボタンを押下することのよって、撮影条件を承認することができる。
【0040】
次に、撮影支援部100による撮影条件決定処理の処理手順について説明する。図9は、撮影支援部100による撮影条件決定処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この撮影条件決定処理では、患者情報入力部101が患者情報および臨床アプリケーションの情報を受け付け(ステップS1)、適合画像取得部103が患者情報および臨床アプリケーション情報に基づいて検索された適合画像を画像検索部104から取得する(ステップS2)。
【0041】
そして、リスト順位決定部105が、適合画像取得部103から適合画像を受け取り、各画像の適合度、使用履歴および操作者の所属をもとにして算出したポイントに基づいて表示順位を決定する(ステップS3)。そして、画像一覧表示部109が表示順位に基づいて代表画像一覧を表示する(ステップS4)。
【0042】
そして、操作者が代表画像一覧から画像を選択すると、選択された画像を画像選択部110が別の画面に表示する(ステップS5)。この別画面上で、操作者が画像をクリックすると撮影条件詳細表示部111が画像に対応する撮影条件を表示し(ステップS6)、操作者の指示に基づいて撮影条件詳細編集部112が撮影条件を編集する(ステップS7)。そして、操作者が撮影条件を承認すると、撮影条件決定部113が撮影条件を決定して撮影パラメータ送信部13に渡す(ステップS8)。
【0043】
上述してきたように、本実施例では、操作者が画像の選択条件として入力した患者情報および臨床アプリケーションの情報に基づいて適合画像取得部103が選択条件に適合する複数の画像を画像検索部104から取得する。そして、各画像の適合度、使用履歴および操作者の所属をもとにして算出したポイントに基づいて画像の表示順位をリスト順位決定部105が決定する。そして、画像一覧表示部109が表示順位に基づいて代表画像一覧を表示する。したがって、操作者は撮影条件の決定に利用する画像を患者情報や臨床アプリケーション情報から簡単に選択することができる。
【0044】
また、本実施例では、リスト順位決定部105が、画像の適合度だけでなく、画像の利用頻度、操作者の所属に基づいて表示順位を決定することとしたので、操作者にとってより適切と思われる順番で代表画像を表示することができる。
【0045】
また、本実施例では、撮影条件決定部113が撮影条件としてパラメータの値に加えて再構成関数を選択することとしたので、必要な再構成だけが実行され、再構成に要する時間を短縮するとともに、再構成画像の数を減らすことができる。
【0046】
また、本実施例では、操作者が選択した画像を撮影したときの撮影条件を撮影条件詳細表示部111が表示し、操作者が撮影条件を編集すると編集結果に基づく画像を撮影条件詳細編集部112が表示することとしたので、操作者は撮影条件のカスタマイズにより得られる画像を簡単に確認することができる。
【0047】
また、本実施では、代表画像の利用頻度を記憶することとしたので、代表画像を医師(画像の利用者)と技師(装置の操作者)とのコミュニケーションツールとして使用することができる。すなわち、操作者は利用者が期待する画像を利用頻度に基づいて認識することができるため、無駄な(参照されない)画像の生成を減らすことができ、利用者の読影時の労力を削減することができる。また、操作者のスキルの標準化を促すことができる。
【0048】
なお、本実施例では、撮影支援部100は、操作者が撮影条件を変更すると、それに合わせて画像をリアルタイムに更新する。この撮影支援部100の機能は、撮影シミュレータとしても活用できる。すなわち、操作者は、撮影支援部100の機能を用いて、シーケンスプロトコル間で生成画像がどのように異なるのか、それぞれの特徴はどこにあるのかを画像を見ながら視覚的に理解することができる。
【0049】
そこで、本実施例に係る撮影支援機能をプロトコルダウンロードサービスに適用する場合について説明する。ここで、プロトコルダウンロードサービスとは、MRI装置において、研究者が開発した新規プロトコル(撮影パラメータ群)をインターネットで公開し、共有するというサービスである。
【0050】
図10は、本実施例に係る撮影支援機能を備えたプロトコルダウンロード装置の構成を示す図である。同図に示すように、このプロトコルダウンロード装置20は、プロトコル記憶部21と、プロトコル検索部22と、プロトコル表示部23と、プロトコル選択部24と、画像記憶部25と、画像検索部26と、画像表示部27と、画像選択部28と、ダウンロード制御部29と、撮影支援部200とを有する。
【0051】
プロトコル記憶部21は、プロトコルを記憶し、プロトコル検索部22は、プロトコル記憶部21からプロトコルを検索する。プロトコル表示部23は、プロトコル検索部22が検索したプロトコルを表示し、プロトコル選択部24は、プロトコル表示部23が表示したプロトコルの中から利用者が指示したプロトコルを選択する。
【0052】
画像記憶部25は、画像を記憶し、画像検索部26は、画像記憶部25から画像を検索する。画像表示部27は、画像検索部26が検索した画像を表示し、画像選択部28は、画像表示部27が表示した画像の中から利用者が指示した画像を選択する。
【0053】
ダウンロード制御部29は、プロトコル選択部24により選択されたプロトコルのダウンロードを制御する。撮影支援部200は、利用者が入力した患者情報および臨床アプリケーションの情報に基づいて適合画像を取得し、各画像の適合度、使用履歴および利用者の所属をもとにして算出したポイントに基づいて表示順位を決定する。そして、表示順位に基づいて代表画像一覧を表示して利用者に画像を選択させ、利用者が選択した画像を画像選択部28に渡し、利用者が選択した画像を撮影した際のプロトコルをプロトコル選択部24に渡す。
【0054】
通常、プロトコルダウンロードサービスでは、プロトコル名とそれに関する説明が列挙されているのみである。これに対して、プロトコルダウンロード装置20では、利用者がプロトコル選択時にその代表画像を画像表示部27が表示する。また逆に、プロトコル表示部23は、代表画像一覧の中から利用者によって選択された画像のプロトコルを表示する。このように、プロトコルダウンロードサービスに本実施例に係る撮影支援機能を設けることによって、利用者は、プロトコルの特徴を視覚的に理解したうえでダウンロードすることが可能となる。
【0055】
また、本実施例では、操作者によって入力された患者情報、あるいは患者情報および臨床アプリケーション情報に適合する画像を表示して撮影条件の決定を支援する場合について説明したが、操作者に臨床アプリケーションと症例あるいは部位との組み合わせを指定させることによって、撮影条件を決定するようにすることもできる。
【0056】
図11は、臨床アプリケーションと症例との組み合わせによって決定される撮影条件の例を示す図である。同図に示すように、例えば、操作者が、臨床アプリケーションとして「冠動脈MRアンギオグラフィ」を指定し、症例として「冠動脈疾患」を指定すると、シーケンスは「2DSegmented K-spaceグラジエントエコー・シーケンス」と決定することができる。また、各パラメータの値も図11に示すように決定することができる。
【0057】
このように、操作者に臨床アプリケーションと症例あるいは部位との組み合わせを指定させるだけで撮影条件を決定することによって、操作者は、より簡単に撮影条件を決定することができる。
【0058】
また、本実施例では、利用者が入力した患者情報および臨床アプリケーションの情報に基づいて適合画像取得部103が適合画像を取得する場合について説明した。しかし、大量の画像が格納されている場合には、適合度の高い順番に画像を取得すると一覧画像として類似する画像だけが表示され、操作者が適切な画像を選択できない場合がある。操作者にとっては、むしろ、様々な画像の一覧が表示される方が選択に都合が良い場合がある。そこで、適合画像取得部103が適合画像を取得する場合に、適合度が高い順に順番に取得する代わりに、適合度について一定の間隔で画像を取得するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明は、医用画像撮影装置に有用であり、特に、パラメータの設定や再構成関数の選択が複雑な医用画像撮影装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施例に係る医用画像撮影装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】撮影支援部の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】患者情報等入力画面の一例を示す図である。
【図4】選択条件提示部が表示する撮影条件入力画面の一例を示す図である。
【図5】プロトコルリスト一覧の表示画面例を示す図である。
【図6】画像一覧表示部が表示する代表画像一覧の表示例を示す図である。
【図7】操作者によって選択された画像の確認用画面の一例を示す図である。
【図8】撮影条件の表示画面の一例を示す図である。
【図9】撮影支援部による撮影条件決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施例に係る撮影支援機能を備えたプロトコルダウンロード装置の構成を示す図である。
【図11】臨床アプリケーションと症例との組み合わせによって決定される撮影条件の例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 医用画像撮影装置
11 プリセット選択部
12 撮影パラメータ編集部
13 撮影パラメータ送信部
14 信号収集部
15 画像再構成部
16 画像記憶部
17 付帯情報記憶部
20 プロトコルダウンロード装置
21 プロトコル記憶部
22 プロトコル検索部
23 プロトコル表示部
24 プロトコル選択部
25 画像記憶部
26 画像検索部
27 画像表示部
28 画像選択部
29 ダウンロード制御部
100 撮影支援部
101 患者情報入力部
102 選択条件提示部
103 適合画像取得部
104 画像検索部
105 リスト順位決定部
106 使用履歴記憶部
107 権限判定部
108 ユーザ権限記憶部
109 画像一覧表示部
110 画像選択部
111 撮影条件詳細表示部
112 撮影条件詳細編集部
113 撮影条件決定部
200 撮影支援部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像の撮影を支援する医用画像撮影支援装置であって、
被検体の情報と被検体の画像と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段と、
新たに画像を撮影する被検体の情報を画像の選択条件として受け付ける被検体情報受付手段と、
前記被検体情報受付手段により受け付けられた選択条件に適合する複数の画像を前記画像記憶手段から検索して表示する適合画像表示手段と、
前記適合画像表示手段により表示された複数の画像の中から操作者によって選択された画像の撮影条件を前記画像記憶手段から検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像撮影支援装置。
【請求項2】
前記画像記憶手段は、前記撮影条件決定手段により撮影条件の決定に利用された撮影利用頻度を画像ごとに記憶し、
前記適合画像表示手段は、前記画像記憶手段が記憶する撮影利用頻度にも基づいて複数の画像を検索して表示することを特徴とする請求項1に記載の医用画像撮影支援装置。
【請求項3】
前記撮影条件決定手段により決定された撮影条件を変更する撮影条件変更手段と、
前記撮影条件変更手段により変更された撮影条件に対応する画像を表示する変更画像表示手段と、
前記変更画像表示手段により表示された画像に対する操作者の承認を受け付け、前記撮影条件変更手段により変更された撮影条件を新たに撮影条件とする撮影条件再決定手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像撮影支援装置。
【請求項4】
前記画像記憶手段は、臨床アプリケーションで利用された臨床利用頻度を画像ごとに各臨床アプリケーションに対して記憶し、
新たに撮影する画像を利用する臨床アプリケーションの情報を受け付ける臨床情報受付手段をさらに備え、
前記適合画像表示手段は、前記臨床情報受付手段が受け付けた臨床アプリケーション情報について前記画像記憶手段が記憶する臨床利用頻度にも基づいて複数の画像を検索して表示することを特徴とする請求項1、2または3に記載の医用画像撮影支援装置。
【請求項5】
前記撮影条件は、パラメータの設定値および再構成関数の種類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像撮影支援装置。
【請求項6】
医用画像の撮影を支援する医用画像撮影支援装置であって、
臨床アプリケーションと症例または部位と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段と、
新たに撮影する画像の臨床アプリケーションと症例または部位とに関する情報を受け付ける臨床情報受付手段と、
前記臨床情報受付手段により受け付けられた情報を用いて前記画像記憶手段から撮影条件を検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像撮影支援装置。
【請求項7】
被検体の情報と被検体の画像と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段と、
新たに画像を撮影する被検体の情報を画像の選択条件として受け付ける被検体情報受付手段と、
前記被検体情報受付手段により受け付けられた選択条件に適合する複数の画像を前記画像記憶手段から検索して表示する適合画像表示手段と、
前記適合画像表示手段により表示された複数の画像の中から操作者によって選択された画像の撮影条件を前記画像記憶手段から検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像撮影装置。
【請求項8】
医用画像の撮影を支援する医用画像撮影支援方法であって、
新たに画像を撮影する被検体の情報を画像の選択条件として受け付ける被検体情報受付ステップと、
被検体の情報と被検体の画像と撮影条件とを対応付けて記憶した画像記憶手段から前記被検体情報受付ステップにより受け付けられた選択条件に適合する複数の画像を検索して表示する適合画像表示ステップと、
前記適合画像表示ステップにより表示された複数の画像の中から操作者によって選択された画像の撮影条件を前記画像記憶手段から検索し、該検索した撮影条件を新たに撮影する画像の撮影条件とする撮影条件決定ステップと、
を含んだことを特徴とする医用画像撮影支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−60939(P2009−60939A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228784(P2007−228784)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】