説明

医用画像表示装置、医用画像処理装置並びに医療画像観察システム

【課題】シンクライアント画像システムのサーバへの負荷、リソース集中に伴う資源不足を解消し、画像表示のパフォーマンスを落とさず、クライアント側のパーソナルコンピュータのリソースの効率的な活用が可能な医療画像観察システムを提供することである。
【解決手段】医用画像観察システムは、医用画像処理装置10と医用画像表示装置20がネットワーク上に接続されて成る。ユーザ40から画像表示要求を受けると、医用画像処理装置10内の表示画像生成部A15で表示画像を生成し、送信部14で医用画像表示装置に送信する。一方、表示画像を送信している間に、該表示画像の画像データを画像データ送信部18で医用画像表示装置20の主メモリBに送信する。そして、前記画像データを全て送信し終えた時点で、医用画像処理装置10内の画像データを削除すると共に、表示画像生成処理を、表示画像生成部A15から表示画像生成部B27に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用画像表示装置、医用画像処理装置並びに医用画像観察システムに関し、より詳細には、3次元または4次元データを始めとする大容量データの表示をサーバサイドで行う医用画像処理装置、医用画像表示装置から成るシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CTを始めとするモダリティの撮影画像数の増加に伴い、複数枚の画像を3次元(3D)画像として利用する運用が幅広く普及しており、患者への説明画像や術前や術中のシミュレーション画像など、様々な用途で利用されている。従来、3D画像を作成、表示するには高価な高性能3Dワークステーションが必要であったが、シンクライアント技術の普及により、高度な3D画像処理をサーバ側で行い、その結果、画像のみをクライアントに送信して表示するシンクライアント型3D画像システムが普及し始めている。
【0003】
この3D画像システムは、医用画像処理装置、医用画像表示装置から構成されるもので、医用画像処理装置のストレージに大容量の医療画像データが保管されており、医用画像表示装置からの要求に基づいて医用画像処理装置が画像データから表示画像を生成し、生成された表示画像を医用画像表示装置に転送している(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−312683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療3D画像は、患者への病状説明や術中ナビゲーション画像として用いられ、比較的長時間参照されることが多く、その間のサーバリソースを占有し続けるという問題がある。また、医用画像処理装置(以下、サーバと記す)で画像データを主メモリに読み込んで処理する必要がある。そして、複数の医用画像表示装置(以下、クライアントと記す)からの要求に応えるため、複数の画像データを同時に主メモリの作業領域上に保持する必要があった。加えて、3D画像利用の普及に伴うクライアント数の増大もあり、今後、サーバのメモリやCPUなどのリソース不足が深刻化すると予想されている。
【0006】
一方、近年、医用画像表示装置に用いられるクライアントのパーソナルコンピュータの性能は年々向上しており、大容量の主メモリ、高性能プロセッサを搭載した製品も珍しく無くなってきている。この傾向は今後も続くと予想され、将来的には、従来、高性能なサーバでしか行なえなかった大容量画像データの画像処理も、クライアント側で難なく行えるようになると推測される。
【0007】
但し、クライアント側で画像生成処理を行うためには、一度サーバにある大容量記憶装置(主にハードドディスク)から画像データをクライアントに全て転送する必要があり、転送が完了するまで待たされるという問題が生じる。医用画像情報システムでは、画像の表示要求から完了までの即応性が極めて重要であるため、この遅延は許容されないものである。
【0008】
したがって本発明の目的は、シンクライアント画像システムのデメリットであるサーバへの負荷、リソース集中に伴う資源不足の弊害を解消し、画像表示のパフォーマンスを落とさずに、クライアント側のパーソナルコンピュータのリソースの効率的な活用が可能となる医用画像表示装置、医用画像処理装置並びに医療画像観察システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、医用画像処理装置に対して、通信ネットワークで接続された医用画像表示装置に於いて、処理対象画像データに対する画像処理を指示するための入力手段と、前記指示に基づいて、前記医用画像処理装置に記憶されている処理対象画像データに対して画像処理を要求する手段と、前記処理対象画像データを前記医用画像処理装置から受信する受信手段と、前記受信手段で受信した処理対象画像データに対して、前記要求に基づいて画像処理を行う画像処理手段と、前記処理対象となる画像データの受信後に、前記医用画像処理手段で処理された画像データの表示から、前記画像処理手段で処理した画像データとを切り替えて表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、医用画像表示装置に対して、通信ネットワークで接続された医用画像処理装置に於いて、予め記憶されている処理対象画像データに対する画像処理要求を前記医用画像表示装置から受信する受信手段と、前記受信手段で受信された画像処理要求に対して、処理対象画像を生成する表示画像生成手段と、前記表示画像生成手段で生成された処理対象画像データを前記医用画像表示装置に送信する送信手段と、前記送信手段で前記処理対象画像データが前記医用画像表示装置に送信した後に、生成された処理対象画像データを削除するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明は、表示画像を生成する第1の生成部と、前記第1の生成部で生成された前記表示画像を前記医用画像表示装置に送信する第1の送信部と、前記表示画像の画像データを前記医用画像表示装置に送信する第2の送信部と、を備えた医用画像処理装置と、所望の画像を要求する画像表示要求受付部と、前記第1の送信部から送信された前記表示画像を表示する表示部と、前記医用画像処理装置の第2の送信部から送信された画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された画像データを基に表示画像を生成する第2の生成部と、を備えた医用画像表示装置と、を少なくとも有して各々がネットワーク上に接続された医用画像観察システムに於いて、前記医用画像処理装置は、前記第1の表示画像生成部が前記画像表示要求受付部からの画像要求を受けて表示画像を生成し、前記第2の送信部が、前記第1の送信部で前記表示画像を送信している間に、前記表示画像の画像データを前記医用画像表示装置に送信し、前記表示画像の画像データを全て前記医用画像表示装置に送信し終えた時点で、前記医用画像処理装置内の前記画像データを削除するように制御する第1の制御部を具備し、前記医用画像表示装置は、前記表示画像の画像データを全て前記医用画像表示装置に送信し終えた時点で、前記第1の生成部で行っていた表示画像生成処理を前記第2の生成部に切り替えるように制御する第2の制御部を具備し、前記第2の制御部で前記表示画像生成処理が切り替わった後は、前記第2の生成部で生成された表示画像を前記表示部が表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大容量画像データから生成される医療画像を参照する際に、サーバ側で表示画像を生成し、クライアント側では表示のみを行うことで、表示要求を出してから短い時間で画像を参照することができる。
【0013】
これにより、短時間で画像を参照できるというサーバ側の処理のメリットを維持しながら、後に処理をクライアント側に切り替えることで、サーバの資源集中の問題を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る医療画像観察システムの基本構成を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る医療画像観察システムを実現するための具体的なブロック構成を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態の医療画像観察システム1の動作について説明するもので、サーバ側で表示画像を生成する場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態の医療画像観察システム1の動作について説明するもので、画像データをサーバ側からクライアント側のメモリに転送する場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の医療画像観察システム1の動作について説明するもので、クライアント側で表示画像を生成する場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る医療画像観察システムの基本構成を示すブロック構成図である。
【0017】
図1に於いて、本医療画像観察システム1は、ネットワーク上に医用画像処理装置10と、複数の医用画像表示装置201 ,202 ,…が接続されている。
【0018】
医用画像処理装置10は、図示されないがCT等に使用される医用画像データが保存される記憶装置(ハードディスク)、主メモリ等を有している。そして、この医用画像処理装置10には、前述したように、複数台の医用画像表示装置201 ,202 ,…が、ネットワークを介して接続されている。
【0019】
医用画像表示装置201 ,202 ,…には、医用画像を表示するモニタ311 ,312 ,…と、表示された画像に対して表示条件の変更等を指示する入力装置(キーボードやマウスなど)321 ,322 ,…が接続されている。
【0020】
医用画像表示装置201 ,202 ,…は、医用画像処理装置10に対して医用画像の表示要求を出すことができる。要求を受けた医用画像処理装置10は、該当する画像データを一旦、前記主メモリに全て読み込んでから表示画像を生成し、医用画像表示装置201 ,202 ,…に送信する。
【0021】
表示画像を受信した医用画像表示装置201 ,202 ,…は、接続されたモニタ311 ,312 ,…が上に受信した画像を表示する。モニタ311 ,312 ,…に表示された画像に対し、表示条件の変更(透明度、色などの変更や、画像の回転や拡大/縮小など)を行った場合、その都度、要求が医用画像処理装置10に対して出され、サーバで条件に合う表示画像が生成されて医用画像表示装置201 ,202 ,…に送信される。
【0022】
つまり、このような構成の医療画像観察システム1に於いては、以下のようにして画像データの処理が行われる。
【0023】
先ず、医用画像処理装置10で表示画像の生成と医用画像表示装置201 ,202 ,…への送信が行われながら、主メモリにある画像データが医用画像表示装置201 ,202 ,…の図示されない主メモリに転送される。次いで、医用画像処理装置10で主メモリの作業領域上にある画像データが、医用画像表示装置201 ,202 ,…の主メモリに転送し終わった時点で、医用画像処理装置10の主メモリにある画像データが削除され、メモリ上の作業領域が開放(メモリ上の作業領域の確保を止める)される。そして、医用画像処理装置10の主メモリにある画像データが、医用画像表示装置201 ,202 ,…の主メモリに転送し終わった時点で、それまで医用画像処理装置10で行われていた表示画像生成処理が医用画像表示装置201 ,202 ,…に切り替わる。
【0024】
図2は、本医療画像観察システムを実現するための具体的なブロック構成を示した図である。
【0025】
前述したように、本医療画像観察システム1は、医用画像処理装置10と、複数の医用画像表示装置20とが、ネットワークによって接続されている。尚、図2に於いては、説明の簡単化のため、複数ある医用画像表示装置201 ,202 ,…を、代表的に医用画像表示装置20として説明する。
【0026】
サーバ側である医用画像処理装置10は、データベース11と、画像データ保管部12と、画像表示要求受信部13と、表示画像送信部14と、表示画像生成部A15と、画像データ読込み部16と、主メモリA17と、画像データ送信部18と、CPU19と、を有して構成される。
【0027】
前記データベース11は、管理している医用画像データを特定するための情報、データの保管場所等を管理している。画像データ保管部12は、医用画像データを保管するための記憶手段である。この画像データ保管部12は、医用画像データが保管されたとき、削除されたとき、または変更になった場合等、前記データベース11と通信して、該データベース11の修正を行う。尚、この画像データ保管部12は、これらに限られず、複数のHDDやNASのイメージ、つまり、別の場所にあってもよい。
【0028】
前記画像表示要求受信部13は、後述する画像表示要求送信部23から受信した表示要求を、表示画像生成部A15に供給する。表示画像送信部14は、表示画像生成部A15で生成された表示画像を、後述する表示画像受信部24に送信する。
【0029】
表示画像生成部A15は、画像表示要求受信部13から受け取った画像表示要求に従って表示画像を生成する。画像データが、まだ主メモリA17に読込まれていない場合は、画像データ読込み部16に対して画像データの読込みを指示する。一方、既に主メモリA17に画像データがある場合は、このデータを基に表示画像を生成して表示画像送信部14に表示画像を送信する。
【0030】
画像データ読込み部16は、画像データ保管部12に保管された画像データを、主メモリA17に読込むためのものである。尚、画像データは複数のDICOM画像ファイル、若しくは1つのファィルに纏められたボリュームファイルであっても良い。また、主メモリA17は、画像データ保管部12の画像データを一時的に保持するメモリである。
【0031】
更に、画像データ送信部18は、主メモリA17にある画像データを、後述する画像データ受信部25に送信するためのものである。また、CPU19は、医用画像処理装置10内の各部の制御動作や判定等を行うための制御部を構成している。
【0032】
一方、クライアント側となる医用画像表示装置20は、画像表示要求受付部21と、画像表示部22と、画像表示要求送信部23と、表示画像受信部24と、画像データ受信部25と、主メモリB26と、表示画像生成部B27と、CPU28と、を有して構成される。
【0033】
前記画像表示要求受付部21は、ユーザ40からの画像表示指示(単なる指定画像の表示だけでなく、その後の表示条件変更指示(透明度、カラーマップの変更、画像の回転や拡大/縮小等))を受付け、要求内容を、画像表示要求送信部23に伝達する。表示画像作成処理がクライアント側に切り替わった後は、要求内容を後述する表示画像生成部B27に通知する。
【0034】
画像表示部22は、画像をモニタに表示するためのものである。表示画像生成処理が医用画像処理装置10で行われている間は、表示画像受信部24から受け取った画像を表示し、医用画像表示装置20に切り替わった後は、表示画像生成部B27から受け取った画像を表示する。画像表示要求送信部23は、表示要求を、ネットワークを介して画像表示要求受信部13に送信する。
【0035】
表示画像受信部24は、表示画像送信部14から受信した表示画像を、画像表示部22に供給する。
【0036】
画像データ受信部25は、画像データ送信部18から受信した画像データを、主メモリB26に格納するためのものである。主メモリB26は、医用画像処理装置10から送信された画像データを一時的に保持するメモリである。そして、表示画像生成部B27は、主メモリB26上の画像データを基に表示画像を生成して、画像表示部22に供給する。
【0037】
更に、CPU28は、医用画像表示装置20内の各部の制御動作や判定等を行うための制御部を構成している。
【0038】
尚、医用画像処理装置10、医用画像表示装置20は、本実施形態に於いてはパーソナルコンピュータで構成される。また、図1のシステムの基本構成図では医用画像表示装置201 ,202 ,…と、モニタ311 ,312 ,…及び入力装置321 ,322 ,…を別の構成としているが、これに限られるものではなく、図2に示されるように、医用画像表示装置20内に画像表示部22及び画像表示受付部21を有した構成としてもよい。
【0039】
次に、図3乃至図5のフローチャートを参照して、本実施形態の医療画像観察システム1の動作について説明する。尚、これらの制御動作は、主にCPU19及びCPU28の指令によって行われる。
【0040】
初めに、本実施形態の医療画像観察システム1に於ける画像表示指示の動作について説明する。
【0041】
図3は、サーバ側で表示画像を生成する場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0042】
本シーケンスが開始されると、先ず、ステップS1に於いて、医用画像表示装置20内の画像表示要求受付部21によって、ユーザ40の図示されないマウス操作等による、例えば3次元画像に対する入力操作が受付けられる。これにより、画像表示要求受付部21にて画像表示要求に変換されて、画像表示要求送信部23に出力される。前述した表示要求内容の例としては、対象画像を指定する情報(StudyInstanceUID、SeriesInstanceUID)、表示条件を指定する情報(透明度、カラーマップ、視点、拡大/縮小等)などがある。
【0043】
次に、ステップS2にて、画像表示要求送信部23により、表示要求内容がネットワーク(図1参照)を介して、医用画像処理装置10側の画像表示要求受信部13に送信される。すると、続くステップS3にて、画像表示要求受信部13で受信された表示要求内容の情報が、表示画像生成部A15に出力される。
【0044】
そして、ステップS4に於いて、表示要求は画像の新規表示であるか表示条件変更であるかが判定される。ここで、前記表示要求が新規表示である場合は、ステップS5に移行して、表示画像生成部A15から画像データ読込み部16に対して画像データの読込みが指示される。すると、続くステップS6にて、画像データ読込み部16によって、データベース11から画像データの保存場所が入手されると共に、画像データ保管部12から画像データが読込まれて、主メモリA17に格納される。
【0045】
一方、前記ステップS4にて表示要求が表示条件変更であった場合は、前述したステップS5及びS6がスキップされる。
【0046】
ステップS7では、表示画像生成部A15によって主メモリA17にある画像データに画像表示条件が適用されて、表示画像が生成される。ここで生成された表示画像は、表示画像送信部14に出力される。次いで、ステップS8にて、表示画像送信部14からネットワークを介して、前記生成された表示画像が、医用画像表示装置20側の表示画像受信部24に送信される。
【0047】
ステップS9では、表示画像受信部24によって受信された表示画像が、画像表示部22に出力される。すると、続くステップS10にて、画像表示部22のモニタ上に、表示画像受信部24より出力された画像が表示される。
【0048】
このようにして、本シーケンスが終了する。
【0049】
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施形態の医療画像観察システム1に於ける画像データ転送の動作について説明する。
【0050】
図4は、画像データをサーバ側からクライアント側のメモリに転送する場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0051】
本シーケンスが開始されると、先ず、ステップS21にて、画像データ送信部18により、主メモリA17に格納された画像データが、ネットワークを介して医用画像表示装置20側の画像データ受信部25に送信される。そして、ステップS22では、画像データ受信部25により受信された画像データが、主メモリB26に格納される。
【0052】
すると、続くステップS23に於いて、画像データが全て主メモリB26に転送されたか否かが判定される。ここで、転送が終了していない場合は前記ステップS21に移行し、転送が終了したならばステップS24に移行する。
【0053】
ステップS24では、医用画像処理装置10側の画像データ送信部18から表示画像生成部A15に対して、主メモリA17に格納された画像データの解放と画像生成処理の終了が指示される。すると、ステップS25にて、表示画像生成部A15によって主メモリA17の画像データが解放され、画像生成処理が終了する。
【0054】
次に、ステップS26にて、画像データ受信部25から表示画像生成部B27に対して、画像生成処理の開始が指示される。これにより、ステップS27では、表示画像生成部B27によって画像生成処理が開始される。それと共に、画像表示要求受付部21に対して、以降の表示要求が表示画像生成部B27に切り替えられるように指示される。
【0055】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態の医療画像観察システム1に於ける画像表示指示の動作について説明する。
【0056】
図5は、クライアント側で表示画像を生成する場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0057】
本シーケンスが開始されると、ステップS31にて、画像表示要求受付部21によってユーザ40のマウス操作等による、現在表示されている画像に対する表示条件の変更指示が受付けられ、画像表示要求の情報に変換される。ここで、表示要求内容の例としては、前述したような対象画像を指定する情報や、表示条件を指定する情報等である。
【0058】
次いで、ステップS32にて、表示画像生成部B27により主メモリB26にある画像データに要求された表示条件が適用されて、表示画像が生成される。生成された表示画像は、画像表示部22に出力される。そして、ステップS33にて、画像表示部22のモニタ上に、表示画像生成部Bから得られた画像が表示される。
【0059】
前述した実施形態によれば、サーバで表示画像の生成、クライアントへの表示画像送信を行いながら、サーバの主メモリ上の画像データをクライアントの主メモリに転送すること、及び、画像データの転送を完了した時点でサーバの主メモリにある画像データを削除して、メモリ上の作業領域を開放すること、並びに、クライアントが画像データを全て受信し終えた時点で、これまでサーバで行っていた表示画像生成処理をクライアントでの処理に切り替えることにより、医用画像観察システム全体に於ける資源の有効活用を実現することができる。
【0060】
これにより、画像表示のパフォーマンスを落とすことなく、クライアント側のパーソナルコンピュータのリソースの効率的な活用が可能となる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能であるのは勿論である。
【0062】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、或いは実施形態に示される構成要件が幾つか組合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、シンクライアント画像システムのデメリットであるサーバへの負荷、リソース集中に伴う資源不足の弊害を解消し、画像表示のパフォーマンスを落とさずに、クライアント側のパーソナルコンピュータのリソースの効率的な活用が可能となる医用画像表示装置、医用画像処理装置並びに医療画像観察システムが得られる。
【符号の説明】
【0064】
1…医療画像観察システム、10…医用画像処理装置、11…データベース、12…画像データ保管部、13…画像表示要求受信部、14…表示画像送信部、15…表示画像生成部A、16…画像データ読込み部、17…主メモリA、18…画像データ送信部、19、28…CPU、20,201 ,202 ,……医用画像表示装置、21…画像表示要求受付部、22…画像表示部、23…画像表示要求送信部、24…表示画像受信部、25…画像データ受信部、26…主メモリB、27…表示画像生成部B、311 ,312 ,……モニタ、321 ,322 ,……入力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像処理装置に対して、通信ネットワークで接続された医用画像表示装置に於いて、
処理対象画像データに対する画像処理を指示するための入力手段と、
前記指示に基づいて、前記医用画像処理装置に記憶されている処理対象画像データに対して画像処理を要求する手段と、
前記処理対象画像データを前記医用画像処理装置から受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した処理対象画像データに対して、前記要求に基づいて画像処理を行う画像処理手段と、
前記処理対象となる画像データの受信後に、前記医用画像処理手段で処理された画像データの表示から、前記画像処理手段で処理した画像データとを切り替えて表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記医用画像処理装置の画像処理装置を用いた画像の表示処理を行うと共に、前記処理対象画像データを受信するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
医用画像表示装置に対して、通信ネットワークで接続された医用画像処理装置に於いて、
予め記憶されている処理対象画像データに対する画像処理要求を前記医用画像表示装置から受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された画像処理要求に対して、処理対象画像を生成する表示画像生成手段と、
前記表示画像生成手段で生成された処理対象画像データを前記医用画像表示装置に送信する送信手段と、
前記送信手段で前記処理対象画像データが前記医用画像表示装置に送信した後に、生成された処理対象画像データを削除するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項4】
前記医用画像表示装置に表示される処理対象画像の生成を行うと共に、前記処理対象画像データを送信するものであることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
【請求項5】
表示画像を生成する第1の生成部と、前記第1の生成部で生成された前記表示画像を前記医用画像表示装置に送信する第1の送信部と、前記表示画像の画像データを前記医用画像表示装置に送信する第2の送信部と、を備えた医用画像処理装置と、所望の画像を要求する画像表示要求受付部と、前記第1の送信部から送信された前記表示画像を表示する表示部と、前記医用画像処理装置の第2の送信部から送信された画像データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された画像データを基に表示画像を生成する第2の生成部と、を備えた医用画像表示装置と、を少なくとも有して各々がネットワーク上に接続された医用画像観察システムに於いて、
前記医用画像処理装置は、前記第1の表示画像生成部が前記画像表示要求受付部からの画像要求を受けて表示画像を生成し、前記第2の送信部が、前記第1の送信部で前記表示画像を送信している間に、前記表示画像の画像データを前記医用画像表示装置に送信し、前記表示画像の画像データを全て前記医用画像表示装置に送信し終えた時点で、前記医用画像処理装置内の前記画像データを削除するように制御する第1の制御部を具備し、
前記医用画像表示装置は、前記表示画像の画像データを全て前記医用画像表示装置に送信し終えた時点で、前記第1の生成部で行っていた表示画像生成処理を前記第2の生成部に切り替えるように制御する第2の制御部を具備し、前記第2の制御部で前記表示画像生成処理が切り替わった後は、前記第2の生成部で生成された表示画像を前記表示部が表示する
ことを特徴とする医用画像観察システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−279541(P2010−279541A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135177(P2009−135177)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】