医療デバイスの放射線滅菌
医療デバイスの滅菌において選択的に放射線曝露するための方法及びシステムが開示される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、放射線滅菌に関する。
【0002】
[最新技術の説明]
本発明は、身体の管腔中に埋め込まれるように適合させられる、半径方向に拡張可能な内部人工器官に関する。「内部人工器官」は、体内に留置される人工デバイスに対応する。「管腔」とは、血管などの管状器官の腔を意味する。
【0003】
ステントは、このような内部人工器官の例である。ステントは、一般に、円柱形状のデバイスであり、血管又は尿路や胆管など他の解剖学的管腔の区域を詰まりがないように保ち、且つ、時々拡張するように機能する。ステントは、血管のアテローム硬化性狭窄の治療においてしばしば使用される。「狭窄」とは、身体の経路又は開口部の直径の狭小化又は収縮を意味する。このような治療において、ステントは、身体の血管を強化し、且つ、血管系における血管形成術後の再狭窄を予防する。「再狭窄」とは、(バルーン血管形成術、ステント術、又は弁形成術などによって)治療され、外見上成功した後の、血管又は心臓弁における狭窄の再発を意味する。
【0004】
ステントを用いた罹病部位又は病変の治療は、ステントの送達及び展開の両方を伴う。「送達」とは、身体の管腔を通じて、治療を必要とする管中のある領域、例えば病変部などにステントを導入し、且つ移送することを意味する。「展開」は、管腔内のステントを治療領域で拡張させることに対応する。ステントの送達及び展開は、カテーテルの一方の端付近にステントを配置し、カテーテルのその端を皮膚を通して身体の管腔中に挿入し、身体の管腔中のカテーテルを所望の治療部位まで前進させ、治療部位でステントを拡張させ、且つ、管腔からカテーテルを除去することによって遂行される。
【0005】
拡張可能なバルーンステントの場合、ステントは、カテーテル上に配置されたバルーン付近に取り付けられる。ステントの取付けは、典型的には、バルーン上にステントを押し付けるか、又は圧着することを含む。次いで、ステントは、バルーンを膨張させることによって、拡張される。次いで、バルーンの空気を抜き、且つカテーテルを引き抜いてよい。自己拡張型ステントの場合、ステントは、伸縮自在なシース(sheath)又はソック(sock)を介してカテーテルに固定されていてよい。ステントが所望の体内位置に存在する場合、シースを引き抜くことができ、それにより、ステントが自己拡張することが可能になる。
【0006】
ステントは、多くの機械的要件を満たすことができなければならない。第1に、ステントは、管壁を支持するときにステントに課される構造的な負荷、即ち、半径方向の圧縮力に耐えることができなければならない。したがって、ステントは、適切な半径方向強度を備えていなければならない。半径方向強度は、ステントが半径方向の圧縮力に耐える能力であり、ステントの円周方向を取り巻く強度及び剛性に起因する。したがって、半径方向の強度及び剛性は、フープ又は円周の強度及び剛性と記述されてもよい。
【0007】
一度拡張すると、ステントは、鼓動している心臓によって引き起こされる周期的な負荷を含む、その上で生じるようになる可能性がある様々な力にもかかわらず、その耐用寿命の間一貫してサイズ及び形状を適切に維持しなければならない。例えば、半径方向に向けられた力は、ステントを内側に向けて巻き直させる傾向を有する場合がある。一般に、巻き直しを最小限に抑えることが望ましい。
【0008】
さらに、ステントは、圧着、拡張、及び周期的負荷に対処するのに十分な可撓性も備えていなければならない。縦方向の可撓性は、曲がりくねった血管経路を通ってステントを移動させるのを可能にし、且つ、直線状ではない可能性があるか、又は屈曲しやすい可能性がある展開部位にそれが適合するのを可能にするために重要である。最後に、ステントは、血管のいかなる有害な応答も誘発しないように、生体適合性でなければならない。
【0009】
ステントの構造は、典型的には、当技術分野においてしばしばストラット(strut)又はバーアーム(bar arm)と呼ばれる、相互に連結する構造的要素のパターン又はネットワークを含む足場から構成されている。足場は、円柱形状に丸められた材料のワイヤー、チューブ、又はシートから形成されてよい。足場は、ステントが(圧着を可能にするために)半径方向に圧縮され得るように、且つ(展開を可能にするために)半径方向に拡張され得るように、設計される。従来のステントは、互いに対してあるパターンを有する個々の構造要素の動作を通じて、拡張及び収縮することができる。
【0010】
さらに、薬用ステントは、金属足場又はポリマー足場のいずれかの表面を、活性又は生物活性を有する作用物質又は薬物を含むポリマー担体でコーティングすることによって、製造され得る。ポリマー足場はまた、活性な作用物質又は薬物の担体としての機能も果たすことができる。
【0011】
ステントが製造された後、ステントは、典型的には、ステントのバイオバーデンを許容範囲の滅菌保証レベル(SAL)まで減少させるために、滅菌を受ける。ステントなどの医療デバイスを滅菌する方法は多数あり、最も一般的な方法は、酸化エチレン処理及び電子ビームやガンマ放射線などの電離放射線を用いた処理である。一般に、滅菌手順は、ステントの材料特性に対する有害な影響がほとんど無いか、又は全く無いことが望ましい。
【0012】
[概要]
本発明の様々な実施形態は、ステント送達アセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、放射線源からの放射線にステント送達アセンブリを曝露するステップを含み、該アセンブリの選択された部分を覆うカバーが、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、ステント送達アセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、パッケージ中に封入されたステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、該パッケージが、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する1つ又は複数のモディファイヤ(modifier)部分を含む。
【0014】
本発明のさらなる実施形態は、放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステムを含み、該システムは、ステント送達アセンブリ、及び1つ又は複数のモディファイヤ部分を有するパッケージを備え、該アセンブリがパッケージ内に配置され、1つ又は複数のモディファイヤ部分が、放射線が放射線源から該アセンブリに向けられる場合に、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線を修正するように、アセンブリの選択された部分に対して位置付けられている。
【0015】
本発明の他の実施形態は、放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステムを含み、該システムは、ステント送達アセンブリ、及び該アセンブリの選択された部分を覆うカバーを備え、該カバーが、放射線が放射線源から該アセンブリに向けられる場合に、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線を修正する。
【0016】
本発明のいくつかのその他の実施形態は、ステント送達アセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、ステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、該アセンブリが、取付け具によって支持されたパッケージ中に配置され、取付け具のモディファイヤ部分が、アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する。
【0017】
本発明の他のいくつかの実施形態は、放射線源を用いて複数のステント送達システムアセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、複数のステントカテーテルアセンブリを取付け具上に支持されたパッケージ内に配置するステップであって、各アセンブリが該パッケージ中に平面配置で配列されるステップと、該アセンブリを放射線源からの放射線ビームに曝露するステップであって、該ビームが、放射線源と取付け具の間に位置するパッケージの平面配置に対して鋭角であるステップとを含み、該方法において、パッケージは、曝露の間に放射線が複数のアセンブリを通過するように配列され、送達される線量が、放射線源と取付け具との距離に応じて変動し、1つ又は複数のアセンブリが、アセンブリの選択された部分が選択された送達放射線線量を受けるようにパッケージ内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ステントを示す図である。
【図2】図2は、ステント送達アセンブリを示す図である。
【図3】図3は、ポーチ中に配置されたステント送達アセンブリの概略図である。
【図4A】図4Aは、平らな箱中に配置されたポーチ中のステント送達アセンブリの概略図である。
【図4B】図4Bは、チップボード箱中に配置されたステント送達アセンブリを含むポーチの写真である。
【図5】図5は、パッケージを支持する取付け具の概略図である。
【図6A】図6Aは、2つの異なる密度の材料に関して、放射線の浸透の深度に対して材料内部に送達された線量を示す図である。
【図6B】図6Bは、デバイスの選択部分への放射線曝露を修正する実施形態を示す図である。
【図6C】図6Cは、デバイスの選択部分への放射線曝露を修正する実施形態を示す図である。
【図6D】図6Dは、デバイスの選択部分への放射線曝露を修正する実施形態を示す図である。
【図7A】図7Aは、カテーテルの末端を覆うように配置されたステントを示す図である。
【図7B】図7Bは、ステントを覆うように配置されたシースを示す図である。
【図7C】図7Cは、ステントを覆う内側シース720及び外側シース725を示す図である。
【図7D】図7Dは、半円柱の形態であるカバー730からなる別の実施形態を示す。
【図8A】図8Aは、ステント送達アセンブリがその中に含まれた可撓性パッケージの概略図である。
【図8B】図8Bは、図8Aのパッケージの側面図である。
【図9A】図9Aは、ステント送達アセンブリがその中に含まれた剛性パッケージの概略図である。
【図9B】図9Bは、図9Aのパッケージの側面図である。
【図10A】図10Aは、ステント送達アセンブリがその中に含まれた、前もって形成されたバリア部分を伴うパッケージを示す図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのパッケージの側面図である。
【図11A】図11Aは、バリア要素を挿入するための差込み口又はスロットを含むパッケージを示す図である。
【図11B】図11Bは、図10Aのパッケージの側面図である。
【図12A】図12Aは、滅菌の間、ステント送達アセンブリを含むパッケージを支持するための取付け具を示す図である。
【図12B】図12Bは、ステント送達アセンブリを含むパッケージを支持する図11Bの取付け具の側面図である。
【図13A】図13Aは、少しずつずらして水平方向に積み重ねた配置で配列されたパッケージを含む取付け具を示す図である。
【図13B】図13Bは、図13A中の取付け具の上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[発明の詳細な説明]
本発明の様々な実施形態は、埋め込み可能な医療デバイスを放射線によって滅菌することに関する。いくつかの実施形態では、これらのデバイスは、全体的に又は部分的にポリマーで作られてよい。これらの実施形態は、デバイスの選択された部分に送達される放射線を制御することに関する。
【0020】
本明細書において説明する方法及びシステムは、一般に、埋め込み可能な医療デバイスに適用され得る。これらの方法及びシステムは、下記に考察する理由により、ポリマー基材、ポリマーベースのコーティング、及び/又は薬物送達コーティングを有する埋め込み可能な医療デバイスに特に関連する。ポリマーベースのコーティングは、例えば、罹病部位に局所的に投与するための活性な作用物質又は薬物を含んでよい。埋め込み可能な医療デバイスは、ポリマーベースのコーティングと共にポリマー基材又は非ポリマー基材を含んでよい。
【0021】
埋め込み可能な医療デバイスの例としては、自己拡張可能なステント、バルーン拡張可能なステント、ステントグラフト、グラフト(例えば、大動脈グラフト)、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、及び心内膜リード(例えば、Abbott Cardiovascular Systems Inc(サンタクララ、カリフォルニア州)から入手可能なFINELINE及びENDOTAK)が挙げられる。デバイスの基本的な構造又は基材は、事実上任意の設計のものでよい。
【0022】
ステントの構造は、特に、複数の相互接続した構造要素又はストラットのパターンを含む足場又は基材を有してよい。図1は、ステント100の図の例を示す。ステント100は、円柱状の形状を有し、且つ、多くの相互接続した構造要素又はストラット110を伴うパターンを含む。一般に、ステントパターンは、ステントが半径方向に圧縮され(圧着され)得るように、且つ(展開を可能にするために)半径方向に拡張され得るように、設計される。圧縮及び拡張の間に関与する圧力は、一般に、ステントパターンの様々な構造要素の全体に分配される。本発明は、図1に示されるステントパターンに限定されない。ステントパターンの変化は、事実上無制限である。
【0023】
ステント100などのステントは、ポリマーチューブから、又は、シートを巻き、且つ結合させてチューブを形成させることによってシートから製造することができる。ステントパターンは、チューブ上でパターンをレーザー切断することによって、ポリマーチューブ上に形成させることができる。使用され得るレーザーの代表的な例としては、それだけには限らないが、エキシマー、二酸化炭素、及びYAGが挙げられる。他の実施形態では、化学エッチングが、チューブ上にパターンを形成するために使用され得る。
【0024】
ステントは、治療を成功させるために非常に重要であるいくつかの機械的要件を有する。例えば、ステントは、管壁を支持するときにステントに課される構造的な負荷、即ち、半径方向の圧縮力に耐えるのに十分な半径方向の強度を有していなければならない。さらに、ステントは、圧着、拡張、及び周期的負荷に対処するのに十分な可撓性も備えていなければならない。屈曲要素130、140、及び150は、特に、ステントの使用中に非常に多くの圧力及び引っ張り力を受ける。
【0025】
圧力をポリマーに加えることによって、ポリマーの機械的特性を修正できることは、当業者には周知である。ポリマーの強度及びモジュラスは、加えられる圧力の方向に沿って増大する傾向がある。したがって、いくつかの実施形態では、ポリマーチューブをレーザー切断の前に半径方向に変形させて、半径方向の強度を高めることができる。強度及びモジュラスの増大は、円周方向に誘導された分子配向に起因し得る。しかし、ポリマーの温度が、ガラス転移温度(Tg)近く又はそれより高くまで上昇するにつれて、誘導された配向及び強度の一部又は全てが、ポリマー鎖の弛緩が原因で失われる可能性がある。「ガラス転移温度」、即ちTgは、ポリマーの非結晶性ドメインが気圧下で、もろいガラス質状態から変形可能又は延性の固体状態に変化する温度である。言い換えると、Tgは、ポリマー鎖においてセグメントの運動の開始が生じる温度に相当する。非結晶性又は半結晶性ポリマーが、上昇する温度に曝露される場合、ポリマーの拡張係数及び熱容量はどちらも、温度を上昇させるにつれて増加し、これは、分子運動が増大したことを示す。温度を上昇させる際、試料中の実際の分子体積は一定のままであり、したがって、より高い拡張係数は、その系に付随する自由体積の増加、及びしたがって、分子が移動する際の自由の増大を示す。熱容量の増大は、運動による熱放散の増大に対応する。所与のポリマーのTgは、加熱速度に依存する可能性があり、且つ、ポリマーの熱履歴によって影響され得る。さらに、ポリマーの化学構造は、可動性に影響を及ぼすことによってガラス転移に大いに影響する。
【0026】
滅菌は、典型的には、ステントなどの医療デバイス上で、デバイス上のバイオバーデンを減少させるために実施される。バイオバーデンとは、一般に、対象に混入している微生物の数を意味する。滅菌の程度は、典型的には、滅菌後の製品単位上に生存可能な微生物が存在する確率を意味する滅菌保証レベル(SAL)によって測定される。製品のために必要とされるSALは、その製品の意図される用途に依存する。例えば、体内の液体経路中で使用される予定の製品は、クラスIIIデバイスとみなされている。様々な医療デバイスに対するSALは、アーリントン(バージニア州)の医療器具開発協会(the Association for the Advancement of Medical Instrumentation)(AAMI) による資料において確認することができる。
【0027】
放射線滅菌は、当業者に周知である。全体的又は部分的にポリマーから構成されている医療デバイスは、それだけには限らないが、電子ビーム(eビーム)、ガンマ線、紫外線、赤外線、イオンビーム、X線、及びレーザー滅菌を含む、様々な種類の放射線によって滅菌することができる。滅菌線量は、必要とされるSALを提供する線量を選択することによって決定することができる。1回又は複数回通過させて、必要とされる線量に試料を曝露させることができる。
【0028】
しかし、放射線は、放射線によって処理されるポリマーの諸特性を変化させ得ることは公知である。高エネルギーの放射線は、ポリマー分子のイオン化及び励起をもたらす傾向がある。これらのエネルギーに富む種は、解離反応、サブトラクション反応、及び付加反応を連続的に経て、化学的安定性をもたらす。安定化プロセスは、照射中、照射直後、又は照射後数日、数週間、若しくは数ヶ月目にさえ、起こる可能性があり、しばしば、物理的及び化学的な架橋又は鎖切断を結果として生じる。結果として生じる物理的変化としては、特に、脆化、変色、におい発生、硬化、及び軟化を挙げることができる。
【0029】
特に、eビーム照射滅菌に起因するポリマー材料及び薬物の性能の劣化は、放射線曝露中及びポリマー鎖の他の部分との反応による、デバイスにおけるフリーラジカル形成に関連付けられている。反応は、eビーム線量及び温度レベルに依存している。
【0030】
さらに、eビームなどの放射線への曝露は、照射されたポリマー試料の温度上昇を引き起こし得る。温度上昇は、曝露レベルに依存している。ステント送達アセンブリは、12kGyの放射線曝露当たり約7℃上昇し得ることが観察されている。ポリマーの機械的特性は、温度変化に特に敏感である。特に、温度がガラス転移温度(Tg)に近づき、且つ超えるにつれ、特性に対する影響はより大きくなる。ポリマーステントのeビーム照射が、脆性挙動の発生が原因で、展開中にストラットの亀裂をもたらし得ることが観察されている。亀裂は、温度の上昇、並びに分子量の減少に起因する場合もある。さらに、温度上昇は、ポリマー鎖の弛緩が原因で、誘導された配向及び強度の一部又は全ての消失をもたらす場合もある。
【0031】
さらに、温度の上昇は、薬物の放出速度を上昇させて、ステント上への薬物負荷を減少させることもできる。薬物はまた、高温では、製造及び保管状態の間に分解して、薬物の総含有量及び放出速度を変化させる場合がある。線量は、所望の程度までステントを滅菌するのに十分であるように選択することができる。先に示したように、曝露は、放射線源からの1回又は複数回の通過であってよい。
【0032】
一般に、ポリマーステント及びバルーンの方が、カテーテル及びディスペンサーコイルよりも放射線曝露に対する感受性が高い。ステント及びバルーンの性能は、放射線曝露によって引き起こされる温度の上昇及び化学的分解によって悪影響を受ける可能性がより高い。したがって、ステント及びバルーンに送達される放射線曝露が、選択された範囲内にあることが重要である。選択された範囲は、例えば、20〜30KGy、又はより厳密には22〜27KGyであってよい。他方、カテーテル及びディスペンサーコイルの性能は、放射線曝露に対する感受性が低い。したがって、カテーテル及びディスペンサーコイルは、より高いレベルで送達される放射線のより大きな変化に耐え得る。一般に、あるデバイスの選択された部分は、そのデバイスの他の部分とは異なる、所望の又は最適な送達放射線範囲を有し得る。
【0033】
さらに、いくつかの実施形態では、ステント及びバルーンは、効果的な滅菌のために、カテーテル及びディスペンサーコイルよりも少ない放射線曝露を必要とする場合がある。ステントの加工は、カテーテルと比べて、ステント上のバイオバーデンのレベルをより低くする可能性がある。例えば、ステントは、加工中にイソプロピルアルコールやアセトンなどの溶剤に曝露させてよい。さらに、ステント材料は、様々な加工ステップ中に高温に曝露させてもよい。したがって、ステントは、5cfu未満、さらには0〜1cfuという低さのバイオバーデンを有し得る。「CFU」は、バイオバーデンの指標であり、生存可能な細菌数の指標である「コロニー形成単位」の略語である。1.5cfuの製品に対して、必要とされる又は最終的な滅菌線量は15KGyであり、また、8cfuの製品に対する放射線線量は、17.5KGyである。送達システムは、アセンブリの他の部分よりも実質的に多い線量を必要とする場合がある。
【0034】
したがって、放射線源からの放射線の所与の線量に関して、ステント送達アセンブリなどの埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分に送達される放射線を選択的に修正することが望ましい場合がある。例えば、ステントに送達される線量を減少させてよい。これにより、放射線に起因する性能劣化は低減されるはずである。或いは、器具の選択された部分に送達される線量を増加させることが望ましい場合もある。デバイスのいくつかの部分は、バイオバーデンが高いため、より多い線量を必要とする場合がある。また、いくつかの部分は、パッケージ又はデバイスの他の部分による放射線の遮蔽が原因で、必要とされるよりも少ない送達線量を受ける場合がある。
【0035】
ステントは、典型的には、滅菌され、包装され、保管され、且つ、「すぐ埋め込むことができる」構成で輸送され、この構成では、ステントが、カテーテル及びディスペンサーコイルを含む送達システムの末端に配置されている。図2は、ステント送達アセンブリ200を示し、ステント205が、送達システム215の末端に配置されている。ステント205は、バルーン上に圧着されてよい。シースもまた、バルーンに固定具(secure)を固定するために、ステント上に配置してよい。ステント送達アセンブリ200は、放射線滅菌の前又は後に包装することができる。
【0036】
ステント及びステント送達アセンブリは、典型的には、密閉された保管容器中で保管され、輸送され、且つ滅菌される。このような容器は、ステントに対して悪影響を有し得る損傷及び環境曝露(湿度、酸素、光など)からアセンブリを保護するように適合される。ステント及び送達システム用の保管容器は、その中に含まれるステント及び送達システムアセンブリを効果的に封入するのを可能にする任意の好都合な形態又は形状であるように設計してよい。しかし、容器は小型で、且つ、その容器によって占有される保管空間を最小限に抑えるように成形されてよい。主としてステント及び送達システムを環境曝露から保護するためのものである容器は、ポーチ(pouch)又はスリーブでよい。図3は、ポーチ230中に配置されたステント送達アセンブリ200の概略図を示す。図3から見て取れるように、アセンブリ200は、平面配置で配置又は保管されている。
【0037】
1つの商業的に有用な実施形態では、ポーチは、幅が8インチ〜12インチで長さが10インチ〜13インチの長方形の断片を有してよい。また、ポーチを構築するのに使用される物質のタイプに応じて、容器は、様々な程度の剛性又は可撓性のものでよい。容器は、硬い材料よりも可撓性フィルムで構成されていてよい。これは、可撓性フィルムの方が、保管中の大気条件の変化によって封止が弱められる可能性が低いためである。例えば、容器は、縁に沿って接着された2枚のシート又は薄層で構成されていてよい。また、容器は、折り畳まれ、且つ、全ての縁を封止されているか、若しくは全ての折り畳まれていない縁を封止されている、単一のシート若しくは薄層で構成されているか、又は、1つ若しくは複数の縁が封止されている袋若しくはポケットで構成されていてよい。ポーチは、ポリマー、ガラス、セラミック、金属性物質、又は、それらの組合せで作られていてよい。典型的には、ポーチは金属ホイル製である。
【0038】
ステント及び送達システムを含むポーチはさらに、その中に含まれるポーチ並びにステント及び送達システムを保護するための硬い容器内に配置してもよい。硬い容器は、例えば、チップボード箱などの箱でよい。図4Aは、平らなチップボード箱240中のポーチ230内のステント及び送達システム200の概略図を示す。図4Bは、チップボード箱255中に配置されたステント及び送達システムを含むポーチ250の写真を示す。
【0039】
包装されたステント送達アセンブリを滅菌するためのシステムは、eビーム源などの放射線源及びパッケージを支持するための取付け具を含む。支持取付け具は、例えば、eビームがステント送達アセンブリ上に方向付けられる様式で、コンベヤー配置上でeビーム源を通過して移動する。図5は、ステント送達アセンブリ(図示せず)を含むパッケージ505を支持する取付け具500の概略図を示す。取付け具500は、底面支持体525及び背面支持アーム530を含む。放射線源535は、矢印540によって示されるように、放射線を方向付ける。取付け具500を、矢印545によって示されるように、コンベヤーシステム(図示せず)によって放射線源535を通過して移動して、パッケージ505中のステント送達アセンブリを滅菌することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、Eビームのパルス542によって示されるように、Eビームの断面の形状は、円形又は一般的に円形である。このような実施形態では、Eビームは、矢印543によって示されるように、上下にパルスされて、位置Xから位置Yまでの軸に沿ってパッケージ505及びステント送達アセンブリを照射する。したがって、取付け具500が、矢印545によって示される方向に運ばれる際に、パッケージ505の選択された部分全体及びステント送達アセンブリが照射され得る。このような実施形態では、ビームは、例えば1秒間に64回、上下にパルスすることができる。
【0041】
先に示したように、図5に示すように、埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分に放射線源によって送達される放射線は、所望よりも多くても少なくてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、ステント送達アセンブリなど埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分を覆うカバーは、アセンブリの選択された部分に送達される、放射線源からの放射線を選択的に修正する。一実施形態では、選択された部分に送達される放射線が、最適な送達放射線範囲内にあるように、カバーによって放射線を修正することができる。アセンブリの選択された部分に送達される放射線が、カバーが無い場合に選択された部分に送達される放射線よりも高レベル又は低レベルになるように、カバーは、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。
【0042】
他の実施形態では、埋め込み可能な医療デバイスは、1つ又は複数のモディファイヤ部分を含むパッケージ中に封入されてよい。モディファイヤ部分は、アセンブリの選択された部分に送達される、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。一実施形態では、選択された部分に送達される放射線が、最適な送達放射線範囲内にあるように、モディファイヤ部分によって放射線を修正することができる。アセンブリの選択された部分に送達される放射線が、モディファイヤ部分が無い場合に、選択された部分に送達される放射線よりも高レベル又は低レベルになるように、モディファイヤ部分は、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。
【0043】
先に示したように、カバーやモディファイヤ部分などの放射線バリアは、選択された部分に送達される放射線を増加又は減少させることができる。放射線バリアは、吸収、反射(若しくは後方散乱)、又はそれらの組合せにより、このような増加/減少を引き起こすことができる。放射線の修正様式は、カバー又はモディファイヤ部分の材料の厚さ、密度、及び反射特性などの因子に依存する。
【0044】
一般に、放射線を吸収する材料内に送達される線量は、浸透の深度(厚さ)及び材料の密度の両方に応じて変動する。図6Aは、2つの異なる密度の材料に関して、放射線の浸透の深度に対して、放射線を吸収する材料の内部に送達された線量を示す、曲線C1及びC2である。
【0045】
図6Aは、放射線バリア要素が、その厚さに応じて、送達される放射線又は線量を初期放射線Diより上又は下に増加又は減少させ得ることを示す。図6Aは、電子が通過した密度(又は深度)に対する線量を示す。Diは、選択された部分と放射線源の間のバリアも、放射線源から選択された部分と反対側の側面での材料からの後方散乱も無い場合に、選択された部分が受け取ると考えられる放射線線量であってよい。図6Aはまた、放射線バリア要素の密度が増加するにつれ、増加する放射線の範囲がより厚くまで増加することを示す。バリア要素材料の密度及び厚さの両方とも、選択された部分に送達される選択された放射線を得るように選択することができる。全てのデバイスが選択された部分において等量の線量を受けるために(例えば、全てのステントが同じ線量)、複数のデバイスを順次又は同時に滅菌する場合、電子は、選択された部分にそれが当たる時点までに、等しい密度を通過しなければならない。発泡体など様々なタイプ及び形態のポリマーを含めて、放射線を吸収又は修正する様々な材料が当業者に公知である。「発泡体」とは、ポリマー発泡体、例えば、Dow Chemical Company(ミッドランド、ミシガン州)製のStyrofoamなどのポリスチレン発泡体を意味してよい。
【0046】
放射線バリアは、放射線を反射又は後方散乱させることによって、放射線を修正又は減少させることができる。パッケージのカバーやモディファイヤ部分などの放射線バリアに加えて、放射線源からの放射線を、例えば、支持している取付け具背面(例えば図5の支持アーム530)の一部分から、デバイスに後方散乱させてもよい。金属は、一般に、電磁放射線、電子ビーム、及びイオンビーム放射線など様々な種類の放射線を反射する傾向を有する。反射性バリア材料として使用され得る代表的な金属としては、アルミニウム及びステンレス鋼が挙げられる。
【0047】
パッケージ、取付け具、バリアなどは、放射線が、選択された部分への線量を0まで低下させるのに十分な密度を通過しないように、設計することができる。さらに、パッケージ、取付け具、バリアなどは、選択された部分が、最小限の線量Dm、例えば25kGyを受けるように設計することもできる。曲線C1は、DiからDpまで上がり、次いで、Dmまで下がり、最終的には0まで下がる。したがって、線量の変動は大きい。
【0048】
本発明の実施形態は、デバイスの選択された部分で選択された送達放射線線量を得るための選択的な放射線修正を含む。後述するように、選択的な放射線修正は、カバー、パッケージ中のモディファイヤ部分、取付け具、又はそれらの組合せを用いて実施することができる。選択的修正の実施形態の3つのセットが、本明細書において説明される。
【0049】
第1のセットの実施形態では、放射線源と選択された部分の間のバリアを用いて、放射線を選択的に修正することができる。バリアは、選択された部分の前方に存在し、その結果、放射線源からの放射線が、バリアを通過して選択された部分に届く。このような実施形態では、バリアの厚さ、材料密度、又は両方を、選択された部分への選択された放射線線量を得るように選択することができる。
【0050】
第2のセットの実施形態では、入射してくる放射線の反対側の選択された部分の後方又は側面のバリアが放射線を選択的に修正する。このような一実施形態では、放射線を後方散乱させるか又は反射して選択された部分に戻す反射性材料から作られたバリアを用いて、放射線を選択的に修正することができる。放射線は選択された部分を通過してバリアに到達し、このバリアは放射線の一部を反射して、選択された部分に戻す。選択された部分に送達される総線量は、選択された部分を最初に通過する放射線及び反射された放射線の合計である。
【0051】
第2のセットの実施形態の代替の実施形態では、バリアは、非反射性の材料から作られる。バリアは、例えば、取付け具の一部分から後方散乱される放射線を減少させるか、又はこの後方散乱された放射線が、選択された部分に送達される放射線を増加させるのを防ぐバリアとして作用することができる。
【0052】
第3のセットの実施形態では、選択された部分の前面及び背面にバリアを用いて、放射線を選択的に修正することができる。放射線は、前面バリアを通過して選択された部分に到達し、次いで、背面バリアによって、選択された部分に後方散乱される。選択された部分に送達される総線量は、最初のバリアによって修正された放射線及び背面バリアから選択された部分に反射された放射線の合計である。このような実施形態では、前面バリアの特性(厚さ、密度)及び背面バリアの反射特性を、選択された部分への選択された送達放射線線量を得るように選択することができる。
【0053】
図6B〜6Dは、それぞれ、第1のセット、第2のセット、及び第3のセットの実施形態を示す。図6B〜6Dは、埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分605の断面の拡大図を示し、矢印610によって示されているように、放射線Diはデバイスに向けられている。
【0054】
第1のセットの実施形態を示す図6Bは、放射線バリア625を伴う配置601を示す。図6Bにおいて、放射線バリア625は、線量Diの入射放射線610と向き合っている選択された部分605の側面のパッケージのカバー又はモディファイヤ部分の一部分に対応してよい。放射線610は、バリア625によって、選択された部分605に送達される放射線である線量D1を有するように修正することができる。
【0055】
図6Bにおいて、選択された部分に送達される放射線は、Diより多くに増加させるか、又はDiより少なく減少させることができる。バリア625は、図6Aの線量曲線C1を有する材料であってよい。図6Aに示すように、バリア605の厚さがTiより薄い場合には、D1をDiより多くなるように増加させることができる。厚さがTiより厚い場合には、D1をDiより少なくなるまで減少させることができる。より薄いバリアを用いて、選択された送達線量を得るには、より密度の高い材料が使用され得る。D1は44kGyに増加する。例えば、D1が30kGyまで減少するように厚さを変更することができる。バリア材料の例示的な実施形態は、金属でよい。
【0056】
第2のセットの実施形態を示す図6Cは、選択された部分605の後方に放射線バリア630を伴う配置602を示す。選択された部分に送達される放射線は、Diより多くなるように増加させることができる。放射線バリア630は、選択された部分605の側面のカバー、モディファイヤ部分、又は取付け具の一部分に対応し得る。バリア630が非反射性材料である場合でも、選択された部分605の反対側から、放射線の反射が原因で選択された部分605に送達される放射線の増加が減少又は防止される。バリア630が反射性材料である場合には、放射線610の一部であるD2が、選択された部分605に向かって反射される。送達される放射線の総量は、Di及びD2の合計である。
【0057】
例示的な実施形態では、Diは25kGyであり、その結果、初期の曝露線量は25kGyである。25kGy放射線の一部であるD2は、バリア630によって反射され、例えば、5kGyである。送達される放射線の総量は、Di及びD2の合計、即ち30kGyである。
【0058】
第3のセットの実施形態を示す図6Dは、選択された部分605の前方のバリア615及び選択された部分605の後方の放射線バリア620を示す。バリア615によって、線量がD1となるように、放射線610を修正することができる。D1は、バリア615の厚さ及び密度に応じて、Diより高く又は低くなり得る。
【0059】
バリア620が反射性材料である場合には、放射線610の一部であるD2が、選択された部分605に戻る方向に反射される。送達される放射線の総量は、D1及びD2の合計である。バリア620が反射性材料である場合、以下の少なくとも3つの可能性がある:
(1)D1がDiより多く、且つ、D2が総量をDiより多くなるようにさらに増加させるような厚さ及び密度をバリア615が有する場合、送達される放射線の総量はDiを上回る。
(2)D1がDiより少なく、且つ、D2が総量をDiより多くなるように増加させるような厚さ及び密度をバリア615が有する場合、送達される放射線の総量はDiを上回る。
(3)D1がDiより少なく、且つ、D1及びD2の合計がDiより少なくなるような厚さ及び密度をバリア615が有する場合、選択された部分605に送達される放射線の総量はDiを下回る。
【0060】
バリア620が非反射性材料である場合、送達される放射線の総量は、バリア615の厚さ及び密度に応じて、Diより多く、又は少なくなり得る。
【0061】
例示的な実施形態では、バリア620は反射性材料であり、Diは40、D1は44kGy、D2は6kGyである。送達される線量の総量は、50kGyである。
【0062】
いくつかの実施形態では、カバーは、ステント送達アセンブリの選択された部分の周りに配置されているシース又はスリーブを含んでよい。このような実施形態において、選択された部分は、ステントの外周に沿って配置されたシース又はスリーブと共にステントを含んでよい。さらに、選択された部分は、アセンブリの選択された部分を封入するように折り重ねられ、且つ、折り重ねられたストリップを固定するためにクリップで留められた、ポリマー材料からなるストリップでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、選択された部分のためのカバーは、第1の側面及び第2の側面を含む。第1の側面は、入射してくる放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、第2の側面は、入射してくる放射線と反対側の選択された部分の側面を覆う。第1の側面は、吸収によって放射線を修正することができる。第2の側面は、選択された部分に向かって放射線を後方散乱させることによって、放射線を修正することができる。或いは、カバーは、非反射性材料から構成され、その結果、後方散乱による修正はほとんど無い。別の実施形態では、カバーは、入射してくる放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、入射してくる放射線と反対側の選択された部分の側面にはカバーが無い。
【0064】
図7Aは、カテーテルの末端700を覆うように配置されたステント705を示す。図7Bは、ステント705を覆うように配置されたシース710を示す。また、シース710の末端を閉じて、バイオバーデンへのステントの曝露を減少又は防止することもできる。シース710は、カテーテルにステントを固定すること及び放射線バリアになるという2つの目的を果たし得る。矢印715によって示されるように、放射線は末端700に向けることができる。シース710の側面720を前述したように適合させて、ステント705に送達される放射線を増加又は減少させることができる。同様に、側面725を適合させて、放射線の反射によってステント705に送達される線量を増加させることもできる。シース710の厚さはTsであり、これを調整して、ステントに向けられる放射線を所望の程度だけ修正することができる。Tsは、ステントが、所望の範囲内又は最適な範囲内である送達放射線を受けるようなものでよい。
【0065】
さらに、所望の程度の修正を実現する密度を有する材料を選択することもできる。ステントに送達される放射線が、選択された範囲まで増加又は減少するように、厚さ、密度、及び材料を選択することができる。別の実施形態では、カテーテルの一部分を覆うようにシース710を配置して、その部分に送達される放射線を修正することができる。
【0066】
図7Cは、バリアの代替の実施形態を示し、内側シース720及び外側シース725を示す。内側シース720及び外側シース725は、一緒に作用して、ステントに送達される放射線を修正することができる。内側シース720は、典型的には、ステントをカテーテルに固定するのに使用されるシースであってよく、一方、外側シース725は、ステントに送達される放射線を調整するように設計されていてよい。例えば、外側シース725の厚さTsoを調整することができ、且つ、シース材料の密度を、放射線の所望の修正を実現するように選択することができる。様々な組合せの材料及び厚さの内側シース720及び外側シース725を用いて、最適な送達放射線をステントに提供することができる。
【0067】
図7Dは、半円柱の形態であるカバー730からなる別の実施形態を示す。カバー730は、カテーテル700の末端700の選択された部分706の側面を覆う。カバー730は、例えば、金属などの反射性材料でよい。
【0068】
ステント送達アセンブリの選択された部分、例えばステントに送達される放射線が、選択された範囲内であるように、パッケージのモディファイヤ部分の態様は、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。いくつかの実施形態では、モディファイヤ部分は、パッケージの他の部分とは異なる放射線吸収特性及び放射線反射特性を有してよい。このような実施形態では、モディファイヤ部分は、異なる厚さ、密度を有してもよく、又は異なる材料で作られていてもよい。一実施形態では、モディファイヤ部分は、他の点では均一又は実質的に均一な厚さ、材料、及び密度を有するパッケージに結合されるか、又は取り付けられてよい。例えば、モディファイヤ部分は、パッケージにテープで貼り付けられた、接着剤で接着された、ステープルで留められた、又は取り付けられた、金属片、発泡体、プラスチック、又は他の材料でよい。例示的な実施形態では、モディファイヤ部分は、図3に示すポーチ200又は図4Aに示す箱240の中に、上に、又はそれらに一体化されて含まれてよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、パッケージは、入射してくる放射線と向き合っている選択された部分の側面に位置するモディファイヤ部分を有してよい。その場合、モディファイヤ部分は、吸収によって放射線を修正することができる。さらに、又は代わりに、パッケージは、入射してくる放射線に対して反対側の選択された部分の側面に位置するモディファイヤ部分を有してよい。このようなモディファイヤ部分は、選択された部分に向けた放射線の反射又は後方散乱によって、放射線を修正することができる。モディファイヤ部分の厚さ及び密度は、選択された部分に送達される選択された放射線を得るように選択することができる。
【0070】
図8Aは、ステント送達アセンブリ805がその中に含まれた可撓性パッケージ800の概略図を示す。バリア要素810は、パッケージ800のある部分に取り付けられている。アセンブリ805のステント815は、バリア要素810の後方に位置している。図8Bは、パッケージ800の側面図を示し、バリア要素810を示す。図8Bは、パッケージ800が、場合によっては反対側にバリア要素820を有してよいことを示す。例示的な実施形態では、バリア要素810は、矢印825によって示されるように、放射線源からアセンブリ800に向けられた放射線を選択的に修正することができる。さらに、バリア要素820は、例えば、支持している取付け具(図示せず)によって反射される、矢印830によって示されるような後方散乱された放射線も修正することができる。バリア要素830は、バリア810を通過する放射線の反射により、選択された部分に送達される放射線を増加させる反射性材料でよい。代替の実施形態では、パッケージ800は、バリア要素820を有してよく、且つ、バリア要素810を有さなくてよい。
【0071】
バリア要素810及び820は、同じ又は異なる厚さ、密度、又は材料でよい。さらに、パッケージ800は、場合によっては、カテーテル又はディスペンサーコイルの一部分に送達される放射線を修正するために、バリア要素835、845、又は両方を含んでよい。図6B〜6Dに関して考察したように、バリア要素810、820、835、及び845の厚さ、密度、又は材料を選択又は調整して、ステント815及び選択された部分840への所望又は最適な送達放射線曝露を得ることができる。代替の実施形態では、バリア要素は、パッケージ800の内側表面に取り付けられてよい。
【0072】
図9A〜9Bは、ステント送達アセンブリ905がその中に含まれた硬いパッケージ又は箱900、例えば図4に示す箱230の概略図を示す。放射線は、矢印925によって示されるように、パッケージ900に向けられている。矢印930によって示される後方散乱した放射線は、例えば、取付け具から届き得る。図示されるように、アセンブリ905は、パッケージ900内に含まれている可撓性のパッケージ又はポーチ903内に封入されている。
【0073】
図9Aは、パッケージ900に取り付けられたバリア要素910及び935を伴うパッケージ900の正面図を示す。バリア要素910は、ステント915の前方にあり、バリア要素935は、カテーテル905の部分940の前方にある。図9Bは、パッケージ900の側面図を示す。図9Bは、パッケージ900が、パッケージ900の反対側にバリア要素920、945、又は両方を場合によっては含むことを示す。代替の実施形態では、パッケージ900は、バリア要素920又は945のいずれか又は両方を有してよく、且つ、バリア要素910及び935を有さなくてよい。図6B〜6Dに関して考察したように、バリア要素910、920、935、及び945の厚さ、密度、又は材料を選択又は調整して、ステント915及び部分940への所望又は最適な送達放射線曝露を得ることができる。
【0074】
別の実施形態では、パッケージのモディファイヤ部分は、パッケージと一体化されているか、又はパッケージに組み込まれていてよい。図10Aは、ステント送達アセンブリ(図示せず)がその中に含まれたパッケージ1000を示す。パッケージ1000は、パッケージ1000と一体化されているか、前もって形成されているか、又は組み込まれているバリア部分1005を含む。図10Bは、パッケージ1000の側面図を示し、パッケージ1000内に含まれるステント送達アセンブリ1015を示す。パッケージ1000は、場合によっては、バリア部分1010を有してよい。代替の実施形態では、パッケージ1000は、バリア要素1010を有してよく、且つ、バリア要素1005を有さなくてよい。ステント1020は、バリア部分1005とバリア部分1010の間に位置しており、バリア部分1010もまた、パッケージ1000と一体化されているか、前もって形成されているか、又は組み込まれていてよい。パッケージ1000は、プラスチック材料で形成され、バリア部分1005及び1010がパッケージ1000の一部分として前もって形成されてよい。
【0075】
さらなる実施形態では、パッケージは、バリア要素の挿入を可能にする差込み口(receptacle)又はスリーブを有してよい。挿入されたバリア要素は、ステント送達アセンブリの選択された部分に送達される放射線を選択的に修正することができる。図11Aは、ステント送達アセンブリ(図示せず)がその中に含まれたパッケージ1100を示す。パッケージ1100は、パッケージ1100に一体化されるか、又は取り付けられている、差込み口又はスロット1105を含む。差込み口1105は、矢印1120によって示されるようにバリア要素1115の挿入を可能にする開口部1110を有する。図11Bは、パッケージ1100の側面図を示し、パッケージ1100内に含まれるステント送達アセンブリ1125を示す。パッケージ1100はまた、矢印1145によって示されるように、バリア要素1140のための差込み口1135も有してよい。代替の実施形態では、パッケージ1100は、バリア要素1140を伴う差込み口1135を有してよく、且つ、バリア要素1115を伴う差込み口1105を有さなくてよい。ステント1130は、同様にパッケージ1100と一体化されているか、又は取り付けられていてよい差込み口1105と差込み口1135の間に位置する。
【0076】
本発明の別の実施形態は、アセンブリの選択された部分に送達される放射線を選択的に修正する取付け具を用いて埋め込み可能な医療デバイスを滅菌するステップを含んでよい。このような実施形態では、取付け具は、向けられた放射線と向き合うデバイスと反対側にある支持アームでよい。ある実施形態では、支持体は、選択された部分に放射線を選択的に反射するか、又は後方散乱させるモディファイヤ部分を含んでよい。例えば、モディファイヤ部分は、支持アームの他の部分よりも反射性の高い材料から構成されてよい。別の実施形態では、モディファイヤ部分は、放射線を選択的に吸収することができるか、又は、支持アームの他の部分よりも低い反射特性を有してよい。
【0077】
図12Aは、滅菌の間、ステント送達アセンブリを含むパッケージを支持するための取付け具1200を示す。取付け具1200は、底面支持体1205及び背面支持体1210を含む。背面支持体1210は、モディファイヤ要素1215を有する。モディファイヤ要素1215は、取付け具の他の部分とは異なる放射線吸収/反射特性を有する。
【0078】
図12Bは、ステント送達アセンブリ1255を含むパッケージ1220を支持する取付け具1200の側面図を示す。放射線は、矢印1235によって示されるように、パッケージ1220に向けられている。ステント1230は、モディファイヤ要素1215と向けられた放射線1235の間に位置する。背面支持体1215が反射性材料から構成されている場合、非反射性モディファイヤ要素1215は、背面支持体1210からステント1230への後方散乱を減少又は消失させて、ステント1230に送達される放射線を減少させることができる。例えば、背面支持体1215は、アルミニウムから構成されてよく、モディファイヤ要素1215は、発泡体などの非反射性材料でよい。
【0079】
本発明の別の実施形態は、取付け具上に配置された複数のステント送達アセンブリを滅菌するステップを含んでよい。アセンブリを含む複数のパッケージは、取付け具上に配置され得る。アセンブリは、図4Aの箱240中のように、平面配置で配列されてよい。eビーム源からのeビームは、放射線源と取付け具の間に位置するパッケージの平面配置に対して鋭角であってよい。これらのパッケージは、曝露の間に放射線が複数のアセンブリを通過するように、水平方向に積み重ねた配置で配列される。結果として、アセンブリに送達される線量が、放射線源と取付け具との距離に応じて変動する。このような実施形態では、1つ又は複数のアセンブリは、アセンブリの選択された部分が、選択された送達放射線線量を受けるようにパッケージ内に配置されてよい。
【0080】
図13Aは、少しずつずらして水平方向に積み重ねた配置で配列されたパッケージ1305を含む取付け具1300を示す。3つのパッケージのみを示すが、説明する方法は3つより多くに適用されることを理解すべきである。パッケージの数は、取付け具の大きさによって制限される。取付け具1300は、底面支持体1302及び背面支持体1304を有する。パッケージ1305はそれぞれ、カテーテルの末端に配置されたステント1315を伴うステント送達アセンブリ1310を含む。図13Bは、線A−Aに沿った、取付け具1300及びパッケージ1305の上から見た図を示す。放射線源は、矢印1320によって示されるように、放射ビームを方向付ける。放射ビーム1320は、パッケージ1305の正面に対して角度θの鋭角にある。各パッケージ1305においてアセンブリ1310に送達される放射線は、矢印1335によって示されるように、パッケージ1305の正面に対して平行な線に沿った距離と共に減少する。ステント1315などアセンブリ1310の選択された部分は、その選択された部分が、選択された送達放射線を有するように、1つ又は複数のパッケージ1305内に配置されてよい。アセンブリ1310又は選択された部分に送達される放射線は、背面支持体1304の材料の適切な選択によって増加させることができる。背面支持体1304が反射性材料から構成されている場合、アセンブリ1310又は選択された部分に送達される放射線は増加され得る。或いは、背面支持体1304が、発泡体などの非反射性材料から構成されている場合、反射された放射線に起因する送達放射線の増加は、減少又は防止され得る。さらに、図12A〜12Bに示されるようなモディファイヤ部分1215を取付け具1300と共に用いて、選択された部分に送達される放射線を選択的に修正することができる。
【0081】
ステントの基本的な構造又は基材は、完全に又は少なくとも部分的に、生分解性ポリマー若しくは生分解性ポリマーの組合せ、生物学的に安定なポリマー若しくは生物学的に安定なポリマーの組合せ、又は生分解性ポリマーと生物学的に安定なポリマーの組合せから作られていてよい。さらに、デバイスの表面用のポリマーベースのコーティングは、生分解性ポリマー若しくは生分解性ポリマーの組合せ、生物学的に安定なポリマー若しくは生物学的に安定なポリマーの組合せ、又は生分解性ポリマーと生物学的に安定なポリマーの組合せでよい。
【0082】
ステントなど埋め込み可能な医療デバイスを製作する際に使用するためのポリマーは、生物学的に安定、生体吸収性、生分解性、又は生物学的に侵食性でよい。生物学的に安定とは、生分解性ではないポリマーを意味する。生分解性、生体吸収性、及び生物学的に侵食性という用語は同義的に使用され、血液などの体液に曝露された場合に、完全に分解及び/又は侵食されることができ、且つ、徐々に身体によって再吸収、吸収、及び/又は排除され得るポリマーを意味する。ポリマーの分解及び吸収のプロセスは、例えば、加水分解及び代謝プロセスによって引き起こされ得る。
【0083】
分解、侵食、吸収、及び/又は再吸収のプロセスが完了した後、ステントの一部分たりとも残らないか、又は、生物学的に安定な足場上にコーティングを適用する場合には、ポリマーがデバイス上に全く残らないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、無視できるごくわずかの痕跡又は残留物が残されている場合がある。生分解性ポリマーで作られたステントの場合、ステントは、例えば血管開通性を維持すること及び/又は薬物送達という意図された機能が達成されるまでの持続期間、体内に残ることが意図されている。
【0084】
埋め込み可能な医療デバイスの基材又は埋め込み可能な医療デバイス用のコーティングを製造するために使用され得るポリマーの代表的な例としては、それだけには限らないが、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエチレンアミド、ポリエチレンアクリレート、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、co−ポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、及びヒアルロン酸など)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アクリルポリマー及びポリアクリレート以外の共重合体、ハロゲン化ビニルポリマー及び共重合体(ポリ塩化ビニルなど)、ポリビニルエーテル(ポリビニルメチルエーテルなど)、ポリハロゲン化ビニリデン(ポリ塩化ビニリデンなど)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族(ポリスチレンなど)、ポリビニルエステル(ポリ酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン66及びポリカプロラクタムなど)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0085】
本明細書において開示する方法に従って埋め込み可能な医療デバイスを製造する際に使用するのに特に好適であり得るポリマーのその他の代表的な例としては、エチレンビニルアルコール共重合体(一般に、一般名EVOH又は商品名EVALによって公知)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロルプロペン(hexafluororpropene))(例えば、SOLEF 21508、Solvay Solexis PVDF(トロフェア、ニュージャージー州)から入手可能)、ポリフッ化ビニリデン(さもなければKYNARとして公知、ATOFINA Chemicals(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)から入手可能)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0086】
デバイスの非ポリマー基材は、金属材料又は合金から作られてよく、合金は、例えば、それだけには限らないが、コバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレス鋼(316L)、高窒素ステンレス鋼(例えば、BIODUR 108)、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、ELASTINITE(Nitinol)、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はそれらの組合せなどである。「MP35N」及び「MP20N」は、Standard Press Steel Co.(ジェンキンタウン、ペンシルバニア州)から入手可能なコバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金の商品名である。「MP35N」は、35%コバルト、35%ニッケル、20%クロム、及び10%モリブデンからなる。「MP20N」は、50%コバルト、20%ニッケル、20%クロム、及び10%モリブデンからなる。
【0087】
薬物又は活性物質としては、それだけには限らないが、治療的効果、予防的効果、又は診断的効果を発揮することができる任意の物質を挙げることができる。ステントや非荷重負荷足場構造体などの埋め込み可能な医療デバイスにおいて使用するための薬物は、治療物質、予防物質、若しくは診断物質のいずれか又はそれらの組合せでよい。活性物質の例としては、アクチノマイシンD、又はその誘導体及び類似体(Sigma−Aldrich(1001 West Saint Paul Avenue、ミルウォーキー、WI53233)によって製造されているか、又はMerck社から入手可能なCOSMEGEN)などの抗増殖性物質が挙げられる。アクチノマイシンDの異名には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI1、アクチノマイシンX1、及びアクチノマイシンC1が含まれる。生物活性を有する作用物質はまた、抗腫瘍物質、抗炎症物質、抗血小板物質、抗凝血物質、抗フィブリン物質、抗トロンビン物質、抗有糸分裂物質、抗生物質、抗アレルギー物質、及び抗酸化物質の属に分類され得る。このような抗腫瘍物質及び/又は抗有糸分裂物質の例としては、パクリタキセル、(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.(スタンフォード、コネティカット州)製のTAXOL(登録商標))、ドセタキセル(例えば、Aventis S.A.(フランクフルト、ドイツ)製のTaxotere(登録商標))、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、Pharmacia&Upjohn(ピーパック、ニュージャージー州)製のAdriamycin(登録商標))、及びマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.(スタンフォード、コネティカット州)製のMutamycin(登録商標))が挙げられる。
【0088】
このような抗血小板物質、抗凝血物質、抗フィブリン物質、及び抗トロンビン物質の例としては、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成の抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、並びにAngiomax a(Biogen,Inc.(ケンブリッジ、マサチューセッツ州))などのトロンビン阻害剤が挙げられる。このような細胞増殖抑制物質又は抗増殖性物質の例としては、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.(スタンフォード、コネティカット州)製のCapoten(登録商標)及びCapozide(登録商標))、シラザプリル又はリシノプリル(例えば、Merck&Co.,Inc.(ホワイトハウスステーション、ニュージャージー州)製のPrinivil(登録商標)及びPrinzide(登録商標))などのアンギオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンなど)、コルヒチン、タンパク質、ペプチド、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(ω3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下薬、Merck&Co.,Inc.(ホワイトハウスステーション、ニュージャージー州)製の商品名Mevacor(登録商標))、モノクローナル抗体(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なものなど)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、並びに一酸化窒素が挙げられる。抗アレルギー物質の例は、ペミロラストカリウムである。適切な作用物質であり得る他の治療物質又は治療的作用物質としては、シスプラチン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、カルボプラチン、α−インターフェロン、遺伝子改変された上皮細胞、ステロイド系抗炎症物質、非ステロイド系抗炎症物質、抗ウイルス薬、抗癌薬、抗凝固剤、フリーラジカルスカベンジャー、エストラジオール、抗生物質、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ABT−578、クロベタゾール、細胞増殖抑制物質、そのプロドラッグ、その共有結合薬物(co−drug)、及びそれらの組合せが挙げられる。他の治療物質又は治療的作用物質としては、ラパマイシン及びその構造的誘導体又は機能的類似体、例えば、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(商品名EVEROLIMUSとして公知)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、メチルラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシンを挙げることができる。
【0089】
ステント保管容器、例えば、図3のパッケージ230又は図11A〜11Bのパッケージ1100は、密閉された場合にバリアを形成する様々な物質で作られてよい。例えば、ステント保管容器は、ポリマー、ガラス、セラミック、又はアルミニウム、ステンレス鋼、若しくは金などの金属物質で作られてよい。金属物質で作られている場合、容器は、例えば、金属フィルムで形成されてよい。フィルムの適切な例としては、それだけには限らないが、金、白金、白金/イリジウム合金、タンタル、パラジウム、クロム、及びアルミニウムが挙げられる。容器用に適した材料には、前述の金属の酸化物、例えば酸化アルミニウムも含まれ得る。医薬用の保管容器は、例えば、Oliver Products Company(グランドラピッズ、ミシガン州)から入手することができる。
【0090】
ステント保管容器を構築するのに適したポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリウレタン、セルロース系物質(即ち、セルロース由来の単量体単位を有するポリマー)、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド)(Selar PA(商標))として市販されている)、ポリ(エチレンテレフタレート−co−p−オキシベンゾエート)(PET/PHB、例えば、約60〜80モルパーセントのPHBを有する共重合体)、ポリ(ヒドロキシアミドエーテル)、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(Lopac(商標)として市販されている)、ゴム変性アクリロニトリル/アクリレート共重合体(Barex(商標)として市販されている)、液晶ポリマー(LCP)(例えば、Hoescht−Celaneseから入手可能なVectra(商標)、DuPontから入手可能なZenite(商標)、及びAmoco Performance Chemicalsから入手可能なXydar(商標)、ポリ(硫化フェニレン)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アミン加硫を用いてビスフェノールAベースのジエポキシドから構成されるエポキシ、脂肪族ポリケトン(例えば、Shellから入手可能なCarilon(商標)及びBritish Petroleumから入手可能なKetonex(商標))、ポリスルホン、ポリ(エステルスルホン)、ポリ(ウレタン−スルホン)、ポリ(カーボネート−スルホン)、ポリ(3−ヒドロキシオキセタン)、ポリ(アミノエーテル)、ゼラチン、アミロース、パリレン−C、パリレン−D、及びパリレン−Nのポリマーを挙げることができる。
【0091】
代表的なポリオレフィンとしては、約2〜6個の炭素原子を有するαモノオレフィン単量体及びハロゲン置換されたオレフィン、即ちハロゲン化ポリオレフィンをベースとするものが挙げられる。一例として、限定するものではないが、低密度から高密度のポリエチレン、本質的に無可塑のポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)(Saran(商標))、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(Teflon)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(Kel−F(商標))、及びそれらの混合物が適している。低密度から高密度のポリエチレンは、一般に、約0.92g/cm3〜約0.96g/cm3の密度を有すると理解されているが、密度を分類するための明確な線は引くことができず、密度は供給業者によって様々であり得る。
【0092】
代表的なポリウレタンとしては、保管温度若しくは周囲温度より高いガラス転移温度を有する、例えば、少なくとも40℃〜60℃のガラス転移温度を有するか、又は、炭化水素、シリコーン、フルオロシリコーン、若しくはそれらの混合物を含む非極性の柔らかい部分を有するポリウレタンが挙げられる。例えば、Elastomedic/CSIRO Molecular Science製のElast−Eon(商標)は、1,4−ブタンジオール、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートで作られている非極性の柔らかい部分、並びにポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)及びビスヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサン(PDMS)の混合物から構成される柔らかい部分を有するポリウレタンである。有用な例は、20重量%のPHMO及び80重量%のPDMSの混合物を有する。
【0093】
セルロース系物質の代表的な例としては、それだけには限らないが、約0.8より大きいか、又は約0.6より小さい置換程度(DS)を有する酢酸セルロース、エチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0094】
代表的なポリエステルとしては、それだけには限らないが、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、及びポリ(エチレンテレフタレート)などの飽和又は不飽和ポリエステルが挙げられる。
【0095】
代表的なポリアミドとしては、それだけには限らないが、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,9、ナイロン−6,10、ナイロン−11、芳香族ナイロンMXD6(Mitsubishi Gas Chemical America,Inc.製)、及びそれらの混合物など、結晶質又は非結晶質のポリアミドが挙げられる。
【0096】
代表的なポリアクリレートとしては、それだけには限らないが、ポリ(メチルメタクリレート)及びポリメタクリレートが挙げられる。
【0097】
ステント保管容器はまた、ビニルモノマー同士及びポリ(エチルビニルアセテート)などオレフィンとの共重合体から構成されてもよい。
【0098】
本発明の特定の実施形態が示され、且つ説明されたが、本発明から逸脱することなく、より広範な態様において変更及び修正を実施できることが当業者には明らかであろう。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、放射線滅菌に関する。
【0002】
[最新技術の説明]
本発明は、身体の管腔中に埋め込まれるように適合させられる、半径方向に拡張可能な内部人工器官に関する。「内部人工器官」は、体内に留置される人工デバイスに対応する。「管腔」とは、血管などの管状器官の腔を意味する。
【0003】
ステントは、このような内部人工器官の例である。ステントは、一般に、円柱形状のデバイスであり、血管又は尿路や胆管など他の解剖学的管腔の区域を詰まりがないように保ち、且つ、時々拡張するように機能する。ステントは、血管のアテローム硬化性狭窄の治療においてしばしば使用される。「狭窄」とは、身体の経路又は開口部の直径の狭小化又は収縮を意味する。このような治療において、ステントは、身体の血管を強化し、且つ、血管系における血管形成術後の再狭窄を予防する。「再狭窄」とは、(バルーン血管形成術、ステント術、又は弁形成術などによって)治療され、外見上成功した後の、血管又は心臓弁における狭窄の再発を意味する。
【0004】
ステントを用いた罹病部位又は病変の治療は、ステントの送達及び展開の両方を伴う。「送達」とは、身体の管腔を通じて、治療を必要とする管中のある領域、例えば病変部などにステントを導入し、且つ移送することを意味する。「展開」は、管腔内のステントを治療領域で拡張させることに対応する。ステントの送達及び展開は、カテーテルの一方の端付近にステントを配置し、カテーテルのその端を皮膚を通して身体の管腔中に挿入し、身体の管腔中のカテーテルを所望の治療部位まで前進させ、治療部位でステントを拡張させ、且つ、管腔からカテーテルを除去することによって遂行される。
【0005】
拡張可能なバルーンステントの場合、ステントは、カテーテル上に配置されたバルーン付近に取り付けられる。ステントの取付けは、典型的には、バルーン上にステントを押し付けるか、又は圧着することを含む。次いで、ステントは、バルーンを膨張させることによって、拡張される。次いで、バルーンの空気を抜き、且つカテーテルを引き抜いてよい。自己拡張型ステントの場合、ステントは、伸縮自在なシース(sheath)又はソック(sock)を介してカテーテルに固定されていてよい。ステントが所望の体内位置に存在する場合、シースを引き抜くことができ、それにより、ステントが自己拡張することが可能になる。
【0006】
ステントは、多くの機械的要件を満たすことができなければならない。第1に、ステントは、管壁を支持するときにステントに課される構造的な負荷、即ち、半径方向の圧縮力に耐えることができなければならない。したがって、ステントは、適切な半径方向強度を備えていなければならない。半径方向強度は、ステントが半径方向の圧縮力に耐える能力であり、ステントの円周方向を取り巻く強度及び剛性に起因する。したがって、半径方向の強度及び剛性は、フープ又は円周の強度及び剛性と記述されてもよい。
【0007】
一度拡張すると、ステントは、鼓動している心臓によって引き起こされる周期的な負荷を含む、その上で生じるようになる可能性がある様々な力にもかかわらず、その耐用寿命の間一貫してサイズ及び形状を適切に維持しなければならない。例えば、半径方向に向けられた力は、ステントを内側に向けて巻き直させる傾向を有する場合がある。一般に、巻き直しを最小限に抑えることが望ましい。
【0008】
さらに、ステントは、圧着、拡張、及び周期的負荷に対処するのに十分な可撓性も備えていなければならない。縦方向の可撓性は、曲がりくねった血管経路を通ってステントを移動させるのを可能にし、且つ、直線状ではない可能性があるか、又は屈曲しやすい可能性がある展開部位にそれが適合するのを可能にするために重要である。最後に、ステントは、血管のいかなる有害な応答も誘発しないように、生体適合性でなければならない。
【0009】
ステントの構造は、典型的には、当技術分野においてしばしばストラット(strut)又はバーアーム(bar arm)と呼ばれる、相互に連結する構造的要素のパターン又はネットワークを含む足場から構成されている。足場は、円柱形状に丸められた材料のワイヤー、チューブ、又はシートから形成されてよい。足場は、ステントが(圧着を可能にするために)半径方向に圧縮され得るように、且つ(展開を可能にするために)半径方向に拡張され得るように、設計される。従来のステントは、互いに対してあるパターンを有する個々の構造要素の動作を通じて、拡張及び収縮することができる。
【0010】
さらに、薬用ステントは、金属足場又はポリマー足場のいずれかの表面を、活性又は生物活性を有する作用物質又は薬物を含むポリマー担体でコーティングすることによって、製造され得る。ポリマー足場はまた、活性な作用物質又は薬物の担体としての機能も果たすことができる。
【0011】
ステントが製造された後、ステントは、典型的には、ステントのバイオバーデンを許容範囲の滅菌保証レベル(SAL)まで減少させるために、滅菌を受ける。ステントなどの医療デバイスを滅菌する方法は多数あり、最も一般的な方法は、酸化エチレン処理及び電子ビームやガンマ放射線などの電離放射線を用いた処理である。一般に、滅菌手順は、ステントの材料特性に対する有害な影響がほとんど無いか、又は全く無いことが望ましい。
【0012】
[概要]
本発明の様々な実施形態は、ステント送達アセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、放射線源からの放射線にステント送達アセンブリを曝露するステップを含み、該アセンブリの選択された部分を覆うカバーが、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、ステント送達アセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、パッケージ中に封入されたステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、該パッケージが、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する1つ又は複数のモディファイヤ(modifier)部分を含む。
【0014】
本発明のさらなる実施形態は、放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステムを含み、該システムは、ステント送達アセンブリ、及び1つ又は複数のモディファイヤ部分を有するパッケージを備え、該アセンブリがパッケージ内に配置され、1つ又は複数のモディファイヤ部分が、放射線が放射線源から該アセンブリに向けられる場合に、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線を修正するように、アセンブリの選択された部分に対して位置付けられている。
【0015】
本発明の他の実施形態は、放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステムを含み、該システムは、ステント送達アセンブリ、及び該アセンブリの選択された部分を覆うカバーを備え、該カバーが、放射線が放射線源から該アセンブリに向けられる場合に、該アセンブリの選択された部分に送達される放射線を修正する。
【0016】
本発明のいくつかのその他の実施形態は、ステント送達アセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、ステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、該アセンブリが、取付け具によって支持されたパッケージ中に配置され、取付け具のモディファイヤ部分が、アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する。
【0017】
本発明の他のいくつかの実施形態は、放射線源を用いて複数のステント送達システムアセンブリを滅菌する方法を含み、該方法は、複数のステントカテーテルアセンブリを取付け具上に支持されたパッケージ内に配置するステップであって、各アセンブリが該パッケージ中に平面配置で配列されるステップと、該アセンブリを放射線源からの放射線ビームに曝露するステップであって、該ビームが、放射線源と取付け具の間に位置するパッケージの平面配置に対して鋭角であるステップとを含み、該方法において、パッケージは、曝露の間に放射線が複数のアセンブリを通過するように配列され、送達される線量が、放射線源と取付け具との距離に応じて変動し、1つ又は複数のアセンブリが、アセンブリの選択された部分が選択された送達放射線線量を受けるようにパッケージ内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ステントを示す図である。
【図2】図2は、ステント送達アセンブリを示す図である。
【図3】図3は、ポーチ中に配置されたステント送達アセンブリの概略図である。
【図4A】図4Aは、平らな箱中に配置されたポーチ中のステント送達アセンブリの概略図である。
【図4B】図4Bは、チップボード箱中に配置されたステント送達アセンブリを含むポーチの写真である。
【図5】図5は、パッケージを支持する取付け具の概略図である。
【図6A】図6Aは、2つの異なる密度の材料に関して、放射線の浸透の深度に対して材料内部に送達された線量を示す図である。
【図6B】図6Bは、デバイスの選択部分への放射線曝露を修正する実施形態を示す図である。
【図6C】図6Cは、デバイスの選択部分への放射線曝露を修正する実施形態を示す図である。
【図6D】図6Dは、デバイスの選択部分への放射線曝露を修正する実施形態を示す図である。
【図7A】図7Aは、カテーテルの末端を覆うように配置されたステントを示す図である。
【図7B】図7Bは、ステントを覆うように配置されたシースを示す図である。
【図7C】図7Cは、ステントを覆う内側シース720及び外側シース725を示す図である。
【図7D】図7Dは、半円柱の形態であるカバー730からなる別の実施形態を示す。
【図8A】図8Aは、ステント送達アセンブリがその中に含まれた可撓性パッケージの概略図である。
【図8B】図8Bは、図8Aのパッケージの側面図である。
【図9A】図9Aは、ステント送達アセンブリがその中に含まれた剛性パッケージの概略図である。
【図9B】図9Bは、図9Aのパッケージの側面図である。
【図10A】図10Aは、ステント送達アセンブリがその中に含まれた、前もって形成されたバリア部分を伴うパッケージを示す図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのパッケージの側面図である。
【図11A】図11Aは、バリア要素を挿入するための差込み口又はスロットを含むパッケージを示す図である。
【図11B】図11Bは、図10Aのパッケージの側面図である。
【図12A】図12Aは、滅菌の間、ステント送達アセンブリを含むパッケージを支持するための取付け具を示す図である。
【図12B】図12Bは、ステント送達アセンブリを含むパッケージを支持する図11Bの取付け具の側面図である。
【図13A】図13Aは、少しずつずらして水平方向に積み重ねた配置で配列されたパッケージを含む取付け具を示す図である。
【図13B】図13Bは、図13A中の取付け具の上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[発明の詳細な説明]
本発明の様々な実施形態は、埋め込み可能な医療デバイスを放射線によって滅菌することに関する。いくつかの実施形態では、これらのデバイスは、全体的に又は部分的にポリマーで作られてよい。これらの実施形態は、デバイスの選択された部分に送達される放射線を制御することに関する。
【0020】
本明細書において説明する方法及びシステムは、一般に、埋め込み可能な医療デバイスに適用され得る。これらの方法及びシステムは、下記に考察する理由により、ポリマー基材、ポリマーベースのコーティング、及び/又は薬物送達コーティングを有する埋め込み可能な医療デバイスに特に関連する。ポリマーベースのコーティングは、例えば、罹病部位に局所的に投与するための活性な作用物質又は薬物を含んでよい。埋め込み可能な医療デバイスは、ポリマーベースのコーティングと共にポリマー基材又は非ポリマー基材を含んでよい。
【0021】
埋め込み可能な医療デバイスの例としては、自己拡張可能なステント、バルーン拡張可能なステント、ステントグラフト、グラフト(例えば、大動脈グラフト)、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、及び心内膜リード(例えば、Abbott Cardiovascular Systems Inc(サンタクララ、カリフォルニア州)から入手可能なFINELINE及びENDOTAK)が挙げられる。デバイスの基本的な構造又は基材は、事実上任意の設計のものでよい。
【0022】
ステントの構造は、特に、複数の相互接続した構造要素又はストラットのパターンを含む足場又は基材を有してよい。図1は、ステント100の図の例を示す。ステント100は、円柱状の形状を有し、且つ、多くの相互接続した構造要素又はストラット110を伴うパターンを含む。一般に、ステントパターンは、ステントが半径方向に圧縮され(圧着され)得るように、且つ(展開を可能にするために)半径方向に拡張され得るように、設計される。圧縮及び拡張の間に関与する圧力は、一般に、ステントパターンの様々な構造要素の全体に分配される。本発明は、図1に示されるステントパターンに限定されない。ステントパターンの変化は、事実上無制限である。
【0023】
ステント100などのステントは、ポリマーチューブから、又は、シートを巻き、且つ結合させてチューブを形成させることによってシートから製造することができる。ステントパターンは、チューブ上でパターンをレーザー切断することによって、ポリマーチューブ上に形成させることができる。使用され得るレーザーの代表的な例としては、それだけには限らないが、エキシマー、二酸化炭素、及びYAGが挙げられる。他の実施形態では、化学エッチングが、チューブ上にパターンを形成するために使用され得る。
【0024】
ステントは、治療を成功させるために非常に重要であるいくつかの機械的要件を有する。例えば、ステントは、管壁を支持するときにステントに課される構造的な負荷、即ち、半径方向の圧縮力に耐えるのに十分な半径方向の強度を有していなければならない。さらに、ステントは、圧着、拡張、及び周期的負荷に対処するのに十分な可撓性も備えていなければならない。屈曲要素130、140、及び150は、特に、ステントの使用中に非常に多くの圧力及び引っ張り力を受ける。
【0025】
圧力をポリマーに加えることによって、ポリマーの機械的特性を修正できることは、当業者には周知である。ポリマーの強度及びモジュラスは、加えられる圧力の方向に沿って増大する傾向がある。したがって、いくつかの実施形態では、ポリマーチューブをレーザー切断の前に半径方向に変形させて、半径方向の強度を高めることができる。強度及びモジュラスの増大は、円周方向に誘導された分子配向に起因し得る。しかし、ポリマーの温度が、ガラス転移温度(Tg)近く又はそれより高くまで上昇するにつれて、誘導された配向及び強度の一部又は全てが、ポリマー鎖の弛緩が原因で失われる可能性がある。「ガラス転移温度」、即ちTgは、ポリマーの非結晶性ドメインが気圧下で、もろいガラス質状態から変形可能又は延性の固体状態に変化する温度である。言い換えると、Tgは、ポリマー鎖においてセグメントの運動の開始が生じる温度に相当する。非結晶性又は半結晶性ポリマーが、上昇する温度に曝露される場合、ポリマーの拡張係数及び熱容量はどちらも、温度を上昇させるにつれて増加し、これは、分子運動が増大したことを示す。温度を上昇させる際、試料中の実際の分子体積は一定のままであり、したがって、より高い拡張係数は、その系に付随する自由体積の増加、及びしたがって、分子が移動する際の自由の増大を示す。熱容量の増大は、運動による熱放散の増大に対応する。所与のポリマーのTgは、加熱速度に依存する可能性があり、且つ、ポリマーの熱履歴によって影響され得る。さらに、ポリマーの化学構造は、可動性に影響を及ぼすことによってガラス転移に大いに影響する。
【0026】
滅菌は、典型的には、ステントなどの医療デバイス上で、デバイス上のバイオバーデンを減少させるために実施される。バイオバーデンとは、一般に、対象に混入している微生物の数を意味する。滅菌の程度は、典型的には、滅菌後の製品単位上に生存可能な微生物が存在する確率を意味する滅菌保証レベル(SAL)によって測定される。製品のために必要とされるSALは、その製品の意図される用途に依存する。例えば、体内の液体経路中で使用される予定の製品は、クラスIIIデバイスとみなされている。様々な医療デバイスに対するSALは、アーリントン(バージニア州)の医療器具開発協会(the Association for the Advancement of Medical Instrumentation)(AAMI) による資料において確認することができる。
【0027】
放射線滅菌は、当業者に周知である。全体的又は部分的にポリマーから構成されている医療デバイスは、それだけには限らないが、電子ビーム(eビーム)、ガンマ線、紫外線、赤外線、イオンビーム、X線、及びレーザー滅菌を含む、様々な種類の放射線によって滅菌することができる。滅菌線量は、必要とされるSALを提供する線量を選択することによって決定することができる。1回又は複数回通過させて、必要とされる線量に試料を曝露させることができる。
【0028】
しかし、放射線は、放射線によって処理されるポリマーの諸特性を変化させ得ることは公知である。高エネルギーの放射線は、ポリマー分子のイオン化及び励起をもたらす傾向がある。これらのエネルギーに富む種は、解離反応、サブトラクション反応、及び付加反応を連続的に経て、化学的安定性をもたらす。安定化プロセスは、照射中、照射直後、又は照射後数日、数週間、若しくは数ヶ月目にさえ、起こる可能性があり、しばしば、物理的及び化学的な架橋又は鎖切断を結果として生じる。結果として生じる物理的変化としては、特に、脆化、変色、におい発生、硬化、及び軟化を挙げることができる。
【0029】
特に、eビーム照射滅菌に起因するポリマー材料及び薬物の性能の劣化は、放射線曝露中及びポリマー鎖の他の部分との反応による、デバイスにおけるフリーラジカル形成に関連付けられている。反応は、eビーム線量及び温度レベルに依存している。
【0030】
さらに、eビームなどの放射線への曝露は、照射されたポリマー試料の温度上昇を引き起こし得る。温度上昇は、曝露レベルに依存している。ステント送達アセンブリは、12kGyの放射線曝露当たり約7℃上昇し得ることが観察されている。ポリマーの機械的特性は、温度変化に特に敏感である。特に、温度がガラス転移温度(Tg)に近づき、且つ超えるにつれ、特性に対する影響はより大きくなる。ポリマーステントのeビーム照射が、脆性挙動の発生が原因で、展開中にストラットの亀裂をもたらし得ることが観察されている。亀裂は、温度の上昇、並びに分子量の減少に起因する場合もある。さらに、温度上昇は、ポリマー鎖の弛緩が原因で、誘導された配向及び強度の一部又は全ての消失をもたらす場合もある。
【0031】
さらに、温度の上昇は、薬物の放出速度を上昇させて、ステント上への薬物負荷を減少させることもできる。薬物はまた、高温では、製造及び保管状態の間に分解して、薬物の総含有量及び放出速度を変化させる場合がある。線量は、所望の程度までステントを滅菌するのに十分であるように選択することができる。先に示したように、曝露は、放射線源からの1回又は複数回の通過であってよい。
【0032】
一般に、ポリマーステント及びバルーンの方が、カテーテル及びディスペンサーコイルよりも放射線曝露に対する感受性が高い。ステント及びバルーンの性能は、放射線曝露によって引き起こされる温度の上昇及び化学的分解によって悪影響を受ける可能性がより高い。したがって、ステント及びバルーンに送達される放射線曝露が、選択された範囲内にあることが重要である。選択された範囲は、例えば、20〜30KGy、又はより厳密には22〜27KGyであってよい。他方、カテーテル及びディスペンサーコイルの性能は、放射線曝露に対する感受性が低い。したがって、カテーテル及びディスペンサーコイルは、より高いレベルで送達される放射線のより大きな変化に耐え得る。一般に、あるデバイスの選択された部分は、そのデバイスの他の部分とは異なる、所望の又は最適な送達放射線範囲を有し得る。
【0033】
さらに、いくつかの実施形態では、ステント及びバルーンは、効果的な滅菌のために、カテーテル及びディスペンサーコイルよりも少ない放射線曝露を必要とする場合がある。ステントの加工は、カテーテルと比べて、ステント上のバイオバーデンのレベルをより低くする可能性がある。例えば、ステントは、加工中にイソプロピルアルコールやアセトンなどの溶剤に曝露させてよい。さらに、ステント材料は、様々な加工ステップ中に高温に曝露させてもよい。したがって、ステントは、5cfu未満、さらには0〜1cfuという低さのバイオバーデンを有し得る。「CFU」は、バイオバーデンの指標であり、生存可能な細菌数の指標である「コロニー形成単位」の略語である。1.5cfuの製品に対して、必要とされる又は最終的な滅菌線量は15KGyであり、また、8cfuの製品に対する放射線線量は、17.5KGyである。送達システムは、アセンブリの他の部分よりも実質的に多い線量を必要とする場合がある。
【0034】
したがって、放射線源からの放射線の所与の線量に関して、ステント送達アセンブリなどの埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分に送達される放射線を選択的に修正することが望ましい場合がある。例えば、ステントに送達される線量を減少させてよい。これにより、放射線に起因する性能劣化は低減されるはずである。或いは、器具の選択された部分に送達される線量を増加させることが望ましい場合もある。デバイスのいくつかの部分は、バイオバーデンが高いため、より多い線量を必要とする場合がある。また、いくつかの部分は、パッケージ又はデバイスの他の部分による放射線の遮蔽が原因で、必要とされるよりも少ない送達線量を受ける場合がある。
【0035】
ステントは、典型的には、滅菌され、包装され、保管され、且つ、「すぐ埋め込むことができる」構成で輸送され、この構成では、ステントが、カテーテル及びディスペンサーコイルを含む送達システムの末端に配置されている。図2は、ステント送達アセンブリ200を示し、ステント205が、送達システム215の末端に配置されている。ステント205は、バルーン上に圧着されてよい。シースもまた、バルーンに固定具(secure)を固定するために、ステント上に配置してよい。ステント送達アセンブリ200は、放射線滅菌の前又は後に包装することができる。
【0036】
ステント及びステント送達アセンブリは、典型的には、密閉された保管容器中で保管され、輸送され、且つ滅菌される。このような容器は、ステントに対して悪影響を有し得る損傷及び環境曝露(湿度、酸素、光など)からアセンブリを保護するように適合される。ステント及び送達システム用の保管容器は、その中に含まれるステント及び送達システムアセンブリを効果的に封入するのを可能にする任意の好都合な形態又は形状であるように設計してよい。しかし、容器は小型で、且つ、その容器によって占有される保管空間を最小限に抑えるように成形されてよい。主としてステント及び送達システムを環境曝露から保護するためのものである容器は、ポーチ(pouch)又はスリーブでよい。図3は、ポーチ230中に配置されたステント送達アセンブリ200の概略図を示す。図3から見て取れるように、アセンブリ200は、平面配置で配置又は保管されている。
【0037】
1つの商業的に有用な実施形態では、ポーチは、幅が8インチ〜12インチで長さが10インチ〜13インチの長方形の断片を有してよい。また、ポーチを構築するのに使用される物質のタイプに応じて、容器は、様々な程度の剛性又は可撓性のものでよい。容器は、硬い材料よりも可撓性フィルムで構成されていてよい。これは、可撓性フィルムの方が、保管中の大気条件の変化によって封止が弱められる可能性が低いためである。例えば、容器は、縁に沿って接着された2枚のシート又は薄層で構成されていてよい。また、容器は、折り畳まれ、且つ、全ての縁を封止されているか、若しくは全ての折り畳まれていない縁を封止されている、単一のシート若しくは薄層で構成されているか、又は、1つ若しくは複数の縁が封止されている袋若しくはポケットで構成されていてよい。ポーチは、ポリマー、ガラス、セラミック、金属性物質、又は、それらの組合せで作られていてよい。典型的には、ポーチは金属ホイル製である。
【0038】
ステント及び送達システムを含むポーチはさらに、その中に含まれるポーチ並びにステント及び送達システムを保護するための硬い容器内に配置してもよい。硬い容器は、例えば、チップボード箱などの箱でよい。図4Aは、平らなチップボード箱240中のポーチ230内のステント及び送達システム200の概略図を示す。図4Bは、チップボード箱255中に配置されたステント及び送達システムを含むポーチ250の写真を示す。
【0039】
包装されたステント送達アセンブリを滅菌するためのシステムは、eビーム源などの放射線源及びパッケージを支持するための取付け具を含む。支持取付け具は、例えば、eビームがステント送達アセンブリ上に方向付けられる様式で、コンベヤー配置上でeビーム源を通過して移動する。図5は、ステント送達アセンブリ(図示せず)を含むパッケージ505を支持する取付け具500の概略図を示す。取付け具500は、底面支持体525及び背面支持アーム530を含む。放射線源535は、矢印540によって示されるように、放射線を方向付ける。取付け具500を、矢印545によって示されるように、コンベヤーシステム(図示せず)によって放射線源535を通過して移動して、パッケージ505中のステント送達アセンブリを滅菌することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、Eビームのパルス542によって示されるように、Eビームの断面の形状は、円形又は一般的に円形である。このような実施形態では、Eビームは、矢印543によって示されるように、上下にパルスされて、位置Xから位置Yまでの軸に沿ってパッケージ505及びステント送達アセンブリを照射する。したがって、取付け具500が、矢印545によって示される方向に運ばれる際に、パッケージ505の選択された部分全体及びステント送達アセンブリが照射され得る。このような実施形態では、ビームは、例えば1秒間に64回、上下にパルスすることができる。
【0041】
先に示したように、図5に示すように、埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分に放射線源によって送達される放射線は、所望よりも多くても少なくてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、ステント送達アセンブリなど埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分を覆うカバーは、アセンブリの選択された部分に送達される、放射線源からの放射線を選択的に修正する。一実施形態では、選択された部分に送達される放射線が、最適な送達放射線範囲内にあるように、カバーによって放射線を修正することができる。アセンブリの選択された部分に送達される放射線が、カバーが無い場合に選択された部分に送達される放射線よりも高レベル又は低レベルになるように、カバーは、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。
【0042】
他の実施形態では、埋め込み可能な医療デバイスは、1つ又は複数のモディファイヤ部分を含むパッケージ中に封入されてよい。モディファイヤ部分は、アセンブリの選択された部分に送達される、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。一実施形態では、選択された部分に送達される放射線が、最適な送達放射線範囲内にあるように、モディファイヤ部分によって放射線を修正することができる。アセンブリの選択された部分に送達される放射線が、モディファイヤ部分が無い場合に、選択された部分に送達される放射線よりも高レベル又は低レベルになるように、モディファイヤ部分は、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。
【0043】
先に示したように、カバーやモディファイヤ部分などの放射線バリアは、選択された部分に送達される放射線を増加又は減少させることができる。放射線バリアは、吸収、反射(若しくは後方散乱)、又はそれらの組合せにより、このような増加/減少を引き起こすことができる。放射線の修正様式は、カバー又はモディファイヤ部分の材料の厚さ、密度、及び反射特性などの因子に依存する。
【0044】
一般に、放射線を吸収する材料内に送達される線量は、浸透の深度(厚さ)及び材料の密度の両方に応じて変動する。図6Aは、2つの異なる密度の材料に関して、放射線の浸透の深度に対して、放射線を吸収する材料の内部に送達された線量を示す、曲線C1及びC2である。
【0045】
図6Aは、放射線バリア要素が、その厚さに応じて、送達される放射線又は線量を初期放射線Diより上又は下に増加又は減少させ得ることを示す。図6Aは、電子が通過した密度(又は深度)に対する線量を示す。Diは、選択された部分と放射線源の間のバリアも、放射線源から選択された部分と反対側の側面での材料からの後方散乱も無い場合に、選択された部分が受け取ると考えられる放射線線量であってよい。図6Aはまた、放射線バリア要素の密度が増加するにつれ、増加する放射線の範囲がより厚くまで増加することを示す。バリア要素材料の密度及び厚さの両方とも、選択された部分に送達される選択された放射線を得るように選択することができる。全てのデバイスが選択された部分において等量の線量を受けるために(例えば、全てのステントが同じ線量)、複数のデバイスを順次又は同時に滅菌する場合、電子は、選択された部分にそれが当たる時点までに、等しい密度を通過しなければならない。発泡体など様々なタイプ及び形態のポリマーを含めて、放射線を吸収又は修正する様々な材料が当業者に公知である。「発泡体」とは、ポリマー発泡体、例えば、Dow Chemical Company(ミッドランド、ミシガン州)製のStyrofoamなどのポリスチレン発泡体を意味してよい。
【0046】
放射線バリアは、放射線を反射又は後方散乱させることによって、放射線を修正又は減少させることができる。パッケージのカバーやモディファイヤ部分などの放射線バリアに加えて、放射線源からの放射線を、例えば、支持している取付け具背面(例えば図5の支持アーム530)の一部分から、デバイスに後方散乱させてもよい。金属は、一般に、電磁放射線、電子ビーム、及びイオンビーム放射線など様々な種類の放射線を反射する傾向を有する。反射性バリア材料として使用され得る代表的な金属としては、アルミニウム及びステンレス鋼が挙げられる。
【0047】
パッケージ、取付け具、バリアなどは、放射線が、選択された部分への線量を0まで低下させるのに十分な密度を通過しないように、設計することができる。さらに、パッケージ、取付け具、バリアなどは、選択された部分が、最小限の線量Dm、例えば25kGyを受けるように設計することもできる。曲線C1は、DiからDpまで上がり、次いで、Dmまで下がり、最終的には0まで下がる。したがって、線量の変動は大きい。
【0048】
本発明の実施形態は、デバイスの選択された部分で選択された送達放射線線量を得るための選択的な放射線修正を含む。後述するように、選択的な放射線修正は、カバー、パッケージ中のモディファイヤ部分、取付け具、又はそれらの組合せを用いて実施することができる。選択的修正の実施形態の3つのセットが、本明細書において説明される。
【0049】
第1のセットの実施形態では、放射線源と選択された部分の間のバリアを用いて、放射線を選択的に修正することができる。バリアは、選択された部分の前方に存在し、その結果、放射線源からの放射線が、バリアを通過して選択された部分に届く。このような実施形態では、バリアの厚さ、材料密度、又は両方を、選択された部分への選択された放射線線量を得るように選択することができる。
【0050】
第2のセットの実施形態では、入射してくる放射線の反対側の選択された部分の後方又は側面のバリアが放射線を選択的に修正する。このような一実施形態では、放射線を後方散乱させるか又は反射して選択された部分に戻す反射性材料から作られたバリアを用いて、放射線を選択的に修正することができる。放射線は選択された部分を通過してバリアに到達し、このバリアは放射線の一部を反射して、選択された部分に戻す。選択された部分に送達される総線量は、選択された部分を最初に通過する放射線及び反射された放射線の合計である。
【0051】
第2のセットの実施形態の代替の実施形態では、バリアは、非反射性の材料から作られる。バリアは、例えば、取付け具の一部分から後方散乱される放射線を減少させるか、又はこの後方散乱された放射線が、選択された部分に送達される放射線を増加させるのを防ぐバリアとして作用することができる。
【0052】
第3のセットの実施形態では、選択された部分の前面及び背面にバリアを用いて、放射線を選択的に修正することができる。放射線は、前面バリアを通過して選択された部分に到達し、次いで、背面バリアによって、選択された部分に後方散乱される。選択された部分に送達される総線量は、最初のバリアによって修正された放射線及び背面バリアから選択された部分に反射された放射線の合計である。このような実施形態では、前面バリアの特性(厚さ、密度)及び背面バリアの反射特性を、選択された部分への選択された送達放射線線量を得るように選択することができる。
【0053】
図6B〜6Dは、それぞれ、第1のセット、第2のセット、及び第3のセットの実施形態を示す。図6B〜6Dは、埋め込み可能な医療デバイスの選択された部分605の断面の拡大図を示し、矢印610によって示されているように、放射線Diはデバイスに向けられている。
【0054】
第1のセットの実施形態を示す図6Bは、放射線バリア625を伴う配置601を示す。図6Bにおいて、放射線バリア625は、線量Diの入射放射線610と向き合っている選択された部分605の側面のパッケージのカバー又はモディファイヤ部分の一部分に対応してよい。放射線610は、バリア625によって、選択された部分605に送達される放射線である線量D1を有するように修正することができる。
【0055】
図6Bにおいて、選択された部分に送達される放射線は、Diより多くに増加させるか、又はDiより少なく減少させることができる。バリア625は、図6Aの線量曲線C1を有する材料であってよい。図6Aに示すように、バリア605の厚さがTiより薄い場合には、D1をDiより多くなるように増加させることができる。厚さがTiより厚い場合には、D1をDiより少なくなるまで減少させることができる。より薄いバリアを用いて、選択された送達線量を得るには、より密度の高い材料が使用され得る。D1は44kGyに増加する。例えば、D1が30kGyまで減少するように厚さを変更することができる。バリア材料の例示的な実施形態は、金属でよい。
【0056】
第2のセットの実施形態を示す図6Cは、選択された部分605の後方に放射線バリア630を伴う配置602を示す。選択された部分に送達される放射線は、Diより多くなるように増加させることができる。放射線バリア630は、選択された部分605の側面のカバー、モディファイヤ部分、又は取付け具の一部分に対応し得る。バリア630が非反射性材料である場合でも、選択された部分605の反対側から、放射線の反射が原因で選択された部分605に送達される放射線の増加が減少又は防止される。バリア630が反射性材料である場合には、放射線610の一部であるD2が、選択された部分605に向かって反射される。送達される放射線の総量は、Di及びD2の合計である。
【0057】
例示的な実施形態では、Diは25kGyであり、その結果、初期の曝露線量は25kGyである。25kGy放射線の一部であるD2は、バリア630によって反射され、例えば、5kGyである。送達される放射線の総量は、Di及びD2の合計、即ち30kGyである。
【0058】
第3のセットの実施形態を示す図6Dは、選択された部分605の前方のバリア615及び選択された部分605の後方の放射線バリア620を示す。バリア615によって、線量がD1となるように、放射線610を修正することができる。D1は、バリア615の厚さ及び密度に応じて、Diより高く又は低くなり得る。
【0059】
バリア620が反射性材料である場合には、放射線610の一部であるD2が、選択された部分605に戻る方向に反射される。送達される放射線の総量は、D1及びD2の合計である。バリア620が反射性材料である場合、以下の少なくとも3つの可能性がある:
(1)D1がDiより多く、且つ、D2が総量をDiより多くなるようにさらに増加させるような厚さ及び密度をバリア615が有する場合、送達される放射線の総量はDiを上回る。
(2)D1がDiより少なく、且つ、D2が総量をDiより多くなるように増加させるような厚さ及び密度をバリア615が有する場合、送達される放射線の総量はDiを上回る。
(3)D1がDiより少なく、且つ、D1及びD2の合計がDiより少なくなるような厚さ及び密度をバリア615が有する場合、選択された部分605に送達される放射線の総量はDiを下回る。
【0060】
バリア620が非反射性材料である場合、送達される放射線の総量は、バリア615の厚さ及び密度に応じて、Diより多く、又は少なくなり得る。
【0061】
例示的な実施形態では、バリア620は反射性材料であり、Diは40、D1は44kGy、D2は6kGyである。送達される線量の総量は、50kGyである。
【0062】
いくつかの実施形態では、カバーは、ステント送達アセンブリの選択された部分の周りに配置されているシース又はスリーブを含んでよい。このような実施形態において、選択された部分は、ステントの外周に沿って配置されたシース又はスリーブと共にステントを含んでよい。さらに、選択された部分は、アセンブリの選択された部分を封入するように折り重ねられ、且つ、折り重ねられたストリップを固定するためにクリップで留められた、ポリマー材料からなるストリップでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、選択された部分のためのカバーは、第1の側面及び第2の側面を含む。第1の側面は、入射してくる放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、第2の側面は、入射してくる放射線と反対側の選択された部分の側面を覆う。第1の側面は、吸収によって放射線を修正することができる。第2の側面は、選択された部分に向かって放射線を後方散乱させることによって、放射線を修正することができる。或いは、カバーは、非反射性材料から構成され、その結果、後方散乱による修正はほとんど無い。別の実施形態では、カバーは、入射してくる放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、入射してくる放射線と反対側の選択された部分の側面にはカバーが無い。
【0064】
図7Aは、カテーテルの末端700を覆うように配置されたステント705を示す。図7Bは、ステント705を覆うように配置されたシース710を示す。また、シース710の末端を閉じて、バイオバーデンへのステントの曝露を減少又は防止することもできる。シース710は、カテーテルにステントを固定すること及び放射線バリアになるという2つの目的を果たし得る。矢印715によって示されるように、放射線は末端700に向けることができる。シース710の側面720を前述したように適合させて、ステント705に送達される放射線を増加又は減少させることができる。同様に、側面725を適合させて、放射線の反射によってステント705に送達される線量を増加させることもできる。シース710の厚さはTsであり、これを調整して、ステントに向けられる放射線を所望の程度だけ修正することができる。Tsは、ステントが、所望の範囲内又は最適な範囲内である送達放射線を受けるようなものでよい。
【0065】
さらに、所望の程度の修正を実現する密度を有する材料を選択することもできる。ステントに送達される放射線が、選択された範囲まで増加又は減少するように、厚さ、密度、及び材料を選択することができる。別の実施形態では、カテーテルの一部分を覆うようにシース710を配置して、その部分に送達される放射線を修正することができる。
【0066】
図7Cは、バリアの代替の実施形態を示し、内側シース720及び外側シース725を示す。内側シース720及び外側シース725は、一緒に作用して、ステントに送達される放射線を修正することができる。内側シース720は、典型的には、ステントをカテーテルに固定するのに使用されるシースであってよく、一方、外側シース725は、ステントに送達される放射線を調整するように設計されていてよい。例えば、外側シース725の厚さTsoを調整することができ、且つ、シース材料の密度を、放射線の所望の修正を実現するように選択することができる。様々な組合せの材料及び厚さの内側シース720及び外側シース725を用いて、最適な送達放射線をステントに提供することができる。
【0067】
図7Dは、半円柱の形態であるカバー730からなる別の実施形態を示す。カバー730は、カテーテル700の末端700の選択された部分706の側面を覆う。カバー730は、例えば、金属などの反射性材料でよい。
【0068】
ステント送達アセンブリの選択された部分、例えばステントに送達される放射線が、選択された範囲内であるように、パッケージのモディファイヤ部分の態様は、放射線源からの放射線を選択的に修正することができる。いくつかの実施形態では、モディファイヤ部分は、パッケージの他の部分とは異なる放射線吸収特性及び放射線反射特性を有してよい。このような実施形態では、モディファイヤ部分は、異なる厚さ、密度を有してもよく、又は異なる材料で作られていてもよい。一実施形態では、モディファイヤ部分は、他の点では均一又は実質的に均一な厚さ、材料、及び密度を有するパッケージに結合されるか、又は取り付けられてよい。例えば、モディファイヤ部分は、パッケージにテープで貼り付けられた、接着剤で接着された、ステープルで留められた、又は取り付けられた、金属片、発泡体、プラスチック、又は他の材料でよい。例示的な実施形態では、モディファイヤ部分は、図3に示すポーチ200又は図4Aに示す箱240の中に、上に、又はそれらに一体化されて含まれてよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、パッケージは、入射してくる放射線と向き合っている選択された部分の側面に位置するモディファイヤ部分を有してよい。その場合、モディファイヤ部分は、吸収によって放射線を修正することができる。さらに、又は代わりに、パッケージは、入射してくる放射線に対して反対側の選択された部分の側面に位置するモディファイヤ部分を有してよい。このようなモディファイヤ部分は、選択された部分に向けた放射線の反射又は後方散乱によって、放射線を修正することができる。モディファイヤ部分の厚さ及び密度は、選択された部分に送達される選択された放射線を得るように選択することができる。
【0070】
図8Aは、ステント送達アセンブリ805がその中に含まれた可撓性パッケージ800の概略図を示す。バリア要素810は、パッケージ800のある部分に取り付けられている。アセンブリ805のステント815は、バリア要素810の後方に位置している。図8Bは、パッケージ800の側面図を示し、バリア要素810を示す。図8Bは、パッケージ800が、場合によっては反対側にバリア要素820を有してよいことを示す。例示的な実施形態では、バリア要素810は、矢印825によって示されるように、放射線源からアセンブリ800に向けられた放射線を選択的に修正することができる。さらに、バリア要素820は、例えば、支持している取付け具(図示せず)によって反射される、矢印830によって示されるような後方散乱された放射線も修正することができる。バリア要素830は、バリア810を通過する放射線の反射により、選択された部分に送達される放射線を増加させる反射性材料でよい。代替の実施形態では、パッケージ800は、バリア要素820を有してよく、且つ、バリア要素810を有さなくてよい。
【0071】
バリア要素810及び820は、同じ又は異なる厚さ、密度、又は材料でよい。さらに、パッケージ800は、場合によっては、カテーテル又はディスペンサーコイルの一部分に送達される放射線を修正するために、バリア要素835、845、又は両方を含んでよい。図6B〜6Dに関して考察したように、バリア要素810、820、835、及び845の厚さ、密度、又は材料を選択又は調整して、ステント815及び選択された部分840への所望又は最適な送達放射線曝露を得ることができる。代替の実施形態では、バリア要素は、パッケージ800の内側表面に取り付けられてよい。
【0072】
図9A〜9Bは、ステント送達アセンブリ905がその中に含まれた硬いパッケージ又は箱900、例えば図4に示す箱230の概略図を示す。放射線は、矢印925によって示されるように、パッケージ900に向けられている。矢印930によって示される後方散乱した放射線は、例えば、取付け具から届き得る。図示されるように、アセンブリ905は、パッケージ900内に含まれている可撓性のパッケージ又はポーチ903内に封入されている。
【0073】
図9Aは、パッケージ900に取り付けられたバリア要素910及び935を伴うパッケージ900の正面図を示す。バリア要素910は、ステント915の前方にあり、バリア要素935は、カテーテル905の部分940の前方にある。図9Bは、パッケージ900の側面図を示す。図9Bは、パッケージ900が、パッケージ900の反対側にバリア要素920、945、又は両方を場合によっては含むことを示す。代替の実施形態では、パッケージ900は、バリア要素920又は945のいずれか又は両方を有してよく、且つ、バリア要素910及び935を有さなくてよい。図6B〜6Dに関して考察したように、バリア要素910、920、935、及び945の厚さ、密度、又は材料を選択又は調整して、ステント915及び部分940への所望又は最適な送達放射線曝露を得ることができる。
【0074】
別の実施形態では、パッケージのモディファイヤ部分は、パッケージと一体化されているか、又はパッケージに組み込まれていてよい。図10Aは、ステント送達アセンブリ(図示せず)がその中に含まれたパッケージ1000を示す。パッケージ1000は、パッケージ1000と一体化されているか、前もって形成されているか、又は組み込まれているバリア部分1005を含む。図10Bは、パッケージ1000の側面図を示し、パッケージ1000内に含まれるステント送達アセンブリ1015を示す。パッケージ1000は、場合によっては、バリア部分1010を有してよい。代替の実施形態では、パッケージ1000は、バリア要素1010を有してよく、且つ、バリア要素1005を有さなくてよい。ステント1020は、バリア部分1005とバリア部分1010の間に位置しており、バリア部分1010もまた、パッケージ1000と一体化されているか、前もって形成されているか、又は組み込まれていてよい。パッケージ1000は、プラスチック材料で形成され、バリア部分1005及び1010がパッケージ1000の一部分として前もって形成されてよい。
【0075】
さらなる実施形態では、パッケージは、バリア要素の挿入を可能にする差込み口(receptacle)又はスリーブを有してよい。挿入されたバリア要素は、ステント送達アセンブリの選択された部分に送達される放射線を選択的に修正することができる。図11Aは、ステント送達アセンブリ(図示せず)がその中に含まれたパッケージ1100を示す。パッケージ1100は、パッケージ1100に一体化されるか、又は取り付けられている、差込み口又はスロット1105を含む。差込み口1105は、矢印1120によって示されるようにバリア要素1115の挿入を可能にする開口部1110を有する。図11Bは、パッケージ1100の側面図を示し、パッケージ1100内に含まれるステント送達アセンブリ1125を示す。パッケージ1100はまた、矢印1145によって示されるように、バリア要素1140のための差込み口1135も有してよい。代替の実施形態では、パッケージ1100は、バリア要素1140を伴う差込み口1135を有してよく、且つ、バリア要素1115を伴う差込み口1105を有さなくてよい。ステント1130は、同様にパッケージ1100と一体化されているか、又は取り付けられていてよい差込み口1105と差込み口1135の間に位置する。
【0076】
本発明の別の実施形態は、アセンブリの選択された部分に送達される放射線を選択的に修正する取付け具を用いて埋め込み可能な医療デバイスを滅菌するステップを含んでよい。このような実施形態では、取付け具は、向けられた放射線と向き合うデバイスと反対側にある支持アームでよい。ある実施形態では、支持体は、選択された部分に放射線を選択的に反射するか、又は後方散乱させるモディファイヤ部分を含んでよい。例えば、モディファイヤ部分は、支持アームの他の部分よりも反射性の高い材料から構成されてよい。別の実施形態では、モディファイヤ部分は、放射線を選択的に吸収することができるか、又は、支持アームの他の部分よりも低い反射特性を有してよい。
【0077】
図12Aは、滅菌の間、ステント送達アセンブリを含むパッケージを支持するための取付け具1200を示す。取付け具1200は、底面支持体1205及び背面支持体1210を含む。背面支持体1210は、モディファイヤ要素1215を有する。モディファイヤ要素1215は、取付け具の他の部分とは異なる放射線吸収/反射特性を有する。
【0078】
図12Bは、ステント送達アセンブリ1255を含むパッケージ1220を支持する取付け具1200の側面図を示す。放射線は、矢印1235によって示されるように、パッケージ1220に向けられている。ステント1230は、モディファイヤ要素1215と向けられた放射線1235の間に位置する。背面支持体1215が反射性材料から構成されている場合、非反射性モディファイヤ要素1215は、背面支持体1210からステント1230への後方散乱を減少又は消失させて、ステント1230に送達される放射線を減少させることができる。例えば、背面支持体1215は、アルミニウムから構成されてよく、モディファイヤ要素1215は、発泡体などの非反射性材料でよい。
【0079】
本発明の別の実施形態は、取付け具上に配置された複数のステント送達アセンブリを滅菌するステップを含んでよい。アセンブリを含む複数のパッケージは、取付け具上に配置され得る。アセンブリは、図4Aの箱240中のように、平面配置で配列されてよい。eビーム源からのeビームは、放射線源と取付け具の間に位置するパッケージの平面配置に対して鋭角であってよい。これらのパッケージは、曝露の間に放射線が複数のアセンブリを通過するように、水平方向に積み重ねた配置で配列される。結果として、アセンブリに送達される線量が、放射線源と取付け具との距離に応じて変動する。このような実施形態では、1つ又は複数のアセンブリは、アセンブリの選択された部分が、選択された送達放射線線量を受けるようにパッケージ内に配置されてよい。
【0080】
図13Aは、少しずつずらして水平方向に積み重ねた配置で配列されたパッケージ1305を含む取付け具1300を示す。3つのパッケージのみを示すが、説明する方法は3つより多くに適用されることを理解すべきである。パッケージの数は、取付け具の大きさによって制限される。取付け具1300は、底面支持体1302及び背面支持体1304を有する。パッケージ1305はそれぞれ、カテーテルの末端に配置されたステント1315を伴うステント送達アセンブリ1310を含む。図13Bは、線A−Aに沿った、取付け具1300及びパッケージ1305の上から見た図を示す。放射線源は、矢印1320によって示されるように、放射ビームを方向付ける。放射ビーム1320は、パッケージ1305の正面に対して角度θの鋭角にある。各パッケージ1305においてアセンブリ1310に送達される放射線は、矢印1335によって示されるように、パッケージ1305の正面に対して平行な線に沿った距離と共に減少する。ステント1315などアセンブリ1310の選択された部分は、その選択された部分が、選択された送達放射線を有するように、1つ又は複数のパッケージ1305内に配置されてよい。アセンブリ1310又は選択された部分に送達される放射線は、背面支持体1304の材料の適切な選択によって増加させることができる。背面支持体1304が反射性材料から構成されている場合、アセンブリ1310又は選択された部分に送達される放射線は増加され得る。或いは、背面支持体1304が、発泡体などの非反射性材料から構成されている場合、反射された放射線に起因する送達放射線の増加は、減少又は防止され得る。さらに、図12A〜12Bに示されるようなモディファイヤ部分1215を取付け具1300と共に用いて、選択された部分に送達される放射線を選択的に修正することができる。
【0081】
ステントの基本的な構造又は基材は、完全に又は少なくとも部分的に、生分解性ポリマー若しくは生分解性ポリマーの組合せ、生物学的に安定なポリマー若しくは生物学的に安定なポリマーの組合せ、又は生分解性ポリマーと生物学的に安定なポリマーの組合せから作られていてよい。さらに、デバイスの表面用のポリマーベースのコーティングは、生分解性ポリマー若しくは生分解性ポリマーの組合せ、生物学的に安定なポリマー若しくは生物学的に安定なポリマーの組合せ、又は生分解性ポリマーと生物学的に安定なポリマーの組合せでよい。
【0082】
ステントなど埋め込み可能な医療デバイスを製作する際に使用するためのポリマーは、生物学的に安定、生体吸収性、生分解性、又は生物学的に侵食性でよい。生物学的に安定とは、生分解性ではないポリマーを意味する。生分解性、生体吸収性、及び生物学的に侵食性という用語は同義的に使用され、血液などの体液に曝露された場合に、完全に分解及び/又は侵食されることができ、且つ、徐々に身体によって再吸収、吸収、及び/又は排除され得るポリマーを意味する。ポリマーの分解及び吸収のプロセスは、例えば、加水分解及び代謝プロセスによって引き起こされ得る。
【0083】
分解、侵食、吸収、及び/又は再吸収のプロセスが完了した後、ステントの一部分たりとも残らないか、又は、生物学的に安定な足場上にコーティングを適用する場合には、ポリマーがデバイス上に全く残らないことが理解されよう。いくつかの実施形態では、無視できるごくわずかの痕跡又は残留物が残されている場合がある。生分解性ポリマーで作られたステントの場合、ステントは、例えば血管開通性を維持すること及び/又は薬物送達という意図された機能が達成されるまでの持続期間、体内に残ることが意図されている。
【0084】
埋め込み可能な医療デバイスの基材又は埋め込み可能な医療デバイス用のコーティングを製造するために使用され得るポリマーの代表的な例としては、それだけには限らないが、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエチレンアミド、ポリエチレンアクリレート、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、co−ポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、及びヒアルロン酸など)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−αオレフィン共重合体、アクリルポリマー及びポリアクリレート以外の共重合体、ハロゲン化ビニルポリマー及び共重合体(ポリ塩化ビニルなど)、ポリビニルエーテル(ポリビニルメチルエーテルなど)、ポリハロゲン化ビニリデン(ポリ塩化ビニリデンなど)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族(ポリスチレンなど)、ポリビニルエステル(ポリ酢酸ビニルなど)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン66及びポリカプロラクタムなど)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0085】
本明細書において開示する方法に従って埋め込み可能な医療デバイスを製造する際に使用するのに特に好適であり得るポリマーのその他の代表的な例としては、エチレンビニルアルコール共重合体(一般に、一般名EVOH又は商品名EVALによって公知)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロルプロペン(hexafluororpropene))(例えば、SOLEF 21508、Solvay Solexis PVDF(トロフェア、ニュージャージー州)から入手可能)、ポリフッ化ビニリデン(さもなければKYNARとして公知、ATOFINA Chemicals(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)から入手可能)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0086】
デバイスの非ポリマー基材は、金属材料又は合金から作られてよく、合金は、例えば、それだけには限らないが、コバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレス鋼(316L)、高窒素ステンレス鋼(例えば、BIODUR 108)、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、ELASTINITE(Nitinol)、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はそれらの組合せなどである。「MP35N」及び「MP20N」は、Standard Press Steel Co.(ジェンキンタウン、ペンシルバニア州)から入手可能なコバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金の商品名である。「MP35N」は、35%コバルト、35%ニッケル、20%クロム、及び10%モリブデンからなる。「MP20N」は、50%コバルト、20%ニッケル、20%クロム、及び10%モリブデンからなる。
【0087】
薬物又は活性物質としては、それだけには限らないが、治療的効果、予防的効果、又は診断的効果を発揮することができる任意の物質を挙げることができる。ステントや非荷重負荷足場構造体などの埋め込み可能な医療デバイスにおいて使用するための薬物は、治療物質、予防物質、若しくは診断物質のいずれか又はそれらの組合せでよい。活性物質の例としては、アクチノマイシンD、又はその誘導体及び類似体(Sigma−Aldrich(1001 West Saint Paul Avenue、ミルウォーキー、WI53233)によって製造されているか、又はMerck社から入手可能なCOSMEGEN)などの抗増殖性物質が挙げられる。アクチノマイシンDの異名には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI1、アクチノマイシンX1、及びアクチノマイシンC1が含まれる。生物活性を有する作用物質はまた、抗腫瘍物質、抗炎症物質、抗血小板物質、抗凝血物質、抗フィブリン物質、抗トロンビン物質、抗有糸分裂物質、抗生物質、抗アレルギー物質、及び抗酸化物質の属に分類され得る。このような抗腫瘍物質及び/又は抗有糸分裂物質の例としては、パクリタキセル、(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.(スタンフォード、コネティカット州)製のTAXOL(登録商標))、ドセタキセル(例えば、Aventis S.A.(フランクフルト、ドイツ)製のTaxotere(登録商標))、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、Pharmacia&Upjohn(ピーパック、ニュージャージー州)製のAdriamycin(登録商標))、及びマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.(スタンフォード、コネティカット州)製のMutamycin(登録商標))が挙げられる。
【0088】
このような抗血小板物質、抗凝血物質、抗フィブリン物質、及び抗トロンビン物質の例としては、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成の抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、並びにAngiomax a(Biogen,Inc.(ケンブリッジ、マサチューセッツ州))などのトロンビン阻害剤が挙げられる。このような細胞増殖抑制物質又は抗増殖性物質の例としては、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.(スタンフォード、コネティカット州)製のCapoten(登録商標)及びCapozide(登録商標))、シラザプリル又はリシノプリル(例えば、Merck&Co.,Inc.(ホワイトハウスステーション、ニュージャージー州)製のPrinivil(登録商標)及びPrinzide(登録商標))などのアンギオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンなど)、コルヒチン、タンパク質、ペプチド、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(ω3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下薬、Merck&Co.,Inc.(ホワイトハウスステーション、ニュージャージー州)製の商品名Mevacor(登録商標))、モノクローナル抗体(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なものなど)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、並びに一酸化窒素が挙げられる。抗アレルギー物質の例は、ペミロラストカリウムである。適切な作用物質であり得る他の治療物質又は治療的作用物質としては、シスプラチン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、カルボプラチン、α−インターフェロン、遺伝子改変された上皮細胞、ステロイド系抗炎症物質、非ステロイド系抗炎症物質、抗ウイルス薬、抗癌薬、抗凝固剤、フリーラジカルスカベンジャー、エストラジオール、抗生物質、一酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ABT−578、クロベタゾール、細胞増殖抑制物質、そのプロドラッグ、その共有結合薬物(co−drug)、及びそれらの組合せが挙げられる。他の治療物質又は治療的作用物質としては、ラパマイシン及びその構造的誘導体又は機能的類似体、例えば、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(商品名EVEROLIMUSとして公知)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、メチルラパマイシン、及び40−O−テトラゾール−ラパマイシンを挙げることができる。
【0089】
ステント保管容器、例えば、図3のパッケージ230又は図11A〜11Bのパッケージ1100は、密閉された場合にバリアを形成する様々な物質で作られてよい。例えば、ステント保管容器は、ポリマー、ガラス、セラミック、又はアルミニウム、ステンレス鋼、若しくは金などの金属物質で作られてよい。金属物質で作られている場合、容器は、例えば、金属フィルムで形成されてよい。フィルムの適切な例としては、それだけには限らないが、金、白金、白金/イリジウム合金、タンタル、パラジウム、クロム、及びアルミニウムが挙げられる。容器用に適した材料には、前述の金属の酸化物、例えば酸化アルミニウムも含まれ得る。医薬用の保管容器は、例えば、Oliver Products Company(グランドラピッズ、ミシガン州)から入手することができる。
【0090】
ステント保管容器を構築するのに適したポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリウレタン、セルロース系物質(即ち、セルロース由来の単量体単位を有するポリマー)、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド)(Selar PA(商標))として市販されている)、ポリ(エチレンテレフタレート−co−p−オキシベンゾエート)(PET/PHB、例えば、約60〜80モルパーセントのPHBを有する共重合体)、ポリ(ヒドロキシアミドエーテル)、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(Lopac(商標)として市販されている)、ゴム変性アクリロニトリル/アクリレート共重合体(Barex(商標)として市販されている)、液晶ポリマー(LCP)(例えば、Hoescht−Celaneseから入手可能なVectra(商標)、DuPontから入手可能なZenite(商標)、及びAmoco Performance Chemicalsから入手可能なXydar(商標)、ポリ(硫化フェニレン)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アミン加硫を用いてビスフェノールAベースのジエポキシドから構成されるエポキシ、脂肪族ポリケトン(例えば、Shellから入手可能なCarilon(商標)及びBritish Petroleumから入手可能なKetonex(商標))、ポリスルホン、ポリ(エステルスルホン)、ポリ(ウレタン−スルホン)、ポリ(カーボネート−スルホン)、ポリ(3−ヒドロキシオキセタン)、ポリ(アミノエーテル)、ゼラチン、アミロース、パリレン−C、パリレン−D、及びパリレン−Nのポリマーを挙げることができる。
【0091】
代表的なポリオレフィンとしては、約2〜6個の炭素原子を有するαモノオレフィン単量体及びハロゲン置換されたオレフィン、即ちハロゲン化ポリオレフィンをベースとするものが挙げられる。一例として、限定するものではないが、低密度から高密度のポリエチレン、本質的に無可塑のポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)(Saran(商標))、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(Teflon)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(Kel−F(商標))、及びそれらの混合物が適している。低密度から高密度のポリエチレンは、一般に、約0.92g/cm3〜約0.96g/cm3の密度を有すると理解されているが、密度を分類するための明確な線は引くことができず、密度は供給業者によって様々であり得る。
【0092】
代表的なポリウレタンとしては、保管温度若しくは周囲温度より高いガラス転移温度を有する、例えば、少なくとも40℃〜60℃のガラス転移温度を有するか、又は、炭化水素、シリコーン、フルオロシリコーン、若しくはそれらの混合物を含む非極性の柔らかい部分を有するポリウレタンが挙げられる。例えば、Elastomedic/CSIRO Molecular Science製のElast−Eon(商標)は、1,4−ブタンジオール、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートで作られている非極性の柔らかい部分、並びにポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)及びビスヒドロキシエトキシプロピルポリジメチルシロキサン(PDMS)の混合物から構成される柔らかい部分を有するポリウレタンである。有用な例は、20重量%のPHMO及び80重量%のPDMSの混合物を有する。
【0093】
セルロース系物質の代表的な例としては、それだけには限らないが、約0.8より大きいか、又は約0.6より小さい置換程度(DS)を有する酢酸セルロース、エチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0094】
代表的なポリエステルとしては、それだけには限らないが、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、及びポリ(エチレンテレフタレート)などの飽和又は不飽和ポリエステルが挙げられる。
【0095】
代表的なポリアミドとしては、それだけには限らないが、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,9、ナイロン−6,10、ナイロン−11、芳香族ナイロンMXD6(Mitsubishi Gas Chemical America,Inc.製)、及びそれらの混合物など、結晶質又は非結晶質のポリアミドが挙げられる。
【0096】
代表的なポリアクリレートとしては、それだけには限らないが、ポリ(メチルメタクリレート)及びポリメタクリレートが挙げられる。
【0097】
ステント保管容器はまた、ビニルモノマー同士及びポリ(エチルビニルアセテート)などオレフィンとの共重合体から構成されてもよい。
【0098】
本発明の特定の実施形態が示され、且つ説明されたが、本発明から逸脱することなく、より広範な態様において変更及び修正を実施できることが当業者には明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源からの放射線にステント送達アセンブリを曝露するステップを含み、前記アセンブリの選択された部分を覆うカバーが、前記アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する、
ステント送達アセンブリを滅菌する方法。
【請求項2】
前記アセンブリの選択された部分が、アセンブリの他の部分とは異なる最適な送達放射線範囲を有し、且つ、前記選択された部分に送達される放射線が、選択された部分に対して最適な送達放射線範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カバーが、選択された部分に送達される放射線を増加又は減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射線が、カバーを通過することにより、及び選択された部分に対する放射線の後方散乱により修正される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カバーを通過することによって、前記カバーが実質的又は完全に放射線を修正する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カバーが、放射線の反射によって実質的又は完全に放射線を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線がEビーム放射線である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された部分がステントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カバーがシース又はスリーブを含み、前記シーススリーブが、ステントの外周に沿って配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カバーが第1の側面及び第2の側面を含み、前記第1の側面が、放射線源から来る放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、且つ、前記第2の側面が、放射線源から来る放射線と反対側の選択された部分の側面を覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記放射線が、第1の側面を通過することにより修正され、且つ、前記放射線が、第2の側面からの反射によって修正される、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記カバーが、放射線源から来る放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、放射線源から来る放射線と反対側の選択された部分の側面には前記カバーが無い、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された部分に送達される放射線が、最適な送達放射線範囲まで増加又は減少するように、材料の厚さ及び密度が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記選択された部分に対する最適な送達放射線範囲が、22kGy〜27kGyである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線源からの前記放射線が、38kGy〜42kGyである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記カバーが、金属、ポリマー、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
パッケージ中に封入されたステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、前記パッケージが、前記アセンブリの前記選択された部分に送達される前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する1つ又は複数のモディファイヤ(modifier)部分を含む、
ステント送達アセンブリを滅菌する方法。
【請求項18】
前記放射線がEビーム放射線である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アセンブリの前記選択された部分が、前記アセンブリの他の部分とは異なる最適な送達放射線範囲を有し、前記放射線が前記モディファイヤ部分によって修正され、その結果、前記選択された部分に送達される放射線が、前記選択された部分に対して最適な送達放射線範囲内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記選択された部分がステントを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線が、モディファイヤ部分を通過することによって修正される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記モディファイヤ部分が、入射してくる放射線と向き合っている前記選択された部分の側面に位置している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
モディファイヤ部分が、前記選択された部分に対する放射線の後方散乱により、前記放射線を修正する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記モディファイヤ部分が、前記放射線源から来る前記放射線と反対側の前記選択された部分の側面に位置している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記パッケージが可撓性ポーチを含み、前記モディファイヤ部分のうち1つのモディファイヤ部分が、前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する、前記可撓性ポーチに取り付けられるか又は結合されたモディファイヤ要素を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記パッケージが硬い箱を含み、前記モディファイヤ部分のうち1つのモディファイヤ部分が、前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する、前記パッケージに取り付けられるか又は結合されたモディファイヤ要素を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記モディファイヤ部分のうち1つのモディファイヤ部分が、前記パッケージと一体化されているか、又は前記パッケージに組み込まれている、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
モディファイヤ部分が、前記パッケージ内に結合されるか又は組み込まれている差込み口を含み、取り外し可能な要素が前記放射線を修正するための前記差込み口内に配置されている、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
ステント送達アセンブリ、及び
1つ又は複数のモディファイヤ(modifier)部分を有するパッケージを備え、
前記アセンブリが前記パッケージ内に配置され、前記1つ又は複数のモディファイヤ部分が、放射線が放射線源から前記アセンブリに向けられる場合に、前記アセンブリの選択された部分に送達される放射線を修正するように、前記アセンブリの前記選択された部分に対して位置付けられている、
放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステム。
【請求項30】
ステント送達アセンブリ、及び
前記アセンブリの選択された部分を覆うカバーを備え、
前記カバーが、放射線が放射線源から前記アセンブリに向けられる場合に、前記アセンブリの前記選択された部分に送達される放射線を修正する、
放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステム。
【請求項31】
ステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、
前記アセンブリが、取付け具によって支持されたパッケージ中に配置され、前記取付け具のモディファイヤ(modifier)部分が、前記アセンブリの選択された部分に送達される前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する、
ステント送達アセンブリを滅菌する方法。
【請求項32】
前記モディファイヤ部分が、前記取付け具の他の部分と比べてより高い程度で放射線を反射する材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記モディファイヤ部分が、前記取付け具の他の部分と比べてより低い程度で放射線を反射する材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
複数のステントカテーテルアセンブリを取付け具上に支持されたパッケージ内に配置するステップであって、前記各アセンブリが前記パッケージ中に平面配置で配列されるステップと、
前記アセンブリを放射線源からの放射線ビームに曝露するステップであって、前記ビームが、前記放射線源と前記取付け具の間に位置する前記パッケージの前記平面配置に対して鋭角であるステップとを含み、
前記パッケージが、曝露の間に前記放射線が複数の前記アセンブリを通過するように配列され、送達される線量が、前記放射線源と前記取付け具との距離に応じて変動し、1つ又は複数の前記アセンブリが、前記アセンブリの選択された部分が選択された送達放射線線量を受けるように前記パッケージ内に配置されている、
前記放射線源を用いて複数のステント送達システムアセンブリを滅菌する方法。
【請求項35】
前記取付け具が、1つ又は複数の前記アセンブリの前記選択された部分に送達される放射線線量を増加させるために、放射線を反射する材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記取付け具が、非反射性である材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項1】
放射線源からの放射線にステント送達アセンブリを曝露するステップを含み、前記アセンブリの選択された部分を覆うカバーが、前記アセンブリの選択された部分に送達される放射線源からの放射線を選択的に修正する、
ステント送達アセンブリを滅菌する方法。
【請求項2】
前記アセンブリの選択された部分が、アセンブリの他の部分とは異なる最適な送達放射線範囲を有し、且つ、前記選択された部分に送達される放射線が、選択された部分に対して最適な送達放射線範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カバーが、選択された部分に送達される放射線を増加又は減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射線が、カバーを通過することにより、及び選択された部分に対する放射線の後方散乱により修正される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カバーを通過することによって、前記カバーが実質的又は完全に放射線を修正する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カバーが、放射線の反射によって実質的又は完全に放射線を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線がEビーム放射線である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された部分がステントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カバーがシース又はスリーブを含み、前記シーススリーブが、ステントの外周に沿って配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カバーが第1の側面及び第2の側面を含み、前記第1の側面が、放射線源から来る放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、且つ、前記第2の側面が、放射線源から来る放射線と反対側の選択された部分の側面を覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記放射線が、第1の側面を通過することにより修正され、且つ、前記放射線が、第2の側面からの反射によって修正される、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記カバーが、放射線源から来る放射線と向き合っている選択された部分の側面を覆い、放射線源から来る放射線と反対側の選択された部分の側面には前記カバーが無い、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記選択された部分に送達される放射線が、最適な送達放射線範囲まで増加又は減少するように、材料の厚さ及び密度が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記選択された部分に対する最適な送達放射線範囲が、22kGy〜27kGyである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線源からの前記放射線が、38kGy〜42kGyである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記カバーが、金属、ポリマー、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
パッケージ中に封入されたステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、前記パッケージが、前記アセンブリの前記選択された部分に送達される前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する1つ又は複数のモディファイヤ(modifier)部分を含む、
ステント送達アセンブリを滅菌する方法。
【請求項18】
前記放射線がEビーム放射線である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アセンブリの前記選択された部分が、前記アセンブリの他の部分とは異なる最適な送達放射線範囲を有し、前記放射線が前記モディファイヤ部分によって修正され、その結果、前記選択された部分に送達される放射線が、前記選択された部分に対して最適な送達放射線範囲内にある、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記選択された部分がステントを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線が、モディファイヤ部分を通過することによって修正される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記モディファイヤ部分が、入射してくる放射線と向き合っている前記選択された部分の側面に位置している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
モディファイヤ部分が、前記選択された部分に対する放射線の後方散乱により、前記放射線を修正する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記モディファイヤ部分が、前記放射線源から来る前記放射線と反対側の前記選択された部分の側面に位置している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記パッケージが可撓性ポーチを含み、前記モディファイヤ部分のうち1つのモディファイヤ部分が、前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する、前記可撓性ポーチに取り付けられるか又は結合されたモディファイヤ要素を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記パッケージが硬い箱を含み、前記モディファイヤ部分のうち1つのモディファイヤ部分が、前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する、前記パッケージに取り付けられるか又は結合されたモディファイヤ要素を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記モディファイヤ部分のうち1つのモディファイヤ部分が、前記パッケージと一体化されているか、又は前記パッケージに組み込まれている、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
モディファイヤ部分が、前記パッケージ内に結合されるか又は組み込まれている差込み口を含み、取り外し可能な要素が前記放射線を修正するための前記差込み口内に配置されている、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
ステント送達アセンブリ、及び
1つ又は複数のモディファイヤ(modifier)部分を有するパッケージを備え、
前記アセンブリが前記パッケージ内に配置され、前記1つ又は複数のモディファイヤ部分が、放射線が放射線源から前記アセンブリに向けられる場合に、前記アセンブリの選択された部分に送達される放射線を修正するように、前記アセンブリの前記選択された部分に対して位置付けられている、
放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステム。
【請求項30】
ステント送達アセンブリ、及び
前記アセンブリの選択された部分を覆うカバーを備え、
前記カバーが、放射線が放射線源から前記アセンブリに向けられる場合に、前記アセンブリの前記選択された部分に送達される放射線を修正する、
放射線を用いてステント送達アセンブリを滅菌するためのシステム。
【請求項31】
ステント送達アセンブリを放射線源からの放射線に曝露するステップを含み、
前記アセンブリが、取付け具によって支持されたパッケージ中に配置され、前記取付け具のモディファイヤ(modifier)部分が、前記アセンブリの選択された部分に送達される前記放射線源からの前記放射線を選択的に修正する、
ステント送達アセンブリを滅菌する方法。
【請求項32】
前記モディファイヤ部分が、前記取付け具の他の部分と比べてより高い程度で放射線を反射する材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記モディファイヤ部分が、前記取付け具の他の部分と比べてより低い程度で放射線を反射する材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
複数のステントカテーテルアセンブリを取付け具上に支持されたパッケージ内に配置するステップであって、前記各アセンブリが前記パッケージ中に平面配置で配列されるステップと、
前記アセンブリを放射線源からの放射線ビームに曝露するステップであって、前記ビームが、前記放射線源と前記取付け具の間に位置する前記パッケージの前記平面配置に対して鋭角であるステップとを含み、
前記パッケージが、曝露の間に前記放射線が複数の前記アセンブリを通過するように配列され、送達される線量が、前記放射線源と前記取付け具との距離に応じて変動し、1つ又は複数の前記アセンブリが、前記アセンブリの選択された部分が選択された送達放射線線量を受けるように前記パッケージ内に配置されている、
前記放射線源を用いて複数のステント送達システムアセンブリを滅菌する方法。
【請求項35】
前記取付け具が、1つ又は複数の前記アセンブリの前記選択された部分に送達される放射線線量を増加させるために、放射線を反射する材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記取付け具が、非反射性である材料を含む、請求項34に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【公表番号】特表2010−505453(P2010−505453A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513294(P2009−513294)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/012930
【国際公開番号】WO2007/143087
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/012930
【国際公開番号】WO2007/143087
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
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