医療容器及び医療容器用ラベル。
【課題】プレフィルドシリンジ等の医療容器の内容物の量等を容易に正確に知ることができるようにする。
【解決手段】プレフィルドシリンジ1の透明な外筒4に、遮光ラベル2が巻付けられて、貼付けられている。遮光ラベル2には、他の部分及び外筒4から分離可能とされた分離部13が備えられ、分離部13が分離されることにより、遮光ラベル2に、プレフィルドシリンジ1の内部を視認可能な窓部14が形成されている。遮光ラベル2の上面には、分離部13と隣接し且つシリンジ1内の薬剤11の量を表示する第1目盛り21が表示され、遮光ラベル2の下面には、分離部13と対向し且つシリンジ1内の薬剤11の量を表示する第2目盛り27が表示されている。
【解決手段】プレフィルドシリンジ1の透明な外筒4に、遮光ラベル2が巻付けられて、貼付けられている。遮光ラベル2には、他の部分及び外筒4から分離可能とされた分離部13が備えられ、分離部13が分離されることにより、遮光ラベル2に、プレフィルドシリンジ1の内部を視認可能な窓部14が形成されている。遮光ラベル2の上面には、分離部13と隣接し且つシリンジ1内の薬剤11の量を表示する第1目盛り21が表示され、遮光ラベル2の下面には、分離部13と対向し且つシリンジ1内の薬剤11の量を表示する第2目盛り27が表示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフィルドシリンジ等の医療容器及び該医療容器に使用される医療容器用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、合理化、医療過誤対策等の理由から、プレフィルドシリンジが採用されることがある。このプレフィルドシリンジでは、外筒内に薬剤が予め封入されており、これにより、シリンジに薬剤を吸引させたりする必要がなくなると共に、薬剤を間違える可能性も低くなる利点がある。
【0003】
このようなプレフィルドシリンジの内、例えば、容量が10mL以上のもの等には、シリンジ自体又はシリンジに貼付けられたラベルに、薬剤の内容量及び薬剤の患者への投与量を表示するための目盛りが付されたものがある。このようなものでは、術者が、薬剤における、プランジャ側液面を径方向外方から見て、プランジャ側液面と対応する目盛りを読み取ることで、薬剤の内容量及び薬剤の患者への投与量を知ることができる。
【0004】
然しながら、上記従来においては、術者が、薬剤における、プランジャ側液面を正確に径方向外方から見るための工夫がなされていなかった。そのため、術者が、薬剤における、プランジャ側液面を径方向からずれた斜めの方向から見る惧れがあり、このような場合には、術者が、薬剤における、プランジャ側液面と対応しない目盛りを読み取ることとなって、薬剤の内容量及び薬剤の患者への投与量を正確に知ることができないとの問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、医療容器の内容物の量等を正確に知ることができない惧れがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決できる医療容器及び医療容器用ラベルを提供することを目的とし、その目的を達成するために、本発明の医療容器の特徴とするところは、透明な対向する壁部を有する医療容器において、対向する壁部の一方に、直接視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する第1量測定手段が備えられ、対向する壁部の他方に、対向する壁部の一方を介して視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する第2量測定手段が備えられた点にある。
又、本発明の医療容器用ラベルの特徴とするところは、医療容器の外面に巻付けられて、貼付けられる医療容器用ラベルであって、第1・第2量測定手段が備えられた点にある。
尚、ラベルの他の部分及び医療容器から分離可能とされ且つ分離時に医療容器の内部が視認可能とされる分離部が備えられて、第1量測定手段が分離部と隣接すると共に、第2量測定手段が、ラベルの医療容器への貼付時に分離部と対向することもある。
又、分離部に、分離部であることを示す注記手段が備えられることもある。
更に、分離部に把持部が備えられることもある。
又、把持部が他の部分よりも外方に突出することもある。
更に、分離部を他の部分から分離させるための分離手段が備えられることもある。
又、分離部とその隣接部間に、分離用ミシン目が形成されることで、分離手段が構成されることもある。
更に、第1量測定手段が分離部の両側に配置されることもある。
又、第2量測定手段が下面に備えられることもある。
更に、医療容器がプレフィルドシリンジであることもある。
又、第1量測定手段が直線状の目盛りとされ、第2量測定手段が、プランジャの先端部の側面視形状と対応する形状の目盛りとされることもある。
更に、医療容器における、ラベルの貼付部分を光から遮蔽する遮光ラベルとされることもある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、医療容器の内容物の量等を容易に正確に知ることができる。
請求項5記載の発明によれば、把持部を把持して、分離部に力を加えれば、分離部をラベルから容易に分離させることができる。
請求項8記載の発明によれば、分離手段を分離用ミシン目から構成したので、分離手段を容易に形成できる。
請求項13記載の発明によれば、遮光ラベルにより、医療容器の内容物が光により劣化することを改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
〔実施の形態の第1例〕
以下、本発明を容量20mLのプレフィルドシリンジに適用した実施の形態の第1例を図1〜図6の図面に基づき説明する。図1及び図2はプレフィルドシリンジ1を示し、このシリンジ1に遮光ラベル2が貼付けられている。
【0009】
プレフィルドシリンジ1は、外筒4と、プランジャ5と、ゴム栓7等を有する。外筒4及びプランジャ本体5Aは、比較的硬質の合成樹脂、例えば、ポリプロピレンにより一体形成されており、外筒4は透明とされ、プランジャ本体5Aは透明、又は、半透明とされている。外筒4は、その略全体を構成し且つ軸心方向に関して一定径とされた本体8と、本体8から軸心方向前方に突設され且つ本体8よりも小径とされた注射針接続部9と、本体8の基端部に一体形成されたフランジ部10を有する。本体8の先端部及び注射針接続部9内には、予め、注射液等の遮光が必要な透明な薬剤(注射液、注射剤、製剤、液剤)11が封入されている。尚、遮光が不必要な薬剤が封入されることもある。注射針接続部9は、着脱自在なゴム栓7により開放可能に閉塞され、注射時に、注射針が接続される。プランジャ5は外筒4内にその基端側開口から軸心方向に摺動自在に挿入されるもので、プランジャ本体5Aとガスケット5Bから成る。プランジャ本体5Aの先端部には、ゴム等から成るガスケット5Bが備えられて、外筒4内面に当接している。ガスケット5Bの先端部は、軸心方向前方に突出する略円錐形状とされて、プランジャ5の先端部の外観形状を構成している。尚、プランジャ5をプランジャ本体5Aのみから構成することもある。
【0010】
図5にも示すように、遮光ラベル2は、プレフィルドシリンジ1の外筒4における、薬剤11の封入部分及びこれに隣接する基部側の一部に全周にわたって巻付けられて、貼付けられ、上記部分を全周にわたって覆被することで、上記部分を光から遮蔽する。図3及び図4にも示すように、遮光ラベル2の横方向Xが外筒4の軸心方向とされ、遮光ラベル2の縦方向Yが外筒4の周方向とされている。遮光ラベル2の縦方向両端部は、外筒1への貼付時に、オーバーラップするオーバーラップ部とされている。尚、遮光ラベル2は、外筒4における、薬剤11の封入部分のみを光から遮蔽すればよいので、遮光ラベル2における、上記封入部分と対応する部分以外を光透過性としてもよい。
【0011】
遮光ラベル2の縦方向一部における、横方向全長にわたる部分は、他の部分から分離可能とされた分離部13とされている。そして、図2に示すように、上記分離部13を分離することで、遮光ラベル2に、窓部(開放部、開口部、開放部)14が形成されて、外筒4における、薬剤11の封入部分が軸心方向全長にわたって露出して、薬剤11やプランジャ5の先端部等が視認可能とされる。分離部13を分離可能とするための分離手段として、分離部13とこれと縦方向Yに隣接する両側部分間には、それぞれ、横方向Xの分離用ミシン目15が配設されている。尚、分離手段として、分離用ミシン目15を採用したので、分離手段を容易に構成できる。分離部13における、横方向一端部、即ち、右端部は、他の部分よりも横方向X(右方向)に突出する把持部13Aとされている。この把持部13Aを把持して、分離部13を引張ることにより、分離用ミシン目15が破断して、分離部13が他の部分から分離される。把持部13Aは外筒4の基端部側に配置されるが、外筒4の先端部側に配置されることもある。尚、把持部13Aを分離部13とは別体として、分離部13の下面に貼付けて、外方に突出させることもある。
【0012】
図6にも示すように、遮光ラベル2は、基材16と、表側印刷層17と、裏側印刷層18と、粘着剤(粘着層、接着剤、接着層)19を有する。
【0013】
基材16は遮光ラベル2を主構成し、外筒4の覆被部分全体を光から遮蔽する遮蔽部とされて、上記覆被部分全体を視認不可能とするもので、白色のポリプロピレン等のプラスチック、紙、アルミニウム等の金属箔、アルミニウム等の金属蒸着フィルムの単体、又は、これらを2種以上組み合わせた積層材料が使用される。
【0014】
表側印刷層17は、基材16の表面の全面に印刷により形成されており、これにより、数値付きの第1目盛り(第1目盛り線)21、データ記入部22、識別コード23、矢印24、商品名等表示部25、データ表示部26、データ表示部用説明部28、アイマーク29等が遮光ラベル2上に表示される。
【0015】
数値付きの第1目盛り21は、第1量測定手段として例示されて、薬剤11の内容量、投与量を表示するもので、上下一対とされて、遮光ラベル2における、分離部13と縦方向Yに隣接する上下両側部分に横方向Xに配置されており、第1目盛り21は縦方向Yの直線状とされている。尚、第1目盛り21を分離部13の上下一方にのみ配置することもある。
【0016】
データ記入部22は、患者名や患者の部屋番号等の各種データが記入されるもので、上側第1目盛り21の上方に配置されている。
【0017】
識別コード23は、プレフィルドシリンジ1の管理等に使用されるもので、データ記入部22の右横に配置されており、識別コードとして、例えば、QRコード等の2次元識別コード、JAN、EAN−128等のバーコード等が使用される。
【0018】
矢印24は、分離部13の注記手段として例示されて、遮光ラベル2のどの部分を分離すればよいかを容易に分かるようにするもので、分離部13の把持部13A上に配置されている。尚、注記手段として、分離部13や把持部13Aを他の部分とは異なる色としたり、又は、分離部13に、「この部分を分離して下さい。」との注記文字を記載したり、或いは、分離部13にハッチングを付すこともある。
【0019】
商品名等表示部25は、内容量、用法、注意事項、製造販売業者名、販売業者名等を表示するもので、分離部13や下側第1目盛り21の下方に配置されている。
【0020】
データ表示部26は、製造番号や使用期限等を表示するもので、下側第1目盛り21の下方に配置されており、白色と明瞭に区別される黒色インキ、赤色インキ、茶色インキ、緑色インキ、青色インキ等により構成されている。そして、プレフィルドシリンジ1の製造時に、レーザー光の照射によって、データ表示部26が部分的に溶融除去されることにより、基材16が部分的に露出して、ロット番号や製造年月日等が形成、即ち、印字される。尚、黒色と明瞭に区別される白色インキ等により構成され、プレフィルドシリンジ1の製造時に、黒色インクジェット、黒色インクリボン等の熱転写によって、印字されることもある。
【0021】
データ表示部用説明部28は、データ表示部26に表示されたデータを説明するもので、遮光ラベル2における、データ表示部26の左側に配置されており、図例では、データ表示部用説明部28として、「製造番号:」、「使用期限:」が使用されている。
【0022】
アイマーク29は、プレフィルドシリンジ1に遮光ラベル2を貼付ける際等に、目安等とされるものである。
【0023】
尚、基材16が有色不透明であれば、基材16に第1目盛り21等が直接印字されることもある。又、基材16が透明である場合や、不透明であっても必要がある場合には、例えば、基材16の上面の全面が、地色とされる白色インキ等により印刷されたり、或いは、基材16の上面における、第1目盛り21等の表示部分の下方のみが、地色とされる白色インキ等により印刷されることがある。更に、地色とされる白色インキ等を基材16に直接接触させずに、両者間に適当な色のインキを印刷することもある。尚、遮光ラベル2に、法規等で定められた表示記載内容が多く、記載スペースを必要とする場合、第1目盛り21等を視認可能にするための地色は、遮光ラベル2の上面の全面にあることが好ましい。この場合、基材16自身の色が上記地色と同一であれば、問題はないが、基材16が透明であれば、基材16の上面に、全面にわたって、地色とされるインキが、基材16に接触するように印刷されることが好ましい。
【0024】
裏側印刷層18は基材16の下面の縦方向一部である下部に、印刷により、横方向Xに形成されており、これにより、数値付きの第2目盛り(第2目盛り線)27が遮光ラベル2の下面上に表示される。数値付きの第2目盛り27は、第2量測定手段として例示されて、薬剤11の内容量、投与量を表示するもので、横方向に配置されている。第2目盛り27は、プランジャ5の先端部、即ち、ガスケット5Bの先端部の側面視形状と対応する(略)山形状とされて、その長手方向中央部が横方向Xの一方に突出している。数値付き第2目盛り27は、白色と明瞭に区別可能で視認し易い黒色インキ、赤色インキ等により印刷されている。尚、遮光ラベル2がプレフィルドシリンジ1に貼付けられた際に、遮光ラベル2の下面における、分離部13と対向する箇所に第2目盛り27が位置して、山形状の第2目盛り27の周方向各端部とこれと対応する第1目盛り21が、プレフィルドシリンジ1の軸心方向に関して、同一位置となり、これら目盛り21,27が周方向に連続するようにされている。尚、第2目盛り27の(略)山形状とは、図2及び図4に示すような山形状以外に、図13に示すような台形状や、図14に示すような湾曲凸状も含んでいる。
【0025】
尚、第2目盛り27を形成する際に、図15に示すように、表側印刷層17における、裏側印刷層18と対応する部分17Aを白色インクにより形成したり、図16に示すように、基材16を白色不透明なものとしたり(この場合には、裏側印刷層18と対応する表側印刷層を省略することも可能である。)、図17に示すように、基材16が透明であっても、裏側印刷層18を、白色インキからなる上側の地色層18Aと第2目盛り27を構成する下側の第2目盛り構成層18Bから構成したり、或いは、図18に示すように、基材16が透明であっても、表側印刷層17に、第2目盛り27を構成し且つ基材16の上面と接する第2目盛り構成層17Bと、第2目盛り構成層17Bを覆被する覆被層17Cを設ければ(この際、裏側印刷層は省略可能である。)、遮光ラベル2の上面の表示部分により、第2目盛り27が視認しにくくなるとの問題は生じない。尚、地色とされる白色インキ等を基材16に直接接触させずに、両者間に適当な色のインキを印刷することもある。
【0026】
粘着剤19は、基材16裏面における、裏側印刷層18を除く(略)全面にわたって配設され、この粘着剤19により、遮光ラベル2は外筒4に貼付可能とされている。尚、分離部13を容易に分離できるように、分離部13及びこれに隣接する部分の下方の粘着剤19に対しては、その粘着力を弱めたり、全く粘着力がないようにする加工がされて、所謂、「糊殺し面」(糊殺し部、弱粘着面、弱粘着部、無粘着面、無粘着部)19Aが形成されている。尚、分離部13の下方に粘着剤19を配設しない場合もある。又、粘着剤19が、基材16裏面の一部分のみに配設されることもある。
【0027】
尚、外筒4の薬剤11の封入部分において、遮光ラベル2により覆被されていない部分を、熱収縮性プラスチック(樹脂)フィルム等のシュリンク材料によりシュリンク包装したり、又は、特殊な形状のゴム栓等により覆被することもある。
【0028】
上記のように構成した実施例によれば、遮光ラベル2は、プレフィルドシリンジ1の外筒4における、薬剤11の封入部分を全周にわたって覆被して、外筒4の覆被部分全体を光から遮蔽しているので、プレフィルドシリンジ1内の薬剤11が光により劣化することを改善できる。それ故、従来のように、外筒4における、薬剤11の封入部分の周方向一部の露出した部分からの光や、着色された透明ラベル2を通過可能な波長の光により、プレフィルドシリンジ1内の薬剤11が劣化する惧れはない。
【0029】
又、プレフィルドシリンジ1の使用時には、図2に示すように、遮光ラベル2から分離部13を分離して、遮光ラベル2に窓部14を形成する。この際、把持部13Aを把持して、分離部13を引張れば、分離部13とこれに縦方向Yに隣接する部分間の分離用ミシン目15が容易に破断するので、分離部13を容易に分離させることができる。
【0030】
上記のようにして、窓部14を形成すれば、外筒4における、薬剤11の封入部分が、窓部14を介して、軸心方向全長にわたって、露出するので、透明な外筒4を介して、薬剤11を視認できる。又、この状態では、窓部14の左右に隣接する一対の第1目盛り21を直接視認できると共に、第2目盛り27を、窓部14、透明な外筒及び薬剤を介して、視認できる。
【0031】
そして、術者が、第1目盛り21とこれと対応する(略)山形状の第2目盛り27の頂点が、プレフィルドシリンジ1の軸心方向に関して、一致するように、これらの目盛り21,27を見るようにすれば、第1目盛り21と第2目盛り27がプレフィルドシリンジ1の径方向に離間しているので、術者は、第1目盛り21と第2目盛り27を、プレフィルドシリンジ1の径方向から正確に見ることができる。従って、プランジャ5の先端、即ち、薬剤11における、プランジャ側の液面と対応する第1・第2目盛り21,27を読み取るようにすれば、術者は、薬剤11における、プランジャ側の液面を径方向からずれた斜めの方向ではなく、径方向外方から正確に見ることができて、薬剤の内容量及び投与量等を正確且つ容易に知ることができる。
【0032】
〔実施の形態の第2例〕
図7は本発明の実施の形態の第2例を示すもので、分離部13に把持部が形成されておらず、遮光ラベル2の下面に、分離用ミシン目15を覆被するテープ30が貼付けられて、分離部13の分離手段が構成されており、テープ29を引張ることで、分離用ミシン目15やその周辺が容易に破断できるようにされている。
【0033】
〔実施の形態の第3例〕
図8は本発明の実施の形態の第3例を示し、第2例と同様に、分離部13に把持部が形成されていないと共に、分離用ミシン目も形成されていない。そして、分離部13の下面にテープ31が貼付けられて、分離部13の強度が隣接する部分よりも大とされることで、分離部13の分離手段が構成されており、テープ31を引張ることで、分離部13が容易に分離できるようにされている。
【0034】
〔実施の形態の第4例〕
図9〜図12は本発明の実施の形態の第4例を示し、遮光ラベル2の縦方向Yの長さが第1例よりも長くされて、プレフィルドシリンジ1に遮光ラベル2を巻付けた際に、遮光ラベル2の縦方向Yの両端部が大きくオーバーラップするようにされている。又、遮光ラベル2の上部における、右側端部を除く部分が、分離部13とされて、分離部13の右端部には、把持部13Aが上方突出状に形成されている。
【0035】
分離部13の下端部及び遮光ラベル2における、分離部13の下方側には、数値付きの第1目盛り21が横方向に配置されると共に、遮光ラベル2の下端部にも、数値付きの第1目盛り21が横方向に配置されており、プレフィルドシリンジ1に遮光ラベル2を貼付けた際には、この下側の第1目盛り21の全部、又は、大部分が、遮光ラベル2の上部の下側に位置して、この上部により隠された(覆被された)状態となる。遮光ラベル2における、両第1目盛り21間には、データ記入部22、識別コード23、矢印24、商品名等表示部25、データ表示部26等が配置されている。又、第2目盛り27は、山形状とされておらず、縦方向Yの直線状とされている。
【0036】
尚、上記実施の形態では、量測定手段として目盛りを採用したが、その他のものを採用してもよい。又、上記実施の形態は、本発明をプレフィルドシリンジに適用したものであるが、本発明は、その他のアンプルやバイアル等の医療容器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図である。
【図2】図1の分離部を分離した状態を示す側面図である。
【図3】図1のラベルの平面図である。
【図4】図3の下面図である。
【図5】図2のA−A線矢視断面図である。
【図6】図3のB−B線矢視断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の第2例を示すラベルの平面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第3例を示すラベルの平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第4例を示す側面図である。
【図10】図9の分離部を分離した状態を示す側面図である。
【図11】図9のラベルの平面図である。
【図12】図11の下面図である。
【図13】本発明の第2目盛り形状の他例を示す説明図である。
【図14】本発明の第2目盛り形状の他例を示す説明図である。
【図15】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【図16】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【図17】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【図18】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 プレフィルドシリンジ(医療容器)
2 遮光ラベル
4 外筒
5 プランジャ
11 薬剤
13 分離部
13A 把持部
14 窓部
15 分離用ミシン目1(分離手段)
21,27 第1・第2目盛り
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフィルドシリンジ等の医療容器及び該医療容器に使用される医療容器用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、合理化、医療過誤対策等の理由から、プレフィルドシリンジが採用されることがある。このプレフィルドシリンジでは、外筒内に薬剤が予め封入されており、これにより、シリンジに薬剤を吸引させたりする必要がなくなると共に、薬剤を間違える可能性も低くなる利点がある。
【0003】
このようなプレフィルドシリンジの内、例えば、容量が10mL以上のもの等には、シリンジ自体又はシリンジに貼付けられたラベルに、薬剤の内容量及び薬剤の患者への投与量を表示するための目盛りが付されたものがある。このようなものでは、術者が、薬剤における、プランジャ側液面を径方向外方から見て、プランジャ側液面と対応する目盛りを読み取ることで、薬剤の内容量及び薬剤の患者への投与量を知ることができる。
【0004】
然しながら、上記従来においては、術者が、薬剤における、プランジャ側液面を正確に径方向外方から見るための工夫がなされていなかった。そのため、術者が、薬剤における、プランジャ側液面を径方向からずれた斜めの方向から見る惧れがあり、このような場合には、術者が、薬剤における、プランジャ側液面と対応しない目盛りを読み取ることとなって、薬剤の内容量及び薬剤の患者への投与量を正確に知ることができないとの問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、医療容器の内容物の量等を正確に知ることができない惧れがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決できる医療容器及び医療容器用ラベルを提供することを目的とし、その目的を達成するために、本発明の医療容器の特徴とするところは、透明な対向する壁部を有する医療容器において、対向する壁部の一方に、直接視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する第1量測定手段が備えられ、対向する壁部の他方に、対向する壁部の一方を介して視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する第2量測定手段が備えられた点にある。
又、本発明の医療容器用ラベルの特徴とするところは、医療容器の外面に巻付けられて、貼付けられる医療容器用ラベルであって、第1・第2量測定手段が備えられた点にある。
尚、ラベルの他の部分及び医療容器から分離可能とされ且つ分離時に医療容器の内部が視認可能とされる分離部が備えられて、第1量測定手段が分離部と隣接すると共に、第2量測定手段が、ラベルの医療容器への貼付時に分離部と対向することもある。
又、分離部に、分離部であることを示す注記手段が備えられることもある。
更に、分離部に把持部が備えられることもある。
又、把持部が他の部分よりも外方に突出することもある。
更に、分離部を他の部分から分離させるための分離手段が備えられることもある。
又、分離部とその隣接部間に、分離用ミシン目が形成されることで、分離手段が構成されることもある。
更に、第1量測定手段が分離部の両側に配置されることもある。
又、第2量測定手段が下面に備えられることもある。
更に、医療容器がプレフィルドシリンジであることもある。
又、第1量測定手段が直線状の目盛りとされ、第2量測定手段が、プランジャの先端部の側面視形状と対応する形状の目盛りとされることもある。
更に、医療容器における、ラベルの貼付部分を光から遮蔽する遮光ラベルとされることもある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、医療容器の内容物の量等を容易に正確に知ることができる。
請求項5記載の発明によれば、把持部を把持して、分離部に力を加えれば、分離部をラベルから容易に分離させることができる。
請求項8記載の発明によれば、分離手段を分離用ミシン目から構成したので、分離手段を容易に形成できる。
請求項13記載の発明によれば、遮光ラベルにより、医療容器の内容物が光により劣化することを改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
〔実施の形態の第1例〕
以下、本発明を容量20mLのプレフィルドシリンジに適用した実施の形態の第1例を図1〜図6の図面に基づき説明する。図1及び図2はプレフィルドシリンジ1を示し、このシリンジ1に遮光ラベル2が貼付けられている。
【0009】
プレフィルドシリンジ1は、外筒4と、プランジャ5と、ゴム栓7等を有する。外筒4及びプランジャ本体5Aは、比較的硬質の合成樹脂、例えば、ポリプロピレンにより一体形成されており、外筒4は透明とされ、プランジャ本体5Aは透明、又は、半透明とされている。外筒4は、その略全体を構成し且つ軸心方向に関して一定径とされた本体8と、本体8から軸心方向前方に突設され且つ本体8よりも小径とされた注射針接続部9と、本体8の基端部に一体形成されたフランジ部10を有する。本体8の先端部及び注射針接続部9内には、予め、注射液等の遮光が必要な透明な薬剤(注射液、注射剤、製剤、液剤)11が封入されている。尚、遮光が不必要な薬剤が封入されることもある。注射針接続部9は、着脱自在なゴム栓7により開放可能に閉塞され、注射時に、注射針が接続される。プランジャ5は外筒4内にその基端側開口から軸心方向に摺動自在に挿入されるもので、プランジャ本体5Aとガスケット5Bから成る。プランジャ本体5Aの先端部には、ゴム等から成るガスケット5Bが備えられて、外筒4内面に当接している。ガスケット5Bの先端部は、軸心方向前方に突出する略円錐形状とされて、プランジャ5の先端部の外観形状を構成している。尚、プランジャ5をプランジャ本体5Aのみから構成することもある。
【0010】
図5にも示すように、遮光ラベル2は、プレフィルドシリンジ1の外筒4における、薬剤11の封入部分及びこれに隣接する基部側の一部に全周にわたって巻付けられて、貼付けられ、上記部分を全周にわたって覆被することで、上記部分を光から遮蔽する。図3及び図4にも示すように、遮光ラベル2の横方向Xが外筒4の軸心方向とされ、遮光ラベル2の縦方向Yが外筒4の周方向とされている。遮光ラベル2の縦方向両端部は、外筒1への貼付時に、オーバーラップするオーバーラップ部とされている。尚、遮光ラベル2は、外筒4における、薬剤11の封入部分のみを光から遮蔽すればよいので、遮光ラベル2における、上記封入部分と対応する部分以外を光透過性としてもよい。
【0011】
遮光ラベル2の縦方向一部における、横方向全長にわたる部分は、他の部分から分離可能とされた分離部13とされている。そして、図2に示すように、上記分離部13を分離することで、遮光ラベル2に、窓部(開放部、開口部、開放部)14が形成されて、外筒4における、薬剤11の封入部分が軸心方向全長にわたって露出して、薬剤11やプランジャ5の先端部等が視認可能とされる。分離部13を分離可能とするための分離手段として、分離部13とこれと縦方向Yに隣接する両側部分間には、それぞれ、横方向Xの分離用ミシン目15が配設されている。尚、分離手段として、分離用ミシン目15を採用したので、分離手段を容易に構成できる。分離部13における、横方向一端部、即ち、右端部は、他の部分よりも横方向X(右方向)に突出する把持部13Aとされている。この把持部13Aを把持して、分離部13を引張ることにより、分離用ミシン目15が破断して、分離部13が他の部分から分離される。把持部13Aは外筒4の基端部側に配置されるが、外筒4の先端部側に配置されることもある。尚、把持部13Aを分離部13とは別体として、分離部13の下面に貼付けて、外方に突出させることもある。
【0012】
図6にも示すように、遮光ラベル2は、基材16と、表側印刷層17と、裏側印刷層18と、粘着剤(粘着層、接着剤、接着層)19を有する。
【0013】
基材16は遮光ラベル2を主構成し、外筒4の覆被部分全体を光から遮蔽する遮蔽部とされて、上記覆被部分全体を視認不可能とするもので、白色のポリプロピレン等のプラスチック、紙、アルミニウム等の金属箔、アルミニウム等の金属蒸着フィルムの単体、又は、これらを2種以上組み合わせた積層材料が使用される。
【0014】
表側印刷層17は、基材16の表面の全面に印刷により形成されており、これにより、数値付きの第1目盛り(第1目盛り線)21、データ記入部22、識別コード23、矢印24、商品名等表示部25、データ表示部26、データ表示部用説明部28、アイマーク29等が遮光ラベル2上に表示される。
【0015】
数値付きの第1目盛り21は、第1量測定手段として例示されて、薬剤11の内容量、投与量を表示するもので、上下一対とされて、遮光ラベル2における、分離部13と縦方向Yに隣接する上下両側部分に横方向Xに配置されており、第1目盛り21は縦方向Yの直線状とされている。尚、第1目盛り21を分離部13の上下一方にのみ配置することもある。
【0016】
データ記入部22は、患者名や患者の部屋番号等の各種データが記入されるもので、上側第1目盛り21の上方に配置されている。
【0017】
識別コード23は、プレフィルドシリンジ1の管理等に使用されるもので、データ記入部22の右横に配置されており、識別コードとして、例えば、QRコード等の2次元識別コード、JAN、EAN−128等のバーコード等が使用される。
【0018】
矢印24は、分離部13の注記手段として例示されて、遮光ラベル2のどの部分を分離すればよいかを容易に分かるようにするもので、分離部13の把持部13A上に配置されている。尚、注記手段として、分離部13や把持部13Aを他の部分とは異なる色としたり、又は、分離部13に、「この部分を分離して下さい。」との注記文字を記載したり、或いは、分離部13にハッチングを付すこともある。
【0019】
商品名等表示部25は、内容量、用法、注意事項、製造販売業者名、販売業者名等を表示するもので、分離部13や下側第1目盛り21の下方に配置されている。
【0020】
データ表示部26は、製造番号や使用期限等を表示するもので、下側第1目盛り21の下方に配置されており、白色と明瞭に区別される黒色インキ、赤色インキ、茶色インキ、緑色インキ、青色インキ等により構成されている。そして、プレフィルドシリンジ1の製造時に、レーザー光の照射によって、データ表示部26が部分的に溶融除去されることにより、基材16が部分的に露出して、ロット番号や製造年月日等が形成、即ち、印字される。尚、黒色と明瞭に区別される白色インキ等により構成され、プレフィルドシリンジ1の製造時に、黒色インクジェット、黒色インクリボン等の熱転写によって、印字されることもある。
【0021】
データ表示部用説明部28は、データ表示部26に表示されたデータを説明するもので、遮光ラベル2における、データ表示部26の左側に配置されており、図例では、データ表示部用説明部28として、「製造番号:」、「使用期限:」が使用されている。
【0022】
アイマーク29は、プレフィルドシリンジ1に遮光ラベル2を貼付ける際等に、目安等とされるものである。
【0023】
尚、基材16が有色不透明であれば、基材16に第1目盛り21等が直接印字されることもある。又、基材16が透明である場合や、不透明であっても必要がある場合には、例えば、基材16の上面の全面が、地色とされる白色インキ等により印刷されたり、或いは、基材16の上面における、第1目盛り21等の表示部分の下方のみが、地色とされる白色インキ等により印刷されることがある。更に、地色とされる白色インキ等を基材16に直接接触させずに、両者間に適当な色のインキを印刷することもある。尚、遮光ラベル2に、法規等で定められた表示記載内容が多く、記載スペースを必要とする場合、第1目盛り21等を視認可能にするための地色は、遮光ラベル2の上面の全面にあることが好ましい。この場合、基材16自身の色が上記地色と同一であれば、問題はないが、基材16が透明であれば、基材16の上面に、全面にわたって、地色とされるインキが、基材16に接触するように印刷されることが好ましい。
【0024】
裏側印刷層18は基材16の下面の縦方向一部である下部に、印刷により、横方向Xに形成されており、これにより、数値付きの第2目盛り(第2目盛り線)27が遮光ラベル2の下面上に表示される。数値付きの第2目盛り27は、第2量測定手段として例示されて、薬剤11の内容量、投与量を表示するもので、横方向に配置されている。第2目盛り27は、プランジャ5の先端部、即ち、ガスケット5Bの先端部の側面視形状と対応する(略)山形状とされて、その長手方向中央部が横方向Xの一方に突出している。数値付き第2目盛り27は、白色と明瞭に区別可能で視認し易い黒色インキ、赤色インキ等により印刷されている。尚、遮光ラベル2がプレフィルドシリンジ1に貼付けられた際に、遮光ラベル2の下面における、分離部13と対向する箇所に第2目盛り27が位置して、山形状の第2目盛り27の周方向各端部とこれと対応する第1目盛り21が、プレフィルドシリンジ1の軸心方向に関して、同一位置となり、これら目盛り21,27が周方向に連続するようにされている。尚、第2目盛り27の(略)山形状とは、図2及び図4に示すような山形状以外に、図13に示すような台形状や、図14に示すような湾曲凸状も含んでいる。
【0025】
尚、第2目盛り27を形成する際に、図15に示すように、表側印刷層17における、裏側印刷層18と対応する部分17Aを白色インクにより形成したり、図16に示すように、基材16を白色不透明なものとしたり(この場合には、裏側印刷層18と対応する表側印刷層を省略することも可能である。)、図17に示すように、基材16が透明であっても、裏側印刷層18を、白色インキからなる上側の地色層18Aと第2目盛り27を構成する下側の第2目盛り構成層18Bから構成したり、或いは、図18に示すように、基材16が透明であっても、表側印刷層17に、第2目盛り27を構成し且つ基材16の上面と接する第2目盛り構成層17Bと、第2目盛り構成層17Bを覆被する覆被層17Cを設ければ(この際、裏側印刷層は省略可能である。)、遮光ラベル2の上面の表示部分により、第2目盛り27が視認しにくくなるとの問題は生じない。尚、地色とされる白色インキ等を基材16に直接接触させずに、両者間に適当な色のインキを印刷することもある。
【0026】
粘着剤19は、基材16裏面における、裏側印刷層18を除く(略)全面にわたって配設され、この粘着剤19により、遮光ラベル2は外筒4に貼付可能とされている。尚、分離部13を容易に分離できるように、分離部13及びこれに隣接する部分の下方の粘着剤19に対しては、その粘着力を弱めたり、全く粘着力がないようにする加工がされて、所謂、「糊殺し面」(糊殺し部、弱粘着面、弱粘着部、無粘着面、無粘着部)19Aが形成されている。尚、分離部13の下方に粘着剤19を配設しない場合もある。又、粘着剤19が、基材16裏面の一部分のみに配設されることもある。
【0027】
尚、外筒4の薬剤11の封入部分において、遮光ラベル2により覆被されていない部分を、熱収縮性プラスチック(樹脂)フィルム等のシュリンク材料によりシュリンク包装したり、又は、特殊な形状のゴム栓等により覆被することもある。
【0028】
上記のように構成した実施例によれば、遮光ラベル2は、プレフィルドシリンジ1の外筒4における、薬剤11の封入部分を全周にわたって覆被して、外筒4の覆被部分全体を光から遮蔽しているので、プレフィルドシリンジ1内の薬剤11が光により劣化することを改善できる。それ故、従来のように、外筒4における、薬剤11の封入部分の周方向一部の露出した部分からの光や、着色された透明ラベル2を通過可能な波長の光により、プレフィルドシリンジ1内の薬剤11が劣化する惧れはない。
【0029】
又、プレフィルドシリンジ1の使用時には、図2に示すように、遮光ラベル2から分離部13を分離して、遮光ラベル2に窓部14を形成する。この際、把持部13Aを把持して、分離部13を引張れば、分離部13とこれに縦方向Yに隣接する部分間の分離用ミシン目15が容易に破断するので、分離部13を容易に分離させることができる。
【0030】
上記のようにして、窓部14を形成すれば、外筒4における、薬剤11の封入部分が、窓部14を介して、軸心方向全長にわたって、露出するので、透明な外筒4を介して、薬剤11を視認できる。又、この状態では、窓部14の左右に隣接する一対の第1目盛り21を直接視認できると共に、第2目盛り27を、窓部14、透明な外筒及び薬剤を介して、視認できる。
【0031】
そして、術者が、第1目盛り21とこれと対応する(略)山形状の第2目盛り27の頂点が、プレフィルドシリンジ1の軸心方向に関して、一致するように、これらの目盛り21,27を見るようにすれば、第1目盛り21と第2目盛り27がプレフィルドシリンジ1の径方向に離間しているので、術者は、第1目盛り21と第2目盛り27を、プレフィルドシリンジ1の径方向から正確に見ることができる。従って、プランジャ5の先端、即ち、薬剤11における、プランジャ側の液面と対応する第1・第2目盛り21,27を読み取るようにすれば、術者は、薬剤11における、プランジャ側の液面を径方向からずれた斜めの方向ではなく、径方向外方から正確に見ることができて、薬剤の内容量及び投与量等を正確且つ容易に知ることができる。
【0032】
〔実施の形態の第2例〕
図7は本発明の実施の形態の第2例を示すもので、分離部13に把持部が形成されておらず、遮光ラベル2の下面に、分離用ミシン目15を覆被するテープ30が貼付けられて、分離部13の分離手段が構成されており、テープ29を引張ることで、分離用ミシン目15やその周辺が容易に破断できるようにされている。
【0033】
〔実施の形態の第3例〕
図8は本発明の実施の形態の第3例を示し、第2例と同様に、分離部13に把持部が形成されていないと共に、分離用ミシン目も形成されていない。そして、分離部13の下面にテープ31が貼付けられて、分離部13の強度が隣接する部分よりも大とされることで、分離部13の分離手段が構成されており、テープ31を引張ることで、分離部13が容易に分離できるようにされている。
【0034】
〔実施の形態の第4例〕
図9〜図12は本発明の実施の形態の第4例を示し、遮光ラベル2の縦方向Yの長さが第1例よりも長くされて、プレフィルドシリンジ1に遮光ラベル2を巻付けた際に、遮光ラベル2の縦方向Yの両端部が大きくオーバーラップするようにされている。又、遮光ラベル2の上部における、右側端部を除く部分が、分離部13とされて、分離部13の右端部には、把持部13Aが上方突出状に形成されている。
【0035】
分離部13の下端部及び遮光ラベル2における、分離部13の下方側には、数値付きの第1目盛り21が横方向に配置されると共に、遮光ラベル2の下端部にも、数値付きの第1目盛り21が横方向に配置されており、プレフィルドシリンジ1に遮光ラベル2を貼付けた際には、この下側の第1目盛り21の全部、又は、大部分が、遮光ラベル2の上部の下側に位置して、この上部により隠された(覆被された)状態となる。遮光ラベル2における、両第1目盛り21間には、データ記入部22、識別コード23、矢印24、商品名等表示部25、データ表示部26等が配置されている。又、第2目盛り27は、山形状とされておらず、縦方向Yの直線状とされている。
【0036】
尚、上記実施の形態では、量測定手段として目盛りを採用したが、その他のものを採用してもよい。又、上記実施の形態は、本発明をプレフィルドシリンジに適用したものであるが、本発明は、その他のアンプルやバイアル等の医療容器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図である。
【図2】図1の分離部を分離した状態を示す側面図である。
【図3】図1のラベルの平面図である。
【図4】図3の下面図である。
【図5】図2のA−A線矢視断面図である。
【図6】図3のB−B線矢視断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の第2例を示すラベルの平面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第3例を示すラベルの平面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第4例を示す側面図である。
【図10】図9の分離部を分離した状態を示す側面図である。
【図11】図9のラベルの平面図である。
【図12】図11の下面図である。
【図13】本発明の第2目盛り形状の他例を示す説明図である。
【図14】本発明の第2目盛り形状の他例を示す説明図である。
【図15】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【図16】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【図17】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【図18】本発明のラベルの他例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 プレフィルドシリンジ(医療容器)
2 遮光ラベル
4 外筒
5 プランジャ
11 薬剤
13 分離部
13A 把持部
14 窓部
15 分離用ミシン目1(分離手段)
21,27 第1・第2目盛り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な対向する壁部を有する医療容器において、
対向する壁部の一方に、
直接視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する第1量測定手段
が備えられ、
対向する壁部の他方に、
対向する壁部の一方を介して視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する 第2量測定手段
が備えられた医療容器。
【請求項2】
請求項1記載の医療容器の外面に巻付けられて、貼付けられる医療容器用ラベルであって、
第1・第2量測定手段が備えられた医療容器用ラベル。
【請求項3】
ラベルの他の部分及び医療容器から分離可能とされ且つ分離時に医療容器の内部が視認可能とされる分離部が備えられて、
第1量測定手段が分離部と隣接すると共に、
第2量測定手段が、ラベルの医療容器への貼付時に分離部と対向する請求項2記載の医療容器用ラベル。
【請求項4】
分離部に、分離部であることを示す注記手段が備えられた請求項3記載の医療容器用ラベル。
【請求項5】
分離部に把持部が備えられた請求項3又は4記載の医療容器用ラベル。
【請求項6】
把持部が他の部分よりも外方に突出する請求項5記載の医療容器用ラベル。
【請求項7】
分離部を他の部分から分離させるための分離手段が備えられた請求項3〜6の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項8】
分離部とその隣接部間に、分離用ミシン目が形成されることで、分離手段が構成された請求項7記載の医療容器用ラベル。
【請求項9】
第1量測定手段が分離部の両側に配置された請求項3〜9の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項10】
第2量測定手段が下面に備えられた請求項2〜9の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項11】
医療容器がプレフィルドシリンジである請求項2〜10の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項12】
第1量測定手段が直線状の目盛りとされ、
第2量測定手段が、プランジャの先端部の側面視形状と対応する形状の目盛りとされた請求項11記載の医療容器用ラベル。
【請求項13】
医療容器における、ラベルの貼付部分を光から遮蔽する遮光ラベルとされた請求項2〜12の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項1】
透明な対向する壁部を有する医療容器において、
対向する壁部の一方に、
直接視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する第1量測定手段
が備えられ、
対向する壁部の他方に、
対向する壁部の一方を介して視認可能とされて、医療容器の内容物の量を表示する 第2量測定手段
が備えられた医療容器。
【請求項2】
請求項1記載の医療容器の外面に巻付けられて、貼付けられる医療容器用ラベルであって、
第1・第2量測定手段が備えられた医療容器用ラベル。
【請求項3】
ラベルの他の部分及び医療容器から分離可能とされ且つ分離時に医療容器の内部が視認可能とされる分離部が備えられて、
第1量測定手段が分離部と隣接すると共に、
第2量測定手段が、ラベルの医療容器への貼付時に分離部と対向する請求項2記載の医療容器用ラベル。
【請求項4】
分離部に、分離部であることを示す注記手段が備えられた請求項3記載の医療容器用ラベル。
【請求項5】
分離部に把持部が備えられた請求項3又は4記載の医療容器用ラベル。
【請求項6】
把持部が他の部分よりも外方に突出する請求項5記載の医療容器用ラベル。
【請求項7】
分離部を他の部分から分離させるための分離手段が備えられた請求項3〜6の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項8】
分離部とその隣接部間に、分離用ミシン目が形成されることで、分離手段が構成された請求項7記載の医療容器用ラベル。
【請求項9】
第1量測定手段が分離部の両側に配置された請求項3〜9の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項10】
第2量測定手段が下面に備えられた請求項2〜9の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項11】
医療容器がプレフィルドシリンジである請求項2〜10の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【請求項12】
第1量測定手段が直線状の目盛りとされ、
第2量測定手段が、プランジャの先端部の側面視形状と対応する形状の目盛りとされた請求項11記載の医療容器用ラベル。
【請求項13】
医療容器における、ラベルの貼付部分を光から遮蔽する遮光ラベルとされた請求項2〜12の何れかに記載の医療容器用ラベル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−190128(P2007−190128A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9844(P2006−9844)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
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