説明

医療用物品をエンコーディングするためのエンコーディング方法

物品、特に医療用使い捨て物品(117)上に少なくとも1つのコード(118)を生成するためのエンコーディング方法が提案される。コード(118)は、エンコーディングされた形の少なくとも1つの情報を有している。方法は以下のステップ、すなわち:a) 少なくとも1つの情報を1つのコードに変換し、コードは、グレー値と充填度とから成る複数の対を有しており;b) コードを、光情報(119)、特に二次元光情報(119)に変換し、光情報(119)は、グレー値と充填度とから成る複数の対に対応して、所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールド(164)を有しており;c) 光情報(119)を物品上に被着する、ステップを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品上に少なくとも1つのコードを生成するためのエンコーディング方法、並びに相応するデコーディング方法、エンコーディング装置、及びデコーディング装置に関する。このような方法及び装置は特に医療用使い捨て物品の分野において、このような使い捨て物品に迅速且つ信頼性高くコードを付けるために、用いることができる。特に、一例として述べるならば、このような装置及び方法は、例えば試験テープ又は試験ストリップの形の試験エレメントをエンコーディングするためや、体液中の少なくとも1つの被分析物を検出するために、医療診断分野で用いることができる。従って、本発明はまた、このようなエンコーディングされた医療用使い捨て物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特に医療診断において、数多くの使い捨て物品が知られている。これらの物品は、迅速に、信頼性高く、そして低廉にエンコーディングされなければならない。例えば、血液試料又は他の体液試料、例えば間質液試料を臨床診断において検査することは、病理学的状態の早期の、そして信頼性高い認識、並びに身体状態の目的に合った、根拠に基づくコントロールを可能にする。医療診断は通常、被検患者の血液又は間質液から試料を採取することを前提とする。このような目的で、普通は、例えば指頭腹面又は耳たぶの皮膚を、滅菌された尖った又は鋭利なランセットによって穿刺することによって、少量の血液を分析のために採取する。
【0003】
自身で血糖測定を行うことが、今日世界中で普及している糖尿病コントロール法である。従来技術の血糖機器は通常は、少なくとも1つの試験エレメントと協働する分析機器を有している。被分析試料は、試験エレメントの試験フィールド上に被着され、そして試験フィールド内で場合によっては1種又は2種以上の試薬と反応する。試薬は通常、検出しようとする被分析物に対して特異的に選択されている。このような反応は、例えば光学的な方法及び/又は電気化学的な方法で検出することができる。
【0004】
基本的には、下記発明は例えば、例えば従来技術によるあらゆる種類の試験エレメントに適用することができる。試験エレメントは、例えば下記試験エレメントのうちの1つ又は2つ以上を有することができる:試験ストリップ、特に単一又は複数の分析ゾーンを備えた個別試験ストリップ;試験テープ;周面に複数の分析ゾーンが配置された試験ホイール;表面に複数の分析ゾーンが特にケーキ片状に配置された試験ホイール;複数の分析ゾーンを備えた折り畳み可能な試験エレメント(Leporello)。例えば、試料が分析ゾーン上に直接に、例えば直接に滴下するか又は軽く叩くことなどによって被着される試験エレメントを使用することができる。このような直接的な被着は、例えば「トップ・ドーシング(Top dosing)」の形態で行うことができる。このような形態では、分析ゾーンは、例えば試験エレメントの平らな1表面上に配置されており、これに上方から試料が供給される。しかしながら、この代わりに又はこれに加えて、試験エレメントの1端面に試料が供給される、いわゆる「フロント・ドーシング(Front dosing)」も考えられる。後者の場合には、例えば試料は分析ゾーン上に直接に被着されるか、又は試料は塗布個所から分析ゾーンへ、例えば毛管力を介して輸送することもできる。更なる実施形態も考えられる。被分析物の検出形式に関しても、数多くのものが可能である。例えば、電気化学的な検出を行うことができる。この代わりに又はこれに加えて、光検出を行うこともできる。後者の場合、例えば直接的な光検出を、光の入射によって行うことができる。この代わりに又はこれに加えて、入射光、又は分析ゾーンからの射出光は、1つ又は2つ以上の光導体を介して輸送することもできる。種々の他の実施形態も考えられる。
【0005】
しかしながら、このような医療用もしくは診断用の消耗品、例えば試験エレメント及び/又はランセットを使用すると、実際には、一連の技術的な問題が生じる。これらの問題は、多くの場合、手間のかかる機器上の解決手段によって解決しなければならない。例えば困難な点は、分析システム内に使用することができる種々の試験エレメントが、互いに差異を有し得ることにある。例えば、製造業者及び/又は製造方法に関する差異、使用される検出試薬に関する差異、検出されるべき被分析物に関する差異、用いられるべき分析方法及び/又は分析システムに関する差異、分析が実施されることになっている条件に関する差異、測定を評価するためのパラメータ及び/又はアルゴリズムに関する差異、バッチ番号に関する差異、バッチ特異的な特質に関する差異、製造方法に関する差異、試験エレメント上の分析ゾーンの数に関する差異、又はこれに類するものが生じ得る。ランセット又は他の種類の医療用使い捨て物品の場合にも、このような物品特異的な情報、特に製造業者、ランセットの種類、又は使用されるべきランセットシステムに関する情報などが生じ得る。このような情報は以下の出願において、全体的に「物品特異的な情報」という概念で捉えられるものとする。このような物品特異的な情報は一般的に、医療用使い捨て物品に関する情報を意味する。これらの情報は物品間で、又は1つの物品内部においてさえ(例えば複数の分析ゾーンを備えた試験エレメントにおける分析ゾーン間で)異なることがある。
【0006】
従って多くの場合、1つの医療用使い捨て物品又は1つの医療用使い捨て物品群、例えば1つのカートリッジ内に収容された医療用使い捨て物品を相応にエンコーディングすることにより、これが必要となったらすぐに、このような物品特異的な情報を相応に提供できるようにすることが必要である。重要な適用例は、医療用使い捨て物品、例えば試験ストリップ、試験テープ又はランセットを使用することになる分析機器によって物品特異的な情報を自動的に読み込むことにある。
【0007】
このような物品特異的情報の手動の入力又は読み取りは患者に対して要求不可能又は実施不可能であるため、従来技術において、物品特異的な情報を自動的に読み込むことができる種々異なる方法及びシステムが知られている。例えば、米国特許出願公開2007/0273928号明細書に記載されているように、先ず較正・試験エレメントを分析システム内に入力しなければならないシステムが公知である。米国特許第5,281,395号明細書から、別個の評価コードが試験エレメント上に設けられており、この評価コードが別個の評価ユニットで読み出されるシステムが公知である。個別試験ストリップのためのこのようなコードシステムの他に、試験テープのためのコードも、例えば米国特許第5,077,010号明細書から公知である。この文献では、試験テープの始端部に少なくとも1つの情報を有するエンコーディング領域を設けることが提案されている。このようなエンコーディング領域は例えば、光学測定のためにも使用される探知器によって読み出すことができる。
【0008】
例えば米国特許第5,077,010号明細書に示されているように、一般にエンコーディングのためには、ストライプ・バーコード又は二次元黒白試験フィールドの形のバーコードが使用される。このような一次元又は二次元バーコードは種々の構成において、そして種々の基準に従って知られている。バーコードの捕捉は、例えば独国特許出願公開第101 23 406号明細書に記載されているように、種々のグレー値を介した黒白認識の形で行うことができる。
【0009】
しかしながら、一般のバーコードの問題点は、これらが通常の場合、単純な通し番号だけを維持すればよいのではなく、多くの物品特異的情報が大規模なメモリー深さを有していることにある。例えば試験ストリップ又は試験テープのために、通常の場合、大規模な情報を提供することにより、このような試験エレメントの正確且つ信頼性高い評価を可能にしなければならない。
【0010】
従って、単純な黒白情報に加えて、ハーフトーンもしくはグレー値自体を情報担体として利用することが知られている。
例えば国際公開第03/086759号パンフレットに記載されたエンコーディングシステムの場合、1つの画像内のデータが、ハーフトーン調節を用いることにより暗号化される。しかしながら、この公知の方法は比較的大きな手間がかかり、多くの場合、リソースの手間が大きい転換を必要とする。このような手間は、特にしばしば単純且つ低廉な手持ち式機器を提供しなければならない医療診断分野では多くの場合、実現不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明の課題は、医療用使い捨て物品のエンコーディングもしくはデコーディングに適しており、しかも容易且つ低廉に実現することができるとともに、十分に大きい量の情報が記憶可能もしくはエンコーディング可能である方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、このような課題を少なくとも十分に解決する、独立請求項に示されたエンコーディング方法及び対応するデコーディング方法、並びにエンコーディング装置及び対応するデコーディング装置が提案される。有利な更なる構成が、従属請求項に記載されている。特許請求の範囲でそれぞれ主張された対象を互いに相応させること、すなわち、例えば提案されたエンコーディング方法を、提案されたデコーディング方法と相応させ、そして所属の装置をそれぞれ所属の方法と相応させることにより、1つの対象の可能な構成に関して、所属の対象についての記載内容をそれぞれ参照することができる。例えば、以下に記載されたエンコーディング装置の可能な構成に関して、以下に記載されたエンコーディング方法の可能な構成を参照することができ、その逆もまた可能である。
【0013】
提案されたエンコーディング方法は、物品、特に医療用使い捨て物品、例えば上記のような医療用使い捨て物品上に少なくとも1つのコードを生成するのに役立つ。しかしながら、提案されたエンコーディング方法によって他の物品をエンコーディングできることはもちろんである。
【0014】
コードは、エンコーディングされた形の少なくとも1つの情報を有している。少なくとも1つのこのような情報は、例えば、物品、特に医療用使い捨て物品に関する少なくとも1つのバッチ情報を有することができる。しかしながら、別の種類の情報が、この少なくとも1つの情報中に含まれていてもよい。
【0015】
提案されたエンコーディング方法は、下記のステップa)〜c)を有している。これらのステップは、示された順番で実施することができると有利ではあるが、このことが絶対に必要というわけではない。さらに、付加的な、記載していない方法ステップを実施することもできる。
a) 少なくとも1つの情報を1つのコードに変換し、このコードは、グレー値と充填度とから成る複数の対を有している。
【0016】
このような変換は例えば、相応のエンコーダによって行うことができる。このような変換は例えば、一般の情報が二進コード又は十進法に従うコードに変換されるのと同様に行われる。例えばこのような変換が行われる際には対応規定を利用することができる。このような変換又は逆変換の例を以下に詳しく説明する。
b) このように生成されたコードを、光情報、特に二次元光情報に変換する。このような光情報は、グレー値と充填度とから成る複数の対に対応して、所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールドを有している。
【0017】
例えばコードの第1対の内容が、充填度が75%までのレベル2のグレー値が存在するとするならば、この少なくとも1つのフィールドは相応にこのようなグレー値で充填される。全てのグレー値もしくはグレー値と充填度から成る全ての対に対しても、これに応じた処置がとられる。
【0018】
このように、1つのフィールドとは、それぞれ1つの単位グレー値で充填された面を意味する。1つのフィールドは基本的には、任意の幾何学的形状、例えば方形、正方形、多角形、円形の形状を有することができる。1つのフィールドは、複数の部分フィールドからまとめられていてもよい。これらの部分フィールドは、1つに繋がった状態で、又は1つに繋がらない状態で形成されていてよい。種々様々なフィールドが同じ大きさを有することは必ずしも必要ではなく、異なる大きさのフィールドが設けられていてよい。1つのフィールドは任意には付加的に、認識可能な境界、例えば少なくとも1つの縁取りを備えていてもよいが、これは絶対に必要というわけではない。
c) 光情報を物品上に被着する。
【0019】
このような被着のために、例えば一般的な技術、特に、例えばスクリーン印刷技術、オフセット印刷技術、インクジェット印刷技術、レーザ印刷技術、又は類似の印刷技術を含む印刷技術が用いられてよい。書き込み技術、又は一般に物品上に光情報を被着するために利用されるような他の技術を用いることもできる。さらに、このような被着のために、例えば光情報を再現する相応の凹部などを物品内に形成することにより、光情報を有するように物品自体を相応に改変する技術を用いることもできる。
【0020】
提案されたエンコーディング方法に相応して、さらに、
物品上に少なくとも1つのコードを生成するためのエンコーディング装置が提案される。このエンコーディング装置は、特にエンコーディング方法を用いて、上記の構成又は以下にさらに説明する構成のうちの1つにおいて使用することができる。
【0021】
このようなエンコーディング装置は、少なくとも1つのコード生成装置を有しており、このコード生成装置は、少なくとも1つの情報を1つのコードに変換するように構成されており、このコードは、グレー値と充填度とから成る複数の対を有している。さらにエンコーディング装置は、少なくとも1つの変換装置を有しており、この変換装置は、コードを光情報に変換するように構成されている。最後にエンコーディング装置は、少なくとも1つの被着装置を有しており、この被着装置は、光情報を物品上に被着するように構成されている。
【0022】
エンコーディング生成装置及び/又は変換装置は、例えば少なくとも1つのデータ処理装置を有することができる。このようなデータ処理装置は、例えば少なくとも1つのパーソナル・コンピュータ及び/又は少なくとも1つのマイクロコンピュータを有することができ、そしてコード生成及び/又はコードの光情報への変換を行うように、相応にプログラム技術的に構成されていてよい。上記のように、エンコーディング生成装置及び/又は変換装置はさらに、少なくとも1つのエンコーダを有することができる。このエンコーダは、全体的又は部分的にデータ処理装置と構成部分が同一であってもよい。エンコーダ及び/又はデータ処理装置内に、グレー値対を生成するための相応の規定が保存されているか又はその他の形で記憶されていてよい。
【0023】
エンコーディング法及びエンコーディング装置は、種々様々な形式で有利にさらに形成することができる。
【0024】
コード及び/又は二次元光情報の形状は、基本的に副次的な役割を果たす。例えばコード及び/又は二次元光情報は、方形の幾何学的形状を有することができる。それというのも多くの場合、画像センサも方形のものが使用されるからである。しかし基本的には他の幾何学的形状、例えば直線、円、楕円、三角形又は他の多角形なども考えられる。これの代わりに又はこれに加えて、例えばランダム及び/又は不規則な形状が形成されていてもよい。光情報の少なくとも1つのフィールドは、例えば複数の部分フィールドを有することができる。各グレー値に対して固有のフィールドが設けられていてよい。例えば各フィールドは規定のグレー値に対応していていてよく、このようなグレー値で所属の充填度まで充填されていてよい。しかしその逆に、充填度に対する対応が行われることにより、例えば各充填度に対して規定のフィールドが設けられるようになっていてもよい。フィールドはこの場合、所属のグレー値で充填される。このような例の他に、数多くの他の種類のフィールド又は光情報、例えば任意のパターンがなおも可能である。フィールドが使用される場合、これらは上記のように、例えば基本的には形状、例えば方形、直線形、円形、多角形又はその他の形状を有していてよい。複数のフィールドは例えばマトリックス形状を成して配置されていてよく、こうして光情報を形成することができる。
【0025】
グレーレベルコード又はグレー値コードとはここでは一般に、情報担体として、グレー値又はグレーレベル(これらの概念は通常、また以下において同義に使用される)、すなわち1つ又は2つ以上の色の種々様々な明るさ段階をも利用するコードを意味する。しかし基本的には、グレーレベルもしくはグレー値の概念は、広く捕らえることができ、例えば色認識のための探知器の場合、種々異なる明るさ段階をも含んでいる。
【0026】
分解能に応じて、黒(有彩色の場合、「黒」は相応に最暗レベルを意味する)と白(有彩色の場合、「白」とは相応に最明レベルを意味する)との間で、グレーレベルが生じることが可能である。エンコーディングは、これらの限界値である黒と白との間の少なくとも1つの、好ましくは複数の中間レベルを有する不連続ステップで行うことができると有利である。例えば、グレーレベルエンコーディングを、黒から白までの、一定の予め決められた間隔を有するグレーレベルステップで行うことができる。例えば、上で示した第1方法ステップa)では、不連続な数の可能なグレー値が予め決められていてよい。これらの数には例えば通し番号、例えばグレー値1、グレー値2など、が付けられていてよい。このことは評価を容易にする。それというのも、目的に合わせてこのようなグレー値を求めることができるからである。例えば、光情報を評価する場合、その中でグレー値が規定のグレー値レベルに対応させられる範囲を予め決めることができる。このような閾値法は、相応のグレー値認識によって容易に自動化することができる。
【0027】
同様に、不連続な数の可能な充填度も設けられていてよい。このことも評価を容易にする。例えば0%、25%、50%、75%、及び100%の充填度が、不連続的な可能な充填度として予め決められていてよい。しかし、他の分割も基本的に可能である。
【0028】
提案されたエンコーディング方法は、特に、相応のコンピュータプログラムによって転換することができる。例えば、プログラムがコンピュータ上で実行される場合に(意味上、コンピュータはコンピュータ・ネットワークを有することができる)、上記方法ステップa)及びb)は、プログラムコードを有するコンピュータプログラムによって置き換えることができる。このコンピュータプログラムの他に、相応に、機械読み取り可能な担体上に記憶されたコンピュータプログラムも提案される。
【0029】
上記のエンコーディング方法及びエンコーディング装置の他に、相応してデコーディング方法及びデコーディング装置が提案される。このようなデコーディング方法は、特に上記実施態様のうちの1つ又は2つに基づくエンコーディング方法によって物品、特に医療用使い捨て物品上にエンコーディングされた少なくとも1つの情報をデコーディングするのに役立つ。従って、デコーディング方法の数多くの詳細に関しては、上記記載内容を参照することができる。
【0030】
提案されたデコーディング方法は下記ステップを有している:
i) 物品上に被着された少なくとも1つの光情報、特に二次元光情報を捕捉し、光情報は、所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールドを有している。
ii) 光情報をヒストグラム解析によって1つのコードに変換し、このコードは、ヒストグラム解析に対応する、グレー値と充填度とから成る複数の対を有している。
iii) コードを情報に変換する。
【0031】
従って、記載されたデコーディング方法は、特に上記エンコーディング方法を反転させたものであってよい。コードを情報に変換すること、もしくは光情報を、グレー値と充填度とから成る複数の対に変換することは、例えば特にエンコーダ又はデコーダによって、及び/又は相応に構成されたデータ処理装置、例えば上記データ処理装置によって行うことができる。こうして、ステップii)及びiii)に基づくこのようなデコーディングも、全体的又は部分的にプラグラム技術的に構成することができる。従って、プログラムがコンピュータ上で実行される場合、さらに、上記説明に基づくデコーディング方法の方法ステップii)及びiii)を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムが提案される。このようなコンピュータプログラムは、機械読み取り可能な担体上に記憶されていてもよい。
【0032】
「ヒストグラム解析」とは、頻度分布を評価する任意の解析を意味する。このような評価は例えば、グラフィック形態で行うことができるが、このことが絶対に必要というわけではない。従って一般的に見て、本発明の意味でのヒストグラム解析とは、評価された光情報における発生に応じて、グレー値に相応する充填度を対応させる、又はその逆に対応させる解析を意味する。分析の種類は基本的には、結果が、充填度に対するグレー値の対応関係、又はその逆の対応関係を示すのである限り、副次的な関連性を有している。例えば、直接的にグレー値・充填度評価を行うことができ、或いは、先ず空間分解された画像情報を得、次いでこの画像情報をさらにグレー値及び充填度に変換することもできる。
【0033】
提案されたデコーディング方法に相応して、さらにデコーディング装置が提案される。このデコーディング装置は、例えばデコーディング方法を実施するように構成することができる。デコーディング装置は、物品上に被着された少なくとも1つの光情報を捕捉するための少なくとも1つの捕捉装置を有している。さらに、デコーディング装置は、光情報をヒストグラム解析によって1つのコードに変換するように構成された少なくとも1つの評価装置を有している。コードは、ヒストグラム解析に対応する、グレー値と充填度とから成る複数の対を有している。さらに、デコーディング装置は、コードを情報に変換するための少なくとも1つの解読装置を有している。更なる詳細及び可能な構成に関しては、ここでもまたデコーディング方法についての上記記載内容、並びにエンコーディング装置及びエンコーディング方法についての記載内容を参照することができる。
【0034】
デコーディング装置は、試料、特に体液中の少なくとも1種の被分析物を検出するための少なくとも1つの分析システムを有することができる。分析システムは、このような検出のために少なくとも1つの試験エレメント及び/又は少なくとも1つのランセットを使用するように構成されていてよい。
【0035】
試験エレメントが使用される場合、このような試験エレメントは特に少なくとも1つの試験フィールドを有している。試験フィールドは例えば、被分析物の電気化学的及び/又は光学的測定、すなわち被分析物の定量的及び定性的検出を可能にする。このような試験エレメントは、従来技術から数多くの実施形態が知られている。
【0036】
光学的検出方法が用いられる場合、つまり試験エレメントが光学試験フィールドを有している場合、分析システムが光情報を評価するために、つまり捕捉装置として又は捕捉装置の一部として、光学試験フィールドを評価するのにも使用されるものと同じ光学探知器を使用すると特に有利である。こうして、捕捉装置のための追加の構成部分を節減することができる。
【0037】
例えば、このような少なくとも1つの光学探知器は、空間分解型光学探知器を含むことができる。例えば、これはCMOS及び/又はCCDチップであってよい。
【0038】
本発明のこのような実施態様は、多くの光学的測定方法が同様に光学試験フィールドのグレー値分析に依存しているので、特に有利である。例えば欧州特許出願公開第1 843 148号明細書には、ヒストグラムによる光学データの分析が記載されている。このように、デコーディング及び被分析物の光学的検出のために、同一の探知器を使用することによって相乗効果を活用することができる。それというのも、全体的又は部分的に、例えば同一のハードウェア構成部分を使用し、且つ/又は少なくとも部分的に同一のソフトウェア構成部分を使用することができるからである。
【0039】
デコーディング装置は一般的に、光情報が被着された少なくとも1つの物品、特に少なくとも1つの医療用使い捨て物品を有することもできる。このことは、分析システムの例において上述した。分析システムは、医療用使い捨て物品として、相応に光情報を備えた例えば試験ストリップ及び/又は試験テープの形の試験エレメント及び/又はランセットを有することができる。例えば、光情報は、医療用使い捨て物品に関するバッチ情報を、エンコーディングされた形で有することができる。
【0040】
光情報を捕捉するために、二次元画像情報を分解することができる画像センサ、特にCCDチップ及び/又はCMOSチップを使用する場合には、デコーディング装置の評価装置は上述のように、例えば全体的又は部分的に、相応のデータ処理装置内に組み込まれていてよい。しかしこの代わりに又はこれに加えて、評価装置は全体的又は部分的に、画像センサ自体、例えばCCDチップ及び/又はCMOSチップ自体に組み込まれていてもよい。従って、例えば、デコーディングのために光情報を画像センサ内で既に部分的に評価することができる。相応するヒストグラム解析も、例えば画像センサ内に組み込まれていてよい。
【0041】
さらに、デコーディング装置の他に、上記の実施態様のうちの1つ又は2つ以上に記載のエンコーディング方法によって生成された少なくとも1つのコードを有する医療用使い捨て物品について説明する。上記のように、医療用使い捨て物品は例えば、試料、特に体液中の少なくとも1種の被分析物、特に代謝産物を検出するための試験エレメント、特に試験テープ又は試験ストリップを有することができる。この代わりに又はこれに加えて、他の使い捨て物品、例えば体液などの試料を生成するためのランセットを有することもできる。
【0042】
少なくとも1つの光情報の形のコードは、この場合上記のように、上記の記載内容に基づく医療用使い捨て物品に関する少なくとも1つの物品特異的な情報を有することができる。
【0043】
コードもしくは光情報は、基本的には、医療用使い捨て物品の任意の位置に被着されていてよい。このように、コードもしくは光情報は例えば医療用使い捨て物品自体に被着されていてよい。この代わりに又はこれに加えて、コードもしくは光情報は、医療用使い捨て物品のパッケージ上に被着されていてよく、この場合には、パッケージは概念上、医療用使い捨て物品の代わりとなり、本発明の範囲内でこのような概念によって把握されるものとする。1つのパッケージが、1つ又は2つ以上の医療用使い捨て物品を有することができる。少なくとも1種の体液を分析するのに適しており、また少なくとも1つの相応の試験フィールドを提供する試験ストリップ及び/又は試験テープを使用する場合には、光情報の形のコードを担体上に被着することが特に有利であり、この担体上には少なくとも1つの試験フィールドも被着されている。例えば、このような担体は、紙材料、プラスチック材料、ラミネート材料又はセラミック材料を有する担体であってよい。
【0044】
試験エレメント上に複数の試験フィールドが配置される場合、このような複数の試験フィールド及び/又は試験フィールド群のために複数のコードが設けられていてよい。例えば、試験テープは、試験フィールドと光情報の形のコードとを交互に有するように構成されていてよい。このように例えば、エンコーディングされた形で、まだ残っている試験フィールドの数などに関する情報を一緒に含んでいてもよい。
【0045】
従属請求項と関連する好ましい実施例を以下に説明することから、本発明の更なる詳細及び特徴が明らかになる。ここでは、それぞれの特徴は単独で、又は複数のものを互いに組み合わせて実現することができる。本発明は実施例に限定されることはない。実施例は図面に概略的に示されている。個々の図面における同じ符号は、同じ又は機能上同じ、もしくは機能に関して互いに相応している要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、デコーディング装置例として従来の分析システムの1実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す分析システムの構造を示す概略図である。
【図3】図3は、図1及び2に示す分析システム内で使用するための本発明による試験テープの構造を示す概略図である。
【図4】図4は、試験ストリップを備えた分析システムの1実施例を示す図である。
【図5】図5は、図4に示す分析システム内で使用するための試験ストリップの1実施例を示す図である。
【図6】図6は、本発明によるコードの1実施例を示す図である。
【図7】図7は、図6に示すコードのヒストグラム解析の1実施例を示す図である。
【図8】図8は、数262144のグレーレベルコードの1実施例を示す図である。
【図9】図9は、数262144を商業的なストライプ・バーコードで示す図である。
【図10】図10は、本発明によるエンコーディング方法の1実施例を示す概略的なフローダイヤグラムである。
【図11】図11は、本発明によるデコーディング方法の1実施例を示す概略的なフロー線図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1には、商業的な分析システム110の一部が概略的に示されている。この分析システムは、本発明の範囲内で、例えば相応のプログラム技術的な装置によって、デコーディング装置111として使用される。図2には、このような分析システム110の概略的な構造図が単純化されて示されている。両方の図を以下で参照する。
【0048】
分析システム110は、図示の実施例においてテープカセット112を有している。テープカセットは例えば、分析システム110のハウジング(図示せず)内に交換可能に収容されていてよい。このようなテープカセット112内では試験テープ114が案内されている。この試験テープは、テープカセット112の先端部の測定位置136でだけ露出しており、そしてテープ方向において所定の間隔を置いて設けられた複数の試験フィールドを有しているか、又は通常は同義に使用されるものであるが、血液中のグルコースを光学的に検出するための分析ゾーン116を有している。テープカセット112及び試験テープ114は、医療用使い捨て物品117の両実施例である。医療用使い捨て物品は通常、一回の使用、又は数回だけの利用を含む使用を目的として構想されている。このような医療用使い捨て物品117は、大量生産品として、例えばここに記載した医療診断、又は他の医療技術分野において使用することができる。本発明は主として、以下で試験テープ114の例において説明する医療用使い捨て物品のエンコーディングに関する。
【0049】
テープカセット112の外側に、コード118が被着されている。コードは図示の例の場合、バーコードの形態を有している。しかしこの代わりに、基本的には、本発明によるコードが使用されてもよい。このようなコード118は例えば、試験テープ114もしくは分析ゾーン116、及びこのような分析ゾーン116内に含有される試験化学薬品に関する物品特異的な情報を有することができる。
【0050】
さらに、試験テープ114は位置決めマーカー120を有することができる。位置決めマーカー120は、例えば分析ゾーン116と交互に、試験テープ114に対して横方向に延びる桁の形態で、試験テープ114上に印刷されている。このような位置決めマーカー120は、例えばテープカセット112に設けられた位置決め窓122を通して把握することができるので、試験テープの巻き取りは、分析システム110によって相応に制御することができる。しかしながら、これの代わりに又はこれに加えて、下で詳細に説明するように、試験テープ144自体に設けられたコード118を、位置決めマーカー120として使用することもできる。
【0051】
さらに、分析システム110は図示の実施例では、光学系モジュール126の形態の探知器124を有している。光学系モジュールは、テープカセット112の分析システム110内への挿入時に、テープカセット112の切欠き128内に係合する。このような探知器124は、図示の実施例では、画像情報を空間分解型撮影するための画像センサ130、例えばCCD画像センサチップ又はCMOS画像センサチップを有している。さらに、探知器124は空間分解性光学系132を、例えば1つ又は2つ以上のレンズの形で有している。さらに、探知器124は図示の実施例では光源134を有している。光源134は、相応の照明光学系を備えていてよく、そして、探知器124の視界内で丁度測定位置136内に位置する分析ゾーン116を照明するように構成されている。
【0052】
図1に示された公知の分析システム110の場合、試験テープ114の位置決めのため、コード118の認識のため、そしてグルコース濃度の測定のために、それぞれ1つの別個の探知器、もしくは別個の測定システムを使用することができる。このような測定技術的仕事を分割すると、機器コストが高くなり、また分析システム110の構造スペースが大きくなる。これに対応して、図2に単純化されて示された分析システム110の場合、3つの上記測定技術的仕事が同一の探知器124によって実施される1つの選択肢が実現されている。上記測定技術的仕事のうちの2つだけを例えば1つにまとめることもできる。従って、探知器124が位置決めの仕事を一緒に担うことにより、認識のための追加の探知器118、並びに位置決め窓122と協働する、図1に示されていない追加の位置決めセンサを省くことができる。
【0053】
図2に示された分析システム110は、図1に対して著しく単純化されている。例えば試験テープ114はこの図面では示唆されているにすぎない。測定位置136の領域内では、テープカセット112は、試験テープ114のためのガイド138を提供する。ガイド内部で試験テープ114は、図2において示唆だけされた駆動装置によって駆動して案内し、ひいては探知器124の測定位置136(図2では示唆されているにすぎない)に対して位置決めすることができる。従って、ガイド138及び駆動装置140は、試験テープ114を位置決めするための移動装置142の構成部分であってよい。
【0054】
さらに分析システム110は、試験テープ114及び探知器124によって血中グルコース濃度の測定値を評価することができる測定ユニット114を有することにより、血液試料の定量的及び/又は定性的分析を可能にする。評価ユニット144は、図2に示された実施例において、任意には少なくとも部分的に制御装置146と同一の構成部分として示されている。制御装置は例えば、テープの位置決めを移動装置142によって制御することができる。しかしながら、別々の構成、又は部分的にのみ同一の構成部分である構成も基本的には可能である。分析システム110をデコーディング装置111として使用する際には、評価ユニット144は、下で詳しく説明するように、光情報を評価するための評価装置145としても、また、コードを変換するための解読装置147としても利用される。しかしこのような評価装置145及び解読装置147は全体的又は部分的に、別個の構成部分として構成されていてもよい。ユニット144,145,146及び147は、1つ又は2つ以上の電子構成部分、例えば1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ及び/又は他の種類の電子構成部分を有することができる。このために、1つ又は2つ以上の入力及び出力ユニット、例えばインターフェイス、入力キーボード、ディスプレイ、視覚的及び/又は聴覚的な表示装置又は類似の装置が設けられていてよい。さらに、ユニット144,145,146及び147のうちの1つ又は2つ以上は、全体的又は部分的に、分析システム110の他の構成部分と一緒にまとめることができる。例えば評価装置145及び/又は解読装置147は全体的又は部分的に、例えば画像センサ130内、例えばこの画像センサ130のCMOSチップ及び/又はCCDチップ内に組み込まれていてもよい。
【0055】
図2に示された実施例の場合、探知器124は上記のように、多機能的に利用されると有利である。このような目的で、試験テープ144上にコード118が被着される。しかしこの代わりに又はこれに加えて、テープカセット122の形態の医療用使い捨て物品117上に、又は他の個所、例えばテープカセット122のパッケージ上に(場合によっては更なる)コード118が配置されていてもよい。種々様々な構成が考えられる。
【0056】
本発明による分析システム110もしくはデコーディング装置111の範囲内で使用可能な試験テープ114の1実施例が、図3に示されている。ここでは、このような試験テープ114の一部だけが示されている。この試験テープは、担体148、例えば透明なプラスチックテープ上に、被分析物を検出するための試験化学薬品を有する分析ゾーン116と、対応する光情報119の形のコード118とを有している。この場合、それぞれ1つのコード118が1つの分析ゾーン116に対応配置されているので、それぞれ1つの分析ゾーン116と、光情報119を有する対応配置されたコード118とは、コード・分析ゾーン対150を形成する。しかし、他の対応関係も基本的には可能なので、例えば、1つのコード118が複数の分析ゾーン116に対応配置されているか、又は1つの分析ゾーン116が複数のコード118に対応配置されていてよい。図3に符号152で示されているテープの巻き取り方向において、コード118は例えば分析ゾーン116に、例えば既知の距離Xだけ前置されていて、1つのコード・分析ゾーン対150のコード118が巻き取り方向152において最初に測定位置136を通過し、続いて所属の分析ゾーン116がこれを通過するようになっていてよい。しかし他の構成も基本的には可能である。
【0057】
コード118は図3では、複数の個別の二次元フィールドの形を成す光情報119を有するコードの形態で示唆されているに過ぎない。二次元フィールドの配置形式は図6において実例を示して下で詳しく説明する。しかしながら基本的には、コードの別の配置形式、例えば一次元コード、例えばフィールドが巻き取り方向152において互いに前後に配置されているコードが可能である。
【0058】
提案された分析システム110の場合、探知器124は多機能的に使用される。例えば、探知器は分析ゾーン116の変色を測定するために先ず使用される。さらに、このような探知器124は、例えばコード118自体、位置決めマーカー120又は分析ゾーン116が探知器124によって認識され、そして位置決めのために利用されることにより、任意にはテープ位置を認識することもできる。特に、このために必要な全ての情報が、このような探知器124の測定窓内で同時又は相前後して認識可能である場合には、さらに探知器124は、本発明の範囲内及び提案されたデコーディング装置111の範囲内で、コード118の光情報119を捕捉するための捕捉装置125として使用することもできる。特に、光学的に識別可能なコード118の光情報119の形を成す必要な物品特異的な全ての情報を試験テープ114上に、例えば印刷、ラベリング、又は類似の被着方法によって被着することがこうして考えられる。つまり、これにより、分析ゾーン116毎に、もしくは、同時に又は相前後して測定位置136内で探知器124によって検出可能な分析ゾーン群毎に個別に、物品特異的な情報を、所属のコード118内に収納することができる。試験テープ114の第1位置では、分析ゾーン116もしくは分析ゾーン群116が測定位置136内にあり、これに対して第2位置では、所属のコード118が測定位置内にある。
【0059】
図3に示された実施例の場合、コード118もしくはコード118の光情報119は、物品特異的な情報のためのコードフィールド162を有している。このようなコードフィールド162は上記のように、同時に位置決めマーカーとして使用することもできる。しかしながら、図3においても破線で示したように、この代わりに又はこれに加えて、位置決めマーカー120として別個の位置決めマーカーがコード118内に設けられていてもよい。このような位置決めマーカー120は例えば、やはり分析ゾーン116に対して予め決められた間隔を置いて配置されていてよいので、コード118と所属の分析ゾーン116との間の間隔Xは、例えばこのような別個の位置決めマーカー120から決めることができる。
【0060】
両方の事例において、つまりコード118が別個の位置決めマーカー120を有する事例、又は物品特異的な情報を含有する、コード118のコードフィールド162が位置決めのためにも使用される事例において、同一の探知器124が、要素116,118,120を認識することもでき、グルコース測定、位置認識、及び物品特異的な情報の評価のために利用されるので有利である。しかし基本的には、提案されたデコーディング装置111の範囲内の他の構成、例えば別個の捕捉装置125も可能である。
【0061】
図1〜3では、試験テープ114の形の医療用使い捨て物品117の例において、本発明による分析システム110もしくはデコーディング装置111について述べた。図4及び5には、医療用使い捨て物品117としての試験ストリップ154の使用に基づく1実施例が示されている。図5において実施例として詳細に示されたこのような試験ストリップ154も、担体156、例えば紙及び/又はセラミック担体を有している。このような担体156の前端部は、塗布ゾーン158を有している。塗布ゾーン158において、液体試料、例えば一滴の血液を試験ストリップ154上に被着することができる。毛管力を介して、このような液体試料は試験ストリップ154の分析ゾーン116に輸送されることにより、その場所で、液体試料中のグルコース分の被分析物特異的な色反応を相応に生じさせる。
【0062】
この実施例における塗布ゾーン158に対向する端部に、試験ストリップ154はさらに、光情報119を備えたコード118を有している。この光情報は、物品特異的な情報を暗号化された形で含有している。このような実施例にも、コード118は示唆されているにすぎないので、コードは図示の二次元光情報の他に、例えば一次元コード、例えば互いに前後して配置された個々のフィールドの形の一次元コードを有することができる。コード118の可能な実施例に関して、次の図6を参照することができる。やはりこのようなコード118も光学的に読み取り可能である。さらに、物品特異的な情報の他に、コード118はやはり、1つ又は2つ以上の位置決めマーカー120を有することができる。これは図5に示されていないが、任意に可能であり、位置決めを容易にすることができる。しかしこの代わりに又はこれに加えて、物品特異的な情報を有するコード118の部分が、同時に位置決めマーカー120として使用することもできる。
【0063】
同時にデコーディング装置111として機能するか又はこのようなデコーディング装置111を有する、図4に示された分析システム110の実施例の場合、やはりガイド138が、試験ストリップ154のための移動装置142の構成部分として設けられていてよい。このようなガイド138の働きにより、試験ストリップ154が、図4に概略的に示唆しただけの探知器124の傍らを横方向に通過することができる。このような探知器124はやはり、提案されたデコーディング装置111の範囲内で、同時に捕捉装置125として使用することができる。しかし基本的には、分析ゾーン116を検出するための探知器から分離された別個の捕捉装置125を使用することもできる。図4に示された第2位置では、図示の実施例の場合、コード118は全体的又は部分的に探知器124の視界内に配置されている。試験ストリップ154がさらに分析システム110内に押し込まれる(そのためにガイド138は例えば相応に細長く形成されていてよい)と、試験ストリップ154の分析ゾーン116は、探知器124の視界内に達し、そして試験ストリップ154は第1位置に位置する。このような第1位置において、分析ゾーン116の上記色反応を評価することができる。それ以外の点では、図4に示した分析システム110の機能は、図1及び2に示した分析システム110の機能にほぼ相当し得る。
【0064】
図6〜9には、コード118(もしくは物品特異的な情報を含有する光情報119)の種々様々な実施例、並びに、ヒストグラム解析による評価方法の例が示されている。図6は、コード118が二次元コードフィールド162を有しているコード118の1実施例を示している。上述のように、コード118は付加的に、1つ又は2つ以上の位置決めマーカー120を有していてよく、或いは、物品特異的な情報をエンコーディングされた形で有するコードフィールド162を、同時に試験テープ114及び/又は試験ストリップ154を位置決めするために使用することができる。図6に示されたコード118は基本的には、試験テープ114上、試験ストリップ154上、又は他の種類の医療用使い捨て物品117上で使用することができる。
【0065】
コードフィールド162内に光情報118を有する二次元コードは、分析ゾーン116を評価するために使用される探知器124が、多くの場合、例えばコンパクトなセンサアレイの形の空間分解性画像センサ130を有する空間分解性探知器124として構成されている、という事実を活用すると有利である。例えば欧州特許出願公開第1 843 148号明細書に記載されているように、分析ゾーン116は、グレー値解析、特にグレー値ヒストグラムによって評価することもできる。このようなヒストグラム作成は、例えば探知器124内で直接に、例えば探知器124のCMOSチップ内で実施することができる。同様に、コード118の光情報119のグレーレベルを、例えばやはり全体的又は部分的に探知器124のCMOSチップ内で、及び/又は他の種類の評価装置145内で評価することもできる。画像センサ130、例えば探知器124のCMOSチップ内に評価装置145を完全又は部分的に実装することの利点は、周辺ハードウェアに対する手間が軽減されること、すなわち、サイクルタイムが短縮されること、画像の記憶が可能な限り回避されること、そしてエネルギー必要量が減少することにある。
【0066】
図6のコードの例に基づいて、コード118もしくは光情報119中の物品特異的な情報の暗号化の例、並びにこのような情報の解読の例を以下に説明する。コード118は、上記コードフィールド162の形の光情報119を有している。このコードフィールドはこの実施例では、少なくともほぼ正方形の形状を有していてよい。コードフィールド162は複数(この実施例では9つ)のフィールド164を有している。フィールド164はそれ自体もやはり正方形又は少なくともほぼ正方形の形状を有することができ、そして3x3マトリックスで配置されている。フィールド164は、縁取りされて又は縁部なしに形成されていてよい。フィールド164の他の配置形式、例えば互いに前後して配置された9つのフィールドも基本的には可能である。
【0067】
図6に示すように、フィールド164は種々異なる充填度までグレーレベルで充填されている。グレーレベルコードを有する二次元光情報119を備えたコード118のこのような実施例は従って、ヒストグラム評価を行うことができる。このようなヒストグラム評価は、上記のように簡単な頻度分布を含むことができ、また必ずしも図7に示されているように、グラフィック評価を含まなければならないわけではない。
【0068】
ヒストグラム評価の目的で、試験テープ144及び/又は試験ストリップ154の形の試験エレメントが、上記第2位置、つまりコード118が探知器124の視界内、ひいては測定位置136内に少なくとも部分的に配置されている位置にある場合、コード118もしくはコードフィールド162の画像を撮影することができる。各個別のフィールド164の充填度から、今や各グレーレベルに、このようなグレー値を有する規定数の画素を対応させることができる。例では9つのグレー値が示されている。これらから、それぞれ4つの充填度、すなわち、全充填(例えば左上の隅の黒フィールド)から、3/4充填を介して、1/2充填、1/4充填までを想定することができる。充填度を明らかにするために、正方形フィールド164の縁部は図6ではまだ一緒に記されているが、このような縁部は絶対に必要というわけではない。全体的に見ると、図6に示されたコード36によって、組み合わせ可能性(9つのグレー値x4つの充填度)が生じる。このことは1つの考えられるコードの1実施例を示すにすぎない。他の数のグレーレベル及び/又は充填度も考えられる。
【0069】
図6に示されているコードからは、例えば図7に示したグレー値ヒストグラムが生じることになる。各グレーレベルg(このグレーレベルには1〜9の通し番号が付けられている)に関して、充填度aが%でプロットされている。図7に示されたヒストグラム中のグレーレベルgの順番を順序として、すなわち例えば番号順として理解するならば、4つの充填度を有するこのような9フィールド・コードによって、49イコール262144通りの数を生成することができる。このために、例えば標準化されたコードバーを用いるとすれば、218イコール49なので、18ビットの深さが必要となるところである。
【0070】
図8及び9において、一例として、本発明のグレー値コード(図8)における数「262144」を、商業的なバーコード(コード25、図9)の表示と対照させる。明らかなのは、2つのグレーレベル(黒/白)から9つのグレーレベルへ拡大することにより、所与のライン分解能(ここでは300dpi)におけるコードのための所要スペースを低減できることである。グレー値コードはそればかりか、なおも著しく小さくすることもできる。逆に、医療用使い捨て物品117上のコード118もしくは光情報119のための所要スペースをそのままにして、メモリー深さもしくはコード118中に暗号化することができる情報、例えば物品特異的な情報の数を著しく増やすことができる。
【0071】
特にグレー値コードにおいて強調すべきなのは、ヒストグラムによる読み取りを、並進及び/又は回転と比較して少なくとも安定的に行うことができることである。このことは例えば欧州特許出願公開第1 843 148号明細書に記載されているように、例えば直接的なグレー値・充填度評価によって、画像情報の空間分解型の捕捉を介した「迂回路」なしで行うことができる。このことは、試験ストリップ154もしくは試験テープ114が傾いていても、コード118の申し分のない読み取りを可能にすることを意味する。同様に、コードの形は十分にフレキシブルなので、正方形のフィールド164及び/又は正方形のコードフィールド162の代わりに、種々異なるグレー値及び厚さを有する水平方向及び/又は鉛直方向に整列された方形、円、対角線又は類似のものを利用することもできる。
【0072】
図6に示された9つのグレーレベル及び4つの充填度の選択も、単純化された一例として示したものである。概念的には、本発明の構成の根底を成すのは、グルコース測定に対して最適化された分析システム110における認識可能なグレー値の数が、まさに、できる限り正確なグレー値を規定するために設計されているという事実である。具体的にはこのような利点は、特に同一の探知器124が光情報119の読み取りのための捕捉装置125としても利用される場合に、コード118の読み取りのためにも利用することができる。グルコース測定のために概念的には、拡散反射率が約50%の範囲にわたって約0.1%の拡散反射率の測定精度が要求されており、ひいては500のグレーレベルが認識可能であるべきであるが、これにより1つのグレー値コードに対して少なくとも50のグレーレベルを別々に認識できると思われる。例えば106画素を有する画像センサ130を備えた探知器124が使用される場合、各グレーレベル毎に20000画素が利用できることになる。ポワソン分布を前提とすると、規定されたグレー値の画素数は理論上、0.7%に正確に規定することができる。従って、充填度を141のレベルに分けることができる。技術的な転換可能性、特に縁部効果及びグレー値分布の幅を考慮すると、少なくとも30のレベルが実現可能と考えられる。全体的に明らかなのは、方形が正方形の場合、直角四角形の所与の面における縁部効果が最小限であることである。このことから、正方形のフィールド164及び/又は正方形のコードフィールド162が好ましいことが明らかになる。従って1つの画像において、5030通りの数をエンコーディングすることができる。このことは約170ビットの二進情報深さに相当する。従って、例えば406ビットの情報が必要とされる場合、情報は、探知器の最大3つの画像内で示すことができる。
【0073】
グレー値と充填度とから成る数値対が、例えばヒストグラム解析に基づき図7に示したように検出されている場合には、数値のエンコーディング時に、グレー値及び充填度の役割を交換することもできる。例えばグレー値に従って順序づけの代わりに、充填度に従って順序づけることができる。グレー値はこの場合、充填度の代わりに、コード中のこの場所の値を再現することができる。こうして、上記例でも、5030通りの数の代わりに3050通りの数を示すことができる。これは二進法では245ビットのビット深さに相当する。容易に明らかなのは、このような役割交換が、指数の基数(この場合元の50)がべき数(この場合元の30)よりも大きい場合に常に有利であることである。
【0074】
グレー値を生成するためには、一定のグレー値の均一な面を形成することが絶対に必要というわけではなく、探知器の場所における構造化の画像が1画素よりも著しく小さい限り、他の形式で構造化されたコードフィールド162、構造化されたフィールド164、又は他の形式で構造化された面を使用することもできる。陰影線及び点がこのような構造化の例である。
【0075】
場合によっては、図6において例えば第1行の第1フィールド、もしくは第2行の第2フィールドに示したような、極限値である黒及び白は、コードの読み取りのためだけではなく、同時に部分システム110のスケーリングのためにも使用できることがさらに役に立つ。図7に示された種類のヒストグラムにおいて、コードの読み取り後、基準値「黒」及び「白」に関するこのような黒白情報に基づいて、分析ゾーン116上のグルコース濃度を検出するための基準として較正を行うことができる。このような較正によって、分析システム110を、センサ感度の変動に対して、光源134(例えばLED)の照明光度の低下に対して、又は類似の変動に対してより堅牢に構成することができる。
【0076】
図6及び7に基づき説明したグレーレベルコードは、必要な物品特異的な情報の一部のためだけに使用することもできる。例えばバッチコードはコード118によって、必要なコードの一部のだけのために使用することができる。この場合、コードの残された部分は、別のコード媒体上に残ることができる(「スプリット・コード」)。このようなスプリット・コードの例は、PCT/EP2008/004293に記載されている。例えばテープカセット112上のバーコードの形、ROMキーの形の付加的なコード媒体、又は類似の付加的なコード媒体を使用することができる。
【0077】
図10及び11には、最後に、本発明によるエンコーディング方法(図10)もしくは本発明によるデコーディング方法(図11)の可能な1実施例のフロー線図が概略的に示されている。個々の方法ステップは、概略的に示唆されているにすぎない。このような方法ステップの可能な構成に関しては、上記記載内容を十分に参照することができる。さらに、図10及び11において実施されないさらに付加的な方法ステップが含まれていてよい。さらに、図示の順序が絶対に必要というわけではなく、例えば1つ又は2つ以上の方法ステップが、図示の順序以外の順序で行われてよく、時間的に並行して又は時間的にオーバーラップして実施されてよく、或いは、個別に又は群を成して繰り返し実施されてもよい。
【0078】
図10に示されたエンコーディング方法の場合、先ず方法ステップ166において少なくとも1つの情報を提供する。このような情報は、例えば物品特異的な情報を含んでおり、例えば手動で、データ担体、ネットワーク、試験エレメント又は類似のもののための製造装置を介して提供することができる。物品特異的な情報は図10では象徴的に示されているにすぎない。
【0079】
方法ステップ168では、情報を1つのコードに変換する。コードは、グレー値と充填度とから成る複数の対を有する。ステップ168におけるこのような変換は、例えば一般の情報を二進コードに変換する分野の当業者に知られているように、例えば予め決められた変換基準に基づいて行うことができる。
この場合、上記のように、対の第1個所に例えばグレー値を、そして第2個所に充填度を使用することができ、又はその逆も可能である。ステップ168におけるコードを生成するための対応基準は、図10において象徴的に示すように、例えばコンピュータ、電子テーブル、又は他の種類のコード生成装置170内に保存することができる。
【0080】
次いで、次の方法ステップであるステップ172では、ステップ168で生成されたグレー値・充填度対の形のコードを、二次元光情報119に変換する。このような変換は、図10にやはり象徴的に示唆されているように、相応の変換装置174によって行うことができる。
【0081】
続いて、このように生成された光情報119を、方法ステップ178において被着装置166によって、ここでは試験テープ114の形で象徴的に例示された医療用使い捨て物品117上に被着する。このような被着装置176は例えば、印刷装置、ラベリング装置、又は他の種類の被着装置、並びに図10にも示唆したように、場合によってはデータ処理システムを有していてよい。
【0082】
コード生成装置170、変換装置174、及び被着装置176は、図10に種々様々な装置として象徴的に示されており、一緒にエンコーディング装置180を形成する。念のために述べておくが、このようなエンコーディング装置180は、図10に示された実施形態とは異なるように構成されていてもよい。例えば、装置170,174及び176を全体的又は部分的に1つにまとめることもできる。例えば、光情報119が生成される変換装置174は、全体的又は部分的に被着装置176内に配置されていてよいので、方法ステップ168において生成されたグレー値・充填度対から、ステップ178における被着時に直接初めて、例えば相応の印刷機によって、光情報119を生成することもできる。この印刷機は、グレー値・充填度対を直接的に入力情報として処理して変換することができる。
【0083】
図11には、本発明によるデコーディング方法の概略的なフロー線図が示されている。上で図10に対して挙げた、考えられ得る更なる方法ステップ、他の順序、時間的に並行する実施、及び概略図に対する類似の指摘に関する注意点は、図11に対しても同様に当てはまる。図11に示されたデコーディング方法は、特に、図10に示した方法によって形成されたコードをデコーディングするために用いることができる。
【0084】
第1の方法ステップであるステップ182では、捕捉装置125によって、コード118の光情報119を捕捉する。捕捉装置125は図11ではやはり象徴的に示されているにすぎず、例えばデータ処理装置を有している。上で図2に基づいて記載したように、このようなデータ処理装置は例えば全体的又は部分的に、画像センサ130内及び/又は別個の評価ユニット144内に組み込まれていてよい。
【0085】
続いて、まとめて共通の1つのステップにすることもできるステップ184及び186では、ヒストグラム解析(ステップ184)によって、光情報119を、グレー値・充填度数値対から成るコードに変換する。このことは例えばやはり全体的又は部分的に、評価装置145内で行うことができる。図11のステップ184及び186を別々にすることは、上記の選択肢を示唆し、そしてこの選択肢によれば、ステップ184における本来のヒストグラム解析は、評価装置145としての画像センサ130内で行うことができ、これに対して本来の、コードへの変換は例えば評価装置145としての分析システム110の評価ユニット144内で行うことができる。ステップ184及び186におけるグレー値・充填度数値対から成るコードへの変換は原理的には、ステップ168及び172における図10に記載されたエンコーディングを反転させたものであるので、上記記載内容を少なくとも十分に参照することができる。
【0086】
続いて、方法ステップ188において、ステップ186で生成されたコードから、元の情報を再び獲得する。このことは原理的には、図1のステップ166もしくは168を反転させたものであるので、これに関しては、上記記載内容を十分に参照することができる。例えば、このために、解読装置147を使用することができる。解読装置は例えば分析システム110の評価ユニット144と全体的又は部分的に構成部分が同一であってよい。従って、構成部分125、145及び147は一緒に、デコーディング装置111を形成する。デコーディング装置は例えば分析システム110内で使用することができ、或いはデコーディング装置自体を分析システム110として構成することもできる。このように、例えば試験テープ114及び/又は試験ストリップ154の形の医療用使い捨て物品117に関する物品特異的な情報を読み取ることができ、そしてこれらを液体試料の分析時に使用することができる。ここでも念のために述べておくが、デコーディング装置111の他の構成、例えば構成部分125,145及び147を他の形式で1つにまとめたものも可能である。
【符号の説明】
【0087】
110 分析システム
111 デコーディング装置
112 テープカセット
114 試験テープ
116 分析ゾーン
117 医療用使い捨て物品
118 コード
119 光情報
120 位置決めマーカー
122 位置決め窓
124 探知器
125 捕捉装置
126 光学系モジュール
128 切欠き
130 画像センサ
132 空間分解性光学系
134 光源
136 測定位置
138 ガイド
140 駆動装置
142 移動装置
144 評価ユニット
145 評価装置
146 制御装置
147 解読装置
148 担体
150 コード・分析ゾーン対
152 巻き取り方向
154 試験ストリップ
156 担体
158 塗布ゾーン
160 探知器
162 エンコーディングフィールド
164 フィールド
166 情報を提供
168 コードに変換
170 コード生成装置
172 光情報に変換
174 変換装置
176 被着装置
178 光情報を被着
180 エンコーディング装置
182 光情報を捕捉
184 ヒストグラム解析
186 コードに変換

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品、特に医療用使い捨て物品(117)上に少なくとも1つのコード(118)を生成するためのエンコーディング方法であって、該コード(118)が、エンコーディングされた形の少なくとも1つの情報を有しており、該方法が以下のステップ、すなわち:
a) 該少なくとも1つの情報を1つのコードに変換し、該コードは、グレー値と充填度とから成る複数の対を有しており;
b) 該コードを、光情報(119)、特に二次元光情報(119)に変換し、該光情報(119)は、グレー値と充填度とから成る複数の対に対応して、
所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールド(164)を有しており;
c) 該光情報(119)を該物品上に被着する、
ステップを有している、エンコーディング方法。
【請求項2】
該少なくとも1つのフィールド(164)が複数のフィールド(164)を有しており、各フィールド(164)が、1つの規定されたグレー値に対応しており、そして該グレー値で該所属の充填度まで充填されている、前記請求項1に記載のエンコーディング方法。
【請求項3】
コンピュータプログラムであって、該プログラムがコンピュータ内で実行される場合に、前記請求項1又は2に記載のエンコーディング方法の方法ステップa)及びb)を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項4】
機械読み取り可能な担体上に記憶されている、前記請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
特にエンコーディング方法に関する前記請求項1又は2に記載のエンコーディング方法を用いることによって、物品、特に医療用使い捨て物品(117)上に少なくとも1つのコード(118)を生成するためのエンコーディング装置(180)であって、該コード(118)が、エンコーディングされた形の少なくとも1つの情報を有しており、該エンコーディング装置(180)が、少なくとも1つのコード生成装置(170)と、少なくとも1つの変換装置(174)と、少なくとも1つの被着装置(176)とを有しており:
A) 該コード生成装置(170)は、少なくとも1つの情報を1つのコードに変換するように構成されており、該コードは、グレー値と充填度とから成る複数の対を有しており;
B) 該変換装置(174)は、該コードを光情報(119)に、特に二次元光情報(119)に変換するように構成されており、該光情報(119)は、グレー値と充填度とから成る複数の対に対応して、所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールド(164)を有しており;そして
C) 該被着装置(176)は、光情報(119)を該物品上に被着するように構成されている、
エンコーディング装置。
【請求項6】
物品、特に医療用使い捨て物品(117)上の少なくとも1つのエンコーディングされた情報、特にエンコーディング方法に関する前記請求項1又は2に記載のエンコーディング方法によって生成されたコード(118)をデコーディングするためのデコーディング方法であって、該方法が以下のステップ、すなわち:
i) 該物品上に被着された少なくとも1つの光情報(119)、特に二次元光情報(119)を捕捉し、該光情報(119)は、所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールド(164)を有しており;
ii) 該光情報(119)をヒストグラム解析によって1つのコードに変換し、該コードは、ヒストグラム解析に対応する、グレー値と充填度とから成る複数の対を有しており;そして、
iii) 該コードを該情報に変換する
ステップを有している、デコーディング方法。
【請求項7】
コンピュータプログラムであって、該プログラムがコンピュータ内で実行される場合に、前記請求項6に記載のデコーディング方法の方法ステップii)及びiii)を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項8】
機械読み取り可能な担体上に記憶されている、前記請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
特にデコーディング方法に関する前記請求項6に記載のデコーディング方法を用いることによって、物品、特に医療用使い捨て物品(117)上の少なくとも1つのエンコーディングされた情報をデコーディングするためのデコーディング装置(111)であって、該デコーディング装置(111)が、少なくとも1つの捕捉装置(125)と、少なくとも1つの評価装置(145)と、少なくとも1つの解読装置(147)とを有しており;
I) 該捕捉装置(125)は、該物品上に被着された少なくとも1つの光情報(119)、特に二次元光情報(119)を捕捉するために設けられており、該光情報(119)は、所属の充填度まで少なくとも1つのグレー値で充填された少なくとも1つのフィールド(164)を有しており;
II) 該評価装置(145)は、該光情報(119)をヒストグラム解析によって1つのコードに変換するように構成されており、該コードは、ヒストグラム解析に対応する、グレー値と充填度とから成る複数の対を有しており;そして、
III) 該解読装置(147)が、該コードを該情報に変換するために設けられている、
デコーディング装置。
【請求項10】
該デコーディング装置(111)が、少なくとも1つの試験エレメント(114;154)及び/又はランセットを使用して、試料、例えば体液中の少なくとも1種の被分析物を検出するための少なくとも1つの分析システム(110)を有している、前記請求項9に記載のデコーディング装置(111)。
【請求項11】
該試験エレメント(114;154)が、被分析物を光学的に検出するための少なくとも1つの光学試験フィールド(116)を有している、前記請求項10に記載のデコーディング装置(111)。
【請求項12】
該分析システム(110)が該光学試験フィールド(116)を評価するための少なくとも1つの光学探知器(124)を有しており、該分析システム(110)は、該光学探知器(124)を、該物品上に被着された光情報(119)を捕捉するための該捕捉装置(125)の構成部分として使用するように構成されている、前記請求項11に記載のデコーディング装置(111)。
【請求項13】
さらに、少なくとも1つの物品、特に医療用使い捨て物品(117)を有しており、該光情報(119)が該物品上に被着されている、デコーディング装置(111)に関する前記請求項9から12までのいずれか1項に記載のデコーディング装置(111)。
【請求項14】
該捕捉装置(125)が、二次元画像情報を捕捉するための少なくとも1つの画像センサ(130)、特にCCDチップ及び/又はCMOSチップを有している、デコーディング装置(111)に関する前記請求項9から13までのいずれか1項に記載のデコーディング装置(111)。
【請求項15】
該評価装置(145)が該画像センサ(130)内に少なくとも部分的に組み込まれている、前記請求項14に記載のデコーディング装置(111)。
【請求項16】
少なくとも1つのコード(118)を有する医療用使い捨て物品(117)であって、該コード(118)が、エンコーディング方法に関する前記請求項1又は2に記載のエンコーディング方法によって生成されている、医療用使い捨て物品。
【請求項17】
該医療用使い捨て物品(117)が下記医療用使い捨て物品(117):
− 試料、特に体液中の少なくとも1種の被分析物、特に代謝産物を検出するための試験エレメント(114;154)、特に試験テープ(114)又は試験ストリップ(154);
− 体液の試料を生成するためのランセット
のうちの少なくとも一方を有している、前記請求項16に記載の医療用使い捨て物品(117)。
【請求項18】
該コード(118)が、該医療用使い捨て物品(117)に関する少なくとも1つの物品特異的な情報を有している、前記両請求項16及び17のいずれか1項に記載の医療用使い捨て物品(117)。
【請求項19】
該医療用使い捨て物品(117)が、少なくとも1種の体液を分析するための少なくとも1つの試験フィールド(116)を備えた試験スリップ(154)又は試験テープ(114)であり、該試験フィールドが担体(148)上に被着されており、該コード(118)も該担体(148)上に被着されている、前記請求項18に記載の医療用使い捨て物品(117)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2011−530128(P2011−530128A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521554(P2011−521554)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060046
【国際公開番号】WO2010/015606
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】