説明

医薬化合物

【化35】


式(I);[式中、Aはチオフェンまたはフラン環を表し;nは1または2であり;R1は式(1);[式中、mは0または1であり;R30はHまたはC1−C6アルキルであり;R4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環と縮合していてもよく、非置換型もしくは置換型である、N、S、およびOより選択される0もしくは1個の付加的なヘテロ原子を含む5もしくは6員の飽和N含有複素環式基を形成しているか;または、R4およびR5のうちの1つがアルキルであり、かつ他方が上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基、もしくは上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基により置換されたアルキル基である]の基であり;R2は式(a);[式中、R6およびR7は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換型または置換型のモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゼパン、またはチアゼパン基を形成している];および式(b);[式中、Yは、鎖の構成炭素原子の間および/または鎖の一方もしくは両方の末端にO、N、およびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含有しており、非置換型または置換型であるC2−C4アルキレン鎖である];かつR3は非置換型または置換型であるインドール基である]の縮合ピリミジン;およびそれらの医薬的に許容される塩は、PI3キナーゼの阻害剤としての活性を有し、従って、癌、免疫障害、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経学的障害のような、PI3キナーゼに関連した異常な細胞の増殖、機能、または挙動から生じる疾患及び障害を処置するために使用され得る。化合物を合成する方法も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジン誘導体およびホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)の阻害剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール(以後、「PI」と略記)は、細胞膜に見出される多数のリン脂質のうちの1つである。近年、PIが、細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たすことが明らかになった。1980年代の後半に、PI3キナーゼ(PI3K)が、ホスファチジルイノシトールのイノシトール環の3位をリン酸化する酵素であることが見出された(D.Whitman et al,1988,Nature,332,664)。
【0003】
PI3Kは、当初は、単一の酵素であると考えられたが、PI3Kには複数のサブタイプが存在することが現在では明らかにされている。各サブタイプは、独自の制御活性のメカニズムを有する。PI3Kの3つの主要なクラスは、インビトロ基質特異性に基づき同定された(B.Vanhaesebroeck,1997,Trend in Biol.Sci,22,267)。クラスI PI3Kの基質は、PI、PI4−リン酸(PI4P)、およびPI4,5−二リン酸(PI(4,5)P2)である。クラスI PI3Kは、活性化メカニズムの点から、さらに2つの群クラスIaおよびクラスIbに分類される。クラスIa PI3Kには、チロシンキナーゼ結合受容体からのシグナルを伝達するPI3K p110α、p110β、およびp110δサブタイプが含まれる。クラスIb PI3Kには、Gタンパク質結合受容体により活性化されるp110γサブタイプが含まれる。PIおよびPI(4)Pは、クラスII PI3Kの基質として知られる。クラスII PI3Kには、C末端にC2ドメインを含有していることを特徴とするPI3K C2α、C2β、およびC2γサブタイプが含まれる。クラスIII PI3Kの基質は、PIのみである。
【0004】
PI3Kサブタイプのうち、クラスIaサブタイプが、現在まで最も広範に調査されている。クラスIaの3つのサブタイプは、110kDaの触媒サブユニットおよび85kDaまたは55kDaの調節サブユニットのヘテロ二量体である。調節サブユニットはSH2ドメインを含有しており、チロシンキナーゼ活性を有する増殖因子受容体または癌遺伝子産物によりリン酸化されたチロシン残基に結合し、それにより、その脂質基質をリン酸化するp110触媒サブユニットのPI3K活性を誘導する。従って、クラスIaサブタイプは、細胞増殖および発癌に関連していると考えられる。
【0005】
国際公開公報WO01/083456は、PI3Kの阻害剤としての活性を有し、癌細胞増殖を抑制する一連の縮合ヘテロアリール誘導体を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
縮合ピリミジン化合物の新規のクラスが、薬物様の物理化学的および薬物動態学的な特性を有するPI3Kの有効な阻害剤であることがここで見出された。化合物は、クラスIbと比較して、クラスIa PI3K、特にP110δサブタイプに対して選択性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、式(I)の縮合ピリミジンである化合物:
【化11】

[式中、
Aはチオフェンまたはフラン環を表し;
nは1または2であり;
1は式:
【化12】

[式中、
mは0または1であり;
30はHまたはC1−C6アルキルであり;
4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環と縮合していてもよく、非置換型もしくは置換型である、N、S、およびOより選択される0もしくは1個の付加的なヘテロ原子を含む5もしくは6員の飽和N含有複素環式基を形成しているか;または、R4およびR5のうちの1つがアルキルであり、かつ他方が上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基、もしくは上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基により置換されたアルキル基である]の基であり;
2は以下より選択され:
(a)
【化13】

[式中、R6およびR7は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換型または置換型のモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゼパン、またはチアゼパン基を形成している];および
(b)
【化14】

[式中、Yは、鎖の構成炭素原子の間および/または鎖の一方もしくは両方の末端にO、N、およびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含有しており、非置換型または置換型であるC2−C4アルキレン鎖である];かつ
3は非置換型または置換型であるインドール基である];
またはそれらの医薬的に許容される塩を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
式(I)中のチオフェンまたはフラン環Aは、2つの利用可能な位置化学的(regiochemical)方向のいずれかを採る。従って、式(I)には、以下の式(Ia)のチエノ[3,2−d]ピリミジンおよびフラノ[3,2−d]ピリミジンのみならず、以下の式(Ib)のチエノ[2,3−d]ピリミジンおよびフラノ[2,3−d]ピリミジンも包含される:
【化15】

[式中、R1〜R3およびnは各々上で定義された通りであり、かつXはSまたはOである]。
【0009】
式(I)中、nが2である場合、所与の化合物において同一であってもよいしまたは異なっていてもよい基R1は、チオフェンまたはフラン環A上の2つの利用可能な環位のいずれかまたは両方に結合し得る。従って、上記構造(Ia)および(Ib)に関して、nが1である場合、フランまたはチオフェン環は2位または3位でR1により一置換されている。nが2である場合、チオフェンまたはフラン環は2位および3位でR1により二置換されている。
【0010】
本明細書において指定されるように、アルキル基は、非置換型または置換型である直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基である。典型的には、それは、C1−C20アルキル、例えばC1−C6アルキルまたはC1−C4アルキルのようなC1−C10アルキル、例えば、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、t−ブチル、s−ブチル、またはn−ブチルである。それは、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、およびそれらの様々な分岐鎖異性体であってもよい。
【0011】
アルキル基が置換型である場合、それは、典型的には、ハロゲン、アルコキシ、カルボシクリル、上で定義された5または6員の飽和N含有複素環式基、OH、SR、CN、ニトロ、NR2、−COOR、−C(O)R、−CH2OR、S(O)mR、−NRC(O)R、−S(O)mNR2、−OC(O)R、−OC(O)NR2、−NRS(O)mR、−NRC(O)NR2、および−CONR2[式中、Rは各々H、非置換型アルキル、またはC3−C10シクロアルキルであり、かつmは1または2である]より選択される1個以上の置換基R20を保持している。
【0012】
典型的には、R20は、ハロゲン、アルコキシ、カルボシクリル、上で定義された5または6員の飽和N含有複素環式基、OH、CN、NR2、−COOR、および−CONR2[式中、Rは各々Hまたは上で定義された非置換型アルキルである]より選択される。
【0013】
置換型アルキルは、例えば、ハロアルキル基または基−alk−N(R4)(R5)[式中、alkはアルキレン鎖であり、かつR4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環と縮合していてもよく、非置換型または置換型である、N、S、およびOより選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含む5または6員の飽和N含有複素環式基を形成している]であり得る。より典型的には、それは、ハロアルキル基または基−alk−N(R4)(R5)[式中、alkはアルキレン鎖であり、かつR4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、上で定義された5または6員の飽和N含有複素環式基を形成している]である。
【0014】
アルキレン基とは、非置換型または置換型の直鎖または分岐鎖の飽和二価炭化水素基である。典型的には、それは、C1−C8アルキレン、例えば、C1−C6アルキレンである。好ましくは、それは、C1−C4アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、i−プロピレン、n−プロピレン、t−ブチレン、s−ブチレン、またはn−ブチレンのようなC2−C4アルキレンである。それは、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、およびそれらの様々な分岐鎖異性体であってもよい。アルキレン基が置換型である場合、それは、典型的には、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されている。
【0015】
アルケニル基とは、1個以上の二重結合を有する非置換型または置換型の直鎖または分岐鎖の炭化水素基である。典型的には、それは、C2−C8アルケニル、例えば、アリル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、またはヘキセニルのようなC2−C6アルケニルである。アルケニル基が置換型である場合、それは、典型的には、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されている。
【0016】
アルキニル基とは、1個以上の三重結合を有する非置換型または置換型の直鎖または分岐鎖の炭化水素基である。典型的には、それは、C2−C8アルキニル、例えば、エチニル、プロピニル、またはブチニルのようなC2−C6アルキニルである。アルキニル基が置換型である場合、それは、典型的には、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されている。
【0017】
ハロアルキル基とは、1個以上のハロゲン原子により置換された上で定義されたアルキル基である。それは、ペルハロアルキル基、例えば、トリフルオロメチルまたはペルフルオロヘキシルであり得る。
【0018】
ハロゲンとは、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素である。それは、典型的には、臭素またはヨウ素である。
【0019】
アルコキシ基は、直鎖または分岐鎖である。それは、典型的には、C1−C6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、n−プロポキシ、t−ブトキシ、n−ブトキシ、またはs−ブトキシのようなC1−C4アルコキシである。それは、非置換型であるか、または、例えば、上で定義された基R20により、もしくは非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されている。典型的には、それは、カルボシクリル、モルホリノ、OH、CN、NR2、−COOR、または−CONR2[式中、Rは各々Hまたは上で定義された非置換型アルキルである]により置換されている。
【0020】
カルボシクリル基とは、典型的には、3〜10個の炭素原子を有する非芳香族の飽和または不飽和の単環式炭化水素環である。それは、C3−C8シクロアルキル基またはC5−C10シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであり得る。または、それは、シクロアルケニル基、典型的には、C4−C8シクロアルケニル、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘパジエニル、シクロオクテニル、またはシクロオクタジエニルであり得る。カルボシクリル基は、非置換型であるか、または、例えば、上で定義された基R20により、もしくは非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されていてもよい。典型的には、それは、アルコキシ、モルホリノ、OH、CN、NR2、−COOR、または−CONR2[式中、Rは各々Hまたは上で定義された非置換型アルキルである]により置換されている。
【0021】
ベンゼン環と縮合していてもよく、非置換型または置換型である、N、S、およびOより選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含む5または6員の飽和N含有複素環式基は、典型的には、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、チオモルホリン、キノリン、イソキノリン、ジアゼパン、オキサゼパン、およびチアゼパンより選択される。
【0022】
上で定義された5または6員の飽和N含有複素環式基が置換型である場合、それは、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されていてもよい。典型的には、それは、非置換型もしくは置換型であるアルキル、非置換型もしくは置換型であるアルコキシ、第2の上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基、非置換型もしくは置換型であり、ベンゼン環と縮合していてもよい5もしくは6員のN含有ヘテロアリール基、−NR’R’’、−alk−OR、−C(O)NR’R’’、−alk−C(O)NR’R’’、−alk−N(R)C(O)R、−C(O)N(R)−alk−OR、−S(O)2−alk−NR’R’’、−N(R)−alk−OR、−COOR、オキソ(=O)、OR、−N(R)SO2R、−SO2NR2、−SO2R’’’、または−CO−alk−OR[式中、alkはアルキレン鎖であり、RはHまたはアルキルであり、R’およびR’’は各々独立してH、アルキル、もしくはアルコキシであるか、またはR’およびR’’は共に上で定義された5または6員の飽和N含有複素環式基を形成しており、かつR’’’は、非置換型であるか、または、例えば、NR2もしくは上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基により置換されたアルキルである]により置換されている。
【0023】
N、S、およびOより選択される1または2個のヘテロ原子を含有しており、非置換型または置換型である5、6、または7員の飽和複素環式基は、典型的には、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロフラン、およびテトラヒドロチオフランより選択される。
【0024】
N、S、およびOより選択される1または2個のヘテロ原子を含有している5、6、または7員の飽和複素環式基が置換型である場合、それは、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されている。典型的には、それは、非置換型であるか、または、例えば、上で定義されたR20により置換されたアルキル、上で定義されたハロアルキル、非置換型または置換型である上で定義されたアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、ニトロ、アミノ、オキソ(=O)、および−NR’R’’[R’およびR’’は各々独立してHまたはアルキルである]より選択される1個以上の置換基により置換されている。
【0025】
ヘテロアリール基とは、単環式または二環式であり、非置換型または置換型である、1、2、3、または4個の環窒素原子およびO、N、およびSより選択される0、1、または2個の付加的なヘテロ原子を含有しているヘテロアリール基である。それは、典型的には、5〜12員環である。ヘテロアリール基の例には、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オール、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾロン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、およびイサチン基が含まれる。好ましい例には、インダゾール、インドール、ピラゾール、およびテトラゾール基が含まれる。これらの基は、非置換型であってもよいし、あるいは、例えば、上で指定された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されていてもよい。
【0026】
ベンゼン環と縮合していてもよい5または6員のN含有ヘテロアリール基は、典型的には、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オール、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾロン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、およびピラジンより選択される。そのようなヘテロアリール基が置換型である場合、それは、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換されていてもよい。
【0027】
1において、mは、0または1であり、典型的には、1である。R30は、典型的には、Hである。R4およびR5は、典型的には、それらが結合しているN原子と共に、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、キノリン、イソキノリン、ジアゼパン、オキサゼパン、およびチアゼパンより選択される飽和N含有複素環式基を形成している。R4およびR5により形成された複素環式(heterocylic)基は、非置換型であるか、あるいは、例えば、上で定義された基R20等の上に挙げられた置換基の例により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより、置換されている。
【0028】
式(I)中のR2の定義(a)において、R6およびR7により形成された環は、典型的には、非置換型であるか、あるいは、例えば、上で指定された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で指定された基R20により置換されたアルキルにより置換されたモルホリンである。または、それは、各々、非置換型であるか、あるいは、例えば、上で指定された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義される基R20により置換されたアルキルにより置換されている、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロフラン、およびテトラヒドロチオフランより選択される基であってもよい。R6およびR7により形成された環が置換型である場合、それは、環ヘテロ原子または環炭素原子のいずれかにおいて、例えば、上で定義された基R20により、または非置換型であるかもしくは上で定義された基R20により置換されたアルキルにより置換され得る。
【0029】
式(I)中のR2の定義(b)において、Yにより表わされたアルキレン鎖は、それが結合している炭素原子と共に、O、N、およびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含有しており、非置換型または置換型である、飽和の5、6、または7員の複素環式環を形成している。複素環式環の例には、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロチオフラン、およびモルホリンが含まれる。複素環式環が置換型である場合、それは、典型的には、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アルコキシ、OH、CN、NR2、オキソ(=O)、−COOR、および−CONR2[式中、Rは各々Hまたは上で定義された非置換型アルキルである]より選択される1つ以上の置換基、例えば1、2、または3個の置換基により置換されている。
【0030】
3の定義におけるインドール基は、非置換型または置換型である。置換型である場合、それは、基Z[Zは、H、−OR、−SR、CH2OR、−CO2R、CF2OH、CH(CF3)OH、C(CF32OH、−(CH2qOR、−(CH2qNR2、−C(O)N(R)2、−NR2、−N(R)C(O)R、−S(O)mN(R)2、−OC(O)R、OC(O)N(R)2、−N(R)S(O)mR、−NRC(O)N(R)2、CN、ハロゲン、および−NO2[式中、Rは各々独立してH、C1−C6アルキル、C3−C10シクロアルキル、および非置換型または置換型である5〜12員のアリールまたはヘテロアリール基より選択され、mは1または2であり、かつqは0、1、または2である]より選択される];ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、CN、NO2、OR、SR、NR2、C(O)R、SOR、SO2R、SO2NR2、NRC(O)R、およびCO2R[式中、Rは各々独立してHまたはアルキルである]より選択される1つ以上の置換基;並びにオキソ基(=O)より選択される1個以上の置換基により置換され得る。典型的には、置換型の場合、インドール基は、OH、NH2、またはオキソ基により置換されている。1つの実施形態において、インドール基は非置換型である。
【0031】
インドール基R3は、3−ヒドロキシフェニルまたは4−ヒドロキシフェニル基のアイソスターである。本明細書において使用されるアイソスターとは、式(I)の構造という背景において、3−ヒドロキシフェニルまたは4−ヒドロキシフェニル基と同一または類似の結合特性を保有している官能基である。
【0032】
1つの実施形態において、ピリミジンは、式(Ic)のものである:
【化16】

[式中、
2およびR3は上で定義された通りであり;
nは1であり;かつ
1は式
【化17】

[式中、
mは0または1であり、かつ
4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、O、N、およびSより選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含み、非置換型であるか、またはアルキル、−S(O)2R、−C(O)NR'R’’、−alk−C(O)NR’R’’、−alk−N(R)C(O)R、−C(O)N(R)−alk−OR、−S(O)2−alk−NR’R’’、−N(R)−alk−OR、−S(O)2−alk−NR’R’’、−N(R)−alk−OR、および−C(O)−alk−OR[式中、alkはアルキレン鎖であり、RはHまたはアルキルであり、かつR’およびR’’は各々独立してH、アルキル、もしくはアルコキシであるか、またはR’およびR’’は、共に、上で定義された5または6員の飽和N含有複素環式基を形成している]により置換されている、5または6員の飽和N含有複素環式基を形成している]の基である。典型的には、R’およびR’’は、共に、モルホリン、ピペリジン、またはピペラジン基、より典型的には、モルホリン基を形成している。
【0033】
式(Ic)中、部分「alk」は、典型的には、直鎖C1−C4アルキレン基、より典型的には、C1−C3アルキレン、たとえば−CH2−、−CH2CH2、または−CH2CH2CH2−である。R4およびR5により形成された複素環式基は、典型的には、各々、非置換型であるかまたは上で定義されたように置換された、モルホリン、ピペリジン、およびピペラジンより選択される。R2は、典型的には、モルホリンである。R3は、典型的には、非置換型であるインドール基である。
【0034】
本発明の化合物の具体例には、以下のものが含まれる:
2−(1H−インドール−4−イル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
2−(1H−インドール−4−イル)−6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミド;
{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−モルホリン−4−イル−メタノン;
4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミド;
{1−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン;
2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
2−{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]ピペラジン−1−イル}−エタノール;
{1−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−ジメチル−アミン;
4−((2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)メチル)−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペラジン−1−カルボキサミド;および
2−(4−((2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド;
並びにそれらの医薬的に許容される塩。
【0035】
式(I)の化合物は、置換基の種類に依って、幾何異性体または互変異性体の形態で存在し得、分離された形態のこれらの異性体またはそれらの混合物が、本発明において使用され得る。化合物が不斉炭素原子を有する場合には、光学異性型が、そのような炭素原子に基づき存在し得る。これらの光学異性体の混合物および単離された形態は、全て、本発明において使用され得る。
【0036】
mが1である式(I)の化合物を作製するための適当な合成方法は、式(II):
【化18】

[式中、AおよびR2は上で定義された通りである]の前駆物質カルボキサルデヒドを利用する。この前駆物質から出発して、合成は、パラジウムにより媒介される(鈴木式)交差カップリング反応および還元的アミノ化をいずれかの順序で実施することを含む。従って、本発明は、
(a)式(II):
【化19】

[式中、AおよびR2は上で定義された通りである]の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上で定義された通りであり、かつR15は各々HもしくはC1−C6アルキルであるか、または2つの基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成している]のエステルにより処理すること;および
得られた式(III):
【化20】

[式中、A、R2、およびR3は上で定義された通りである]の化合物を、適当な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理すること;または
(b)上で定義された式(II)の化合物を、適当な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理すること;および、得られた式(IV):
【化21】

[式中、A、R2、R4、およびR5は上で定義された通りである]の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上で定義された通りであり、かつR15は各々HもしくはC1−C6アルキルであるか、または2つの基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成している]のエステルにより処理すること
を含む、mが1である、上で定義された式(I)の化合物を作製する方法をさらに提供する。
【0037】
アミノ化工程およびPd媒介交差カップリング工程は、いずれも、従来の条件の下で実施される。パラジウム触媒は、PdCl2(PPh32のような、鈴木式交差カップリングのために典型的に使用されるものであり得る。還元剤は、典型的には、ボロヒドリド、例えば、NaBH(OAc)3、NaBH4、またはNaCNBH4、特に、NaBH(OAc)3である。
【0038】
2が−NR67である、上で定義された式(II)の化合物は、式(IX):
【化22】

[式中、A、R6、およびR7は上で定義された通りである]の化合物を、リチウム化剤(lithiating agent)により処理し、続いてN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)により処理することを含む方法により調製され得る。その反応は、典型的には、テトラヒドロフラン(THF)のような有機溶媒の中の式(IX)の化合物の懸濁物に、無極性有機溶媒、例えば、ヘキサンのような炭化水素溶媒中のリチウム化剤の溶液を添加することにより実施される。THFが使用される場合、添加は、約−78℃の低温で実施される。リチウム化剤は、典型的には、アルキルリチウム、例えば、n−ブチルリチウムである。
【0039】
上で定義された式(IX)の化合物は、有機溶媒中で、式(X):
【化23】

の化合物を式NHR67[式中、R6およびR7は上で定義された通りである]のアミンにより処理することを含む方法により作製され得る。溶媒は、典型的には、メタノールのようなアルコールである。その反応は、一般に、室温で実施される。
【0040】
式(X)の化合物は、2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジンの調製のための参照実施例1に記載された方法、またはそのような方法と類似の方法により調製され得る。
【0041】
2が式
【化24】

のものである、上で定義された式(II)の化合物は、式(XI):
【化25】

[式中、AおよびR3は上で定義された通りである]の化合物を、式(XII):
【化26】

[式中、Lは、H、またはハロ、−OSO2CF3、−B(OR)2、−Sn(R)3、および−Si(R)3[式中、RはHまたは上で定義されたアルキルである]より選択される基である]の化合物とのパラジウム媒介交差カップリングに供し、続いて還元により、以下の式(XIII):
【化27】

[式中、A、R3、およびYは上で定義された通りである]の化合物を与えることを含む方法により調製され得る。
【0042】
式(XIII)の化合物は、例えば、式(IX)の化合物の式(II)の化合物への変換について上に記載された条件の下で、リチウム化剤、続いてN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)により処理することにより、対応するカルボキサルデヒドへと変換され得る。リチウム化剤は、典型的には、上で定義された通りである。次いで、得られたカルボキサルデヒドは、適当な還元剤、例えば、上で指定されたボロヒドリド、特に、NaBH(OAc)3の存在下で、式NHR45[R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理することにより、mが1である、所望の最終的な上で定義された式(I)の化合物へと変換され得る。
【0043】
mが0である、上で定義された式(I)の化合物は、バックウォルド(Buchwald)式のパラジウム媒介窒素挿入反応により調製され得る。そのような方法は、パラジウム触媒の存在下で、式(XIV):
【化28】

[式中、A、R2、およびR3は上で定義された通りであり、かつWはBrおよびIより選択されるハロ基である]の化合物を、式NHR45[R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理することを含み得る。
【0044】
式(XIV)の化合物は、式(XV):
【化29】

[式中、A、R2、およびR3は上で定義された通りである]の化合物を、リチウム化剤、並びに臭素およびヨウ素より選択されるハロゲンにより処理することにより作製され得る。リチウム化剤は、典型的には、アルキルリチウム、例えば、ブチルリチウムである。ハロゲンは、典型的には、WがIである式(XIV)の化合物を与えるヨウ素である。
【0045】
mが0である、上で定義された式(I)の化合物は、例えば、D.Prim and G.Kirsch in Tetrahedron 55(21),6511-6526,1999により記載された条件の下で、SNAr置換反応によっても調製され得る。そのような方法は、12時間、還流下で、H2O中で、WがBrである上で定義された式(XIV)の化合物を、式NHR45[R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理することを含む。
【0046】
または、mが0である、上で定義された式(I)の化合物は、CuI/EnおよびK3PO4の存在下で、1,4−ジオキサン中で、WがIである上で定義された式(XIV)の化合物を、式NHR45[R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理することによっても調製され得る。その反応は、24時間、約110℃で実施される。この手法は、Kang S-K et al in Synlett,(3),427-430,2002により記載されている。
【0047】
従来の方法により、式(I)の縮合ピリミジンは、医薬的に許容される塩に変換され得、塩は、遊離化合物に変換され得る。医薬的に許容される塩の例には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;および有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸、との酸付加塩が含まれる。
【0048】
遊離のカルボキシ置換基を保持している本発明の化合物の場合、塩には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属およびアンモニウムの塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムの塩が含まれる。後者は、遊離の式(I)の縮合ピリミジンまたはその酸付加塩を、対応する金属塩基またはアンモニアにより処理することにより調製される。式(I)の化合物およびそれらの塩は、水和物または溶媒和物として存在し得る。
【0049】
本発明の化合物は、PI3キナーゼの阻害剤であることが生物学的試験において見出された。化合物は、クラスIbよりもクラスIa PI3キナーゼに対して選択的であり、典型的には、クラスIb PI3キナーゼよりクラスIaに対して少なくとも20倍の選択性を示す。特に、化合物は、p110γよりp110δアイソフォームに対して選択的である。
【0050】
従って、本発明の化合物は、PI3キナーゼ、特に、クラスIa PI3キナーゼの阻害剤として使用され得る。従って、本発明の化合物は、PI3キナーゼに関連した異常な細胞の増殖、機能、または挙動から生じる疾患または障害を処置するために使用され得る。そのような疾患および障害の例は、Expert Opin. Ther. Patents(2004)14(5):703-732においてドリース(Drees)らにより議論されている。これらには、癌、免疫障害、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経学的障害が含まれる。代謝/内分泌障害の例には、糖尿病および肥満が含まれる。処置するために本発明の化合物が使用され得る癌の例には、白血病、脳腫瘍、腎臓癌、胃癌、並びに皮膚、膀胱、乳房、子宮、肺、結腸、前立腺、卵巣、および膵臓の癌が含まれる。
【0051】
従って、免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、または神経学的障害に罹患したヒトまたは動物の患者は、上で定義された本発明の化合物の投与を含む方法により処置され得る。それにより、患者の状態は、好転または改善され得る。
【0052】
生化学的効力を保有していることに加え、本発明の化合物は、薬物使用にとって特に好適な物理化学的および薬物動態学的な特性を示す。これは、例えば、下記の実施例3に記載された生物学的アッセイの結果において示される。特に、化合物は、生理学的pHにおいて高い水への溶解度を保有しており;多くが、少なくとも40μMの溶解度を有し、かなりの数が、100μM超の溶解度を有する。生理学的pHにおける高い溶解度は、生物学的利用能を促進するため、望ましい。試験された化合物の大部分が、低い肝細胞クリアランスを有することが示された、実施例3に記載された肝細胞クリアランスアッセイにより特に示されるように、化合物は、高い代謝的安定性も保有している。低い肝細胞クリアランスは、低い肝臓代謝の速度と相関している。従って、本発明の化合物は、PI3キナーゼの阻害剤としての生化学的効力を保持しながら、改良された物理化学的および薬物動態学的な特性を保有していることが理解され得る。
【0053】
本発明の化合物は、多様な剤形で投与され得、例えば、錠剤、カプセル、糖衣錠、フィルムコーティング錠、液体溶液、もしくは懸濁物のような形態で経口的に投与されてもよいし、または非経口的に、例えば、筋肉内、静脈内、もしくは皮下に投与されてもよい。従って、化合物は、注射または注入により与えられ得る。
【0054】
投薬量は、患者の年齢、体重、および状態、並びに投与経路を含む多様な要因に依る。1日投薬量は広い範囲内で変動し得、特定の各症例において個々の要件に調整されるであろう。しかしながら、典型的には、化合物が成人に単独で投与される場合、各投与経路のため採用される投薬量は、体重1kg当たり0.0001〜50mg、最も一般的には0.001〜10mg、例えば、0.01〜1mgの範囲内である。そのような投薬量は、例えば、1日1〜5回与えられ得る。静脈注射の場合、適当な1日用量は、体重1kg当たり0.0001〜1mg、好ましくは0.0001〜0.1mgである。1日投薬量は、単一投薬量として投与されてもよいし、または分割用量スケジュールに従い投与されてもよい。
【0055】
化合物は、医薬的または獣医学的に許容される担体または希釈剤も含む医薬的または獣医学的な組成物として使用するために製剤化される。組成物は、典型的には、従来の方法に従い調製され、医薬的または獣医学的に適当な形態で投与される。化合物は、例えば、以下のような従来の形態で投与され得る:
A)経口的に、例えば、錠剤、被包錠、糖衣錠、トローチ、ロゼンジ(lozenges)、水性もしくは油性の懸濁物、液体溶液、分散可能な粉末もしくは顆粒、エマルション、硬もしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシルとして。経口用の組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野において既知の任意の方法に従い調製され得、そのような組成物は、医薬的に優れた、摂取可能(palatable)な調製物を提供するため、甘味剤、芳香剤、着色剤、および保存剤からなる群より選択される1以上の薬剤を含有し得る。
【0056】
錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の医薬的に許容される賦形剤と混和された活性成分を含有している。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、アルギン酸、アルギネート、デンプングリコール酸ナトリウム;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、またはアカシア;滑択剤、例えば、シリカ、マグネシウムもしくはカルシウムステアレート、ステアリン酸、またはタルク;発泡混合物;染料、甘味剤、湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、またはラウリルスルフェートであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、または胃腸管における崩壊および吸着を遅延させ、それにより、より長期にわたる持続的な作用を提供するため、公知の技術によりコーティングされていてもよい。例えば、遅延材料、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが利用され得る。そのような調製物は、公知の方法で、例えば、混合、造粒、錠剤化、糖コーティング、またはフィルムコーティングの過程によって製造され得る。
【0057】
経口用の製剤は、活性成分が、不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が、そのまま存在するか、もしくは水もしくは油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとしても提示され得る。
【0058】
水性懸濁物は、水性懸濁物の製造に適した賦形剤と混和された活性材料を含有している。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドントラガカントゴム、およびアラビアゴムであり;分散剤または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。
【0059】
前記水性懸濁物は、1以上の保存剤、例えば、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1またはそれ以上の着色剤、例えばスクロースまたはサッカリンも含有し得る。
【0060】
油性懸濁物は、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油、または流動パラフィンのような鉱油に活性成分を懸濁させることにより製剤化され得る。油性懸濁物は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬パラフィン、またはセチルアルコールを含有し得る。
【0061】
上に示されたもののような甘味剤、および芳香剤が、摂取可能な経口調製物を提供するために添加され得る。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤のこの添加により保存され得る。水の添加による水性懸濁物の調製に適した分散可能な粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1以上の保存剤と混和された活性成分を提供する。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上に既述されたものにより例示される。付加的な賦形剤、例えば、甘味剤、芳香剤、および着色剤が存在してもよい。
【0062】
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルションの形態であってもよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくは落花生油、または鉱油、例えば、流動パラフィン、またはこれらの混合物であり得る。適当な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然に存在(occuring)するホスファチド、例えば、大豆レシチン、および脂肪酸ヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、および該部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルションは、甘味剤および芳香剤も含有し得る。シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、ソルビトール、またはスクロースにより製剤化され得る。特に、糖尿病患者のためのシロップは、グルコースに代謝しないか、または極少量のみをグルコースに代謝する生成物、例えば、ソルビトールのみを担体として含有し得る。
【0063】
そのような製剤は、粘滑剤、保存剤、芳香剤、および着色剤も含有しているかもしれない;
B)非経口的に、すなわち無菌の注射可能な水性または油性の懸濁物の形態で、皮下もしくは静脈内もしくは筋肉内もしくは胸骨内に、または注入技術により。この懸濁物は、上述の湿潤剤および懸濁化剤の適当な分散を使用して、公知の技術に従い製剤化され得る。無菌の注射可能調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒の中の無菌の注射可能な溶液または懸濁物、例えば、1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。
【0064】
利用され得る許容される媒体および溶媒としては、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来利用されている。この目的のため、合成のモノまたはジグリセリドを含む、任意の無菌の不揮発性油が利用され得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸も注射剤の調製において有用である;
C)噴霧器用のエアロゾルまたは溶液の形態で、吸入により;
D)常温では固体であるが直腸の温度では液体であり、従って、直腸で融解して薬物を放出するであろう適当な非刺激性の賦形剤と、薬物を混合することにより調製された坐剤の形態で、直腸に。そのような材料は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである;
E)クリーム、軟膏、ゼリー、洗眼剤、溶液、または懸濁物(suspesions)の形態で、局所的に。
【0065】
本発明を以下の実施例においてさらに説明する:
【実施例】
【0066】
(参照実施例1)
2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(64)
【化30】

メチル3−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート(13.48g、85.85mmol)および尿素(29.75g、5当量)の混合物を、2時間、190℃に加熱した。次いで、熱い反応混合物を、水酸化ナトリウム溶液に注入し、不溶性材料をろ過により除去した。次いで、混合物を酸性化し(HCl、2N)、1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(63)を白色沈殿物として得、それをろ過により収集し、風乾した(9.49g、66%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)11.60−11.10(2H,br,s),8.10(1H,d,J5.2),6.90(1H,d,J5.2)。
【0067】
1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(9.49g、56.49mmol)およびホスフォラスオキシクロライド(150mL)の混合物を、6時間、還流加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、激しく攪拌しながら氷/水に注入し、沈殿物を得た。次いで、混合物をろ過し、白色固体として2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(64)を得た(8.68g、75%)。
δH(400MHz,CDCl3)8.13(1H,d,J5.5),7.56(1H,d,J5.5)。
【0068】
(参照実施例2)
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(65)
【化31】

2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(64)(8.68g、42.34mmol)、モルホリン(8.11mL、2.2当量)、およびメタノール(150mL)の混合物を、1時間、室温で撹拌した。次いで、反応混合物をろ過し、水およびメタノールにより洗浄し、白色固体として標題化合物を得た(11.04g、100%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)8.30(1H,d,J5.6),7.40(1H,d,J5.6),3.90(4H,t,J4.9),3.74(4H,t,J4.9)。
【0069】
(参照実施例3)
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド(66)
【化32】

−78℃の無水テトラヒドロフラン(40mL)中の2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(65)(1.75g、6.85mmol)の懸濁物に、2.5M nBuLiヘキサン溶液(3.3mL、1.2当量)を添加した。1時間攪拌した後、無水N,N−ジメチルホルムアミド(796μL、1.5当量)を添加した。反応混合物を、1時間、−78℃で撹拌し、次いで、徐々に室温にまで加温した。さらに室温で2時間後、反応混合物を氷/水に注入し、黄色沈殿物を得た。これをろ過により収集し、風乾して、標題化合物を得た(1.50g、77%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)10.20(1H,s),8.28(1H,s),3.95(4H,t,J4.9),3.76(4H,t,J4.9)。
【0070】
(参照実施例4)
2−クロロ−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(72)
【化33】

1,2−ジクロロエタン(3mL)中の2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルバルデヒド(66)(147mg、0.52mmol)、1−メチル−ピペラジン(1.5当量、87μL)、および酢酸(1.05当量、32μL)の混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.1当量、121mg)を添加し、次いで、室温で一夜撹拌した。反応混合物をジクロロメタンにより希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液、ブラインにより洗浄し、分離し、乾燥させた(MgSO4)。粗生成物を真空で蒸発させ、クロマトグラフィにより精製し、オフホワイトの結晶状固体として標題化合物72を得た(51mg、45%)。
【0071】
(実施例1)
2−(1H−インドール−4−イル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(61)
【化34】

トルエン(2.5mL)、エタノール(1.5mL)、および水(0.7mL)の中の2−クロロ−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(72)(100mg、0.27mmol)、インドール−4−ボロン酸(1.1当量、48mg)、炭酸水素ナトリウム(3当量、69mg)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.05当量、10mg)の混合物に、アルゴンを流し、1時間、120℃でマイクロ波照射下で加熱した。反応混合物をジクロロメタンと水との間に分配させ、有機層をブラインにより洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、真空で蒸発させた。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィを使用して精製し、標題化合物61を得た(23mg、19%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.33(s,3H),2.52(brm,4H),2.63(brm,4H),4.85(s,2H),3.90−3.92(m,4H),4.07−4.10(m,4H),7.26−7.33(m,2H),7.37(s,1H),7.49(d,1H,J=8.0),7.55(m,1H),8.19(d,1H,J=7.3),8.26(brs,1H)。
MS(ESI+)449.1(MH+
【0072】
(実施例2)
さらなる本発明の化合物
以下の本発明の化合物は、実施例1の方法と類似の方法により調製した。化合物72がは、各場合において、1−メチルピペラジンの代わりに関連するアミンを使用して参照実施例4の方法により調製された適切な前駆物質クロロ化合物に交換した。必要である場合には、アミンの調製が下に記載される。本発明の標題化合物の各々についてNMRデータが与えられる。
【0073】
112:2−(1H−インドール−4−イル)−6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン
1−メタンスルホニル−ピペラジンから調製された2−クロロ−6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジンを介して。
1H NMR(400MHz,CDCl3):2.67−2.71(4H,m),2.81(3H,s),3.29−3.33(4H,m),3.89(2H,s),3.89−3.93(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.39(1H,s),7.50(1H,d,J=8.2Hz),7.53−7.54(1H,m),8.19(1H,d,J=8.0Hz),8.28(1H,br s);MS(ESI+)513(MH+)。
【0074】
113:4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミド
ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミドから調製された4−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミドを介して。
【0075】
アミン調製:無水テトラヒドロフラン(8mL)中の1−BOC−ピペラジン(867mg)の溶液に、トリエチルアミン(0.97mL)を添加し、続いてジメチルカルバモイルクロリド(0.51mL)を添加した。次いで、24時間攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンにより希釈し、ブラインにより洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を真空で除去して、4−ジメチルカルバモイル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た(940mg)。この化合物をジクロロメタン/メタノール中でHClにより処理することにより、化合物113を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):2.56−2.62(4H,m),2.83(6H,s),3.30−3.35(4H,m),3.87(2H,s),3.92−3.96(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3Hz),8.30(1H,br m);MS(ESI+)506(MH+)。
【0076】
114:{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−モルホリン−4−イル−メタノン
モルホリン−4−イル−ピペラジン−1−イル−メタノンから調製された[4−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−モルホリン−4−イル−メタノンを介して;
1H NMR(400MHz,CDCl3):2.55−2.58(4H,m),3.28−3.32(4H,m),3.35−3.39(4H,m),3.67−3.71(4H,m),3.88(2H,s),3.92−3.96(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d,J=8.0),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3Hz),8.30(1H,br m);(ESI+):MS(ESI+)548(MH+)。
【0077】
アミン調製:アセトニトリル(7mL)中の4−モルホリノカルボニルクロライド(0.38ml)、1−BOC−ピペラジン(552mg)、およびカリウムカーボネート(439mg)の混合物を、3時間、室温で撹拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタンにより希釈し、ブラインにより洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を真空で除去して、4−(モルホリン−4−カルボニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(865mg)を得た。この化合物をジクロロメタン/メタノール中でHClにより処理することにより、標題化合物を得、それを塩酸塩として単離した。
【0078】
115:4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミド
ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミドから調製された4−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミドを介して。
【0079】
アミン調製:ジクロロメタン(5mL)およびトリエチルアミン(0.41ml)の中のN−BOC−ピペラジン(500mg)に、4−ニトロフェニルクロロホルメート(541mg)を添加した。1時間後、反応混合物をジクロロメタンにより希釈し、ブラインにより洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を真空で除去して、ピペラジン−1,4−ジカルボン酸tert−ブチルエステル4−ニトロ−フェニルエステル(940mg)を得た。
【0080】
テトラヒドロフラン(5mL)中のピペラジン−1,4−ジカルボン酸tert−ブチルエステル4−ニトロ−フェニルエステル(500mg)に、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン(254mg)を添加し、反応混合物を、24時間、還流加熱した。反応混合物を真空で還元し、フラッシュクロマトグラフィを使用して精製して、4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−カルバモイル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(304mg)を得た。この化合物をジクロロメタン/メタノール中でHClにより処理することにより、標題化合物を得、それを塩酸塩として単離した。
1H NMR(400MHz,CDCl3):2.59−2.63(4H,m),2.90(3H,s),3.27−3.30(4H,m),3.31(3H,s),3.48(2H,t),3.57(2H,t),3.90(2H,s),3.92−3.96(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3Hz),8.30(1H,br m);MS(ESI+)550(MH+)。
【0081】
116:{1−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]ピペリジン−4−イル}−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン
(2−メトキシ−エチル)−メチル−ピペリジン−4−イル−アミンから調製された[1−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミンを介して。
【0082】
アミン調製:N−BOC−4−ピペリジン(500mg)、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン(335mg)、酢酸(0.15mL)、およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(797mg)の混合物を、1,2−ジクロロエタン(5mL)中で室温で撹拌した。一夜攪拌した後、反応混合物をクロロホルムにより希釈し、炭酸水素ナトリウム溶液により洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を真空で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィを使用して精製し、4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。この化合物をジクロロメタン/メタノール中でHClにより処理することにより、標題化合物を得、それを塩酸塩として単離した。
1H NMR(400MHz,CDCl3):1.62−1.72(2H,m),1.76−1.84(2H,m),2.10−2.18(2H,m),2.36(3H,s),2.40−2.48(1H,m),2.68(2H,t,J=6.0Hz),3.04−3.11(2H,m),3.38(3H,s),3.50(2H,t,J=6.3Hz),3.85(2H,s),3.92−3.97(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3Hz),8.30(1H,br);MS(ESI+)521(MH+)。
【0083】
117:2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン
4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのエーテル性HClにより媒介されるBOC基切断を介して。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO):2.90−3.05(4H,br.m),3.15−3.28(4H,br.m),3.86−3.92(2H+4H,m),4.18−4.25(4H,br m),7.05(1H,br m),7.30(1H,t,J=7.8Hz),7.60(1H,s),7.72(1H,d,J=8.1Hz),7.78(1H,br s),7.95(1H,d,J=8.1Hz),9.30−9.40(2H,br m),11.60(1H,br m);MS(ESI+)435(MH+)。
【0084】
118:2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン
4−モルホリノピペリジン(商業的に入手可能)から調製された2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジンを介して。
1H NMR(400MHz,CDCl3):1.55−1.68(2H,m),1.83−1.90(2H,m),2.11−2.18(2H,m),2.18−2.25(1H,m),2.54−2.60(4H,m),3.05−3.11(2H,m),3.70−3.76(4H,m),3.84(2H,s),3.92−3.96(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3Hz),8.30(1H,br);MS(ESI+)519(MH+)。
【0085】
119:2−{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノール
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(商業的に入手可能)から調製された2−[4−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−エタノールを介して。
1H NMR(400MHz,CDCl3):2.63(br m,10H,2×CH2),3.65(m,2H,CH2),3.84(2H,s),3.92−3.96(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3Hz),8.30(1H,br);MS(ESI+)479(MH+)。
【0086】
120:{1−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−ジメチル−アミン
4−ジメチルアミノピペリジン(piperidne)(商業的に入手可能)から調製された[1−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル)−ピペリジン−4−イル]−ジメチル−アミンを介して。
1H NMR(400MHz,CDCl3):1.58−1.68(2H,br m),1.87−1.95(2H,br m),2.10(2H,br t,J=10.7Hz),2.34(1H,br m),2.37(6H,br s),3.02(2H,br m),3.84(2H,s),3.92−3.96(4H,m),4.08−4.12(4H,m),7.28−7.33(2H,m),7.38(1H,s),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.56(1H,s),8.20(1H,d,J=7.3),8.30(1H,br m);MS(ESI+)477(MH+)。
【0087】
(実施例3)
生物学的試験
先の実施例に記載されたようにして調製された本発明の化合物を、以下の一連の生物学的アッセイに供した:
【0088】
(i)PI3K生化学的スクリーニング
化合物によるPI3Kの阻害を、精製された組換え酵素および1uMの濃度のATPを使用した放射測定アッセイにおいて決定した。全ての化合物を、100% DMSOにより段階希釈した。キナーゼ反応物を室温で1時間インキュベートし、PBSの添加により反応を終結させた。その後、S字形の用量−応答曲線適合(可変勾配)を使用してIC50値を決定した。例示された化合物は、全て、510uM以下のPI3Kに対するIC50を有していた。特に、P13Kのp110δアイソフォームに対して試験された化合物は、全て、0.1μM以下のIC50を有していた。
【0089】
(ii)細胞増殖阻害
細胞を96穴プレートに最適の密度で播き、試験化合物の存在下で4日間インキュベートした。その後、アラマーブルー(Alamar Blue)(商標)をアッセイ培地に添加し、細胞を6時間インキュベートした後、544nmの励起、590nmの発光で読み取った。S字形の用量応答曲線適合を使用して、EC50値を計算した。試験された化合物は、全て、利用された細胞系の範囲で、50uM以下のEC50を有していた。
【0090】
(iii)Caco−2透過性
Caco−2細胞を1×105細胞/cm2でミリポアマルチスクリーン(Millipore Multiscreen)プレートに播き、20日間培養した。その後、化合物の透過性の査定を実施した。化合物を細胞単層の頂端表面(A)に適用し、側底(B)コンパートメントへの化合物の透過を測定した。能動輸送を調査するため、これを逆方向(B−A)で実施した。膜を横切る化合物の透過の速度の尺度である透過係数値(Papp)を、各化合物について計算した。確立されたヒト吸収を有する対照化合物との比較に基づき、化合物を、低い吸収能(Papp</=1.0×106cm/s)または高い吸収能(Papp>/=1.0×106cm/s)へと分類した。
【0091】
能動流出(active efflux)を受ける化合物の能力の査定のため、側底側(B)から頂端側(A)への輸送を、AからBへのものと比較した比を決定した。>/=1.0のB−A/A−Bの値を、細胞能動流出(active cellular efflux)の存在の指標とした。Caco−2透過性スクリーンによって試験された化合物は、全て、>/=1.0×106cm/sのPapp値を有していた。双方向アッセイによって査定された1つの化合物、PI540は、1.0未満のB−A/A−B非対称指数を有しており、このことから、その化合物が細胞能動流出を受けないことが示された。
【0092】
(iv)肝細胞クリアランス
凍結保存されたヒト肝細胞の懸濁物を使用した。インキュベーションを、0.5×106生存細胞/mLの細胞密度で、1mMまたは3μMの化合物濃度で実施した。インキュベーション中の最終DMSO濃度は0.25%であった。非酵素的分解を示すため、細胞の非存在下での対照インキュベーションも実施した。0、5、10、20、40、および60分目(対照試料は60分目のみ)にインキュベーション混合物からデュプリケートの試料(50μL)を除去し、反応を終結させるため、内部標準を含有しているメタノール(100μL)に添加した。トルブタミド、7−ヒドロキシクマリン、およびテストステロンを、対照化合物として使用した。試料を遠心分離し、各時点における上清を、LC−MSMSによる分析のためプールした。時間に対するlnピーク面積比(親化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)のプロットから、以下のようにして、固有クリアランス(CLint)を計算した:CLint(μl/分/100万細胞)=V×k[式中、kは、時間に対してプロットされたln濃度の勾配から入手された排出速度定数であり;かつVは、インキュベーション容量に由来する容量項であり、uL 106細胞-1として表わされる]。
【0093】
化合物を、低いクリアランス(CL</=4.6μL/分/106細胞)、中程度のクリアランス(CL>/=4.6;</=25.2μl/分/106細胞)、および高いクリアランス(>/=25.2μl/分/106細胞)により分類した。試験された本発明の化合物の大半が、低い肝細胞クリアランスを有することが決定された。
【0094】
(v)シトクロムP450阻害
本発明の化合物を、デュプリケートで、10の濃度(使用された最高濃度は100uMであった)で、5つのCYP450標的(1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)に対してスクリーニングした。標準的な阻害剤(フラフィリン(furafylline)、スルファフェナゾール、トラニルシプロミン、キニジン、ケトコナゾール)を、対照として使用した。プレートは、蛍光モードで、BMGラブテクノロジーズポーラースター(Lab Technologies PolarStar)を使用して読み取った。このアッセイにおいて査定された試験された化合物の大半が、CYP450の全てのアイソフォームに対して弱い活性(IC50>/=5uM)を示した。
【0095】
(vi)シトクロムP450誘導
単一のドナーから新鮮に単離されたヒト肝細胞を、48時間培養した後、3つの濃度で試験化合物を添加し、72時間インキュベートした。CYP3A4およびCYP1A2のためのプローブ基質を、インキュベーションの終了前に、30分および1時間、添加した。72時間目に細胞および培地を除去し、各プローブ基質の代謝の程度をLC−MS/MSにより定量化した。実験は、トリプリケートで1つの濃度でインキュベートされた個々のP450の誘導剤を使用することにより制御された。このアッセイにおいて査定された本発明の化合物は、シトクロムP450酵素の誘導に対する無視し得る程度の効果を示した。
【0096】
(vii)血漿タンパク質結合
試験化合物(5um、0.5%最終DMSO濃度)の溶液を、緩衝液および10%血漿(緩衝液中のv/v)で調製した。各ウェルが半浸透セルロース膜により二分されるよう、96穴HT透析プレートを組み立てた。緩衝溶液を、膜の片側に添加し、反対側に血漿溶液を添加し;次いで、トリプリケートで2時間37℃でインキュベーションを実施した。その後、セルを空にし、化合物の各バッチの溶液を2つの群(血漿非含有および血漿含有)へと合わせ、次いで、血漿非含有溶液(6点)および血漿含有溶液(7点)のための2セットの較正標準を使用してLC−MSMSにより分析した。各化合物についての未結合分率値を計算した:高度にタンパク質に結合した化合物(>/=90%が結合)はFu</=0.1を有していた。このアッセイにおいて査定された本発明の化合物は、>/=0.1のFu値を有していた。
【0097】
(viii)hERGチャンネル遮断
本発明の化合物を、確立された流入方法論を使用して、hERGカリウムチャンネルを安定的に発現しているHEK−294細胞からのルビジウム流出をモジュレートする能力について評価した。細胞をRbClを含有している培地において調製し、96穴プレートに播き、一夜増殖させて単層を形成させた。培地を吸引し、室温で3×100μLの(低い[K+]を含有している)プレインキュベーション緩衝液により各ウェルを洗浄することにより、流出実験を開始した。最後の吸引の後、50μLのワーキングストック(2×)化合物を各ウェルに添加し、10分間、室温でインキュベートした。次いで、50μLの(高い[K+]を含有している)刺激緩衝液を各ウェルに添加し、最終試験化合物濃度を与えた。次いで、細胞プレートを、さらに10分間、室温でインキュベートした。次いで、各ウェルからの80μLの上清を96穴プレートの等価なウェルに移し、原子放射分光法を介して分析した。化合物は、100μMの最高濃度から10ptデュプリケートIC50曲線、n=2としてスクリーニングされた。
(実施例4)
錠剤組成
各々、0.15gの重量であり、25mgの本発明の化合物を含有している錠剤を、以下のようにして製造した:
10,000個の錠剤のための組成
活性化合物(250g)
ラクトース(800g)
コーンスターチ(415g)
タルク粉末(30g)
マグネシウムステアレート(5g)
【0098】
活性化合物、ラクトース、およびコーンスターチの半分を混合した。次いで、その混合物を、0.5mmのメッシュサイズの篩に通した。コーンスターチ(10g)を温水(90ml)に懸濁させる。得られたペーストを、粉末を造粒するために使用した。顆粒(granulate)を乾燥させ、1.4mmのメッシュサイズの篩で小片へと破砕した。デンプン、タルク、およびマグネシウムの残量を添加し、慎重に混合し、錠剤へと加工した。
(実施例5)
注射可能製剤
製剤A
活性化合物 200mg
0.1M塩酸溶液または
0.1M水酸化ナトリウム溶液 pH4.0〜7.0にするために十分な量
滅菌水 10mlにするために十分な量
【0099】
本発明の化合物を水(35°40℃)の大部分に溶解させ、適宜、塩酸または水酸化ナトリウムによりpHを4.0〜7.0に調整した。次いで、水によりバッチを完全容量にし、無菌微小孔フィルターにより無菌の10mlアンバーガラスバイアル(1型)へとろ過し、無菌のクロージャー(closures)およびオーバーシール(overseals)により密封した。
製剤B
活性化合物 125mg
発熱性物質を含まない無菌のpH7リン酸緩衝液 25mlにするために十分な量
活性化合物 200mg
ベンジルアルコール 0.10g
グリコフロール(Glycofurol)75 1.45g
注射用水 3.00mlにするために十分な量
【0100】
活性化合物をグリコフロールに溶解させた。次いで、ベンジルアルコールを添加し、溶解させ、3mlになるまで水を添加した。次いで、その混合物を、無菌の微小孔フィルターによりろ過し、無菌の3mlガラスバイアル(1型)に密封した。
(実施例6)
シロップ製剤
活性化合物 250mg
ソルビトール溶液 1.50g
グリセロール 2.00g
ナトリウムベンゾエート 0.005g
香料 0.0125ml
精製水 5.00mlにするために十分な量
【0101】
本発明の化合物を、グリセロールと精製水の大部分との混合物に溶解させた。次いで、その溶液にナトリウムベンゾエートの水溶液を添加し、続いてソルビタール(sorbital)溶液、最後に香料を添加した。精製水により容量を完全にし、十分に混合した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の縮合ピリミジンである化合物:
【化1】

[式中、
Aはチオフェンまたはフラン環を表し;
nは1または2であり;
1は式:
【化2】

[式中、
mは0または1であり;
30はHまたはC1−C6アルキルであり;
4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環と縮合していてもよく、非置換型もしくは置換型である、N、S、およびOより選択される0もしくは1個の付加的なヘテロ原子を含む5もしくは6員の飽和N含有複素環式基を形成しているか;または、R4およびR5のうちの1つがアルキルであり、かつ他方が上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基、もしくは上で定義された5もしくは6員の飽和N含有複素環式基により置換されたアルキル基である]の基であり;
2は以下より選択され:
(a)
【化3】

[式中、R6およびR7は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換型または置換型のモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゼパン、またはチアゼパン基を形成している];および
(b)
【化4】

[式中、Yは、鎖の構成炭素原子の間および/または鎖の一方もしくは両方の末端にO、N、およびSより選択される1または2個のヘテロ原子を含有しており、非置換型または置換型であるC2−C4アルキレン鎖である];かつ
3は非置換型または置換型であるインドール基である];
またはそれらの医薬的に許容される塩。
【請求項2】
縮合ピリミジンが式(Ia):
【化5】

[式中、XはSまたはOであり、かつR1、R2、R3、およびnは請求項1において定義された通りである]
のものである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
縮合ピリミジンが式(Ib):
【化6】

[式中、XはSまたはOであり、かつR1、R2、R3、およびnは請求項1において定義された通りである]
のものである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
2−(1H−インドール−4−イル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
[2−(1H−インドール−4−イル)−6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン
2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミド;
{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−モルホリン−4−イル−メタノン;
4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミド;
{1−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン;
2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
2−{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノール;
{1−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−ジメチル−アミン;
4−((2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)メチル)−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペラジン−1−カルボキサミド;および
2−(4−((2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリノチエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド;
から選択される、請求項1に記載の化合物並びにそれらの医薬的に許容される塩。
【請求項5】
(a)式(II):
【化7】

[式中、AおよびR2は請求項1において定義された通りである]の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上で定義された通りであり、かつR15は各々HもしくはC1−C6アルキルであるか、または2つの基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成している]のエステルにより処理すること;および
得られた式(III):
【化8】

[式中、A、R2、およびR3は上で定義された通りである]の化合物を、適当な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は請求項1において定義された通りである]のアミンにより処理すること;または
(b)上で定義された式(II)の化合物を、適当な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上で定義された通りである]のアミンにより処理すること;および、得られた式(IV):
【化9】

[式中、A、R2、R4、およびR5は上で定義された通りである]の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上で定義された通りであり、かつR15は各々HもしくはC1−C6アルキルであるか、または2つの基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成している]のエステルにより処理すること
を含む、mが1である、請求項1において定義された化合物を作製する方法。
【請求項6】
式(XIV):
【化10】

[式中、A、R2、およびR3は請求項1において定義された通りであり、かつWはBrおよびIより選択されるハロ基である]の化合物を、パラジウム触媒の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は請求項1において定義された通りである]のアミンにより処理することを含む、mが0である、請求項1において定義された化合物を作製する方法。
【請求項7】
得られた式(I)の化合物をそれらの医薬的に許容される塩に変換することをさらに含む、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
医薬的に許容される担体または希釈剤および活性成分としての請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項9】
治療によりヒトまたは動物の身体を処置する方法において使用するための、請求項1において定義された化合物。
【請求項10】
PI3キナーゼに関連した異常な細胞の増殖、機能、または挙動から生じる疾患または障害を処置するための医薬品の製造における、請求項1において定義された化合物の使用。
【請求項11】
疾患または障害が、癌、免疫障害、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経学的障害より選択される、請求項10記載の使用。
【請求項12】
PI3キナーゼに関連した異常な細胞の増殖、機能、または挙動から生じる疾患または障害を処置する方法であって、その必要のある患者に、請求項1において定義された化合物を投与することを含む方法。
【請求項13】
疾患または障害が、癌、免疫障害、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経学的障害からなる群より選択される、請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2008−517893(P2008−517893A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537400(P2007−537400)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004137
【国際公開番号】WO2006/046035
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507136017)パイレームド リミテッド (3)
【Fターム(参考)】